JP2009155281A - 細胞透過性白金微粒子 - Google Patents

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Abstract

【課題】細胞内やミトコンドリア内に白金微粒子を効率的に取り込ませる手段を提供する。
【解決手段】細胞透過性ペプチドを白金特異的結合タンパク質を介して結合させた平均粒径10nm以下のナノサイズの白金微粒子からなる細胞透過性白金微粒子、及び該結合蛋白質に細胞内オルガネラ標的ペプチドを更に結合させてなる細胞透過性白金微粒子に関する。これらの白金微粒子はミトコンドリアの内部で発生されるスーパーオキサイドアニオン及び一酸化窒素を消失させる能力を有する。
【選択図】なし

Description

本発明は細胞透過性を有する白金微粒子に関する。
生体内、特にミトコンドリア、ミクロソーム、白血球などにおいて、O2 -(スーパーオキサイドアニオン)、H2O2(過酸化水素)、HO・(ヒドロキシラジカル)、および励起分子種である1O2(一重項酸素)などの高い反応性を示す活性酸素種(ラジカル)が多く発生しており、生態防御、生化学反応などを含めた生体制御に関与していると言われている。また、一酸化窒素(NO)は短寿命の不安定ラジカル種であり、この物質も活性酸素の一種として生体内で重要な機能を有していることが明らかにされている(現代化学, 1994年 4月号特集)。
正常な細胞では、これら活性酸素種の生成量は主反応である酸化還元反応等量の1%程度であり、分解酵素などによって順次代謝されている。ヒトが呼吸で体内に入れた酸素の95%以上は、通常の代謝過程を経て水となるが、残りの数%はミトコンドリアやミクロソームの電子伝達系において活性酸素となり、それらは多くの場合、ス−パーオキサイドデスミューテス(superoxide dismutase)、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシデーなどの抗酸化酵素により消去されている。
しかしながら、これらの抗酸化酵素によっては全ての活性酸素を除去できず、活性酸素の一部はタンパク質、脂質、核酸等を酸化してしまう。これらの酸化された物質は、別の生体防衛機構により一部修復がなされるものの、徐々に不可逆的に酸化損傷された物質が生成する。その結果、疾病や老化に繋がっていくとされている。
さらに、加齢とともにスーパーオキサイド・デスミューテースなどの抗酸化酵素の発現量が減少することはよく知られている。老化による活性酸素種代謝能の低下や病気による活性酸素種の過剰生成によってこれらの酸化物の代謝が間に合わず蓄積してしまうと、非特異的に脂質等の細胞成分を酸化し、その障害から細胞死を導くこともある。これが老化やアルツハイマーなど多くの病気の一因となっている。
活性酸素が関与する疾病として、ガン、糖尿病、アトピー性皮膚炎、アルツハイマー、網膜色素変性症等が挙げられるが、ヒトの病気の90%には何らかのかたちで過剰状態の活性酸素が関与していると言われている。特に、生体内のミトコンドリアでは、酸素の90%以上が代謝され、細胞内で最も多く活性酸素が生成される。ミトコンドリア内で生成される活性酸素と抗酸化系とのバランスが遺伝病や加齢によって保てなくなると、ミトコンドリアから処理しきれなかった活性酸素が漏れ出して細胞に損傷を与え、老化やアポトーシスによる細胞死が引き起こされる。
一方、ナノサイズの白金微粒子(白金微粒子ナノコロイド)が活性酸素の消去作用を有することが知られている(例えば国際公開WO2004/73722; Free Radical Research, 41, pp.615-626, 2007)。上記国際公開には、「特に貴金属である白金微粉末に着目し、これらの微粉末が細胞内に侵入可能であり、ミトコンドリアの内部にも侵入できること、及びこれらの微粉末がミトコンドリアの内部でスーパーオキサイドアニオン及び一酸化窒素を消失する能力を有することを見出した。」との説明があり、白金微粒子ナノコロイドに関して「さらに好ましくは平均粒径が10 nm以下、特に好ましくは平均粒径が1〜6 nm程度の微粒子を用いることができる。特にミトコンドリア内部への侵入のためには平均粒径が1〜6 nm程度であることが好ましい。」との記述がある。
国際公開WO2004/73722 Free Radical Research, 41, pp.615-626, 2007
本発明者は、上記国際公開において教示されたミトコンドリア内部への白金微粒子の取り込みについて研究を行ったところ、上記の文献に記載の予測に反して、白金微粉末はミトコンドリア内部には実質的に取り込まれないこと、及び白金微粒子は細胞内にもほとんど取り込まれていないことを確認した。
