JP2009131848A - シミュレーション方法、シミュレーション装置、生物処理方法、ならびに、生物処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、予測精度の低下を抑制しつつキャリブレーションの手間を削減させ得るシミュレーション方法ならびにシミュレーション装置の提供、ならびに、要する手間を削減し得る生物処理方法や生物処理装置の提供を課題としている。
【解決手段】
細菌による処理対象物質の分解反応における最大反応速度の値と、生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に処理された前記処理対象物質の量との間に所定の関数関係を有する状態でパラメータに用いることで課題を解決する。
【選択図】図1
【解決手段】
細菌による処理対象物質の分解反応における最大反応速度の値と、生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に処理された前記処理対象物質の量との間に所定の関数関係を有する状態でパラメータに用いることで課題を解決する。
【選択図】図1
Description
本発明は、シミュレーション方法、シミュレーション装置、生物処理方法、ならびに、生物処理装置に関する。
現在、水処理、例えば、下水処理、工場排水処理などにおいて、処理の効率化、処理能力の高度化、水処理に用いられるエネルギーの省力化、水処理のコストの低コスト化などが進められている。
例えば、種々の条件下でのプロセスの挙動を経験に基づいて予測し、水処理施設の運転条件の設定を行なう手法は、種々の条件下でのプロセスの挙動を定量的に予測することが困難であるため、水処理が非効率的であり、エネルギーの浪費、コストの増加をもたらすという欠点があり改良が求められている。
このようなことから、経験に基づく種々の条件下でのプロセスの挙動の予測に代えて、細菌群の増殖や死滅などの反応を計算するシミュレーションが導入され、より定量的な予測を行なうことが試みられている(例えば、特許文献1〜4参照)。
例えば、種々の条件下でのプロセスの挙動を経験に基づいて予測し、水処理施設の運転条件の設定を行なう手法は、種々の条件下でのプロセスの挙動を定量的に予測することが困難であるため、水処理が非効率的であり、エネルギーの浪費、コストの増加をもたらすという欠点があり改良が求められている。
このようなことから、経験に基づく種々の条件下でのプロセスの挙動の予測に代えて、細菌群の増殖や死滅などの反応を計算するシミュレーションが導入され、より定量的な予測を行なうことが試みられている(例えば、特許文献1〜4参照)。
この内、特許文献2には、下水処理プロセスを構成する単位装置を部品としてモデル化する、下水処理プロセスシミュレータシステムが開示されている。
このシステムは、一般に「ASM2」などと呼ばれる、IAWQ(現「IWA」)活性汚泥モデルNo.2を有し、該IAWQ(現「IWA」)活性汚泥モデルNo.2によりモデル成分入力値に基づいて部品毎にモデル成分出力値を求めるシミュレータと、下水処理プロセスへ流入する流入水の水質をオンラインで計測する計測手段とを有している。
さらに、このシステムは、計測値とモデル成分入力値を含む相関式を用いた変換手段を有し、計測手段からの計測値を変換手段の相関式を用いてモデル成分入力値に変換する演算手段とを備えている。
そして、前記特許文献2に記載の発明は、流入水の水質と処理水質に基づき、反応速度論定数をキャリブレーションするものである。
このシステムは、一般に「ASM2」などと呼ばれる、IAWQ(現「IWA」)活性汚泥モデルNo.2を有し、該IAWQ(現「IWA」)活性汚泥モデルNo.2によりモデル成分入力値に基づいて部品毎にモデル成分出力値を求めるシミュレータと、下水処理プロセスへ流入する流入水の水質をオンラインで計測する計測手段とを有している。
さらに、このシステムは、計測値とモデル成分入力値を含む相関式を用いた変換手段を有し、計測手段からの計測値を変換手段の相関式を用いてモデル成分入力値に変換する演算手段とを備えている。
そして、前記特許文献2に記載の発明は、流入水の水質と処理水質に基づき、反応速度論定数をキャリブレーションするものである。
しかし、生物処理における処理水の水質は、種々の要因に影響を受け、たとえ処理水質に基づくキャリブレーションを実施して、一旦は、実際の処理水質に近いシミュレーション結果が得られたとしても、時間の経過とともに、実際の処理水質とシミュレーション結果との乖離が大きくなる。
したがって、頻繁にキャリブレーションをやり直さなければ処理水質の予測精度を低下させてしまうこととなる。
すなわち、従来のシミュレーション方法やシミュレーション装置においては、予測精度の低下を抑制しつつキャリブレーションの手間を削減することが困難であるという問題を有している。
また、このようなシミュレーションによって処理水質の予測を実施しつつ生物処理工程を実施する生物処理方法や生物処理装置においては、予測精度の低下を防止することが困難なことから、実際の処理水質を確認する作業などの手間を削減することが困難である。
したがって、頻繁にキャリブレーションをやり直さなければ処理水質の予測精度を低下させてしまうこととなる。
すなわち、従来のシミュレーション方法やシミュレーション装置においては、予測精度の低下を抑制しつつキャリブレーションの手間を削減することが困難であるという問題を有している。
また、このようなシミュレーションによって処理水質の予測を実施しつつ生物処理工程を実施する生物処理方法や生物処理装置においては、予測精度の低下を防止することが困難なことから、実際の処理水質を確認する作業などの手間を削減することが困難である。
本発明は、高い予測精度を維持しつつキャリブレーションの手間を削減させ得るシミュレーション方法ならびにシミュレーション装置の提供を課題としている。
また、本発明は、要する手間を削減し得る生物処理方法や生物処理装置の提供を課題としている。
また、本発明は、要する手間を削減し得る生物処理方法や生物処理装置の提供を課題としている。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、従来は、定数として扱われていた細菌による処理対象物質の最大反応速度の値が、生物処理工程において単位数量の細菌に単位時間あたりに負荷される前記処理対象物質の量や単位数量の細菌に単位時間あたりに処理された前記処理対象物質の量によって変化することを見出した。
また、これらと関数関係を有する状態で最大反応速度の値をパラメータに用いることで従来よりも予測精度に優れたシミュレーション結果が得られることを見出し本発明の完成に到ったのである。
また、これらと関数関係を有する状態で最大反応速度の値をパラメータに用いることで従来よりも予測精度に優れたシミュレーション結果が得られることを見出し本発明の完成に到ったのである。
すなわち、本発明に係るシミュレーション方法は、処理対象物質を含有する被処理水を、前記処理対象物質を分解する細菌によって生物学的に処理する生物処理工程後の処理水の水質を予測すべく、前記細菌による前記処理対象物質の最大反応速度の値をパラメータに用いるシミュレーション方法であって、生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に処理された前記処理対象物質の量との間に関数関係を有する状態で前記最大反応速度の値をパラメータに用い、しかも、前記関数は、前記最大反応速度の値をVとし、生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に処理された前記処理対象物質の量をLとしたときに、Lの値の増大とともにVの値を増大させる関数であることを特徴としている。
また、本発明にかかるシミュレーション装置は、処理対象物質を含有する被処理水を、前記処理対象物質を分解する細菌によって生物学的に処理する生物処理工程後の処理水の水質を予測すべく、前記細菌による前記処理対象物質の最大反応速度の値がパラメータに用いられてシミュレーションが実施されるシミュレーション装置であって、生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に処理された前記処理対象物質の量との間に関数関係を有する状態で前記最大反応速度の値がパラメータに用いられており、しかも、前記関数は、前記最大反応速度の値をVとし、生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に処理された前記処理対象物質の量をLとしたときに、Lの値の増大とともにVの値を増大させる関数であることを特徴としている。
また、本発明にかかる生物処理方法は、処理対象物質を含有する被処理水を、前記処理対象物質を分解する細菌によって生物学的に処理する生物処理工程後の処理水の水質を、前記細菌による前記処理対象物質の最大反応速度の値をパラメータに用いたシミュレーションによって予測しつつ前記生物処理工程を実施する生物処理方法であって、生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に処理された前記処理対象物質の量との間に関数関係を有する状態で最大反応速度の値を前記パラメータに用いており、しかも、前記関数が、前記最大反応速度の値をVとし、生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に処理された前記処理対象物質の量をLとしたときに、Lの値の増大とともにVの値を増大させる関数であることを特徴としている。
さらに、本発明にかかる生物処理装置は、処理対象物質を含有する被処理水を、前記処理対象物質を分解する細菌によって生物学的に処理する生物処理工程後の処理水の水質を、前記細菌による前記処理対象物質の最大反応速度の値がパラメータに用いられたシミュレーションによって予測しつつ前記生物処理工程が実施される生物処理装置であって、生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に処理された前記処理対象物質の量との間に関数関係を有する状態で最大反応速度の値が前記パラメータに用いられており、しかも、前記関数が、前記最大反応速度の値をVとし、生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に処理された前記処理対象物質の量をLとしたときに、Lの値の増大とともにVの値を増大させる関数であることを特徴としている。
なお、本明細書における「最大反応速度の値をVとし、生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に負荷される処理対象物質の量または細菌1個あたりに単位時間に処理された前記処理対象物質の量をLとしたときに、Lの値の増大とともにVの値を増大させる関数」とは、横軸にLの値、縦軸にVの値をとってこの関数をグラフ化したときに、全体が右上がりの状態になっていることを意図するものであり、局所的にLの値の増大によってVの値が低下する場合をも含むことを意図するものである。
