JP2009206454A - 電波吸収体 - Google Patents

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Masahiro Ito
正浩 伊東
Kenichi Machida
憲一 町田
Fumika Katsugano
史佳 勝賀野
Masayoshi Shindo
正義 進藤
Yuji Hiramatsu
裕次 平松
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SHOKI KK
Osaka University NUC
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SHOKI KK
Osaka University NUC
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Abstract

【課題】薄形でありながら、電波吸収特性を広帯域化する。
【解決手段】磁性を有するワイヤー110がメッシュ状に編まれたワイヤー磁性体部11と、磁性粉が分散された樹脂をバインダーとした磁性シート12とが重畳されてなる電波吸収体である。ワイヤー磁性体部11はたて糸111とよこ糸112という線材110からなり、互いに編まれている。線材110は、芯材11aと、その周囲(外表面)にコーティングされた磁性体層11bからなる。前記重畳構造によって、薄型で、かつ磁性シート12本来の共振周波数よりも、吸収周波数のピークが低周波数側にシフトし、結果、広帯域化する。
【選択図】図2

Description

本発明は、広帯域の電波吸収特性を有する電波吸収体に関する。
近年、ID情報を埋め込んだタグから電磁界や電波を用いた近距離無線通信を行うRF-ID(Radio Frequency Identification)や携帯電話機などの多種にわたる無線通信が広く利用され、これらより発せられる電磁波や、また、自身の機器内で輻射される電磁波による機器の誤作動が問題となっており、電磁両立性の観点からも遠方界および近傍界において電磁波のエネルギーを吸収する材料が求められている。
従来の電波吸収体の基本概念は、電磁波の波長に対してその材料の電気長(吸収体の物理的な厚さに誘電率と透磁率の積の平方根をかけたもの)が1/4になる際に、入射波と反射波の干渉によりエネルギーがキャンセルされることで吸収を可能としている。そのため、電波吸収体を薄くするためには高誘電率かつ高透磁率の材料が必要となるが、誘電率の高い材料では、吸収体の入射面インピーダンスを空気の特性インピーダンス〜377Ωに合わせるというインピーダンスの整合が困難となり、また、高透磁率の材料についても、金属磁性粉がキャパシタンスとなることで誘電率も同時に大きくなるため、これまでの電波吸収体では薄膜化に制限があり、例えば、FDK社製の電波吸収体「SA10」では、10GHzの電波を吸収するのに、1.6mmの厚さが必要である。
一方、特許文献1には、ナイロン(登録商標)糸の表面に磁性層を表皮効果厚以下でコーティングしたワイヤー状磁性体が提案されており、このワイヤー状磁性体は、反磁界効果を無視することができ、非常に大きなインダクタンスを発現する。実際には、あらゆる磁束方向にも対応できるよう磁性ワイヤーをメッシュ状に組み合わせた形で使用される。
特開2007−305874号公報
ところが、特許文献1のワイヤー状磁性体を電波の捕捉材料として使用した場合、図1(a)に示すように、磁性ワイヤー上に照射された電波に対しては、入射電波により高インダクタンス(高L)を発生するが、反射板に直接入射された電波に対しては、短絡インピーダンスとして作用することになる(低L)ため、図1(b)に示すように、空隙の多いメッシュ状の構造では平均的なインピーダンスは低いものとなる。そのため、ワイヤー磁性体をメッシュ状に織り上げた磁性シートを電波吸収体のような用途に利用することには一応の制約がある。
このように、これまでの電波吸収体はλ/4型共振の制約内にあるため、高誘電率・高透磁率の材料を用いて電気長を稼ぐことにより、材料の薄型化を図ってきたものの、インピーダンスの整合条件を考慮すると高誘電率化にも限界があり、吸収体として機能させるにはある程度の厚みを必要とする。また、特許文献1に示す磁性ワイヤーメッシュ材料においても、メッシュの空隙を介して反射板に直接入射する電波を抑えて平均的な材料表面のインピーダンスを増加させるようにして、電波の補足率を向上させる必要がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、広帯域の電波吸収特性を有する薄形の電波吸収体を提供することを目的とするものである。