細胞内やミトコンドリア内に白金微粉末を効率的に取り込ませることができれば、細胞内やミトコンドリア内における過剰の活性酸素を消失させ、細胞の老化を抑制して寿命を延長することが可能になり、活性酸素に起因する各種疾患の予防を行うことができると考えられる。
従って、本発明の課題は、細胞内やミトコンドリア内に白金微粒子を効率的に取り込ませる手段を提供することにある。
本発明者は上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った。この結果、白金特異的結合タンパク質を介して細胞透過性ペプチドを結合させた白金微粒子が細胞内に効率的に取り込まれること、及び該白金微粒子がミトコンドリア内にも侵入して活性酸素除去活性を発揮できることを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。
すなわち、本発明により、細胞透過性ペプチドを白金特異的結合タンパク質を介して結合させた平均粒径10 nm以下の白金微粒子からなる細胞透過性白金微粒子が提供される。
この発明の好ましい態様により、平均粒径が1〜6 nm程度の白金微粒子を含む上記のの細胞透過性白金微粒子;粒径が6 nm以下の白金微粒子を含む上記の細胞透過性白金微粒子;白金特異的結合タンパク質に細胞内オルガネラ標的ペプチドをさらに結合させた上記の細胞透過性白金微粒子;及び細胞内オルガネラがミトコンドリアである上記の細胞透過性白金微粒子が提供される。
別の観点からは、上記の細胞透過性白金微粒子を有効成分として含む細胞内活性酸素除去剤が提供される。
さらに別の観点からは、本発明により、細胞内の活性酸素を除去する方法であって、細胞透過性ペプチドを白金特異的結合タンパク質を介して結合させた平均粒径10 nm以下の白金微粒子を細胞に接触させる工程を含む方法が提供される。
本発明により細胞内の活性酸素を効率的に消去する能力を有する細胞透過性白金微粒子が提供される。細胞透過性ペプチドを適宜選択し、あるいは細胞透過性ペプチドに加えて細胞内オルガネラ標的ペプチドを用いることにより、特定臓器の細胞内や特定の細胞内オルガネラの内部に白金微粒子を侵入させることが可能になり、目的の細胞や細胞内オルガネラの内部で抗酸化作用を発揮させることができる。従って、本発明の細胞透過性白金微粒子は、活性酸素に起因する種々の細胞異常又は細胞内オルガネラ異常、あるいは老化防止の目的又は活性酸素に起因する種々の疾患の予防や治療のために用いることができる。
本発明の細胞透過性白金微粒子を構成する白金微粒子の粒径(細胞透過性ペプチド及び白金特異的結合タンパク質を含まない金属微粒子自体の粒径)は平均粒径が10 nm以下であれば特に限定されないが、好ましくは平均粒径が1〜6 nm程度の白金微粒子を用いることができる。さらに細かな微粒子を用いることも可能である。また、還元法などの方法により白金微粒子を含む白金コロイドを調製すると、得られた白金微粒子(通常は粒径が10 nm以下の微粒子が得られる)が次第に水などの媒体中で凝集して最大50ナノメートル程度の凝集塊となる場合があるが、本発明の細胞透過性白金微粒子の調製には、このような凝集塊を含まない白金微粒子を用いることが好ましい。例えば、10 nmを超える粒径の微粒子を含まないことが好ましく、6 nmを超える粒径の微粒子を含まないことがさらに好ましい。白金微粒子の粒径は顕微鏡下で確認することができる。
白金微粒子の製造方法は種々知られており(例えば、特公昭57-43125号公報、特公昭59-120249号公報、及び特開平9-225317号公報、特開平10-176207号公報、特開2001-79382号公報、特開2001-122723号公報など)、当業者はこれらの方法を参照することによって白金微粒子を容易に調製することができる。例えば、白金微粒子の製造方法として、沈殿法又は金属塩還元反応法と呼ばれる化学的方法、あるいは燃焼法と呼ばれる物理的方法などを利用できる。本発明の細胞透過性白金微粒子を構成する白金微粒子としては、いずれの方法で調製された微粒子を用いてもよいが、製造の容易性と品質面から金属塩還元反応法で調製された微粒子を用いることが好ましい。
金属塩還元反応法では、例えば、水溶性若しくは有機溶媒可溶性の白金塩又は白金錯体の水溶液又は有機溶媒溶液を調製し、この溶液に水溶性高分子を加えた後、溶液のpHを9〜11に調節し、不活性雰囲気下で加熱還流することにより還元して白金微粒子を得ることができる。白金の水溶性又は有機溶媒可溶性の塩の種類は特に限定されないが、例えば、酢酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、スルホン酸塩、又はリン酸塩などを用いることができ、これらの錯体を用いてもよい。
