JP2009133298A - Multi-link engine link geometry - Google Patents
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Abstract
Description
この発明は、マルチリンクエンジンのリンクジオメトリに関する。 The present invention relates to link geometry of a multilink engine.
ピストンピンとクランクピンとを複数のリンクで連結したエンジン(以下では「マルチリンクエンジン」という)が開発されつつある。このようなマルチリンクエンジンは、シリンダ内を往復動するピストンにピストンピンを介して連結されるアッパリンクと、クランクシャフトのクランクピンに回転自由に装着されるとともに、アッパピンを介してアッパリンクに連結されるロアリンクと、そのロアリンクにコントロールピンを介して連結され、揺動中心ピンを中心として揺動するコントロールリンクと、を備える。 An engine in which a piston pin and a crank pin are connected by a plurality of links (hereinafter referred to as “multi-link engine”) is being developed. Such a multi-link engine is connected to a piston reciprocating in a cylinder via a piston pin, and is rotatably mounted on a crank pin of a crankshaft and connected to the upper link via an upper pin. And a control link that is connected to the lower link via a control pin and swings about the swing center pin.
このようなマルチリンクエンジンには、ピストンとクランクシャフトとをひとつのリンク(すなわちコンロッド)で連結するエンジン(これは通常のエンジンであるが、このようなエンジンをマルチリンクエンジンに対比して以下では「シングルリンクエンジン」と称する)に比較して、図4(A−2)に示すようにクランク直径に対してアッパピン軌跡の上下方向長さと概ね一致するピストンストロークが拡大するため、トップデッキ高さ(全高)を高くすることなくロングストローク化しやすいという特性がある。このような特性を活用する技術が研究されている。たとえば特許文献1では、ピストンの必要最小限にのみ摺動部(ピストンスカート)を形成する。またシリンダライナには欠損部を設け、クランクシャフトのカウンタウェイトやリンク部品が通過できるようにする。このようにすることで、シリンダライナ下端及びピストン下死点の位置を低くすることができ、エンジン全高を高くすることなくロングストローク化している。なお他に関連する特許文献としては、特許文献2、特許文献3、特許文献4がある。
しかしながらこのように、シリンダライナ下端に欠損部を形成すると、その欠損部周辺のシリンダライナの剛性が弱くなる。その一方で、シリンダライナの面積が小さくなる分、欠損部周辺ではシリンダライナにかかる面圧が高くなる。そのためピストンのスラスト荷重が大きいと、シリンダライナが変形し、シリンダライナとピストンスカートとの接触状態が悪化する可能性がある。またピストンのスラスト荷重が大きいと、シリンダライナの欠損部のエッジによってピストンスカートの潤滑油膜が掻き取られてしまう可能性もある。 However, when a defect portion is formed at the lower end of the cylinder liner in this way, the rigidity of the cylinder liner around the defect portion becomes weak. On the other hand, as the area of the cylinder liner is reduced, the surface pressure applied to the cylinder liner is increased around the defect portion. Therefore, when the thrust load of the piston is large, the cylinder liner may be deformed, and the contact state between the cylinder liner and the piston skirt may be deteriorated. If the thrust load of the piston is large, the lubricating oil film of the piston skirt may be scraped off by the edge of the missing portion of the cylinder liner.
本発明は、本件発明者らによって見出されたこれらの課題に着目してなされたものであり、シリンダライナ下端に欠損部が形成されているなどして、下端のシリンダ軸方向の位置が一定ではなく少なくとも一部分の位置が異なるようになっていても、シリンダライナの変形を抑制するマルチリンクエンジンのリンクジオメトリを提供することを目的とする。 The present invention has been made paying attention to these problems found by the present inventors, and the position of the lower end in the cylinder axial direction is constant, for example, by forming a deficient portion at the lower end of the cylinder liner. It is an object to provide a link geometry of a multi-link engine that suppresses deformation of a cylinder liner even if at least a part of the position is different.
本発明は以下のような解決手段によって前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために本発明の実施形態に対応する符号を付するが、これに限定されるものではない。 The present invention solves the above problems by the following means. In addition, in order to make an understanding easy, although the code | symbol corresponding to embodiment of this invention is attached | subjected, it is not limited to this.
