JP2009158019A - 光ディスク記録方法および光ディスク記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】オーバーライト特性の悪いディスクに対しても、記録時間を大幅に増すことなく良好な記録品質を保ったまま記録することを可能にした光ディスク記録方法および光ディスク記録装置を提供する。
【解決手段】光ディスクを記録装置に挿入する際に、光ディスクに設けられた試し書き領域を使用して試し書きを行うとともに、記録時に記録データの記録品質を評価し、記録品質がオーバーライト特性によって悪い場合には記憶してあるパワーアップ係数を試し書きで求めた記録パワーに乗じ、算出された記録パワーおよび消去パワーで以降のデータを記録するようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】光ディスクを記録装置に挿入する際に、光ディスクに設けられた試し書き領域を使用して試し書きを行うとともに、記録時に記録データの記録品質を評価し、記録品質がオーバーライト特性によって悪い場合には記憶してあるパワーアップ係数を試し書きで求めた記録パワーに乗じ、算出された記録パワーおよび消去パワーで以降のデータを記録するようにした。
【選択図】 図1
Description
本発明は書き換え可能な光ディスクへの情報記録方法および光ディスク記録装置に関し、特に光ディスクのオーバーライト特性悪化によるトータル記録時間の増大を改善する光ディスク記録方法および光ディスク記録装置に関する。
背景技術として、特許文献1(特開2004−273074号公報)がある。特許文献1においては、書き換え型光ディスクに新しいデータをオーバーライトする際に、旧データが記録された部分に所定量ずつ消去パワーを変化させながら複数段階の消去パワーのレーザ光を連続的に照射して、旧データを試し消去する。次に試し消去した旧データ部分に再生レベルのレーザ光を照射して再生を行い、再生信号中の雑音レベルが最小となる部分に照射したレーザ光の消去パワーレベルを最適消去パワーに設定するようになされている。
書き換え可能な光ディスクであるDVD−RAMでは、記録時にはレーザの照射によって記録膜に結晶化部分とアモルファス部分とを生成し、それぞれを記録情報データの『0』、『1』に対応させるとともに、再生時にはその反射率の違い(結晶化部分>アモルファス部分)によってデータの『0』、『1』を判別する相変化記録方式を採用している。この相変化記録方式では、記録時に記録パワー(Pw)および消去パワー(Pe)の2値レベルからなる記録パルスを使用し、既に記録されている情報データ(旧データ)を消去しながら新データを記録する(以下、オーバーライトと記す)構成となっている。
このような書き換え可能な光ディスクに対応する記録装置では、ディスク媒体の膜特性、使用しているレーザ発光特性、ディスクとピックアップの相互位置関係などにより最適な記録パワー値が変わるため、ディスクを記録装置にローディングした後、情報信号記録を開始する前にそのディスクに対する記録パワー、および消去パワーの最適値を求める記録パワー制御(OPC:Optimum Power Control。以下、試し書きと記す)を設けている。
DVD−RAMでは、ディスクの最内周および最外周に設けられたDrive test zone を使用して試し書きを実行し、その装置、そのディスクの組み合わせに対する記録パワー、消去パワーの最適値を求める。ここで記録装置によっては試し書きに使用する領域を試し書き動作安定性を確保するために、試し書きの開始時あるいは終了時に記録された試し書き用信号を消去することがある。このような条件で実施された試し書きで求められた最適パワー値はデータ記録領域の無記録部分に対応したものとなるので、ディスクによってはオーバーライト特性の影響で上記の試し書きで求めた無記録部分に対応した最適パワー値では、記録されている旧データ部を十分に消去しきれないため、新データの記録品質を確保することが難しく、たとえば新データのエラーレートが悪化するような状況になることがある。