また、この「生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に負荷される処理対象物質の量」とは、「生物処理工程に外部から導入される処理対象物質の量」ならびに「生物処理工程において他の細菌などによって産生される処理対象物質の量」などを合計した「処理対象物質の量」を意図している。
また、この「生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に処理された処理対象物質の量」とは、「生物処理工程に外部から導入される処理対象物質の量の内で、分解された処理対象物質の量」ならびに「生物処理工程において他の細菌などによって産生される処理対象物質の量の内で、分解された処理対象物の量」などを合計した「分解された処理対象物質の量」を意図している。
この「分解された処理対象物の処理量」は、「生物処理工程に外部から導入される処理対象物質の量」と「生物処理工程において他の細菌などによって産生される処理対象物質の量」との合計から「処理液に残留する処理対象物質の量」を減じることで求めることができる。
この「分解された処理対象物の処理量」は、「生物処理工程に外部から導入される処理対象物質の量」と「生物処理工程において他の細菌などによって産生される処理対象物質の量」との合計から「処理液に残留する処理対象物質の量」を減じることで求めることができる。
なお、本明細書中においては、特別の記載がない限りにおいては、「最大反応速度」との用語は、一個の細菌が単位時間あたりに分解する処理対象物質の最大質量を意図しており、例えば、この「最大反応速度」は、生物処理工程において単位時間あたりの処理対象物質の濃度変化の量:ΔS(fg/m3/h)と、生物処理工程において用いられている単位体積あたりの細菌数:n(copies/m3)とを求めて下記式(4)を計算して求めることができる。
また、単位時間あたりに分解される処理対象物質の濃度変化量については、処理対象物質を含む溶液と処理対象物質を分解する細菌を含む汚泥とを混合した試料を作製して、該試料中の処理対象物質の濃度の経時変化を測定するなどして求めることができる。
また、「生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に負荷される処理対象物質の量」は、例えば、生物処理工程に単位時間あたりに単位体積あたりに外部から導入される処理対象物質の量と生物処理工程において他の細菌などによって単位時間あたりに単位体積あたりに産生される処理対象物質の量との合計量:Q(fg/m3/day)と、生物処理工程において用いられている単位体積あたりの細菌数:n(copies/m3)とを求めて下記式(5)を計算して求めることができる。
また、「生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に処理された処理対象物質の量」も、上記式(5)における“Q(fg/m3/day)”を、生物処理工程に外部から導入される処理対象物質の量と生物処理工程において他の細菌などによって産生される処理対象物質の量との合計から処理液に残留する処理対象物質の量を減じたものに置き換えて上記式(5)における“L(fg/copy/day)”を計算することで求めることができる。
そして、「最大反応速度と生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に負荷される処理対象物質の量または細菌1個あたりに単位時間に処理された前記処理対象物質の量との間の関係を表す関数f(x)がg(x)とh(x)との間を通る関数である」とは、x>0において「h(x)>f(x)>g(x)の関係を満たしている」ことを意図している。
なお、h(x)>f(x)>g(x)の関係については、生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に負荷される処理対象物質の量または細菌1個あたりに単位時間に処理された前記処理対象物質の量(L:fg・copy-1・day-1)が実質上とり得る値の範囲において満足していればよく、例えば、xが無限大となるような場合においてもh(x)>f(x)>g(x)の関係を満たしていることを必要とするものではない。
この生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に負荷される処理対象物質の量または細菌1個あたりに単位時間に処理された前記処理対象物質の量(L)が実質上とり得る値の範囲とは、処理対象物質が主としてアンモニアや硝酸等の窒素化合物で、その他に有機化合物等があまり含有されていない窒素含有排水などを処理するためのアンモニア酸化細菌によるアンモニア酸化の工程においては、通常、100〜4000(fg・copy-1・day-1)である。
また、例えば、亜硝酸酸化細菌による亜硝酸酸化の工程においては、通常、1000〜60000(fg・copy-1・day-1)である。
また、硝酸還元細菌による硝酸還元の工程においては、通常、5〜70(fg・copy-1・day-1)である。
さらに、亜硝酸還元細菌による亜硝酸還元の工程においては、通常、5〜120(fg・copy-1・day-1)である。
また、例えば、亜硝酸酸化細菌による亜硝酸酸化の工程においては、通常、1000〜60000(fg・copy-1・day-1)である。
また、硝酸還元細菌による硝酸還元の工程においては、通常、5〜70(fg・copy-1・day-1)である。
さらに、亜硝酸還元細菌による亜硝酸還元の工程においては、通常、5〜120(fg・copy-1・day-1)である。
また、下水等、アンモニア等の窒素化合物以外に有機化合物も含有されている場合をも含めると、生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に負荷される処理対象物質の量または細菌1個あたりに単位時間に処理された前記処理対象物質の量(L)が実質上とり得る値の範囲は、アンモニア酸化細菌によるアンモニア酸化の工程においては、通常、100〜35000(fg・copy-1・day-1)である。
また、亜硝酸酸化細菌による亜硝酸酸化の工程においては、通常、1000〜12000000(fg・copy-1・day-1)である。
また、硝酸還元細菌による硝酸還元の工程においては、通常、5〜2500(fg・copy-1・day-1)である。
さらに、亜硝酸還元細菌による亜硝酸還元の工程においては、通常、5〜3500(fg・copy-1・day-1)である。
また、亜硝酸酸化細菌による亜硝酸酸化の工程においては、通常、1000〜12000000(fg・copy-1・day-1)である。
また、硝酸還元細菌による硝酸還元の工程においては、通常、5〜2500(fg・copy-1・day-1)である。
さらに、亜硝酸還元細菌による亜硝酸還元の工程においては、通常、5〜3500(fg・copy-1・day-1)である。
なお、細菌1個あたりに単位時間に処理されている処理対象物質の量が、生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に負荷されている処理対象物質の量を超えることは通常の生物処理工程においては発生しない。
そして、硝化、脱窒といった生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に負荷される処理対象物質(窒素成分)の量が、アンモニア酸化細菌によるアンモニア酸化の工程において、100〜35000(fg・copy-1・day-1)である場合、亜硝酸酸化細菌による亜硝酸酸化の工程において、1000〜12000000(fg・copy-1・day-1)である場合、硝酸還元細菌による硝酸還元の工程において、5〜2500(fg・copy-1・day-1)である場合、及び、亜硝酸還元細菌による亜硝酸還元の工程において、5〜3500(fg・copy-1・day-1)である場合には、通常、細菌1個あたりに単位時間に処理された処理対象物質の量に基づいたシミュレーション結果との間に大きな差が発生される可能性は低い。
そして、硝化、脱窒といった生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に負荷される処理対象物質(窒素成分)の量が、アンモニア酸化細菌によるアンモニア酸化の工程において、100〜35000(fg・copy-1・day-1)である場合、亜硝酸酸化細菌による亜硝酸酸化の工程において、1000〜12000000(fg・copy-1・day-1)である場合、硝酸還元細菌による硝酸還元の工程において、5〜2500(fg・copy-1・day-1)である場合、及び、亜硝酸還元細菌による亜硝酸還元の工程において、5〜3500(fg・copy-1・day-1)である場合には、通常、細菌1個あたりに単位時間に処理された処理対象物質の量に基づいたシミュレーション結果との間に大きな差が発生される可能性は低い。
本発明によれば、生物処理工程において単位数量の細菌に単位時間あたりに負荷される前記処理対象物質の量などが変動した場合などにおいても細菌による処理対象物質の最大反応速度をより正確に定義できシミュレーションの予測精度を向上させ得る。
したがって、シミュレーション方法ならびにシミュレーション装置における予測精度の低下を抑制しつつキャリブレーションの手間を削減させ得る。
また、実際の処理水質の確認頻度を低減させることができ、生物処理方法や生物処理装置の運転に要する手間を削減させ得る。
したがって、シミュレーション方法ならびにシミュレーション装置における予測精度の低下を抑制しつつキャリブレーションの手間を削減させ得る。
また、実際の処理水質の確認頻度を低減させることができ、生物処理方法や生物処理装置の運転に要する手間を削減させ得る。
本実施形態の生物学的水処理のシミュレーション方法について、窒素成分を処理対象物質として含有する排水を被処理水として、硝化・脱窒などの生物処理工程を実施する場合を例に説明する。
図1は、本実施形態のシミュレーション方法により各生物処理工程後の処理水の水質を予測しつつ排水の生物学的処理が実施される生物処理装置を示す概略ブロック図である。
図中の符号1は、排水を一連の処理工程に導入するための第一連絡管であり、符号2は、該第一連絡管1により排水(被処理水)が導入される硝化槽を表している。
図中の符号1は、排水を一連の処理工程に導入するための第一連絡管であり、符号2は、該第一連絡管1により排水(被処理水)が導入される硝化槽を表している。
図中の符号3は、硝化槽2から排出される処理液が流通される第二連絡管であり、符号4は、この第二連絡管3を通じて硝化槽2の処理液が被処理水として流入される脱窒槽を表している。
図中の符号5は、脱窒槽4から排出される処理液が流通される第三連絡管であり、符号6は、この第三連絡管5を通じて脱窒槽4の処理液が被処理水として流入される再曝気槽を表している。
図中の符号7は、再曝気槽6から排出される処理液が流通される第四連絡管であり、符号8は、この第四連絡管7を通じて再曝気槽6の処理液が被処理水として流入される沈殿槽を表している。
さらに、図中の符号9は、沈殿槽8から沈殿分離された上澄液が分離液として系外に排出される第五連絡管を表している。
また、ここでは、詳述しないがこの図1に示す生物処理装置には、前記沈殿槽8で沈殿分離された汚泥の一部を系外に余剰汚泥として排出するための連絡管(以下「汚泥引抜き配管」ともいう)ならびに、前記沈殿槽8で沈殿分離された汚泥の一部を硝化槽2に返送するための連絡管(以下「返送汚泥配管」ともいう)とが備えられている。
