JP2009199724A - Spark plug - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、スパークプラグに関し、より詳細には、中心電極に対向配置された接地電極に、火花放電部材として貴金属チップが設けられた、内燃機関に使用されるスパークプラグに関する。 The present invention relates to a spark plug, and more particularly to a spark plug used in an internal combustion engine in which a noble metal tip is provided as a spark discharge member on a ground electrode disposed opposite to a center electrode.
内燃機関に使用されるスパークプラグの従来例としては、高着火性を確保するため、接地電極に細径の電極として貴金属チップをレーザ溶接したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に開示されたスパークプラグ及びその製造方法では、レーザ溶接される貴金属チップの溶接部面積や溶接角度を具体的に規定することにより、細い柱状の貴金属チップを溶接する際の接合信頼性の向上を図っている。 As a conventional example of a spark plug used in an internal combustion engine, in order to ensure high ignitability, a ground electrode is laser-welded with a noble metal tip as a thin electrode (see, for example, Patent Document 1). ). In the spark plug disclosed in Patent Document 1 and the manufacturing method thereof, the joint reliability when welding a thin columnar noble metal tip is specifically defined by specifically defining the weld area and the welding angle of the laser-welded noble metal tip. The improvement of the nature is aimed at.
ここで、スパークプラグとは、自動車等のエンジン(内燃機関)に取り付けられて、燃焼室内に露出する接地電極と中心電極との間に高電圧を印加して火花放電させることにより、着火源として機能するものである。そして、この燃焼室内では、混合気の燃焼に伴って混合気の乱気流が高速で発生しており、また、近年のエンジンの高出力化、低燃費化に伴って、このエンジン内部での乱気流は益々高速化する傾向にある。このため、図9に示すように、接地電極に接合された貴金属チップ2と中心電極3との間に発生した火花4が、混合気の高速気流5により横方向に吹き流されてしまい、吹き流され量が限界に達すると接地電極側の貴金属チップ2と中心電極3間の火花4を維持することが困難になって火花4が切れる現象が生じることになる。そして、このスパークプラグに電気的に接続されるコイルに電気的エネルギが残存している場合には、接地電極側の貴金属チップ2と中心電極3間で再び火花放電が行われることになる。
Here, the spark plug is an ignition source that is attached to an engine (internal combustion engine) such as an automobile and applies a high voltage between the ground electrode and the center electrode exposed in the combustion chamber to cause a spark discharge. It functions as. In this combustion chamber, turbulence of the mixture is generated at a high speed as the mixture is combusted, and turbulence inside the engine is increased with the recent increase in output and fuel consumption of the engine. There is a tendency to increase the speed. For this reason, as shown in FIG. 9, the spark 4 generated between the
このような火花4の切断と再火花放電の現象が、混合気の高速気流5が原因で必要以上に繰り返し行われることにより多重放電が発生すると、特に高温になり易い接地電極側の貴金属チップ2が短期間で激しく消耗することになる。この接地電極側の貴金属チップ2の消耗は、接地電極側の貴金属チップ2と中心電極3間のギャップgの増大につながり、このため放電電圧が上昇してしまって、火花放電し難くなって着火性が低下してしまうおそれがある。そして、接地電極側の貴金属チップ2の消耗が更に進んで、やがて放電電圧が限界電圧に達すると、火花放電しなくなってしまう場合がある。
When multiple discharges occur due to such a phenomenon of cutting of the spark 4 and re-sparking discharge being repeated more than necessary due to the high-speed airflow 5 of the air-fuel mixture, the
特許文献1に記載のように細径の貴金属チップを有するスパークプラグは、火花放電が起こり易く、また火花放電により生成された火炎核が、中心電極又は接地電極により冷却される作用(消炎作用)が軽減されるので、高い着火性を有する。しかし、その一方、貴金属チップが細いために、混合気の高速乱気流に起因する火花の切断が生じ易く、多重放電が発生しやすい問題点があり、改善の余地があった。 The spark plug having a small-sized noble metal tip as described in Patent Document 1 is likely to cause a spark discharge, and an action in which a flame core generated by the spark discharge is cooled by a center electrode or a ground electrode (extinguishing action). Since it is reduced, it has high ignitability. However, on the other hand, since the noble metal tip is thin, there is a problem that sparks due to the high-speed turbulence of the air-fuel mixture are likely to occur, and multiple discharges are likely to occur, and there is room for improvement.
