JP2009152837A - 光増幅器を用いた光伝送システム - Google Patents

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Abstract

【課題】励起レーザの偶発故障を加速させることなく信号伝送可能な状態をより長く維持できるようにする。
【解決手段】本光伝送システムは、ある局の励起レーザに偶発故障が発生して励起光パワーが急速に低下した場合に、当該励起レーザの出力低下に関する情報を監視制御信号に乗せて他の局に伝達して共有し、その共有情報に応じて、他の局の正常に動作している励起レーザの出力パワーを増加させ、励起レーザの出力低下が発生した局でのWDM信号光の品質劣化をシステム全体で補償する。
【選択図】図3

Description

本発明は、光増幅器を使用して信号光を増幅しながら中継伝送する光伝送システムに関し、特に、光増幅器内の励起レーザの出力が急速に低下したときでも信号伝送を維持できるようにするための制御技術に関する。
波長多重(Wavelength Division Multiplexing:WDM)信号光を送受信する光伝送システムに用いられる光増幅器は、WDM信号光の波長数の増加に応じて増幅出力を大きくすることのできる大パワー出力特性と、増幅後の光の信号対雑音比(Optical Signal-to-Noise Ratio:OSNR)の劣化を抑えることのできる低雑音特性との両立が求められる。このため、従来の光増幅器は、例えば図9に示すように、2つの光増幅部110,120を縦続接続して信号光を2段階に分けて増幅する2段構成をとることが多い(例えば、下記の特許文献1,2参照)。
このような2段構成の光増幅器において、例えば、エルビウムを添加した光ファイバを光増幅媒体として用いたエルビウム添加光ファイバ増幅器(Erbium Doped Fiber Amplifier:EDFA)では、0.98μmの波長を有する励起光を用いてエルビウム添加ファイバ(EDF)を励起することで低雑音特性を実現できる励起方式(以下、0.98μm励起方式と呼ぶ)が前段の光増幅部110に適用され、入力ポートに与えられる信号光が前段の光増幅部110で一旦中間レベルまで増幅された後に、後段の光増幅部120にて所望のパワーまで増幅される。後段の光増幅部120には、従来、1.48μmの波長を有する励起光を用いてEDFを励起することで高出力特性を実現できる励起方式(以下、1.48μm励起方式と呼ぶ)が採用されることが多い。また、最近の半導体レーザの高出力化に伴い、後段の光増幅部120にも0.98μm励起方式が採用される場合も増えてきている。
しかしながら、0.98μm励起方式に使用される励起レーザ(図9の構成例ではLD111)は、出力が急速に低下して短時間で故障に至る「頓死」と呼ばれる現象が発生する可能性があり問題となる。この頓死は、半導体レーザの活性層に含有されるアルミニウムなどの材料の酸化が主な要因となって発生する。すなわち、活性層の含有材料の酸化により、励起されているレーザ光が吸収され、その発熱により更にレーザ光が吸収される割合が上昇して連鎖的に発熱量が多くなり、最終的にレーザ素子自体が焼損してしまう。なお、1.48μm励起方式に使用される励起レーザについては、アルミニウムなどの酸化の原因となる材料が活性層に含まれていないため、頓死による急速な出力の低下は基本的に発生しない。
従来の光増幅器では、0.98μm励起レーザの出力低下が起きた場合、その出力低下を補償するための制御が当該光増幅器内に閉じた状態で行われていた。具体的には、図9の構成例において、0.98μm励起レーザ111の出力が低下した時、その出力低下が磨耗故障によるものなのか、或いは、偶発故障によるものなのかに関わらず、0.98μm励起レーザ111の駆動電流を増加させて励起光パワーを一定にする制御が、出力モニタ112および駆動制御回路113により行われる。そして、0.98μm励起レーザ111の劣化が進んで出力一定制御が困難になり、前段の光増幅部110の出力が不足するようになると、光増幅器全体の出力が一定に保たれるように後段の光増幅部120の励起光パワーを増加させる制御が、出力モニタ122および駆動制御回路123により行われる。
なお、上記の磨耗故障は、励起レーザの出力低下が年単位で推移する遅い劣化モードであって、具体的には、注入電流のうち発光に寄与しない電流が経時的に増加し、注入電流に対する光出力の特性が徐々に低下してゆく故障であり、いわゆる寿命に相当する。一方、偶発故障は、励起レーザの出力低下が短時間(具体的には、100時間以下程度)で推移する速い劣化モードであって、外部からのサージ電流、過電流の流入による瞬間的な高光出力発振により、エネルギー密度の高い端面付近が溶融して結晶欠陥を形成する後天的要因による故障や、半導体製造プロセス(製造時点)で結晶欠陥が存在する先天的要因による故障などがあり、前述した頓死も偶発故障に含まれる。結晶欠陥によるレーザ出力の低下を簡単に説明すると、結晶欠陥は非発光領域であるため、当該部分で注入電流が熱に変わる。また、非発光領域では光を吸収することでの熱も発生する。これら熱の発生は、連鎖的に結晶欠陥を拡大させることになり、前述した頓死の場合と同様にレーザ出力の急速な低下を招く。
国際公開第2002/021203号パンフレット 特開平4−271330号公報
