JP2009178129A - 移植片対宿主病関連遺伝子 - Google Patents

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Abstract

【課題】移植片対宿主病(GVHD)関連遺伝子、特に臍帯血細胞移植後に発症したGVHDの関連遺伝子を提供する。
【解決手段】GVHD関連遺伝子は、以下の(a)又は(b)のDNAを含む遺伝子である。(a)特定の塩基配列からなるDNA。(b)上記(a)のDNAに対し相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ移植片対宿主病関連遺伝子のmRNAを検出し得る機能を有するDNA。
【選択図】なし

Description

本発明は、同種移植時の免疫反応に関与する遺伝子、特に移植片対宿主病に関与する遺伝子に関する。
また本発明は、当該遺伝子DNAの一部を含むオリゴヌクレオチド、及び当該オリゴヌクレオチドを搭載したDNAマイクロアレイ、並びにこれらを用いた移植片対宿主病関連遺伝子のmRNAの検出方法や、これらを含む移植片対宿主病の診断又は治療用医薬組成物などに関する。
骨髄移植は、骨髄バンクの整備などによって、造血器悪性腫瘍を主とする様々な難治性疾患に対する根治療法として確立されてきた。しかしながら、半分以上の患者についてはヒト白血球型抗原(Human Leukocyte Antigen: HLA)一致ドナーが存在せず対象となり得ない。一方、臍帯血移植は、生着不全、移植後の造血回復遅延などの問題点があるものの、HLAの1〜2座不一致が許容され、拒絶反応である移植片対宿主病(graft-versus-host disease: GVHD)(非特許文献1)が起こりにくいという長所を持つため、HLA一致ドナーが存在しない成人患者に対する選択肢として、急速に普及してきている。
GVHDは、ホストの抗原提示細胞によるドナー由来T細胞の活性化、エフェクター細胞への分化が引き金となり発生する。一方で、ドナー由来T細胞は移植片の生着を促進して、抗腫瘍効果を担うgraft-versus-leukemia(GVL)効果を増強する重要な役割を果たすことが判明している。臍帯血移植では、臍帯血中に含まれるT細胞の絶対数が少ないばかりか、T細胞の主体がナイーブT細胞(naive T cell)であるためGVL効果に乏しいことが当初危惧されたが、腫瘍の再発抑制は骨髄移植と同程度の効果であることが判明している。臍帯血移植では、移植後のNK細胞の回復が骨髄移植に比べて早く、これらの細胞が早期のGVL効果を担っていると考えられる。
一旦発症したGVHDのうちステロイド治療に反応しない症例は予後が不良である。そのため、GVL効果を保持する一方で、GVHDを効果的に抑制する新規治療法の開発が切望されている。
しかしながら、臍帯血移植はいまだ施行症例数が少なく、そのGVHDの病態に対する理解は極めて不十分である。特に、臍帯血細胞移植後に発症したGVHDの病因に関与する遺伝子群については、何ら同定がされていなかった。
Yasunori Ichiki et al., T cell immunity and graft-versus-host disease (GVHD), Autoimmunity Reviews, vol. 5, p. 1-9, 2006
そこで、本発明が解決しようとする課題は、移植片対宿主病(GVHD)関連遺伝子、特に臍帯血細胞移植後に発症したGVHDの関連遺伝子を同定し提供することにある。また、GVHD関連遺伝子DNAの一部を含むオリゴヌクレオチド、及び当該オリゴヌクレオチドを搭載したDNAマイクロアレイ、並びにこれらを用いたGVHD関連遺伝子のmRNAの検出方法や、これらを含むGVHDの診断又は治療用医薬組成物などを提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、臍帯血細胞移植後に発症したGVHDに関連する遺伝子群として、55種類の遺伝子(配列番号1〜55)を同定することに成功し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1) 以下の(a)又は(b)のDNAを含む移植片対宿主病関連遺伝子。
(a) 配列番号1〜55に示される塩基配列からなるDNA
(b) 上記(a)のDNAに対し相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ移植片対宿主病関連遺伝子のmRNAを検出し得る機能を有するDNA
本発明の遺伝子において、前記移植片対宿主病としては、例えば、臍帯血細胞移植後に発症したものが挙げられる。
(2) 以下の(a)若しくは(b)のDNAの塩基配列及び/又は該DNAの塩基配列と相補的な塩基配列の一部を含むオリゴヌクレオチド。
(a) 配列番号1〜55に示される塩基配列からなるDNA
(b) 上記(a)のDNAに対し相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ移植片対宿主病関連遺伝子のmRNAを検出し得る機能を有するDNA
本発明のオリゴヌクレオチドにおいて、前記移植片対宿主病としては、例えば、臍帯血細胞移植後に発症したものが挙げられる。
(3) 上記(2)のオリゴヌクレオチドからなるプローブが搭載されたDNAマイクロアレイ。