請求項1記載の発明は、磁性を有するワイヤーがメッシュ状に編まれたワイヤー磁性体部と、磁性粉が分散された樹脂をバインダーとした磁性シートとが重畳されてなることを特徴とするものである。この構成によれば、磁性を有するワイヤーの材料は、ワイヤー自身のインダクタンス、さらに、メッシュ状に編まれた(織られた)ことで形成されるマス目、すなわちループに、電波が照射された際に流れる循環電流によってインダクタンスが誘起されることで、非常に高いインダクタンスが発現される。特に、ループ上に誘起されるインダクタンスの効果は前者のワイヤー自信のインダクタンスの効果に比べて大きい。このようなワイヤー磁性体部の一方側の面(電波の入射側の裏面)に、磁性粉が樹脂のバインダーに分散されたシートが重畳配置されるので、上記では短絡されていた低インピーダンスの領域が、ワイヤー上の高いインダクタンスが磁性シートを介して補間されることで、磁性シート表面の平均的なインピーダンスが高められる。この結果、磁性シートはワイヤー磁性体部により磁気的に誘起されることで透磁率が向上し、電気長が増加することから、磁性シート本来の共振周波数よりも、メッシュ状のワイヤー磁性体部を配置したものでは、吸収周波数のピークが低周波数側にシフトする。これは電波吸収体が薄型化されたことを意味する(同義である)。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の電波吸収体において、ワイヤーは、非磁性体の芯材の周面に磁性体の層を有することを特徴とする。この構成によれば、ワイヤーの芯となる部分に非磁性体を用いることができるので、材料選択の自由度が増し、例えば柔軟性の高い材料を選択してワイヤー磁性体部の製造を容易にしたり、例えば安価な材料を選択してワイヤー磁性体部のコストを低減したりすることが容易となる。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の電波吸収体において、 磁性シートが積層された面とは逆となる前記ワイヤー磁性体部の他面に、導体材料からなる反射導体層が設けられていることを特徴とする。この構成によれば、反射導体を挟んでメッシュの反対側に、メッシュの鏡像が等価的に現れる。そうすると、メッシュと反射導体との複数の導通箇所で、メッシュとその鏡像とが接続され、網と鏡像とで構成されるループ状の電流経路が生じる。そのため、外部から印加された磁界に対して当該電流経路に循環電流が流れ、この循環電流により磁界が生じる結果、当該ワイヤー磁性体部に等価的なインダクタンスが付与されて、磁性体としての磁気的効果が増大する。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の電波吸収体において、ワイヤー磁性体部が積層された面とは逆となる磁性シートの他面に、空気の特性インピーダンスに適合させる抵抗層が複数箇所で接触して張り合わされていることを特徴とする。この構成によれば、メッシュ状のワイヤー磁性体部の裏面に配置された磁性シートの表面インピーダンスが空気の特性インピーダンスの、例えば5倍程度、約2000Ωとなれば、これの表面に377Ω程度の抵抗を有するカーボンシートを重ねることにより、電磁気的な並列回路の形成から、入射面インピーダンスが空気の特性インピーダンスに概ねマッチングされることで、広帯域の電波に対応する吸収体が得られる。
請求項1記載の発明によれば、吸収周波数のピークが低周波数側にシフトして広帯域の電波吸収特性を有し、かつ薄型化された電波吸収体を提供することができる。
請求項2記載の発明によれば、ワイヤーの芯となる部分に非磁性体を用いることができるので、材料選択の自由度が増し、例えば柔軟性の高い材料を選択してワイヤー磁性体部の製造を容易にしたり、例えば安価な材料を選択してワイヤー磁性体部のコストを低減したりすることが容易、可能となる。
請求項3記載の発明によれば、ワイヤー磁性体部に等価的なインダクタンスが付与されて、磁性体としての磁気的効果が増大する。
請求項4記載の発明によれば、電磁気的な並列回路の形成から、入射面インピーダンスを空気の特性インピーダンスに概ねマッチングできることで、広帯域の電波に対応する吸収体を得ることができる。