しかし、上記のような従来の光増幅器における励起レーザの出力低下に対応した制御は、該出力低下が前述したような偶発故障に起因したものである場合、励起レーザの出力を一定に保つことで偶発故障の進行を加速させてしまうという欠点がある。偶発故障がより短時間で進行するようになると、出力低下の生じた励起レーザの交換作業等をより早期に行うことが必要になり、保守者の負担を増加させてしまうという問題がある。このような問題は、前述の図9に示した2段構成の光増幅器だけに限らず、偶発故障による急速な出力低下が発生し得る励起レーザを備えていて該励起レーザを出力一定制御する様々な構成の光増幅器でも同様である。
上記のような偶発故障の加速を避けるためには、例えば、出力低下の発生した励起レーザの駆動状態はそのまま維持し、後段の光増幅部の励起光パワーを増加させて光増幅器全体の出力レベルが一定に保たれるようにする制御が有効である。しかしながら、このような制御では、後段の光増幅部に1.48μm励起方式が適用されている場合、1.48μm励起レーザの出力の増加に伴って増幅光のOSNRが急激に劣化し、0.98μm励起レーザの出力が実質的に消滅して信号光の増幅が困難になる前に、受信端でのエラー訂正処理が不可能になるようなOSNRの著しい劣化が生じて、信号伝送ができなくなってしまうという課題がある。
図10は、上記の制御を適用した場合の光増幅器の動作特性を磨耗故障の発生時と偶発故障の発生時で比較したものである。図10の左側に示す磨耗故障の発生時には、0.98μm励起レーザの出力が年単位の推移で徐々に低下すると、その出力低下に応じて1.48μm励起レーザの出力を増大させることで(図10の左側上段)、光増幅器全体での信号光の出力レベルを一定にする制御が行われる(図10の左側中段)。このとき光増幅器から出力される信号光のOSNRは、若干低下するものの品質限界レベルは満たしており(図10の左側下段)、受信端でのエラー訂正処理により正常に信号伝送が行われる。
一方、図10の右側に示す偶発故障の発生時には、0.98μm励起レーザの出力が数時間から数日間の推移で急速に低下すると、光増幅器全体での信号光の出力レベルが一定となるように1.48μm励起レーザの出力を増大させる制御が行われるものの、1.48μm励起レーザの制御が上限に達した時点で、光増幅器の信号出力レベルが急速に低下して行く(図10の右側上段および右側中段)。このとき、光増幅器から出力される信号光のOSNRは、0.98μm励起レーザの出力低下に伴って急速に劣化して行き、光増幅器の信号出力パワーが伝送限界レベルを下回って主信号断の状態になる前に、OSNRが品質限界レベルを満たさなくなり、受信端でのエラー訂正が不可能な状態になって信号伝送ができなくなる(図10の右側下段)。
図11は、EDFAに用いられる0.98μm励起レーザの偶発故障発生時における出力低下の様子を測定した一例である。ここでは、出力一定制御下にある0.98μm励起レーザの出力パワーを正常動作時のレベルで規格化した値を縦軸にとり、また、励起レーザの駆動電流に異常が生じたことを示すアラームが発出された時点を基準にした経過時間を横軸にとっている。この図11の例では、偶発故障による出力低下が生じた0.98μm励起レーザは、異常アラームが発出した時点を基に推定される偶発故障発生点から数時間で出力パワーが急速に低下してエラー訂正限界に達し、数日間で実効的なレーザ出力が得られなくなって主信号断の状態に至っている。
本発明は上記のような問題点に着目してなされたもので、光増幅器を用いた光伝送システムについて、偶発故障による励起レーザの急速な出力低下が発生したときでも、当該励起レーザの劣化を加速させることなく信号伝送可能な状態をできるだけ長く維持し、保守者が故障対応するまでに十分な時間を確保することのできる制御技術を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本光伝送システムの一態様は、WDM信号光が互いに異なる方向に伝送される一対の光伝送路上に複数の局が配置され、該各局が、少なくとも1台の励起レーザから出力される励起光を増幅媒体に供給し、該増幅媒体に入力される前記WDM信号光を増幅して出力する光増幅器と、前記WDM信号光とは別のチャネルの監視制御信号を前記各光伝送路を介して他局に送信するOSC送信部と、他局から前記各光伝送路を介して送られてくる前記監視制御信号を受信するOSC受信部と、をそれぞれ備えて構成される。また、前記各局は、自局内の前記光増幅器に設けられた前記励起レーザに偶発故障による出力低下が発生したとき、当該励起レーザの出力低下に関する情報を含んだ前記監視制御信号を前記OSC送信部に送信させると共に、前記OSC受信部で受信された前記監視制御信号に他局での前記励起レーザの出力低下に関する情報が含まれているとき、当該情報に応じて、自局内の前記光増幅器に設けられた正常動作する前記励起レーザの出力パワーを増加させる制御部をそれぞれ備え、前記励起レーザの出力低下に関する情報がシステム上の全ての局で共有され、該励起レーザの出力低下が発生した局におけるWDM信号光の品質劣化が、その他の局での励起光パワーの増加により補償される構成となっている。
このような本光伝送システムでは、システム上の任意の局において、励起レーザに偶発故障が発生して励起光パワーが急速に低下した場合に、その励起レーザの出力低下に関する情報が、各局の間で送受信されている監視制御信号を利用して、システム上の全ての局で共有され、その共有情報に応じて、励起レーザの出力低下が発生していない他の局の励起レーザの出力パワーを増加させることにより、励起レーザの出力低下が発生した局でのWDM信号光の品質劣化がシステム全体で補償されるようになる。