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、接地電極と中心電極間の不必要な多重放電の発生を防止して貴金属チップの消耗を抑制し、これにより長期間にわたって高い着火性を確保することのできる長寿命のスパークプラグを提供することを目的とする。 The present invention has been made in view of the above-described problems, and an object of the present invention is to prevent the occurrence of unnecessary multiple discharges between the ground electrode and the center electrode and to suppress the consumption of the noble metal tip, thereby An object is to provide a long-life spark plug capable of ensuring high ignitability over a long period of time.
本発明の前述した目的は、下記構成により達成される。
(1) 筒状の主体金具と、
当該主体金具に嵌め込まれ、当該主体金具の先端部から自身の先端部が露出された筒状の絶縁体と、
当該絶縁体の前記先端部から自身の先端部が露出されるように当該絶縁体内に配置された中心電極と、
前記主体金具に一端部が結合され、且つ他端部が前記中心電極の前記先端部に対向配置された接地電極と、
所定の火花放電ギャップが前記中心電極の前記先端部と前記接地電極との間に形成されるように前記接地電極の前記他端部に固着された複数の貴金属チップと、
を備え、
当該複数の貴金属チップは、柱状の主チップと、当該主チップの周方向にわたって取り囲む位置に当該主チップに離間して配設された少なくとも1つの副チップと、を含む
ことを特徴とするスパークプラグ。
(2) 前記副チップは円環状に形成されており、前記主チップの周方向にわたって取り囲むように配設されている
ことを特徴とする上記(1)のスパークプラグ。
(3) 前記副チップの中心軸が前記主チップの中心軸と略一致しており、これにより前記主チップと前記副チップとが略同心円状に配設されている
ことを特徴とする上記(2)のスパークプラグ。
(4) 前記副チップの、前記接地電極から前記中心電極に向かう方向の長さ寸法は、前記主チップの、前記接地電極から前記中心電極に向かう方向の長さ寸法の40%〜60%である
ことを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれか1つのスパークプラグ。
(5) 前記副チップの外径は、前記中心電極の延長方向、及び前記接地電極の前記他端部の延出方向それぞれに対し直交する方向の、前記接地電極の幅の80%以上である
ことを特徴とする上記(2)〜(4)のいずれか1つのスパークプラグ。
The above-described object of the present invention is achieved by the following configuration.
(1) a cylindrical metal shell;
A cylindrical insulator that is fitted into the metal shell and the tip of the metal shell is exposed from the tip of the metal shell;
A center electrode disposed in the insulator such that its tip is exposed from the tip of the insulator;
A ground electrode having one end coupled to the metal shell and the other end disposed opposite to the tip of the center electrode;
A plurality of noble metal tips fixed to the other end of the ground electrode such that a predetermined spark discharge gap is formed between the tip of the center electrode and the ground electrode;
With
The plurality of noble metal tips includes a columnar main tip and at least one sub-tip disposed at a position surrounding the main tip in the circumferential direction so as to be spaced apart from the main tip. .
(2) The spark plug according to (1), wherein the sub-chip is formed in an annular shape and is arranged so as to surround the circumferential direction of the main chip.
(3) The center axis of the sub-chip is substantially coincident with the center axis of the main chip, whereby the main chip and the sub-chip are arranged substantially concentrically. 2) Spark plug.