DVD−RAMの場合、一般的には広いパワーマージンがあり、オーバーライト時においてもこのように記録パワー、消去パワーを変更する処理を必要とはせず、ディスクローディング時に行うDrive test zoneを使用した試し書きで求めたパワー値で十分対応できる。しかし、一部のディスクでは記録後一定時間放置した場合にオーバーライト特性が変化し、上記の試し書きで求めた記録パワー、消去パワーでは十分な記録品質が確保できず所望のエラーレートが得られないという課題がある。また、このような特徴を有するディスクにおいては、もともとの記録パワー対再生ジッター特性が不安定であり、消去パワーを単純に増加させる、あるいは上記公報に示されたような消去パワーのみを最適化する方法では、ディスクおよび記録装置の性能ばらつきに対して十分な記録性能マージンを確保できないという課題がある。これらの課題に対して本発明者が検討した結果、オーバーライト特性の悪いディスクでは記録動作の再実行(以下、ライトリトライと記す)をすればパワーを増加させることなく一定の記録品質(データ再生には問題ないレベル)が確保できることがわかった。ただし、従来のリードアフターライト記録方式では、まず複数ブロック単位の情報データの記録、即時再生を行い、記録済データが誤り訂正不能であることがわかったブロックに対して誤りブロック毎にライトリトライ、即時再生動作をそれぞれ行うことになるので、サーボ回路3によるピックアップ4のトラックジャンプ、サーチ時間を考慮するとオーバーライト特性の悪いディスクにおいてライトリトライが多発する場合には、一定量のデータを記録するのに通常の2〜3倍の記録時間を費やすことになる。
本発明の目的は、オーバーライト特性の悪いディスクに対しても、記録時間を大幅に増すことなく良好な記録品質を保ったまま記録することを可能にした光ディスク記録方法および光ディスク記録装置を提供することにある。
本発明にかかわる第1の光ディスク記録方法では、書き換え可能な光ディスクへのデータ記録において、前記光ディスクを光ディスク記録装置に挿入する際に前記光ディスクに設けられた試し書き領域を使用して試し書きを行って第1の記録パワーおよび第1の消去パワーを設定するとともに、前記第1の記録パワーおよび第1の消去パワーで規定量の情報データを記録した直後に、記録した情報データ記録領域のデータ再生を行って記録品質を評価し、前記情報データ記録領域の記録品質がオーバーライト起因で悪いと判断された場合には、あらかじめ決められた係数を前記第1の記録パワーおよび前記第1の消去パワーに乗じて算出された第2の記録パワーおよび第2の消去パワーで以降の前記情報データを記録するようにした。
また本発明の第2の記録方法では、前記第2の記録パワーを算出するための係数を略1.15以上、前記第2の消去パワーを算出するための係数を略1.1に設定するようにした。
また本発明の第3の記録方法では、前記第2の記録パワーおよび前記第2の消去パワーで記録した後にライトリトライ処理によって再度同一箇所をオーバーライトする場合には前記第1の記録パワー、前記第1の消去パワーで記録するようにした。
また本発明の第4の記録装置では、書き換え可能な光ディスクと、前記光ディスクを回転させるためのモータと、前記光ディスクにレーザ光を照射してデータを記録するピックアップを備えた光ディスク記録装置において、前記ピックアップのレーザ照射パワーを制御するパワー制御手段と、前記パワー制御手段により試し書きを行い、その検出結果である記録用最適パワー値を格納するためのパワー記憶手段と、あらかじめ定められた係数を格納する係数記憶手段と、記録された情報データの記録品質を評価する記録品質評価手段とを備え、前記光ディスクへの記録に先立って前記光ディスクに設けられた試し書き領域を使用して試し書きを行い、前記試し書きによって検出された第1の記録パワーおよび第1の消去パワーを前記パワー記憶手段に格納するとともに、前記第1の記録パワーおよび第1の消去パワーで規定量の情報データを記録した後に、記録した情報データ記録領域のデータ再生を行い前記記録品質評価手段によって記録品質を評価し、前記情報データ記録領域の記録品質がオーバーライト起因で悪いと判断された場合には前記係数記憶手段に格納された係数と前記第1の記録パワーおよび前記第1の消去パワーとから算出された第2の記録パワーおよび第2の消去パワーで以降の前記情報データを記録するようにした。
また本発明の第5の記録方法では、書き換え可能な光ディスクへのデータ記録において、前記光ディスクを光ディスク記録装置に挿入する際に前記光ディスクに設けられた試し書き領域を使用して試し書きを行って記録パワーおよび消去パワーを設定し、前記記録パワーおよび消去パワーで規定量の情報データを記録した後に、記録した情報データ記録領域のデータ再生を行って記録品質を評価し、前記情報データ記録領域の記録品質がオーバーライト起因で悪いと判断された場合には、以降の記録処理において、規定量の情報データを記録した後に、同一の情報データを再度同一個所に再記録し、その後記録した情報データ記録領域のデータ再生を行って記録品質を評価するように動作させるようにした。