図2は、本発明に係る電波吸収体の一実施形態を示す分解図である。電波吸収体1は、磁性を有するワイヤーがメッシュ状に編まれたワイヤー磁性体部11と、このワイヤー磁性体部11の表面である電波入射側に設けられ、磁性粉が分散された樹脂をバインダーとした磁性シート12とが積層されて(重畳されて)構成されると共に、ワイヤー磁性体部11の裏面側に、例えばアルミニウム箔等の導体材料からなる反射導体13が設けられている。抵抗層14は、インピーダンス整合をさらに向上させるための膜状(板状)の部材である。ワイヤー磁性体部11と磁性シート12と、またワイヤー磁性体部11と反射導体13とは、それぞれ所定の接着剤で貼り付けられている。
磁性シート12は、軟磁性粉を樹脂等のバインダーに分散させた成形体が使用される。磁性粉の材料としては、電波吸収体1の全体厚さを薄くするために高透磁率の材料を採用するのが好ましい。一方、磁性粉の充填率の増加と共に誘電率の増加も起こるために、インピーダンスのマッチングを図る上では、透磁率/誘電率の比が10以下の範囲にあることが好まれる。これらの条件を満足させるために、バインダーとしては低誘電率の材料が、磁性粉としては高透磁率の材料が使用される。
バインダーとしては、シリコンゴム、ポリエチレン、スチレン樹脂、エポキシ樹脂などが用いられる。バインダーの比誘電率は、2〜5程度を有する材料が望ましい。さらに、バインダーのうち、ゴムの軟化や樹脂の硬化に200℃以上の処理温度を有するものでは、処理中に磁性粉の酸化を招くことから、室温から200℃以下の温度において、硬化、成形処理の可能なバインダーが望ましい。
また、磁性粉については、高透磁率を有する材料として、純鉄、パーマロイ、スーパーマロイ、センダストなどが用いられる。反磁界効果による見かけ透磁率の低下を抑制するには、二次元的な扁平状の形態や、さらに減磁作用を改善するには、線径と長さのアスペクト比が大きなロッド状の形状が好ましい。また、磁性粉の充填密度を向上させるために、上記磁性粉について粒度分布の広いものを使用することで、透磁率を高めることが可能である。
図3は、図2に示すワイヤー磁性体部11の拡大写真である。図2に示すワイヤー磁性体部11は、磁性体で構成された線材110を縦方向のたて糸及び横方向のよこ糸として用い、二方向のたて糸及びよこ糸を交互に交差させて平織にされた織物であり、たて糸として用いられた複数の線材110と、よこ糸として用いられた複数の線材110とが直交配置されて、その交差点が接触して導通する網にされている。従って、ワイヤー磁性体部11は、全体的にみれば、メッシュ状に編まれているものである。
なお、ワイヤー磁性体部11は、複数の線材110が互いに異なる方向に交差して網状にされていればよく、例えばたて糸とよこ糸の他に斜め方向の線材110を交差させて三方向の線材110によって網状にされていてもよい。また、ワイヤー磁性体部11は、平織に限らず、斜文織、朱子織、綾織等、種々の織物とすることができる。また、ワイヤー磁性体部11は、織物に限らず、いわゆる編物であってもよく、例えば平編、ゴム編、パール編等、種々の編物とすることができる。ワイヤー磁性体部11が編物として構成されている場合、複数の線材110が、例えば互いにループ状にされた状態で、互いに異なる方向に交差するようにして編み込まれていてもよい。なお、本発明では、両者を合わせて編まれたものとしている。
また、各線材110は、1本(単線材)で構成される他、所定の複数本数を撚り合わされて束にして構成されたものでもよい。なお、複数の線材110が束にされていればよく、必ずしも撚り合わされている必要はないが、複数の線材110が撚り合わされて束にされていることにより、複数の線材110を一本の糸として取り扱うことが容易となり、線材110を用いてワイヤー磁性体部11として編んだりすることが容易となる。なお、図3に示すワイヤー磁性体部11は、線材110が単線で構成されている例を示している。
線材110は、例えばナイロン(登録商標)糸により構成された芯材11aの表面に、磁性体層11bが設けられて構成されている。芯材11aは、線材110の芯となって、ワイヤー磁性体部11の機械的な構造を支えるためのもので、機械的な強度を有していればよく、ナイロン(登録商標)糸の他、例えばポリエステル繊維やガラス繊維、カーボンファイバー等の非磁性体材料を用いてもよく、導体線を用いてもよい。
