以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。図1〜図4は、実施例に係るスロットマシンSLを図示したものである。本スロットマシンSLは、矩形箱状の本体ケース1と、各種の遊技部材を装着した前面パネル2とが、ヒンジ3を介して連結され、前面パネル2が本体ケース1に対して開閉可能に構成されている(図2)。そして、図1は前面パネル2の正面図、図2はスロットマシンSLの右側面図(a)と平面図(b)、図3は前面パネル2の背面図、図4は本体ケース1の内部正面図を示している。
図4に示す通り、本体ケース1の略中央には、3つの回転リール4a〜4cを備える図柄回転ユニット4が配置され、その下側に、メダル払出装置5が配置されている。各回転リール4a〜4cには、BB図柄、RB図柄、各種のフルーツ図柄、及びリプレイ図柄などが描かれている。メダル払出装置5には、メダルを貯留するメダルホッパー5aと、払出モータMと、メダル払出制御基板55と、払出中継基板63と、払出センサ(不図示)などが設けられている。ここで、メダルは、払出モータMの回転に基づいて、払出口5bから図面手前に向けて導出される。なお、限界量を越えて貯留されたメダルは、オーバーフロー部5cを通して、補助タンク6に落下するよう構成されている。
上記のメダル払出装置5に隣接して電源基板62が配置され、また、図柄回転ユニット4の上部に主制御基板50が配置され、主制御基板50に隣接して回胴設定基板54が配置されている。なお、図柄回転ユニット4の内部には、回胴LED中継基板58と回胴中継基板57とが設けられ、図柄回転ユニット4に隣接して外部集中端子板56が配置されている。
図1に示すように、前面パネル2の上部には液晶表示部7が配置され、その下部には、各回転リール4a〜4cに対応する表示窓8a〜8cが配置されている。表示窓8a〜8cを通して、各回転リール4a〜4cの回転方向に、各々3個程度の図柄が見えるようになっており、合計9個の図柄の水平方向の三本と、対角線方向の二本が仮想的な停止ラインとなる。このような表示窓8aの左側には、遊技状態を示すLED群9が設けられ、その下方には、遊技成果として払出されるメダル数を表示する払出表示部10や、クレジット状態のメダル数を表示する貯留数表示部11が設けられている。
前面パネル2の垂直方向中央には、メダルを投入するメダル投入口12が設けられ、これに隣接して、メダル投入口12に詰まったメダルを返却させるための返却ボタン13が設けられている。また、クレジット状態のメダルを払出すクレジット精算ボタン14と、メダル投入口12へのメダル投入に代えてクレジット状態のメダルを擬似的に一枚投入する投入ボタン15と、クレジット状態のメダルを擬似的に三枚投入するマックス投入ボタン16とが設けられている。
これらの遊技部材の下方には、回転リール4a〜4cの回転を開始させるスタートレバー17と、回転中の回転リール4a〜4cを停止させるためのストップボタン18a〜18cと、液晶表示部7に遊技履歴を表示させる場合に操作される照会スイッチ19とが設けられている。照会スイッチ19は、上向き矢印のアップ接点と、下向き矢印のダウン接点と、その間に設けられた決定接点とを有して構成されている。これらの照会スイッチ19は、各回のゲーム終了後、メダル投入口12にメダルが投入されるか、或いは、投入ボタン15,16がON操作されて次回のゲームが開始されるまでに限り操作可能になっている。
その他、前面パネル2の下方には、メダルを蓄える横長の受け皿20と、払出装置5の払出口5bに連通するメダル導出口21とが設けられている。なお、メダル導出口21の左右にはスピーカSPが配置されている。なお、スピーカSPは遊技機の上部にも配置されるが、図1には現れていない。
図3に示すように、前面パネル2の裏側には、メダル投入口12に投入されたメダルの選別を行うメダル選別装置22と、メダル選別装置22により不適正と判別されたメダルをメダル導出口21に案内する返却通路23とが設けられている。また、前面パネル2の裏側上部には、演出制御基板51、演出インタフェイス基板52、及び液晶制御基板61などを収容する基板ケース24が配置されている。そして、メダル選別装置22の上部には、図1に示す各種の遊技部材と主制御基板50との間の信号を中継する遊技中継基板53が設けられている。
図5は、実施例に係るスロットマシンSLの回路構成を示すブロック図である。図示の通り、このスロットマシンSLは、回転リール4a〜4cを含む各種の遊技部材の動作を統括的に制御する主制御基板50と、主制御基板50から受けた制御コマンドCMDに基づいて統一的な演出動作を実現する演出制御基板51と、主制御基板50と演出制御基板51との間に位置する演出インタフェイス基板52と、演出インタフェイス基板52を経由して演出制御部51から制御コマンドCMD’を受けて液晶表示部7を駆動する液晶制御基板61と、交流入力電圧(24V)を直流電圧(5V,12V,24V)に変換して装置各部に供給する電源基板62と、を中心に構成されている。
そして、主制御基板50、演出制御基板51、及び液晶制御基板61には、ワンチップマイコンを有するコンピュータ回路が搭載されている。そこで、コンピュータ回路のハードウェア構成及びソフトウェア機能を総合して、以下の説明では、主制御部50、演出制御部51、及び液晶制御部61と言うことがある。なお、演出インタフェイス基板52と演出制御部51とは、コネクタによって密接結合されて一体化されている。
電源基板62は、交流入力電圧の電圧レベル24Vを監視しており、もし、電圧異常が検出されると、異常信号ABNを、主制御部50のマスク不能なNMI(non maskable interrupt)端子と、演出制御部51のマスク可能なINT(maskable interrupt)端子に供給するよう構成されている。そして、異常信号ABNを受けた各制御部50では、各々、電断割込み処理が起動して、必要なデータをRAMに保存するバックアップ処理を実行する。そして、このバックアップ処理に対応して、電源基板62は、大容量コンデンサに蓄電されたDC5Vを、バックアップ電源BUとして主制御部50に供給している。したがって、主制御部50のバックアップ処理で保存されたRAMの記憶内容は、数日以上そのまま維持されることになる。
一方、演出制御部51には、電源基板62で生成されたDC5Vのバックアップ電源が供給されておらず、演出インタフェイス基板52で生成された別のバックアップ電源BUが供給されている。このような煩雑な構成を採るのは、主制御部50で使用可能なワンチップマイコンは、法的に規制されており、例えば、DC5Vによって機能する内蔵RAMを使用するのが好適である一方、そのような法的規制のない演出制御部51では、より適切なバックアップ動作を実現するべく、バックアップ用電源BUの電圧値を低く設定すると共に、RAMの記憶容量を増加させるためである。具体的には、演出制御部51では、3.3Vで機能する32Kバイト程度のRAMに、必要なデータを保存している。RAMに記憶された内容は、その記憶ボリュームに拘わらず、演出インタフェイス基板52に設けられた大容量コンデンサによって、数日以上そのまま維持される。
