JP2009185271A - ガスからの硫黄化合物除去方法、硫黄化合物除去剤、及び合成燃料製造方法 - Google Patents

ガスからの硫黄化合物除去方法、硫黄化合物除去剤、及び合成燃料製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】温度500℃を超えても炭素質吸着剤を使用できるようにする。
【解決手段】炭素質原料のガス化で生成する可燃性ガスを温度500℃超で多孔質炭素材料に通じ、可燃性ガス中の硫黄化合物(H2S、COS、CS2など)を除去する工程を有する硫黄化合物除去方法。前記多孔質炭素材料は、金属成分を担持したものが望ましい。前記多孔質炭素材料は、好ましくは木質系バイオマスから得られるチャーである。前記チャーの灰分含有量は、例えば、3〜50質量%である。前記チャーは、通常、全比表面積が200m2/g以上、平均細孔直径が2.0〜3.5nmである。また、前記硫黄化合物除去工程では、ガス通過温度を600〜800℃にして、硫黄化合物の一部又は全部を単体Sに分解してもよい。硫黄化合物除去ガスに含まれる単体Sは、吸着除去、液化除去、固化除去などの除去方法によって除去できる。
【選択図】なし

Description

本発明は、硫化水素(H2S)、硫化カルボニル(COS)などの硫黄化合物(硫黄成分)を含有するガスから乾式で硫黄化合物を除去する技術に関するものであり、より好ましくは硫黄化合物の除去中に生成する二硫化炭素(CS2)も硫黄化合物として除去する技術に関し、特に好ましくは硫黄成分の除去中に生成する単体Sも除去する技術に関するものである。
2S、COSなどの硫黄化合物を含有するガスとしては、例えば、炭素質原料(木質系バイオマス、石炭など)のガス化によって生成する可燃性ガス(CO、H2含有ガス)、メタン醗酵などから得られるバイオガスなどが知られている。これらのガスは、そのままガスタービン、蒸気タービン、ガスエンジン、燃料電池などにおいて燃料ガスとして使用できるだけでなく、触媒反応によって合成燃料にすることもできる。例えばフィッシャー・トロプシュ(Fischer-Tropsch)合成によって炭化水素化することによって、プロパン、ブタンなどの液化燃料;ガソリン、軽油などの液体燃料;ワックスなどの固体燃料などとして使用でき、またメタノール合成触媒やジメチルエーテル合成触媒によってメタノール(液体燃料)やジメチルエーテル(液化燃料)などに転換できる。しかし、前記燃料ガスとして使用する場合、硫化水素濃度を極めて低い濃度(例えば、数十ppmから数ppm程度)まで低減することが求められている(特許文献1、2)。また合成燃料化する場合でも、化学触媒(フィッシャー・トロプシュ触媒、メタノール合成触媒、ジメチルエーテル合成触媒など)の活性を低下させる虞があるH2SやCOSを低減することが求められる(特許文献3、非特許文献1)。
特許文献2には、活性炭又は活性コークス、或いは石炭から得られる活性チャーなどによって乾式でH2Sを除去することが記載されている。しかし、活性炭又は活性コークス、或いは石炭から得られる活性チャーなどを製造するには、それぞれ炭化処理、乾留処理又は石炭ガス化などによって一旦、炭、コークス、又は石炭系チャーを得た後、さらにスチームなどで賦活処理する必要があり、コスト高である。また特許文献2によれば、温度が300℃以上になるとH2Sが離脱するとのことであり、高温での硫黄化合物除去処理ができない。
特許文献3及び非特許文献1には、活性炭、バイオマスチャー、又は乾留チャー、或いはFeを担持させた活性炭又は乾留チャーによってH2SやCOSを乾式で除去することが記載されている。しかし特許文献3は、温度が500℃より高いと、炭素質除去剤の熱分解などが発生し、硫黄化合物除去能が低下するなどの問題が起こるため、500℃以下(好ましくは300〜450℃)で硫黄化合物を除去している。また非特許文献1でも温度300〜450℃で硫黄化合物を除去している。
特開平9−42612号公報 特開2003−210933号公報 特開2006−143788号公報 特開2006−291036号公報 Sakanishi(坂西)、外7名、「Simultaneous removal of H2S and COS using activated carbons and their supported catalysis (活性炭及びその担持触媒を用いたH2SとCOSの同時除去)」、Catalysis Today(キャタリシス・トゥディ)、2005年、第104号、94〜100頁
