JP2009158680A - 超電導コイル装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の超電導コイルが並列接続された超電導コイル装置において、各超電導コイル相互間のコイルバランスを取ってIop/Iocの差を低減することができる超電導コイル装置を提供する。
【解決手段】超電導コイルA,Bと、超電導コイルA,Bを収納すると共に冷却するクライオスタット15と、超電導コイルA,Bの一端を、それぞれクライオスタット15の外部へ引き出す電流リード7,8と、超電導コイルA,Bの他端を、クライオスタット15の外部へ引き出すと共に超電導コイルA,Bに電流を供給する直流電源100の一方の極に接続する電流リード10と、直流電源100の他方の極とクライオスタット15の外部に引き出された電流リード7,8とをそれぞれ接続すると共に、それぞれ所定の抵抗値が設定された電気抵抗調整用ケーブル11,12とを備えた。
【選択図】図1

Description

本発明は、超電導磁気エネルギー貯蔵装置に代表される液体冷媒冷却型の超電導マグネット、および冷凍機冷却型の超電導マグネット等に利用される超電導コイル装置に関する。
超電導磁気エネルギー貯蔵装置(Superconducting Magnetic Energy Storage、以下SMESと略する)は、他のエネルギー貯蔵装置と比べて、貯蔵効率が高い、エネルギーの出し入れ速度が速い等の特長を有しており、開発が進められている。この場合、所定の電力を取り出すため、必要以上に高電圧化することを避けるために、超電導コイルの電流容量を大容量化するように設計されることが多い。
そのために、超電導コイルには500Aから1kA以上の電流を給電することになる。超電導コイルに、磁気的に安定して超電導電流を流すためには、超電導コイルのフィラメント径をある程度以下に細くする必要がある。そのため、超電導素線を太径化して超電導コイルの電流容量を大容量化するには困難性を伴う。
フィラメント径を細くしつつ超電導コイルの電流容量を増大させるには、超電導素線内のフィラメント数を増やせばよいが、超電導素線内のフィラメント数を増加させるには、製造設備上の問題で困難性を伴う。
そこで、超電導コイルの電流容量を大容量化させるために、超電導素線を複数本束ねて集合導体化する方法が知られている。この方法によって得られる導体として、ケーブル・イン・コンジット導体やラザフォード導体などがある。しかし、これらの導体では、電流が特定の素線に集中したり、それを防ぐために素線間の電気抵抗を低下させると素線間に結合電流が流れて大きな交流損失発生の原因となったりするため、取り扱いが難しいという問題がある。
一方、電流の大容量化の方法として、上記のような導体の大容量化ではなく、電流容量の小さい導体から成る複数の超電導コイルを並列に接続するという構成が提案されている。この場合、各超電導コイルの電気抵抗がゼロのため、各超電導コイルに流れる電流は、僅かな接続抵抗の比に対応した電流分布となり、極端な場合には並列コイル間で数倍もの分配比で電流が流れるという問題が生じる恐れがある。
この問題を解決する方法として、例えば、冷却容器内に収納された複数の超電導コイルに対して、各超電導コイルはその両端子を個別の電流リードで個々に容器外に導出するようにし、その個別の電流リード間に電源を接続することによって、各超電導コイルに流れる電流の分配を改善することが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
これによれば、各超電導コイルに流れる電流の分配は、電流リードの抵抗値で決まる。そして、電流リードの抵抗値をある程度大きな一定の抵抗値に設定することで、接続抵抗の影響を低減することができる。そうすると、僅かな接続抵抗のバラツキによって、並列接続された各超電導コイルに流れる電流の分配比が数倍になるというようなことがなく、特定のコイルに偏って大きな電流が流れるという偏流問題は回避できるとしている。
特開2006−332513号公報
しかしながら、実際の回路では、各超電導コイル間で臨界電流が異なるというケースがよく生じる。さらに、コイル両端子とそれに接続されている電流ケーブルとの接続抵抗が各超電導コイル間で異なるために、上記の各超電導コイルに接続されている電流リードを一定値にしたとしても、各超電導コイルで異なる臨界電流まで同時に流す(各超電導コイルには異なった電流を意図して流す)ということはできない。
酸化物超電導コイルのように、磁束フロー領域での通電が可能な場合は、微小電圧が発生した状態で通電することが期待できるが、各コイルの臨界電流まで同時に流すことができなければ、コイル両端に発生する電圧を等しくしてコイルバランスを取りながらの通電を行うことができなくなる。また、超電導コイルがなんらかの原因でクエンチした場合、コイルバランスが良い状態(各超電導コイルの臨界電流Ic、各超電導コイルの通電電流Iopとするとき、Iop/Icが各超電導コイルで略等しい状態)にしておかなければ、Iop/Icの値が低い特定のコイルに大きなクエンチ電流が誘発されて、そのコイルが機械的損傷を受けることになる。これは、酸化物系、金属系の種類を問わず共通して同じことが言える。
このような課題が存在するために、これまで、集合導体における偏流、結合損失等を低減し、かつコイルバランスを取って複数のコイル相互間でIop/Iocの差を低減しつつ、複数の超電導コイルに同時に通電することが困難であるという不都合があった。