本発明は、シリンダ(31)内を往復動するピストン(32)にピストンピン(21)を介して連結されるアッパリンク(11)と、クランクシャフト(33)のクランクピン(33b)に回転自由に装着されるとともに、アッパリンク(11)にアッパピン(22)を介して連結されるロアリンク(12)と、ロアリンク(12)にコントロールピン(23)を介して連結され、揺動中心ピン(24)を中心として揺動するコントロールリンク(13)と、を有するマルチリンクエンジンのリンクジオメトリであって、前記シリンダ(31)のシリンダライナ(31a)は、シリンダ軸方向の下端位置(31b,31c,31e)が一定ではなく少なくとも一部分の下端位置が異なるように形成され、前記シリンダライナ下端の最上部(31b)よりも、ピストンスカート下端が下方に位置するクランクアングル範囲において、クランク軸方向から見てアッパリンク軸線とシリンダ軸線とのなす角が最小になる、ことを特徴とする。 In the present invention, the upper link (11) connected to the piston (32) reciprocating in the cylinder (31) via the piston pin (21) and the crank pin (33b) of the crankshaft (33) are freely rotatable. The lower link (12) connected to the upper link (11) via the upper pin (22) and the lower link (12) connected to the lower link (12) via the control pin (23). (24) is a link geometry of a multi-link engine having a control link (13) that swings about a cylinder link (31), wherein a cylinder liner (31a) of the cylinder (31) has a lower end position (31b, 31c, 31e) are not constant and are formed so that the lower end position of at least a part thereof is different, and the lower end of the piston skirt is positioned below the uppermost part (31b) of the lower end of the cylinder liner. In the crank angle range, the angle formed by the upper link axis and the cylinder axis is minimized when viewed from the crankshaft direction.
本発明によれば、クランク軸方向から見てアッパリンク軸線とシリンダ軸線とのなす角が最小になるタイミングで、シリンダライナ下端の最上部よりも、ピストンスカート下端が下方に位置するので、シリンダライナの下端位置が一定ではなく少なくとも一部分の位置が異なるように形成されていても、シリンダライナの変形を効果的に抑制することができる。 According to the present invention, the lower end of the piston skirt is positioned below the uppermost portion of the lower end of the cylinder liner at the timing at which the angle formed between the upper link axis and the cylinder axis is minimized when viewed from the crankshaft direction. Even if the lower end position is not constant and at least a part of the position is different, deformation of the cylinder liner can be effectively suppressed.
以下では図面等を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
(第1実施形態)
まず最初に図1を参照してマルチリンクエンジンについて説明する。なお図1はピストン32が下死点にあるときの状態を示している。
Hereinafter, the best mode for carrying out the present invention will be described with reference to the drawings.
(First embodiment)
First, the multilink engine will be described with reference to FIG. FIG. 1 shows a state where the
マルチリンクエンジン10は、ピストン32とクランクシャフト33とが2つのリンク(アッパリンク11、ロアリンク12)で連結される。またロアリンク12には、コントロールリンク13が連結される。
In the
アッパリンク11は、上端をピストンピン21を介してピストン32に連結し、下端をアッパピン22を介してロアリンク12の一端に連結する。ピストン32は、燃焼圧力を受け、シリンダブロック31に設けられたシリンダライナ31aの内部を往復動する。ピストン32が下死点にあるときは、図1に示されているようにアッパリンク11はシリンダ軸線と略平行な姿勢になる。またピストン32の最下部が、シリンダライナ31aの下端の最下部よりも下方に位置している。
The