(4) 上記(2)のオリゴヌクレオチド及び/又は上記(3)のDNAマイクロアレイを含む、移植片対宿主病の診断又は治療用医薬組成物。
(5) 上記(2)のオリゴヌクレオチド及び/又は上記(3)のDNAマイクロアレイを含む、移植片対宿主病関連遺伝子のmRNAの検出用組成物。
上記(4)及び(5)の組成物において、前記移植片対宿主病としては、例えば、臍帯血細胞移植後に発症したものが挙げられる。
(6) 上記(2)のオリゴヌクレオチド及び/又は上記(3)のDNAマイクロアレイを用いて、移植片対宿主病関連遺伝子のmRNAを検出する方法。
(7) 上記(2)のオリゴヌクレオチド及び/又は上記(3)のDNAマイクロアレイを含む、移植片対宿主病の診断又は治療用キット。
(8) 上記(2)のオリゴヌクレオチド及び/又は上記(3)のDNAマイクロアレイを含む、移植片対宿主病関連遺伝子のmRNAの検出用キット。
上記(7)及び(8)のキットにおいて、前記移植片対宿主病としては、例えば、臍帯血細胞移植後に発症したものが挙げられる。
本発明によれば、GVHDの関連遺伝子、具体的には、55種類もの臍帯血細胞移植後に発症したGVHDの関連遺伝子(配列番号1〜55)を同定し提供することができる。また、本発明によれば、同定されたGVHD関連遺伝子に基づいて、当該遺伝子DNAの一部を含むオリゴヌクレオチド、及び当該オリゴヌクレオチドを搭載したDNAマイクロアレイ、並びにGVHD関連遺伝子のmRNAの検出方法及び検出用キットや、GVHDの診断又は治療用の医薬組成物及びキット等を提供することもできる。
本発明のGVHD関連遺伝子は、GVHD、特に臍帯血細胞移植後に発症したGVHDの治療に関するターゲット遺伝子となり得る点で、極めて有用なものである。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更し実施することができる。
1.本発明の概要
移植片対宿主病(GVHD)の病因に関与する遺伝子群の同定をするため、サイトカイン、サイトカインレセプター、ケモカイン、ケモカインレセプター、接着分子、NK細胞関連レセプター・リガンド、シグナル伝達分子などの615種類の遺伝子と、ポジティブコントロールとなる8種類の遺伝子とを特異的に検出するキャプチャープローブを搭載したDNAマイクロアレイ(繊維型オリゴヌクレオチドマイクロアレイ「Genopal(登録商標)」、三菱レイヨン社製)を作製した。ポジティブコントロール及びネガティブコントロールを含めた全ての遺伝子に対するキャプチャープローブは、鎖長70塩基の合成オリゴヌクレオチドで、融解温度(Tm)はほぼ同一であり、標的遺伝子のmRNAの3'末端側より1,500塩基以内の領域に特異的に結合するように、専用ソフトウェアを用いて設計したものである。
臍帯血移植後に急性GVHDを発症した血液性悪性疾患(白血病、悪性リンパ腫等)患者5名から、発症時及び治癒後に末梢血を採取し、末梢単核球をMACSビーズ(ミルテニーバイオテック社製)により精製し、ヘルパーT細胞(CD4+)、細胞障害性T細胞(CD8+)、単球(CD14+)及びNK細胞(CD56+)の画分をそれぞれ得た。これらの各分画について、上述したDNAマイクロアレイを用いてGVHD反応に伴う遺伝子発現プロファイルの変化を検討した。マイクロアレイデータは、ネガティブコントロール(LambdaA)の値を引いた後、蛍光強度が100以下の水準を閾値以下として、統計解析処理から除外した。さらに、マイクロアレイごとにlowessの方法により規格化を行い、significance analysis of microarray(SAM)(Tucher VG et al, Proc Natl Acad Sci U S A. 2001 Apr 24;98(9):5116-21;http://www-stat.stanford.edu/~tibs/SAM/)により、急性GVHDの発症時と治癒後とで、発現量において統計的に有意変化を示す遺伝子群を抽出した。
ここで、遺伝子発現量の有意変化の基準は、以下の3点とした。
・変化量(M fit Mean;lowess Normalization後): |mean (M lowess)|>0.5
・False Discovery rate(SAM): q値(lowess false discovery rate)<10
・シグナル強度の変化値: 1500以上
抽出した遺伝子群をリストアップすると、以下の通りであった(下記表1〜4参照)。
・ヘルパーT細胞(CD4+)分画における42遺伝子
・細胞障害性T細胞(CD8+)分画における24遺伝子
・単球(CD14+)分画における13遺伝子
・NK細胞(CD56+)分画における9遺伝子
これらの遺伝子については、各細胞分画間で共通な遺伝子もあり(共通なものをまとめると合計55種類)、これらの有意変化を示す遺伝子変動の傾向(増加、減少)は分画間で共通の傾向を示していた。これらの遺伝子群を機能別に分類すると、インターフェロンγ経路に関連するものが多く、その他は走化性因子、炎症関連因子、増殖関連因子、転写因子などが含まれることが分かった。また、有意変化を示した遺伝子のいくつかについて定量PCR解析を行ったところ、マイクロアレイ解析と良好な一致が認められた(下記表5及び図3参照)。
