JP2009148719A - 排水からの有用物質の回収方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】畜産排水、農業排水などの種々の排水中から効率よく窒素、リンなどの栄養塩類やその他の金属類を回収する方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、リン、窒素、カルシウム、カリウム及びマグネシウムを含む栄養塩類並びに/若しくは金属イオンを含有する排水からの栄養塩類及び金属の回収方法であって、表面に細かい凹凸処理を施した板状の陰極板と板状又は網状の陽極板のそれぞれ2枚以上を一定の配列で配置した電極ユニットを備えた電解反応槽に、前記栄養塩類及び金属イオンを含む排水を満たし、又は通水し、電極ユニットの両電極間に直流電流を通電して排水の電解処理を行なうことを特徴とする、排水からの栄養塩類及び金属の回収方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、排水からの有用物質の回収方法に関し、特に、リン、窒素、カルシウム、カリウム、マグネシウム等を含む種々の排水から、これらの有用物質を効率よく回収する方法に関する。
家畜類の飼育場や処理場等から生ずる畜産排水、肥料や食品、化学製品等の種々の製造工場等から生ずる産業排水、一般家庭からの家庭排水等の各種の排水には、リン、窒素、マグネシウム、カルシウム、カリウム等の種々の元素の栄養塩類や、さらには鉄、銅、亜鉛、珪素などの各種の金属類が含まれている。従来から、排水の処理設備においては、これらの栄養塩類や金属類を排水中の汚濁物質として除去し、きれいな水を得ることを目的として、さまざまな排水の処理方法が実施されている。従って、このような処理施設で字除去される栄養塩類や金属類及びそれらを含む排水処理残渣は、不要物として埋め立てなどの廃棄処分とされている。
一方、近年、リン資源の枯渇化問題もいろいろなところで指摘されてきており、また、わが国はリン資源の全量を海外に依存していることも相俟って、リンのリサイクル技術に関して積極的な検討がなされるようになっている。輸入されたリン鉱石の多くはリン系肥料として使用されているが、その他に工業原料や飼料等に用いられている。肥料として使用されたリン肥料の15〜20%は植物に吸収されると言われているが、大部分は土壌の中に固定されるか、排水等を経由して最終的に環境中に放流される。その量は実に輸入量の25〜30%に達すると見積られている。その結果、今日至る所で湖沼における富栄養化等が深刻な問題となっている。このように、リンは枯渇性の資源であるとともに、富栄養化の原因物質でもあるため、種々の排水中に含まれるリンを除去・回収して再利用することは極めて有意義である。
このような排水等からリンを回収する方法としては、好気状態で微生物に摂取させたリンを嫌気状態で放出させ消石灰等により沈殿させて脱リンを行う「フォストリップ法」、リン鉱石あるいは類似物質の種晶に水酸化アパタイトの結晶を生成させる「晶析法」、アンモニア性窒素とリンを含む排水にマグネシウム塩を添加してアルカリ下にリン酸マグネシウムアンモニウム(MgNHPO:MAP)を形成させる「MAP法」等がある。この中でもMAP法はカリウムを加えれば、そのまま3要素を含む肥料として利用が可能なことから、リンの回収・再利用に適した方法として注目されている。MAP法はリンを高濃度に含む排水に使用するのに適していることから、リンを高濃度に含む畜産排水や汚泥施設処理排水に使用した場合に容易にリンを除去することができると考えられる。
このようなMAP法に関しては、例えば、特許文献1や特許文献2には、アンモニウムイオン及びリン酸イオンを含む排水にマグネシウム化合物を添加するとともに、アルカリ物質のpH調整剤を加えてpHを8以上に調整し、通気によって排水を攪拌することによりこれらを反応させてリン酸マグネシウムアンモニウムの微結晶を生成成長させ、排水中の浮遊物質と生成したリン酸マグネシウムアンモニウムの結晶とを分離し、アンモニウムイオン及びリン酸イオンをリン酸マグネシウムアンモニウムの固体粒子として除去回収する方法を記載している。また、MAP法において、より効率的にMAPを除去・回収する方法として、例えば、特許文献3では微細結晶を成長させる種結晶成長槽とアンモニウムイオンとリン酸イオンを除去する脱リン槽とを備えた処理装置を、特許文献4ではリンに対してモル比で3倍以上のマグネシウム塩とアンモニウム塩を共存させる方法を記載している。