ところで、図5に示す主制御部50は、演出インタフェイス基板52を経由させて、演出制御部51に対して、制御コマンドCMDを送信している。一方、演出制御部51では、受信した制御コマンドCMDに基づいて演出抽選を実行して、スピーカSPによる音声演出、LEDランプや冷陰極線管放電管によるランプ演出、及び、液晶表示部7による映像演出の演出内容を決定している。
ここで、音声演出とランプ演出と映像演出とは、互いに同期して実行されるが、複雑高度な演出動作を円滑に実行するべく、音声演出とランプ演出とが、演出制御部51において実行される一方、映像演出については、液晶制御部61において実行される。そして、演出内容を特定する演出コマンドCMD’が演出制御部51から液晶制御部61に伝送されている。なお、演出制御部51から液晶制御基板61に伝送される制御コマンドCMD’には、演出制御部51が主制御基板50から受けた制御コマンドCMDをそのまま転送するエラー報知コマンドも含まれる。
一方、液晶制御部61は、演出制御部51から受けた演出コマンドCMD’に基づいて、液晶表示部7における映像演出処理を実行している。なお、エラー報知コマンドが演出制御部51から転送されてきた場合には、対応する報知処理を実行する。
この実施形態では、演出制御部51から液晶制御部61に伝送される演出コマンドCMD’は、(a)前記液晶制御部61で実行中の演出動作を中断して開始すべきA群の演出コマンドと、(b)実行中の演出動作が完了してから実行を開始すべき、チェーン再生用のB群の演出コマンドとに大別される。
いずれの演出コマンドも2バイト長で構成されるが、1バイト毎にパラレル通信で伝送される。演出コマンドは、1バイト目(上位バイト)の最上位ビット(bit7)が「1」となり、2バイト目(下位バイト)の最上位ビットが「0」となるよう構成されている。また、上位バイトのbit6(チェーンビット)によって、A群の演出コマンドかB群の演出コマンドかを特定しており、この実施形態では、bit6=1となる場合には、チェーン再生されるB群の演出コマンドであることを示しており、bit6=0となる場合は、チェーン再生されないA群の演出コマンドであることを示している。
A群の演出コマンドは、例えば、メダル投入動作に対応して開始される演出や、スタートレバー操作に対応して開始される演出を規定する演出コマンドなどであり、大部分の演出コマンドは、このA群の演出コマンドに含まれる。一方、B群の演出コマンドは、一連の映像演出を無理なく実行して完結させるための演出コマンドである。
B群の演出コマンドの意義を具体的に説明するため、ここで、全3回の停止スイッチの操作のうち、2回目の停止スイッチ操作から開始されて、3回目の停止スイッチ操作を経て、メダル払出まで続くような一連の演出を想定する。このような一連の演出では、図11に示すように、2回目のスイッチ操作時の演出コマンドと、3回目の停止スイッチ操作時の演出コマンドと、メダル払出指令時の演出コマンドとが、各々、演出制御部51から液晶制御部61に伝送される。そして、3回目の最終停止スイッチ操作時の演出コマンドと、メダル払出指令時の演出コマンドとを、B群のチェーン再生用の制御コマンドに設定することで、遊技者による最終停止スイッチの操作タイミングが早かろうが遅かろうが、一連の映像演出が中断されることなく、無理なく完結されることになる。
続いて、図5に関して残りの部分を説明する。主制御部50は、遊技中継基板53を通して、スロットマシンの各種遊技部材に接続されている。具体的には、スタートレバー17の始動スイッチ、ストップボタン18a〜18cの停止スイッチ、投入ボタン15,16の投入スイッチ、清算ボタン14の清算スイッチ、投入枚数判定部21dを構成するフォトインタラプタPH1,PH2、投入メダル返却部21cを構成するブロッカーソレノイド31、及び、各種LED素子9〜11などに接続されている。
また、主制御部50は、回胴中継基板57を経由して、回転リール4a〜4cを回転させる3つのステッピングモータ、及び、回転リール4a〜4cの基準位置を検出するためのインデックスセンサに接続されている。そして、ステッピングモータを駆動又は停止させることによって、回転リール4a〜4cの回転動作と、目的位置での停止動作を実現している。
主制御部50は、払出中継基板63を通してメダル払出装置5にも接続されている。メダル払出装置5には、メダル払出制御基板55と、メダル払出センサと、払出モータMとが設けられており、メダル払出制御基板55は、主制御部50からの制御コマンドに基づいて払出モータMを回転させて、所定量のメダルを払出している。
その他、主制御部50は、外部集中端子板56と、回胴設定基板54にも接続されている。外部集中端子板56は、例えばホールコンピュータHCに接続されており、主制御部50は、外部集中端子板56を通して、メダルの投入枚数やメダルの払出枚数などを出力している。また、回胴設定基板54は、係員が設定した確率的なメダル払出枚数のランク設定値を示す設定キー信号などを出力している。
図6は、演出制御基板51と演出インタフェイス基板52と液晶制御基板61について、互いの接続関係を、内部回路と共に図示したものである。
図6に示す通り、演出制御基板51は、ワンチップマイコン65と、ワンチップマイコン65が実行する制御プログラムを記憶するROM66と、主制御部50から受けた制御コマンドCMDに基づく一連の音声信号を、ワンチップマイコン65の制御にしたがって出力する音声再生用IC67と、音声再生用IC67が出力するべき音声情報を圧縮状態で記憶する音声用ROM68と、演出インタフェイス基板52で生成された3.3Vのバックアップ電源BUを受けて電源遮断後も記憶内容を保持する外付けRAM69とを備えて構成されている。
ここで、演出制御部51のワンチップマイコン65は、CPUと、ROM及びRAMのメモリ回路STGと、ウォッチドッグタイマ回路WDTと、パラレル入力ポートINP1と、パラレル出力ポートOUTと、入力端子RXD及び出力端子RTSを有するシリアル通信回路とを内蔵して構成されている。
また、ワンチップマイコン65は、マスク可能な割込み信号を受ける2つの割込み端子INT1,INT2が設けられている。割込み端子INT1には、ストローブ信号STBが供給され、割込み端子INT2には、電源基板62が出力する異常信号ABNが供給される。
