JP2009168541A - カルボン酸を含む泳動液を用いた生体関連物質の高感度・高分離能電気泳動 - Google Patents

カルボン酸を含む泳動液を用いた生体関連物質の高感度・高分離能電気泳動 Download PDF

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Abstract

【課題】高い分離能を達成する生体関連物質の電気泳動法による分離分析用液体組成物の提供。
【解決手段】カルボン酸を含む泳動液を用いた生体関連物質、例えばたんぱく質、ペプチド、DNA、RNA、糖質、及び薬品のごく微少量の検出に対して、安定して高い分離能力で多成分の同時分離(網羅的分析)を可能にした電気泳動方法、電気泳動方法用分離分析用液体組成物及び前記組成物を用いたキット。
【選択図】図7

Description

本発明は、カルボン酸を含む泳動液を用いる電気泳動方法、特に、マイクロチップ内のキャピラリーを利用した電気泳動を含むキャピラリー電気泳動方法による生体関連物質の分離分析法、該分離分析方法に用いる分離分析用液体組成物、及び前記分離分析用液体組成物を含む電気泳動方法、特にキャピラリー電気泳動方法により生体関連物質の分離分析用液体組成物を含む生体関連物質分離分析用キットに関する。
生物機能を分子レベルで明らかにするために、生体内のタンパク質、ペプチド、核酸、アミノ酸、糖質、神経伝達関連物質等生体関連物質を解析、分析することが行われている。これらの生体関連物質の分析で必要となる生体内物質を構成している成分の分離化学的要素は、検出速度と多成分同時に網羅的に分析することである。これまで,その手段として、平板ゲルを利用したもの、高速液体クロマトグラフィー、キャピラリー電気泳動に代表されるように、カラムを利用した分析方法が使われてきた。
分析対象物質を網羅的に分析する能力を示す分析化学的パラメーターに理論段数がある。理論段数はピークの広がりWと保持時間、もしくは泳動時間tの商の二乗に比例する(図6:理論段数、分離度)。この値は大きいほど、その対象物質のピークが泳動時間に対してのピーク幅が広がらないことを示しており、網羅的に分離する能力が優れていることになる。キャピラリー電気泳動では1,000,000、高速液体クロマトグラフィーでは30,000程度である。
理論段数が大きくなると、網羅的に分離できる物質の種類が多くなるだけではなく、それぞれの物質についての検出感度も良くなる傾向がある。ここで、傾向があると表現したのは、対象物の絶対量の関係から、例えば、分子が数個程度しかない場合には、理論段数の増加による感度の向上は期待できないためである。絶対量が分子数にして1000個以上の場合には、分離効果、理論段数の増加による検出感度の向上は期待できる。
高い分離能が得られることは、検出感度のみならず、検出方法に関しても貢献できる。例えば、非特許文献1に見られるように、マススペクトロスコピーを検出部分として結合して使用する場合に、物質によって、イオン化されやすさの異なる物質が混合された場合でも分離によって単種類とすることによって検出が可能になるなどの効果が見られる。
生体関連物質の分析、特に、核酸やタンパク質のクロマトグラフィーや電気泳動を利用して、網羅的に分析するには、最低でもサンプルを数μリットル用意し、さらに、何らかの増幅の方法、DNAであればPCRの方法を用いて、その量を増やし、そして分析を行うことが要求される。網羅的分析では、例えば、非特許文献2や文献3に見られるように、キャピラリー電気泳動を用いた場合、一本鎖DNAであれば、50〜1000塩基まで1塩基の違いによる分離、二本鎖のDNAであれば、100〜10,000塩基対(bp)までの範囲で、分解能10塩基で分離することが可能であるとされている。しかし、二本鎖のDNAを分析する際にはその長さで5,000塩基対を超える長さを持つものを、分離能が10塩基対で、分離するのは困難である。