ここで図2及び図3を参照してピストン32について説明する。なお図2(A)は斜視図であり、図2(B)は図2(A)のB−B断面図であり、図2(C)は図2(A)のC−C断面図である。また図3はピストン挙動を示す図である。
Here, the
ピストン32は図2(C)に示されているように、ピストンピン21の長さ方向の中央部分には、ピストンスカート32aが残されているが、その両側にはピストンスカートが無い。このようなピストン32では、下死点において図3(A)に示されているようにカウンタウェイト33cはピストンピン21(ピストンスカート32a)の側方を通過する。このためアッパリンク11を最小限の長さとして、ピストン32の下死点位置をクランクシャフト33に最接近させることで、その分のピストンストロークを拡大することができる。アッパリンク11の傾きによって発生するサイドスラストは、残されているピストンスカート32aにおいて主に負担することになる。
As shown in FIG. 2 (C), the
次に図4を参照してシリンダライナ31aについて説明する。図4(A)は図1のシリンダライナ31aの左内側面をシリンダ軸線から見た縦断面図であり、図4(B)は図1のシリンダライナ31aの右内側面をシリンダ軸線から見た縦断面図である。
Next, the
図4(A)に示されているように、シリンダライナ31aの左内側の下端には、クランクシャフト33のカウンタウェイト33cを通過させるための欠損部31bと、ロアリンク12を通過させるための欠損部31cと、が形成されている。このためシリンダライナ31aの下端のシリンダ軸方向の位置は、一定ではなく、位置が異なる。なお本実施形態では、欠損部31bのほうが、欠損部31cよりも深く形成されており、この欠損部31bがシリンダライナ31aの下端の最上部に該当する。欠損部31b及び欠損部31cの残りの部分が残部31dである。
As shown in FIG. 4 (A), at the lower left inner lower end of the
また図4(B)に示されているように、シリンダライナ31aの右内側の下端には、アッパリンク11を通過させるための欠損部31eが形成されている。このためシリンダライナ31aの下端のシリンダ軸方向の位置は、一定ではなく、位置が異なる。
Further, as shown in FIG. 4B, a
再び図1に戻る。ロアリンク12は、一端をアッパピン22を介してアッパリンク11に連結し、他端をコントロールピン23を介してコントロールリンク13に連結する。また、ロアリンク12は、ほぼ中央の連結孔に、クランクシャフト33のクランクピン33bを挿入し、クランクピン33bを中心軸として回動する。ロアリンク12は左右の2部材に分割可能に構成される。クランクシャフト33は、複数のクランクジャーナル33aとクランクピン33bとを備える。クランクジャーナル33aは、シリンダブロック及びラダーフレームによって回転自在に支持される。クランクピン33bは、クランクジャーナル33aから所定量偏心しており、ここにロアリンク12が回動自在に連結する。
Returning again to FIG. The
コントロールリンク13は、先端にコントロールピン23を挿入し、ロアリンク12に回動可能に連結する。またコントロールリンク13は、他端を揺動中心ピン24を介してシリンダブロック31に連結する。コントロールリンク13は、この揺動中心ピン24を中心として揺動する。そしてたとえば揺動中心ピン24を一部を偏心させた偏心軸の偏心した部位として揺動中心ピン24の偏心位置を移動すればコントロールリンク13の揺動中心が変更し、ピストン32の上死点位置が変更される。これによって圧縮比を機械的に調整することが可能である。
The control link 13 has a
図5は、マルチリンクエンジンのピストン加速度特性を説明する図であり、図5(A)はマルチリンクエンジンのピストン加速度特性を示す図であり、図5(B)は比較例としてシングルリンクエンジンのピストン加速度特性を示す図である。これらは、行程に対するコンロッド長の比が1.5から3程度の一般的なシングルリンクエンジンとの比較するものである。そしてマルチリンクエンジンのアッパリンクをシングルリンクエンジンのコンロッドに相当するものと考え、同じストローク長、かつ、マルチリンクエンジンのアッパリンク長さとシングルリンクエンジンのコンロッド長さとが同じという条件で比較したものである。 FIG. 5 is a diagram illustrating piston acceleration characteristics of a multi-link engine, FIG. 5 (A) is a diagram illustrating piston acceleration characteristics of a multi-link engine, and FIG. 5 (B) is a comparative example of a single link engine. It is a figure which shows a piston acceleration characteristic. These are compared with a general single link engine having a connecting rod length to stroke ratio of about 1.5 to 3. The upper link of the multi-link engine is considered to be equivalent to the connecting rod of the single link engine, and the comparison is made under the condition that the stroke length is the same and the upper link length of the multi-link engine and the connecting rod length of the single link engine are the same. is there.