図6に示す通り、ワンチップマイコン65は、主制御部50が出力した制御コマンドCMDとストローブ信号STBを、演出インタフェイス基板52を経由して、入力ポートINP1に受けている。先に説明した通り、ストローブ信号STBは、ワンチップマイコン65の割込み端子INT1にも供給されており、ストローブ信号STBのレベル変化による割込み処理プログラムによって、制御コマンドCMDを取得するようになっている。
また、ワンチップマイコン65は、出力ポートOUTから演出インタフェイス基板52に向けて、制御コマンドCMD’及びストローブ信号STB’を出力している。更にまた、ワンチップマイコン65は、シリアル入力端子RXDにシリアルデータSDを受信すると共に、シリアル出力端子RTSから制御信号RTS(request to send)を出力している。
一方、演出インタフェイス基板52には、主制御部50から出力される制御コマンドCMD及びストローブ信号STBを平滑化するRCフィルタ70Aと、RCフィルタ70Aの出力を演出制御部51に転送するバスバッファ70Bと、演出制御部51から出力される制御コマンドCMD’及びストローブ信号STB’を液晶制御部61に転送するバスバッファ71と、液晶制御部61から出力されるシリアルデータSDを波形整形して演出制御部51に転送するシュミットトリガ72Aと、演出制御部51から出力される制御信号RTSを波形整形して液晶制御部61に転送するシュミットトリガ72Bと、音声再生用IC67が出力する2チャンネル分のステレオ音声信号AOL,AORをD級増幅するD級アンプ73A,73Bと、が搭載されている。
液晶制御基板61には、ワンチップマイコン74と、演出インタフェイス基板52から転送される制御コマンドCMD’及びストローブ信号STB’を平滑化するRCフィルタ75Aと、RCフィルタ75Aの出力をワンチップマイコン74に転送するバスバッファ75Bと、液晶表示部7の駆動用IC76と、ROM77と、が搭載されている。
ここで、液晶制御部61のワンチップマイコン74には、CPUと、ROM及びRAMのメモリ回路STGと、ウォッチドッグタイマ回路WDTと、パラレル入力ポートINP2と、出力端子TXD及び入力端子CTSを有するシリアル通信回路とを内蔵して構成されている。ワンチップマイコン74は、制御コマンドCMD’を入力ポートINP2に受けており、割込み端子INT3に供給されているストローブ信号STB’のレベル変化による割込み処理プログラムによって、制御コマンドCMD’が取得されるようになっている。そして、ワンチップマイコン74は、LCD駆動用IC76を制御することで、取得した制御コマンドCMD’に対応する画面を液晶表示部7に表示する。
ワンチップマイコン74(液晶制御部61)のシリアル通信回路は、ワンチップマイコン65(演出制御部51)のシリアル通信回路に対応して構成されており、非同期式のシリアル通信(UARTモード)を実現している。具体的には、スタートビット1ビット+8ビット長のシリアルデータSD+ストップビット1ビットの合計10ビットを通信単位として、9600bpsのシリアル通信を実現している。
また、液晶制御部61と演出制御部51のシリアル通信回路は、RTS(Request to Send)とCTS(Clear to Send)によるハンドシェイク処理のフロー制御がされるよう設定されている。そして、液晶制御部61は、シリアル通信回路が8ビットのシリアルデータSDを送信し終わる毎に、送信完了割込み処理が起動されるよう構成されている。なお、この実施形態の場合、シリアルデータSDは、具体的には、演出制御部51から受けた2バイト長の演出コマンドCMD’であり、これが8ビット毎に二回に分けて返送される。
一方、演出制御部51は、シリアル通信回路がシリアルデータSD(=演出コマンドCMD’)の1バイト長を受信する毎に、受信割込み処理が起動するよう構成されている。また、1バイト長のシリアルデータSDがワンチップマイコン65に取得される毎に、制御信号RTSがアクティブなレベルに戻るよう設定されている。
以上、図1のスロットマシンについて回路構成を中心に説明したので、次に主制御部50が実現する制御動作を簡単に説明する。主制御部50の制御プログラムは、電源投入時に開始される無限ループ状のメイン処理(図7)と、ワンチップマイコンの内蔵カウンタの定時割込みで起動されるタイマ割込み処理(不図示)と、電源遮断時に電源基板62から受ける異常信号ABNで起動されるNMI(non maskable interrupt)処理である電断割込み処理(不図示)と、を有して構成されている。
図7に示す通り、電源が投入されると初期処理(SS1)の後、RAMのワークエリアをクリアする(SS2)。また、初期処理(SS1)において割込み禁止状態に設定されているCPUを、割込み許可状態に設定する(SS2)。
ステップSS2の処理が終われば、次に、メダル投入口12から実際に投入されたメダル、及び、投入ボタン15、16の押下によって擬似的に投入されたメダルについてのメダル投入処理を行う(SS3)。次に、例えば、スタートレバー17の押下タイミングに合わせて乱数抽出処理(SS4)が実行される。乱数抽出処理では、ソフトウェアカウンタである乱数カウンタの値を変数RNDに取得する。なお、乱数カウンタの値は、不図示のタイマ割込み処理において定期的に更新されている。
その後、乱数抽出処理(SS4)で抽出された乱数値RNDに基づいて図柄抽選処理が実行される(SS5)。この図柄抽選処理で決定される当選役には、BB(ビッグボーナス)当り、RB(レギュラーボーナス)当り、その他の小役当りが設けられている。小役当りには、2〜15枚程度の配当メダルが払出されるフルーツ図柄当り(小役1〜小役3)と、再ゲームが可能なリプレイゲーム当り(小役4)とが含まれる。
本実施例では、RB(レギュラーボーナス)当りは、最高133枚の払出枚数の範囲内で、ジャックゲームなどと称される高価値のゲームが所定回数内で実行可能な当選役を意味する。ジャックゲームとは、例えば、メダル1枚の投入で15枚程度のメダルが払い出されるゲームである。一方、BB(ビッグボーナス)当りは、RB当り状態が繰り返し実現される当選役であり、例えば、346枚のメダルが払出されるまで、このビッグボーナスゲームが継続される。
但し、このような高価値のボーナスゲーム(RB/BB)は、仮に、機器内部の抽選処理で当選状態となっても(ボーナス内部当選状態という)、回転リール4a〜4cの該当図柄を所定の停止ラインに揃えない限り実行が開始されない。しかも、ボーナス内部当選状態となったゲームで直ちに該当図柄を所定の停止ラインに揃えることは容易でないことから、ボーナス内部当選状態は、それが実効化されるまで、継続して保持されるようになっている。