電気泳動を行う際に平板ゲルで長時間(少なくとも12時間以上)、矩形波を印加することによって分離能を向上させて分離分析を行うことがある。例えば、非特許文献4に見られるように、キャピラリー電気泳動を利用した分離で、パルスを利用し、40,000塩基対までの長さのDNAを分離した例は見られるが、その場合には、分離能は100塩基対程度であり、1塩基対の違い(例えば、10,000と10,001塩基対の違い)を分離することは出来ない。さらに、一本鎖のDNAやRNAを分離するためにはサンプルの前処理として、4M以上の高濃度の尿素を利用して変性を行うのが一般的である。
サンプルの前処理をしないで、分離を行えるようにすることは、網羅的な分析機において分析の速度と正確性を向上することができる。すなわち、サンプルの前処理により生まれる不確実性を解除できるために、分離分析の信頼性が向上する。
従来、サンプルの変性剤として利用されている7Mの尿素を用いた分析では、混合する試薬の濃度が高いことによる変性剤の析出があり、析出物が不純物、夾雑物として分析されることによって分析自身の信頼性が損なわれることがあった。
以上のように、細胞内や組織内の核酸やタンパク質を、信頼性を確保したまま網羅的に分離分析するためには、生化学サンプルを前処理なしで、且つ、分離能をできるだけ高くし、同時に検出感度を高くできる分離溶液の開発、及び、それを有効にする分析方法が望まれている。
ところで、核酸やタンパク質の分析に通常利用される泳動液に有機溶媒、ホルムアミドやジメチルスルホキシド(DMSO)を混合して分離を行った例は、非特許文献5や特許文献1に見られるように、DNAのシークエンスを調べる際に、DMSOを付加的に混合することによって、7Mの尿素を混合した場合と比較して、分離が良くなった例が存在する。同様にして、メタノールやエタノールなどを利用したもの、ホルムアミドを利用したものが見られるが、アルコール類はDNAに対して弱い効果しかなく、静電的な不和が生じるために分析が安定しない、また、ホルムアミドについては、ホルムアミド自身が電解質溶液中で、特に温度安定性が悪いので、泳動液への添加成分としての使用には問題がある。
これに対して、カルボン酸は熱に安定であり、特に偶数炭素のカルボン酸は生体毒性も低く発がん性はない。水、エタノール、エーテルと任意の割合で混ざる。カルボン酸は水溶液中でプロトンを失いカルボン酸イオンになっていることから、静電的相互作用と水素結合の2種類の作用により生体分子と強く相互作用することができる。従って、通常用いられる変性剤と比較して変性力が高く、2M程度泳動液に混合することで高分離能が可能になる。さらに、カルボン酸を混合した溶媒は酸性、特にpH2.0〜4.0であり蛋白質、ペプチド、DNA、RNAなどの生体分子を分解する酵素の活性を抑えることができ、不安定な試料分析に適している。
Takeshi Hara,Hiroshi Kobayashi,Tohru Ikegami,Kazuki Nakanishi,Nobuo Tanaka,Anal.Chem.Vol.78,7632−7642,2006 A.S.Cohen,D.R.Nagarian,A.Paulus,A.Guttman,J.A.Smith,B.L.Karger. Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85,9660,1988 A.Guttman,A.S.Cohen,D.N.Heiger,B.L.Karger,Anal.Chem.Vol.62,137−141,1990 Y.Kim,M.D.Morris,Electrophoresis Vo.17,152−160,1996 特開平9−145673 Lev Kotler,Hui He,Arthur W.Miller,Barry L.Karger,Electrophoresis Vol.23,3062−3070,2002 加地範匡, ぶんせき, Vol.11, 604−607, 2007.