シングルリンクエンジンでは、図5(B)に示すようにオーバオールのピストン加速度の大きさ(絶対値)は、下死点付近のほうが上死点付近よりも大きい。しかしながら、マルチリンクエンジンでは、図5(A)に示すようにオーバオールのピストン加速度の大きさ(絶対値)は、下死点付近と上死点付近とで略同程度に設定することができる。 In the single link engine, as shown in FIG. 5B, the magnitude (absolute value) of the overall piston acceleration is greater near the bottom dead center than near the top dead center. However, in the multi-link engine, as shown in FIG. 5A, the magnitude (absolute value) of the overall piston acceleration can be set to be approximately the same between the vicinity of the bottom dead center and the vicinity of the top dead center. .
そのように設定されたマルチリンクエンジンとシングルリンクエンジンのピストン位置の波形に含まれる2次成分の大きさを比較すると、マルチリンクエンジンのほうがシングルリンクエンジンよりも小さい。このため二次振動を低減できる、という特性がある。 Comparing the magnitudes of the secondary components included in the waveform of the piston position of the multilink engine and the single link engine set as such, the multilink engine is smaller than the single link engine. For this reason, there exists a characteristic that a secondary vibration can be reduced.
次に図6を参照して、本実施形態のマルチリンクエンジンのリンクジオメトリをさらに詳しく説明する。なお図6(A−1)はピストン32が上死点にある状態を示し、図6(A−2)はそのときの各リンクの状態を示し、図6(B−1)はピストン32が下死点にある状態を示し、図6(B−2)はそのときの各リンクの状態を示す。また図6(A−2)及び図6(B−2)に一点鎖線で示した略楕円図形は、アッパピン22の軸心の移動軌跡である。
Next, with reference to FIG. 6, the link geometry of the multilink engine of this embodiment will be described in more detail. 6A-1 shows a state where the
本実施形態では、図6(B−1)に示すように、ピストン32が下死点にあるときにシリンダライナ31aの下端の最上部31bよりも、ピストンスカート下端が下方に位置する。このときの下死点近傍でのピストンとシリンダボアの位置関係を図7に示す。なお図7は図6(B−1)を矢印VII方向からピストン近傍を見た斜視図であり、シリンダライナを一点鎖線で示す。このときピストン32は、残されているピストンスカート32aがシリンダライナ下端の最上部31bより下がった位置まで下降している。シリンダライナ下部には、上述の通り、クランクシャフト33のカウンタウェイト33cを通過させるための欠損部31bと、ロアリンク12を通過させるための欠損部31cと、が形成されている。このように欠損部が形成されいるので、シリンダライナ残部31dは強度が低下する。さらに、シリンダライナ残部31dは面積が小さい(相対するピストンスカートが小さい)分、シリンダライナ残部31dにかかる面圧が高くなる。そのためピストン32のスラスト荷重が大きいと、シリンダライナ(残部31d)が変形し、シリンダライナ31aとピストンスカート32aとの接触状態が悪化する可能性がある。またピストン32のスラスト荷重が大きいと、シリンダライナ31aの欠損部31b,31cのエッジによってピストンスカート32aの潤滑油膜が掻き取られてしまう可能性もある。そこで本実施形態では、このタイミングで、図6(B−2)に示すように、アッパリンク11の軸線(ピストンピン21の中心とアッパピン22の中心を結んだ直線)とシリンダ軸線とが平行になり、すなわちアッパリンク11の軸線とシリンダ軸線とのなす角がゼロ度になり最小となるようにした。