JP2009159961A - 地中根域均等灌水装置及びその方法 - Google Patents

Abstract

【課題】枝の下方に分布する作物の全ての根域に灌水手段によって水を均一に供給できる地中根域均等灌水装置及びその方法を提供する。
【解決手段】ポンプによって水タンクの水が供給される主管と、主管に連結された支管と、前記各支管と作物の根域に埋設された灌水手段との間を連結する細管とを含んで構成された地中灌水装置において、入口が前記細管と連結され、複数個の出口が分散細管を通して地中の根域周囲に均等間隔で埋設された前記複数個の灌水手段と連結される減圧バルブを備えてなる地中根域均等灌水装置を構成する。
【選択図】図１０

Description

本発明は、地中根域均等灌水装置及びその方法に関するもので、特に、果樹、観賞樹、造景樹などの各種の作物の根域に均等に直接給水するための地中根域均等灌水装置及びその方法に関するものである。

周知のように、灌水方法には、ホース灌水、点滴灌水、噴水灌水、散水灌水、ミスト灌水、畦間灌水及び地中灌水などの多様な方法がある。

これらのうち、ホース灌水は、ホースを用いて水を地表面に供給する方法で、点滴灌水は、プラスチックパイプやチューブに微細な穴を穿孔し、この穴に連結された細い管の先端にノズルや微細な水分排出口を設けることで、水滴が少量ずつ染み出るように灌水する方法である。さらに、噴水灌水は、有孔チューブに水を噴出して灌水する方法で、散水灌水は、ノズルを用いて水を撒いて灌水する方法で、ミスト灌水は、ミスト装置で水を微細な霧にして灌水する方法である。そして、畦間灌水は、施設内の畦間に水を供給する方法で、地中灌水は、地中に埋設した灌水パイプで作物の根に直接水を供給する方法である。

地中灌水を除いた灌水方法は、全てが表層に水を供給するためのもので、根に直接水を供給しないことから、蒸発による水分の消耗が多くなり、農業用水の使用量を増加させるという問題点を有するので、地中灌水を用いるようになる。このような地中灌水を用いた給水装置として、特許文献１（発明の名称：自動給水装置）が開示されており、これに対して図１に基づいて説明する。

図１に示すように、自動給水装置１００は、貯水槽１０１、給水ヘッド１０２及びこの給水ヘッド１０２から延長される給水管１０６を含んで構成される。また、前記給水ヘッド１０２は、透水性材質からなり、下端が円錐状の端部によって塞がっており、耕作地に裁培される作物の根付近の土壌に挿設される給水管状部１０３と、防水材質からなり、前記給水管状部１０３の上部開放端に連結されるヘッド部１０４と、給水ヘッド１０２が挿設される位置より低い水位を有する貯水槽１０１の下部に連結される前記給水管１０６を通して移送・給水される水を給水ヘッド１０２のヘッド部１０４に供給するための排出口１０５とを含んで構成される。

上記のような従来の自動給水装置は、育苗ポットの水分含有量によって発生する圧力差に基づいて水を持続的に供給するもので、育苗ポットに供給された水分が蒸発すると、圧力が低くなり、この圧力差によって水分が貯水槽から育苗ポットに移動するようになる。したがって、水分の蒸発によって自動的に常時水が供給されるので、水分を適正に維持する観点では有利であるが、施設ハウスで栽培する野菜や果樹などの畑作物においては、常時水分を最適の状態に維持することが生育に必ずしも有益であると見られず、光合成に比例するように水分の量を調節したり、低水分状態に制御する必要がある。したがって、植物の生育状態による水分量調節及び地中の供給位置調節が植物の生産性及び水分の節減に有利であるので、実際には、上記のような自動給水装置を適切に使用することができない。

また、上記のような自動給水装置は、高価の装備であり、果樹及び造景樹などの広い面積にかけて多数の作物に給水すべきである営農裁培環境では、このような高価の設備を多数個施設することが難しいので、土壌水分を計測する研究室、実験室及び養液裁培農家などで制限的に使用されている。