上記のような本光伝送システムによれば、励起レーザに発生した偶発故障の進行を加速させることなく信号伝送可能な状態をより長く維持することが可能になる。これにより、保守者が励起レーザの交換等の故障対応を行うまでに十分な時間を確保することができるので、保守者の負担軽減を図ることが可能になる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、全図を通して同一の符号は同一または相当部分を示すものとする。
図1は、本発明による光増幅器を用いた光伝送システムの第1実施形態の構成を示すブロック図である。
図1において、第1実施形態の光伝送システムは、例えば、複数の局A〜Eの間を上下回線に対応した1組の光伝送路によって互いに接続し、端局Aから上り回線に送信したWDM信号光を各中継局B,C,Dで順に増幅しながら中継伝送して端局Eで受信すると共に、端局Eから下り回線に送信したWDM信号光を各中継局D,C,Bで順に増幅しながら中継伝送して端局Aで受信する構成となっている。また、各局A〜Eは、WDM信号光(主信号光)とは別チャネルの監視制御信号(Optical Supervisory Channel:OSC)を用いて、各々の間で情報を交換しており、そのOSCにより伝達される情報として、各局内の光増幅器に具備された励起レーザの出力低下量が含まれるようにしている。本光伝送システムは、システム上のいずれかの励起レーザで偶発故障が発生したとき、その励起レーザの出力低下量を全ての局で共有し、該出力低下量を基に各々の局で光増幅器を制御することにより、システム全体で上記励起レーザの出力低下の補償を行う。
具体的に、端局Aは、複数の送信機(TX)11Aからそれぞれ出力される波長の異なる信号光を合波器12Aで波長多重し光増幅器(ポストアンプ)13Aで所要のレベルまで増幅した後、該光増幅器13Aから出力されるWDM信号光に対してOSC送信部33Aで生成される監視制御信号(OSC)を合波器34Aで合波して上り回線に送信する。また、端局Aは、下り回線を伝送された光を受信して分波器31BでWDM信号光と監視制御信号とに分離し、該分離したWDM信号光を光増幅器(プリアンプ)21Bで所要のレベルまで増幅した後、分波器22Bで各波長の信号光に分離して各々に対応した受信機(RX)23Bでそれぞれ受信処理する。上記分波器31Bで分離された監視制御信号は、OSC受信部32Bで受信処理されて監視制御情報が制御部35に伝えられ、該情報を基に制御部35が上り回線側の光増幅器13Aおよび下り回線側の光増幅器21Bをそれぞれ制御する。
各中継局B〜Dは、上り回線側の上流局から出力され光伝送路を伝搬した光を受信し、分波器31AでWDM信号光と監視制御信号とに分離し、該WDM信号光を光増幅器40Aで増幅して光伝送路での損失を補償した後、合波器34Aを介して上り回線側の下流局につながる光伝送路に出力する。上記分波器31Aで分離された監視制御信号は、OSC受信部32Aで受信処理されて監視制御情報が制御部35に伝えられる。また、各中継局B〜Dは、下り回線側の上流局から出力され光伝送路を伝搬した光を受信し、分波器31BでWDM信号光と監視制御信号とに分離し、該WDM信号光を光増幅器40Bで増幅して光伝送路での損失を補償した後、合波器34Bを介して下り回線側の下流局につながる光伝送路に出力する。上記分波器31Bで分離された監視制御信号は、OSC受信部32Bで受信処理されて監視制御情報が制御部35に伝えられる。上記制御部35は、OSC受信部32A,32Bからの監視制御情報を基に光増幅器40A,40Bをそれぞれ制御すると共に、自局内の光増幅器40A,40Bの動作状態に関するモニタ情報を受けて、上り回線および下り回線の各下流局に伝達する情報を生成し、該情報を対応するOSC送信部33A,33Bにそれぞれ出力する。各OSC送信部33A,33Bは、制御部35からの情報に従って監視制御信号を生成し、それを合波器34A,34Bで主信号光と合波して光伝送路に送信する。
端局Eは、上り回線を伝送された光を受信して分波器31AでWDM信号光と監視制御信号とに分離し、該分離したWDM信号光を光増幅器(プリアンプ)21Aで所要のレベルまで増幅した後、分波器22Aで各波長の信号光に分離して各々に対応した受信機(RX)23Aでそれぞれ受信処理する。上記分波器31Aで分離された監視制御信号は、OSC受信部32Aで受信処理されて監視制御情報が制御部35に伝えられる。また、端局Eは、複数の送信機(TX)11Bからそれぞれ出力される波長の異なる信号光を合波器12Bで波長多重し光増幅器(ポストアンプ)13Bで所要のレベルまで増幅した後、該光増幅器13Bから出力されるWDM信号光に対してOSC送信部33Bで生成される監視制御信号を合波器34Bで合波して下り回線に送信する。上記制御部35は、OSC受信部32Aからの監視制御情報を基に上り回線側の光増幅器21Aおよび下り回線側の光増幅器13Bをそれぞれ制御する。
ここで、各局A〜E内の光増幅器13A,13B,21A,21B,40A,40Bの構成について詳しく説明する。
図2は、上記光増幅器の具体的な一例を示す構成図である。この光増幅器は、0.98μm励起方式のEDFAを前段の光増幅部とし、1.48μm励起方式のEDFAを後段の光増幅部とした2段構成となっている。前段の光増幅部は、WDM信号光が一端より入力されるEDF51に、0.98μm励起レーザ(LD)52から出力される励起光を合波器53を介して供給することで、EDF51を伝搬するWDM信号光を一旦中間レベルまで増幅する。このとき、0.98μm励起レーザ52から出力される励起光パワーが光検出器(PD)54でモニタされ、そのモニタ結果が駆動制御回路57に送られる。EDF51で増幅されたWDM信号光は、後段の光増幅部に送られると共に、その一部が光カプラ55で分岐されて光検出器(PD)56に与えられ、該光検出器56で前段の光増幅部の信号出力パワーがモニタされ、そのモニタ結果が駆動制御回路57に送られる。駆動制御回路57は、各光検出器54,56でのモニタ結果を制御部35(図1参照)に出力すると共に、制御部35からの出力制御命令を受けて0.98μm励起レーザ52の駆動状態を制御する。この駆動制御回路57により、0.98μm励起レーザ52は、正常動作時、制御部35からの出力制御命令に従って出力一定制御され、偶発故障の発生による出力低下時には、前記出力一定制御が中止され、その時の駆動状態が維持される。