本発明は、これらの知見に基づいて見出されたものである。なお、本項(本発明の概要)の記載は、後述する実施例の説明記載においても適用され得るものである。
2.移植片対宿主病(GVHD)関連遺伝子
本発明のGVHD関連遺伝子は、以下の(a)又は(b)のDNAを含む遺伝子であり、好ましくは、臍帯血細胞移植後に発症したGVHDに関連する遺伝子である。なお、以下の(a)及び(b)のDNAは、いずれも各種タンパク質の構造遺伝子のみであってもよいし、それ以外の塩基配列を含むものであってもよく、また、当該DNAを含む本発明の遺伝子としては、当該DNAのみからなるものであってもよいし、当該DNAを一部に含み、その他に遺伝子発現に必要な公知の塩基配列(例えば、転写プロモーター、SD配列、Kozak配列、ターミネーター等)をも含むものであってもよく、限定はされない。
(a) 配列番号1〜55に示される塩基配列からなるDNA
(b) 上記(a)のDNAに対し相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ移植片対宿主病関連遺伝子のmRNAを検出し得る機能を有するDNA
上記(a)のDNAは、下記表6に列挙した配列番号1〜55のうちのいずれかに示される塩基配列からなるDNAである。表6では、前述した55種類の遺伝子それぞれについて、配列番号、遺伝子名、及びGenBank(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/ から取得可能)のAccession number(アクセッション番号)が示され、さらに、遺伝子発現が有意変化を示す画分が「○」印で示されている。ここで、2種以上(好ましくは3種、より好ましくは4種)の画分において発現が有意変化を示す遺伝子は、GVHD関連遺伝子として特に重要であると言える。
上記(b)のDNAは、上記(a)のDNA若しくはそれと相補的な塩基配列からなるDNA、又はこれらを断片化したものをプローブとして用い、コロニーハイブリダイゼーション、プラークハイブリダイゼーション、及びサザンブロット等の公知のハイブリダイゼーション法を実施し、cDNAライブラリーやゲノムライブラリーから得ることができる。ライブラリーは、公知の方法で作製されたものを利用してもよいし、市販のcDNAライブラリーやゲノムライブラリーを利用してもよく、限定はされない。
ハイブリダイゼーション法の詳細な手順については、Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ed. (Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)等を適宜参照することができる。
ハイブリダイゼーション法を実施における「ストリンジェントな条件」とは、ハイブリダイゼーション後の洗浄時の条件であって、バッファーの塩濃度が48〜780mM、温度が37〜80℃、好ましくは塩濃度が97.5〜380mM、温度が50〜75℃の条件を意味し、具体的には、例えば塩濃度が195mM、温度65℃等の条件を挙げることができる。さらに、このような塩濃度や温度等の条件に加えて、プローブ濃度、プローブの長さ、反応時間等の諸条件も考慮し、上記(b)のDNAを得るための条件を適宜設定することができる。
ハイブリダイズするDNAとしては、上記(a)のDNAの塩基配列に対して少なくとも40%以上の相同性を有する塩基配列であることが好ましく、より好ましくは60%、さらに好ましくは80%以上、さらにより好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上である。
なお、上記(b)のDNAは、GVHD関連遺伝子のmRNAを検出し得る機能を有するDNAであることが重要である。当該機能は、上述のハイブリダイズするDNAとしての物性により発揮され得るものである。
上記(b)のDNAとしては、例えば、上記(a)のDNAと比較して、塩基配列については完全に同一ではないが、翻訳された後のアミノ酸配列については完全に同一となるような塩基配列からなるDNA(すなわち上記(a)のDNAにサイレント変異が施されたDNA)が好ましい。このような変異型のDNAは、例えば、Molecular Cloning, A Laboratory Manual 2nd ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)、Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons (1987-1997) 等に記載の部位特異的変位誘発法に準じて調製することができる。具体的には、Kunkel法や Gapped duplex法等の公知手法により、部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キットを用いて調製することができ、当該キットとしては、例えば、QuickChangeTM Site-Directed Mutagenesis Kit(ストラタジーン社製)、GeneTailorTM Site-Directed Mutagenesis System(インビトロジェン社製)、TaKaRa Site-Directed Mutagenesis System(Mutan-K、Mutan-Super Express Km等:タカラバイオ社製)等が好ましく挙げられる。