また、ここでは、詳述しないがこの図1に示す生物処理装置には、前記沈殿槽8で沈殿分離された汚泥の一部を系外に余剰汚泥として排出するための連絡管(以下「汚泥引抜き配管」ともいう)ならびに、前記沈殿槽8で沈殿分離された汚泥の一部を硝化槽2に返送するための連絡管(以下「返送汚泥配管」ともいう)とが備えられている。
前記硝化槽2に第一連絡管1を通じて導入される被処理水(排水)には、通常、アンモニア性窒素が含有されている。
そして、前記硝化槽2には、アンモニア酸化細菌、亜硝酸酸化細菌などを含む活性汚泥が収容されており、前記被処理水の導入によって硝化槽2に導入される処理対象物質であるアンモニア性窒素は、前記活性汚泥と前記被処理水とにより硝化槽2に形成されてなる混合相中において細菌によって分解(酸化)される。
そして、前記硝化槽2には、アンモニア酸化細菌、亜硝酸酸化細菌などを含む活性汚泥が収容されており、前記被処理水の導入によって硝化槽2に導入される処理対象物質であるアンモニア性窒素は、前記活性汚泥と前記被処理水とにより硝化槽2に形成されてなる混合相中において細菌によって分解(酸化)される。
前記アンモニア酸化細菌としては、例えば、ニトロソモナス(Nitrosomonas)、ニトロソコッカス(Nitrosococcus)などが挙げられ、前記亜硝酸酸化細菌としては、例えば、ニトロバクター(Nitrobacter)、ニトロスピラ(Nitrospira)などが挙げられる。
また、酸化能力を発揮する細菌として、被処理水中の有機物質の分解において酸化能力を発揮する細菌が活性汚泥中にさらに含有されていてもよく、このような細菌としては、例えば、バチルス(Bacillus)属細菌、ズーグレア(Zoogloea)属細菌、マイクロコッカス(Micrococcus)属細菌などが挙げられる。
この硝化槽2には、流入される被処理水と活性汚泥とによってこの硝化槽2に形成される混合相について各種測定値が実施される。
この硝化槽2においては、この測定値をパラメータとして脱窒槽4に向けて流下される処理水の水質を予測するシミュレーション装置が設けられている。
このシミュレーション装置には、汚泥に含まれている細菌による硝化反応の最大反応速度の値がパラメータに用いられており、しかも、この最大反応速度の値は、この硝化槽2においてアンモニア酸化細菌に負荷されるアンモニア性窒素の量などと関数関係を有する状態でパラメータに用いられている。
このシミュレーション装置によるシミュレーション方法については、後段において詳述する。
この硝化槽2においては、この測定値をパラメータとして脱窒槽4に向けて流下される処理水の水質を予測するシミュレーション装置が設けられている。
このシミュレーション装置には、汚泥に含まれている細菌による硝化反応の最大反応速度の値がパラメータに用いられており、しかも、この最大反応速度の値は、この硝化槽2においてアンモニア酸化細菌に負荷されるアンモニア性窒素の量などと関数関係を有する状態でパラメータに用いられている。
このシミュレーション装置によるシミュレーション方法については、後段において詳述する。
前記脱窒槽4には、硝酸還元細菌、亜硝酸還元細菌、亜酸化窒素還元細菌等を含む活性汚泥が収容されている。
そして、この脱窒槽4には、前記硝化槽2の処理水(脱窒槽4における被処理水)の導入によって処理対象物質である硝酸性窒素、亜硝酸性窒素、および、亜酸化窒素などが導入される。
この導入された処理対象物質は、前記活性汚泥と前記被処理水とにより脱窒槽4に形成される混合相中において前記細菌によって分解(還元)される。
そして、この細菌によって亜硝酸性窒素や硝酸性窒素などを窒素ガスに還元し、該窒素ガスを大気中に放散することで被処理水から窒素成分が除去される。
そして、この脱窒槽4には、前記硝化槽2の処理水(脱窒槽4における被処理水)の導入によって処理対象物質である硝酸性窒素、亜硝酸性窒素、および、亜酸化窒素などが導入される。
この導入された処理対象物質は、前記活性汚泥と前記被処理水とにより脱窒槽4に形成される混合相中において前記細菌によって分解(還元)される。
そして、この細菌によって亜硝酸性窒素や硝酸性窒素などを窒素ガスに還元し、該窒素ガスを大気中に放散することで被処理水から窒素成分が除去される。
前記脱窒槽4の活性汚泥には、処理対象物質に対して還元能力を発揮する細菌として、例えば、脱窒活性に関与する細菌を含有させることができ、例えば、アルカリジェネス(Alcaligenes)属細菌、アゾアルカス(Azoarcus)属細菌、パラッコッカス(Paracoccus)属細菌、シュードモナス(Pseudomonas)属細菌などが挙げられる。
この脱窒槽4においては、硝化槽2から流入される被処理水と活性汚泥とによって形成される混合相について各種測定が実施される。
そして、この測定値をパラメータとして、再曝気槽6に向けて流下される処理水の水質を予測するシミュレーション装置が設けられている。
このシミュレーション装置には、汚泥に含まれている細菌による脱窒反応の最大反応速度の値がパラメータに用いられており、しかも、この最大反応速度の値は、この脱窒槽4において細菌に負荷される処理対象物質の量と関数関係を有する状態で用いられている。
そして、この測定値をパラメータとして、再曝気槽6に向けて流下される処理水の水質を予測するシミュレーション装置が設けられている。
このシミュレーション装置には、汚泥に含まれている細菌による脱窒反応の最大反応速度の値がパラメータに用いられており、しかも、この最大反応速度の値は、この脱窒槽4において細菌に負荷される処理対象物質の量と関数関係を有する状態で用いられている。
このシミュレーション装置によるシミュレーション方法については、後段において詳述する。
前記再曝気槽6には、脱窒槽4の処理水(脱窒槽4から導入される被処理水)中に残留する有機物を好気条件下において分解除去するための曝気手段(図示せず)が備えられている。
前記沈殿槽8は、前記再曝気槽6から導入される被処理水に含有される活性汚泥などの固形成分を液体成分と沈殿分離するために必要な平均滞留時間を確保すべく、被処理水の流入量に対する十分な容積を有するよう形成されている。
次いで、シミュレーション装置ならびにシミュレーション方法について説明する。
このシミュレーション装置に用いられる水質のシミュレーションモデルとしては、最大反応速度の値と、生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間(例えば、一日)に負荷される処理対象物質の量との関数関係を、IWA(世界水協会)により作成された、ASM1、ASM2、ASM2d、ASM3などに組み込んで改良したものを用いることができる。
なかでも、ASM3は、モデルの拡張が容易であり、ASM3に基づいたシミュレーションモデルを用いることが好ましい。
なかでも、ASM3は、モデルの拡張が容易であり、ASM3に基づいたシミュレーションモデルを用いることが好ましい。
例えば、このASM3に基づいたモデルに対して、最大反応速度の値と生物処理工程において細菌1個あたりに一日に負荷される前記処理対象物質の量との間に所定の関係が保たれるように関数をシミュレーション装置に組み込んでシミュレーションを実施する。
ここで、この最大反応速度の値と生物処理工程において細菌1個あたりに一日に負荷される前記処理対象物質の量との間に設ける関数の定義について説明する。
この関数については、最大反応速度の値と生物処理工程において細菌1個あたりに一日に負荷される前記処理対象物質の量との相関関係を求めるべく複数のデータを採取し、該データ群による回帰分析を実施するなどして定めることができる。
この関数については、最大反応速度の値と生物処理工程において細菌1個あたりに一日に負荷される前記処理対象物質の量との相関関係を求めるべく複数のデータを採取し、該データ群による回帰分析を実施するなどして定めることができる。
この最大反応速度:V(fg/copy/h)については、生物処理工程において単位時間あたりの処理対象物質の濃度変化の量:ΔS(fg/m3/h)と、生物処理工程において用いられている単位体積あたりの細菌数:n(copies/m3)とを求めて下記式(4)
を計算して求めることができる。
なお、細菌数(copy)の単位については、換算係数を用いて、生物量(g−CODCr)の単位に置き換えた状態でシミュレーションに採用することも可能であり、例えば、細菌数:1copy=3.965×10-10mg−CODCr=3.965×10-13g−CODCrなる換算係数で細菌数(copy)を生物量(g−CODCr)の単位に換算して採用することができる。
この生物処理工程において細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量:L(fg/copy/day)については、生物処理工程において単位時間あたりに単位体積あたりに負荷される処理対象物質の量:Q(fg/m3/day)と、生物処理工程において用いられている単位体積あたりの細菌数:n(copies/m3)とを求めて下記式(5)
を計算して求めることができる。
なお、生物処理工程において単位時間あたりに単位体積あたりに負荷される処理対象物質の量(Qの値)については、1日間の実測を必要とするものではなく、例えば、半日の負荷の値を実測してその値を倍にして1日あたりの値に換算することもでき、逆に、2日以上の実測を実施して得られた実測値を測定日数で除して1日あたりの値に換算することもできる。
そして、生物処理工程において細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量:L(fg・copy-1・day-1)の値が変化した場合に最大反応速度の値:V(fg・copy-1・h-1)の値がどのように変化するかを、例えば、数点〜数十点のデータを採取して、該データをもとに分析を実施する。
なお、データ採取の点数は、少なくとも4点以上とするのが好ましい。
なお、データ採取の点数は、少なくとも4点以上とするのが好ましい。
通常、これらのデータは、生物処理工程において細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量をx軸(横軸)とし、最大反応速度の値をy軸(縦軸)とする平面にプロットすると右肩上がりの点群を形成する。
なお、最大反応速度の値については、後段において説明する測定方法によって定めることができる。
なお、最大反応速度の値については、後段において説明する測定方法によって定めることができる。
すなわち、これらの点群は、下記式(2)
におけるy1の値をxの値の増大とともに増大させる関数g(x)と
下記式(3)
におけるy2の値をxの値の増大とともに増大させ、しかも、y2>y1となる関数h(x)との間に、その殆どを存在させることができる。
そして、このg(x)とh(x)との間を通る関数f(x)を適宜設定して、生物処理工程において細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量(L値)との間に下記式(1)