また本発明の第6の記録装置では、書き換え可能な光ディスクを回転させるためのモータと、前記光ディスクにレーザ光を照射してデータを記録するピックアップを備えた光ディスク記録装置において、前記ピックアップのレーザ照射パワーを制御するパワー制御手段と、前記パワー制御手段により試し書きを行い、その検出結果である記録用最適パワー値を格納するためのパワー記憶手段と、記録された情報データの記録品質を評価する記録品質評価手段とを備え、前記光ディスクへの記録に先立って前記光ディスクに設けられた試し書き領域を使用して試し書きを行い、前記試し書きによって検出された記録パワーおよび消去パワーを前記パワー記憶手段に格納するとともに、記録時には記録した情報データ記録領域のデータ再生を行って前記記録品質評価手段によって記録品質を評価し、前記情報データ記録領域の記録品質がオーバーライト起因で悪いと判断された場合には、以降の記録処理において、規定量の情報データを記録した後に、同一の情報データを再度同一個所に再記録し、その後記録した情報データ記録領域のデータ再生を行って記録品質を評価するように動作させるようにした。
また本発明の第7の記録装置では、前記光ディスクのIDコードの内容により記録動作を制御するようにした。
本発明によれば、オーバーライト特性の悪いディスクに対しても記録所要時間を増加させることがなく安定な記録を提供できる。
以下、本発明の実施形態を図を用いて説明する。
図1は本発明によるディスク記録装置のブロック図であり、1はディスク、2はモータ、3はサーボ回路、4はピックアップ、5はRFアンプ、6はイコライザ回路、7はレーザ駆動回路、8は信号処理回路、9はパワー制御回路、10はオーバーライト判定回路、11はパワー記憶部、12は係数記憶部、13は光ディスク記録装置、14はドライブ制御装置である。
まず、光ディスク記録装置13に、たとえばDVD−RAMディスク1が挿入されるとモータ2、サーボ回路3によってディスク1を回転させ、ピックアップ4、RFアンプ5、イコライザ回路6を介してディスク1上に記録されたコントロール信号などの情報を読み取り、信号処理回路8によってディスク媒体判別が行われる。ここで挿入されたディスク1がDVD−RAMと判別されると、パワー制御回路9を動作させて試し書きを行い、そのディスク1への記録パワー、消去パワー値を決定する。DVD−RAMの場合は、あらかじめこの試し書き用に専用エリア(前述のDrive test zone)がディスク1の最内周、最外周にそれぞれ設けられている。この試し書きでは挿入されたディスク1が初期状態の場合には、ディスク1に記録されているコントロールデータを基準に試し書きスタートパワー値を決め、すでに当該ディスク記録装置13によって1回以上記録されている場合には、DIZ(Disc Identification Zone)に記録されている最適パワー情報を基準として試し書きを実行する。このディスク1のローディング時の試し書きによって当該ディスク1、光ディスク記録装置13の組み合わせに対する最適記録パワー、消去パワーが求まると信号処理回路8の動作によってパワー記憶部11にこのパワー値を記憶した後に、光ディスク記録装置13は動作待ち状態となり、その後はたとえばホストコンピュータで構成されるドライブ制御装置14の指令に基づきデータの記録または再生状態に制御される。
情報データ記録時には、サーボ回路3はディスク1を所定のスピードで回転させるとともに、レーザスポットのフォーカスおよびトラッキング制御を行い、情報データを順次記録していく。パワー制御回路9はパワー記憶部11に記憶されている記録パワー、消去パワーデータを読み出すとともに信号処理回路8で生成される記録データ列とともにレーザ駆動回路7に送出する。レーザ駆動回路7は記録データ信号のパワーデータ値を所定の値に変換し、ピックアップ4に搭載されたレーザダイオード(図示せず)の照射によってディスク1上にデータを記録する。次に一定量のデータが記録されたならばリードアフターライト処理により記録済み信号の記録品質がチェックされ、一定値以上の記録品質が確保されていない(誤り訂正不能)ときにはライトリトライ処理、ディスク欠陥などでライトリトライを繰り返しても記録品質が改善されない場合には交替処理が実施される。ここで書き換え可能なディスク1のオーバーライト特性が悪い場合には、一定の記録品質が確保されるまでライトリトライが繰り返されることになり、結果的にデータ記録所要時間が増加するという問題を生じる。