(4) The length dimension of the sub chip in the direction from the ground electrode to the center electrode is 40% to 60% of the length dimension of the main chip in the direction from the ground electrode to the center electrode. The spark plug according to any one of (1) to (3) above, wherein
(5) The outer diameter of the sub-chip is 80% or more of the width of the ground electrode in the direction orthogonal to the extending direction of the center electrode and the extending direction of the other end of the ground electrode. The spark plug according to any one of the above (2) to (4), wherein:
上記(1)の構成によれば、接地電極には、主チップと、この主チップの周方向にわたって取り囲む位置に配設された少なくとも1つの副チップが設けられるので、中心電極と
接地電極の主チップ間で発生する火花が、混合気の高速乱気流により大きく流されても、この火花が主チップから副チップに移動することにより火花の切断が防止され、火花の連続性を維持することができる。これにより、中心電極と接地電極間での多重放電の発生を防止して、接地電極に設けられた貴金属チップ(特に、主チップ)の消耗を大幅に抑制することができ、高い着火性を長期間にわたって維持することができる。なお、副チップの数量は、1つでも、複数個でもよく、副チップが独立した所謂島状に形成される場合には、主チップの周囲にわたって複数個の副チップを設けることにより、より安定した火花の連続性を確保することができる。
上記(2)の構成によれば、副チップが、柱状の主チップの周方向にわたって取り囲むように円環状に形成されているので、中心電極と接地電極の主チップ間で発生する火花が、混合気の高速乱気流によりどの方向に流されても、必ずその方向に副チップが配置されていることになる。これにより、円環状の副チップが、主チップから移動する火花を確実に受け取って火花の連続性を確保することができる。したがって、多重放電の発生を防止して、接地電極に設けられた貴金属チップ(特に、主チップ)の消耗を大幅に抑制することができ、スパークプラグの寿命を長くすることができる。また、このとき、副チップは1つに限らず、ある一つの円環状の副チップがその他の円環状の副チップを包含するように、即ち円環状の副チップが複数設けられて、これらが多重(多層)に配置されてもよく、この場合には、主チップから移動する火花をより確実に受け取ることができる。
上記(3)の構成によれば、副チップと主チップの中心軸が略一致して略同心円状に配
設されているので、主チップと副チップとの離間距離がどの方向でも一定となり、中心電極と接地電極の主チップ間で発生する火花が、混合気の高速乱気流によりどの方向に流されても、副チップは同じ条件で火花を主チップから受け取ることができる。これにより、乱気流の方向、即ち、火花の流される方向に関係なく、安定して火花の連続性を確保することができ、多重放電の発生を防止して、接地電極に設けられた貴金属チップ(特に、主チップ)の消耗を大幅に抑制することができ、スパークプラグの寿命を長くすることができる。このように、主チップに対して同心円状に配置される副チップは、混合気の高速乱気流の流れる方向が不定、或いは不明の場合、極めて有効に作用する。なお、着火時における乱気流の流れる方向が一定方向であることが分かっている場合は、必ずしも、副チップを円環状に形成する必要はなく、乱気流の流れる方向に独立した島状の副チップを配置することもできる。この島状の副チップは、1つでも、複数個でもよい。
上記(4)の構成によれば、副チップの、前記接地電極から前記中心電極に向かう方向の長さ寸法が、主チップの、前記接地電極から前記中心電極に向かう方向の長さ寸法の40%〜60%であるので、副チップにより多重放電の発生を防止して主チップの消耗を抑制すると共に、中心電極と接地電極間での火花発生を、主として、ギャップの小さな中心電極と主チップ間で安定して発生させることができる。そして、この火花が高速気流により流された場合、移動する火花を副チップで受けて火花の連続性を維持する。これにより、主チップの消耗を抑制して、高い着火性を維持しつつ、スパークプラグの寿命を長くすることができる。
上記(5)の構成によれば、副チップの外径が、接地電極の幅の80%以上であるので、主チップの消耗をより抑制して、高い着火性を維持しつつ、スパークプラグの寿命を長くすることができる。
According to the configuration of (1) above, the ground electrode is provided with the main chip and at least one sub-chip disposed at a position surrounding the main chip in the circumferential direction. Even if the spark generated between the chips is greatly flowed by the high-speed turbulence of the air-fuel mixture, the spark is moved from the main chip to the sub chip, so that the spark is prevented from being cut and the continuity of the spark can be maintained. . As a result, the occurrence of multiple discharges between the center electrode and the ground electrode can be prevented, and consumption of the noble metal tip (particularly the main tip) provided on the ground electrode can be greatly suppressed, resulting in long ignitability. Can be maintained over a period of time. The number of sub-chips may be one or more, and when the sub-chips are formed in an independent so-called island shape, providing a plurality of sub-chips around the main chip makes the sub-chips more stable. The continuity of the sparks can be ensured.
According to the configuration of (2) above, since the sub chip is formed in an annular shape so as to surround the circumferential direction of the columnar main chip, the spark generated between the main chip of the center electrode and the ground electrode is mixed. Regardless of the direction of the high-speed turbulent air flow, the sub chip is always arranged in that direction. As a result, the annular sub-chip can reliably receive the spark moving from the main chip and ensure the continuity of the spark. Therefore, the occurrence of multiple discharge can be prevented, consumption of the noble metal tip (particularly the main tip) provided on the ground electrode can be significantly suppressed, and the life of the spark plug can be extended. At this time, the number of sub-chips is not limited to one, and one annular sub-chip includes other annular sub-chips, that is, a plurality of annular sub-chips are provided. Multiple (multilayer) may be arranged, and in this case, a spark moving from the main chip can be received more reliably.