また、芯材11aの表面には、例えばニッケルからなる磁性体層11bが、メッキ、蒸着、塗布等により設けられている。磁性体層11bとしては、磁性体、すなわち直流の比透磁率μ>1となる材料を用いることができ、より好ましくはニッケル、鉄、コバルト、Permalloy、Amorphousその他の合金や化合物等、種々の強磁性体を用いることができる。
すなわち、ワイヤー磁性体部11は、織物として構成されているため、図3に示すように、線材110が相互に交差する点において線材110が凸状に突出するので、ワイヤー磁性体部11と反射導体13とを密着させることにより、この突出箇所を反射導体13と接触させて導通させるようになっている。なお、ワイヤー磁性体部11を編物として構成した場合であっても同様に、ワイヤー磁性体部11と反射導体13とを密着させることにより、編み目において線材110が凸状に突出する箇所を反射導体13と接触させて導通させることが容易である。
図4は、図3に示すワイヤー磁性体部11の部分断面図である。図4に示すように、ワイヤー磁性体部11における線材110のたて糸111は、線材110のよこ糸112と交差する点、特によこ糸112によってたて糸111が反射導体13側に押しつけられて突出する位置P1において反射導体13と接触し、導通している。そうすると、反射導体13を挟んで反対側に、たて糸111の鏡像8が等価的に現れる。そして、たて糸111と鏡像8とでループが構成され、循環電流Imが生じる。そうすると、循環電流Imによって磁界が生じるため、ワイヤー磁性体部11’に等価的なインダクタンスが生じることとなる。よこ糸112についても、たて糸111と同様に、循環電流Imが生じて磁界が生じるため、ワイヤー磁性体部11’に等価的なインダクタンスが生じることとなる。
このように、ワイヤー磁性体部11’においては、ワイヤー磁性体部11に加えてさらに反射導体13の鏡像効果によるインダクタンスが付加されるので、ワイヤー磁性体部11’における入射インピーダンスZiをワイヤー磁性体部11のみの場合よりさらに増大させ、磁気的効果を増大させることができる。
なお、図4においては、たて糸111がよこ糸112によって反射導体13に押しつけられる位置P1で導通する例を示したが、たて糸111は、よこ糸112と交差する位置P2においてもよこ糸112を介して反射導体13と導通するので、たて糸111とよこ糸112との接触抵抗が十分小さければ、位置P1と位置P2との間で循環電流Imが生じ得る。
また、ワイヤー磁性体部11は、本発明者らによる先願(特開2007−305874号公報)や本出願人による先願(特願2006−331116号)にも記載されているように、メッシュ開口径が大きく、磁性ワイヤーの径が細く、且つ、コーティングされた磁性体層11bの厚さが薄い材料が、高いインダクタンスを発生するために好ましい。また、芯材11aである基材には、ポリエステルのような熱膨張係数の小さいもの、また、これにコーティングされる磁性体層11bとしては、簡便な無電解メッキが可能なニッケルなどの材料でも、従来の用途に関しては対応可能な電波吸収体を供給可能ではあるが、パーマロイ等の高透磁率磁性合金を利用することで、さらに高性能の電波吸収体1を実現することが可能となる。さらに、電波の進行方向に対するインダクタンスを大きくするためには、メッシュの厚さ方向に対するインダクタンスを大きくする必要があり、これには、立体織りなどにより、厚み方向にも循環電流を発生するループを設けたメッシュ構造をとることが望ましい。
ワイヤー磁性体部11を裏面に設けた磁性シート12の入射面インピーダンスが増加する作動原理は下式(1)により表される。
Figure 2009206454
ただし、Zin:入射面インピーダンス、ZC:磁性体シート12の特性インピーダンス、ZL:反射導体13またはワイヤー磁性体部11に反射導体13を裏打ちした材料の特性インピーダンス、γ:伝播定数、d:吸収体厚さ、である。
Zin、ZC、ZL、γは複素数であるが、式(1)によると、負荷が反射導体13の場合(図5の実線)、すなわち、ZLのインピーダンスが0に近い場合での入射面インピーダンスよりも、反射導体13にワイヤー磁性体部11を貼り付けた場合(図5の破線)の入射面インピーダンスの方が大きくなる。従来の磁性体シート12の入射面インピーダンスの値は、空気の特性インピーダンス(〜377Ω)に比べて小さく、このような低インピーダンス領域において、ワイヤー磁性体部11によりインピーダンスが増加されることで、空気の特性インピーダンスとマッチングし、電波を吸収することが可能となる。定性的には、ワイヤー磁性体部11の高いインピーダンスは、磁界成分に由来するインダクタンスによるものであり、このインダクタンスが磁気的に上面の磁性体シート12と相互作用を行うことにより磁性体シート12の透磁率を増加させ、結果として、吸収ピークの低周波数側へのシフトが観測される。