金属塩還元反応法に用いる水溶性高分子の種類は特に限定されないが、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、シクロデキストリン、アミノペクチン、又はメチルセルロースなどを用いることができ、これらを2種以上組み合わせて用いてもよい。好ましくはポリビニルピロリドンを用いることができ、より好ましくはポリ(1-ビニル-2-ピロリドン)を用いることができる。また、水溶性高分子に替えて、あるいは水溶性高分子とともに各種の界面活性剤、例えばアニオン性、ノニオン性、又は脂溶性等の界面活性剤を使用することも可能である。還元をアルコールを用いて行う際には、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、n-アミルアルコール、又はエチレングリコールなどが用いられる。もっとも、白金微粒子の調製方法は上記に説明した方法に限定されることはない。
細胞透過性ペプチド(Cell Penetrating Peptide: CPP)としては、例えば、Penetratin, pAntp (Journal Biological Chemistry, 269, pp.10444-10450, 1994)、HIV TAT peptide(48-60) (Journal Biological Chemistry, 272, pp.16010-16017, 1997)、HSV-1 VP22 peptide (Cell, 88, pp.223-233, 1997)、MAP(Model amphiphilic peptide)(Biochimica Biophysica Acta, 1414, pp.127-139, 1998)、Transportan(FEBS Journal, 12, pp.67-77, 1998)、R7(Nature Medicine, 6, pp.1253-1257, 2000)、MPG(Nucleic Acid Research 25, pp.2730-2736, 1997)、及びPep-1(Nature Biotechnology, 19, pp.1173-1176, 2001)などが挙げられるが、これらに限定されることはない。これらのペプチド配列に含まれる1個ないし数個のアミノ酸残基が置換、挿入、及び/又は欠失したペプチド配列を好適に使用できる場合もある。細胞透過性ペプチドとしては2種以上の細胞透過性ペプチドを組み合わせて用いてもよい。目的の特定の細胞に対して特異的な細胞透過性ペプチドを選択することも好ましい。
さらに、細胞透過性ペプチドに加えて、特定の細胞内オルガネラに対して親和性又は透過性を有するペプチドを用いることができる。例えば、ミトコンドリア親和性又はミトコンドリア膜透過性ペプチドを使用することができる。より具体的には、ミトコンドリアマトリックス標的シグナルペプチド(MMTSP、Biochemical and Biophysical Research Communications, 226, pp.561-565, 1996)、ミトコンドリア内膜標的シグナルペプチド(MIMTSP)であるSS01、SS02、SS31、及びSS20(The AAPS Journal, 8, pp.E277-E283, 2006)などを挙げることができ、これらのうちの1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
白金特異的結合タンパク質(Platinum Binding Protein: PtBP)は白金と親和性があるタンパク質またはペプチドであり、例えば、Asp-Arg-Thr-Ser-Thr-Trp-Arg、Gln-Ser-Val-Thr-Ser-Thr-Lys、及びSer-Ser-Ser-His-Leu-Asn-Lys(Nature Materials, 2, pp.577-584, 2003)などのペプチド、又は該ペプチドを部分構造として含むタンパク質を挙げることができるが、これらに限定されることはない。これらのペプチド配列に含まれる1個ないし数個のアミノ酸残基が置換、挿入、及び/又は欠失した配列からなるペプチド、あるいは該ペプチドを部分構造として含むタンパク質を好適に使用できる場合もある。
白金特異的結合タンパク質に対して上記の細胞透過性ペプチドを1個又は2個以上、好ましくは1個から数個、より好ましくは1個から3個程度結合することができ、特に好ましくは白金特異的結合タンパク質に対して細胞透過性ペプチドを1個結合することができる。結合は通常のペプチド結合反応に従い化学的に行ってもよく、あるいはリガーゼのような酵素を用いて生物学的に行うこともできる。例えば、固相法などの一般的なペプチドの合成方法に従って行うことができる。白金特異的結合タンパク質に対して細胞透過性ペプチドを結合するにあたり、両者の間に適宜のオリゴペプチドリンカーなどを介在させることもできる。例えば、1個から数個のアミノ酸からなるリンカーを介在させることができるが、該リンカーを構成するアミノ酸残基は適宜選択することができる。細胞膜透過性ペプチドの場合はタンパク質のN基末端でその特性を示すので、白金特異的結合タンパク質のN末側に結合される。目的臓器や細胞もしくは細胞内オルガネラに対し親和性又は透過性を有するペプチドを白金特異的結合タンパク質に連結する場合、C末でその特性を示すペプチドは白金特異的結合タンパク質のC末側に結合することが好ましい。