となる関数関係を有する状態で、この最大反応速度の値:V(fg・copy-1・h-1)をパラメータとしてシミュレーション装置に用いることにより処理水の水質の予測精度を従来のシミュレーションに比べて向上させることができ、キャリブレーションの手間を削減させ得る。
したがって、この関数f(x)については、通常、生物処理工程において細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量の値(L)の増大にともなって、最大反応速度の値(V)を増大させる関数となる。
そして、一般的な生物処理においてシミュレーション結果を実際の処理水質により近似させ得る点においてこの関数f(x)としては、下記一般式(6)
(ただし、a、b、cは定数)などで定義される関数から選定することが好ましい。
下記式(3)
そして、このg(x)とh(x)との間を通る関数f(x)を適宜設定して、生物処理工程において細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量(L値)との間に下記式(1)
したがって、この関数f(x)については、通常、生物処理工程において細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量の値(L)の増大にともなって、最大反応速度の値(V)を増大させる関数となる。
そして、一般的な生物処理においてシミュレーション結果を実際の処理水質により近似させ得る点においてこの関数f(x)としては、下記一般式(6)
次いで、硝化、脱窒の各生物処理工程におけるシミュレーション装置ならびにシミュレーション方法について、より詳しく説明する。
(硝化工程)
前記硝化槽2においては、主として、アンモニア性窒素がアンモニア酸化細菌によって亜硝酸性窒素に分解されるアンモニア酸化と、該アンモニア酸化によって形成された亜硝酸性窒素の一部又は全部が亜硝酸酸化細菌によって硝酸性窒素に酸化される亜硝酸酸化との二つの工程が実施されることから、それぞれについてパラメータを設定する。
前記硝化槽2においては、主として、アンモニア性窒素がアンモニア酸化細菌によって亜硝酸性窒素に分解されるアンモニア酸化と、該アンモニア酸化によって形成された亜硝酸性窒素の一部又は全部が亜硝酸酸化細菌によって硝酸性窒素に酸化される亜硝酸酸化との二つの工程が実施されることから、それぞれについてパラメータを設定する。
(アンモニア酸化について)
硝化槽2における、アンモニア性窒素の酸化反応は、例えば、従来のモデルでは、下記式(7)のようにして与えられてきた。
硝化槽2における、アンモニア性窒素の酸化反応は、例えば、従来のモデルでは、下記式(7)のようにして与えられてきた。
μNH4:最大比増殖速度(1/day)
YNH4:増殖収率(g−CODCr/g NH4−N)
SO2:溶存酸素濃度(g O2/m3)
SNH4:溶解性のアンモニア濃度(g NH4−N/m3)
SALK:アルカリ度(mole HCO3/m3)
KO2:溶存酸素飽和係数(g O2/m3)
KNH4:アンモニア飽和係数(g NH4−N/m3)
KALK:アルカリ度飽和係数(mole HCO3/m3)
XNH4:硝化槽内のアンモニア酸化細菌濃度(g−CODCr/m3)
そして、このμNH4、YNH4については定数であることから、単位アンモニア酸化細菌量が一日あたりに分解する処理対象物質の最大質量(最大反応速度)である(μNH4/YNH4)の値は、従来のモデルにおいては定数として与えられてきた。
一方で本実施形態にかかるシミュレーション装置には、上記式(7)のモデルに代えて、下記式(8)を組み込んで用いる。
LAOB:アンモニア酸化細菌1個あたりに一日に負荷されるアンモニア性窒素量(fg NH4−N/copy/day)
SO2:溶存酸素濃度(g O2/m3)
SNH4:溶解性のアンモニア濃度(g NH4−N/m3)
SALK:アルカリ度(mole HCO3/m3)
KO2:溶存酸素飽和係数(g O2/m3)
KNH4:アンモニア飽和係数(g NH4−N/m3)
KALK:アルカリ度飽和係数(mole HCO3/m3)
XAOB:硝化槽内のアンモニア酸化細菌濃度(copies/m3)
なお、細菌数(copy)に代えて、生物量(g−CODCr)をシミュレーションに採用することが可能である点については先に述べたとおりである。
そして、単位アンモニア酸化細菌量が一日あたりに分解する処理対象物質の最大質量(すなわち、最大反応速度(式(7)における(μNH4/YNH4))をアンモニア酸化細菌1個あたりに一日に負荷されるアンモニア性窒素量を変数とする関数(fAOB(LAOB))とすることにより、処理水の水質の予測精度を従来のシミュレーションに比べて向上させることができ、キャリブレーションの手間を削減させ得る。
なお、この式(8)に用いる関数を、変数をx(ただし、x>0)としたときに下記式(9)
におけるyAOB1の値をxの値の増大とともに増大させる関数gAOB(x)と下記式(10)
におけるyAOB2の値をxの値の増大とともに増大させ、しかも、yAOB2>yAOB1となる関数hAOB(x)との間を通る関数とすることによってシミュレーションの予測精度をいっそう向上させ得る。
通常、アンモニアや硝酸等の窒素化合物以外に有機化合物等があまり含有されていない被処理水(処理対象物が主として窒素成分である排水)の生物学的処理に用いられているアンモニア酸化細菌によるアンモニア酸化の反応において、このアンモニア酸化細菌1個あたりに一日に負荷されるアンモニア性窒素量:LAOB(fg NH4−N/copy/day)が100≦LAOB≦4000の範囲では、前記式(9)における関数gAOB(x)を下記式(11)
(ただし、a1=7.0×102、b1=5.5×103、c1=−7.0×10)
とし、前記式(10)における関数hAOB(x)を下記式(12)
(ただし、a2=7.0×102、b2=5.5×103、c2=8.0×10)で与えられる関数とすることでシミュレーションの予測精度をいっそう向上させ得る。
通常、アンモニアや硝酸等の窒素化合物以外に有機化合物等があまり含有されていない被処理水(処理対象物が主として窒素成分である排水)の生物学的処理に用いられているアンモニア酸化細菌によるアンモニア酸化の反応において、このアンモニア酸化細菌1個あたりに一日に負荷されるアンモニア性窒素量:LAOB(fg NH4−N/copy/day)が100≦LAOB≦4000の範囲では、前記式(9)における関数gAOB(x)を下記式(11)
とし、前記式(10)における関数hAOB(x)を下記式(12)
すなわち、例えば、このアンモニア酸化細菌による生物処理工程における最大反応速度を、以下の式(13)
ただし、
VAOB:最大反応速度(fg・copy-1・h-1)
LAOB:アンモニア酸化細菌1個あたりに一日に負荷されるアンモニア性窒素量(fg NH4−N・copy-1・day-1)
により定義付けてシミュレーション装置のパラメータとして用いることができる。
VAOB:最大反応速度(fg・copy-1・h-1)
LAOB:アンモニア酸化細菌1個あたりに一日に負荷されるアンモニア性窒素量(fg NH4−N・copy-1・day-1)
により定義付けてシミュレーション装置のパラメータとして用いることができる。
また、下水なども含めて、一般に窒素成分が処理対象物質として含有されている被処理水の生物学的処理に用いられているアンモニア酸化細菌全般におけるアンモニア酸化反応の予測を行う場合においては、前記式(11)におけるa1、b1、c1の値を、それぞれ、a1=4.0×103、b1=1.0×104、c1=−2.5×103とし、前記式(12)におけるa2、b2、c2の値を、それぞれ、a2=4.0×103、b2=1.0×104、c2=2.5×103とすることで従来のシミュレーションに比べて精度の高い予測値を得ることができる。
したがって、VAOBとLAOBとを関係付ける関数については、アンモニア酸化細菌1個あたりに一日に負荷されるアンモニア性窒素量:LAOB(fg・copy-1・day-1)が1.0×102≦LAOB≦3.5×104において、最大反応速度:VAOB(fg・copy-1・h-1)が{4.0×103・LAOB/(1.0×104+LAOB)−2.5×103}≦VAOB≦{4.0×103・LAOB/(1.0×104+LAOB)+2.5×103}となるように定められることが好ましい。
この好ましい態様によれば、下水なども含めて窒素成分が処理対象物質として含有されている被処理水の生物学的処理全般に当該関数を適応し得る。
この好ましい態様によれば、下水なども含めて窒素成分が処理対象物質として含有されている被処理水の生物学的処理全般に当該関数を適応し得る。
また、窒素成分とともに被処理水に塩化物イオンが含有されている場合には、この塩化物イオン濃度によっても最大反応速度が影響される。
しかも、アンモニア酸化細菌は、塩化物イオン濃度の増大とともにアンモニア酸化反応の最大反応速度を増大させる傾向にあることから被処理水中のアンモニア性窒素のみならず塩化物イオンの量との間にも所定の関数関係を有する状態で最大反応速度の値をパラメータに用いることでシミュレーションの精度をより向上させることができる。
しかも、アンモニア酸化細菌は、塩化物イオン濃度の増大とともにアンモニア酸化反応の最大反応速度を増大させる傾向にあることから被処理水中のアンモニア性窒素のみならず塩化物イオンの量との間にも所定の関数関係を有する状態で最大反応速度の値をパラメータに用いることでシミュレーションの精度をより向上させることができる。
したがって、上記式(8)のモデルに代えて、下記式(14)を組み込んで用いることでシミュレーションの精度をより向上させることができる。
LAOB:アンモニア酸化細菌1個あたりに一日に負荷されるアンモニア性窒素量(fg NH4−N/copy/day)
DCL:硝化工程に流入される被処理水中の塩化物イオン濃度(mg/l)
SO2:溶存酸素濃度(g O2/m3)
SNH4:溶解性のアンモニア濃度(g NH4−N/m3)
SALK:アルカリ度(mole HCO3/m3)
KO2:溶存酸素飽和係数(g O2/m3)
KNH4:アンモニア飽和係数(g NH4−N/m3)
KALK:アルカリ度飽和係数(mole HCO3/m3)
XAOB:硝化槽内のアンモニア酸化細菌濃度(copies/m3)
なお、細菌数(copy)に代えて、生物量(g−CODCr)をシミュレーションに採用することが可能である点については先に述べたとおりである。
そして、一個のアンモニア酸化細菌が一日あたりに分解する処理対象物質の最大質量(すなわち、最大反応速度:VAOB)をアンモニア酸化細菌1個あたりに一日に負荷されるアンモニア性窒素量を変数とする関数(fAOB(LAOB))と塩化物イオン濃度を変数とする関数(kAOB(DCL))との積(VAOB=fAOB(LAOB)・kAOB(DCL))とすることにより、処理水の水質の予測精度を従来のシミュレーションに比べて向上させることができ、キャリブレーションの手間を削減させ得る。
この塩化物イオン濃度を変数とする関数(kAOB(DCL))は、硝化工程に流入される被処理水中の塩化物イオン濃度:DCL(mg/l)がDCL≦4.0×103の範囲において、(1+4.4×10-5・DCL)≦kAOB(DCL)≦(1+1.64×10-4・DCL)となるように定められることが好ましい。