本発明は、このような事情に鑑みて為された発明であり、複数の超電導コイルが並列接続された超電導コイル装置において、各超電導コイル相互間のコイルバランスを取ってIop/Iocの差を低減することができる超電導コイル装置を提供することを目的とする。
本発明に係る超電導コイル装置は、複数の超電導コイルと、前記複数の超電導コイルを収納すると共に冷却する冷却容器と、前記各超電導コイルの一端を、前記冷却容器の外部へ引き出すと共に、当該複数の超電導コイルに電流を供給する電源装置の一方の極に接続する第1電流リードと、前記各超電導コイルの他端を、前記冷却容器の外部へ引き出すと共に前記電源装置の他方の極に接続する第2電流リードと、前記各超電導コイルの一端から前記第1電流リードを介して前記電源装置の一方の極に至る電流経路中に、前記各超電導コイルと直列に設けられる複数の抵抗部とを備え、前記複数の抵抗部は、個別に抵抗値が設定可能である。
この構成によれば、冷却容器内で複数の超電導コイルが冷却される。また、各超電導コイルの一端が、複数の第1電流リードによってそれぞれ冷却容器の外部へ引き出される。そして、第2電流リードによって、各超電導コイルの他端が、冷却容器の外部へ引き出されると共に電源装置の一方の極に接続される。さらに、各超電導コイルの一端から第1電流リードを介して電源装置の一方の極に至る電流経路中に、各超電導コイルと直列に設けられ、個別に抵抗値が設定可能な複数の抵抗部が設けられている。
そうすると、複数の超電導コイルが並列接続されるので、小電流容量の素線を超電導線材として用いることが可能となる結果、ケーブル・イン・コンジット導体やラザフオード導体などの大電流容量導体を用いた場合のような、特定の素線への電流集中や結合損失の増大を低減することが容易となる。また、各超電導コイルと直列に接続された各抵抗部の抵抗値を、個別に設定することにより、各超電導コイルの通電電流Iopを調節することができるので、各超電導コイル相互間における、臨界電流Icと通電電流Iopとの比(Iop/Ic)の差を低減し、各超電導コイル相互間のコイルバランスをとることが容易となる。
また、前記抵抗部は、前記冷却容器の外部に配置されていることが好ましい。
この構成によれば、抵抗部は冷却容器の外部に設けられるので、抵抗部による発熱によって、超電導コイルが加熱されるおそれが低減される。また、冷却容器外部に設けられていれば、通電して各コイルに流れるIopを容易に調節することができる。
また、前記複数の抵抗部は、前記各抵抗部の環境温度における抵抗値の最大値と最小値との差が、5.0×10−7Ω〜2.0×10−4Ωの範囲内となるように、各抵抗部の抵抗値が設定されていることが好ましい。
この構成によれば、抵抗部の抵抗値の差が2.0×10−4Ω以下であれば、抵抗部の抵抗値を略2.0×10−4Ω以下にすることが可能となるので、抵抗部による発熱を、強制冷却によって排除することが容易となる。また、抵抗部の抵抗値の差は、5.0×10−7Ω以上となるので、抵抗部の抵抗値の差が、超電導コイルや電流リードにおける接続抵抗の抵抗値と近似して通電電流Iopの調節が困難になるおそれが低減される。
また、前記複数の抵抗部は、ケーブルであり、当該ケーブルの長さに応じて前記抵抗値が設定されることが好ましい。
この構成によれば、各超電導コイルと直列に接続されたケーブルの長さに応じて前記抵抗値が設定される。そうすると、ケーブルは低抵抗であるから、ケーブルの長さを設定することで、前記抵抗値を設定することとすれば、各抵抗部(各ケーブル)毎に微妙な抵抗値の設定が容易となる結果、各超電導コイル相互間における、臨界電流Icと通電電流Iopとの比(Iop/Ic)の差を低減させるように、各抵抗部(各ケーブル)の抵抗値を設定することが容易となる。
また、前記複数の抵抗部は、ケーブルであり、当該ケーブルの太さに応じて前記抵抗値が設定されるようにしてもよい。
そうすると、ケーブルは低抵抗であるから、ケーブルの太さを設定することで、前記抵抗値を設定することとすれば、各抵抗部(各ケーブル)毎に微妙な抵抗値の設定が容易となる結果、各超電導コイル相互間における、臨界電流Icと通電電流Iopとの比(Iop/Ic)の差を低減させるように、各抵抗部(各ケーブル)の抵抗値を設定することが容易となる。
また、前記複数の抵抗部は、ケーブルであり、当該ケーブルの材質に応じて前記抵抗値が設定されるようにしてもよい。
そうすると、ケーブルは低抵抗であるから、ケーブルの材質を設定することで、前記抵抗値を設定することとすれば、各抵抗部(各ケーブル)毎に微妙な抵抗値の設定が容易となる結果、各超電導コイル相互間における、臨界電流Icと通電電流Iopとの比(Iop/Ic)の差を低減させるように、各抵抗部(各ケーブル)の抵抗値を設定することが容易となる。
また、前記複数の抵抗部はケーブルであり、当該ケーブルの長さ、太さ、及び材質のうち少なくとも一つに応じて前記抵抗値が設定されるようにしてもよい。
また、前記ケーブルは、長さ方向の少なくとも一部において導体が露出し、当該露出部分において、前記各超電導コイルの一端、前記第1電流リード、及び前記電源装置のうちいずれか一つと露出した導体とが接続されており、当該接続箇所の位置に応じて前記抵抗値が設定されることが好ましい。