以下、DVD−RAMディスクの中で特にオーバーライト特性の悪いディスクの挙動について説明する。
図2に消去パワーの変化に対するオーバーライト特性の一例を示す。図2は下地となる記録信号の記録パワー(Pw)、消去パワー(Pe)を試し書きによって求めた値に設定して複数のデータブロック(エリア)に情報データを記録し、次に消去パワー(Pe)のみを順次変えてそれぞれの記録済みブロックをオーバーライトした場合のエラーの変化を示したものである。図2における縦軸のエラー数はたとえばパリティエラー数やPLL回路の位相誤差信号の分散などから計算された数値であり、再生ジッターとほぼ等価な指標である。ここで1ブロックあたりのエラー数50個以下が再生エラーを生じない閾値とすると、オーバーライト特性の悪いディスク1では消去パワーだけを増してもデータ再生上問題ないジッター値までは改善できないことになる。
図3に記録パワーの変化に対するオーバーライト特性の一例を示す。図3は図2に示した方法と同様に、下地となる記録信号の記録パワー(Pw)、消去パワー(Pe)を試し書きによって求めた値に設定して複数のブロックに情報データを記録し、次に記録パワー(Pw)のみを変えてそれぞれの記録済みブロックをオーバーライトした場合のエラー数の変化を示したものである。図3より記録パワー(Pw)を増していくとオーバーライト後のエラー数は改善するものの徐々に飽和しエラー数0とならないことがわかるが、これはもともとのディスクの性能が悪いことを示している。ここでもっともエラー数が少なくなるのは、試し書きパワーに対して15〜20%記録パワー(Pw)を増した場合である。
図4に記録パワー、消去パワーの変化に対するオーバーライト特性の一例を示す。図4は図2、図3に示した方法に対して、下地となる記録信号の記録パワー(Pw)、消去パワー(Pe)の比(Pw/Pe)を一定でパワー値をそれぞれ変えて複数のブロックに記録し、次にそのディスクの最適記録パワー、消去パワー(前述した試し書きによって取得したパワー値)によってそれぞれのブロックをオーバーライトした場合のエラー数の変化をグルーブ、ランドに分けて示したものである。グルーブ側のオーバーライトマージンは広く下地記録パワーの変化に対するエラー数の悪化は少ないが、ランド側はオーバーライト記録パワーに対して少しでも下地記録パワーが高いとエラー率が悪化している。一般的なDVD−RAMディスクではこのような現象はなく、ランドの特性はグルーブとほぼ同等の性能である。以上から、オーバーライト特性が悪いディスクはランド側の特性に原因があることがわかる。また、このようなディスクでは記録直後に再度オーバーライトした時よりも、数十分から1時間以上経過してからオーバーライトした時のほうが消去特性が悪化することもわかった。
以上、図2から図4に示したような光ディスクの特性を考慮し、従来の光ディスク記録装置13では記録直後にデータを再生し、記録したデータの記録品質が悪い場合にはライトリトライを実施することによって記録データの信頼性を確保していた。しかしこの記録方式では、まず複数ブロック単位の情報データの記録、即時再生を行い、次に記録済データが誤り訂正不能であることがわかったブロックに対して誤りブロック毎にライトリトライ、即時再生動作をそれぞれ行うことになるので、サーボ回路3によるピックアップ4のトラックジャンプ、サーチ時間を考慮するとオーバーライト特性の悪いディスクにおいてライトリトライが多発する場合には、一定量のデータを記録するのに通常の2〜3倍の記録時間を費やすことになる。たとえばDVD−RAMの3倍速ディスクに全面記録する場合(4.7GB)、通常ではリードアフターライトを行いながら記録するとおよそ40分で記録が終了するが、ここでオーバーライト特性が悪くランド側のライトリトライが多発するようなディスク1を使用すると、全面記録を完了するのに最悪2時間以上もかかってしまう。またライトリトライによっても記録品質が確保できない条件が加わると、ディスクの最内周、最外周に設けられた交替エリアに記録することになるためピックアップ4の移動時間が加算され、さらに記録時間が増大する。
そこで図1に示した本発明の第1の実施形態では書き換え可能なディスク1にデータを記録する場合、ディスク1のローディング時にディスク1に設けられた試し書き部を使用して通常の試し書きを行うとともに、データ記録開始後にライトリトライが多発しオーバーライト判定回路10がオーバーライト特性の悪化と判断した場合には、次のライト処理において係数記憶部12に記憶されているパワーアップ係数を読み出し、パワー記憶部11のパワーデータに乗じてオーバーライト用の記録パワーを使用するようにした。オーバーライト判定回路10は、たとえばライトリトライの回数などをモニタし、当該記録部分の記録品質の悪化がオーバーライト特性によるものか、ディスクの欠陥によるものかどうかを判別する動作を行う。ディスク欠陥の場合、ライトリトライを繰り返してもエラー数は減少しないが、オーバーライト特性悪化の場合にはライトリトライを行うことによってエラー数が減少することから判別できる。