なお後述するように、本発明の硫黄化合物除去方法は高温で行うことを特徴とするが、この高温での硫黄化合物除去処理中にCS2が生成することが判明した。そこでCS2の除去について記載されている文献を調べると、特許文献4があった。この特許文献4には、ナフサ、灯油、軽油、重質油の熱分解によって得られる炭化水素油からのCS2の除去方法は紹介されているが、ガス化ガス中のCS2の除去方法については報告されていない。CS2は、H2SやCOSに比べて沸点が高く、ガスのサンプリング段階で、配管、ガス採取器、及びガスサンプル保存用テドラパックなどの内壁にCS2が吸着されてしまう為、通常のガスクロマトグラフィーでは検知ができず、その存在が知られていなかった為と思われる。実際、本発明者らの研究によれば、FPD検出器を用いたガスクロ分析装置において配管などを保温しながらオンサイドの連続測定を行うことで初めて、本発明の高温での硫黄化合物除去処理過程でCS2が生成することを確認できた。ガス化等による可燃性ガスからの硫黄化合物の除去(脱硫処理)に当たってはH2SやCOSのみならず、CS2も除去することが望まれる。
温度500℃超のガスを炭素質吸着剤で処理した具体例は、全く存在しない。高温になると吸着成分の離脱が生ずることがその原因として記載されているが、そもそも炭素質吸着剤は、高温では燃焼や熱分解するため、温度500℃超で使用すること自体が非常識であることもその理由の一つである。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、温度500℃を超えても炭素質吸着剤を使用できるようにする点にある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、炭素質原料のガス化で生成する可燃性ガス(CO、H2含有ガス)を温度500℃超の条件で炭素質吸着剤によって脱硫処理(硫黄化合物除去処理)しても、可燃性ガス中の酸素濃度は極めて低く、炭素質吸着剤が燃焼・熱分解しないことを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明に係る硫黄化合物除去方法は、炭素質原料のガス化で生成する可燃性ガスを温度500℃超で多孔質炭素材料に通じ、可燃性ガス中の硫黄化合物(H2S、COS、CS2など)を除去する点(硫黄化合物除去工程)にその要旨を有する。前記多孔質炭素材料は、金属成分を担持したもの、特に金属成分を含有した状態で非酸化性ガス中で焼成されたものであることが望ましい。金属成分は、例えば、Fe又はCaである。前記多孔質炭素材料は、好ましくは粒化されており、または木質系バイオマスから得られるチャーである。前記チャーの灰分含有量は、例えば、3〜50質量%である。前記チャーは、通常、その窒素吸着等温線がI型(IUPAC)を示し、また全比表面積が200m2/g以上、平均細孔直径が2.0〜3.5nmである。前記硫黄化合物除去工程では、ガス通過温度を600〜800℃にして、硫黄化合物の一部又は全部を単体Sに分解してもよい。硫黄化合物除去ガスに含まれる単体Sは、吸着除去、液化除去、固化除去などの除去方法によって除去できる。
前記硫黄化合物除去方法は以下の燃料製造方法に応用できる。すなわち燃料製造方法では、
木質系バイオマスを空気又は酸素富化空気で部分酸化させてCOとH2を含有するガスに転換するとともに、残留するチャーを回収し(回収工程)、
前記COとH2を含有するガスを、前記回収したチャー、又は回収チャーから得られる粒状硫黄化合物除去剤に温度500℃超で通過させることによってガス中に含まれる硫黄化合物を除去し(硫黄化合物除去工程)、
硫黄化合物を除去したガスをフィッシャー・トロプシュ合成反応によって炭化水素化する(炭化水素化工程)。
硫黄化合物を除去したガスは、上記フィッシャー・トロプシュ合成反応に供する他、メタノール合成触媒によってメタノールに転換(メタノール転換工程)して液体燃料を製造してもよく、ジメチルエーテル合成触媒によってジメチルエーテルに転換(ジメチルエーテル転換工程)して液化燃料を製造してもよい。
上記燃料製造方法における硫黄化合物除去工程でも、ガス通過温度を600〜800℃にして、硫黄化合物の一部又は全部を単体Sに分解してもよい。この単体Sは、硫黄化合物除去工程の後、かつ炭化水素化工程の前に行われる単体S除去工程によって除去される。単体S除去工程では、硫黄化合物除去ガスに含まれる単体Sを、吸着除去、液化除去、固化除去などの除去方法によって除去する。
前記単体Sの吸着除去、液化除去、又は固化除去は、硫黄化合物除去ガスを多孔質炭素材料に通じることで行ってもよく、
単体Sが付着して多孔質炭素材料の性能が劣化したときには、多孔質炭素材料を加熱して単体Sを多孔質炭素材料から分離し、多孔質炭素材料を再生する再生工程を行ってもよい。