この構成によれば、ケーブルにおいて露出している導体部分と、各超電導コイルの一端、前記第1電流リード、及び前記電源装置のうちいずれか一つとの接続箇所を変えるだけで、電源装置の他方の極と第1電流リードとの間におけるケーブルの長さ、すなわち抵抗値を変えることができるので、臨界電流Icと通電電流Iopとの比(Iop/Ic)の差を低減させるように、各抵抗部(各ケーブル)の抵抗値を設定することが容易となる。
このような構成の超電導コイル装置は、冷却容器内で複数の超電導コイルが冷却される。また、各超電導コイルの一端が、複数の第1電流リードによってそれぞれ冷却容器の外部へ引き出される。そして、第2電流リードによって、各超電導コイルの他端が、冷却容器の外部へ引き出されると共に電源装置の一方の極に接続される。さらに、それぞれ所定の抵抗値が設定された複数の抵抗部によって、電源装置の他方の極と冷却容器の外部に引き出された複数の第1電流リードとがそれぞれ接続される。
そうすると、複数の超電導コイルが並列接続されるので、小電流容量の素線を超電導線材として用いることが可能となる結果、ケーブル・イン・コンジット導体やラザフオード導体などの大電流容量導体を用いた場合のような、特定の素線への電流集中や結合損失の増大を低減することが容易となる。また、各超電導コイルの一端と接続された各第1電流リードの抵抗値を、個別に設定することにより、各超電導コイルの通電電流Iopを調節することができるので、各超電導コイル相互間における、臨界電流Icと通電電流Iopとの比(Iop/Ic)の差を低減し、各超電導コイル相互間のコイルバランスをとることが容易となる。
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1は、本発明の一実施形態に係る超電導コイル装置の構成の一例を示す回路図である。図1に示す超電導コイル装置1は、例えば、超電導コイルA,B、外部電極3,4、内部電極6、電流リード7,8(第1電流リード)、電流リード10(第2電流リード)、電気抵抗調整用ケーブル11,12(抵抗部)、及び超電導コイルA,Bを収容するクライオスタット15(冷却容器)を備えている。
超電導コイルA,Bは、例えば、同一の枠体に巻回されて、シングルパンケーキ型のコイル体であるシングルパンケーキコイル2が構成されている。シングルパンケーキコイル2は、超電導コイルA,B、外部電極3,4、及び内部電極6を含む。
図2は、図1に示すシングルパンケーキコイル2の全体を示す概略図である。図3は、図2に示すシングルパンケーキコイル2の断面図である。シングルパンケーキコイル2は、略円筒形状の巻枠20に、超電導コイルA,Bが同心に巻回されて構成されている。
巻枠20は、超電導コイルA,Bが巻き付けられる筒状の巻胴21と、この巻胴21の軸方向両端部から巻胴21の円周方向に亘って巻胴21の延びる方向と直交する方向に延びる鍔部22とを有している。
そして、超電導コイルAを構成する例えばテープ状の超電導線材A1と、超電導コイルBを構成する例えばテープ状の超電導線材B1とが、厚さ方向に重ねられた状態で、かつその重ねられた順序のまま巻枠20の上部に同心円状に所定回数巻回されることにより、シングルパンケーキコイル2が構成されている。超電導線材A1,B1の巻回状態では、超電導線材A1がシングルパンケーキコイル2の径方向内側に位置し、超電導線材B1がシングルパンケーキコイル2の径方向外側に位置している。
また、シングルパンケーキコイル2の内部では、内部電極6以外では、超電導線材A1と超電導線材B1とは電気的に接続されておらず、超電導コイルAと超電導コイルBの独立した2個の超電導コイルを構成している。
また、巻胴21の一部に、内部電極6が組み込まれている。内部電極6は、例えば断面略半円弧形状を有し、一方向に延びる棒状の銅製部材である。そして、超電導線材A1,B1の巻始め側の一端が、例えば半田64によって内部電極6に接続されている。内部電極6には、電流リード10の一端が接続されている。
そして、超電導線材A1の他端には、例えば平板状の銅製部材からなる外部電極3が取り付けられている。さらに、外部電極3には、電流リード7の一端が接続されている。また、超電導線材B1の他端には、例えば平板状の銅製部材からなる外部電極4が取り付けられている。さらに、外部電極4には、電流リード8の一端が接続されている。
クライオスタット15は、例えばシングルパンケーキコイル2を液体窒素や液体ヘリウムとともに収容する真空断熱容器である。クライオスタット15は、外部環境から熱遮蔽した状態で、シングルパンケーキコイル2を極低温に保持するように構成されている。なお、クライオスタット15は、冷凍機によってシングルパンケーキコイル2を冷却するタイプのものであってもよい。
電流リード7,8,10は、例えばクライオスタット15内で極低温下に晒される超電導体で構成された超電導電流リードと、クライオスタット15の外部に取り出されて常温下に晒される銅または銅合金等の低抵抗金属製の導体とが直列接続されて構成されている。また、電流リード7,8,10の超電導電流リード側が、外部電極3,4、及び内部電極6と接続されている。
そして、電流リード10におけるクライオスタット15の外部に引き出された部分に、直流電源100(電源装置)の正極が接続されている。また、電流リード7におけるクライオスタット15の外部に引き出された部分に、電気抵抗調整用ケーブル11を介して直流電源100の負極が接続されている。そして、電流リード8におけるクライオスタット15の外部に引き出された部分に、電気抵抗調整用ケーブル12を介して直流電源100の負極が接続されている。