また、後段の光増幅部は、前段の光増幅部で増幅されたWDM信号光が一端より入力されるEDF61に、1.48μm励起レーザ(LD)62から出力される励起光を合波器63を介して供給することで、EDF61を伝搬するWDM信号光を所望のパワーまで増幅する。このとき、1.48μm励起レーザ62から出力される励起光パワーが光検出器(PD)64でモニタされ、そのモニタ結果が駆動制御回路67に送られる。EDF61で増幅されたWDM信号光は、その一部が光カプラ65で分岐されて光検出器(PD)66に与えられ、該光検出器66で後段の光増幅部の信号出力パワーがモニタされ、そのモニタ結果が駆動制御回路67に送られる。駆動制御回路67は、各光検出器64,66でのモニタ結果を制御部35(図1参照)に出力すると共に、制御部35からの出力制御命令に従って1.48μm励起レーザ62を出力一定制御する。
次に、第1実施形態の光伝送システムにおける動作について説明する。
上記のような構成の光伝送システムでは、例えば図3に示すように、中継局Bの上り回線側の光増幅器40A内に設けられている0.98μm励起レーザ52(図2参照)に出力低下が発生した場合、その局Bの0.98μm励起レーザ52の出力低下量δ(dB)が、監視制御信号を利用して他の局A,C〜Eにそれぞれ伝達される。
ここで、各局A〜E間での監視制御信号を利用した出力低下量δの伝達について詳しく説明すると、WDM信号光の中継伝送を行う光伝送システムでは、通常、主信号光とは別のチャネルに設定された監視制御信号を用いて、システム上の各局の間で情報交換が行われている。この監視制御信号には、従来、ある局に接続した端末装置から他の局を遠隔で操作するための制御情報や、WDM信号光の運用情報(例えば、サービスインされているチャネル番号情報、各局に設定された信号出力レベル、起動時のステータス情報など)が乗せられている。
本実施形態では、上記のような従来の監視制御信号に対して、任意の局(図3の例では局B)の0.98μm励起レーザ52に出力低下が発生したとき、当該励起レーザ52を特定する情報および出力低下量δが付加される。この出力低下量δは、正常動作時における出力一定制御の目標レベルに対して、光検出器54でモニタされる励起光パワーがどれだけ低下しているかによって求められる。このような出力低下量δを含んだ監視制御信号は、図3の白矢印に示すように0.98μm励起レーザ52の出力低下が生じた局Bより上り回線に送信されて下流側の各局C〜Eに順次伝送され、さらに、図3の斜線矢印に示すように下り回線を経由して上流側の局Aにも伝送されて、システム上の全ての局A〜Eで、局Bの0.98μm励起レーザ52でδ(dB)の出力低下が発生したという情報が共有される。
そして、上記出力低下情報を受けた各局A〜Eの制御部35は、局Bの上り回線側の光増幅器40A内の0.98μm励起レーザ52における出力低下量δに応じて、上り回線側の光増幅器内の正常に動作している励起レーザの出力レベルを一斉に上げる制御モードに遷移して、局Bでの0.98μm励起レーザ52の出力低下がシステム全体で補償されるようにする。
具体的に、自局内で0.98μm励起レーザ52の出力低下が生じた局Bの制御部35では、上り回線側の光増幅器40Aについて、前段EDFAの0.98μm励起レーザ52の駆動状態を現状維持(駆動電流の一定制御)とすると共に、後段EDFAの1.48μm励起レーザ62の出力パワーを所定の量だけ増加させる出力制御命令が生成され、該出力制御命令が光増幅器40A内の各駆動制御回路57,67に出力されて、各励起レーザ52,62の駆動状態の制御が行われる。また、他の局A,C〜Eの各制御部35では、上り回線側の光増幅器40A内の0.98μm励起レーザ52および1.48μm励起レーザ62の各出力パワーを所定の量だけ増加させる出力制御命令が生成され、該出力制御命令が光増幅器40A内の各駆動制御回路57,67に出力されて、各励起レーザ52,62の駆動状態の制御が行われる。
なお、ここでは出力低下の発生した0.98μm励起レーザ52の駆動状態を現状維持とする一例を示したが、該0.98μm励起レーザ52の駆動電流を予め設定したレベルまで下げて、偶発故障の進行がより遅れるようにしてもよい。
上記のような制御モードにおいて、正常に動作している励起レーザの出力パワーの増加量は、例えば、故障の発生した0.98μm励起レーザ52の出力低下量δ毎に、当該出力低下をシステム全体で補償するための各励起レーザの出力パワーの増加量を計算したテーブルを事前に作成し、該テーブルを各局A〜Eの制御部35内に具備された図示しないメモリに記憶させておき、該メモリのテーブルより、監視制御信号により伝達される0.98μm励起レーザ52の出力低下量δに対応した値を読み出して決定することが可能である。
ここで、上記テーブルの計算方法に関する具体的な一例について説明する。
一般に、雑音指数NF(dB)の特性を持つ光増幅器に対して、パワーPin(dBm)の信号光が入力されたき、該光増幅器から出力される信号光のOSNR値(dB)は、αを定数として、次の(1)式で表される。