以上のような図柄抽選処理(SS5)が終われば、回転リール4a〜4cを回転させるための準備作業を行い、タイマ割込みによる回転リール4a〜4cの回転を可能にし(SS6)、その後、ストップボタン18a〜18cが押下されたら、対応する回転リール4a〜4cを停止させる回胴停止処理を行う(SS7)。
ここでは、図柄抽選処理(SS5)の当否結果に沿うように、停止制御が実行される。すなわち、図柄抽選処理(SS5)の結果、何らかの内部当選状態であれば、遊技者の適切な停止操作を条件として、当選結果に合うよう回転リール4a〜4cの図柄を整列させる。但し、遊技者がストップボタンを押すタイミングが不適切である場合には、外れ状態の図柄で停止される。この結果、折角の小役当選も無駄になるが、ボーナス当選については、次回のゲーム以降も持ち越される。
このようにして、全ての回転リール4a〜4cが停止したら、有効な停止ライン上に、当選図柄が揃ったか否かが判定され(SS8)、必要数のメダルが払出される(SS9)。そして、リプレイ図柄が揃っているか否か判定され(SS10)、リプレイ図柄が揃っている場合には、再遊技動作の開始処理(SS11)を実行した後、ステップSS2に移行する。リプレイ図柄が揃っていない場合には、RB図柄が揃っているか否か判定され、RB図柄が揃っている場合には、レギュラーボーナスの開始処理(SS13)を実行した後、ステップSS2に移行する。また、現在がレギュラーボーナスゲーム中であるか否か判定され(SS14)、レギュラーボーナスゲーム中であれば必要な処理(SS15)を実行した後、ステップSS2に移行する。
一方、ステップSS14の判定がNOの場合には、BB図柄が揃っているか否か判定され(SS16)、BB図柄が揃っている場合には、ビッグボーナスの開始処理(SS17)を実行した後、ステップSS2に移行する。また、現在がビッグボーナスゲーム中であるか否か判定され(SS18)、NOであれば何もしないでステップSS2に移行する。一方、ビッグボーナスゲーム中であれば、ビッグボーナスゲームに必要な処理(SS19)を実行した後、ビッグボーナスゲームの終了条件を満たすか否か判定される(SS20)。そして、判定結果がNOの場合には、何もしないでステップSS2に移行するが、判定結果がYESの場合には、BBゲーム中に使用したRAMエリアも含めワークエリアをクリアしてステップSS3に移行する。
ところで、上記した一連の遊技制御動作の適宜なタイミングでは、主制御部50は、不図示のタイマ割込み処理において、制御コマンドCMDを出力する。先に説明した通り、制御コマンドCMDは、ストローブ信号STBと共に、演出インタフェイス基板52を経由して、演出制御部51に送信される。制御コマンドCMDは、全て2バイト長で構成されており、1バイト毎に二回に分けて送信される。そして、制御コマンドCMDの1バイト目(上位バイト)は、その最上位ビットが「1」に設定され、2バイト目(下位バイト)は、その最上位ビットが「0」に設定されている。この点は演出コマンドと同じである。
制御コマンドCMDの送信タイミングは、特に限定されないが、ボーナスゲームではない通常ゲーム中であれば、例えば、(1)メダル投入時、(2)スタートレバー押下時、(3)回転リールの回転開始時、(4)ストップボタン操作による第1停止時、(5)その後のストップボタン操作による第2停止時、(6)最後のストップボタン操作による最終停止ON時、(7)そのストップ操作を終える最終停止OFF時、(8)メダル払出時、及び(9)デモ状態突入時などが含まれる。なお、所定時間(例えば5分)以上メダルの投入が認められない場合にはデモ状態となる。
上記した各タイミングで送信される制御コマンドCMDによって、実質的には、例えば、(1)メダル投入情報、(2)当否状態やその当選図柄(当選役)、(3)回転開始タイミング情報、(4)〜(6)停止位置情報、(7)停止タイミング情報、(8)払出枚数などの入賞情報、(9)デモ開始タイミング情報が、演出制御部51に通知されることになる(図6(b)参照)。そして、演出制御部51では、例えば、スタートレバー押下時に送信された制御コマンドCMDに基づいて、今回のゲームの当否結果や当選図柄を把握し、これらに対応した多様な演出動作が実行するべく演出抽選を実行することになる(図9のST81)。
続いて、図8〜図9に基づいて演出制御部51の動作内容を説明する。演出制御部51の動作は、電源投入後などCPUがリセットされると実行されるメイン処理(図8(a))と、電源遮断時の異常信号ABNに基づいて起動される電断割込み処理(図8(c))と、2mS毎に起動されるタイマ割込み処理(図9(a))と、ストローブ信号STBに起因して起動される制御コマンドCMDの受信割込み処理(図9(b))と、液晶制御部61から8ビット長のシリアルデータSDを受信すると起動される演出コマンドCMD’の受信割込み処理(図9(c))と、16mS毎に起動されるタイマ割込み処理(不図示)と、有して実現されている。なお、16mSタイマ割込みでは、ランプ演出の進行処理が実行されている。
本実施形態では、マスク不能のNMI割込みを使用せず、全ての割込み処理は、マスク可能であり、優先レベルは、(1)[制御コマンドCMDの受信割込み(図9(b))]→(2)[電断割込み(図8(c))]→(3)[演出コマンドSDの受信割込み(図9(c))]→(4)[2mSタイマ割込み(図9(a))]→(5)[16mSタイマ割込み(不図示)]の順番になっている。そして、本実施形態では、多重割込み要求が発生した時、原則として、実行中の割込みより優先レベルが高い割込み要求だけが許可される。なお、同一タイミングで複数の割込み要求が存在した場合は、当然、優先レベルが高い割込み要求が受け付けられる。
このように、本実施形態では、電源遮断時の電断割込みより、制御コマンドCMDの受信処理が優先されるので、1バイト単位で取得される制御コマンドCMDの取得処理が途中で中断されることがなく、制御コマンドCMDの読み落しが防止される。
ところで、本実施形態では、2mSタイマ割込み(図9(a))については、例外的に、割込み要求が重複して受付けられるよう構成されている。したがって、図9(a)の処理中に、割り当て時間(2mS)を使い切った場合には、実行中のタイマ割込み処理を中断して、同じ2mSタイマ割込み処理が先頭から再度実行される。本実施形態では、このような構成を採るので、例えば、(1)主制御部50が、短時間のうちに多数の制御コマンドを演出制御部51に伝送する必要があるような場合や、(2)演出制御部51が、受信した制御コマンドに関連する複雑な対応処理を実行するような場合にも、何のトラブルも生じない。但し、本実施形態では、上記した重複割込みに対応した独特の構成を採っている。