According to the configuration of the above (3), since the center axes of the sub chip and the main chip are substantially coincident and are arranged in a substantially concentric shape, the separation distance between the main chip and the sub chip is constant in any direction, Regardless of the direction in which the spark generated between the main tip of the center electrode and the ground electrode is caused to flow by the high-speed turbulence of the air-fuel mixture, the sub tip can receive the spark from the main tip under the same conditions. Thereby, regardless of the direction of the turbulence, that is, the direction in which the spark flows, the continuity of the spark can be secured stably, the occurrence of multiple discharges can be prevented, and the noble metal tip ( In particular, the consumption of the main chip) can be significantly suppressed, and the life of the spark plug can be extended. As described above, the sub-chip arranged concentrically with respect to the main chip works extremely effectively when the flow direction of the high-speed turbulence of the air-fuel mixture is indefinite or unknown. If it is known that the direction of turbulent air flow during ignition is a constant direction, it is not always necessary to form the sub chip in an annular shape, and an independent island-shaped sub chip is arranged in the direction of turbulent air flow. You can also One or more island-shaped subchips may be provided.
According to the configuration of (4) above, the length dimension of the sub chip in the direction from the ground electrode to the center electrode is 40, which is the length dimension of the main chip in the direction from the ground electrode to the center electrode. Since the secondary chip prevents the occurrence of multiple discharges by the sub-chip, the consumption of the main chip is suppressed, and the spark generation between the center electrode and the ground electrode is mainly performed with the center electrode and the main chip having a small gap. Can be generated stably between. When this spark is swept away by a high-speed airflow, the moving spark is received by the sub chip to maintain the continuity of the spark. Thereby, it is possible to extend the life of the spark plug while suppressing the consumption of the main chip and maintaining high ignitability.
According to the configuration of (5) above, since the outer diameter of the sub-chip is 80% or more of the width of the ground electrode, the consumption of the main chip is further suppressed, while maintaining high ignitability, The lifetime can be extended.
本発明によれば、接地電極と中心電極間の不必要な多重放電の発生を防止して、接地電極に設けられた貴金属チップの消耗を抑制し、これにより長期間にわたって高い着火性を確保することのできる長寿命のスパークプラグを提供することができる。 According to the present invention, generation of unnecessary multiple discharge between the ground electrode and the center electrode is prevented, and consumption of the noble metal tip provided on the ground electrode is suppressed, thereby ensuring high ignitability over a long period of time. It is possible to provide a long-life spark plug that can be used.
以下、本発明に係るスパークプラグの好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係るスパークプラグの断面図であり、図2は図1におけるスパークプラグの電極部の拡大図であり、図3は図2における接地電極のA矢視図である。
Hereinafter, preferred embodiments of the spark plug according to the present invention will be described with reference to the drawings.