しかしながら、MAP法や晶析法などは、アルカリ剤、種晶及びマグネシウムなどの添加が必要であり、それらの添加量のコントロールとそのための設備が必要となる。その結果,プロセスが複雑となり,処理装置の操作性も良好とは言えなかった。
かかる現状に鑑み、本発明者らは、このような排水等を電気分解の操作に付することによって、アルカリ剤や種晶の添加やその量のコントロールを必要としない簡便な方法でリン酸マグネシウムアンモニウムや水酸アパタイトなどの結晶性物質を形成させ、分離・除去する方法を見出し、特許出願を行っている(特許文献5)。
本発明者らは、この技術をベースとしてこれを更に改良し、単にリン分を除去するだけでなく効率よく回収するとともに、排水中に含まれる窒素やカルシウム、マグネシウム、カリウム等をも回収することができる方法を検討し本発明を完成した。
特開平1−119392号公報 特開平8−99091号公報 特開平10−323677号公報 特開平11−277071号公報 特開2003−236563号公報
本発明は、以上のような従来の排水処理方法の問題点に鑑み提案するものであり、従来の排水処理方法の問題点を解決して、排水中から効率よく窒素、リンなどの栄養塩類やその他の金属類を回収する方法を提供することを目的とするものである。
即ち、本発明は、以下の内容をその要旨とする発明である。
(1)本発明は、リン、窒素、カルシウム、カリウム及びマグネシウムを含む栄養塩類並びに/若しくは金属イオンを含有する排水からの栄養塩類及び金属の回収方法であって、表面に細かい凹凸処理を施した板状の陰極板と板状又は網状の陽極板のそれぞれ2枚以上を一定の配列で配置した電極ユニットを備えた電解反応槽に、前記栄養塩類及び金属イオンを含む排水を満たし、又は通水し、電極ユニットの両電極間に直流電流を通電して排水の電解処理を行なうことを特徴とする、排水からの栄養塩類及び金属の回収方法である。
(2)また、本発明は、電極ユニットの両端部と各電極板の間、及び/又は陰極板と陽極板の間の一部または全部に整流板を設けることを特徴とする、前記(1)に記載の排水からの栄養塩類及び金属の回収方法である。
(3)また、本発明は、陰極板の細かい凹凸処理が、サンドブラスト処理又はヘアライン処理を施すことにより、その表面に1〜100μmの凹凸を設けたものであることを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載の排水からの栄養塩類及び金属の回収方法である。
(4)また、本発明は、電極ユニットの電極板の配列が、それぞれ1枚又は2枚一組の陰極板と1枚又は2枚一組の陽極板を交互に配列することを特徴とする、前記(1)ないし(3)のいずれかに記載の排水からの栄養塩類及び金属の回収方法である。
(5)また、本発明は、一定期間の排水の電解処理を行った後、直流電源の陰極と陽極を、逆にそれぞれ電解反応槽の陽極板と陰極板に接続して直流電流を通電し、陰極板に形成した結晶性物質を剥離させることを特徴とする、前記(1)ないし(4)のいずれかに記載の栄養塩類及び金属の回収方法である。
(6)前記(1)ないし(4)のいずれかに規定する電極ユニットを備えた電解結晶化槽の後に、さらに前記(1)ないし(4)のいずれかに規定する電極ユニットを備えた電解金属回収槽を設け、電解結晶化槽で排水の電解処理を行うことにより栄養塩類を結晶性物質として分離し、次いで電解金属回収槽において電解結晶化槽で処理した排水の電解処理を行うことにより金属を分離・回収することを特徴とする、排水からの栄養塩類及び金属の回収方法。
本発明の方法により排水を処理することによって、排水中に含まれるリン、窒素、カルシウム、マグネシウムおよびカリウムなどの栄養塩類が電解反応槽内の表面凹凸処理を施した陰極板の表面に結晶性物質として蓄積し、これを回収することによって、これらの排水中に含まれる栄養塩類を効率的に回収することができる。また、畜産排水や工場排水などの場合には、銅、亜鉛、鉄などの金属イオンも含んでいるが、リン濃度の低い低リン負荷条件で、本発明の方法によりこのような排水を処理することによって、このような有用な金属類をも回収することができる。