OSNR=Pin−NF+α …(1)
また、図1に示したような信号光を多段中継する光伝送システムにおける受信端での信号光のOSNR値(dB)は、次の(2)式で表される。
OSNRreceive=−10×log[Σ{10(−0.1×OSNR)}] …
(2)
なお、ここでは上記の(1)式に示した光増幅器単体での出力信号のOSNR値と区別するため、光伝送システムの受信端での信号光のOSNR値をOSNRreceiveと表記している。上記の(2)式より明らかなように、受信端での信号光のOSNR値は、信号光が中継伝送される経路上に存在する全ての光増幅器での出力信号のOSNR値の和となる。
前述の図2に示したような2段構成の光増幅器が光伝送システム上の各局に設けられていて、ある局の光増幅器内の0.98μm励起レーザに出力低下が発生した場合、その励起光パワーの低下量が分かれば、後段の光増幅部への信号光の入力パワーを算出することができる。また、出力低下後の各段の光増幅部のNF値も設計情報を基に事前に把握することができる。よって、これらの情報より上記(1)式の関係に従って、0.98μm励起レーザに出力低下の発生した光増幅器での出力信号のOSNR値を求めることが可能である。さらに、当該光増幅器よりも下流側にある各局についても、上流側での0.98μm励起レーザの出力低下量が分かれば、自局の光増幅器に入力される信号光のパワーを算出することができ、その際のNF値も設計情報を基に事前に把握することが可能であるため、上記(1)式の関係に従って、各々の局から出力される信号光のOSNR値を求めることが可能である。
前述したように、光伝送システムの受信端での信号光のOSNR値は、各局の光増幅器の出力信号のOSNR値の和となるため、システム上のどの局で励起レーザの出力低下が発生したとしても、その出力低下量に応じて受信端での信号光のOSNR値を算出することが可能である。したがって、励起レーザの出力低下量が各局の間で共有されていれば、その出力低下量に応じて、受信端での信号光のOSNRが仕様等で規定される下限値(品質限界)を満たすようになる各局の光増幅器の駆動状態を決定することができる。
具体的に、励起レーザの出力低下時には、当該光増幅器の出力信号のOSNR値が小さくなるため、上記(2)式の右辺における総和(Σ)の値も正常時に比べて小さくなる。その際、正常に動作している他の励起レーザについて、各々の出力パワーが一斉に上がるように駆動状態を制御し、各々の励起レーザに対応した光増幅器における出力信号のOSNR値が大きくなるようにする。上記正常に動作している他の励起レーザの個々の出力パワーの増加量は、例えば上記図3の場合を考えると、局Bでの0.98μm励起レーザの出力低下量δを、正常に動作している上り回線側の全ての励起レーザの台数で等分するなどして決めることが可能である。
なお、正常に動作している励起レーザの台数については、システム上の励起レーザの総数が設計情報を基に分かるので、それを利用して求めればよい。また、信号光の伝送経路の切り替えを行う光スイッチがシステム上に配置されており、該光スイッチの状態に応じてシステム上の励起レーザの総数が変化するような場合には、その励起レーザの総数に関する情報も監視制御信号に乗せて各局に伝達するようにすれば、正常に動作している励起レーザの台数を求めることが可能になる。
これにより、励起レーザの出力低下が発生した光増幅器でのOSNR値の減少分が、その他の光増幅器でのOSNR値の増加分で補償されるようになり、受信端での信号光のOSNR値を正常時と同等か、若しくは、信号伝送に問題が生じない程度に維持することが可能になる。
図4は、上記のような本光伝送システムにおけるOSNRの改善効果を具体的に示した一例である。ただし、ここでは送受信端を含めて11個の局が存在する光伝送システムを想定し、2番目の局内の0.98μm励起レーザで出力低下が発生した場合の信号光のOSNRの変化を計算により求めている。
図4の丸印に対応した曲線は、システム上で励起レーザの出力低下が発生していない正常時における信号光のOSNR値を示しており、受信端(11番目の局)での信号光のOSNRは14.5dBとなっている。そして、2番目の局内の0.98μm励起レーザで出力低下が発生すると、前述した本発明による制御を適用する前は、図4の菱形印に対応した曲線に示すように、受信端での信号光のOSNRは13.5dBまで低下する。この値は、受信端におけるOSNRの下限値(品質限界)を14.0dBと仮定すると、それを下回っているため正常に信号伝送ができない状態にあることを示している。そこで、本発明による制御を適用し、2番目の局での0.98μm励起レーザの出力低下量を全ての局で共有して、正常に動作している各励起レーザの駆動状態を制御して、各々に対応する光増幅部の信号出力レベルが例えば2dB増加するようにすると、図4の四角印に対応した曲線に示すように、受信端での信号光のOSNR値が14.5dBと正常時の値に戻り、品質限界である14.0dB以上となるため、2番目の局内の0.98μm励起レーザで出力低下が発生していても信号伝送の可能な状態が保たれている。
なお、EDFAなどの一般的な光増幅器では、励起レーザの出力パワーを10%上げると、その光増幅器の信号出力レベルは約1dB程度増加し、また、励起レーザの出力パワーを20%上げると、その光増幅器の信号出力レベルは約2dB程度増加する。このような関係が成り立つ場合、図4に例示した状態を実現するためには、正常に動作している各励起レーザの出力パワーを20%程度上昇させればよいことになる。ただし、本発明は上記の具体例に限定されるものではない。