本明細書中で使用する用語について定義する。
「HEC」とはその化合物名が“Hydroxyethylcellulose”(ヒドロキシエチルセルロース)を示し、
「カルボン酸」は、化合物の構造にカルボキシル基を含む化合物、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ビバル酸、ポリカルボン酸などの化合物を示し、溶媒可溶性であれば良い。
「分子篩効果物質」とはキャピラリー内部に充填するゲル、ポリマーなどのサンプルの泳動に篩い効果を出すための物質を言う。例えば、セルロース膜、ポリスチレンビーズ、ナノ構造体(非特許文献6参照)、架橋ゲルであるポリアクリルアミドゲル、ポリマーである直鎖状ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキサイド、本出願の実施例において使用しているヒドロキシエチルセルロース(「HEC」:Hydroxyethylcellulose)などを挙げることができる。
蛍光色素:生体関連物質と結合し励起光により発光する色素化合物、例えばSYBR Green II(SYBRはMolecular Probes社の登録商標)を挙げることができるが、これに限定されない。
泳動液:電気泳動の際、分離の場であるゲル中やキャピラリー中に用いられる溶液。電解質を含んでおり、通常は緩衝液を用いることが多い。ここでは、電源からの電極を浸す溶液である電極液も含める。
生体関連物質の前処理なしに分離分析を行う場合、詳しくは生体関連物質の分離分析を電気泳動、特に、キャピラリー電気泳動で行う際に生体関連物質、詳しくは核酸、タンパク質、ペプチド、糖質の分離および検出感度が悪くなることを、場合によっては全く分離ができなくなることを、カルボン酸を添加した泳動液によって、前処理なしでの分析において、分離能及び検出感度を格段に上げることのできる泳動液とその方法を提供する。
細胞内や組織内の核酸やタンパク質を信頼性を確保したまま網羅的に分離分析するためには、生体関連物質のサンプルの前処理を省略することができ、且つ、分離能をできるだけ高くすると同時に検出感度を高くできる分離溶媒及び分離方法を開発する必要がある。
分離分析の方法としては、平板ゲル電気泳動(スラブゲル電気泳動)及び、キャピラリー電気泳動を利用する。カラムクロマトグラフィーは一般的な分離、分取の手段として利用されている。これに対し、平板ゲル電気泳動は従来から、核酸やタンパク質などの分離分析に利用されてきた。またキャピラリー電気泳動は平板ゲル電気泳動と比較して、迅速な分析、ジュール熱の分散などの点からも優れている分離分析方法であることは知られている。本発明では、核酸について高い変性能力を示すカルボン酸を泳動液に導入することにより、生体分子サンプルの前処理なしに、サンプルの変性、移動相と固定相とサンプルの疎水性又は親水性相互作用、及びポリマーの分子篩いによる効果を高めることができ、分解能を高くすると同時にその検出感度を良くすることが可能となることを見出した。
従って、本発明の第1は、(1)カルボン酸を含む泳動液に生体関連物質を可溶化するステップを含むことを特徴とする生体関連物質の電気泳動方法による分離分析方法である。好ましくは、(2)電気泳動方法がキャピラリー電気泳動法であることを特徴とする前記(1)に記載の分離分析方法であり、(3)前記(1)及び(2)において生体関連物質が核酸、DNA、たんぱく質、ペプチドまたは糖質であることを特徴とする分離分析方法であり、(4)前記カルボン酸が炭素数4までの鎖状アルカンを有するカルボン酸であることを特徴とする前記(1)、(2)または(3)に記載の分離分析方法である。
本発明の第2は、(5)カルボン酸、蛍光色素及び分子篩効果物質を含むことを特徴とする生体関連物質の電気泳動法による分離分析用液体組成物である。好ましくは、(6)の電気泳動法がキャピラリー電気泳動法であることを特徴とする前記(5)に記載の分離分析用液体組成物であり、(7)前記(5)及び(6)において生体関連物質が核酸、DNA、たんぱく質、ペプチドまたは糖質であることを特徴とする分離分析用液体組成物であり、(8)前記カルボン酸が炭素数4までの鎖状アルカンを有するカルボン酸であることを特徴とする前記(5)、(6)または(7)に記載の分離分析用液体組成物であり、更に好ましくは、(9)分子篩効果物質がポリマーである前記(5)〜(8)のいずれかに記載の分離分析用液体組成物である。校正