細胞透過性ペプチドを連結させた白金特異的結合タンパク質を白金微粒子に結合させるには、白金微粒子と細胞透過性ペプチドを結合させた白金特異的結合タンパク質とを適宜の条件で混合すればよいが、例えば、下記の実施例に具体的に説明した反応条件下で白金微粒子を構成する白金原子と細胞透過性ペプチドを連結させた白金特異的結合タンパク質とを約1対1程度の比率で混合することにより行うことができる。もっとも、結合手段は上記の特定の方法に限定されることはない。通常、直径が2 -4 マイクロメートルの白金微粒子を構成する白金原子数は、マジックナンバーに従い、55個または147個である。一方、細胞透過性ペプチドを連結させた白金特異的結合タンパク質は白金粒子の表面を構成する白金原子に結合することが知られていることから、 得られた細胞透過性白金微粒子の白金微粒子には、1粒子あたり、細胞透過性ペプチドを連結させた白金特異的結合タンパク質を数個ないし数十個程度結合させることができる。なお、白金微粒子径が上記2-4マイクロメートルよりも大小する場合には、それに伴ない構成する白金原子数もマジックナンバーに従い増減し、粒子表面に結合する細胞透過性ペプチドを連結させた白金特異的結合タンパク質の割合も増減する。
本発明の細胞透過性白金微粒子を細胞に接触させると、細胞膜を透過して細胞質内に進入し、細胞質において活性酸素除去作用を発揮する。また、例えばミトコンドリア標的ペプチドなど細胞質内の特定のオルガネラに特異性を示すペプチドを結合した場合には、細胞質内でその特定のオルガネラ近傍又は該オルガネラ表面に集積し、ペプチドの種類によっては該オルガネラ内に進入することができる。従って、例えばミトコンドリアマトリックスやミトコンドリア内膜において活性酸素を除去することも可能である。活性酸素としては、例えば、スーパーオキサイドアニオン、過酸化水素、ヒドロキシラジカル、一重項酸素、又は一酸化窒素などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
本発明の細胞透過性白金微粒子は、医薬として活性酸素が関与する疾患の予防及び/又は治療剤や老化防止剤として使用することができる。活性酸素が関与する疾患としては種々の疾患が知られており、例えば、動脈硬化、がん、糖尿病、アトピー性皮膚炎、アルツハイマー、又は網膜色素変性症等が挙げられるが、これらに限定されることはない。本明細書において、「予防及び/又は治療」の用語は発症の予防、及び発症後の疾患の治療のほか、疾患の進行の抑制、疾患の改善又は軽減、疾患の再発予防などを含めて最も広義に解釈しなければならず、いかなる意味においても限定的に解釈してはならない。本明細書において「医薬」の用語には、医薬品のほか、例えば飲料水など食品の形態で効能効果を表示して提供される特定保健用食品等やサプリメント等も包含される。
本発明の細胞透過性白金微粒子を医薬として用いる場合には経口的に投与することができる。本発明の医薬としては、上記に説明した方法により調製された細胞透過性白金微粒子を水中又は有機溶媒中、あるいは水と有機溶媒の混合物中に含むコロイド状態の均一分散物、あるいは上記分散物を凍結乾燥した固形物などを用いることができる。また、本発明の医薬は当業者に周知の方法によって製造可能な経口用の医薬組成物として投与することができる。経口投与に適する医薬用組成物としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、及びシロップ剤等を挙げることができる。例えば、上記のコロイド状分散物を液剤の形態の医薬組成物として用いることができる。上記の医薬組成物は有効成分である細胞透過性白金微粒子とともに1種又は2種以上の製剤用添加物を用いて製造することができる。製剤用添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤ないし崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤などを挙げることができるが、これらは医薬用組成物の形態に応じて当業者が適宜選択可能である。
本発明の細胞透過性白金微粒子を医薬として用いる場合、投与量は特に限定されず、疾患の種類、予防又は治療の目的、患者の年齢、体重、症状などに応じて適宜選択可能であるが、例えば、成人一日あたり細胞透過性白金微粒子の質量として0.001 〜1,000 mg程度の範囲で用いることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
例1