(亜硝酸酸化について)
硝化槽2における、亜硝酸性窒素の酸化反応は、例えば、従来のモデルでは、下記式(15)のようにして与えられてきた。
ただし、
μNO2:最大比増殖速度(1/day)
YNO2:増殖収率(g−CODCr/g NO2−N)
SO2:溶存酸素濃度(g O2/m3)
SNO2:溶解性の亜硝酸濃度(g NO2−N/m3)
SALK:アルカリ度(mole HCO3/m3)
KO2:溶存酸素飽和係数(g O2/m3)
KNO2:亜硝酸飽和係数(g NO2−N/m3)
KALK:アルカリ度飽和係数(mole HCO3/m3)
XNO2:硝化槽内の亜硝酸酸化細菌濃度(g−CODCr/m3)
硝化槽2における、亜硝酸性窒素の酸化反応は、例えば、従来のモデルでは、下記式(15)のようにして与えられてきた。
μNO2:最大比増殖速度(1/day)
YNO2:増殖収率(g−CODCr/g NO2−N)
SO2:溶存酸素濃度(g O2/m3)
SNO2:溶解性の亜硝酸濃度(g NO2−N/m3)
SALK:アルカリ度(mole HCO3/m3)
KO2:溶存酸素飽和係数(g O2/m3)
KNO2:亜硝酸飽和係数(g NO2−N/m3)
KALK:アルカリ度飽和係数(mole HCO3/m3)
XNO2:硝化槽内の亜硝酸酸化細菌濃度(g−CODCr/m3)
そして、このμNO2、YNO2については定数であることから、単位亜硝酸酸化細菌量が一日あたりに分解する処理対象物質の最大質量(最大反応速度)である(μNO2/YNO2)の値は、従来のモデルにおいては定数として与えられてきた。
一方で本実施形態にかかるシミュレーション装置には、上記式(15)のモデルに代えて、下記式(16)を組み込んで用いる。
LNOB:亜硝酸酸化細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素量(g NO2−N/copy/day)
SO2:溶存酸素濃度(g O2/m3)
SNO2:溶解性の亜硝酸濃度(g NO2−N/m3)
SALK:アルカリ度(mole HCO3/m3)
KO2:溶存酸素飽和係数(g O2/m3)
KNO2:亜硝酸飽和係数(g NO2−N/m3)
KALK:アルカリ度飽和係数(mole HCO3/m3)
XNOB:硝化槽内の亜硝酸酸化細菌濃度(copies/m3)
なお、細菌数(copy)に代えて、生物量(g−CODCr)をシミュレーションに採用することが可能である点については先に述べたとおりである。
そして、単位亜硝酸酸化細菌量が一日あたりに分解する処理対象物質の最大質量(すなわち、最大反応速度(式(15)における(μNO2/YNO2))を、亜硝酸酸化細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素量を変数とする関数(fNOB(LNOB))とすることにより、処理水の水質の予測精度を従来のシミュレーションに比べて向上させることができ、キャリブレーションの手間を削減させ得る。
なお、この式(16)に用いる関数を、変数をx(ただし、x>0)としたときに下記式(17)
におけるyNOB1の値をxの値の増大とともに増大させる関数gNOB(x)と下記式(18)
におけるyNOB2の値をxの値の増大とともに増大させ、しかも、yNOB2>yNOB1となる関数hNOB(x)との間を通る関数とすることによってシミュレーションの予測精度をいっそう向上させ得る。
通常、アンモニアや硝酸等の窒素化合物以外に有機化合物等があまり含有されていない被処理水(処理対象物が主として窒素成分である排水)がアンモニア酸化細菌により生物学的処理された後の処理水の亜硝酸酸化に用いられている亜硝酸酸化細菌によって、亜硝酸酸化細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素量:LNOB(fg NO2−N/copy/day)が1000≦LNOB≦60000となる範囲で亜硝酸性窒素の酸化を実施させる場合には、前記式(17)における関数gNOB(x)を下記式(19)
(ただし、a3=2.5×104、b3=9.5×104、c3=−1.7×103)
とし、前記式(18)における関数hNOB(x)を下記式(20)
(ただし、a4=2.5×104、b4=9.5×104、c4=2.2×103)
として、このgNOB(x)とhNOB(x)との間を通って、そして、亜硝酸酸化細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素量を変数とする関数によってこの亜硝酸酸化細菌による亜硝酸性窒素の酸化反応の最大反応速度を定義することにより、シミュレーションの予測精度をいっそう向上させ得る。
通常、アンモニアや硝酸等の窒素化合物以外に有機化合物等があまり含有されていない被処理水(処理対象物が主として窒素成分である排水)がアンモニア酸化細菌により生物学的処理された後の処理水の亜硝酸酸化に用いられている亜硝酸酸化細菌によって、亜硝酸酸化細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素量:LNOB(fg NO2−N/copy/day)が1000≦LNOB≦60000となる範囲で亜硝酸性窒素の酸化を実施させる場合には、前記式(17)における関数gNOB(x)を下記式(19)
とし、前記式(18)における関数hNOB(x)を下記式(20)
として、このgNOB(x)とhNOB(x)との間を通って、そして、亜硝酸酸化細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素量を変数とする関数によってこの亜硝酸酸化細菌による亜硝酸性窒素の酸化反応の最大反応速度を定義することにより、シミュレーションの予測精度をいっそう向上させ得る。
すなわち、例えば、この亜硝酸酸化細菌による生物処理工程における最大反応速度を、以下の式(21)
ただし、
VNOB:最大反応速度(fg・copy-1・h-1)
LNOB:亜硝酸酸化細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素量(fg NO2−N・copy-1・day-1)
により定義付けてシミュレーションのパラメータとして用いることができる。
VNOB:最大反応速度(fg・copy-1・h-1)
LNOB:亜硝酸酸化細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素量(fg NO2−N・copy-1・day-1)
により定義付けてシミュレーションのパラメータとして用いることができる。
また、下水なども含めて、一般に窒素成分が処理対象物質として含有されている被処理水の生物学的処理に用いられている亜硝酸酸化細菌全般における亜硝酸酸化反応の予測を行う場合においては、前記式(19)におけるa3、b3、c3の値を、それぞれ、a3=2.5×105、b3=4.0×105、c3=−1.0×105とし、前記式(20)におけるa4、b4、c4の値を、それぞれ、a4=2.5×105、b4=4.0×105、c4=1.0×105とすることで従来のシミュレーションに比べて精度の高い予測値を得ることができる。
したがって、VNOBとLNOBとを関係付ける関数については、亜硝酸酸化細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素量:LNOB(fg・copy-1・day-1)が1.0×103≦LNOB≦1.2×106となる範囲において、最大反応速度:VNOB(fg・copy-1・h-1)が{2.5×105・LNOB/(4.0×105+LNOB)−1.0×105}≦VNOB≦{2.5×105・LNOB/(4.0×105+LNOB)+1.0×105}となるように定められることが好ましい。
この好ましい態様によれば、下水なども含めて窒素成分が処理対象物質として含有されている被処理水の生物学的処理全般に当該関数を適応し得る。
この好ましい態様によれば、下水なども含めて窒素成分が処理対象物質として含有されている被処理水の生物学的処理全般に当該関数を適応し得る。
また、窒素成分とともに被処理水に塩化物イオンが含有されている場合には、この塩化物イオン濃度によっても最大反応速度が影響される。
しかも、亜硝酸酸化細菌は、塩化物イオン濃度の増大とともに亜硝酸酸化反応の最大反応速度を低下させる傾向にあることから被処理水中の亜硝酸性窒素のみならず塩化物イオンの量との間にも所定の関数関係を有する状態で最大反応速度の値をパラメータに用いることでシミュレーションの精度をより向上させることができる。
しかも、亜硝酸酸化細菌は、塩化物イオン濃度の増大とともに亜硝酸酸化反応の最大反応速度を低下させる傾向にあることから被処理水中の亜硝酸性窒素のみならず塩化物イオンの量との間にも所定の関数関係を有する状態で最大反応速度の値をパラメータに用いることでシミュレーションの精度をより向上させることができる。
したがって、上記式(16)のモデルに代えて、下記式(22)を組み込んで用いることでシミュレーションの精度をより向上させることができる。
LNOB:亜硝酸酸化細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素量(g NO2−N/copy/day)
DCL:硝化工程に流入される被処理水中の塩化物イオン濃度(mg/l)
SO2:溶存酸素濃度(g O2/m3)
SNO2:溶解性の亜硝酸濃度(g NO2−N/m3)
SALK:アルカリ度(mole HCO3/m3)
KO2:溶存酸素飽和係数(g O2/m3)
KNO2:亜硝酸飽和係数(g NO2−N/m3)
KALK:アルカリ度飽和係数(mole HCO3/m3)
XNOB:硝化槽内の亜硝酸酸化細菌濃度(copies/m3)
なお、細菌数(copy)に代えて、生物量(g−CODCr)をシミュレーションに採用することが可能である点については先に述べたとおりである。
そして、一個の亜硝酸酸化細菌が一日あたりに分解する処理対象物質の最大質量(すなわち、最大反応速度:VNOB)を亜硝酸酸化細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素量を変数とする関数(fNOB(LNOB))と塩化物イオン濃度を変数とする関数(kNOB(DCL))との積(VNOB=fNOB(LNOB)・kNOB(DCL))とすることにより、処理水の水質の予測精度を従来のシミュレーションに比べて向上させることができ、キャリブレーションの手間を削減させ得る。
この塩化物イオン濃度を変数とする関数(kNOB(DCL))は、硝化工程に流入される被処理水中の塩化物イオン濃度:DCL(mg/l)がDCL≦4.0×103の範囲において、(1−8.7×10-5・DCL)≦kNOB(DCL)≦(1−4.0×10-5・DCL)となるように定められることが好ましい。
(脱窒工程について)
前記脱窒槽4においては、主として、硝酸性窒素が硝酸還元細菌によって亜硝酸性窒素に還元される亜硝酸還元と、前記硝酸還元細菌によって形成された亜硝酸性窒素が亜硝酸還元細菌によって窒素に還元される亜硝酸還元との二つの工程が実施されることから、それぞれについてパラメータを設定する。