次に、本発明をさらに詳しく説明する。
本発明の方法を実施するための装置の全体構成を示す概略図の一例を図1に示す。
図1において、排水を処理する電解反応槽1は、その内部に電極ユニット2を備え、その下部に生成した結晶性物質を回収するための固液分離貯留部3を備え、被処理液の出口に電解処理によって発生する気泡を処理するための消泡部4を備えている。電極ユニット2は、それぞれ2枚以上の複数の陰極板7と陽極板8から構成されており、陰極板7はリバース電解が可能な直流電源6の陰極に、陽極板8は直流電源6の陽極にそれぞれ直列に接続されている。
被処理水である各種の排水は、被処理水流入口11から電解反応槽1内に導入され、電解反応槽1内で電極ユニット2によって電解処理された後、被処理水流出口13から流出する。電解処理に必要な処理時間を得るために、被処理水は、電解処理中は液循環ライン14を通って循環される。電解反応の進行とともに電極ユニット2の陰極板7の表面に排水中に含まれる栄養塩類の結晶が結晶性物質として徐々に蓄積する。また、比較的短いサイクルで普通電解とリバース電解を繰返す電解操作である、いわゆる擬交流電解の場合においても、結晶性物質は貯留部3に徐々に蓄積する。電解処理中に発生するガスはガス出口17から排出される。また、通電によって被処理液からガスが発生し、気泡が生成するため、これらの気泡は消泡部4で消泡される。
一定時間連続して電解処理を行うことによって、陰極板7の表面に排水中に含まれる栄養塩類の固体状の結晶性物質が形成され、時間とともに徐々に成長し、蓄積する。この結晶性物質を陰極板7から剥がして、栄養塩類として回収する。剥離した結晶性物質は電解反応槽1の下部の固液分離貯留部3に貯留される。
結晶性物質の陰極板7からの剥離・回収は、直流通電の場合には、電極板と直流電源6の接続を変えて、電極ユニット2の陰極板7を直流電源6の陽極に、陽極板8を直流電源6の陰極にそれぞれ接続して、直流電流を通電して逆方向の電解処理(リバース電解)を行い、さらに空気導入管15から電解反応槽1内の逆洗曝気システム5に加圧空気を導入し、気泡によって陰極板7に蓄積している結晶性物質を剥がして回収する方法がある。擬交流電解の場合においても、固液分離貯留部3に徐々も蓄積する。
固液分離貯留部3に貯留された結晶性物質は、適宜結晶性物質取出し口12から回収する。
本発明の方法において、電解反応槽1内の電極ユニット2は、2枚以上の複数の陰極板と2枚以上の複数の陽極板から構成されて一定の配列で配置されており、かつ陰極板として細かい凹凸処理を施した板状の電極を、陽極板として板状又は網状の電極を用いることが必要である。
陰極板7の細かい凹凸処理とは、電極板の表面にサンドブラスト処理やヘアライン処理などの方法によって表面研磨処理を施し、深さが1〜100μm程度の細かい溝状の凹凸をつける加工のことを言い、電極表面に深さが1〜100μm程度の細かい凹凸をつけることによって電極表面の付着面積を大きくするとともに、この陰極板表面の凹凸によって結晶性物質の形成されるきっかけを与えるものである。
ここでサンドブラスト処理とは、金剛砂やアルミナなどの研磨剤の微粒子を圧縮空気とともに材料表面に吹き付けて、その表面に微細な凹凸を形成させるものである。また、ヘアライン処理とは、紙やすりや砥粒研磨ベルトなどで金属表面に一方向の傷をつけたものである。
陰極板7の材質は、白金、白金めっきステンレス、ステンレス、チタン、白金めっきチタン等が使用できるが、白金、白金めっきチタンが好ましい。
陽極板8は板状の電極板又は網状の電極板を用いる。陽極板8の材質は、白金、白金めっきチタン等が使用できる。網状電極は、これらの材料を用いて、網目サイズが数mmから十数mmの大きさの網状に加工したものである。
本発明の方法では、電極ユニット2の陰極板7と陽極板8は、それぞれ2枚以上の複数枚の電極板を用い、比表面積(電解反応槽有効容積に対する陰極総面積)が十分に大きくなるように電極板を選択し、これらを直流電源と直列につないで使用する。電極板の枚数は処理する被処理液の量や栄養塩類の濃度などによって適宜選択すればよい。陰極板7と陽極板8の間隔は、比較的低電圧(数ボルト以下)の通電による電解処理が可能となる範囲を選択し,両者を一定の順序で配置することが好ましい。電極板の配列の順序は、陽極板8と陰極板7を1枚ずつ交互に{+、−、+、−、・・・・}と配列するか、或いはそれぞれ2枚づつを一組として交互に{++、−−、++、−−、・・・・}と配列する方法が好ましい。