以上を踏まえて、図8(c)に示す電断割込み処理から説明する。演出制御部51のCPUは、電源基板62から異常信号ABNを受けると、全ての割込みを禁止状態とする(ST10)。先に説明した通り、電断割込みが開始されるのでは、制御コマンドCMDの受信中でない場合に限られるが、一旦、電断割込みが開始された後は、制御コマンドCMDの受信を開始することがないようステップST10の処理を設けている。なお、電断割込み処理は、同じ異常信号ABNに基づいて、主制御部50でも開始されるが、主制御50ではマスク不能の最優先割込み処理を使用するなど、演出制御部51より先に電断処理を開始するよう構成されている。そのため、図8(c)の電断処理開始後に、主制御部50から演出制御部51に、制御コマンドCMDが送信されることはない。
ステップST10の処理が終われば、次に、ワンチップマイコン65の内蔵メモリのワークエリアに存在する演出データを、外付けメモリ69に転送する(ST11)。この転送時には、転送処理に合わせて、転送データについての16ビット加算演算を実行し、その加算結果をチェックサム値として外付けメモリ69に記憶する(ST12)。以上の処理によってバックアップ処理が終わるので、適宜なBK(バックアップ)キーワードを外付けメモリ69に記憶して処理を終える(ST13)。
このように、演出制御部51の電断処理では、CPUの汎用レジスタの値や、スタックポインタの値や、スタック領域の保存値は転送されることがないので、電源遮断と共に上記の値は全て消滅する。したがって、演出制御部51では、電源復帰後、電源遮断時の処理を正確に再開することはできず、適当なタイミングまでに遡って遊技動作を再開する。これに対して、主制御部50では、電断時のCPUの汎用レジスタの値やスタックポインタの値が、ワンチップマイコンの内蔵RAMに格納される上に、スタック領域を含む内蔵RAMに記憶内容が全てバックアップ電源BUで保持されるので、電源復帰後、電源遮断時の処理を正確に再開することができる。
なお、本実施形態では、演出データは100バイト程度であるが、外付けRAM69は、32Kバイトの記憶領域を有している。そして、そこには、遊技動作中、定常的に遊技実績が蓄積記憶されるようになっている。記憶される遊技実績は、特に限定されないが、例えば、主制御部50から受ける制御コマンドCMDからボーナスゲームの発生を特定し、これが順番に記憶される。なお、電断処理時に適宜なタイムスタンプ情報を付加することで、日々の遊技実績を区切って記憶する。
そして、これらの遊技実績は、照会スイッチ19が押された時に、演出制御部51のCPUによって外付けRAM69から読み出され、適当な演出コマンドCMD’と共に液晶制御部61に伝送されることで、液晶表示部7に遊技実績として表示される。なお、照会スイッチ19に設けられているアップ接点、ダウン接点、及び決定接点は、液晶表示部7に現れるメニュー画面などの選択に使用される。
続いて、図8(a)に示すCPUリセット処理(メイン処理)について説明する。このメイン処理は、電源投入による電源リセット時に実行されるが、プログラムの暴走などによってウォッチドッグタイマ回路WDTがタイマアップされて、CPUが異常リセットされた場合にも実行される。
何れの場合も、最初に、ワンチップマイコンが初期設定され(ST1)、内蔵メモリのスタック領域とシステムワーク領域とが初期化される。先に説明した通り、演出制御部51では、スタック領域の内容は、電源遮断と共に消失するので、ステップST2の処理によってゼロクリアしている。
続いて、バックアップ処理が正しく完結しているか否かを判定する(ST3)。具体的な処理内容は、図8(b)に示す通りであり、先ず、BKキーワードが正当か否かが判定される(ST20)。判定対象のBKキーワードは、電断処理のステップST13の処理で、外付けRAM69に格納された値であり、バックアップデータによる状態復帰処理(ST7)の後にゼロクリアされる。そこで、正当な値が維持されていない場合には、このタイミングが、ウォッチドッグタイマによるCPU異常リセット時であると想定することができる。
そこで、そのような場合には、演出抽選に使用する乱数生成演算の乱数シードを適当な値に設定する(ST25)。したがって、この段階における内蔵メモリの演出データなどは、そのまま維持されるリセットスタートとなる。なお、乱数シードは、例えば、16mSタイマ割込み処理で、ランプ演出の進行を管理している管理タイマの値に基づいて決定される。
ところで、ステップST20の判定がYESの場合には、そのタイミングが、電源投入時のCPU電源リセット時であると想定されるので、次に、外付けRAM69の演出データ記憶領域の値を16ビット加算してチェックサム値を算出する(ST21)。そして、ステップST21の処理で算出された16ビットのサム値を、外付けRAM69に格納されているチェックサム値と比較する(ST22)。ここで、両者が一致しない場合には、ステップST25に移行させる。これは、外付けRAM69に記憶されている演出データの正当性が疑問である以上、これらを内蔵メモリに転送して使用するのが不合理だからである。
一方、算出されたサム値と、外付けRAM69のサム値が一致する場合には、外付けRAMの演出データを、内蔵メモリにコピーし(ST23)、この段階のチェックサム値を、乱数生成処理の乱数シードに設定する(ST24)。そして、設定された乱数シードを使用して乱数生成演算を実行して乱数初期値を設定する(ST27)。
以上の通り、この実施形態の場合、BKキーワードが正常値を維持していないか、或いは、チェックサム値が一致しない場合でも、内蔵メモリに記憶されている演出データが、そのまま使用されることになる。したがって、電断処理が正常に完結できないまま電源が遮断された異常時や、プログラムの暴走によって内蔵メモリの内容が書き直された異常時には、その後の動作が正常には実行できないことが懸念される。
しかし、(1)演出制御部51のCPUの処理速度が速いこと、(2)電断割込み処理がシンプルであること、(3)電断割込みの優先度が高いこと、(4)交流入力電圧の降下を検知して異常信号が生成されることなどから、電断処理が正常に完結できないまま電源が遮断されることが事実上ないことが実験的に確認されている。
一方、内蔵メモリの内容が致命的に破壊されている可能性は、極めて低いものの、否定し切ることまではできない。しかし、この極めて低い可能性を重視して、ワーク領域をゼロクリアして、完全に初期状態(電源投入後のデモ状態)に戻してしまうのは、事実上、不合理的と考えられるので、図8(b)の構成を採っている。
その理由を更に説明すると、(1)演出制御部51は、主制御部50から受けた制御コマンドCMDに基づいて、液晶制御部61と同期した演出動作を実行しているが、演出制御部51のCPUが暴走状態となっても、主制御部50や液晶制御部61は、例外的な場合を除き、引き続き正常に機能している、(2)したがって、万一、内蔵メモリの一部が破壊されていても、ランプ演出と音声演出に関する演出上の多少の不整合が生じる程度であるから、液晶表示部7における一連の映像演出まで画一的に中断させて演出制御を初期状態に戻す方が不合理であると考えられるからである。