前記脱窒槽4においては、主として、硝酸性窒素が硝酸還元細菌によって亜硝酸性窒素に還元される亜硝酸還元と、前記硝酸還元細菌によって形成された亜硝酸性窒素が亜硝酸還元細菌によって窒素に還元される亜硝酸還元との二つの工程が実施されることから、それぞれについてパラメータを設定する。
(硝酸還元について)
前記脱窒槽4における、硝酸還元細菌による硝酸性窒素の還元反応については、変数をx(ただし、x>0)としたときに下記式(23)
におけるyNARB1の値をxの値の増大とともに増大させる関数gNARB(x)と下記式(3)
におけるyNARB2の値をxの値の増大とともに増大させ、しかも、yNARB2>yNARB1となる関数hNARB(x)との間を通る関数で硝酸還元細菌による硝酸性窒素の還元反応の最大反応速度を定義することにより、シミュレーションの予測精度をいっそう向上させ得る。
通常、アンモニアや硝酸等の窒素化合物以外に有機化合物等があまり含有されていない被処理水(処理対象物が主として窒素成分である排水)がアンモニア酸化細菌及び亜硝酸酸化細菌により生物学的処理(硝化工程)された後の処理水の硝酸還元に用いられている硝酸還元細菌によって、硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される硝酸性窒素量:LNARB(fg NO3−N/copy/day)が、5.0≦LNARB≦70の範囲で硝酸性窒素の還元を実施させる場合には、前記式(23)における関数gNARB(x)を下記式(25)
(ただし、a5=1.0×102、b5=8.5×102 、c5=−2.0)
とし、前記式(24)における関数hNARB(x)を下記式(26)
(ただし、a6=1.0×102、b6=8.5×102、c6=1.8)
として、このgNARB(x)とhNARB(x)との間を通って、そして、硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される硝酸性窒素を変数とする関数によってこの硝酸還元細菌による硝酸性窒素の還元反応の最大反応速度を定義することにより、シミュレーションの予測精度をいっそう向上させ得る。
前記脱窒槽4における、硝酸還元細菌による硝酸性窒素の還元反応については、変数をx(ただし、x>0)としたときに下記式(23)
通常、アンモニアや硝酸等の窒素化合物以外に有機化合物等があまり含有されていない被処理水(処理対象物が主として窒素成分である排水)がアンモニア酸化細菌及び亜硝酸酸化細菌により生物学的処理(硝化工程)された後の処理水の硝酸還元に用いられている硝酸還元細菌によって、硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される硝酸性窒素量:LNARB(fg NO3−N/copy/day)が、5.0≦LNARB≦70の範囲で硝酸性窒素の還元を実施させる場合には、前記式(23)における関数gNARB(x)を下記式(25)
とし、前記式(24)における関数hNARB(x)を下記式(26)
として、このgNARB(x)とhNARB(x)との間を通って、そして、硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される硝酸性窒素を変数とする関数によってこの硝酸還元細菌による硝酸性窒素の還元反応の最大反応速度を定義することにより、シミュレーションの予測精度をいっそう向上させ得る。
すなわち、例えば、この硝酸還元細菌による生物処理工程における最大反応速度を、以下の式(27)
ただし、
VNARB:最大反応速度(fg・copy-1・h-1)
LNARB:硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される硝酸性窒素量(fg NO3−N・copy-1・day-1)
により定義付けてシミュレーションのパラメータとして用いることができる。
VNARB:最大反応速度(fg・copy-1・h-1)
LNARB:硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される硝酸性窒素量(fg NO3−N・copy-1・day-1)
により定義付けてシミュレーションのパラメータとして用いることができる。
また、下水なども含めて、一般に窒素成分が処理対象物質として含有されている被処理水の生物学的処理に用いられている硝酸還元細菌全般における硝酸還元反応の予測を行う場合においては、前記式(25)におけるa5、b5、c5の値を、それぞれ、a5=2.2×102、b5=7.0×102、c5=−1.7×102とし、前記式(26)におけるa6、b6、c6の値を、それぞれ、a6=2.2×102、b6=7.0×102、c6=70とすることで従来のシミュレーションに比べて精度の高い予測値を得ることができる。
したがって、VNARBとLNARBとを関係付ける関数については、硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素量:LNARB(fg・copy-1・day-1)が5.0≦LNARB≦2500となる範囲において、最大反応速度:VNARB(fg・copy-1・h-1)が{2.2×102・LNARB/(7.0×102+LNARB)−1.7×102}≦VNARB≦{2.2×102・LNARB/(7.0×102+LNARB)+70}となるように定められることが好ましい。
この好ましい態様によれば、下水なども含めて窒素成分が処理対象物質として含有されている被処理水の生物学的処理全般に当該関数を適応し得る。
この好ましい態様によれば、下水なども含めて窒素成分が処理対象物質として含有されている被処理水の生物学的処理全般に当該関数を適応し得る。
また、窒素成分とともに被処理水に塩化物イオンが含有されている場合には、この塩化物イオン濃度によっても最大反応速度が影響される。
しかも、硝酸還元細菌は、塩化物イオン濃度の増大とともに硝酸還元反応の最大反応速度を低下させる傾向にあることから被処理水中の硝酸性窒素のみならず塩化物イオンの量との間にも所定の関数関係を有する状態で最大反応速度の値をパラメータに用いることでシミュレーションの精度をより向上させることができる。
しかも、硝酸還元細菌は、塩化物イオン濃度の増大とともに硝酸還元反応の最大反応速度を低下させる傾向にあることから被処理水中の硝酸性窒素のみならず塩化物イオンの量との間にも所定の関数関係を有する状態で最大反応速度の値をパラメータに用いることでシミュレーションの精度をより向上させることができる。
したがって、一個の硝酸還元細菌が一日あたりに分解する処理対象物質の最大質量(すなわち、最大反応速度:VNARB)を、硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素量を変数とする関数(fNARB(LNARB))と塩化物イオン濃度を変数とする関数(kNARB(DCL))との積(VNARB=fNARB(LNARB)・kNARB(DCL))とすることにより、処理水の水質の予測精度を従来のシミュレーションに比べて向上させることができ、キャリブレーションの手間を削減させ得る。
この塩化物イオン濃度を変数とする関数(kNARB(DCL))は、硝化工程に流入される被処理水中の塩化物イオン濃度:DCL(mg/l)がDCL≦4.0×103の範囲において、(1−7.9×10-5・DCL)≦kNARB(DCL)≦(1−1.0×10-5・DCL)となるように定められることが好ましい。
(亜硝酸還元について)
前記脱窒槽4における、亜硝酸還元細菌による亜硝酸性窒素の還元反応については、変数をx(ただし、x>0)としたときに下記式(28)
におけるyNIRB1の値をxの値の増大とともに増大させる関数gNIRB(x)と下記式(29)
におけるyNIRB2の値をxの値の増大とともに増大させ、しかも、yNIRB2>yNIRB1となる関数hNIRB(x)との間を通る関数で亜硝酸還元細菌による亜硝酸性窒素などの還元反応の最大反応速度を定義することにより、シミュレーションの予測精度をいっそう向上させ得る。
通常、アンモニアや硝酸等の窒素化合物以外に有機化合物等があまり含有されていない被処理水(処理対象物が主として窒素成分である排水)がアンモニア酸化細菌及び亜硝酸酸化細菌により生物学的処理(硝化工程)された後の処理水の還元に用いられている亜硝酸還元細菌によって、亜硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素量:LNIRB(fg NO2−N/copy/day)が、5.0≦LNIRB≦120の範囲で亜硝酸性窒素の還元を実施させる場合には、前記式(28)における関数gNIRB(x)を下記式(30)
(ただし、a7=6.0×101、b7=3.5×102 、c7=−7.0)
とし、前記式(29)における関数hNIRB(x)を下記式(31)
(ただし、a8=6.0×101、b8=3.5×102、c8=3.0)
として、このgNIRB(x)とhNIRB(x)との間を通って、そして、亜硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素を変数とする関数によってこの亜硝酸還元細菌による亜硝酸性窒素などの還元反応の最大反応速度を定義することにより、シミュレーションの予測精度をいっそう向上させ得る。
前記脱窒槽4における、亜硝酸還元細菌による亜硝酸性窒素の還元反応については、変数をx(ただし、x>0)としたときに下記式(28)
通常、アンモニアや硝酸等の窒素化合物以外に有機化合物等があまり含有されていない被処理水(処理対象物が主として窒素成分である排水)がアンモニア酸化細菌及び亜硝酸酸化細菌により生物学的処理(硝化工程)された後の処理水の還元に用いられている亜硝酸還元細菌によって、亜硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素量:LNIRB(fg NO2−N/copy/day)が、5.0≦LNIRB≦120の範囲で亜硝酸性窒素の還元を実施させる場合には、前記式(28)における関数gNIRB(x)を下記式(30)
とし、前記式(29)における関数hNIRB(x)を下記式(31)
として、このgNIRB(x)とhNIRB(x)との間を通って、そして、亜硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素を変数とする関数によってこの亜硝酸還元細菌による亜硝酸性窒素などの還元反応の最大反応速度を定義することにより、シミュレーションの予測精度をいっそう向上させ得る。
すなわち、例えば、この亜硝酸還元細菌による生物処理工程における最大反応速度を、以下の式(32)
ただし、
VNIRB:最大反応速度(fg・copy-1・h-1)
LNIRB:亜硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素量(fg NO2−N・copy-1・day-1)
により定義付けてシミュレーションのパラメータとして用いることができる。
VNIRB:最大反応速度(fg・copy-1・h-1)
LNIRB:亜硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素量(fg NO2−N・copy-1・day-1)
により定義付けてシミュレーションのパラメータとして用いることができる。