これにより、クライオスタット15に収容された超電導コイルA,Bに、直流電源100から直流電流が供給されるようになっている。
電気抵抗調整用ケーブル11,12は、クライオスタット15の外部に配置され、例えば断面積30mm、長さ500mmのケーブルである。また、電気抵抗調整用ケーブル11,12の被覆の一部が長手方向に全長に亘って除去され、導体が露出されている。そして、電気抵抗調整用ケーブル11,12と電流リード7,8との接続箇所、及び電気抵抗調整用ケーブル11,12と直流電源100との接続箇所のうち少なくとも一方を、自由に変更可能にされている。
この場合、電気抵抗調整用ケーブル11,12と電流リード7,8との接続箇所、及び電気抵抗調整用ケーブル11,12と直流電源100との接続箇所のうち少なくとも一方を変化させることにより、電流リード7と直流電源100との間の抵抗値Ra、及び電流リード8と直流電源100との間の抵抗値Rbを個別に変化させて、設定することができる。従って、電気抵抗調整用ケーブル11,12で生じる抵抗値を変化させて、任意の抵抗値Ra,Rbを設定することが容易となる。
そして、超電導コイルを流れる通電電流がIop、超電導コイルの臨界電流がIcであるとき、超電導コイルAにおけるIop/Icと、超電導コイルBにおけるIop/Icとが略等しくなるように、電気抵抗調整用ケーブル11,12によって、抵抗値Ra,抵抗値Rbが設定されている。
なお、電気抵抗調整用ケーブル11,12と電流リード7,8との接続箇所、及び電気抵抗調整用ケーブル11,12と直流電源100との接続箇所のうち少なくとも一方を設定することにより、抵抗値Ra,抵抗値Rbを設定する例に限られず、例えば電気抵抗調整用ケーブル11,12の長さをそれぞれ設定することで、抵抗値Ra,抵抗値Rbを設定するようにしてもよい。
また、内部電極6は、個別の電極が超電導コイルA,Bにそれぞれ接続されて構成されていてもよい。また、電流リード10の代わりに、上記個別の電極と直流電源100とを接続するように、複数の電流リードが並列接続されていてもよい。また、電流リード10と直流電源100との間にも、電気抵抗調整用ケーブルが接続されていてもよい。
上述のように構成された超電導コイル装置1によれば、複数の超電導コイルA,Bを並列接続することにより、小電流容量の素線を超電導線材A1,B1として用いることが可能となるため、ケーブル・イン・コンジット導体やラザフオード導体などの大容量導体で問題となる特定の素線への電流集中や結合損失の技術的な課題を回避することが容易となる。また、各超電導コイルA,Bに接続された電流リード7,8と直流電源100までの間の直流抵抗(抵抗値Ra,Rb)を個別に調整することにより、各超電導コイルA,BのIop/Icを略等しくすることが可能となり、コイルバランスが取れた状態での通電が可能となる。
また、超電導コイル装置1の動作状態での環境温度、例えば超電導コイル装置1が設置されている場所の室温における各電流リード7,8と直流電源100までの直流抵抗の差が、5.0×10−7Ω〜2.0×10−4Ωの範囲内になるように、抵抗値Ra,Rbを個別に調整すると、電気抵抗調整用ケーブル11,12のうち一方を略0Ωにすれば、その調整分の抵抗による発熱は、1000A通電の場合でも最大で200Wとなる。最大で200Wの発熱であれば、発熱部分を強制冷却するなどして安定した通電が可能である。その調整によって生じた抵抗発熱は、超電導コイルの冷却を行うクライオスタット15の外部で生じるので、超電導コイルA,Bの冷却効率にはほとんど影響が無い。
直流抵抗の差が5.0×10−7Ωより小さい場合は、回路系の接続抵抗の値に近づき、超電導コイルA,BのIop/Icを等しくする調整が困難となる。また、各電流リード7,8から直流電源100までの直流抵抗の差が2.0×10−4Ωよりも大きくなると、調整分の抵抗による発熱が大きくなり過ぎ、超電導コイルA,BのIop/Icを等しくできても安定した通電ができなくなる。より望ましい各電流リードから電源までの直流抵抗の差は、2.0×10−6Ω〜8.0×10−5Ωである。
なお、例えば図4に示すように、図1に示すシングルパンケーキコイル2における超電導コイルA,Bに、さらに超電導コイルCを並列接続して外部電極5を設けることにより、超電導コイルが三つ並列接続されたシングルパンケーキコイル2aを構成してもよい。そして、外部電極5を電流リード9(第1電流リード)と電気抵抗調整用ケーブル13(抵抗部)とを介して直流電源100へ接続することで、超電導コイル装置1aを構成するようにしてもよい。
また、例えば図5に示すように、電気抵抗調整用ケーブル11,12,13をクライオスタット15内に収容し、電気抵抗調整用ケーブル11,12,13の一端を電流リード7によってクライオスタット15の外部に引き出して、直流電源100へ接続するようにしてもよい。
このような構成の超電導コイル装置1aにおいて、電気抵抗調整用ケーブル11,12,13の抵抗値Ra,Rb,Rcが、例えば超電導コイルA,B,CにおけるIop/Icのすべてが略等しくなるように、設定されている。また、抵抗値Ra,Rb,Rcの最大値と最小値との差が、5.0×10−7Ω〜2.0×10−4Ωの範囲内となるように、抵抗値Ra,Rb,Rcが設定されている。
超電導コイルは複数並列接続されていればよく、四つ以上並列接続されていてもよい。また、複数の超電導コイルは、クライオスタット15に収容されていればよく、シングルパンケーキコイルとして構成される例に限らない。