ポリ(1-ビニル-2-ピロリドン)を0.147 gを蒸留水3 mlに溶解して10分間攪拌し、16.6 mMの塩化白金酸(H2PtCl6)を加えてさらに30分攪拌し、エタノール45 mlを加えた。反応液を2時間加熱還流し、室温に戻した後、溶媒を留去して残渣を蒸留水に再分散させ、白金微粒子濃度が5μM(白金微粒子を構成する白金原子の濃度)となるように調整して白金微粒子ナノコロイド液(Nano-Pt)を得た。顕微鏡下で観察したところ、この白金微粒子の粒径は6ナノメーター以下であった。
白金特異的結合タンパク質(Asp-Arg-Thr-Ser-Thr-Trp-Arg)と細胞透過性ペプチドであるHIV TAT peptide (48-60)(Gly-Arg-Lys-Lys-Arg-Arg-Gln-Arg-Arg-Arg-Pro-Pro-Gln)とを連結させたペプチドNH2-Gly-Arg-Lys-Lys-Arg-Arg-Gln-Arg-Arg-Arg-Pro-Pro-Gln-Asp-Arg-Thr-Ser-Thr-Trp-Arg-COOH(TAT-PtBP)を調製した。得られたTAT-PtBPを白金微粒子と1対1の割合で混合して白金微粒子に結合させ、細胞透過性白金微粒子を構成する白金微粒子に含まれる白金原子のモル濃度が5 μMとなるように調整して細胞透過性白金微粒子ナノコロイド液(CPP-nano-PT)を得た。白金微粒子を構成する白金原子数は概ね100個であり、粒子の表面を構成する白金原子に白金特異的結合タンパク質が結合することが知られていることから、得られた細胞透過性白金微粒子の白金微粒子には1粒子あたり数個ないし数十個のTAT-PtBPが結合していると推測される。
線虫(C. elegans、野生型N2種、5日齢)を白金微粒子ナノコロイド0.5 mM(白金微粒子に含まれる白金原子のモル濃度)又は細胞透過性白金微粒子ナノコロイド5 μM(白金微粒子に含まれる白金原子のモル濃度)で2日間前処理し、M9バッファー(22 mM Na2HPO4, 22 mM KH2PO4, 85 mM NaCl, 1 mM MgSO4, 0.02% ゼラチン)で3回洗浄し、続いて 1,1'-ジメチル-4,4'-ビピリジニウムジクロリド[paraquat、シグマ-アルドリッチ社製、S-培地(100 mM NaCl, 0.01 mMコレステロール, 50 mMリン酸カリウム(pH 6.0)を含むS-基礎培地に3 mM CaCl2, 3 mM MgSO4, 50μM EDTA, 25μM FeSO4, 10μM MnCl2, 10μM ZnSO4, 1μM CuSO4, 10 mM KH2PO4(pH 6.0)を添加した培地)中0.4 M]を用いて20℃で処理した。生存している線虫を1時間ごとにカウントし、Kaplan-Meier法を用いて生存曲線から平均生存時間を算出した。結果を図1に示す。本発明の細胞透過性白金微粒子で処理した場合には、細胞透過性のない白金微粒子で処理した場合に比べて約100分の1の濃度の延命効果が得られた。この結果は、酸化ストレスに暴露された線虫に対して本発明の細胞透過性白金微粒子が細胞内に侵入することにより高い抗酸化性を発揮したことによるものと考えられる。
例2
例1で得られた本発明の細胞透過性白金微粒子の細胞内移行を検討した。ヒト肝細胞由来の培養細胞HepG2を0.5 mM白金微粒子ナノコロイド又は0.5 mM細胞透過性白金微粒子ナノコロイド(それぞれ濃度は白金微粒子に含まれる白金原子のモル濃度)を含有する培地で2日間前処理し、それぞれの微粒子の細胞内への移行量をICP-MASで測定した。この結果、本発明の細胞透過性白金微粒子では、細胞透過性のない白金微粒子に比べて約50倍の細胞内白金濃度を与えた。
酸化ストレスに暴露された線虫に対する白金微粒子ナノコロイド(Nano-Pt)及び細胞透過性白金微粒子ナノコロイド(CPP-nano-Pt)の延命効果を示した図である。

Claims (6)

  1. 細胞透過性ペプチドを白金特異的結合タンパク質を介して結合させた平均粒径10 nm以下の白金微粒子からなる細胞透過性白金微粒子。
  2. 平均粒径が1〜6 nm程度の白金微粒子を含む請求項1に記載の細胞透過性白金微粒子。
  3. 粒径が6 nm以下の白金微粒子を含む請求項1に記載の細胞透過性白金微粒子。
  4. 白金特異的結合タンパク質に細胞内オルガネラ標的ペプチドをさらに結合させた請求項1ないし3のいずれか1項に記載の細胞透過性白金微粒子。
  5. 細胞内オルガネラがミトコンドリアである請求項4に記載の細胞透過性白金微粒子。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項に記載の細胞透過性白金微粒子を有効成分として含む細胞内活性酸素除去剤。
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