また、下水なども含めて、一般に窒素成分が処理対象物質として含有されている被処理水の生物学的処理に用いられている硝酸還元細菌全般における硝酸還元反応の予測を行う場合においては、前記式(30)におけるa7、b7、c7の値を、それぞれ、a7=7.0×102、b7=2.5×103、c7=−2.5×102とし、前記式(31)におけるa8、b8、c8の値を、それぞれ、a8=7.0×102、b8=2.5×103、c8=2.5×102とすることで従来のシミュレーションに比べて精度の高い予測値を得ることができる。
したがって、VNIRBとLNIRBとを関係付ける関数については、亜硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素量:LNIRB(fg・copy-1・day-1)が5.0≦LNIRB≦3.5×103となる範囲において、最大反応速度:VNIRB(fg・copy-1・h-1)が{7.0×102・LNIRB/(2.5×103+LNIRB)−2.5×102}≦VNIRB≦{7.0×102・LNIRB/(2.5×103+LNIRB)+2.5×102}となるように定められることが好ましい。
この好ましい態様によれば、下水なども含めて窒素成分が処理対象物質として含有されている被処理水の生物学的処理全般に当該関数を適応し得る。
この好ましい態様によれば、下水なども含めて窒素成分が処理対象物質として含有されている被処理水の生物学的処理全般に当該関数を適応し得る。
また、窒素成分とともに被処理水に塩化物イオンが含有されている場合には、この塩化物イオン濃度によっても最大反応速度が影響される。
しかも、亜硝酸還元細菌は、塩化物イオン濃度の増大とともに亜硝酸還元反応の最大反応速度を低下させる傾向にあることから被処理水中の亜硝酸性窒素のみならず塩化物イオンの量との間にも所定の関数関係を有する状態で最大反応速度の値をパラメータに用いることでシミュレーションの精度をより向上させることができる。
しかも、亜硝酸還元細菌は、塩化物イオン濃度の増大とともに亜硝酸還元反応の最大反応速度を低下させる傾向にあることから被処理水中の亜硝酸性窒素のみならず塩化物イオンの量との間にも所定の関数関係を有する状態で最大反応速度の値をパラメータに用いることでシミュレーションの精度をより向上させることができる。
したがって、一個の亜硝酸還元細菌が一日あたりに分解する処理対象物質の最大質量(すなわち、最大反応速度:VNIRB)を、亜硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素量を変数とする関数(fNIRB(LNIRB))と塩化物イオン濃度を変数とする関数(kNIRB(DCL))との積(VNIRB=fNIRB(LNIRB)・kNIRB(DCL))とすることにより、処理水の水質の予測精度を従来のシミュレーションに比べて向上させることができ、キャリブレーションの手間を削減させ得る。
この塩化物イオン濃度を変数とする関数(kNIRB(DCL))は、硝化工程に流入される被処理水中の塩化物イオン濃度:DCL(mg/l)がDCL≦4.0×103の範囲において、(1−6.0×10-5・DCL)≦kNIRB(DCL)≦(1−5.0×10-6・DCL)となるように定められることが好ましい。
なお、上記に説明したように、主としてアンモニアや硝酸等の窒素化合物が処理対象物質であり、他に有機性化合物を多く含有していない被処理水の生物処理の工程における細菌の反応については、例えば、硝化槽内において処理対象物質がアンモニア性窒素で、細菌がアンモニア酸化細菌である場合においては、前記式(11)に示す関数gAOB(x)と、前記式(12)に示す関数hAOB(x)の間を通る関数、例えば、前記式(13)に示す関数によって最大反応速度を定義することで通常、精度の高いシミュレーションを実施させることができる。
また、処理対象物質が亜硝酸性窒素で、細菌が亜硝酸酸化細菌である場合においては、前記式(19)に示す関数gNOB(x)と、前記式(20)に示す関数hNOB(x)の間を通る関数、例えば、前記式(21)に示す関数によって最大反応速度を定義してシミュレーション装置に組み込むことで、通常、精度の高いシミュレーションを実施させることができる。
また、処理対象物質が亜硝酸性窒素で、細菌が亜硝酸酸化細菌である場合においては、前記式(19)に示す関数gNOB(x)と、前記式(20)に示す関数hNOB(x)の間を通る関数、例えば、前記式(21)に示す関数によって最大反応速度を定義してシミュレーション装置に組み込むことで、通常、精度の高いシミュレーションを実施させることができる。
また、脱窒槽内において処理対象物質が硝酸性窒素で、細菌が硝酸還元細菌である場合においては、前記式(25)に示す関数gNARB(x)と、前記式(26)に示す関数hNARB(x)の間を通る関数、例えば、前記式(27)に示す関数によって最大反応速度を定義することで、通常、精度の高いシミュレーションを実施させることができる。
また、脱窒槽内において処理対象物質が亜硝酸性窒素で、細菌が亜硝酸還元細菌である場合においては、前記式(30)に示す関数gNIRB(x)と、前記式(31)に示す関数hNIRB(x)の間を通る関数、例えば、前記式(32)に示す関数によって最大反応速度を定義することで、通常、精度の高いシミュレーションを実施させることができる。
また、脱窒槽内において処理対象物質が亜硝酸性窒素で、細菌が亜硝酸還元細菌である場合においては、前記式(30)に示す関数gNIRB(x)と、前記式(31)に示す関数hNIRB(x)の間を通る関数、例えば、前記式(32)に示す関数によって最大反応速度を定義することで、通常、精度の高いシミュレーションを実施させることができる。
したがって、生物処理工程に硝化工程を有する場合は、前記式(13)に示す関数および前記式(21)に示す関数によってアンモニア酸化ならびに亜硝酸酸化の最大反応速度を定義してシミュレーション装置に組み込み、生物処理工程にさらに脱窒工程を有する場合は、前記式(13)に示す関数、前記式(21)に示す関数に加え前記式(27)に示す関数と前記式(32)に示す関数によってアンモニア酸化、亜硝酸酸化、硝酸還元及び亜硝酸還元の最大反応速度を定義してシミュレーション装置に組み込むことで、より精度の高いシミュレーションを実施させることができる。
なお、要すれば、下記に示す方法により、最大反応速度と細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量との関係を求めてシミュレーション装置に組み込むようにしてもよい。
また、下記方法により細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量を求めるとともに処理後に残留する処理対象物質の量を求めて、細菌1個あたりに一日に処理された処理対象物質の量を計算し、最大反応速度と細菌1個あたりに一日に処理された処理対象物質の量との関係を示す関数をシミュレーション装置に組み込むようにしてもよい。
なお、要すれば、下記に示す方法により、最大反応速度と細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量との関係を求めてシミュレーション装置に組み込むようにしてもよい。
また、下記方法により細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量を求めるとともに処理後に残留する処理対象物質の量を求めて、細菌1個あたりに一日に処理された処理対象物質の量を計算し、最大反応速度と細菌1個あたりに一日に処理された処理対象物質の量との関係を示す関数をシミュレーション装置に組み込むようにしてもよい。
(最大反応速度)
(アンモニア酸化速度)
硝化槽の活性汚泥(硝化汚泥)中に含まれる細菌によるアンモニア酸化速度の測定(アンモニア酸化速度試験)は、以下のように行なう。
(アンモニア酸化速度)
硝化槽の活性汚泥(硝化汚泥)中に含まれる細菌によるアンモニア酸化速度の測定(アンモニア酸化速度試験)は、以下のように行なう。
500ml容三角フラスコに、希釈水[1lあたりの組成:炭酸水素ナトリウム 240mg、BOD−A液〔JIS K 0102の21の項に従う、緩衝液(pH7.2)〕1ml、BOD−B液(JIS K 0102の21の項に従う、硫酸マグネシウム溶液) 1ml、BOD−C液(JIS K 0102の21の項に従う、塩化カルシウム溶液) 1ml、BOD−D液〔JIS K 0102の21の項に従う、塩化鉄(III)溶液〕1ml、残部 水] 390mlを入れ、1000mg−N/lの塩化アンモニウム水溶液 10mlを添加して、混合物Aを調製する。ついで、500ml容三角フラスコ内の混合物Aを、恒温槽中、30℃に維持し、撹拌しながら、10分間以上曝気し、溶液Aを得る。ここで、溶液AのpHを測定する。
硝化汚泥を500ml採取し、遠心分離器によって固液分離する。得られた産物から、上澄み液を除去し、前記希釈水 50mlに撹拌し、分散させる。得られた産物の全容量を、前記希釈水を用いて、100mlとなるように調整し、硝化汚泥試料を得る。
その後、得られた硝化汚泥試料 100mlを、前記500ml容フラスコに入れ、前記溶液Aと混合する。混合と同時に、5ml容シリンジで、前記混合により得られた試料 5mlをサンプリングし、フィルター(アドヴァンテック社製、商品名:ガラス繊維ろ紙GF−75、孔径:0.3μm)で濾過する。なお、塩化アンモニウムに由来するアンモニア性窒素が消費されるまで(約2時間)、一定時間毎に、サンプリングを行なう。
また、前記硝化汚泥試料と前記溶液Aとの混合直後に、前記サンプリングとは別に、30mlの試料を採取し、JIS K 0102の14の項に従い、汚泥濃度を測定する。
塩化アンモニウムに由来するアンモニア性窒素が消費された後、残りの混合物のpHを測定すると共に、汚泥濃度を測定する。
各サンプリング時点での試料を、イオンクロマトグラフ分析法(JIS K 0102の42.5の項に従う)を行なうことにより、アンモニア性窒素の量を測定する。分析結果より単位時間あたりのアンモニア性窒素の量の変化を算出し、これをアンモニア酸化の最大反応速度とすることができる。
(亜硝酸酸化速度)
一方、硝化汚泥中に含まれる細菌による亜硝酸酸化速度の測定(亜硝酸酸化速度試験)は、以下のように行なう。
一方、硝化汚泥中に含まれる細菌による亜硝酸酸化速度の測定(亜硝酸酸化速度試験)は、以下のように行なう。
500ml容三角フラスコに、前記希釈水 390mlを入れ、1000mg−N/lの亜硝酸ナトリウム水溶液 10mlを添加して、混合物Bを調製する。ついで、500ml容三角フラスコ内の混合物Bを、恒温槽中、30℃に維持し、撹拌しながら、10分間以上曝気し、溶液Bを得る。ここで、溶液BのpHを測定する。
硝化汚泥を500ml採取し、遠心分離器によって固液分離する。得られた産物から、上澄み液を除去し、前記希釈水 50mlに撹拌し、分散させる。得られた産物の全容量を、前記希釈水を用いて、100mlとなるように調整し、硝化汚泥試料を得る。