1 is a cross-sectional view of a spark plug according to the present invention, FIG. 2 is an enlarged view of an electrode portion of the spark plug in FIG. 1, and FIG. 3 is a view of the ground electrode in FIG.
図1に示すように、本発明に係るスパークプラグ100は、筒状の主体金具11と、この主体金具11に嵌め込まれ、この主体金具11の先端部11aから自身の先端部12aが露出された筒状の絶縁体12と、この絶縁体12の先端部12aから自身の先端部13aが露出されるようにこの絶縁体12内に配置された中心電極13と、主体金具11の先端部11aに一端部が結合され、且つ他端部が中心電極13の先端部13aに対向配置された接地電極14等を主に備えて構成されている。
なお、以下の説明において、中心電極13の軸線方向において接地電極14が配置される側を「前方側」、これと反対側を「後方側」として説明し、また接地電極14から中心電極13に向かう方向の長さ寸法を「高さ」として説明する。
As shown in FIG. 1, a
In the following description, the side where the
主体金具11は炭素鋼等で形成されており、主体金具11の外周面には、例えば内燃機関のシリンダヘッドに取り付けられるための取付け用のねじ部15が周方向にわたって形成されている。そして、アルミナ等のセラミックス焼成体からなる絶縁体12には、軸方向に形成された貫通孔16の後方側(図中上方)の端部に端子金具17がその先端部17aが露出された状態で挿入・固定されており、前方側(図中下方)の端部に中心電極13がその先端部13aが露出された状態で挿入・固定されている。
The
また、貫通孔16内において端子金具17と中心電極13との中間部には、抵抗体18が配置されており、そしてこの抵抗体18の軸方向両端部には、導電性ガラスシール層19,20が配置されている。即ち、この抵抗体18及び導電性ガラスシール層19,20を介して中心電極13と端子金具17とは電気的に接続されていることになる。これら導電性ガラスシール層19,20及び抵抗体18は、導電性結合層を形成するものである。
なお、抵抗体18を省略して、端子金具17と中心電極13とを単一の導電性ガラスシール層で接合するようにしてもよい。
In addition, a
Note that the
図2にも示すように、中心電極13は、インコネル(Inconel:商標名)等の耐熱性及び耐食性に優れたNi合金により円柱状に形成されており、この中心電極13の先端部13aには、例えば、イリジウムを主成分として5質量%の白金を含有する合金(Ir−5Pt)からなる円柱状の貴金属チップ21がレーザ溶接等により固着されている。
As shown in FIG. 2, the
接地電極14は、耐熱性及び耐食性に優れたNi合金により角柱状に形成されており、基部14aが主体金具11の前方側端部に溶接により固定され、先端部(他端部)14bが中心電極13に対向するようにその中間部に曲部14cを有して略L字型に屈曲している。この接地電極14の、中心電極13の貴金属チップ21と対向する位置に、例えば、白金を主成分として20質量%のロジウムを含有する合金(Pt−20Rh)からなる円柱状の主チップ22が、レーザ溶接等により固着されている。
The
これにより、中心電極13の貴金属チップ21と、接地電極14の主チップ22との間には、火花放電ギャップgが形成されることになる。火花放電ギャップgの距離は、例えば、略0.9mm程度として設定される。そして、この状態で接地電極14(主チップ22)と中心電極13(貴金属チップ21)との間に高電圧が印加されることにより、火花放電ギャップgに火花放電させて、本発明に係るスパークプラグ100がエンジンの着火源として機能することになる。
As a result, a spark discharge gap g is formed between the
さらに、接地電極14の先端部14bには、円環状に形成された副チップ23が、主チップ22の周囲を周方向にわたって取り囲むように離間配置されて抵抗溶接等により接地電極14に固着されている。このとき、主チップ22の中心軸CL1と、副チップ23の中心軸CL2とは、略一致しており、主チップ22と副チップ23とは、略同心円状に配置されている。
なお、副チップ23は、例えば、白金を主成分として20質量%のロジウムを含有する合金(Pt−20Rh)からなる。
Further, an
The
また、スパークプラグ100のこれらチップ21,22,23に使用される貴金属としては、イリジウム(Ir)を主成分として、Pt,Rh,Ni,W,Pd,Ru,Re,Al,Al2O3,Y,Y2O3等の添加物を少なくとも1種含有した合金や、白金(Pt)を主成分として、Ir,Rh,Ni,W,Pd,Ru,Re等の添加物を少なくとも1種含有した合金等、耐酸化性が高く、且つ耐火花消耗性の優れた材料が使用される。
Moreover, as a noble metal used for these
通常、スパークプラグ100は、中心電極13に負の高電圧を印加して火花放電させて使用されるので、中心電極13側のチップ21は、火花消耗が大きい。このため、中心電極13側のチップ21としては、耐火花消耗性の高いイリジウム系の合金からなる貴金属チップが使用されることが多い。
Normally, the
一方、接地電極14は、燃焼室内に最も突き出して取り付けられて高温になり易いので、接地電極14側のチップ22,23には、耐酸化性(詳細には、高温での耐酸化揮発性)が要求される。このため、接地電極14側のチップ22,23としては、耐酸化性の高
い白金系の合金からなる貴金属チップが主に使用される。
On the other hand, since the
ところで、本発明のスパークプラグ100の副チップ23の高さh及び外径Dは、良好な着火性を維持し、且つ主チップ22の消耗が少ない高さ及び外径であることが望ましい。即ち、図3に示すように、接地電極14の副チップ23の高さhは、主チップ22の高さHの40%〜60%に設定されている(h/H=40%〜60%)。また、副チップ23の外径Dは、接地電極14の幅{中心電極13の延長方向、及び接地電極14の先端部14bの延出方向それぞれに対し直交する方向}Wの80%以上に設定されている(D/W>=80%)。また、これに合わせて、副チップ23の径方向の厚さtを、略0.2mmに設定するとよい。
By the way, it is desirable that the height h and the outer diameter D of the
次に、本発明のスパークプラグ100において、中心電極13(貴金属チップ21)及び接地電極14(主チップ22)間に発生した火花30が、高速乱気流により流されて主チップ22から副チップ23に移動するメカニズムについて説明する。
図4は、本発明に係るスパークプラグの火花が、主チップから副チップに移動する状態を示す模式図である。
Next, in the
FIG. 4 is a schematic diagram showing a state in which the spark of the spark plug according to the present invention moves from the main chip to the sub chip.