また、所望のアミノ酸のコドンを示す塩基となるようにミスセンス変異が導入されるように設計したPCRプライマーを用い、上記(a)のDNA等をテンプレートとして、適当な条件下でPCRを行うことにより調製することもできる。PCRに用いるDNAポリメラーゼは、限定はされないが、正確性の高いDNAポリメラーゼであることが好ましく、例えば、Pwo DNA(ポリメラーゼロシュ・ダイアグノスティックス)、Pfu DNAポリメラーゼ(プロメガ)、プラチナPfx DNAポリメラーゼ(インビトロジェン)、KOD DNAポリメラーゼ(東洋紡)、KOD-plus-ポリメラーゼ(東洋紡)等が好ましい。PCRの反応条件は、用いるDNAポリメラーゼの最適温度、合成するDNAの長さや種類等により適宜設定すればよいが、例えば、サイクル条件であれば「90〜98℃で5〜30秒(熱変性・解離)→50〜65℃で5〜30秒(アニーリング)→65〜80℃で30〜1200秒(合成・伸長)」を1サイクルとして合計20〜200サイクル行う条件が好ましい。
3.オリゴヌクレオチド
本発明のオリゴヌクレオチドは、前述した(a)若しくは(b)のDNAの塩基配列、及び/又は該DNAの塩基配列と相補的な塩基配列の一部を含むオリゴヌクレオチドである。
ここで、塩基配列の一部とは、当該塩基配列の全体を除く任意の領域の塩基配列を意味するものであり、塩基長は、特に限定はされないが、例えば、15塩基以上、好ましくは20塩基以上、より好ましくは21塩基以上、さらに好ましくは30塩基以上、さらに好ましくは40塩基以上、さらに好ましくは50塩基以上、さらにより好ましくは60塩基以上、特に好ましくは70塩基以上である。
本発明のオリゴヌクレオチドは、前述した(a)のDNA(55種類)のうちの特定のDNAを含む遺伝子と、特異的に結合する(ハイブリダイズする)ものであることが好ましい。このように特異的に結合することにより、後述するGVHDの診断又は治療、あるいはGVHD関連遺伝子のmRNAの検出、さらにはGVHD関連遺伝子の転写やmRNAの翻訳の抑制などに関する用途に好適に使用することができる。当該オリゴヌクレオチドとしては、例えば、配列番号56〜110に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドが好ましく挙げられる。配列番号56〜110に示される塩基配列からなるオリゴヌクレオチドは、それぞれ順に、配列番号1〜55に示される塩基配列からなるDNAを含むGVHD関連遺伝子と、特異的かつ高選択的に結合するものである。
本発明のオリゴヌクレオチドの取得方法は、特に限定はされないが、例えば、前述した(a)若しくは(b)のDNAの塩基配列、又は該DNAの塩基配列と相補的な塩基配列を鋳型としてPCRを行い、所望の一部の塩基配列領域の増幅する方法や、公知のDNA切断方法を用いて所望の一部の塩基配列を得る方法、公知の各種DNA合成機を用いて所望の一部の塩基配列を得る方法等が挙げられる。
4.DNAマイクロアレイ
本発明のDNAマイクロアレイ(DNAチップ)は、上述した本発明のオリゴヌクレオチドからなるプローブ(キャプチャープローブ)が搭載されたものである。
本発明のDNAマイクロアレイは、支持体上に、本発明のオリゴヌクレオチドプローブが固定されたものであれば、限定はされない。例えば、前述した各種GVHD関連遺伝子(55種類)に由来する各々のmRNAとハイブリダイズし得るプローブをそれぞれ支持体に固定しておくことにより、複数のGVHD関連遺伝子の発現の検出や定量を同時に行うことができる。
DNAマイクロアレイについて、その支持体の形態は、限定はされず、平板、棒状、ビーズ等のいずれの形態のものも使用できる。支持体として、平板を使用する場合は、その平板上に、所定の間隔もって、所定のプローブを種類毎に固定することができる(スポッティング法等;Science 270, 467-470 (1995)等参照)。また、平板上の特定の位置で、所定のプローブを種類毎に逐次合成していくこともできる(フォトリソグラフィー法等;Science 251, 767-773 (1991)等参照)。他の好ましい支持体の形態としては、中空繊維を使用するものが挙げられる。支持体として中空繊維を使用する場合は、所定のプローブを種類毎に各中空繊維に固定し、すべての中空繊維を集束させ固定した後、繊維の長手方向で切断を繰り返すことにより得られるマイクロアレイ(以下「繊維型マイクロアレイ」という)が好ましく例示できる。このマイクロアレイは、貫通孔基板に核酸を固定化したタイプのものと説明することができ、いわゆる「貫通孔型マイクロアレイ」とも言われる(特許第3510882号公報等を参照、図1)。
支持体へのプローブの固定方法は、限定はされず、どのような結合様式でもよい。また、支持体に直接固定することに限定はされず、例えば、予め支持体をポリリジン等のポリマーでコーティング処理し、処理後の支持体にプローブを固定することもできる。さらに、支持体として中空繊維等の管状体を使用する場合は、管状体にゲル状物を保持させ、そのゲル状物にプローブを固定することもできる。
以下、繊維型マイクロアレイについて、詳細に説明する。このマイクロアレイは、例えば、下記(i)〜(iv)の工程を経て作製することができる。