以上説明したバックアップのチェック処理(ST3)が終われば、送信用の通信データキューを初期化する(ST4)。先に説明した通り、演出制御部51では、主制御部50とは異なり、電源遮断時からの正常な復帰時においても、中断前の処理から忠実に動作が再開するわけではなく、適当なタイミングまで遡るので、もし、未送信の演出コマンドが存在しても、これを消去しても何の問題も生じない。
次に、割込みについて初期設定を実行し、マスク可能な割込みの優先順位を、先に説明した通りに設定する(ST5)。また、音声再生用IC67についても初期化処理をする(ST6)。そして、最後に、内蔵RAMの演出データに基づいて、演出動作が再開する。但し、バックアップ処理が完璧であった場合でも、演出動作の区切り点まで遡って演出動作が再開される。この演出動作の区切り点まで遡って演出動作が再開される点は、ステップST25の処理を経由するリセットスタートの場合も同じであり、また、何れの場合にも、BKキーワードはゼロクリアされる。
以上の処理が終われば、CPUは、何も実行しない無限ループ処理を繰り返しつつ、割込み要求を待つ。本実施形態では、何も実行しない無限ループ処理を採用しているので、優先レベルが最下位の16mSタイマ割込み処理ではCPUのレジスタを保存する必要がない。もっとも、その他の割込み処理では、最初に、CPUのレジスタがスタック領域に保存され、最後に、その保存値がレジスタに戻される。但し、これらの処理は、便宜上、各フローチャートには記載していない。
さて、メイン処理が上記の待機状態のとき、(1)[制御コマンドCMDの受信割込み(図9(b))]→(2)[電断割込み(図8(c))]→(3)[演出コマンドSDの受信割込み(図9(c))]→(4)[2mSタイマ割込み(図9(a))]→(5)[16mSタイマ割込み(不図示)]の優先順位で割込み要求が受け付けられる。また、2mSタイマ割込み(図9(a))については、重複して起動されることがある。
そこで、次に、図9(b)のフローチャートに基づいて、最高優先レベルの割込み処理を説明する。受信割込みの割込み要求があると、入力ポートINP1をアクセスして、ストローブ信号STBが、割込みレベルであるか否かを判定する(ST40)。これは、ノイズなどの影響で、誤って割込み要求を受け付ける可能性を考慮したものであり、ストローブ信号STBが割込みレベルでなければ、何もしないで処理を終える。
一方、ストローブ信号STBが割込みレベルであれば、取得した1バイトの最上位ビットが「1」であるか否かを判定する(ST41)。先に説明した通り、制御コマンドCMDは全て2バイト長であり、上位バイトの最上位ビットは「1」に設定されている。したがって、今回の受信データが上位バイトであることが確認されたら、受信キューの該当領域(16ビット記憶領域の上位バイト域)に格納して処理を終える。
一方、最上位ビットが「0」である場合には、一つ前の受信割込み時に、制御コマンドの上位バイトを受信しているかが判定される(ST43)。そして、もし上位バイトを受信していない場合には、下位バイトを連続して受信したことになるので、誤動作と判定して処理を終える。逆に、上位バイトを取得済みであれば、今回受信した下位バイトを受信キューの該当領域(16ビット記憶領域の下位バイト域)に格納する(ST44)。そして、受信キューの格納領域を指示するポインタを進めて処理を終える(ST45)。
以上説明した制御コマンドCMDの受信処理は、その割込みレベルが最優先に設定されている。したがって、電断処理(図8(c))が開始されていない限り、例え、実行中の他の割込み処理が存在しても、その処理を中断させて受信処理が実行されることになり、制御コマンドを読み落す可能性が事実上皆無となる。
図9(c)は、優先順位3の演出コマンドSDの受信割込みを説明するフローチャートである。この割込み要求は、優先順位が3番であるので、制御コマンドCMD受信処理(図9(b))や電断処理(図8(c))を除く、他の割込み処理を中断させてでも実行が開始される。
図10(c)のステップST73に示すように、液晶制御部61は、演出制御部51から受けた、B群の演出コマンドCMD’の実行を開始する際に、その演出コマンドCMD’を、シリアルデータSDとして演出制御部51に返送する。返送される演出コマンドCMD’は2バイト長であるが、演出制御部51のシリアル通信回路が1バイト長のデータを受信し終わる毎に、割込み要求が発生する結果、図9(c)の処理が開始される。なお、返送されるのは、チェーン再生用のB群の演出コマンドCMD’だけであり、A群の演出コマンドCMD’は返送されない。
図9(c)に示す演出コマンドCMD’を取得する処理内容は、図9(b)の制御コマンドCMD受信処理の場合と殆ど同じであり、1バイトデータの最上位ビットに基づいて、受信データが上位バイトか下位バイトかを判定して(ST51,ST53)、正当な順番に受信したデータだけを受信キューの該当領域に格納している(ST52,ST54)。
ところで、この演出コマンドCMD’の受信割込みは、その優先順位が3番であり、もし、制御コマンドCMDの受信割込み要求があると、図9(c)の処理が後回しにされる。しかし、液晶制御部61と演出制御部51の各シリアル通信回路は、RTS(request to send)とCTS(clear to send)によるハンドシェイク処理を実行するよう設定されており、演出制御部51のCPUが受信データを取得しない限り、制御信号RTSがアクティブレベルに復帰しないので、通信トラブルは生じない。すなわち、液晶制御部61のシリアル通信回路では、そのCTS端子に制御信号RTSを受けており、この制御信号RTSがアクティブレベルに復帰しない限り、次の送信処理に移行しないので、演出制御部51のシリアル通信回路が、先に受信した受信データを消失させるおそれはない。
図9(a)は、2mS毎に起動されるタイマ割込み処理(優先順位4)を説明するフローチャートであり、この2mSタイマ割込み処理において、実質的な演出制御処理がほぼ全て実現される。
2mSタイマ割込み処理では、先ず、ウォッチドッグタイマ回路WDTのクリア処理が実行され、音声演出やランプ演出を管理する管理タイマの更新処理を含む計時処理が実行される(ST30)。また、ステップST30の計時処理では、バッファ領域に格納されている一連の演出コマンドCMD’のうち、液晶制御部61に送信すべきタイミングに達した演出コマンドが、バッファ領域から送信キューに転送される。先に説明した通り、本実施形態では、2mSタイマ割込み処理は、重複して起動されるよう構成されているので、割込み要求が待たされることはあっても、読み飛ばされることがないので、ステップST30の計時処理は2mS毎に実行され、その意義が失われることがない。