本発明の第3は、(10)カルボン酸、蛍光色素及び分子篩効果物質を含む電気泳動法により生体関連物質を分離分析する液体組成物を含むことを特徴とする生体分子分離分析用キットである。好ましくは、(11)前記(10)のカルボン酸が炭素数4までの鎖状アルカンを有するカルボン酸であることを特徴とする生体分子分離分析用キットであり、更に好ましくは、(12)分子篩効果物質がポリマーである前記(10)または(11)に記載の生体分子分離分析用キットである。
電気泳動方法による網羅的分析(多成分同時分析)を可能にする生体関連物質の分離方法において、カルボン酸を含む泳動液を利用することによって、前処理を要することなく、分離能が格段に上がり、多成分、高感度分離分析が可能となる。この際、使用するカルボン酸に理論段数及び分離度との関連に特異性、即ち酢酸、プロピオン酸または酪酸のカルボン酸を使用した場合に高い理論段数及び分離度が得られるという結果(図7)が見られた。
本発明の分離分析方法は、基本的には、電気泳動法、特にキャピラリー電気泳動法である。他に、核酸の雑種形式、抗原−抗体反応、リガンド−レセプター間相互作用等の生体関連物質の特異的相互作用に基づく分離分析方法にも、カルボン酸からのカルボン酸イオンによる生体関連物質の分子内水素結合の緩和作用が推測されることから有効であることも考えられことから、有用であることが推測される。
本発明の電気泳動法には、平板ゲル電気泳動(スラブ電気泳動)、ディスク電気泳動、濾紙電気泳動法、ポリアクリルアミド電気泳動(PAGE)、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミド電気泳動(SDS−PAGE)、未変性ポリアクリルアミド電気泳動(native−PACE)、アガロースゲル電気泳動法、等電点電気泳動(クロマトフォーカシング)法、免疫電気泳動法及びキャピラリー電気泳動法が含まれるが、これらに限らない。
また、本発明のキャピラリー電気泳動法には、キャピラリーゾーン電気泳動(CZE)、キャピラリー等速電気泳動(CITP)、キャピラリー等電点電気泳動(CIEP)、ミセル導電電気泳動(MEKC)、キャピラリーゲル電気泳動(CGZE)、キャピラリーゲル等速電気泳動(CGITP)、キャピラリーゲル等電点電気泳動(CGIEF)及びキャピラリーゲルSDS電気泳動(SDS−CGE)、法及び、これらの電気泳動の方法をマイクロチップ内に作成した流路を利用した場合での電気泳動が含まれるが、これらに限らない。
本発明の分離分析方法においては、そのままで分析結果を確認できるが、従来の電気泳動法で分離された生体分子を固体支持体に不動化させるステップ、例えば、サザンブロット法、ノザンブロット法及びウエスタンブロット法のように、電気泳動法で分離された生体分子を毛細管現象や電気泳動を利用して分子篩物質からフィルター膜その他の固体支持体に移動させて、生体分子の分離パターンを保持しつつ該固体支持体に不動化させて分析結果を確認しても良い。また、更に、固体支持体を移動させながら電気泳動によって分子篩効果物質から溶出した生体分子を一定体積ずつ、あるいは、連続的に固体支持体に付着させることによって生体分子の分離パターンを実質的に保持しつつ固体支持体に不動化させ結果を確認しても良い。生体分子の分離パターンを固定し自体に不動化される原理には、架橋反応による共有結合及び静電気力による場合を挙げられるが、これらに限られない。
このことは、泳動液にカルボン酸を含むという基本原理は本発明の独特のものであるが、これに付随する技術は、従来の電気泳動法による技術を採用することができるということである。
以下、本発明の内容について発明の実施例に基づいて具体的に説明する。
なお、本発明は、以下の実施例のみについて限定されるものではない。
RNAのキャピラリーゲル電気泳動による分離:
A.RNAサンプル:Perfect RNA Markers 0.1−1kb,