本発明によれば、炭素質原料のガス化で生成する可燃性ガス(CO、H2含有ガス)を処理対象にしているため、温度500℃超の条件にしても硫黄化合物除去剤(多孔質炭素材料)が燃焼・熱分解することなくガスを脱硫(硫黄化合物の除去)できる。しかも本発明によれば、細孔構造が制御された多孔質炭素材料、好ましい態様では木質系バイオマスから得られるチャーを用いているため、ガスから乾式で効果的に硫黄化合物を除去できる。なおチャーを用いた場合には、通常は廃棄されているチャーを有効利用できるため、資源保護や環境負荷軽減などの点でも優れている。さらに本発明では、好ましい態様において、温度500℃以下よりも温度500℃超にした方が、かえって硫黄化合物除去特性が向上し、例えば硫黄化合物が破過する時間をむしろ延長することができる。また好ましい態様において、硫黄化合物を除去しつづけた後で、一旦硫黄化合物の破過が生じた後でも、硫黄化合物の除去効率が急速に低下することなく、引き続き高い効率で硫黄化合物を除去し続けることができる。さらに硫黄化合物除去温度を600℃以上にすると、ガス中の硫黄化合物を単体Sまで完全に分解できる。そこで単体Sの除去処理(吸着除去、液化除去、固化除去など)と組み合わせれば、硫黄化合物をより確実に除去可能となる。なお単体Sの除去に多孔質炭素材料を使用し、この多孔質炭素材料が単体Sの除去によって劣化しても、加熱脱着処理などによって多孔質炭素材料から単体Sを分離回収でき、同時に多孔質炭素材料を繰り返し再生して使用できる。
また本発明によれば、炭素質原料のガス化によって得られる可燃性ガス(CO、H2含有ガス)を触媒反応に供して合成燃料を製造するに際して、ガス化工程と触媒反応工程の間のガス精製工程(脱硫工程;硫黄化合物除去工程)の上限温度をガス化温度下限値(通常約800℃)近辺まで上げることができるため、ガス化工程で貯えた熱のみを利用して(すなわち外部からの熱供給を受けることなく)、フィッシャー・トロプシュ合成、メタノール合成、ジメチルエーテル合成を適温(約200〜300℃)にコントロールでき、省エネルギー化や低コスト化に貢献できる。
I:多孔質炭素材料
本発明は、多孔質炭素材料を硫黄化合物除去剤として用いたガスの乾式脱硫(脱H2S、脱COS、脱CS2など)技術に関する。多孔質炭素材料は、細孔構造が制御されているため、ガスから乾式で効果的に硫黄化合物を除去できる。
多孔質炭素材料としては、活性炭、チャーなどが例示でき、好ましくはチャー、特に木質系バイオマスから得られるチャー(以下、木質系チャーという)である。木質系バイオマスは、セルロースがヘミセルロースやリグニンなどで結合された構造を有している。木質系バイオマス中でセルロース分子は整然と配列し、その間にヘミセルロースやリグニンが充填されている。なお、セルロース分子鎖は、植物中で自己集合し、規則正しく積層してミクロフィブリルを形成しており、このミクロフィブリルはさらに集合して木質繊維となる。木質系バイオマスから得られるチャーでは、規則正しいミクロフィブリル構造に起因する規則正しい細孔構造や分布を有しているためか、活性炭などに比べて比表面積や細孔容積が小さいにも拘わらず、500℃超の処理条件でも効率よく多量の硫黄化合物を除去できる。石炭チャーなどの化石燃料から得られるチャーでは、化石燃料の段階で既にミクロフィブリル構造が崩壊している。
木質系バイオマスとしては、樹木から得られる種々の木質原料が使用でき、例えば、木質チップ、木材(間伐材等)などの他、製材工場での残材、樹皮、のこ屑、枝条、梢端、建築廃材、解体材などの廃材も含まれる。
木質系チャーは、例えば、木質系バイオマスを空気や酸素富化空気で部分酸化させてガス化(即ち、COとH2を含有するガスに)した後に残存するチャーである。木質系バイオマスのガス化の詳細は後述する。ガス化後に残存するチャーは、灰分の含有量が高いためか、500℃を超える高温での硫黄化合物除去特性をさらに高めることができる。
木質系チャーの灰分含有量は、例えば、3質量%以上、好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上である。含有量の上限は、通常、50質量%以下、例えば40質量%以下、特に30質量%以下である。
多孔質炭素材料(特に木質系チャー)は、そのまま使用してもよいが、粒化することが望ましい。粒化(粒状硫黄化合物除去剤化)することによって多孔質炭素材料(特に木質系チャー)のハンドリング性を高めることができ、また処理ガス(硫黄化合物含有ガス)の通気性を高めることもできる。粒化手法は特に限定されず、適当な結合剤(例えば、水などの留去可能な液体、或いは有機又は無機バインダ)を用いた造粒法(例えば、円盤造粒法など)を採用してもよく、適当な結合剤を用いて細長く押し出した後で適当な長さに切断していく方法(押出し−切断法)を採用してもよく、分級法(例えば、篩い分け法など)を採用してもよい。分級法は手軽に粒化できる点で優れている。造粒法や押出し−切断法は、粉状チャーも捨てることなく利用できる点で優れている。粒化したときの木質系チャー(硫黄化合物除去剤)の粒径分布(振動篩い分け法による)は、例えば、全体の70質量%以上(好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上)が、目開き8mmの金網を通過し、目開き2mmの金網の上に残る程度である。
木質系チャーの諸特性は、一般的には、下記(1)〜(3)の通りである。
(1)窒素吸着等温線