次に、乱数生成演算に基づいて乱数値が更新される(ST32)。なお、乱数生成演算としては、混合合同法、平方採中法などの簡易なアルゴリズムが使用されるが、その乱数シードは、CPUリセット時に設定されている(ST24,ST25)。
続いて、現在、ステップST34の制御コマンド対応処理の処理中でないかが、処理中フラグWKの値に基づいて判定される(ST32)。これは、2mSタイマ割込み処理が重複して起動された場合にも適切に対処するためである。例えば、スタートレバー17のON操作から、回転リール8a〜8cの回転開始までの時間間隔は非常に短いので、短時間の間に複数の制御コマンドが主制御部50から送信されるところ、演出制御部51では、この受信処理を最優先するので、最初に受信した制御コマンドに対応し終わるまでに、2mSタイマ割込み処理の処理時間が終わる場合も生じる。そのような場合には、実行中の処理が中断されて、再度、2mSタイマ割込み処理が開始される。
しかし、本実施形態では、2mSタイマ割込み処理が重複起動された場合には、割込み要求によって中断された処理を評価し、制御コマンド対応処理(ST34)が中断された場合には、今回の2mSタイマ割込み処理では、制御コマンド対応処理(ST34)をスキップさせている。そのため、今回の2mSタイマ割込み処理は、処理時間Tで迅速に完了することになり、残余に時間(2mS−T)を使用して、やり残し状態の制御コマンド対応処理(ST34)が実行されることになる。
一方、ステップST32の判定において、今回の2mSタイマ割込み要求時に、やり残し状態の制御コマンド対応処理(ST34)が存在しないと確認されると、次に、制御コマンドCMDの受信キューが空か否かが判定される(ST33)。そして、受信キューに制御コマンドCMDが存在すれば、処理中フラグWKをセットした上で、受信した制御コマンドCMDに対応した処理(つまり、制御コマンド対応処理)を実行する(ST34)。なお、処理中フラグWKは、制御コマンド対応処理(ST34)を終えた段階でリセットされる。
図6(b)に示す通り、制御コマンドとしては、各種のものが存在するが、例えば、スタートレバーが押下されたことを示す制御コマンドを受けているタイミング(ST80)では、ステップST31の処理で更新された乱数値に基づいて、演出抽選処理を実行する(ST81)。先に説明した通り、スタートレバー押下時の制御コマンドによって、当否状態や当選役が特定されるので、特定された当選役に対応した演出が抽選決定される。
この抽選処理(ST81)によって、互いに同期した、一連の音声演出とランプ演出と映像演出とが特定される。ここで、音声演出とランプ演出については、演出制御部51の制御によって実現されるが、映像演出については液晶制御部61の制御によって実現される。そこで、一連の映像演出を特定する複数個の演出コマンドCMD’が選択されてバッファ領域に格納される(ST82)。但し、直ちに送信すべき演出コマンドについては、バッファ領域に格納することなく送信キューに格納される。
ここでは、映像演出を特定する演出コマンドCMD’として、例えば、図11に示す、スタート時の演出コマンド(A)が送信キューに格納され、第2停止時の演出コマンド(B)と、第3停止時の演出コマンド(C)と、払出時の演出コマンド(D)とがバッファ領域に格納されたことにする。
演出コマンドCMD’は、液晶表示部7で実行中の演出表示動作を中断して開始すべきA群の演出コマンドと、実行中の演出表示動作が完了してから実行を開始すべき、チェーン再生用のB群の演出コマンドとに大別されるが、ここでは、演出コマンド(C)と演出コマンド(D)だけがB群に属することにする。
以上のような処理が終われば、次に、送信キューに、このタイミングで送信すべき演出コマンドCMD’が存在するか否かが判定され(ST35)、もし存在すれば、その演出コマンドCMD’が液晶制御部61にパラレル通信によって送信される(ST36)。なお、この説明では、今がスタートレバーの押下時であるから、スタート時の演出コマンド(A)が送信される(図11)。
続いて、液晶制御部61が返送した演出コマンドCMD’を受信キューに格納されていないか判定した後、もし受信していた場合には、その演出コマンドCMD’に対応する音声演出とランプ演出を開始する(ST37)。そして、実行中の演出も含め、音声演出とランプ演出とを、管理タイマに基づいて進行させて割込み処理を終える(ST38,ST39)。
図10(a)(c)は、液晶制御部61の処理内容のうち、特に、演出コマンドCMD’に関連する部分を示すフローチャートである。いずれもタイマ割込み処理中のサブルーチンであり、所定時間毎に繰り返し実行される。先ず、図10(a)は、演出制御部51から受けた演出コマンドCMD’の取得処理を示している。液晶制御部61は、演出制御部51からストローブ信号STB’を受ける毎に受信割込み処理が起動して演出コマンドCMD’を受信し、これを受信キュー(図10(b))に順番に格納している。なお、受信キューは、他の送信キューやチェーン再生キューと同様、FIFO方式(First In First Out)を採っている。
図10(c)は、演出コマンドに基づいて実行される映像再生処理を示している。図10(d)は、受信した演出コマンドCMD’のうち、チェーン再生されるB群の演出コマンドだけが格納されるチェーン再生キューを示している。先に説明した通り、A群の演出コマンドは、演出制御部51から受信すると直ちに実行が開始されるが(通常再生)、B群の演出コマンドについては、実行中の映像演出が完了した後に連鎖して実行が開始される(チェーン再生)。
以上を踏まえて、図10(a)のフローチャートから説明する。演出コマンドの取得処理では、先ず、受信キュー(図10(b))が空か否か判定され(ST60)、空でなければ、最古の受信データのチェーンビットが判定される(ST61)。先に説明した通り、チェーンビットとは、2バイト長の演出コマンドの上位バイトのbit6であり、B群のコマンドの場合にはbit6=1となっている。
そこで、チェーンビットがOFF(bit6=0)であるA群の演出コマンドが、受信キューに格納されていた場合には、最古の演出コマンドについて演出を開始するべく、再生予約領域(不図示)に演出コマンドを転送すると共に、図10(d)に示すチェーン再生キューをゼロクリアによって初期化する(ST64,ST65)。
一方、チェーンビットがON(bit6=1)であるB群の演出コマンドを受信している場合には、その演出コマンドを、チェーン再生キューに格納し(ST62)、受信キューから、該当する最古の演出コマンドを消去して処理を終える(ST63)。