以上説明したように第1実施形態の光伝送システムによれば、偶発故障により励起レーザの出力が急速に低下した場合でも、その出力低下量を監視制御信号を利用してシステム上の全ての局で共有し、出力低下の発生した励起レーザの駆動状態は現状維持とすると共に、正常に動作している他の励起レーザについては各々の出力パワーを一斉に増加させて、励起レーザの出力低下によるOSNRの劣化をシステム全体で補償するようにしたことにより、偶発故障の進行を加速させることなく信号伝送可能な状態をより長く維持することが可能になる。これにより、保守者が励起レーザの交換等の故障対応を行うまでに十分な時間を確保することができるようになり、保守者の負担軽減を図ることが可能になる。
なお、上述した第1実施形態では、各局内の光増幅器について、0.98μm励起方式のEDFAを前段の光増幅部とし、1.48μm励起方式のEDFAを後段の光増幅部とした2段構成が適用される場合を説明したが、本発明における光増幅器の構成は上記の構成例に限定されるものではなく、例えば、図5に示すように、0.98μm励起方式のEDFA1段から構成される光増幅器が各局内に設けられているようなシステムについても、上述した第1実施形態の場合と同様にして本発明を適用することが可能である。また例えば、図示を省略するが、前段および後段の光増幅部の双方に0.98μm励起方式のEDFAを採用した2段構成の光増幅器や、3段以上の多段構成で0.98μm励起方式のEDFAを少なくとも1つの段に採用した光増幅器についても本発明は有効である。
さらに、上述した第1実施形態では、0.98μm励起レーザの出力が偶発故障の発生により急速に低下する場合について説明したが、0.98μm励起レーザ以外でも、偶発故障の発生により出力パワーが100時間以下程度の推移で急速に低下する可能性のある任意波長の励起レーザが光増幅器に用いられている場合にも本発明は有効である。
加えて、上述した第1実施形態では、出力低下の発生した0.98μm励起レーザと同じ局内にある1.48μm励起レーザについて、他の局の励起レーザと同様の制御により出力レベルを上げる一例を示したが、例えば、出力低下の発生している0.98μm励起レーザの駆動状態は現状維持としつつ、自局の信号出力レベルが一定に保たれるように1.48μm励起レーザの駆動状態を制御する、つまり、0.98μm励起レーザの出力低下が発生していても、1.48μm励起レーザの制御が上限に達するまでの間は自局の出力一定制御が維持されるようにすることも可能である。この場合、下流局に入力される信号光のパワーは、1.48μm励起レーザの制御が上限に達するまでの間、0.98μm励起レーザの出力低下量に関係なく略同じレベルとなるが、その間の信号光のOSNR値は1.48μm励起レーザの出力パワーの増加に応じて劣化するので(図10の右側参照)、該OSNR値の劣化状態が他の局で分かるようにする必要がある。このためには、例えば、0.98μm励起レーザの出力低下量と共に、同じ局内の1.48μm励起レーザの出力増加量(またた出力パワーのモニタ値)を監視制御信号に乗せて、これらの情報がシステム上の全ての局で共有されるようにすればよい。これにより、0.98μm励起レーザの出力低下が発生した局から出力される信号光のOSNR値の劣化を他の局でそれぞれ判断できるようになり、その補償をシステム全体で行うことが可能になる。
また、上述した第1実施形態では、監視制御信号に0.98μm励起レーザの出力低下量δを乗せて他の局に伝達するようにしたが、0.98μm励起レーザの出力低下は、結局、前段の光増幅部から出力される信号光のレベルが低下することなるため、光検出器56(図2)のモニタ値などを用いて前段の光増幅部の信号出力レベルの低下量を求め、該信号出力低下量を監視制御信号に乗せてシステム上の全ての局で共有するようにしても、上述した第1実施形態の場合と同様の制御を行うことができる。
さらに、例えば図6に示すように、システム上の全ての局の励起レーザの出力低下量を監視制御信号に乗せて各局で共有するようにしてもよい。この場合、正常に動作している励起レーザの出力低下量としては0dBが各局に伝達されるものとし、各々の局では、監視制御情報を基に偶発故障による出力低下が発生している励起レーザを判断した上で、上述した第1実施形態の場合と同様の制御が行われる。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
図7は、第2実施形態の光伝送システムの構成を示すブロック図である。
図7において、本光伝送システムは、上述した第1実施形態の応用例であって、各端局A,Eの受信機23A,23Bで信号光を受信処理する過程で得られるエラー情報を利用して、受信端での信号光のOSNR値がより良好なものになるように、各局において正常に動作している励起レーザの出力パワーをフィードバック制御するようにしたものである。
具体的には、例えば、10ギガビット毎秒(Gbit/sec)以上の高速な信号光を伝送するシステムでは、通常、信号光に付与されたエラー訂正符号を用いて受信端でエラー訂正処理が行われており、該エラー訂正処理の前後における受信信号のエラー発生数をカウントすることが可能である。そこで、本実施形態の光伝送システムでは、各端局A,Eにおいて、各受信機23B,23Aでカウントされるエラー訂正前若しくはエラー訂正後の受信信号のエラー発生数を示す信号ERを制御部35に与えるようにし、該エラー発生数を含んだ監視制御信号を各OSC送信部33A,33Bで生成して対向回線を介して上流側の各局に伝達する。受信端でのエラー発生数が伝達された各局では、該エラー発生数が最小になるように、0.98μm励起レーザの出力低下量δに応じて設定した自局内の励起レーザの出力パワーの増加量の最適化が図られる。これにより、偶発故障による励起レーザの急速な出力低下によって生じるOSNRの劣化をシステム全体で高精度に補償することが可能になる。