木質系チャーの窒素吸着等温線は、一般的には、I型(IUPAC)を示す。I型(IUPAC)に属することは、ミクロ孔が発達した構造であることを意味する。
(2)全比表面積(BET法)
木質系チャーの全比表面積は、一般的には、200m2/g以上、好ましくは300m2/g以上、さらに好ましくは400m2/g以上である。全比表面積の上限は、賦活処理によって高めることが可能であるが、賦活処理しない場合は、例えば、800m2/g以下、好ましくは700m2/g以下、さらに好ましくは600m2/g以下程度である。木質系チャーによれば、活性炭に比べて全比表面積が小さくても、より多くの硫黄化合物を除去できる。
なお木質系チャーの全細孔容積は、一般的には、0.2〜0.5cm3/g程度、好ましくは0.25〜0.45cm3/g程度、さらに好ましくは0.30〜0.40cm3/g程度である。木質系チャーによれば、活性炭に比べて全細孔容積が小さくても、より多くの硫黄化合物を除去できる。
(3)細孔直径(BET法)
木質系チャーの平均細孔直径は、一般的には、2.0〜3.5nm程度、好ましくは2.2〜3.3nm程度、さらに好ましくは2.5〜3.0nm程度である。
本発明の多孔質炭素材料は、金属成分を含浸・乾燥等の処理によって担持しておくことが推奨される。金属成分を担持することによって、硫黄化合物の除去能を高めることができる。好ましい金属成分には、周期表2A族元素、遷移金属(特に周期表5A族元素、7A族元素、8族元素)などが挙げられる。特に好ましい金属成分は、Ca、Fe、V、Mnなど(特にCa、Feなど)である。
金属成分を含有させた多孔質炭素材料は、非酸化性ガス(例えば窒素ガス)中で焼成しておくことが望ましい。焼成しておくことによって、硫黄化合物除去特性をさらに高めることができる。焼成温度は、例えば、温度500℃超、好ましくは550〜650℃程度である。
また金属成分は、例えば、塩、水酸化物、酸化物などの形態で担持することが望ましい。塩、水酸化物は、温度500℃超に加熱したとき酸化物になると推察される。
担持後の金属成分そのものの含有量は、例えば、0.1〜70質量%程度の範囲内で選択できる。特に周期表2A族元素を担持する場合、担持後の金属元素そのものの含有量は、例えば、1〜70質量%、好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは30〜55質量%程度である。また遷移金属(特に周期表8族元素)を担持する場合、金属元素そのものの含有量は、例えば、0.1〜40質量%、好ましくは0.5〜30質量%、さらに好ましくは1〜20質量%程度である。
II:硫黄化合物除去(脱硫)
前記多孔質炭素材料は、炭素質原料(木質系バイオマス、石炭など。好ましくは木質系バイオマス)のガス化(部分酸化)で生成する可燃性ガス(CO、H2含有ガス)から高温で硫黄化合物を除去するのに効果的である。炭素質原料のガス化で得られる可燃性ガス中には酸素が殆ど含まれておらず、例えば、500℃超の高温で硫黄化合物除去処理しても、多孔質炭素材料が燃焼・熱分解等することなく、硫黄化合物を除去できる。また金属成分を担持したこと(特に担持後、焼成したこと)、木質系チャーを使用した場合の細孔構造や灰分含有量なども高温での硫黄化合物除去特性の向上に貢献し得る。
好ましい硫黄化合物除去温度は、500℃超(好ましくは550℃以上)、ガス化温度下限値以下(通常約800℃以下、好ましくは700℃以下)程度である。硫黄化合物除去温度を500℃超にすることで、硫黄化合物除去工程の温度低下を防止でき、熱効率を高めることができる。
前記硫黄化合物除去温度は、また600℃以上(特に650℃以上)にしてもよい。硫黄化合物除去温度が600℃以上になると、硫黄化合物の一部又は全部を単体Sにまで分解することができる。なおこの単体Sは、上記硫黄化合物除去とは別の除去工程を設けて、別途、除去してもよい(単体Sの別途の除去の詳細は後述する)。
ところで上述の通り、硫黄化合物除去処理では、炭素質原料のガス化で生成する可燃性ガスに元から含まれている硫黄化合物(H2S、COS)を多孔質炭素材料で吸着除去するのみならず、多孔質炭素材料と硫黄との反応(C+2S→CS2)やCOSの分解(2COS→CO2+CS2)によって生成するCS2も多孔質炭素材料で吸着除去し、さらに処理温度によっては硫黄化合物(H2S、COS、CS2など)の一部又は全部を単体Sまで完全に分解する。この硫黄化合物除去処理では、可燃性ガスの製造過程で少量に含まれたO2と多孔質炭素材料が反応してCOを生成することもでき、また水蒸気導入の場合は炭素担体がH2Oと反応してH2とCOを生成する。従って多孔質炭素材料として、可燃性ガスの製造過程で副生したチャーを使用すれば、木質バイオマスのガス化率の向上に寄与できる。
除去対象となる硫黄化合物としては、例えば、H2S、COS、CS2などが挙げられる。処理ガス中の硫黄化合物の含有量はそれぞれ、例えば、20〜1000ppm(体積基準)、好ましくは30〜700ppm(体積基準)、さらに好ましくは50〜500ppm(体積基準)である。