(i) 複数本の中空繊維を、中空繊維の長手方向が同一方向となるように3次元に配列して配列体を製造する工程
(ii) 前記配列体を包埋し、ブロック体を製造する工程
(iii) オリゴヌクレオチドプローブを含むゲル前駆体重合性溶液を前記ブロック体の各中空繊維の中空部に導入して重合反応を行い、プローブを含むゲル状物を中空部に保持させる工程
(iv) 中空繊維の長手方向と交差する方向で切断して、ブロック体を薄片化する工程
中空繊維に使用される材料としては、限定はされないが、例えば、特開2004-163211号公報等に記載の材料が好ましく挙げられる。
中空繊維は、その長手方向の長さが同一となるように3次元に配列される(工程(i))。配列方法としては、例えば、粘着シート等のシート状物に複数本の中空繊維を所定の間隔をもって平行に配置し、シート状とした後、このシートを螺旋状に巻き取る方法(特開平11-108928号公報を参照)や、複数の孔が所定の間隔をもって設けられた多孔板2枚を孔部が一致するように重ね合わせ、それらの孔部に中空繊維を通過させ、その後2枚の多孔板の間隔を開いて仮固定し、2枚の多孔板間における中空繊維の周辺に硬化性樹脂原料を充満させて硬化させる方法(特開2001-133453号公報を参照)などが挙げられる。
製造された配列体はその配列が乱れないように包埋される(工程(ii))。包埋の方法としては、ポリウレタン樹脂及びエポキシ樹脂等を繊維間の隙間に流し込む方法のほか、繊維どうしを熱融着により接着する方法等が好ましく挙げられる。
包埋された配列体には、各中空繊維の中空部に、オリゴヌクレオチドプローブを含むゲル前駆体重合性溶液(ゲル形成溶液)を充填し、中空部内で重合反応を行う(工程(iii))。これにより、各中空繊維の中空部に、プローブが固定されたゲル状物を保持させることができる。
ゲル前駆体重合性溶液とは、ゲル形成重合性モノマー等の反応性物質を含有する溶液であって、該モノマー等を重合、架橋させることにより該溶液がゲル状物となることが可能な溶液をいう。そのようなモノマーとしては、例えば、アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、ビニルピロリドン、メチレンビスアクリルアミド等が挙げられる。この場合、溶液には重合開始剤等が含まれていてもよい。
中空繊維内にプローブを固定した後、中空繊維の長手方向と交差する方向(好ましくは直交する方向)で、ブロック体を切断して薄片化する(工程(iv))。このようにして得られた薄片は、DNAマイクロアレイとして使用できる。当該アレイの厚みは、0.01mm〜1mm程度であることが好ましい。ブロック体の切断は、例えば、ミクロトーム及びレーザー等により行うことができる。
当該繊維型マイクロアレイとしては、例えば、三菱レイヨン社製のDNAチップ(Genopal (登録商標))等が好ましく挙げられる。
5.GVHD関連遺伝子のmRNAの検出
本発明は、前述した本発明のオリゴヌクレオチド及び/又はDNAマイクロアレイを用いて、GVHD関連遺伝子のmRNAを検出する方法を提供するものであり、特に本発明のDNAマイクロアレイを用いて検出する方法が好ましい。
本発明の検出方法は、具体的には、本発明のDNAマイクロアレイ等に、GVHD関連遺伝子のmRNAを含む被験試料を接触させて、本発明のオリゴヌクレオチドにハイブリダイズしたGVHD関連遺伝子のmRNAを検出する方法である。
GVHD関連遺伝子のmRNA被験試料の調製は、限定はされないが、例えば、被験者(好ましくは臍帯血細胞移植を行った被験者)から採取した末梢血から末梢血由来単核球細胞(PBMC)を分離し、各種単核球(CD4+、CD8+、CD14+、CD56+)の分画からtotal mRNAを含むハイブリダイゼーション溶液を調製することにより行う。
なお、接触とは、具体的には、上記ハイブリダイゼーション溶液中の核酸(mRNA)をDNAマイクロアレイに搭載されたオリゴヌクレオチドプローブに結合(ハイブリダイズ)させることを言う。
ハイブリダイゼーション溶液とDNAマイクロアレイとの接触、すなわちハイブリダイゼーション反応は、当該溶液中の核酸(mRNA)が当該アレイに搭載されたプローブとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし得るよう、反応条件(緩衝液の種類、pH、温度など)を適宜設定して行うことができる。なお、ここで言う「ストリンジェントな条件」とは、上記ハイブリダイズ後のDNAマイクロアレイの洗浄条件を意味し、例えば、塩(ナトリウム)濃度が48〜780mMであり、温度が37〜80℃であることが好ましく、より好ましくは塩濃度が97.5〜390mMであり、温度が50〜75℃である条件を言う。
洗浄後は、プローブに結合した核酸(mRNA)の標識を検出できる装置により、スポットごとに検出強度を測定する。蛍光標識化された核酸(mRNA)を結合させた場合、又は核酸(mRNA)を結合後に蛍光標識化した場合は、各種蛍光検出装置(例えば、三菱レイヨン社製の冷却CCD式蛍光検出装置など)を使用して蛍光強度を測定することができる。得られた検出結果(蛍光強度)は、公知の処理方法により、ターゲットとなる各種遺伝子の発現量の有意性を評価することができる。