図5に本発明による記録パワー設定方法の一例を示す。図2、図3で示したように時間経過によりオーバーライト特性が悪化するディスク1ではオーバーライト特性のみに着目した最適消去パワー、最適記録パワーはほぼ決まっているので、以降の記録ではパワー制御回路9は係数記憶部12に記憶されているオーバーライト用の記録パワー、消去パワー係数を読み出してパワー記憶部11に格納されたパワーデータにこの係数を乗算しその結果をレーザ駆動回路7に送出する。図5は記録パワーを試し書きで求めたパワーに対して15パーセントアップさせた例である。
以上の動作で以降はオーバーライトに適した記録パワーで記録されるため、オーバーライト特性の悪化によるライトリトライの増加がなくなり、記録所要時間の増加を防ぐことができる。この係数の具体的な値としては消去パワー(Pe)=1.1、記録パワー(Pw)=1.2程度が最適である。
本実施形態においては、一連の情報データ記録が終了した時点、あるいは記録ゾーン切り換え時に試し書き取得パワーに戻すように制御している。ここで記録パワーアップされたままディスク1の未記録領域に入った場合には、通常よりも高パワーで記録されることになるが、最大でも試し書き取得パワーの1.2倍程度でありディスク1に損傷を与えることはない。また、一旦高パワーでライトした後に再びライトリトライ要求が発生した場合には、下地が消去されやすくなっているので、試し書きで求めたパワーに戻しても良い。これにより、本来の記録膜の適正パワーで記録されることになり、記録信号品質をより高めることができる。
次にディスク1が挿入されたままで新たな記録実行命令がドライブ制御部14より出力されると、まずは試し書き取得パワーでデータを記録し始め、ここでライトリトライが発生しなければ以降もこのパワーで記録を続行し、また反対にライトリトライが多発する場合には、オーバーライト判定回路10は、当該記録部分の記録品質の悪化がオーバーライト特性によるものと判断し、係数記憶部12の係数読み出しによるパワーアップで以降の記録を行わせるように制御する。
以上の構成により、オーバーライト判定回路10の動作によりライトリトライの回数情報から記録部分が未記録か記録済みかを判別でき、少なくとも記録動作が未記録部分から始まった場合には、記録動作が既記録部分に移ってオーバーライト部分と判定されるまでは、未記録部に対する最適パワーで記録できる。
このようなオーバーライト特性が悪化するディスク1の種類は少ないため、最初のディスクローディング時にディスクID情報を読み取り、信号処理回路8に登録してあるオーバーライト特性の悪いディスクと判別されたときに、本発明の記録方法を適用するようにしても良い。これにより通常ディスクに対する誤動作による高パワー書きを防ぐことができる。
図6に本発明による第1の実施形態のフローチャートを示す。図6は前述してきた本発明による光ディスク記録装置13の記録動作を説明するものである。試し書きによって求めたライトパワーでデータを記録していくが、オーバーライト判定回路10の動作により、使用しているディスク1のオーバーライト特性が悪いと判断された時に、オーバーライト用パワー(第2パワー)に再設定する点に特徴がある。以降、ドライブ制御装置14からライト終了命令が出された時点で一連の記録動作を終了する。その後は、ドライブ制御装置14の指示に従い、リード動作、アンローディング動作などを行うことになるが、ここでディスク1をアンロードせずに再度記録動作を行わせる時には、前述したように試し書き取得パワー(第1パワー)に戻すため図中に示したAより動作させる。
図7に本発明による第2の実施形態による記録方法の一例を示す。
本発明の第2の実施形態では、ライトリトライが頻発してオーバーライト特性が悪いと判断されると、2回連続書きモードに移行するところに特徴がある。