:Perfect RNA Markers 0.2−10kb,(Novagen,Merck
Bioscience,USA
B.泳動液として、(A)2.0M酢酸を含む緩衝溶媒にHECポリマー(hydroxyethylcellulose、分子量250,000)を加えた溶液(実施例)、(B)2.5Mホルムアルデヒドを含む緩衝溶媒にHECポリマーを加えた溶液(比較例)、及び、(C)7.0M尿素を含む緩衝液にHECポリマーを加えた溶液(比較例)を、RNAサイズマーカーを前処理せずに分離した結果と共に、表1に示した。
蛍光色素:SYBR Green II
C.キャピラリー電気泳動条件:50μmX50μm 角柱キャピラリー、内部ポリアクリルアミド処理、全長 13cm、有効長 8cm、電場強度 100V/cm
RNAの分離についての結果は、酢酸を添加した泳動液を利用した場合優れた分離結果を得た。その結果を図1に示す。
Figure 2009168541
図1におけるそれぞれのピークにおけるRNAの長さの帰属は、
1:100nt,2:200nt,3:300nt,4:400nt,5:500nt,
6:600nt,7:800nt,8:1,000nt,9:1,500nt,
10:2,000nt,11:3,000nt,12:4,000nt,
13:6,000nt,14:8,000nt (nt=ヌクレオチド)
を意味する。
実施例1と同様の実験において、酢酸に代えてプロピオン酸を加えたもの(D)、2.5Mホルムアルデヒド加えたもの(E)、及び7.0Mの尿素を加えたもの(F)と共に表2に示した。RNAの分離実験を行った結果、図2に示すように、プロピオン酸を加えたものでは明らかに優れた分離結果を得られた。
Figure 2009168541
実施例1と同様の実験において、酢酸に代えて酪酸を加えたもの(G)、2.5Mホルムアルデヒドを加えたもの(H)、及び7.0M尿素を加えたもの(I)を表3に示した。RNAの分離実験を行った結果、図3に示すように、酪酸を加えたものでは明らかに優れた分離結果を得られた。
Figure 2009168541
ここでは、サンプルとしてNIH3T3細胞から抽出したトータルRNAを用い、前処理せずに分離した。
泳動液として酢酸を2.0M添加したもの(J)、酢酸を1.0M添加したもの(K)、及び7.0Mの尿素を添加したもの(L)を表4に示した。
キャピラリー電気泳動条件:50μmX50μm 角柱キャピラリー、内部ポリアクリルアミド処理、全長 13cm、有効長 8cm、電場強度 100V/cmである。
酢酸を添加した泳動液を利用した場合に優れた分離結果が得られた。
Figure 2009168541
DNAサンプルとして、100bpMolecular Ruler,BioRad(100bp−1000bp)を用いて、前処理せずにキャピラリーゲル電気泳動による分離の効果を調べた。
泳動液として、(M)1.0M酢酸を含む緩衝溶媒にHECポリマー(hydroxyethylcellulose)を加えた溶液(実施例)、(N)7.0M尿素を含む緩衝溶媒にHECポリマー溶液(比較例)を用いた場合を表5に示した。酢酸を添加した泳動液を利用した場合、700−1000bpの範囲のDNAの優れた分離結果が得られた。分離結果を図5に示した。
Figure 2009168541
ここでは、使用したカルボン酸と理論段数及び分離度との関係を調べた。
サンプル:Perfect RNA Markers 0.1−1kb,
:Perfect RNA Markers 0.2−10kb,(Novagen,Merck Bioscience,USA)
キャピラリー電気泳動条件:50μmX50μm 角柱キャピラリー、内部ポリアクリルアミド処理、全長 13cm、有効長 8cm、電場強度 100V/cmである。
分子篩効果物質:HECポリマー(Mw=250,000)
蛍光色素:SYBR Green II
加えたカルボン酸の量は全て2.0Mである。比較のため7.0M尿素の場合を示した。
ここでの結果は図7のとおりであり、偶数炭素のカルボン酸を使用した場合に理論段数及び分離度が特に優れていた。