硫黄化合物除去後のガス中の硫黄化合物の含有量はそれぞれ、例えば、50ppm未満(体積基準)、好ましくは30ppm未満(体積基準)、さらに好ましくは20ppm未満(体積基準)、最も好ましくは10ppm以下(体積基準)(特に5ppm以下(体積基準))である。
ところで炭素質原料として木質系バイオマスを用い、そのガス化工程(部分酸化)で残留するチャーを回収すれば、このチャーを硫黄化合物除去工程の多孔質炭素材料(硫黄化合物除去剤)として使用できる。そのため通常は廃棄されるチャーを一連のプロセス内で再利用でき、資源の有効利用の点で優れている。従って、炭素質原料として木質系バイオマスを用いる場合、ガス化工程は、多孔質炭素材料(硫黄化合物除去剤)の製造工程を兼ねる。ガス化工程におけるガス化炉の運転条件は、例えば、以下の通りである。
投入炭素質原料:木質系バイオマス
導入ガス:酸素又は酸素富化空気(酸素含有量:21〜30体積%、好ましくは23〜27体積%)
燃焼部温度:約850〜1050℃
還元部温度:約750〜900℃
チャー製造量/投入炭素質原料:0.5〜10質量%、好ましくは1〜5質量%
なお前記導入ガスは、必要に応じて、水蒸気(例えば、0〜20体積%、好ましくは5〜10体積%)を含有していてもよい。
前記回収チャーはそのまま硫黄化合物除去剤として用いてもよく、粒化して粒状硫黄化合物除去剤として用いてもよい。なお粒状硫黄化合物除去剤は、金属成分が担持されていてもよい。
III:単体Sの除去(第2除去処理)
単体Sを上記硫黄化合物除去工程とは別に除去する場合、上記硫黄化合物除去処理を第1除去処理と称し、この単体Sの除去を第2除去処理と称する。第2除去処理には、吸着除去、液化除去、及び固化除去などを単独で又は適宜組み合わせて実施すればよい。好ましい第2除去処理は、第1除去処理後の単体Sを含むガスを、必要に応じて冷却した後、多孔質炭素材料に通じる処理方法である。この方法によって、単体Sが、ガスのまま、又は液化しつつ、或いは固化しつつ、多孔質炭素材料に付着(特に吸着)されることで、単体Sを除去できる。
第2除去処理の温度は、例えば、第1除去処理よりも低い温度であり、通常、単体Sの沸点(445℃)以下又は融点(α型:113℃、β型:120℃、γ型:107℃)以下の範囲から選択できる。好ましい第2除去処理の温度は、約250〜450℃である。
第2除去処理に多孔質炭素材料を使用し、この多孔質炭素材料に単体Sが付着(吸着)することで多孔質炭素材料の性能が劣化したときには、多孔質炭素材料を加熱(例えば、窒素などの不活性気流中、単体Sの沸点以上に加熱)して単体Sを多孔質炭素材料から分離し、多孔質炭素材料を再生してもよい。また加熱分離した単体Sは、適宜、回収(例えば、冷却トラップによる回収など)してもよい。
第2除去処理で使用する多孔質炭素材料は、チャーであってもよいが、活性炭も極めて好適に使用できる。第2除去処理での多孔質炭素材料は、再生して繰り返し使用できるので、材料費用が製造コストに与える影響は少ない。むしろ活性炭はチャーより充填強度に優れているので、ハンドリングの面からみると第2除去処理に適している。
IV:利用分野
上記のようにして硫黄化合物を除去した可燃性ガスは、触媒反応によって合成燃料(液化燃料、液体燃料、固体燃料など)にすることができる。例えばフィッシャー・トロプシュ(Fischer-Tropsch)合成によって炭化水素化することによって、プロパン、ブタンなどの液化燃料;ガソリン、軽油などの液体燃料;ワックスなどの固体燃料などの合成燃料にすることができる。またメタノール合成触媒やジメチルエーテル合成触媒によってメタノール(液体燃料)やジメチルエーテル(液化燃料)などに転換できる。
フィッシャー・トロプシュ触媒としては、公知のものが使用でき、例えば、Co触媒、Fe触媒、Ru触媒、Rh触媒、Mo触媒、Th触媒などが挙げられる。
メタノール合成触媒は、例えば、Cu−Zn触媒、Pd触媒などである。
ジメチルエーテル合成触媒には、例えば、Cu−Zn触媒、あるいはPd触媒へ脱水触媒であるγ−Al23やZrO2を添加や物理混合した触媒などが含まれる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
I:粒状木質系チャー(硫黄化合物除去剤)の製造
実施例1(無担持木質系チャーの製法)
独立行政法人産業技術総合研究所バイオマス研究センターにおいて、BTL(Biomass to liquids)ベンチプラント(固定床ダウンドラフト型ガス化炉)を用い、下記仕様の木質系バイオマス(ガス化原料)を投入し、下記条件で6時間に亘って連続的にガス化した。
(i)ガス化原料
材料名:ユーカリチップ
形状:30mm×30mm×30mm
元素分析値(無水無灰基準):C 51.0質量%、H 6.0質量%、N 0.2質量%、S 0.015質量%、O 42.8質量%[diff.]