したがって、本出願人は、図２及び図３に示すように、根に直接水分を供給するもので、作物の根の発育状態に相応する最適の位置に給水することで根を下ろし、水が生育作物の根のみに効果的に吸収されるようにして生育促進を図る地中灌水システムを、特許文献２（発明の名称：地中灌水システム）で提案したことがある。これは、貯水槽２０１に貯蔵された用水を作物に供給するもので、前記貯水槽２０１に貯蔵された用水を設定圧力で給水するポンピング手段２０３及び灌水手段２１０を含んで構成される。この灌水手段２１０は、側面に前記ポンピング手段２０３によってポンピングされた用水を流入させるための流入口２１３が形成され、前記流入口２１３と連通される水管２１４が内部から下方に形成され、上部に打撃部２１５が形成されたヘッド部２１１と、前記ヘッド部２１１の下部に結合され、中央に前記水管２１４と連通される連通路２１７が形成され、下端部に前記連通路２１７と連通されて外部に水を流出させるための流出口２１９が形成された本体部２１６と、前記本体部２１６と結合され、地中に容易に挿入されるように円錐状に形成された先端部２２１とを含んで構成される。本体部２１６の外部にスケール２２０を形成し、作物の根の発育状態に相応する最適の位置に灌水手段２１０を挿入し、灌水手段２１０を通して給水することで、下部に根を下ろすようになる。そして、本体部２１６の連通路２１７には、この連通路２１７を通過する水の速度を遅延させるとともに、水の温度を上昇させる遅延路２１８が形成される。

したがって、上記のような特許文献２によると、作物の根が迅速に下方に延長されることで、生育を促進させるので、浅根性による冷害の防止及び早期収穫が可能になり、収益性を増大させることができる。また、水分蒸発が少ないので、施設ハウスでの結露現象が抑制され、病害を最小化することができる。さらに、地表層より深い所に水分が供給されるので、地表層がドロドロにならず、収穫、防災対策、リアカーの移動などの作業性が良好になり、農業用水の使用量激減によって水資源の節減及び生育効果の向上などをもたらす。

また、本出願人によって特許文献３（発明の名称：地中灌水システム)が提案されたことがあり、これに対して図４乃至図５に基づいて説明する。

図４及び図５に示すように、特許文献３は、貯水槽３０１に供給・貯蔵された用水をポンピングするポンピング手段３０３と、前記ポンピング手段３０３によってポンピングされた用水を地中に供給するための流入孔３１４と流出孔３１９とを連結する管体３１６を備えた灌水手段３１０とを含んで構成される。また、前記ポンピング手段３０３の一側にはノブを備えた圧力調節バルブ３０２が設置され、ポンピング手段３０３と灌水手段３１０との間を連結する管路の一側にはニップル３０５が設けられ、ニップル３０５の内部中心孔３０６には、減圧孔３０８を備えたリデューサー３０７が挿入固定される。

一方、上記のような各特許文献は、全てが一つの地点に一つの灌水手段によって給水するもので、時間の経過とともに、この灌水手段に作物の根が偏重される状態になり、バランスの取れた成長が困難になる。さらに、地中の一地点のみに作物の生長に必要な量だけ集中的に給水すべきであるが、灌水手段によって供給される水が放射状に染み込むので、供給水の約５０％の水は、蒸発されたり、根域から逸脱して近隣の土壌に吸収されて損失される。そのため、実際に作物に吸収される水の倍程度を給水すべきであるので、依然として水資源を浪費するという問題点を有する。

大韓民国特許公開第１９８７−６号 大韓民国特許登第５５６３００号 特許登録第５９４４７９号

本発明の目的は、上記のような問題点を解決するために、枝の下方に分布する作物の全ての根域に灌水手段によって水を均一に供給できる地中根域均等灌水装置及びその方法を提供することにある。

本発明は、上記のような目的を達成するために、ポンプによって水タンクの水が供給される主管と、主管に連結された支管と、前記各支管と作物の根域に埋設された灌水手段との間を連結する細管とを含んで構成された地中灌水装置において、入口が前記細管と連結され、複数個の出口が分散細管を通して地中の根域周囲に均等間隔で埋設された前記複数個の灌水手段と連結される減圧バルブを備えてなる地中根域均等灌水装置を提案する。