以下、図1に示す超電導コイル装置1及び図4に示す超電導コイル装置1aを実際に構成して実験した実施例1及び実施例2と、実施例1及び実施例2の構成から電気抵抗調整用ケーブルを取り除いた比較例1及び比較例2について、説明する。
(比較例1)
図6は、比較例1に係る超電導コイル装置101の構成を示す回路図である。図6に示す超電導コイル装置101は、電気抵抗調整用ケーブル11,12を備えず、電流リード7,8が直接直流電源100の負極に接続されている。
具体的には、幅10mm、厚さ0.12mm、長さ5650mmのY系テープ線材からなる超電導線材A1と、幅10mm、厚さ0.12mm、長さ5670mmのY系テープ線材からなる超電導線材B1との二枚のY系テープ線材を用意した。そして、幅10mm、厚さ0.1mmのガラスクロステープとこれら二枚の超電導線材A1,B1とを重ねて、図2に示す巻枠20に各9層共巻きして、シングルパンケーキコイル2を作製した。
また、超電導線材A1,B1の巻始め側の一端を、内部電極6に半田で接続した。そして、超電導線材A1,B1の他端に、外部電極3,4をそれぞれ取り付けた。コイルの内部では、内部電極6以外では、超電導線材A1,B1は電気的に接続されておらず、超電導コイルAと超電導コイルBとの独立した2個の超電導コイルを構成している。
このシングルパンケーキコイル2を、クライオスタット15内に装着した。内部電極6に結線された電流リード10は、超電導コイルAと超電導コイルBとで共有されている。外部電極3,4はそれぞれ個別の電流リード7,8に結線されている。
そして、クライオスタット15内に液体窒素を導入してシングルパンケーキコイル2を冷却した。さらに、直流電源100によって、超電導コイル装置101へ供給する電流を徐々に増大させて、超電導コイルAの両端の電圧Vaと超電導コイルBの両端の電圧Vbとをそれぞれ測定した。
図7は、比較例1における実験結果を示すグラフである。横軸は、直流電源100から超電導コイル装置101へ供給される電流値、すなわち超電導コイルAに流れる電流Iaと超電導コイルBに流れる電流Ibとの合計電流Itを示している。
1.0μV/cmの電界基準を用いた場合における合計電流Itは、内側の超電導線材A1(超電導コイルA)の電圧Vaに基準を適用すると102A、外側の超電導線材B1(超電導コイルB)の電圧Vbに基準を適用すると116Aであり、両者の差が14Aとなった。
また、合計電流Itが102Aのときに、超電導コイルAでは1.0μV/cmの電界に相当する電圧が発生して臨界電流に達しているのに対し、超電導コイルBではほとんど電圧が発生していない。各テープ線材に50Aずつの電流が流れているときに、超電導コイルの発生する最大経験磁場は5.6mTである。事前に測定した超電導コイルA,Bの液体窒素温度77.3K、磁場5.6mTにおける臨界電流は、それぞれ53A、63Aであった。超電導コイルAのIop/Icが53A/53A=1.00のとき、超電導コイルBのIop/Icは(102−53)A/63A=0.78であり、両者で22%の差が生じた。
また、比較例1における上述のシングルパンケーキコイル2を、冷凍機冷却型のクライオスタット15に装着して、図6に示す超電導コイル装置101を構成した。そして、シングルパンケーキコイル2を、20Kに冷却し、通電して超電導コイルA、超電導コイルBの両端の電圧を測定した。
1.0μV/cmの電界基準を用いたときの電流Iaと電流Ibとの合計電流Itは、内側の超電導線材A1(超電導コイルA)の電圧Vaに基準を適用すると510A、外側の超電導線材B1(超電導コイルB)の電圧Vbに基準を適用すると578Aであり、両者の差が68Aとなった。
また、超電導線材A1,B1に、それぞれ250Aずつ電流が流れているときに、超電導コイルの発生する最大経験磁場は16.8mTである。事前に測定した超電導コイルA,Bの温度20K、磁場28.0mTにおける臨界電流は、それぞれ263A,312Aであった。超電導コイルAのIop/Icが263A/263A=1.00のとき、超電導コイルBのIop/Icは(510−263)A/312A=0.79であり、両者で21%の差が生じた。
(比較例2)
図8は、比較例2に係る超電導コイル装置101aの構成を示す回路図である。図8に示す超電導コイル装置101aは、電気抵抗調整用ケーブル11,12,13を備えず、電流リード7,8,9が直接直流電源100の負極に接続されている。
具体的には、幅10mm、厚さ0.2mm、長さ4500mmのY系テープ線材からなる超電導線材A1と、幅10mm、厚さ0.2mm、長さ4507mmのY系テープ線材からなる超電導線材B1と、幅10mm、厚さ0.2mm、長さ4515mmのY系テープ線材からなる超電導線材C1との三枚のY系テープ線材を用意した。そして、幅10mm、厚さ0.1mmのガラスクロステープとこれら三枚の超電導線材A1,B1,C1とを重ねて、図2に示す巻枠20に各7層共巻きして、シングルパンケーキコイル2を作製した。
また、超電導線材A1,B1,C1の巻始め側の一端を、内部電極6に半田で接続した。そして、超電導線材A1,B1,C1の他端に、外部電極3,4,5をそれぞれ取り付けた。コイルの内部では、内部電極6以外では、超電導線材A1,B1,C1は電気的に接続されておらず、超電導コイルAと超電導コイルBと超電導コイルCとの独立した三個の超電導コイルを構成している。