工業分析値:水分 10.5質量%、揮発分 73.1質量%、固定炭素 15.8質量%、灰分 0.6質量%
(ii)ガス化条件
ユーカリチップ投入速度:9kg/h
導入ガス:酸素富化空気(酸素濃度25体積%)
導入ガス流量:9.4Nm3/h
ガス化炉内燃焼部温度:900〜1000℃
ガス化炉内還元部温度:800〜850℃
ガス化炉下部に設置されているチャー抜き出し口から約2時間間隔でチャーを取り出した。6時間分のチャー(合計1.8kg)を均一に混合した後、篩分けして目開き2〜4mmの間の粒状物(つまり目開き4mmの篩を通過し、目開き2mmの篩の上に載ったチャー)を硫黄化合物除去剤として回収した(以下、「Char」と称する場合がある)。
得られた粒状木質系チャー(硫黄化合物除去剤)の灰分含量及び細孔特性を以下のようにして調べた。また比較のため、市販の活性炭A(直径3〜4mm、長さ2〜10mmの円柱状造粒品。以下「AC−A」と称する場合がある)の細孔特性も調べた。
(1)灰分含量
測定試料(1〜2g)を空気雰囲気下、温度550℃で重量変化がなくなるまで処理し、処理前後の重量変化から灰分含量を求めた。粒状木質系チャー(Char)の灰分含量は4.7質量%(乾燥質量基準)であり、AC−Aの灰分含量は8.7質量%(乾燥質量基準)であった。
(2)窒素吸着等温線
測定試料(0.1〜0.2g)を温度120℃で6時間真空乾燥し、さらに一夜、室温で真空乾燥した後、正確に秤量した。日本ベル社製の自動ガス/蒸気吸着量測定装置(BELSORP18)を用い、吸着ガスを窒素にして定容法により温度77Kの吸脱着の自動測定を行ない、測定試料の窒素吸着等温線を求めた。
結果を図1に示す。この図1から明らかなように、粒状木質系チャー(Char)及びAC−AはいずれもI型(IUPAC)の窒素吸着等温線を示しており、ミクロ孔が発達した構造である。
(3)全比表面積(S)
前記窒素吸着等温線のデータをもとに、前記BELSORP18が内蔵するBELSORP解析ソフトウェア(BET法)を用いて得られたBET−Plot曲線から、相対圧(p/p0)約0.05〜0.15、C値100〜200の範囲内で近似直線を求め、自動計算により全比表面積(S)を算出した。なおC値とは吸着熱を示し、炭素の窒素吸着ではC値が100〜200を示す場合、妥当な比表面積が得られる。全比表面積(S)の算出結果を表1に示す。
(4)全細孔容積(V)
前記BELSORP18が内蔵するBELSORP解析ソフトウェア(BET法)を用い、窒素吸着等温線データから全細孔容積(V)を求めた。粒状木質系チャー(Char)の場合は相対圧(p/p0)0.96のときの窒素吸着量から全細孔容積(V)を求め、AC−Aの場合は相対圧(p/p0)0.90のときの窒素吸着量から全細孔容積(V)を求めた。結果を表1に示す。
(5)平均細孔直径(D)
上記で求めた全細孔容積(V)と全比表面積(S)に基づき、細孔構造が円筒型であると仮定したときの関係式(D=4000V/S)から平均細孔直径(D)を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2009185271
表1より明らかなように、粒状木質系チャー(Char)はAC−Aに比べて、全比表面積(S)と全細孔容積(V)が小さく、平均細孔直径(D)が大きい。
(6)細孔分布(ミクロ孔分布、メソ孔分布)
細孔形状をスリット型に仮定した場合のミクロ孔(細孔直径0〜2.0nmの細孔)の分布をMP法(BELSORP解析ソフトウェア)によって求めた。また細孔形状をシリンダー状に仮定した場合のメソ孔(細孔直径2〜50nm(細孔半径1〜25nm)の細孔)の分布をDH法(BELSORP解析ソフトウェア)によって求めた。ミクロ孔分布を図2に示し、メソ孔分布を図3に示す。
図2、図3より明らかなように、粒状木質系チャー(Char)と活性炭は、細孔分布が異なる。全体的に前者の方が後者に比べてメソ孔が多く含まれている。
実施例2(Fe担持木質系チャーの製造)
前記実施例1と同様にして作製した目開き2〜4mmの間の粒状木質系チャー(Char)20gをナス型フラスコ(500ml)に入れた。Fe(NO33・9H2O(硝酸第二鉄九水和物)28.85g(Fe含量:4.0g)を82.7gの水に溶かして調製した15.5質量%のFe(NO33水溶液(Fe3+イオン濃度:3.6質量%)を前記ナス型フラスコに注入した。ナス型フラスコをロータリーエバポレーターに接続し、ナス型フラスコを回転させながら真空引きと大気開放操作を30分間の間に3回繰り返した。次いで、ナス型フラスコを温度60℃のオイルバスにつけながら回転させ、試料表面とフラスコ内壁に水気がなくなるまで真空乾燥することによってFeを含浸させた。含浸処理後のチャーを取り出し、105℃のオーブンで2時間乾燥し、さらに管状焼成炉に移して窒素気流中600℃で2時間焼成処理した後、室温まで冷却することによってFe担持木質系チャー(以下、「Fe/Char」と称する場合がある)を製造した。
実施例3