また本発明は、前述した本発明のオリゴヌクレオチド及び/又はDNAマイクロアレイを含む、GVHD関連遺伝子のmRNAの検出用組成物を提供するものでもある。当該組成物は、他の成分も含んでいてもよく、その種類等は特に限定はされない。
6.GVHDの診断用医薬組成物
本発明は、前述した本発明のオリゴヌクレオチド及び/又はDNAマイクロアレイを含む、GVHDの診断用医薬組成物を提供するものであり、特に本発明のDNAマイクロアレイを含むGVHDの診断用医薬組成物が好ましい。また本発明は、本発明のオリゴヌクレオチド及び/又はDNAマイクロアレイを用いたGVHDの診断方法、並びに、GVHDを診断するための本発明のオリゴヌクレオチド及び/又はDNAマイクロアレイの使用を提供することもできる。さらに本発明は、GVHDの診断用の本発明のオリゴヌクレオチド及び/又はDNAマイクロアレイを提供することもできる。
本発明の診断用医薬組成物は、本発明のDNAマイクロアレイ等以外にも他の成分を含むことができる。他の成分としては、当該医薬組成物の用法(使用形態)に応じて必要とされる各種成分(薬学的に許容し得る各種担体等)が挙げられる。
本発明の診断用医薬組成物を用いてGVHDを診断する方法については、基本的には、上述した本発明の検出方法と同様である。GVHDの診断方法は、得られた検出結果を指標として、被験者(好ましくは臍帯血細胞移植を行った被験者)のGVHD関連遺伝子の発現量が、健常者から得られた検出結果に比べて有意変化(有意に高い又は低いこと)しているかどうかを判断することにより行うことができる。有意変化が認められる場合は、被験者がGVHDを発症していると判断することができる。
本発明の診断用医薬組成物を用いれば、従来に比べ、臍血細胞移植を行った被験者に対してGVHDの発症の有無を格段に早期に診断することができるため、当該医薬組成物は極めて有用性の高いものである。
7.GVHDの治療用医薬組成物
本発明は、前述した本発明のオリゴヌクレオチド及び/又はDNAマイクロアレイを含む、GVHDの治療用医薬組成物を提供するものであり、特に本発明のオリゴヌクレオチドを含むGVHDの治療用医薬組成物が好ましい。また本発明は、GVHD患者に本発明のオリゴヌクレオチドを投与することを特徴とするGVHDの治療方法、並びに、GVHDを治療用の薬剤を製造するための本発明のオリゴヌクレオチドの使用を提供することもできる。さらに本発明は、GVHDの治療用の本発明のオリゴヌクレオチドを提供することもできる。
本発明の治療方法は、具体的には、GVHD患者に本発明のオリゴヌクレオチドを投与(静注)して、本発明のGVHD関連遺伝子及び/又はそのmRNAと結合させ、当該遺伝子の転写及び/又はそのmRNAの翻訳を抑制することにより、GVHDの病態の進行を抑制し、あるいはGVHDの病状を治癒させる方法である。従って、本発明は、本発明のオリゴヌクレオチドを用いて、GVHD関連遺伝子の転写及び/又は該遺伝子のmRNAの翻訳を抑制する方法を提供するものでもある。
本発明の治療用医薬組成物は、本発明のオリゴヌクレオチド等以外にも他の成分を含むことができる。他の成分としては、当該医薬組成物の用法(使用形態)に応じて必要とされる製薬上の各種成分(薬学的に許容し得る各種担体等)が挙げられる。他の成分は、本発明のオリゴヌクレオチド等により発揮される効果が損なわれない範囲で適宜含有することができる。なお、当該医薬組成物は、本発明のオリゴヌクレオチドを有効成分として含むものであるため、GVHDの遺伝子治療剤と言うこともできる。
本発明の治療用医薬組成物のGVHD患者への投与については、その用法は限定はされないが、通常、点滴静注などの非経口用法が採用される。非経口用法等の各種用法に用い得る製剤は、薬剤製造上一般に用いられる賦形材、充填材、増量剤、結合剤、湿潤剤、崩壊剤、潤滑剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、溶解補助剤、防腐剤、矯味矯臭剤、無痛化剤、安定化剤、等張化剤等を適宜選択して使用し、常法により調製することができる。当該医薬組成物の形態は、限定はされないが、通常、静脈内注射剤(点滴を含む)が採用され、例えば、単位投与量アンプル又は多投与量容器の状態等で提供され得る。また、当該医薬組成物の形態としては、本発明のオリゴヌクレオチドをリポソーム等のリン脂質小胞体に導入し、この小胞体を投与することも可能である。
本発明の治療用医薬組成物の投与量(/1日)は、一般には、製剤中の有効成分の配合割合を考慮した上で、投与対象(患者)の年齢、体重、病気の種類、病状のほか、投与経路、投与回数(/1日)、投与期間等を勘案し、適宜、広範囲に設定することができ、限定はされない。
7.キット
本発明のキットは、本発明のオリゴヌクレオチド及び/又はDNAマイクロアレイを構成成分として含む、GVHDの診断又は治療用キット、及びGVHD関連遺伝子のmRNAの検出用キットである。
本発明のキットは、上記構成成分以外に、その使用目的に応じ、他に公知の任意の構成成分を含んでいてもよく、限定はされない。例えば、各種バッファー(例えばTris緩衝液等)、コントロール用試薬(例えば、組織サンプル、又は、ポジティブ若しくはネガティブコントロール用ターゲットオリゴヌクレオチド等)、標識用及び/又は検出用試薬(Cy3、Cy4、Cy5、VIC、FAM、Alaxa 647、Alaxa 555等の蛍光色素)、界面活性剤溶液(SDS等)、洗浄溶液、説明書、説明図及び/又は製品情報、包装環境調節剤(例えば、氷、乾燥剤)等が挙げられる。