上述のワイヤー磁性体部11と磁性体シート12を積層化した材料の入射面インピーダンスは、空気の特性インピーダンスに比べて、非常に高い値を広い周波数帯域において有することから、磁性体シート12の表面に空気の特性インピーダンスにマッチングしたインピーダンスを有するシート状の抵抗層14を配置して電磁気的な並列回路を構成することにより、非常に広帯域な電波吸収体1を得ることができる。
抵抗層14の材料としては高分子フィルムにカーボンを付着させたものでも良いし、導電性のインジウム系酸化物膜を基板上に形成させたものでも良く、すなわち、これらの材料を貼り付けた際の入射面インピーダンスの値が、空気の特性インピーダンスに近似した値となり得るものであり、周波数依存性の低いものであれば、広帯域での電波吸収が可能となる。
また、ワイヤー磁性体部11の上に磁性体シート12を重ねることで、電波吸収のピークを低周波数側にシフトさせる効果については、ワイヤー磁性体部11のメッシュ構造の設計変更によりインダクタンスを大きくすることで対応可能である。
また、より簡便な手法としては、磁性体シート12を厚くして、λ/4型共振の周波数を低周波数側に移行させることで、吸収体全体としての吸収ピークを低周波数側にシフトさせることもできる。さらに、上記のλ/4型共振の周波数は、磁性粉の充填率を調整することで、誘電率と透磁率の大きさを変化させることでも制御することができる。すなわち、磁性粉の充填率の高い磁性体シート12では、低周波数域での吸収に、逆に充填率の低い磁性体シート12は高周波数域での吸収が、同じ厚みの磁性体シート12については有効となる。
本発明の積層磁性体シートまたはこれに抵抗層14を貼付したものを使用することにより、高性能の電波吸収材料を得ることができる。
以下、本発明を実施例に従って詳細に説明する。
(実施例1)
球状の純鉄磁性粉(粒子サイズ:数マイクロメートル)に対して、重量比で25%のポリエチレン系樹脂(加硫剤含む)を添加し、これらが均一になるまで混合した。混合したものを厚さ2mmに成形することで、磁性体シートA(磁性体シート12に相当)を作製した。これを織りの立体構造が異なる0.2mm(メッシュ磁性体A)と0.6mm厚(メッシュ磁性体B)のワイヤー磁性体部11の表面に、アクリルゴム系の接着剤を薄く塗布することで貼り付け、さらに、それぞれの電波吸収体の裏側には反射導体(反射導体13に相当)となるアルミニウム箔を同様の接着剤で貼り付けた後に、タイムドメインゲーティング処理した自由空間法により、S11の値を測定することで、反射損失量を測定した。結果を図6に示す。それぞれ単独のワイヤー磁性体部11(メッシュ磁性体A、メッシュ磁性体B)では、インダクタンスの値が大きすぎ、空気とのインピーダンスマッチングが採れないことから、良好な反射損失特性は得られなかった。これらの前面に磁性体シートAを重ねることにより、反射損失量の増加が認められ、それぞれ吸収ピークは磁性体シートA単独のものよりも低周波数側へシフトした。また、その度合いは、奥行きのある織りのパターンを有するメッシュ磁性体Bにおいて大きいものとなった。両メッシュ磁性体A,Bの物理的な厚さの違いからは、これほどのピークシフトは計算上考えられないことから、電波の横切る方向のループ径を大きくしたメッシュ磁性体Bでは、これに付随するインダクタンスの増加から高い効果が得られることを確認できた。
また、上記の磁性体シートAとメッシュ磁性体Bを組み合わせた電波吸収体の表面に、さらに〜400Ω/□の表面抵抗値を有するカーボンコーティングしたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムを配し、同様の手法で反射損失量を測定した。その結果を図7に示す。カーボンフィルムを付与した場合では未付与のそれと比べて、電波吸収のベースラインの低下、すなわち、電波吸収の広帯域化が可能となった。この結果から、表面抵抗膜の後ろに空気の特性インピーダンスに比べて、非常に高インピーダンスを有する材料を配置した積層型の電波吸収体においては、電磁気的な並列回路の形成から、前面に配置する抵抗層14の材料の入射面インピーダンスの値が優先的となり、これが空気の特性インピーダンスとマッチングすることで、広帯域な電波吸収体が得られた。