このシングルパンケーキコイル2を、クライオスタット15内に装着した。内部電極6に結線された電流リード10は、超電導コイルAと超電導コイルBと超電導コイルCとで共有されている。外部電極3,4,5はそれぞれ個別の電流リード7,8,9に結線されている。
そして、クライオスタット15内に液体窒素を導入してシングルパンケーキコイル2を冷却した。さらに、直流電源100によって、超電導コイル装置101へ供給する電流を徐々に増大させて、超電導コイルAの両端の電圧Vaと超電導コイルBの両端の電圧Vbと超電導コイルCの両端の電圧Vcとをそれぞれ測定した。
1.0μV/cmの電界基準を用いたときの超電導コイルAに流れる電流Ia、超電導コイルBに流れる電流Ib、及び超電導コイルCに流れる電流Icの合計電流Itは、内側の超電導線材A1(超電導コイルA)の電圧Vaに基準を適用すると165A、中央の超電導線材B1(超電導コイルB)の電圧Vbに基準を適用すると191A、外側の超電導線材C1(超電導コイルC)の電圧Vcに基準を適用すると168Aとなり、電流Ia、電流Ib、及び電流Icにおける電流値の最大値と最小値との差が26Aとなった。
また、超電導線材A1,B1,C1に、それぞれ50Aずつ電流が流れているときに、超電導コイルの発生する最大経験磁場は2.1mTである。事前に測定した超電導コイルA,B,Cの液体窒素温度77.3K、磁場2.1mTにおける臨界電流は、それぞれ56A、59A,64Aであった。
外側の超電導線材C1の電流−電圧特性において、1.0μV/cmの電界基準を用いたときの合計電流Itが168Aであることから、この状態での超電導コイルAのIop/Icは{56+(168−165)}A/56A=1.05、超電導コイルCのIop/Icは64A/64A=1.00、超電導コイルBのIop/Icは(168−59−64)A/59A=0.76ということになる。すなわち、三コイルの各Iop/Icにおいて、最大値と最小値との差が、1.05−0.76=29%となった。
また、比較例2における上述のシングルパンケーキコイル2を、冷凍機冷却型のクライオスタット15に装着して、図8に示す超電導コイル装置101aを構成した。そして、シングルパンケーキコイル2を、20Kに冷却し、通電して超電導コイルA、超電導コイルB、超電導コイルCの両端の電圧を測定した。
1.0μV/cmの電界基準を用いたときの超電導コイルA、超電導コイルB、超電導コイルCの合計電流Itは、超電導コイルAの電圧に基準を適用すると825A、超電導コイルBの電圧に基準を適用すると957Aであり、超電導コイルCの電圧に基準を適用すると838Aであり、三つの超電導コイルにおける各合計電流Itの最大値と最小値との差が132Aとなった。
また、超電導線材A1,B1,C1に、それぞれ270Aずつ電流が流れているときに、超電導コイルの発生する最大経験磁場は11.3mTである。
事前に測定した超電導コイルA,B,Cの温度20K、磁場11.3mTにおける臨界電流は、それぞれ280A、294A、318Aであった。
外側の超電導線材C1の電流−電圧特性において、1.0μV/cmの電界基準を用いたときの合計電流Itが838Aであることから、超電導コイルAのIop/Icが{280+(838−825)}A/280A=1.05のとき、超電導コイルCのIop/Icは318A/318A=1.00、超電導コイルBのIop/Icは(838−293−318)A/294A=0.77であり、三つの超電導コイルにおける各Iop/Icの最大値と最小値との差が1.05−0.77=28%となった。
(実施例1)
図1に示す超電導コイル装置1において、比較例1で作製したシングルパンケーキコイル2を、液体窒素が導入されたクライオスタット15内に装着して冷却した。また、超電導コイルA,Bの外部電極3,4を、それぞれ個別の電流リード7,8に結線し、電流リード7,8から直流電源100まで接続するケーブルの途中に、導体断面積30mm、全体の長さ500mm(被覆を一部長手方向に全長に亘って除去し、適当な長さを選択して電気抵抗を調整できるようにした)の電気抵抗調整用ケーブル11,12を、電流リード7,8と直列に接続した。
また、内側の超電導線材A1(超電導コイルA)用の電流リード7に接続されている電気抵抗調整用ケーブル11の使用する部分の長さを200mmとし、外側の超電導線材B1(超電導コイルB)用の電流リード8に接続されている電気抵抗調整用ケーブル12の使用する部分の長さを115mmとした。このとき、両電気抵抗調整用ケーブルの使用する部分の長さの差は85mmで、電気抵抗の差は5.0×10−5Ωである。
そして、直流電源100によって、超電導コイル装置1へ供給する電流を徐々に増大させて、超電導コイルAの両端の電圧Vaと超電導コイルBの両端の電圧Vbとをそれぞれ測定した。
図9は、図1に示す超電導コイル装置1を実際に構成して実験した実施例1の実験結果を示すグラフである。横軸は、直流電源100から超電導コイル装置1へ供給される電流値、すなわち超電導コイルAに流れる電流Iaと超電導コイルBに流れる電流Ibとの合計電流Itを示している。
1.0μV/cmの電界基準を用いた場合における合計電流Itは、内側の超電導線材A1(超電導コイルA)の電圧Vaに基準を適用すると116A、外側の超電導線材B1(超電導コイルB)の電圧Vbに基準を適用すると117Aとなり、両者の差は1Aしかない。
また、超電導コイルAのIop/Icが53A/53A=1.00のとき、超電導コイルBのIop/Icは(116−53)A/63A=1.00であり、両者の差は比較例1における22%から0%に低減でき、コイルバランスが理想的に取れた状態にすることができた。