図4に示すように、中心電極13(貴金属チップ21)及び接地電極14(主チップ22)間に高電圧が印加されると火花放電して、貴金属チップ21と主チップ22間に火花30が発生する。このとき、燃焼室内に混合気の高速乱気流があると、発生した火花30は、この高速乱気流により火花30a,30bのように横方向に押し流され、やがて貴金属チップ21と主チップ22間の火花が維持できなくなるまで流されてしまうと、接地電極14側の火花30が主チップ22から副チップ23に移動し、貴金属チップ21と副チップ23間の火花30cとなって途切れることなく維持される。これにより、多重放電の発生が防止される。
As shown in FIG. 4, when a high voltage is applied between the center electrode 13 (the noble metal tip 21) and the ground electrode 14 (the main tip 22), a spark discharge occurs, and a
このとき、主チップ22と副チップ23とは、略同心円状に配置されているので、高速乱気流の流れる方向がどの方向に変化しても、主チップ22と副チップ23との位置関係は一定であるので、主チップ22から副チップ23へ移動する火花30は、常に安定して移動することができ、多重放電の発生が確実に防止される。
At this time, since the
以上説明したように、本発明のスパークプラグ100によれば、接地電極14には、主チップ22と、この主チップ22の周方向にわたって取り囲む位置に配設された副チップ23が設けられるので、中心電極13と接地電極14の主チップ22間で発生する火花が、混合気の高速乱気流により大きく流されても、この火花が主チップ22から副チップ23に移動することにより火花の切断が防止され、火花の連続性を維持することができる。これにより、中心電極13と接地電極間14での多重放電の発生を防止して接地電極14(主チップ22)の消耗を大幅に抑制することができ、高い着火性を長期間にわたって維持することができる。
As described above, according to the
また、副チップ23が、円柱状の主チップ22の周方向にわたって取り囲むように円環状に形成されているので、中心電極13と接地電極14の主チップ22間で発生する火花が、混合気の高速乱気流によりどの方向に流されても、必ずその方向に副チップ23が配置されていることになる。これにより、円環状の副チップ23が、主チップ22から移動する火花を確実に受け取って火花の連続性を確保することができる。
In addition, since the
さらに、副チップ23と主チップ22の中心軸が略一致して略同心円状に配設されているので、主チップ22と副チップ23との離間距離がどの方向でも一定となり、中心電極13と接地電極14の主チップ22間で発生する火花が、混合気の高速乱気流によりどの方向に流されても、副チップ23は同じ条件で火花を主チップ22から受け取ることがで
きる。これにより、乱気流の方向、即ち、火花の流される方向に関係なく、安定して火花の連続性を確保することができる。
Furthermore, since the center axes of the
次に、良好な着火性を維持し、且つ主チップ22の消耗を少なくするための、スパークプラグ100の副チップ23の高さh及び外径Dそれぞれについて、評価試験結果を示す図及び表を用いて、さらに詳細に説明する。
なお、本評価試験では、前述した実施形態のスパークプラグ100を用いて実施した。
Next, a chart and a table showing evaluation test results for the height h and the outer diameter D of the
In addition, in this evaluation test, it implemented using the
<副チップの高さについて>
良好な着火性を維持し、且つ主チップ22の消耗を少なくするための、副チップ23の高さhについて評価試験を行った。この評価試験結果を図5、図6、及び表1に示す。
なお、図5は、副チップ23の高さh/主チップ22の高さHが異なる種々のスパークプラグを、排気量2000cc、直列6気筒、DOHC、4バルブのガソリンエンジンのシリンダヘッドに取り付け、エンジン回転数750rpmにおいてA/F比(Air/Fuel:空燃比)を徐々に増やしながら運転して、運転不能となったときのA/F比(限界A/F)を測定した結果である。
図6は上記スパークプラグを上記エンジンに取り付け、エンジン回転数5600rpmにおいて100時間運転後における、主チップ22の消耗率(体積比)を測定した結果である。
表1は、図5及び図6の結果をまとめて示す表である。着火性の良否判定は、A/F>21.5を「○」、それ以下を「×」とした。また、主チップ消耗の良否判定は、消耗率
30%以下を「○」、30%〜40%を「△」、40%以上を「×」として判定した。
<About the height of the sub chip>
An evaluation test was performed on the height h of the sub-chip 23 in order to maintain good ignitability and reduce the consumption of the
In FIG. 5, various spark plugs having different height h of the
FIG. 6 shows the result of measuring the consumption rate (volume ratio) of the
Table 1 is a table collectively showing the results of FIGS. 5 and 6. In order to determine whether or not the ignitability was good, A / F> 21.5 was set to “◯”, and lower than that was set to “X”. In addition, the quality of the main chip consumption was determined as “◯” when the consumption rate was 30% or less, “Δ” when 30% to 40%, and “X” when 40% or more.