また、本発明のキットは、必要な構成成分のうちの一部のみを含む部分的キットであってもよく、その場合には、ユーザーが他の構成成分を用意することができる。さらに、本発明のキットは、各容器又は包装が使用する構成成分のうちの一部を含む、2つ以上の別個の容器又は包装を含むものであってもよい。
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
AML(成人急性骨髄性白血病)、ALL(急性リンパ性白血病)またはNHL(悪性リンパ腫)を発症した患者に臍帯血移植を施した後に急性GVHDを発症した患者5名から、発症時及び治癒後に末梢血を採取し、それぞれを細胞分画後、各遺伝子の発現量の変化について調べた。なお、当該患者5名は、それぞれIMS11、IMS13、IMS17、IMS18及びIMS25との名称で示した(図2−1〜2−2及び図3参照)。
<方法>
1.末梢血からの細胞分画の調製(ミルテニーバイオテック社製キットを使用)
各GVHD患者から、それぞれ末梢血由来単核球細胞(PBMC)を分離した。これらPBMCは、緩衝液(0.5% BSA及び2 mM EDTA含有PBS (リン酸緩衝食塩水),pH 7.2,4〜8℃で保冷)で、80μl/107 cellsの細胞懸濁液となるように調製した。これらにマイクロビーズ(CD4+、CD8+、CD14+、CD56+)を、それぞれ、PBMC 107 cellsあたり20μlの割合で加えて、4℃条件下で15分インキュベートした。インキュベート後には、それぞれ2 mlの緩衝液を加えて混和し、その後、300 Gで5分間遠心して、細胞ペレットを回収した。回収した細胞ペレットは500μlの緩衝液に再懸濁した。カラムをMACSセパレーターにセットし、500μlの緩衝液で予めリンスした。上記の細胞懸濁液をカラムに加え、カラムを通過させた。カラムを1mlの緩衝液で2回リンスした。添付のプランジャーにより、細胞を押し出した。
2.マイクロアレイへのハイブリダイゼーション
それぞれの細胞分画から、RNeasy Mini Kit(QIAGEN社製)を用いてTotal RNAを調製した。これらTotal RNAを用いて、マイクロアレイにハイブリダイゼーションさせることで遺伝子発現のデータを取得した。ハイブリダイゼーションに供するBiotin標識aRNAの調製は、Message Amp II Biotin Kit(Ambion社製)を用い、所定の方法に従って行った。
3.マイクロアレイよるアッセイ
ハイブリダイゼーションバッファー溶液(0.12M TNT溶液: 1,000 ml)を、以下のように調製した。
1M Tris-HCl 120 ml
1M NaCl 120 ml
0.5%Tween20 100 ml
蒸留水で1,000 mlにメスアップ
Biotin標識aRNAを、ハイブリダイゼーションバッファー溶液(0.12M TNT溶液)に15μg/150μlに懸濁させ、三菱レイヨン社製マイクロアレイ(Genopal (登録商標))を使用して、65℃で16時間ハイブリダイゼーション反応を行った。反応後、当該アレイを、洗浄バッファー溶液(0.12M TNT溶液)を用いて65℃で20分間の洗浄を2回行い、最後に保存バッファー溶液(0.12M TN溶液)で10分間洗浄した。
当該アレイにハイブリダイズしたRNAの検出は、以下のようにして行った。すなわち、予め蒸留水によって1 mg/mlに溶解したCy5-Streptavdin(GE Healthcare社製)を蒸留水で1/500希釈した溶液5 mlに、当該アレイを30分間浸漬させて、当該アレイにハイブリダイズしたRNAを蛍光標識した。浸漬後の当該アレイを、5 mlの0.12M TNT溶液で5分間、4回洗浄した後、三菱レイヨン製DNAチップ検出器により、蛍光強度を測定した。
4.定量PCR(QPCR;アプライドバイオシテム社)
それぞれのTotal RNA 1μgを使用し、アプライドバイオシステム社のSYBR-Green法により発現差を求めた。基準化(標準化)にはGAPD(glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase)遺伝子を用いた。
<結果>
GVHDの発症時と治癒後の遺伝子発現量について、有意変化が認められた遺伝子数は、CD4+ 分画で最も多く、次にCD8+、CD14+、CD56+ 分画の順であった(図2参照)。この結果は、急性GVHDにおいてCD4+ 分画の役割が大きいことを反映していると考えられた。また、有意変化を示した遺伝子のいくつかについて定量PCR解析を行ったところ、マイクロアレイによるアッセイと良好な一致が認められた(図3参照)。
CD14+ 分画では有意遺伝子のうち、転写因子の占める割合が高かった。
CD4+ 分画で有意変化を示した遺伝子の多くは、症例間で変化量がかなり異なり、特に軽症の症例では変化量が小さかった。
Interferon-γ pathwayに関与する因子の発現が亢進していた。
Interferon-γ pathwayが亢進しているにも関わらず、KLF4及びCCL5が減少しており、Interferon-γ pathwayと独立または上流の因子が作用している可能性が示された。