このため、ピストン32からシリンダライナ31aに作用するスラスト力が小さく、シリンダライナ31aに欠損部31b,31cが形成されていても、シリンダライナ31aの変形を効果的に抑制することができる。特に、クランク軸方向から見てアッパリンク11の軸線とシリンダ軸線とのなす角が最小になる状態のときが、ピストン32からシリンダライナ31aに作用するスラスト力が最小になる状態である。そしてシリンダライナ31aの下端の最上部31bよりも、ピストンスカート下端が下方に位置しているときに、このような状態になるので、シリンダライナ31aに欠損部が形成されていても、シリンダライナ31aに変形が生じることがないのである。またピストン32が下死点にあるときに、ピストン32の最下部が、シリンダライナ31aの下端の最下部よりも下方に位置しているが、ピストン32からシリンダライナ31aに作用するスラスト力が小さいので、シリンダライナ31aの欠損部のエッジによってピストンスカートの潤滑油膜が掻き取られてしまうことを防止できるのである。
In this embodiment, as shown in FIG. 6 (B-1), when the
また図6(B−2)に示すように、アッパピン22の軸心の移動軌跡の曲率半径は、ピストン上死点付近よりもピストン下死点付近のほうが小さい。換言すると、アッパピン22の楕円状の軸心軌跡の上端付近と接しシリンダ軸線に直交する直線を直線Aとし、楕円軌跡の下端付近と接しシリンダ軸線に直交する直線を直線Bとし、楕円軌跡と2点で交差しシリンダ軸線に直交する直線であって2交点間の距離が最大になる直線を直線Cとしたときに、直線Aから直線Cまでの距離L1が、直線Bから直線Cまでの距離L2よりも小さい。
Further, as shown in FIG. 6B-2, the radius of curvature of the movement locus of the axis of the
またアッパピン22の軸心は、コントロールピン23の軸心とクランクピン33bの軸心とを結んだ直線Dよりも下方に位置するようになっている。ただしアッパピン22の軸心とコントロールピン23の軸心とクランクピン33bの軸心とが一直線上にあれば、アッパピン22の軸心は、コントロールピン23の軸心とクランクピン33bの軸心とを結んだ直線Dの上に位置する。
The axis of the
ここで仮に図8の比較例に示すように、アッパピン22の軸心が、コントロールピン23の軸心とクランクピン33bの軸心とを結んだ直線Dよりも上方に位置する場合を考える。揺動中心ピン24がクランクシャフト中心の左下の位置にあり、かつ、コントロールピンがクランク軸中心の左方に位置するとき(シリンダ中心線を図中の垂直方向に置いたとき)には、ピストン32が上死点付近にあるときであっても(図8(A))、下死点付近にあるときであっても(図8(B))、アッパピン22の位置が図6の場合に比べて高くなる。したがってアッパピン22の軸心を、直線Dよりも下方に位置するようにしたほうが、トップデッキ高さ(全高)を高くすることなくロングストローク化しやすいのである。
Here, as shown in the comparative example of FIG. 8, a case is considered in which the axis of the
また上述のように、揺動中心ピン24を偏心軸にして揺動中心ピン24の偏心位置を移動すればコントロールリンク13の揺動中心が変更し、ピストン32の上死点位置が変更されるので、圧縮比を機械的に調整することが可能である。このときアッパリンク11の軸線とシリンダ軸線とのなす最小角は、高圧縮比側よりも低圧縮比側のほうが小さくなるようにジオメトリを設定する。図6(B)において、実線は低圧縮比側、破線は高圧縮比側の状態を示す。高負荷条件では、出力を確保するべく運転条件に応じて圧縮比を低圧縮比側に設定することが望ましい。また低負荷条件では、膨張仕事を大きくすることで排気損失が減るように高圧縮比に設定することが望ましい。そしてこのように圧縮比を設定する場合は、低負荷条件のときに、より燃焼圧が高くサイドスラストも大きくなる。本実施形態によれば、このような場合でも、より効果的にシリンダライナの変形を抑えることができるのである。
Further, as described above, if the eccentric position of the
(第2実施形態)
図9は、本発明によるマルチリンクエンジンのリンクジオメトリの第2実施形態を示す図である。
(Second Embodiment)
FIG. 9 is a diagram showing a second embodiment of the link geometry of the multi-link engine according to the present invention.