なお、上記の第2実施形態では、受信端でのエラー訂正処理の際にカウントされるエラー発生数を用いて各局での励起レーザの制御を最適化する一例を示したが、これ以外にも、例えば図8に示すように、各端局A,Eの受信部に、信号光のパワーやOSNRを測定できるOCM(Optical Channel Monitor)モジュール24B,24Aを付設し、該OCMモジュールを用いて受信光のOSNR値を直接モニタしてその結果を監視制御信号に乗せて各局に送信し、該OSNRのモニタ値が最大になるように各局の励起レーザをフィードバック制御するようにしてもよい。
以上の各実施形態に関して、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) WDM信号光が互いに異なる方向に伝送される一対の光伝送路上に複数の局が配置され、該各局が、少なくとも1台の励起レーザから出力される励起光を増幅媒体に供給し、該増幅媒体に入力される前記WDM信号光を増幅して出力する光増幅器と、前記WDM信号光とは別のチャネルの監視制御信号を前記各光伝送路を介して他局に送信するOSC送信部と、他局から前記各光伝送路を介して送られてくる前記監視制御信号を受信するOSC受信部と、をそれぞれ備えて構成された光伝送システムにおいて、
前記各局は、自局内の前記光増幅器に設けられた前記励起レーザに偶発故障による出力低下が発生したとき、当該励起レーザの出力低下に関する情報を含んだ前記監視制御信号を前記OSC送信部に送信させると共に、前記OSC受信部で受信された前記監視制御信号に他局での前記励起レーザの出力低下に関する情報が含まれているとき、当該情報に応じて、自局内の前記光増幅器に設けられた正常動作する前記励起レーザの出力パワーを増加させる制御部をそれぞれ備え、
前記励起レーザの出力低下に関する情報がシステム上の全ての局で共有され、該励起レーザの出力低下が発生した局におけるWDM信号光の品質劣化が、その他の局での励起光パワーの増加により補償される構成としたことを特徴とする光伝送システム。
(付記2) 前記光増幅器は、0.98μmの発振波長を有する励起レーザを含むことを特徴とする付記1に記載の光伝送システム。
(付記3) 前記光増幅器は、前記WDM信号光が入力される第1の光増幅部と、該第1の光増幅部で増幅されたWDM信号光が入力される第2の光増幅部とを備え、前記第1の光増幅部が0.98μmの発振波長を有する励起レーザを含むことを特徴とする付記1に記載の光伝送システム。
(付記4) 前記光増幅器は、前記第2の光増幅部が1.48μmの発振波長を有する励起レーザを含むことを特徴とする付記3に記載の光伝送システム。
(付記5) 前記光増幅器は、前記第2の光増幅部が0.98μmの発振波長を有する励起レーザを含むことを特徴とする付記3に記載の光伝送システム。
(付記6) 前記励起レーザは、前記出力低下が100時間以下で推移することを特徴とする付記1に記載の光伝送システム。
(付記7) 前記励起レーザは、頓死により出力低下が発生することを特徴とする付記1に記載の光伝送システム。
(付記8) 前記励起レーザは、結晶欠陥により出力低下が発生することを特徴とする付記1に記載の光伝送システム。
(付記9) 前記制御部は、前記励起レーザの出力低下に関する情報として、当該励起レーザの出力低下量を求め、該出力低下量を含んだ前記監視制御信号を前記OSC送信部に送信させることを特徴とする付記1に記載の光伝送システム。
(付記10) 前記OSC送信部は、システム上の全ての局での励起レーザの出力低下量を含んだ監視制御信号を送信することを特徴とする付記9に記載の光伝送システム。
(付記11) 前記制御部は、前記励起レーザの出力低下に関する情報として、当該励起レーザが設けられた光増幅器の信号出力低下量を求め、該信号出力低下量を含んだ前記監視制御信号を前記OSC送信部に送信させることを特徴とする付記1に記載の光伝送システム。
(付記12) 前記OSC送信部は、システム上の全ての局での光増幅器の信号出力低下量を含んだ監視制御信号を送信することを特徴とする付記9に記載の光伝送システム。
(付記13) 前記制御部は、自局内の前記励起レーザに偶発故障による出力低下が発生した時、当該励起レーザの駆動状態を維持することを特徴とする付記1に記載の光伝送システム。
(付記14) 前記制御部は、自局内の前記励起レーザに偶発故障による出力低下が発生した時、当該励起レーザの駆動電流を予め設定したレベルまで下げることを特徴とする付記1に記載の光伝送システム。
(付記15) 前記複数の局のうちの受信端に位置する局に設けられた前記OSC送信部は、受信したWDM信号光の品質情報を含んだ前記監視制御信号を送信し、
前記各局に設けられた前記制御部は、前記OSC受信部で受信された前記監視制御信号に含まれる前記品質情報に応じて、自局内の前記励起レーザの出力パワーの増加量を補正することを特徴とする付記1に記載の光伝送システム。
(付記16) 前記品質情報は、前記受信端に位置する局におけるエラー訂正処理の際に検出される受信信号のエラー発生数であり、
前記各局に設けられた前記制御部は、前記OSC受信部で受信された前記監視制御信号に含まれる前記エラー発生数が最小になるように、自局内の前記励起レーザの出力パワーの増加量を補正することを特徴とする付記15に記載の光伝送システム。