本発明の方法では、さらに電極ユニット2の両端部と各電極板の間、又は陰極板7と陽極板8の間の一部又は全部に、被処理液の電極近傍での流れを整えるために整流板を設けることが好ましい。図2に電極ユニット2に整流板9を取り付けた場合の一例を示す。整流板9は電極板とほぼ同じ大きさの板であり、これを電極ユニット2の両端部と各電極板の間、又は陰極板7と陽極板8の間の一部又は全部に適宜挿入して固定する。整流板9の材質は、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂、FRPなどで、耐食性がありかつ流れによって変形しない程度の強度を有するものであればよい。
このような整流板9を取り付けることによって、電極板の間に排水を一定の流速の上向流または下降流として流入させることができ、電極板の表面近傍での被処理液の流れが整えられ、電極表面での結晶性物質の形成が促進される。電極表面近傍での被処理液の流れが大きな乱流であったり、渦を発生する状態では結晶性物質の形成が阻害されるため、このような整流板9によって液の流れを整えることが好ましい。また、効率よく結晶性物質を形成させるためには電極表面近傍での液の流速が0.01〜5cm/秒程度であることが好ましく、この点も考慮して整流板9を設置する。
電解反応槽1での被処理液の電解処理は、被処理液を流入口11から少しずつ導入し、電解反応槽1内の液を循環ライン14を通して循環させつつ、直流電源6より直流電流を通電して電解反応を行う。電解処理の条件は、被処理液の処理量と栄養塩類の濃度によって変わるが、消費電力の観点から電圧は数ボルト以下が好ましい。この状態で被処理液を少量ずつ流入させながら電解反応を行うことによって、陰極板7の表面に栄養塩類から得られる結晶性物質が蓄積する。擬交流電解の場合においても,結晶性物質は貯留部3に沈殿する。
このようにして得られる結晶性物質は、リン、窒素、カルシウム、マグネシウム、カリウムなどを含有する固形のもの(結晶性の物質)である。これらの結晶性物質は、排水中に含まれるリン、窒素、マグネシウムが電解反応によるpH変化によってリン酸マグネシウムアンモニウム(MAP)の結晶性物質、リンとカルシウムから水酸アパタイト(HAP)の結晶性物質、またはこれらの混合物として形成されたものである。これはこのような種々の排水中に含まれる栄養塩類を、電解反応槽内で上記のような状態で電極に通電し、電気分解反応を行うことにより、陰極板7が形成基盤となると同時に、陰極がアルカリ(水酸イオン)の供給源となって、結晶化の反応が陰極近傍で進行することにより形成されるものである。このような排水の電解処理によって得られる結晶性物質には、リン、窒素、カルシウム、マグネシウムのほかにカリウムも含まれており、排水中に含まれるカリウムも同時に回収できる。
さらに、本発明の方法においては、流入する排水中のリン濃度が低く、かつ排水中に銅や亜鉛、鉄などの金属イオンをある程度以上の濃度で含む場合には、このような排水を上記したような方法で電解処理することによって、陰極板にこれらの金属も金属塩の形で析出させることができる。効率よくこれらの金属を回収するためには、排水中に含まれる金属イオン濃度が0.1mg/L以上であることが好ましい。
本発明の方法を利用してこの排水中の金属イオンを回収する方法として、次の2段階回収法がより好ましい。即ち、栄養塩類と金属イオンとを含む排水を処理する場合、栄養塩類を除去・回収するための電解結晶化槽と金属イオンを回収するための電解金属回収槽を設け、この電解結晶化槽と電解金属回収槽の中には、2枚以上の複数枚の陰極板と陽極板を交互に一定の配列順序で配置し、かつ陰極板として細かい凹凸処理を施した板状電極を、陽極板として板状又は網状の電極を用いた電極ユニットを設ける。まず、栄養塩類と金属イオンとを含む排水を電解結晶化槽に通し、ここで本発明の方法に従って電解処理を行い、リン、窒素、カリウム等の栄養塩類を結晶性物質として回収・除去する。次に、電解結晶化槽から流出した排水を電解金属回収槽に通して、ここでも本発明の方法に従って電解処理を行う。このような2段階回収法を採用することによって、電解結晶化槽で栄養塩類を効率よく回収すると同時に、電解金属回収槽では、処理する排水がリン等の塩類が除去された低リン負荷の状態となっているため、銅、亜鉛等の金属イオンを効率よく回収することができる。