また、実施例1における上述のシングルパンケーキコイル2を、冷凍機冷却型のクライオスタット15に装着して、図1に示す超電導コイル装置1を構成した。そして、シングルパンケーキコイル2を、20Kに冷却し、通電して超電導コイルA、超電導コイルBの両端の電圧を測定した。
1.0μV/cmの電界基準を用いたときの電流Iaと電流Ibとの合計電流Itは、内側の超電導線材A1(超電導コイルA)の電圧Vaに基準を適用すると574A、外側の超電導線材B1(超電導コイルB)の電圧Vbに基準を適用すると585Aであり、両者の差が11Aしかない。
また、超電導線材A1,B1に、それぞれ250Aずつ電流が流れているときに、超電導コイルの発生する最大経験磁場は28.0mTである。事前に測定した超電導コイルA,Bの温度20K、磁場28.0mTにおける臨界電流は、それぞれ263A,312Aであった。超電導コイルAのIop/Icが263A/263A=1.00のとき、超電導コイルBのIop/Icは(574−263)A/312A=1.00であり、両者の差を比較例1における21%から0%に低減でき、コイルバランスが理想的に取れた状態にすることができた。
(実施例2)
図4に示す超電導コイル装置1aにおいて、比較例2で作製したシングルパンケーキコイル2を、液体窒素が導入されたクライオスタット15内に装着して冷却した。また、超電導コイルA,B,Cの外部電極3,4,5を、それぞれ個別の電流リード7,8,9に結線し、電流リード7,8,9から直流電源100まで接続するケーブルの途中に、導体断面積30mm、全体の長さ500mm(被覆を一部長手方向に全長に亘って除去し、適当な長さを選択して電気抵抗を調整できるようにした)の電気抵抗調整用ケーブル11,12,13を、電流リード7,8,9と直列に接続した。
また、内側の超電導線材A1(超電導コイルA)用の電流リード7に接続されている電気抵抗調整用ケーブル11の使用する部分の長さを230mmとし、中央の超電導線材B1(超電導コイルB)用の電流リード8に接続されている電気抵抗調整用ケーブル12の使用する部分の長さを200mmとし、外側の超電導線材C1(超電導コイルC)用の電流リード9に接続されている電気抵抗調整用ケーブル13の使用する部分の長さを230mmとして、各超電導コイルの両端電圧と電流の特性を調べた。
このとき、各電気抵抗調整用ケーブルにおける最短のものと最長のものとの長さの差は30mmで、電気抵抗の差は1.8×10−5Ωである。また、1.0μV/cmの電界基準を用いたときの合計電流Itは、超電導コイルAの電圧Vaに基準を適用した場合で179A、超電導コイルBの電圧Vbに基準を適用した場合で176A、超電導コイルCの電圧Vcに基準を適用した場合で181Aであった。
超電導コイルAの電流−電圧特性において、1.0μV/cmの電界基準を用いたときの合計電流Itが179Aであることから、この状態での超電導コイルAのIop/Icは56A/56A=1.00、超電導コイルBのIop/Icは{59+(179−176)}A/59A=1.05、超電導コイルCのIop/Icは(179−56−62)/64=0.95ということになる。
すなわち、三コイルにおける各Iop/Icの最大値と最小値との差が1.05−0.95=10%となった。このように、実施例2によれば、三コイルの各Iop/Icの差を、比較例2における29%から10%に低減でき、コイルバランスを改善することができた。
また、実施例2における上述のシングルパンケーキコイル2を、冷凍機冷却型のクライオスタット15に装着して、図4に示す超電導コイル装置1aを構成した。そして、シングルパンケーキコイル2を、20Kに冷却し、通電して超電導コイルA、超電導コイルB、超電導コイルCの両端の電圧を測定した。
1.0μV/cmの電界基準を用いたときの超電導コイルA、超電導コイルB、超電導コイルCの合計電流Itは、超電導コイルAの電圧に基準を適用すると895A、超電導コイルBの電圧に基準を適用すると880Aであり、超電導コイルCの電圧に基準を適用すると905Aであり、三つの超電導コイルにおける各合計電流Itの最大値と最小値との差が25Aとなった。
また、超電導線材A1,B1,C1に、それぞれ300Aずつ電流が流れているときに、超電導コイルの発生する最大経験磁場は12.4mTであった。
また、事前に測定した超電導コイルA,B,Cの温度20K、磁場12.4mTにおける臨界電流は、それぞれ278A、292A、315Aであった。外側の超電導線材A1の電流−電圧特性において、1.0μV/cmの電界基準を用いたときの合計電流Itが895Aであることから、この状態での超電導コイルAのIop/Icは278A/278A=1.00、超電導コイルBのIop/Icは{292+(895−880)}A/292A=1.05、超電導コイルCのIop/Icは(895−292−307)/315=0.94ということになる。
すなわち、超電導コイルA,B,Cにおける各Iop/Icの最大値と最小値との差として、1.05−0.94=11%の値が得られた。このように、実施例2によれば、三コイルの各Iop/Icの最大値と最小値との差を、比較例2の28%から11%に低減でき、コイルバランスを改善することができた。
実施例1および実施例2では、内部電極6を複数の超電導コイルで共通に用いる構成としたが、外部電極と同様に内部電極も各超電導コイルごとに個別のものを用いてもよい。