図7(a)に従来のリードアフターライト記録方式、(b)に本発明の記録方式を示す。(a)の従来リードアフターライト記録方式では、まずデータライト時に数ブロックから十数ブロックのデータを連続的に記録し、次にリードアフターライト処理によって全記録データブロックの記録信頼性がチェックされる。ここで記録品質の悪いブロックがあった場合には、各ブロック毎にライトリトライ、リード処理が実施され、数回のライトリトライでも記録品質が確保できない場合には交替領域に記録する動作となっている。(a)に示した例において、たとえば12ブロック分の情報データを連続的に記録し(図中write)、次に12ブロックの記録データを連続的に再生して(図中read)記録データのチェックを行う。ここでたとえばランド側のオーバーライト特性が悪く、ランド側データブロック6個すべてに対してライトリトライ要求が出されると、各ブロック毎に1ブロックライトリトライ(図中W)、1ブロック再生(図中R)を行って、記録データの信頼性が確保されたなら次のブロックの処理に移るように制御される。このため、ピックアップ4の位置制御が煩雑となり記録時間が増大していた。
そこで本発明は、このようなディスクではオーバーライト1回で記録品質が確保できることに着目し、最初に数ブロックから十数ブロックのデータを記録し、次に同じデータを直ちに同一ブロックにオーバーライトして、さらにその後全記録データブロックの再生を行って記録品質をチェックするようにした。ここで記録品質の悪いブロックが検出された場合の処理は従来記録方法と同じである。
(b)に示した例においては、たとえば12ブロック分の情報データを連続的に記録(図中write)後、直ちに同じ12ブロック分のデータを同一ブロックにオーバーライトする。次にリードアフターライト処理によって全記録データブロックの記録信頼性がチェックされる。(a)に示した従来の処理に対して、12ブロックデータ記録1回分余計に時間がかかるが、記録後の各記録ブロック毎のライトリトライ、リード処理がほとんどなくなるため、結果的に記録時間を大幅に減少できる。この記録時間短縮化は、1回目のオーバーライト特性が悪いディスクほど大きい。たとえば、使用しているディスク1がランド側のオーバーライト特性が悪いだけならば、従来記録方法に対して記録時間を0.7倍程度に短縮できる。
以上本発明の光ディスク記録方法により、従来記録方法に対して全データを2回書くための時間は増加するが、記録ブロック毎のライトリトライを繰り返すことがほとんど無いのでリード処理は全データ再生1回で済み、記録時間を大幅に短縮できる。
ここで1回の記録処理における記録ブロック数は、2回目の記録、それに続く再生に適した最適トラックジャンプ位置によって決定する。その結果、最短の時間で記録、再生処理を移行できる。
図8に本発明による第2の実施形態のフローチャートを示す。図8は前述してきた本発明による光ディスク記録装置13の記録動作を説明するもので、オーバーライト判定回路10の動作により、使用しているディスク1のオーバーライト特性が悪いと判断された時に、2回連続書きモードに設定する点に特徴がある。以降、ドライブ制御装置14からライト終了命令が出された時点で一連の記録動作を終了する。
また、従来記録方法への復帰は前述した第1の実施形態と同様、一連の記録終了後、またディスク1がRAMの場合には、ゾーン切り換え点に設定すればよい。
以上、本発明の光ディスク記録方法および光ディスク記録装置を使用することにより、オーバーライト特性の悪いディスクに対しても記録所要時間を大幅に増加させることがなく良好な記録記録品質を提供できる。
また本発明の詳細をDVD−RAMを例として説明してきたが、記録媒体はこれに限らずBlu−ray Disc装置における書き換え可能なBD−RE ディスクに対しても適用できる。
以上、本発明に従う光ディスク記録方法及び光ディスク記録装置の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の改良や変形を行うことができる。
1‥ディスク、2‥モータ、3‥サーボ回路、4‥ピックアップ、5‥RFアンプ、
6‥イコライザ回路、7‥レーザ駆動回路、8‥信号処理回路、9‥パワー制御回路、
10‥オーバーライト判定回路、11‥パワー記憶部、12‥係数記憶部、
13‥光ディスク記録装置、14‥ドライブ制御装置
6‥イコライザ回路、7‥レーザ駆動回路、8‥信号処理回路、9‥パワー制御回路、
10‥オーバーライト判定回路、11‥パワー記憶部、12‥係数記憶部、
13‥光ディスク記録装置、14‥ドライブ制御装置
Claims (7)
- 書き換え可能な光ディスクにデータを記録する光ディスク記録方法であって、
前記光ディスクを光ディスク記録装置に挿入する際に前記光ディスクに設けられた試し書き領域を使用して試し書きを行って第1の記録パワーおよび第1の消去パワーを設定すし、