さらに、本発明は、ポンプによって水タンクの水が主管を通して複数個の支管に供給され、前記複数個の支管に供給された水が、前記支管に連結された細管を経由して作物の根域に配置された灌水手段を通して給水される地中灌水方法において、前記細管に供給された水を分散細管に供給し、前記分散細管に供給される水を定圧に減圧し、分散的に埋設された複数個の灌水手段を通して作物の根域周囲に均等に給水してなる地中根域均等灌水方法を提案する。

本発明によると、支管に供給される水は、減圧バルブを通過しながら一定の圧力で複数個の灌水手段を通して供給される。したがって、複数個の灌水手段によって作物の全ての根域に近い位置に均等な状態で水が供給されるので、農作物の全ての根に減圧バルブによる最適量の水を均等に供給することができる。その結果、作物の根をバランスの取れた状態で下ろすことができ、作物の均衡成長が可能になり、根域以外の土壌に吸収されて消耗される不必要な水の消耗量を最小化することで、水資源の効率的な活用が可能になる。

また、本発明は、作物の成長促進または実の品質改善のための栄養剤を投与する場合にも、栄養剤を根域に均一に供給することができ、栄養剤の投与量減少によって所要経費を節減することができる。特に、栄養剤を作物の根域に直接適用するので、吸収効率を高め、作物の成長率を大いに向上させるとともに、高品質の作物を生産することができる。

また、本発明は、栄養剤を植物の根域に直接適用するので、周辺の土壌汚染を最小化することができ、高品質の生産が可能になる。

さらに、本発明は、対象作物の根域のみに正確に適量の水を供給するので、雑草などの寄生植物の成長に必要な水分確保を困難にすることで、除草のための農業労働力を減らし、除草剤の使用を一層抑制することができる。

従来の地中灌水を用いた自動給水装置を示した断面図である。 本出願人によって既に提案された地中灌水システムを示した概略図である。 本出願人によって既に提案された地中灌水システムを示した縦断面図である。 本出願人によって既に提案された地中灌水システムの他の形態を示した概略図である。 本出願人によって既に提案された地中灌水システムの他の形態を示した縦断面図である。 本発明に係る地中根域均等灌水装置を示した説明図である。 本発明に係る作物に設置された支管、細管及び分散細管の設置状態を示した説明図である。 本発明に係る作物の給水状態を示した説明図である。 本発明に係る作物の給水状態を示した平面図である。 本発明に係る支管、細管及び分散細管の連結状態を例示した説明図である。 本発明に係る灌水手段を例示した説明図である。 本発明に係る灌水手段を例示した説明図である。

以下、本発明を添付された図面に基づいて一層詳細に説明する。本発明を実施するための全体的な構成は、図６及び図７に基づいて説明する。

図６及び図７に示すように、本発明は、水タンク１に連結され、主管２を経て支管３に適正な圧力の水を供給するためのポンプ４を備えており、上述した支管３から分岐された水が細管５を経て複数個の減圧バルブ７の入口に到達するようにし、減圧バルブ７の複数個の出口に分散細管６を放射状に配列して灌水手段８に連結し、上述した灌水手段８を一定の距離をおいて地中の根域周囲に埋設してなるもので、このような灌水手段８は、その上端が地中の５ｃｍ乃至１０ｃｍの深さで埋設される。

このような実施例による本発明では、ポンプ４に電源を印加すると、水タンク１の水が主管２、支管３及び細管５を経て減圧バルブ７の入口に到達するようになる。この減圧バルブ７の内部にはシリコン充填物が充填されており、減圧バルブ７を通過する過程で水が減圧される。そして、減圧バルブ７の出口には分岐された分散細管６が連結されており、分散細管６に連結された複数個の灌水手段８を通して定圧の水が供給される。

すなわち、細管５の水は、作物ごとに設置された複数個の減圧バルブ７に到達するようになり、本発明において、この水は、減圧バルブ７によって規定圧力に減少された後、分岐された分散細管６を経て灌水手段８から、例えば４■／ｈｒずつ一定に排出される。

これによって、灌水手段８から排出された水が根域に分散され、このように根域に投与された水は、排水地点を中心に上下左右の根及び近隣の土壌に分散・吸収されるが、本発明では、特に根に最も近接した位置に水が供給されるので、根による水の吸収率を最大化することができ、近隣の土壌に吸収される水の量を最小化することができる。