本発明のスパークプラグ100の副チップ23の高さhは、図5及び表1に示すように、主チップ22の高さHの60%を超えると、着火可能なA/F比の限界値が急激に低下して着火性が低下する。これは、副チップ23の高さが高いと、点火した火炎核の広がりが、副チップ23により阻害されて着火性が低下することによるものと推測される。
As shown in FIG. 5 and Table 1, when the height h of the
また、副チップ23の高さhが、主チップ22の高さHの40%未満になると、図6及び表1に示すように、主チップ22の消耗体積が急激に上昇してスパークプラグ100の寿命が短くなる。これは、副チップ23の高さhが低すぎることにより、火花が主チップ22から副チップ23へ移動し難くなり、高速気流により火花が切断される割合が増大して、多重放電が発生することによるものと推測される。
一方、図6に示すように、主チップ22のみの場合(h/H=0%)の消耗体積が50%であるのに比較して、h/Hを40%以上にすることにより消耗体積を略25%〜30%に低減することができることがわかる。
Further, when the height h of the
On the other hand, as shown in FIG. 6, when the
以上まとめると、図5、図6、及び表1の試験結果より、副チップ23の高さhを主チップ22の高さHの40%〜60%に設定することにより、主チップの消耗を抑制して、高い着火性を維持しつつ、スパークプラグの寿命を長くすることができることがわかる
In summary, from the test results of FIGS. 5 and 6 and Table 1, the consumption of the main chip is reduced by setting the height h of the
<副チップの外径について>
良好な着火性を維持し、且つ主チップ22の消耗を少なくするための、副チップ23の外径Dについて評価試験を行った。この評価試験結果を図7、図8、及び表2に示す。
なお、図7は、副チップ23の外径D/接地電極14の幅W(D/W)が異なる種々のスパークプラグを、排気量2000cc、直列6気筒、DOHC、4バルブのガソリンエンジンのシリンダヘッドに取り付け、エンジン回転数750rpmにおいてA/F比を徐々に増やしながら運転して、運転不能となったときのA/F比(限界A/F)を測定した結果である。
図8は上記スパークプラグを上記エンジンに取り付け、エンジン回転数5600rpmにおいて100時間運転後における、主チップ22の消耗率(体積比)を測定した結果である。
表2は、図7及び図8の結果をまとめて示す表である。着火性の良否判定は、A/F>21.5を「○」、それ以下を「×」とした。また、主チップ消耗の良否判定は、消耗率
30%以下を「○」、30%〜40%を「△」、40%以上を「×」として判定した。
<About the outer diameter of the sub chip>
An evaluation test was performed on the outer diameter D of the sub-chip 23 in order to maintain good ignitability and reduce the consumption of the
7 shows various spark plugs having different outer diameters D / widths W (D / W) of the sub-chips 23, cylinders of 2000 cc, in-line 6 cylinders, DOHC, 4-valve gasoline engines. This is a result of measuring the A / F ratio (limit A / F) when the operation was disabled by attaching to the head and operating while gradually increasing the A / F ratio at an engine speed of 750 rpm.
FIG. 8 shows the results of measuring the wear rate (volume ratio) of the
Table 2 is a table showing the results of FIGS. 7 and 8 collectively. In order to determine whether or not the ignitability was good, A / F> 21.5 was set to “◯”, and lower than that was set to “X”. In addition, the quality of the main chip consumption was determined as “◯” when the consumption rate was 30% or less, “Δ” when 30% to 40%, and “X” when 40% or more.