(実施例2)
扁平状のパーマロイ磁性粉(粒径:30μm、厚さ:数マイクロメートル)にポリエチレン系樹脂を重量比で10%添加し、均一になるまで混合した後、0.1mm、0.2mm、0.3mm厚の各シートに成形した(磁性体シートB)。これらをメッシュ磁性体Bの前面に配置し、実施例1と同様の方法で反射損失特性を評価した。その結果を図8に示す。
それぞれ単独のメッシュ磁性体B、磁性体シートBでは、良好な吸収特性が見出されなかったが、これらを重ね合わせたものでは電波の吸収が観測され、特に、磁性シートBの厚みの増加と共に、吸収ピークの低周波数側へのシフトが認められた。これは、下式(2)に表される磁性体シート単独の入射面インピーダンスの最大値が磁性体厚さの増加とともに低周波数側へシフトすることに対応しており、このインピーダンスがメッシュ磁性体Bのインダクタンスにより誘起されることで、電波吸収能を発現することが確認された。すなわち、前面に設ける磁性シートの厚さを変化させることで、容易に吸収ピーク位置をチューニングすることが可能となる。
Figure 2009206454
ただし、Z0:空気の特性インピーダンス[≒377Ω], μr:複素比透磁率, εr:複素比誘電率,λ:電波の波長, d:試料厚さ, RL:反射損失)、である。
本実施例のメッシュ磁性体Bの厚さは0.6mm、磁性シートの厚みは0.3mmであり、全体の吸収体厚さは0.9mmで、10GHzの電波を吸収することが可能である。一方で、この周波数域に対応する市販のλ/4共振型の電波吸収体では、その厚さは1.6mmが必要となり(FDK製品:SA10)、本発明の吸収機構により従来の電波吸収体に比べて薄型化が可能であることが確認された。
(実施例3)
球状のカルボニル鉄粉(粒径:数μm)にエポキシ樹脂を重量比で10、20、30、50、70%で添加したサンプルを作製し、これの誘電率、透磁率をネットワークアナライザにより測定することで、それぞれの厚さを2mmとした際の反射損失特性を計算した。結果を図9に示す。使用樹脂量の増加に伴い、吸収ピークが高周波数側にシフトしていることがわかる。これは、磁性粉の充填率が低い場合では、誘電率、透磁率が共に小さくなり、これにより電気長が短くなることで吸収ピークが高周波域に存在する。この結果から、実施例2と同様に、磁性粉の充填率を変化させた場合についても、メッシュ状シートを重ね合わせた吸収体において、任意に吸収ピーク位置が調整可能であることを確認した。
ワイヤー状磁性体による電波の捕捉状態を説明するための説明図である。 本発明に係る電波吸収体の一実施形態を示す分解図である。 図2に示すワイヤー磁性体部の拡大写真である。 図3に示すワイヤー磁性体部の部分断面図である。 周波数と入射面インピーダンスとの各特性を示す図である。 実施例1における周波数と反射損失との測定結果を示す図である。 実施例1における、他の具体例での周波数と反射損失との測定結果を示す図である。 実施例2における周波数と反射損失との測定結果を示す図である。 実施例3における周波数と反射損失との測定結果を示す図である。
符号の説明
1,1’ 電波吸収体
11,11’ ワイヤー磁性体部
110 線材
111 たて糸
112 よこ糸
11a 芯材
11b 磁性体層
12 磁性シート
13 反射導体
14 抵抗層
8 鏡像

Claims (4)

  1. 磁性を有するワイヤーがメッシュ状に編まれたワイヤー磁性体部と、磁性粉が分散された樹脂をバインダーとした磁性シートとが重畳されてなる電波吸収体。
  2. ワイヤーは、非磁性体の芯材の周面に磁性体の層を有することを特徴とする請求項1記載の電波吸収体。
  3. 磁性シートが積層された面とは逆となる前記ワイヤー磁性体部の他面に、導体材料からなる反射導体層が設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の電波吸収体。
  4. ワイヤー磁性体部が積層された面とは逆となる磁性シートの他面に、空気の特性インピーダンスに適合させる抵抗層が複数箇所で接触して張り合わされていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電波吸収体。
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