内径10mm、加熱部長さ300mmの石英反応管に実施例2で得られたFe担持木質系チャー(Fe/Char)1.00gを充填した。この石英反応管を600℃の電気炉にセットし、石英反応管内にH2SとCOSを含むN2ガス(H2S濃度:100ppm(体積基準)、COS濃度:100ppm(体積基準))をマスフローコントローラーで制御しながら流速100ml/minで通過させた。通過後のガス中のH2S濃度、COS濃度は、ガスクロマトグラフィー(6890 Series Gas Chromatograph、Agilent Technologies社製、サンプルループ:5ml、カラム:HP PLOT/Qキャピラリーカラム30m、スプリット比14.4:1、オーブン温度120℃、キャリアガス:He、流速3.6ml/min、検出器:FPD、250℃)を用いたオンサイドの連続測定をすることによって求めた。石英反応管出口とガスクロマトグラフィー入口を直結する配管は、温度60℃になるようにリボンヒーターで保温した。また、石英反応管内で生成するCS2のガス中濃度についても同様にして測定した。なお硫黄化合物除去実験における破過時間は、H2S、COS、及びCS2の濃度がそれぞれ1ppm(体積基準;第1レベル)又は50ppm(体積基準;第2レベル)に到達するまでかかった時間で定義した。
実施例4
木質系チャーに代えて活性炭(AC−A)20gを使用する以外は実施例2と同様にして、活性炭にFeを担持した(Fe/AC−A)。内径10mm、加熱部長さ300mmの石英反応管にこのFe担持活性炭(Fe/AC−A)1.00gを充填し、実施例3と同様にして、硫黄化合物(H2S、COS及びCS2)の破過時間を調べた。
実施例5
石英反応管をセットする電気炉の温度を800℃にする以外は、実施例3と同様にした。
実施例6
Fe担持チャーに代えて、実施例1で得られたChar(無担持チャー)を使用する以外は、実施例3と同様にした。
比較例1
石英反応管をセットする電気炉の温度を400℃にする以外は、実施例3と同様にした。
比較例2
石英反応管をセットする電気炉の温度を400℃にする以外は、実施例4と同様にした。
実施例3〜6及び比較例1〜2の結果を表2及び図4〜図5に示す。
Figure 2009185271
比較例1〜2より明らかなように温度400℃では、多孔質炭素材料の種類を問わず、硫黄化合物が破過した後は硫黄化合物除去特性が急速に劣化する。これに対して、実施例3〜4の600℃では、それぞれの多孔質炭素材料の破過時間を延長できるだけでなく、硫黄化合物濃度が1ppm以上になって第1レベル基準で破過が生じた後でも、硫黄化合物除去特性が急速に劣化することなく、硫黄化合物を除去し続けることができる。さらに温度を上げて800℃で処理すると(実施例5)、144時間経過するまでH2S、COS及びCS2のいずれも全く検出されず(検出限界:0.005ppm)、非常に優れた硫黄化合物除去効果を示した。
ところで硫黄化合物除去温度が600℃以上の例(実施例)では、いずれの多孔質炭素材料を用いても処理時間の経過につれて、石英反応管出口付近の内壁に白い物質が析出し、堆積していった。この白い物質は、元素分析により単体Sであることが確認された。この結果から、600℃以上の処理では、全ての硫黄化合物が多孔質炭素材料と接触分解して、単体Sまで分解することがわかる。また、前記実施例5の800℃処理では、この単体Sへの分解反応が略完全に行なわれていると推定できる。
また、実施例6から、Feを担持しない場合においてもCharにはかなりの硫黄化合物除去効果があり、温度を上げることによって、更なる硫黄化合物除去効果が期待できる。無担持チャーを用いた場合には、チャーへの金属担持工程が省かれ、プロセス全体のコストダウンに有利になる。
本発明の硫黄化合物除去技術は、炭素質原料から得られる可燃性ガスからの硫黄化合物除去に有利に利用でき、特に前記可燃性ガスを経由した合成燃料の製造にも有利に利用できる。
図1は粒状木質系チャー(Char)及び活性炭(AC−A)についての窒素吸着等温線を示す。 図2は粒状木質系チャー(Char)及び活性炭(AC−A)についてのミクロ孔領域における細孔分布を示す。 図3は粒状木質系チャー(Char)及び活性炭(AC−A)についてのメソ孔領域における細孔分布を示す。 図4は実施例3〜5及び比較例1〜2の硫黄化合物除去実験における経過時間とH2Sの反応管出口濃度との関係を示すグラフである。 図5は実施例3〜5及び比較例1〜2の硫黄化合物除去実験における経過時間とCOSの反応管出口濃度との関係を示すグラフである。

Claims (23)

  1. 炭素質原料のガス化で生成する可燃性ガスを温度500℃超で多孔質炭素材料に通じ、可燃性ガス中の硫黄化合物を除去する硫黄化合物除去工程を有することを特徴とする硫黄化合物除去方法。
  2. 前記多孔質炭素材料は、金属成分を担持したものである請求項1に記載の硫黄化合物除去方法。
  3. 前記多孔質炭素材料は、金属成分を含有した状態で非酸化性ガス中で焼成されたものである請求項1に記載の硫黄化合物除去方法。
  4. 前記金属成分がFe又はCaである請求項2又は3に記載の硫黄化合物除去方法。
  5. 前記多孔質炭素材料は、粒化されたものである請求項1〜4のいずれかに記載の硫黄化合物除去方法。
  6. 前記多孔質炭素材料は、木質系バイオマスから得られるチャーである請求項1〜5のいずれかに記載の硫黄化合物除去方法。
  7. 前記チャーの灰分含有量が3〜50質量%である請求項6に記載の硫黄化合物除去方法。
  8. 前記チャーは、その窒素吸着等温線がI型(IUPAC)を示すものである請求項6又は7に記載の硫黄化合物除去方法。