(付記17) 前記受信端に位置する局は、受信したWDM信号光のOSNR値を測定するモニタを備え、該モニタで測定されたOSNR値を前記品質情報とし、
前記各局に設けられた前記制御部は、前記OSC受信部で受信された前記監視制御信号に含まれる前記OSNR値が最大になるように、自局内の前記励起レーザの出力パワーの増加量を補正することを特徴とする付記15に記載の光伝送システム。
本発明による光伝送システムの第1実施形態の構成を示すブロック図である。 上記第1実施形態における各局内の光増幅器の構成例を示すブロック図である。 上記第1実施形態において局Bの励起レーザに出力低下が発生した場合の動作を説明する図である。 上記第1実施形態におけるOSNRの改善効果を示す図である。 上記第1実施形態に関連した光増幅器の他の構成例を示すブロック図である。 上記第1実施形態に関連し、全局の励起レーザの出力低下情報を監視制御信号に乗せて各局に伝達するようにした変形例を示す図である。 本発明による光伝送システムの第2実施形態の構成を示すブロック図である。 上記第2実施形態に関連した他の構成例を示すブロック図である。 従来の光増幅器の構成例を示すブロック図である。 従来の光増幅器における磨耗故障発生時および偶発故障発生時の動作を説明する図である。 偶発故障が発生した励起レーザの出力パワーの時間変化を示す図である。
符号の説明
11A,11B…送信機(TX)
12A,12B,34A,34B,53,63…合波器
13A,13B,21A,21B,40A,40B…光増幅器
22A,22B,31A,31B…分波器
23A,23B…受信機(RX)
24A,24B…OCMモジュール
32A,32B…OSC受信部
33A,33B…OSC送信部
35…制御部
51,61…EDF
52…0.98μm励起レーザ(LD)
62…1.48μm励起レーザ(LD)
54,56,64,66…光検出器(PD)
55,65…光カプラ
57,67…駆動制御回路
A,E…端局
B,C,D…中継局
δ…出力低下量

Claims (10)

  1. WDM信号光が互いに異なる方向に伝送される一対の光伝送路上に複数の局が配置され、該各局が、少なくとも1台の励起レーザから出力される励起光を増幅媒体に供給し、該増幅媒体に入力される前記WDM信号光を増幅して出力する光増幅器と、前記WDM信号光とは別のチャネルの監視制御信号を前記各光伝送路を介して他局に送信するOSC送信部と、他局から前記各光伝送路を介して送られてくる前記監視制御信号を受信するOSC受信部と、をそれぞれ備えて構成された光伝送システムにおいて、
    前記各局は、自局内の前記光増幅器に設けられた前記励起レーザに偶発故障による出力低下が発生したとき、当該励起レーザの出力低下に関する情報を含んだ前記監視制御信号を前記OSC送信部に送信させると共に、前記OSC受信部で受信された前記監視制御信号に他局での前記励起レーザの出力低下に関する情報が含まれているとき、当該情報に応じて、自局内の前記光増幅器に設けられた正常動作する前記励起レーザの出力パワーを増加させる制御部をそれぞれ備え、
    前記励起レーザの出力低下に関する情報がシステム上の全ての局で共有され、該励起レーザの出力低下が発生した局におけるWDM信号光の品質劣化が、その他の局での励起光パワーの増加により補償される構成としたことを特徴とする光伝送システム。
  2. 前記光増幅器は、0.98μmの発振波長を有する励起レーザを含むことを特徴とする請求項1に記載の光伝送システム。
  3. 前記光増幅器は、前記WDM信号光が入力される第1の光増幅部と、該第1の光増幅部で増幅されたWDM信号光が入力される第2の光増幅部とを備え、前記第1の光増幅部が0.98μmの発振波長を有する励起レーザを含むことを特徴とする請求項1に記載の光伝送システム。
  4. 前記光増幅器は、前記第2の光増幅部が1.48μmの発振波長を有する励起レーザを含むことを特徴とする請求項3に記載の光伝送システム。
  5. 前記制御部は、前記励起レーザの出力低下に関する情報として、当該励起レーザの出力低下量を求め、該出力低下量を含んだ前記監視制御信号を前記OSC送信部に送信させることを特徴とする請求項1に記載の光伝送システム。
  6. 前記OSC送信部は、システム上の全ての局での励起レーザの出力低下量を含んだ監視制御信号を送信することを特徴とする請求項5に記載の光伝送システム。
  7. 前記制御部は、前記励起レーザの出力低下に関する情報として、当該励起レーザが設けられた光増幅器の信号出力低下量を求め、該信号出力低下量を含んだ前記監視制御信号を前記OSC送信部に送信させることを特徴とする請求項1に記載の光伝送システム。
  8. 前記制御部は、自局内の前記励起レーザに偶発故障による出力低下が発生した時、当該励起レーザの駆動状態を維持することを特徴とする請求項1に記載の光伝送システム。
  9. 前記制御部は、自局内の前記励起レーザに偶発故障による出力低下が発生した時、当該励起レーザの駆動電流を予め設定したレベルまで下げることを特徴とする請求項1に記載の光伝送システム。
  10. 前記複数の局のうちの受信端に位置する局に設けられた前記OSC送信部は、受信したWDM信号光の品質情報を含んだ前記監視制御信号を送信し、
    前記各局に設けられた前記制御部は、前記OSC受信部で受信された前記監視制御信号に含まれる前記品質情報に応じて、自局内の前記励起レーザの出力パワーの増加量を補正することを特徴とする請求項1に記載の光伝送システム。
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