さらに、本発明では、作物の全体根域に均等な間隔で配列された灌水手段８を通して全体の根域にかけて均等な量の水が分散される。

したがって、作物が根全体にかけて水を吸収することで、生長に必要な水分を円滑に供給することができ、その結果、作物の成長速度や果樹の品質などにおいて卓越した成果を得るようになる。

すなわち、本発明では、従来の発明と異なり、一地点で作物の生長に必要な水が必要量以上に一括的に供給され、近隣の土壌に吸収されながら反対側の根まで到達される方式でなく、図８及び図９の斜線部分で示すように、全体の根にかけて適量の水を同時に供給するので、バランスの取れた状態で根を下ろすことができ、供給される水のほとんど（湿潤体積１２５％）が作物の根によって直接吸収されるので、土壌で吸収されて消耗される水の損失量を大いに減少させることができる。これによって、本発明は、地中根域の一地点に給水を実施する従来の地中灌水方法に比べて著しい水節減効果を得るようになり、水資源の浪費を防止することができる。さらに、本発明は、作物の生育時期に不足する栄養分（窒素肥料、リン酸肥料、カリ肥料など）を直接根域に供給することで、少量の投与によって充分な量の栄養分が吸収されるようになり、高品質の農産物を生産するとともに、不必要に近隣の土壌に吸収される栄養分を最小化することで、土壌汚染も防止することができる。

さらに、本発明では、作物の根域に可能な限り多くの数の灌水手段８を均等に配列するほど、作物の根で水分や栄養分を効果的に吸収することができ、作物の根域によって適正な数の灌水手段８が設置されるべきである。

また、本発明は、図１０に示すように、上述した支管３に適正な間隔で排水孔９を形成し、この排水孔９に上狭下広の締結段１０を備えた連結具１１を結合し、連結具１１の出口に上述した細管５を連結することで、非常に簡便に支管３と細管５とを連結することができ、施設作業の能率向上を図ることができる。

そして、本発明では、分散細管６の長さを作物の根領域によって５０ｃｍ乃至１００ｃｍにすることが理想的であることが実験を通して確認された。

さらに、本発明では、灌水手段８として、図１１ａ及び図１１ｂに示すように、分散細管６に連結される結合部１５と、下方に延長される案内管１２と、中間に形成された排出孔１３と、終端まで開放された排出部１４とを含んで構成されるものを使用することができ、その結果、灌水手段８を通して所望の深さ及び周囲に給水が実施されるようになる。

さらに、本発明では、減圧バルブ７としてシリコン充填物を充填した形態のものを例示したが、その他の多様な構造の減圧バルブも適用可能である。

１…水タンク、２…主管、３…支管、４…ポンプ、５…細管、６…分散細管、７…減圧バルブ、８…灌水手段、９…排水孔、１０…締結段、１１…連結具、１２…案内管、１３…排出孔、１４…排出部、１５…結合部。

Claims (5)

1. ポンプによって水タンクの水が供給される主管と、主管に連結された支管と、前記各支管と作物の根域に埋設された灌水手段との間を連結する細管とを含んで構成された地中灌水装置において、
   入口が前記細管と連結され、複数個の出口が分散細管を通して地中の根域周囲に均等間隔で埋設された前記複数個の灌水手段と連結される減圧バルブを備えてなることを特徴とする地中根域均等灌水装置。
2. 前記支管に適正な間隔で排水孔を形成し、前記排水孔に上狭下広の締結段を備えた連結具を結合し、前記連結具の出口に前記細管を連結してなることを特徴とする請求項１に記載の地中根域均等灌水装置。
3. 前記細管と前記分散細管との間に設置された前記減圧バルブは、内部にシリコン充填物を充填した構造であることを特徴とする請求項１に記載の地中根域均等灌水装置。
4. 前記分散細管の長さは、５０ｃｍ乃至１００ｃｍであることを特徴とする請求項１に記載の地中根域均等灌水装置。
5. ポンプによって水タンクの水が主管を通して複数個の支管に供給され、前記複数個の支管に供給された水が、前記支管に連結された細管を経由して作物の根域に配置された灌水手段を通して給水される地中灌水方法において、
   前記細管に供給された水を分散細管に供給し、前記分散細管に供給される水を定圧に減圧し、分散的に埋設された複数個の灌水手段を通して作物の根域周囲に均等に給水することを特徴とする地中根域均等灌水方法。