また、実施例1および実施例2では、各超電導コイルに接続された電流リードと電源までの間の各直流電気抵抗を調整する方法として、電気抵抗調整用ケーブル11,12(13)の長さを調節したが、電気抵抗調整用ケーブル11,12(13)の太さや材質を調節しても、同様の効果が期待できる。
例えば、実施例1において、電気抵抗調整用ケーブル11,12として、導体断面積60mmの銅製ケーブルを用いる場合、電気抵抗調整用ケーブル11の使用する部分の長さを400mmとし、電気抵抗調整用ケーブル12の使用する部分の長さを230mmとしても、実施例1と同等の効果が得られる。
また、実施例1において、ケーブルの材質を銅からアルミニウムに変え、導体断面積30mmのケーブルを用いる場合、電気抵抗調整用ケーブル11の使用する部分の長さを131mmとし、電気抵抗調整用ケーブル12の使用する部分の長さを76mmとしても、実施例1と同等の効果が得られる。
このように、本発明に係る超電導コイル装置によれば、複数の超電導コイル間におけるコイルバランスを取って、Iop/Iocの差を低減しつつ各素線に通電しながら、複数の超電導コイルに同時に磁場を発生させるということが可能となる。これにより、合計して500A以上のクラスの大電流を超電導コイルに通電することが可能となり、SMESなどの超電導電力機器を集合導体がもつ偏流、結合損失等の技術課題を回避することができる超電導コイル装置を、簡素な構成で構成することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る超電導コイル装置の構成の一例を示す回路図である。 図1に示すシングルパンケーキコイルの全体を示す概略図である。 図2に示すシングルパンケーキコイルの断面図である。 図1に示す超電導コイル装置の変形例を示す回路図である。 図1に示す超電導コイル装置の変形例を示す回路図である。 比較例1に係る超電導コイル装置の構成を示す回路図である。 比較例1における実験結果を示すグラフである。 比較例1に係る超電導コイル装置の構成を示す回路図である。 本発明の一実施形態に係る実施例1の実験結果を示すグラフである。
符号の説明
1,1a 超電導コイル装置
2,2a シングルパンケーキコイル
3,4,5 外部電極
6 内部電極
7,8,9,10 電流リード
11,12,13 電気抵抗調整用ケーブル
15 クライオスタット
100 直流電源
A,B,C 超電導コイル
A1,B1,C1 超電導線材
Ic 臨界電流
Iop 通電電流
It 合計電流

Claims (8)

  1. 複数の超電導コイルと、
    前記複数の超電導コイルを収納すると共に冷却する冷却容器と、
    前記各超電導コイルの一端を、前記冷却容器の外部へ引き出すと共に、当該複数の超電導コイルに電流を供給する電源装置の一方の極に接続する第1電流リードと、
    前記各超電導コイルの他端を、前記冷却容器の外部へ引き出すと共に前記電源装置の他方の極に接続する第2電流リードと、
    前記各超電導コイルの一端から前記第1電流リードを介して前記電源装置の一方の極に至る電流経路中に、前記各超電導コイルと直列に設けられる複数の抵抗部とを備え、
    前記複数の抵抗部は、個別に抵抗値が設定可能であること
    を特徴とする超電導コイル装置。
  2. 前記抵抗部は、前記冷却容器の外部に配置されていること
    を特徴とする請求項1記載の超電導コイル装置。
  3. 前記複数の抵抗部は、
    前記各抵抗部の環境温度における抵抗値の最大値と最小値との差が、5.0×10−7Ω〜2.0×10−4Ωの範囲内となるように、各抵抗部の抵抗値が設定されていること
    を特徴とする請求項1又は2記載の超電導コイル装置。
  4. 前記複数の抵抗部は、
    ケーブルであり、当該ケーブルの長さに応じて前記抵抗値が設定されること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の超電導コイル装置。
  5. 前記複数の抵抗部は、
    ケーブルであり、当該ケーブルの太さに応じて前記抵抗値が設定されること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の超電導コイル装置。
  6. 前記複数の抵抗部は、
    ケーブルであり、当該ケーブルの材質に応じて前記抵抗値が設定されること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の超電導コイル装置。
  7. 前記複数の抵抗部はケーブルであり、
    当該ケーブルの長さ、太さ、及び材質のうち少なくとも一つに応じて前記抵抗値が設定されること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の超電導コイル装置。
  8. 前記ケーブルは、
    長さ方向の少なくとも一部において導体が露出し、
    当該露出部分において、前記各超電導コイルの一端、前記第1電流リード、及び前記電源装置のうちいずれか一つと露出した導体とが接続されており、
    当該接続箇所の位置に応じて前記抵抗値が設定されること
    を特徴とする請求項4〜7のいずれか1項に記載の超電導コイル装置。
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