上記第1実施形態では、アッパピン22の軸心は、コントロールピン23の軸心とクランクピン33bの軸心とを結んだ直線Dよりも下方に位置するようにしたが、本実施形態では、アッパピン22の軸心とコントロールピン23の軸心とクランクピン33bの軸心とを一直線上に配置し、アッパピン22の軸心が、コントロールピン23の軸心とクランクピン33bの軸心とを結んだ直線Dの上に位置するようにした。このようにしても、図8の比較例に比べて、ピストン32が上死点付近にあるときであっても、下死点付近にあるときであっても、アッパピン22の位置を低くできる。したがってアッパピン22の軸心を、直線Dの上に位置しても、トップデッキ高さ(全高)を高くすることなくロングストローク化できるのである。
In the first embodiment, the axis of the
(第3実施形態)
図10は、本発明によるマルチリンクエンジンのリンクジオメトリの第3実施形態を示す図である。
(Third embodiment)
FIG. 10 is a diagram showing a third embodiment of the link geometry of the multi-link engine according to the present invention.
上記第1実施形態では、アッパピン22の軸心の移動軌跡は、シリンダ軸線上にあったが、本実施形態は、アッパピン22の軸心の移動軌跡が、シリンダ軸線とはズレた位置にある場合である。
In the first embodiment, the movement trajectory of the axis of the
このような場合は、アッパピン22の軸心の移動軌跡は、図10に示されているように、右に傾斜した形状になる。そしてピストンが上死点(図10(A))から下死点(図10(C))に移動する途中でアッパピン22の軸心が移動軌跡左端になり、このときアッパリンク11の軸線とシリンダ軸線とのなす角が最小になる(図10(B))。本実施形態では、このタイミングのときに、シリンダライナ31aの下端の最上部31bよりも、ピストンスカート下端が下方に位置するようにしたのである。
In such a case, the movement locus of the axial center of the
このように本実施形態では、アッパリンク11の軸線とシリンダ軸線とのなす角が最小になるタイミングのときに、シリンダライナ31aの下端の最上部31bよりも、ピストンスカート下端が下方に位置するようにした。このため、アッパピン22の軸心の移動軌跡が、シリンダ軸線とはズレた位置にある場合であっても、ピストン32からシリンダライナ31aに作用するスラスト力を小さくでき、シリンダライナ31aに欠損部が形成されていても、シリンダライナ31aに変形が生じることがないのである。
Thus, in this embodiment, the piston skirt lower end is positioned below the
また上述のように、揺動中心ピン24を偏心軸にして揺動中心ピン24の偏心位置を移動すればコントロールリンク13の揺動中心が変更し、ピストン32の上死点位置が変更されるので、圧縮比を機械的に調整することが可能である。このときアッパリンク11の軸線とシリンダ軸線とのなす最小角は、高圧縮比側よりも低圧縮比側のほうが小さくなるのである。
Further, as described above, if the eccentric position of the
以上説明した実施形態に限定されることなく、その技術的思想の範囲内において種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の技術的範囲に含まれることが明白である。 Without being limited to the embodiments described above, various modifications and changes are possible within the scope of the technical idea, and it is obvious that these are also included in the technical scope of the present invention.
例えば、図4に示したシリンダライナの形状は一例に過ぎず、たとえば図11に示すような形状であってもよい。ようするにシリンダライナ下端のシリンダ軸方向の位置は、一定ではなく少なくとも一部分の位置が異なるように形成されていればよい。 For example, the shape of the cylinder liner shown in FIG. 4 is merely an example, and for example, the shape shown in FIG. 11 may be used. Thus, the position of the cylinder liner lower end in the cylinder axial direction is not constant and it is sufficient that at least a part of the position is different.