前記第1の記録パワーおよび第1の消去パワーで規定量の情報データを記録した後に、記録した情報データ記録領域のデータ再生を行って記録品質を評価し、
前記情報データ記録領域の記録品質がオーバーライト起因で悪いと判断された場合には、あらかじめ決められた係数を前記第1の記録パワーおよび前記第1の消去パワーに乗じて算出された第2の記録パワーおよび第2の消去パワーで以降の前記情報データを記録するようにしたことを特徴とする光ディスク記録方法。 - 請求項1記載の光ディスク記録方法において、前記第2の記録パワーを算出するための係数を略1.15以上、前記第2の消去パワーを算出するための係数を略1.1に設定することを特徴とする光ディスク記録方法。
- 請求項1記載の光ディスク記録方法において、前記第2の記録パワーおよび前記第2の消去パワーで記録した後にライトリトライ処理によって再度同一箇所をオーバーライトする場合には前記第1の記録パワー、前記第1の消去パワーで記録することを特徴とする光ディスク記録方法。
- 書き換え可能な光ディスクを回転させるためのモータと、前記光ディスクにレーザ光を照射してデータを記録するピックアップを備えた光ディスク記録装置において、
前記ピックアップのレーザ照射パワーを制御するパワー制御手段と、
前記パワー制御手段により試し書きを行い、その検出結果である記録用最適パワー値を格納するためのパワー記憶手段と、
あらかじめ定められた係数を格納する係数記憶手段と、
記録された情報データの記録品質を評価する記録品質評価手段とを備え、
前記光ディスクへの記録に先立って前記光ディスクに設けられた試し書き領域を使用して試し書きを行い、
前記試し書きによって検出された第1の記録パワーおよび前記第1の消去パワーを前記パワー記憶手段に格納し、
前記第1の記録パワーおよび前記第1の消去パワーで規定量の情報データを記録した後に、記録した情報データ記録領域のデータ再生を行い前記記録品質評価手段によって記録品質を評価し、
前記情報データ記録領域の記録品質がオーバーライト起因で悪いと判断された場合には前記係数記憶手段に格納された係数と前記第1の記録パワーおよび前記第1の消去パワーとから算出された第2の記録パワーおよび第2の消去パワーで以降の前記情報データを記録するようにしたことを特徴とする光ディスク記録装置。 - 書き換え可能な光ディスクにデータを記録する光ディスク記録方法において、
前記光ディスクを光ディスク記録装置に挿入する際に前記光ディスクに設けられた試し書き領域を使用して試し書きを行って記録パワーおよび消去パワーを設定し、
前記記録パワーおよび消去パワーで規定量の情報データを記録した後に、記録した情報データ記録領域のデータ再生を行って記録品質を評価し、
前記情報データ記録領域の記録品質がオーバーライト起因で悪いと判断された場合には、以降の記録処理において、規定量の情報データを記録した後に、同一の情報データを再度同一個所に再記録し、
その後記録した情報データ記録領域のデータ再生を行って記録品質を評価するように動作させるようにしたことを特徴とする光ディスク記録方法。 - 書き換え可能な光ディスクを回転させるためのモータと、前記光ディスクにレーザ光を照射してデータを記録するピックアップを備えた光ディスク記録装置において、
前記ピックアップのレーザ照射パワーを制御するパワー制御手段と、
前記パワー制御手段により試し書きを行い、その検出結果である記録用最適パワー値を格納するためのパワー記憶手段と、
記録された情報データの記録品質を評価する記録品質評価手段とを備え、
前記光ディスクへの記録に先立って前記光ディスクに設けられた試し書き領域を使用して試し書きを行い、
前記試し書きによって検出された記録パワーおよび消去パワーを前記パワー記憶手段に格納し、
記録時には記録した情報データ記録領域のデータ再生を行って前記記録品質評価手段によって記録品質を評価し、
前記情報データ記録領域の記録品質がオーバーライト起因で悪いと判断された場合には、以降の記録処理において、規定量の情報データを記録した後に、同一の情報データを再度同一個所に再記録し、
その後記録した情報データ記録領域のデータ再生を行って記録品質を評価するように動作させるようにしたことを特徴とする光ディスク記録装置。 - 請求項4又は6記載の光ディスク記録装置において、前記光ディスクのIDコードの内容により記録動作を制御するようにしたことを特徴とする光ディスク記録装置。
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