  9. 前記チャーは、全比表面積が200m2/g以上、平均細孔直径が2.0〜3.5nm
    である請求項6〜8のいずれかに記載の硫黄化合物除去方法。
  10. 前記硫黄化合物がH2S、COS、及びCS2から選択される少なくとも一種である請求項1〜9のいずれかに記載の硫黄化合物除去方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかにおいて、硫黄化合物除去工程のガス通過温度を600〜800℃にして、硫黄化合物の一部又は全部を単体Sに分解する方法であって、
    硫黄化合物除去ガスに含まれる単体Sを、さらに吸着除去、液化除去、及び固化除去のいずれか一種以上の除去方法によって除去する硫黄化合物除去方法。
  12. 木質系バイオマスから得られるチャーを粒化した粒状硫黄化合物除去剤。
  13. 金属成分が担持されている請求項12に記載の粒状硫黄化合物除去剤。
  14. 金属成分を含有した状態で非酸化性ガス中で焼成されたものである請求項12に記載の粒状硫黄化合物除去剤。
  15. 木質系バイオマスを空気又は酸素富化空気で部分酸化させてCOとH2を含有するガスに転換するとともに、残留するチャーを回収する回収工程、
    前記COとH2を含有するガスを、前記回収したチャー、又は回収チャーから得られる粒状硫黄化合物除去剤に温度500℃超で通過させることによってガス中に含まれる硫黄化合物を除去する硫黄化合物除去工程、及び
    硫黄化合物を除去したガスをフィッシャー・トロプシュ合成反応によって炭化水素化する炭化水素化工程から構成されることを特徴とする合成燃料製造方法。
  16. 前記硫黄化合物除去工程のガス通過温度を600〜800℃にして、硫黄化合物の一部又は全部を単体Sに分解し、
    硫黄化合物除去工程の後、かつ炭化水素化工程の前に、硫黄化合物除去ガスに含まれる単体Sを、さらに吸着除去、液化除去、及び固化除去のいずれか一種以上の除去方法によって除去する単体S除去工程を行うことを特徴とする請求項15に記載の合成燃料製造方法。
  17. 前記単体Sの吸着除去、液化除去、又は固化除去は、硫黄化合物除去ガスを多孔質炭素材料に通じることで行うこととし、
    単体Sが付着して多孔質炭素材料の性能が劣化したときには、多孔質炭素材料を加熱して単体Sを多孔質炭素材料から分離し、多孔質炭素材料を再生する再生工程を行う請求項16に記載の合成燃料製造方法。
  18. 木質系バイオマスを空気又は酸素富化空気で部分酸化させてCOとH2を含有するガスに転換するとともに、残留するチャーを回収する回収工程、
    前記COとH2を含有するガスを、前記回収したチャー、又は回収チャーから得られる粒状硫黄化合物除去剤に温度500℃超で通過させることによってガス中に含まれる硫黄化合物を除去する硫黄化合物除去工程、及び
    硫黄化合物を除去したガスをメタノール合成触媒によってメタノールに転換するメタノール転換工程から構成されることを特徴とする液体燃料の製造方法。
  19. 前記硫黄化合物除去工程のガス通過温度を600〜800℃にして、硫黄化合物の一部又は全部を単体Sに分解し、
    硫黄化合物除去工程の後、かつ炭化水素化工程の前に、硫黄化合物除去ガスに含まれる単体Sを、さらに吸着除去、液化除去、及び固化除去のいずれか一種以上の除去方法によって除去する単体S除去工程を行うことを特徴とする請求項18に記載の液体燃料の製造方法。
  20. 前記単体Sの吸着除去、液化除去、又は固化除去は、硫黄化合物除去ガスを多孔質炭素材料に通じることで行うこととし、
    単体Sが付着して多孔質炭素材料の性能が劣化したときには、多孔質炭素材料を加熱して単体Sを多孔質炭素材料から分離し、多孔質炭素材料を再生する再生工程を行う請求項19に記載の液体燃料の製造方法。
  21. 木質系バイオマスを空気又は酸素富化空気で部分酸化させてCOとH2を含有するガスに転換するとともに、残留するチャーを回収する回収工程、
    前記COとH2を含有するガスを、前記回収したチャー、又は回収チャーから得られる粒状硫黄化合物除去剤に温度500℃超で通過させることによってガス中に含まれる硫黄化合物を除去する硫黄化合物除去工程、及び
    硫黄化合物を除去したガスをジメチルエーテル合成触媒によってジメチルエーテルに転換するジメチルエーテル転換工程から構成されることを特徴とする液化燃料の製造方法。
  22. 前記硫黄化合物除去工程のガス通過温度を600〜800℃にして、硫黄化合物の一部又は全部を単体Sに分解し、
    硫黄化合物除去工程の後、かつ炭化水素化工程の前に、硫黄化合物除去ガスに含まれる単体Sを、さらに吸着除去、液化除去、及び固化除去のいずれか一種以上の除去方法によって除去する単体S除去工程を行うことを特徴とする請求項21に記載の液化燃料の製造方法。
  23. 前記単体Sの吸着除去、液化除去、又は固化除去は、硫黄化合物除去ガスを多孔質炭素材料に通じることで行うこととし、
    単体Sが付着して多孔質炭素材料の性能が劣化したときには、多孔質炭素材料を加熱して単体Sを多孔質炭素材料から分離し、多孔質炭素材料を再生する再生工程を行う請求項22に記載の液化燃料の製造方法。
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