次に、図10(c)に基づいて、映像再生処理について説明する。ここでは、先ず、再生予約領域(不図示)の演出コマンドについて、その映像再生処理が完了したか否かが判定される(ST70)。そして、映像再生が終わった場合には、チェーン再生キューが空か否か判定される(ST71)。ここで、チェーン再生キューに演出コマンド(B群)が格納されている場合には、これを再生予約領域にコピーする(ST72)。
B群の演出コマンドが再生予約領域にコピーされたことによって、その後のステップST76の処理によって、この演出コマンドに対応する映像演出が開始される。そこで、B群の演出コマンドによるチェーン再生が開始されることを演出制御部51に通知するべく、該当する演出コマンドCMD’がシリアルデータSDとして送信される(ST73)。そして、この演出コマンドCMD’は、チェーン再生キューから消去される(ST74)。
ところで、演出制御部51は、RTS制御によるハンドシェイク処理によって、1バイト毎に演出コマンドCMD’を取得する(図9のST37)。また、演出制御部51では、取得した演出コマンドCMD’に対応するランプ演出と音声演出とを開始するので(図9のST38〜ST39)、映像演出とランプ演出と音声演出とが正しく同期されることになる。
液晶制御部61での処理について説明を続けると、チェーン再生キューが空であるか(ST71)、或いは、チェーン再生キューの整理(ST74)が終われば、再生予約領域に演出コマンドが格納されているか否かが判定され(ST75)、もし存在すれば、その演出コマンドについて映像演出が開始され、再生予約領域から当該演出コマンドが消去される(ST76)。以上の通り、ステップST65の処理で再生予約領域に格納されたA群の演出コマンドも、ステップST72の処理で再生予約領域に格納されたB群の演出コマンドも、ステップST76のタイミングで映像演出が開始されることになる。
A群の演出コマンドは、受信後、直ちに実効化されるのに対して、B群の演出コマンドは、一旦、チェーン再生キューに格納され、FIFO方式の順番に実効化される。したがって、A群とB群の演出コマンドを適宜に使い分けることによって、突然中断しても違和感のない演出と、実行途中で中断させることなく完結させるべき演出とを任意に実現することができる。
図11は、主制御部50から演出制御部51に送信される制御コマンドと、演出制御部51から液晶制御部61に送信される演出コマンド(A群+B群)と、液晶制御部61から演出制御部51に返送される演出コマンド(B群)との関係を示す図面であり、縦軸方向が時間の経過を示している。
この例では、制御コマンドCMDの受信タイミングに合わせて、演出制御部51から液晶制御部61に対して、スタート時の演出コマンド(A)と、第2停止時の演出コマンド(B)と、第3停止時の演出コマンド(C)と、払出時の演出コマンド(D)とが送信されている。
送信される演出コマンドのうち、演出コマンド(C)と演出コマンド(D)は、チェーン再生されるB群に属しているので、演出コマンド(C)や演出コマンド(D)を受信した液晶制御部61では、これをチェーン再生キューに保存するだけで映像演出を開始しない(ST62参照)。したがって、演出コマンド(B)による映像演出は中断されることなく完結される。
そして、演出コマンド(B)による映像演出が完了すると(ST70がYES)、チェーン再生キューから演出コマンド(C)が読み出されて再生予約されると共に(ST72)、演出コマンド(C)が演出制御部51に返送される(ST73)。そして、演出コマンド(C)を受信した演出制御部51は、液晶制御部61と共に、演出コマンド(C)に関する演出動作を同期して開始させる。
その後、演出コマンド(C)による映像演出が完了した場合(ST70がYES)も同じであり、演出制御部51は、液晶制御部61と共に、演出コマンド(D)に関する演出動作を同期して開始させる。
そして、演出コマンド(D)に関する演出動作が完了する以前に、メダル投入時の演出コマンドを受けると、受信した演出コマンドがA群に属することから、実行中の映像演出を中断して、直ちに、メダル投入に関する映像演出を開始する。なお、この段階で、チェーン再生キューに演出コマンドが残っていた場合でも、それらは全て消去されるので実効化されることはない。そして、液晶制御部61で演出動作が開始されず、その演出コマンドが返送されない以上(ST73参照)、液晶制御部61で消去された演出コマンドについて、演出制御部51で実効化されることもない。しかも、このような演出キャンセルの処理において、演出制御部51に制御負担が増えることもない利点もある。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨を逸脱することなく各種の改変が可能である。
例えば、第一群の演出コマンドとするか、それとも、第二群の演出コマンドとするかの設定は、固定化する必要はなく、それまでのゲーム進行に対応して可変的に決定されるのが好適である。このような可変構成を採った場合には、同一の映像演出を、チェーン再生する場合としない場合とに使い分けることができ、チェーン再生による連続演出をより効果的に実現することができる。
例えば、(1)次ゲームのメダル投入時の演出に対応する映像演出αを特定する演出コマンドを想定すると、前回のゲーム終了時に期待度の高い演出(映像演出β)を行っているときは、演出コマンドのチェーン再生ビットをONとして、映像演出βを終えてから映像演出αを開始する。一方、前回のゲーム終了時に期待度の低い演出(映像演出γ)を行っているときは、チェーン再生ビットをOFFとして、映像演出γを中断させて、映像演出αを開始させる。
また、(2)スタート映像演出Xを再生中に、第1停止時に映像演出Yを再生するときは、映像演出Yを特定する演出コマンドのチェーン再生ビットをONにして、スタート映像演出Xを終えてから映像演出Yを開始する。一方、第3停止時に映像演出Yを開始するときは、チェーン再生ビットをOFFにする。これは、第3停止時には映像演出Xが終了しているためチェーン再生する必要がないからである。
以上のような動作は、チェーンビットをリアルタイムに変更することで実現される。図12は、その構成を例示したものであり、ここでは、チェーン再生を指示する可能性のある演出コマンドについても、初期的には、A群に属するようbit6=0に設定されている。
先ず、演出抽選処理(ST81)によって演出コマンドを選択した後、この時までの遊技履歴に基づいて、その演出コマンドによる画像演出をチェーン再生とするか否かを決定する(ST811)。そして、チェーン再生とする場合だけ、選択された演出コマンドのBit6を1にセットしてB群の演出コマンドに変更すれば良い(ST813)。