本発明のスパークプラグ100の副チップ23の外径Dについて、図7及び表2に示すように、接地電極14の幅Wに対する副チップ23の外径Dの比(D/W)が限界A/F比に与える影響は小さいものの、図8及び表2に示すように、接地電極14の幅Wに対する副チップ23の外径Dの比が80%以上になると、主チップ22の消耗率が比較的安定して小さくなっている。即ち、主チップ22のみの場合(h/H=0%)の消耗体積が50%であるのに比較して(図6参照)、図8に示すように、D/W>=80%とすることにより、消耗体積が略30%に低減することがわかる。
なお、D/Wが80%未満において、消耗率が徐々に上昇するのは、副チップ23が主チップ22に近すぎると、かえって火花30が副チップ23に移動し難くなることによるものと推察される。
Regarding the outer diameter D of the
The reason why the consumption rate gradually increases when the D / W is less than 80% is presumed to be that if the
以上まとまると、図7、図8、及び表2の試験結果により、副チップ23の外径Dを、接地電極14の幅Wの80%以上に設定することにより、高い着火性を維持し、且つスパークプラグの寿命を長くすることができることがわかる。
When summarized above, according to the test results of FIGS. 7, 8, and Table 2, by setting the outer diameter D of the
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。例えば、前述した実施形態では、副チップ23を1つの円環状の副チップ23として説明したが、これに限らず、ある一つの円環状の副チップがその他の円環状の副チップを包含するように、即ち円環状の副チップが複数設けられて、これらが多重(多層)に配置されてもよく、この場合には、主チップから移動する火花をより確実に受け取ることができる。また、副チップが円環状ではなく、独立した所謂島状に形成されて1又は複数配置されてもよく、この場合においても、本発明の前述した目的は達成される。
In addition, this invention is not limited to embodiment mentioned above, A deformation | transformation, improvement, etc. are possible suitably. For example, in the above-described embodiment, the
11 主体金具
11a 主体金具の先端部
12 絶縁体
12a 絶縁体の先端部
13 中心電極
13a 中心電極の先端部
14 接地電極
14b 接地電極の先端部(他端部)
22 主チップ
23 副チップ
100 スパークプラグ
CL1 主チップの中心軸
CL2 副チップの中心軸
D 副チップの外径
g 放電ギャップ
h 副チップの高さ
H 主チップの高さ
t 副チップの径方向の厚さ
W 接地電極の幅
DESCRIPTION OF
22
Claims (5)
当該主体金具に嵌め込まれ、当該主体金具の先端部から自身の先端部が露出された筒状の絶縁体と、
当該絶縁体の前記先端部から自身の先端部が露出されるように当該絶縁体内に配置された中心電極と、
前記主体金具に一端部が結合され、且つ他端部が前記中心電極の前記先端部に対向配置された接地電極と、
所定の火花放電ギャップが前記中心電極の前記先端部と前記接地電極との間に形成されるように前記接地電極の前記他端部に固着された複数の貴金属チップと、
を備え、
当該複数の貴金属チップは、柱状の主チップと、当該主チップの周方向にわたって取り囲む位置に当該主チップに離間して配設された少なくとも1つの副チップと、を含む
ことを特徴とするスパークプラグ。 A cylindrical metal shell,
A cylindrical insulator that is fitted into the metal shell and the tip of the metal shell is exposed from the tip of the metal shell;
A center electrode disposed in the insulator such that its tip is exposed from the tip of the insulator;
A ground electrode having one end coupled to the metal shell and the other end disposed opposite to the tip of the center electrode;
A plurality of noble metal tips fixed to the other end of the ground electrode such that a predetermined spark discharge gap is formed between the tip of the center electrode and the ground electrode;
With
The plurality of noble metal tips includes a columnar main tip and at least one sub-tip disposed at a position surrounding the main tip in the circumferential direction so as to be spaced apart from the main tip. .
ことを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグ。 The spark plug according to claim 1, wherein the sub chip is formed in an annular shape and is disposed so as to surround the circumferential direction of the main chip.
ことを特徴とする請求項2に記載のスパークプラグ。 The central axis of the sub-chip is substantially coincident with the central axis of the main chip, whereby the main chip and the sub-chip are arranged substantially concentrically. Spark plug.
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1つに記載のスパークプラグ。 The outer diameter of the sub-chip is 80% or more of the width of the ground electrode in the direction orthogonal to the extending direction of the center electrode and the extending direction of the other end of the ground electrode. The spark plug according to any one of claims 2 to 4.
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