10 マルチリンクエンジン
11 アッパリンク
12 ロアリンク
13 コントロールリンク
21 ピストンピン
22 アッパピン
23 コントロールピン
24 揺動中心ピン
31 シリンダ
31a シリンダライナ
31b,31c,31e シリンダライナの欠損部(シリンダライナ下端)
31d シリンダライナの残部
32 ピストン
33 クランクシャフト
33a クランクジャーナル
33b クランクピン
DESCRIPTION OF
31d Remaining
Claims (7)
クランクシャフトのクランクピンに回転自由に装着されるとともに、前記アッパリンクにアッパピンを介して連結されるロアリンクと、
前記ロアリンクにコントロールピンを介して連結され、揺動中心ピンを中心として揺動するコントロールリンクと、
を有するマルチリンクエンジンのリンクジオメトリであって、
前記シリンダのシリンダライナは、シリンダ軸方向の下端位置が一定ではなく少なくとも一部分の下端位置が異なるように形成され、
前記シリンダライナ下端の最上部よりも、ピストンスカート下端が下方に位置するクランクアングル範囲において、クランク軸方向から見てアッパリンク軸線とシリンダ軸線とのなす角が最小になる、
ことを特徴とするマルチリンクエンジンのリンクジオメトリ。 An upper link connected via a piston pin to a piston that reciprocates in the cylinder;
A lower link that is rotatably mounted on a crankpin of a crankshaft and is connected to the upper link via an upper pin;
A control link connected to the lower link via a control pin and swinging about a swing center pin;
A link geometry of a multi-link engine having
The cylinder liner of the cylinder is formed such that the lower end position in the cylinder axial direction is not constant and at least a part of the lower end position is different,
In the crank angle range where the lower end of the piston skirt is located below the uppermost part of the lower end of the cylinder liner, the angle formed by the upper link axis and the cylinder axis is minimized when viewed from the crankshaft direction.
Link geometry of a multi-link engine characterized by
ことを特徴とする請求項1に記載のマルチリンクエンジンのリンクジオメトリ。 When the angle formed by the upper link axis and the cylinder axis is minimum when viewed from the crankshaft direction, the upper link axis is substantially parallel to the cylinder axis when viewed from the crankshaft direction.
The link geometry of the multi-link engine according to claim 1.
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマルチリンクエンジンのリンクジオメトリ。 The radius of curvature of the movement locus of the axis of the upper pin is smaller near the bottom dead center of the piston than near the top dead center of the piston.
The link geometry of the multilink engine according to claim 1 or 2, characterized in that
前記楕円軌跡の下端付近と接しシリンダ軸線に直交する直線を直線Bとし、
前記楕円軌跡と2点で交差しシリンダ軸線に直交する直線であって前記2交点間の距離が最大になる直線を直線Cとしたときに、
直線Aから直線Cまでの距離が、直線Bから直線Cまでの距離よりも小さい、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマルチリンクエンジンのリンクジオメトリ。 A straight line that is in contact with the vicinity of the upper end of the elliptical axial center locus of the upper pin and that is perpendicular to the cylinder axis is defined as a straight line A.
A straight line that is in contact with the vicinity of the lower end of the elliptical locus and is orthogonal to the cylinder axis is defined as a straight line B.
When a straight line that intersects the elliptical locus at two points and is orthogonal to the cylinder axis and has the maximum distance between the two intersection points is defined as a straight line C,
The distance from the straight line A to the straight line C is smaller than the distance from the straight line B to the straight line C;
The link geometry of the multilink engine according to claim 1 or 2, characterized in that
ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のマルチリンクエンジンのリンクジオメトリ。 The axis of the upper pin is located on or below the straight line connecting the axis of the control pin and the axis of the crankpin.
The link geometry of the multilink engine according to any one of claims 1 to 4, wherein the link geometry is a multi-link engine.
ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のマルチリンクエンジンのリンクジオメトリ。 The maximum value at the timing near the bottom dead center of the reciprocating acceleration of the piston is approximately equal to or greater than the maximum value at the timing near the top dead center.
The link geometry of the multi-link engine according to any one of claims 1 to 5, wherein the link geometry is a multi-link engine.
前記アッパリンク軸線とシリンダ軸線とのなす最小角が、高圧縮比の場合と低圧縮比の場合とで異なるときに、高圧縮比側よりも低圧縮比側のほうが小さい、
ことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のマルチリンクエンジンのリンクジオメトリ。 The multi-link engine is a variable compression ratio engine capable of changing a compression ratio by adjusting the position of the swing center pin according to operating conditions.
When the minimum angle formed by the upper link axis and the cylinder axis is different between the high compression ratio and the low compression ratio, the low compression ratio side is smaller than the high compression ratio side.
The link geometry of the multi-link engine according to any one of claims 1 to 6, wherein the link geometry is a multi-link engine.
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