StatinがGVHDを抑制する機序としてCD4+またはCD8+ subsetでKLF2を誘導する可能性が示された。
ZEP36/tristetraprolinの減少は、CD14+ subsetにおけるTNFα産生を促進する可能性が考えられた。
TNFαにより誘導されるTNFAIP3/A20の減少は、TNFαのnegative feedback機構の破綻を反映する可能性が推測された。
<考察>
臍帯血移植における拒絶反応に関与するホスト側の細胞のメジャープレーヤーとしては、細胞障害性(CD8+)T細胞といわれているが、NK細胞(CD54+)や、これらの細胞の指揮系統であるヘルパーT細胞(CD4+)の役割や抗原提示細胞としての機能が大きい単球(CD14+)の役割の解析が待たれる部分である。
そこで、本実施例により各細胞分画に関与すると考えられる遺伝子を抽出できたことは、非常に意義深いことであった。また、各細胞分画に共通に優位変化が認められるといった特に重要な遺伝子も確認された。本実施例の解析で明らかになったGVHD関連遺伝子群は、GVHD、特に急性GVHDの病態に深く関わるものと考えられた。
中空繊維束(中空繊維配列体)を製造用の配列固定治具を示す概略図である。 CD4+分画につき、GVHDの発症時と治癒後における遺伝子発現量に有意変化が認められた遺伝子についての解析結果を示す図である。2回の実験(S1、S2)の蛍光強度の平均値が1500以上(mean S1&S2L max)、且つLowess変換により補正後の変化量(Mfit mean±SD)が絶対値で0.5倍以上、期待値(q値)が10%以下のものを抽出した。クラスタリングでは、緑が減少を、赤が増加を示している。 CD8+分画、CD14+分画及びCD56+分画につき、GVHDの発症時と治癒後における遺伝子発現量に有意変化が認められた遺伝子についての解析結果を示す図である。2回の実験(S1、S2)の蛍光強度の平均値が1500以上(mean S1&S2L max)、且つLowess変換により補正後の変化量(Mfit mean±SD)が絶対値で0.5倍以上、期待値(q値)が10%以下のものを抽出した。クラスタリングでは、緑が減少を、赤が増加を示している。
マイクロアレイの解析の結果、特に顕著な発現の変化が認められた遺伝子について、定量PCR法との比較を実施した結果を示す図である。比較方法としては、補正の遺伝子としてACTB又はGAPDHをそれぞれ使用した。定量PCRの結果は“TaqMan data”として示し、数値化にはΔΔCt法を用いた。マイクロアレイの結果は“microarray data”として示し、数値化には各遺伝子での補正後の数値(M)を用いた。
符号の説明
11 孔
21 多孔板
31 中空繊維
41 板状物
配列番号56〜110:合成DNA

Claims (12)

  1. 以下の(a)又は(b)のDNAを含む移植片対宿主病関連遺伝子。
    (a) 配列番号1〜55に示される塩基配列からなるDNA
    (b) 上記(a)のDNAに対し相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ移植片対宿主病関連遺伝子のmRNAを検出し得る機能を有するDNA
  2. 前記移植片対宿主病が臍帯血細胞移植後に発症したものである、請求項1記載の遺伝子。
  3. 以下の(a)若しくは(b)のDNAの塩基配列及び/又は該DNAの塩基配列と相補的な塩基配列の一部を含むオリゴヌクレオチド。
    (a) 配列番号1〜55に示される塩基配列からなるDNA
    (b) 上記(a)のDNAに対し相補的な塩基配列からなるDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ移植片対宿主病関連遺伝子のmRNAを検出し得る機能を有するDNA
  4. 前記移植片対宿主病が臍帯血細胞移植後に発症したものである、請求項3記載のオリゴヌクレオチド。
  5. 請求項3又は4記載のオリゴヌクレオチドからなるプローブが搭載されたDNAマイクロアレイ。
  6. 請求項3又は4記載のオリゴヌクレオチド及び/又は請求項5記載のDNAマイクロアレイを含む、移植片対宿主病の診断又は治療用医薬組成物。
  7. 請求項3又は4記載のオリゴヌクレオチド及び/又は請求項5記載のDNAマイクロアレイを含む、移植片対宿主病関連遺伝子のmRNAの検出用組成物。
  8. 前記移植片対宿主病が臍帯血細胞移植後に発症したものである、請求項6又は7記載の組成物。
  9. 請求項3又は4記載のオリゴヌクレオチド及び/又は請求項5記載のDNAマイクロアレイを用いて、移植片対宿主病関連遺伝子のmRNAを検出する方法。
  10. 請求項3又は4記載のオリゴヌクレオチド及び/又は請求項5記載のDNAマイクロアレイを含む、移植片対宿主病の診断又は治療用キット。
  11. 請求項3又は4記載のオリゴヌクレオチド及び/又は請求項5記載のDNAマイクロアレイを含む、移植片対宿主病関連遺伝子のmRNAの検出用キット。
  12. 前記移植片対宿主病が臍帯血細胞移植後に発症したものである、請求項10又は11記載のキット。
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