また、本発明の方法においては、陰極板に形成され、蓄積する結晶性物質を剥離して回収するために、リバース電解法を用いることが好ましい。即ち、電解反応槽1に被処理液の排水を通水して、電極ユニット2に直流電流を通電して一定時間電解処理を行うと、陰極板7の表面に栄養塩類などの結晶性物質が形成される。この段階で、例えば転極制御装置を用いて、電極ユニット2と直流電源6との接続を変えて、陰極板7に直流電源6の陽極を、陽極板8に直流電源6の陰極を接続して、再び電極ユニット2に通電する。この操作によって、電解処理時にアルカリ雰囲気であった陰極板7近傍が酸性雰囲気となり、そのpHの変化により結晶性物質の電極付着面に近い部分が溶解し、結晶性物質を電極面から容易に剥離することができる。剥離した結晶性物質は電解反応槽1の下に沈降し、固液分離貯留部3に貯留される。ここに集められた結晶性物質を固液分離して回収する。このリバース電解の間隔を適切に制御することによって、電解反応槽1における結晶性物質の量も制御することができる。
このようにして本発明の方法によって結晶性物質として排水から回収した栄養塩類は、窒素、リンに加えてカリウムという肥料の三要素となる成分をすべて含んでおり、肥料あるいは肥料原料として直接的に利用することができる。また、得られた結晶性物質は生成する段階で精製されるので、これを水などで洗浄して、そのまま家畜飼料などの添加剤としても利用することができる。
次に、本発明を実施例によって更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1:
縦0.7m、横0.5m、深さ1m(有効内容量:約350L)の図1に示す電解反応槽を用いて、表2に示す種々の電極板の組み合わせからなる電極ユニットを電解反応槽に設置して、被処理液(原水)として表1に示す組成の実畜産排水二次処理水を用いて、栄養塩類の回収実験を行った。なお、ここで用いた電極ユニットは、図2に示すようにそれぞれ4枚の陽極板と陰極板を交互に設置したものであり、整流板を設けたものはこの両電極板の間にFRP製の整流板を設置したものである。また、表面凹凸板状ステンレスの陰極板はヘアライン処理によってステンレス板を研磨処理して、その表面の粗さが1〜100μm程度の凹凸状としたものである。
まず、この電解反応槽に表1の組成の原水を注入し、直流電源から10〜40アンペアの電流を通電した。ここでの有効電極面積(電解反応槽有効容量に対する陰極総面積の比、比表面積)は2m/mであった。この電解反応槽の電極ユニットに直流電流を通電しつつ、原水を蠕動ポンプを用いて1m/日の流量で供給し、約100日間にわたって電解処理を行なった。電解処理中は、定期的に陰極板に付着および貯留部に沈殿した結晶性物質を回収した。各実験条件での陰極板で得られた乾燥結晶性物質の量を、1日当り、電極単位面積当たりに換算したものを表2に示す。
Figure 2009148719
Figure 2009148719
この結果から、同じ材質の電極板を用い、同じ条件で電解処理を行なった場合には、整流板を設置することにより結晶性物質の生成量が大幅に増加することがわかった(実験1、実験2)。また、陰極板の材質によって結晶性物質の生成量が変化し、ステンレスに比べて白金とチタンの電極板で比較的よく結晶性物質が付着する(実験2、実験3、実験4)。また、陰極板の表面に研磨処理によって凹凸処理を施した場合は、このような凹凸処理を施さないものに比べて大幅に結晶性物質の生成量が増加し、ステンレス板の場合には凹凸処理電極を用いることによって白金やチタンを用いた電極板に匹敵する結晶性物質が付着することがわかった(実験4、実験5)。
実施例2:
被処理水として、次の表3に示す高リン負荷条件試料と低リン負荷条件試料を用いて、実施例1と同様にして、実施例1の実験1の条件で電解処理を行った。この電解処理によって得られた結晶性物質中に存在するリンと各種金属の組成(質量%)を表4に示す。
Figure 2009148719