この発明のカルボン酸を含む泳動液は、電気泳動の方法、例えば、平板ゲル電気泳動(スラブ電気泳動)、ディスク電気泳動、濾紙電気泳動法、ポリアクリルアミド電気泳動(PAGE)、ドデシル硫酸ナトリウムポリアクリルアミド電気泳動(SDS−PAGE)、未変性ポリアクリルアミド電気泳動(native−PAGE)、アガロースゲル電気泳動法、等電点電気泳動(クロマトフォーカシング)法、免疫電気泳動法、キャピラリーゾーン電気泳動(CZE)、キャピラリー等速電気泳動(DITP)、キャピラリー等電点電気泳動(CIEF)、ミセル導電電気泳動(MEKC)、キャピラリーゲル電気泳動(CGZE)、キャピラリーゲル等速電気泳動(CGITP)、キャピラリーゲル等電点電気泳動(CGIEF)、キャピラリーゲルSDS電気泳動(SDS−CGE)、マイクロチップ電気泳動に利用できる有機溶媒に関するもので、さらに詳しくは、カルボン酸を含む泳動液は、前記したようにカルボン酸イオンによる生体関連物質の分子内の水素結合の緩和による分離原理が推測され、詳しくは、核酸(DNA、RNA)とたんぱく質、ペプチド、糖質の分離において、カルボン酸を含む泳動液を利用することによって分離及び検出感度が格段に向上すること及びその原理を提供するものであり、極めて産業上の利用可能性が高いものである。
酢酸を2.0M含む泳動液を用いた場合のRNAサンプル(Perfect RNA Markers 0.2−10kb,(Novagen,Merck Bioscience,USA))分離結果 プロピオン酸を2.0M含む泳動液添加した分離溶媒を用いた場合のRNAサンプル(Perfect RNA Markers 0.2−10kb,(Novagen,Merck Bioscience,USA))分離結果 酪酸を2.0M含む泳動液を用いた場合のRNAサンプル(Perfect RNA Markers 0.2−10kb,(Novagen,Merck Bioscience,USA))分離結果 酢酸を1.0M及び2.0M含む泳動液を用いた場合のRNAサンプル(NIH3T3細胞から抽出したトータルRNA)分離結果 酢酸を1.0M含む泳動液を用いた場合のDNAサンプル(100bpMolecular Ruler,BioRad(100bp−1000bp))の分離結果 キャピラリー電気泳動の分離評価の手法 泳動液中に含まれるカルボン酸と理論段数及び分離度の相関

Claims (12)

  1. カルボン酸を含む泳動液に生体関連物質を可溶化するステップを含むことを特徴とする生体関連物質の電気泳動方法による分離分析方法。
  2. 電気泳動方法がキャピラリー電気泳動法であることを特徴とする請求項1に記載の分離分析方法。
  3. 生体関連物質が核酸、DNA、たんぱく質、ペプチドまたは糖質であることを特徴とする請求項1または2に記載の分離分析方法。
  4. 炭素数4までの鎖状アルカンを有するカルボン酸であることを特徴とする請求項1、2または3に記載の分離分析方法。
  5. カルボン酸、蛍光色素及び分子篩効果物質を含むことを特徴とする生体関連物質の電気泳動法による分離分析用液体組成物。
  6. 電気泳動法がキャピラリー電気泳動法であることを特徴とする請求項5に記載の分離分析用液体組成物。
  7. 生体関連物質が核酸、DNA、たんぱく質、ペプチドまたは糖質であることを特徴とする請求項5または6に記載の分離分析用液体組成物。
  8. 炭素数4までの鎖状アルカンを有するカルボン酸であることを特徴とする請求項5、6または7に記載の分離分析用液体組成物。
  9. 分子篩効果物質がポリマーである請求項5〜8のいずれかに記載の分離分析用液体組成物。
  10. カルボン酸、蛍光色素及び分子篩効果物質を含む電気泳動法により生体関連物質を分離分析する液体組成物を含むことを特徴とする生体分子分離分析用キット。
  11. 炭素数4までの鎖状アルカンを有するカルボン酸であることを特徴とする請求項10に記載の生体分子分離分析用キット。
  12. 分子篩効果物質がポリマーである請求項10または11に記載の生体分子分離分析用キット。
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