Figure 2009148719
表4に示すように、高リン負荷条件の場合に比べて、低リン負荷条件の排水を用いて、本発明の方法による電解処理を行なうと、得られる結晶性物質の中にリンとともに比較的高濃度で鉄、銅、亜鉛などの金属類が含まれており、これらの金属類が効率よく回収できることがわかった。
実施例3:
同様に、図1に示す電解反応槽を用いて、ここに表5に示す種々の電極板配列の電極ユニットを設置して、被処理液として表1に示す組成の実畜産排水二次処理水を用いて、栄養塩類の回収を行った。
Figure 2009148719
表5に示す結果からわかるように、結晶性物質の付着量は陰極板の配列の仕方によって変化することがわかった。具体的には、実験6及び実験7に示すように、それぞれ1枚又は2枚の陰極板と陽極板を交互に設置して構成した電極ユニットを用いた場合に、実験8に示すようなそれ以外の電極板配列の場合にくらべてより多くの結晶性物質を付着させることができる。
本発明の方法により畜産排水や産業排水、家庭排水等の種々の排水を処理することによって、排水から、リン、窒素、マグネシウム、カルシウム、カリウム等の栄養塩類や、さらには鉄、銅、亜鉛などの各種の金属類を回収することができ、これらの排水処理分の水処理において有用である。また、結晶性物質として回収したリン,窒素,カルシウム,マグネシウム,カリウムなどの栄養塩類の純度が比較的高いことから,高品位な肥料等として直接的に利用でき,肥料としての商品価値も高い。
本発明に用いる排水処理装置全体の概略構成図である。 整流板を設けた電極ユニットの一例を示す説明図である。
符号の説明
1.電解反応槽
2.電極ユニット
3.固液分離貯留部
4.消泡部
5.逆洗曝気システム
6.直流電源
7.陰極板
8.陽極板
9.整流板
11.被処理水流入口
12.結晶性物質取出し口
13.被処理水流出口
14.循環ライン
15.空気導入管
16.残渣取出し口
17.ガス出口

Claims (6)

  1. リン、窒素、カルシウム、カリウム及びマグネシウムを含む栄養塩類並びに/若しくは金属イオンを含有する排水からの栄養塩類及び金属の回収方法であって、表面に細かい凹凸処理を施した板状の陰極板と板状又は網状の陽極板のそれぞれ2枚以上を一定の配列で配置した電極ユニットを備えた電解反応槽に、前記栄養塩類及び/又は金属イオンを含む排水を満たし、又は通水し、電極ユニットの両電極間に直流電流を通電して排水の電解処理を行なうことを特徴とする、排水からの栄養塩類及び金属の回収方法。
  2. 電極ユニットの両端部と各電極板の間、及び/又は陰極板と陽極板の間の一部または全部に整流板を設けることを特徴とする、請求項1に記載の排水からの栄養塩類及び金属の回収方法。
  3. 陰極板の細かい凹凸処理が、サンドブラスト処理又はヘアライン処理を施すことにより、その表面に1〜100μmの凹凸を設けたものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の排水からの栄養塩類及び金属の回収方法。
  4. 電極ユニットの電極板の配列が、それぞれ1枚又は2枚一組の陰極板と1枚又は2枚一組の陽極板を交互に配列することを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の排水からの栄養塩類及び金属の回収方法。
  5. 一定期間の排水の電解処理を行った後、直流電源の陰極と陽極を、逆にそれぞれ電解反応槽の陽極板と陰極板に接続して直流電流を通電し、陰極板に形成した結晶性物質を剥離させることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の栄養塩類及び金属の回収方法。
  6. 請求項1ないし4のいずれかに規定する電極ユニットを備えた電解結晶化槽の後に、さらに請求項1ないし4のいずれかに規定する電極ユニットを備えた電解金属回収槽を設け、電解結晶化槽で排水の電解処理を行うことにより栄養塩類を結晶性物質として分離し、次いで電解金属回収槽において電解結晶化槽で処理した排水の電解処理を行うことにより金属を分離・回収することを特徴とする、排水からの栄養塩類及び金属の回収方法。

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