その後、得られた硝化汚泥試料 100mlを、前記500ml容フラスコに入れ、前記溶液Bと混合する。混合と同時に、5ml容シリンジで、前記混合により得られた試料 5mlをサンプリングし、フィルター(アドヴァンテック社製、商品名:ガラス繊維ろ紙GF−75、孔径:0.3μm)で濾過する。なお、亜硝酸ナトリウムに由来する亜硝酸性窒素が消費されるまで(約2時間)、一定時間毎に、サンプリングを行なう。
また、前記硝化汚泥試料と前記溶液Bとの混合直後に、前記サンプリングとは別に、30mlの試料を採取し、汚泥濃度を測定する。
亜硝酸ナトリウムに由来する亜硝酸性窒素が消費された後、残りの混合物のpHを測定すると共に、汚泥濃度を測定する。
各サンプリング時点での試料を、イオンクロマトグラフ分析法(JIS K 0102の43.1.2の項に従う)を行なうことにより、亜硝酸性窒素の量を測定する。分析結果より単位時間あたりの亜硝酸性窒素の量の変化を算出し、これを亜硝酸酸化の最大反応速度として求めることができる。
(硝酸還元速度)
脱窒槽の活性汚泥(脱窒汚泥)中に含まれる細菌による硝酸還元速度の測定(硝酸還元速度試験)は、以下のように測定する。
500ml容三角フラスコに、前記希釈水380mlを入れ、恒温槽中、30℃に維持し、撹拌しながら、1000mg−N/lの硝酸ナトリウム水溶液 10mlを添加し、ついで、メタノール水溶液〔5000mgメタノール/l〕 10mlを添加して、混合物Cを調製する。その後、前記混合物Cに、散気球により窒素ガスを吹き込み、10分間脱気する。ここで、前記混合物CのpHを測定する。前記500ml容三角フラスコに、シリコン栓をし、撹拌しながら窒素ガスを吹き込み、該500ml容三角フラスコ内の気相中の空気を除く。その後、1l容テドラーバックに窒素ガスを吹き込み、前記500ml容三角フラスコのシリコン栓に設置する。
脱窒槽の活性汚泥(脱窒汚泥)中に含まれる細菌による硝酸還元速度の測定(硝酸還元速度試験)は、以下のように測定する。
500ml容三角フラスコに、前記希釈水380mlを入れ、恒温槽中、30℃に維持し、撹拌しながら、1000mg−N/lの硝酸ナトリウム水溶液 10mlを添加し、ついで、メタノール水溶液〔5000mgメタノール/l〕 10mlを添加して、混合物Cを調製する。その後、前記混合物Cに、散気球により窒素ガスを吹き込み、10分間脱気する。ここで、前記混合物CのpHを測定する。前記500ml容三角フラスコに、シリコン栓をし、撹拌しながら窒素ガスを吹き込み、該500ml容三角フラスコ内の気相中の空気を除く。その後、1l容テドラーバックに窒素ガスを吹き込み、前記500ml容三角フラスコのシリコン栓に設置する。
脱窒汚泥を500ml採取し、遠心分離器によって固液分離する。得られた産物から、上澄み液を除去し、前記希釈水 50mlに撹拌し、分散させる。得られた産物の全容量を、前記希釈水を用いて、100mlとなるように調整し、脱窒汚泥試料を得る。
その後、得られた脱窒汚泥試料 100mlを、前記500ml容フラスコに入れ、前記混合物Cと混合する。混合と同時に、5ml容シリンジで、前記混合により得られた試料 5mlをサンプリングし、フィルター(アドヴァンテック社製、商品名:ガラス繊維ろ紙GF−75、孔径:0.3μm)で濾過する。なお、硝酸ナトリウムに由来する硝酸性窒素が消費されるまで(約2時間)、一定時間毎に、サンプリングを行なう。
また、前記脱窒汚泥試料と前記混合物Cとの混合直後に、前記サンプリングとは別に、30mlの試料を採取し、汚泥濃度を測定する。
硝酸ナトリウムに由来する硝酸性窒素が消費された後、残りの混合物のpHを測定すると共に、汚泥濃度を測定する。
各サンプリング時点での試料を、イオンクロマトグラフ分析法(JIS K 0102の43.2.5の項に従う)を行なうことにより、硝酸性窒素の量を測定する。
分析結果より単位時間あたりの硝酸性窒素の量の変化を算出し、これを硝酸還元反応の最大反応速度として求めることができる。
分析結果より単位時間あたりの硝酸性窒素の量の変化を算出し、これを硝酸還元反応の最大反応速度として求めることができる。
(亜硝酸還元速度)
一方、脱窒槽の活性汚泥(脱窒汚泥)中に含まれる細菌による亜硝酸還元速度の測定(亜硝酸還元速度試験)は、以下のように測定する。
一方、脱窒槽の活性汚泥(脱窒汚泥)中に含まれる細菌による亜硝酸還元速度の測定(亜硝酸還元速度試験)は、以下のように測定する。
500ml容三角フラスコに、前記希釈水380mlを入れ、恒温槽中、30℃に維持し、撹拌しながら、1000mg−N/lの亜硝酸ナトリウム水溶液 10mlを添加し、ついで、メタノール水溶液〔5000mgメタノール/l〕 10mlを添加して、混合物Dを調製する。その後、前記混合物Dに、散気球により窒素ガスを吹き込み、10分間脱気する。ここで、前記混合物DのpHを測定する。前記500ml容三角フラスコに、シリコン栓をし、撹拌しながら窒素ガスを吹き込み、該500ml容三角フラスコ内の気相中の空気を除く。その後、1l容テドラーバックに窒素ガスを吹き込み、前記500ml容三角フラスコのシリコン栓に設置する。
脱窒汚泥を500ml採取し、遠心分離器によって固液分離する。得られた産物から、上澄み液を除去し、前記希釈水 50mlに撹拌し、分散させる。得られた産物の全容量を、前記希釈水を用いて、100mlとなるように調整し、脱窒汚泥試料を得る。
その後、得られた脱窒汚泥試料 100mlを、前記500ml容フラスコに入れ、前記混合物Dと混合する。混合と同時に、5ml容シリンジで、前記混合により得られた試料 5mlをサンプリングし、フィルター(アドヴァンテック社製、商品名:ガラス繊維ろ紙GF−75、孔径:0.3μm)で濾過する。なお、亜硝酸ナトリウムに由来する亜硝酸性窒素が消費されるまで(約2時間)、一定時間毎に、サンプリングを行なう。
また、前記脱窒汚泥試料と前記混合物Dとの混合直後に、前記サンプリングとは別に、30mlの試料を採取し、汚泥濃度を測定する。
亜硝酸ナトリウムに由来する亜硝酸性窒素が消費された後、残りの混合物のpHを測定すると共に、活性汚泥濃度を測定する。
各サンプリング時点での試料を、イオンクロマトグラフ分析法(JIS K 0102の43.1.2の項に従う)を行なうことにより、亜硝酸性窒素の量を測定する。分析結果より単位時間あたりの亜硝酸性窒素の量の変化を算出し、これを亜硝酸還元反応の最大反応速度として求めることができる。
(細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量)
生物処理工程において細菌1個あたりに一日に負荷される前記処理対象物質の量は、生物処理工程に単位時間あたりに単位体積あたりに外部から導入される処理対象物質の量と、生物処理工程において単位時間あたりに単位体積あたりに産生される処理対象物質の量との合計量と、生物処理工程において用いられている単位体積あたりの細菌数とを求めることで計算により求め得る。
この内、生物処理工程に単位時間あたりに単位体積あたりに外部から導入される処理対象物質の量については、例えば、被処理水の流入量と該被処理水中の処理対象物質濃度とを測定して、一日あたりに硝化槽や脱窒槽などへ流入される処理対象物質の量を計算により求めて、硝化槽や脱窒槽などの容積で除して求めることができる。また、生物処理工程において産生される処理対象物質の量は、通常、この処理対象物質の元になる物質が外部から生物処理工程に導入される量と同等とみなすことができ、アンモニア酸化細菌が収容されている硝化槽における亜硝酸性窒素の産生量は、硝化槽に外部から導入されるアンモニア性窒素の量と同等とみなすことができる。さらに、単位体積あたりの細菌数については、硝化槽や脱窒槽などの汚泥を分析して細菌数を求めて硝化槽や脱窒槽などの容積で除して求めることができる。
生物処理工程において細菌1個あたりに一日に負荷される前記処理対象物質の量は、生物処理工程に単位時間あたりに単位体積あたりに外部から導入される処理対象物質の量と、生物処理工程において単位時間あたりに単位体積あたりに産生される処理対象物質の量との合計量と、生物処理工程において用いられている単位体積あたりの細菌数とを求めることで計算により求め得る。
この内、生物処理工程に単位時間あたりに単位体積あたりに外部から導入される処理対象物質の量については、例えば、被処理水の流入量と該被処理水中の処理対象物質濃度とを測定して、一日あたりに硝化槽や脱窒槽などへ流入される処理対象物質の量を計算により求めて、硝化槽や脱窒槽などの容積で除して求めることができる。また、生物処理工程において産生される処理対象物質の量は、通常、この処理対象物質の元になる物質が外部から生物処理工程に導入される量と同等とみなすことができ、アンモニア酸化細菌が収容されている硝化槽における亜硝酸性窒素の産生量は、硝化槽に外部から導入されるアンモニア性窒素の量と同等とみなすことができる。さらに、単位体積あたりの細菌数については、硝化槽や脱窒槽などの汚泥を分析して細菌数を求めて硝化槽や脱窒槽などの容積で除して求めることができる。
この内、被処理水中の処理対象物質濃度については、例えば、処理対象物質がアンモニア性窒素である場合には、JIS K 0102にしたがって、インドフェノール青吸光光度法、中和滴定法、イオン電極法、イオンクロマトグラフ法などにより測定することができる。
また、亜硝酸性窒素については、JIS K 0102にしたがって、吸光光度法、イオンクロマトグラフ法などにより測定することができる。
また、硝酸性窒素については、JIS K 0102にしたがって、還元蒸留−吸光光度法、銅・カドミウムカラム還元−吸光光度法、イオンクロマトグラフ法などにより測定することができる。
さらに、全窒素の測定方法としては、例えば、総和法、ケルダール窒素法、還元蒸留ケルダール法、紫外線吸光光度法などが挙げられる(「下水試験方法」、上巻、1997年版、財団法人 日本下水道協会参照)。
また、亜硝酸性窒素については、JIS K 0102にしたがって、吸光光度法、イオンクロマトグラフ法などにより測定することができる。
また、硝酸性窒素については、JIS K 0102にしたがって、還元蒸留−吸光光度法、銅・カドミウムカラム還元−吸光光度法、イオンクロマトグラフ法などにより測定することができる。
さらに、全窒素の測定方法としては、例えば、総和法、ケルダール窒素法、還元蒸留ケルダール法、紫外線吸光光度法などが挙げられる(「下水試験方法」、上巻、1997年版、財団法人 日本下水道協会参照)。
また、活性汚泥(硝化汚泥または脱窒汚泥)中に含まれる各種細菌の細菌数は、例えば、活性汚泥(硝化汚泥または脱窒汚泥)に含まれる細菌に由来するDNAを抽出して、リアルタイムPCRに代表される各種の核酸検出方法により定量することができる。
活性汚泥(硝化汚泥または脱窒汚泥)に含まれる細菌に由来するDNAの抽出は、土壌からのDNAの抽出に用いられる手法、例えば、活性汚泥中の細菌を物理的手段(ビーズなど)により破砕し、DNAを抽出することなどにより行なわれうる。DNAの単離には、特に限定されないが、例えば、商品名:FastDNA SPIN Kit for Soil〔キュービオジェン(Qbiogene)社製〕、商品名:ISOIL for Beads Beating(株式会社ニッポンジーン製)などが用いられうる。具体的には、例えば、商品名:ISOIL for Beads Beating(株式会社ニッポンジーン製)を用いた場合、以下のように活性汚泥からDNAを単離することができる。
各反応槽から活性汚泥(硝化汚泥または脱窒汚泥)を採取し、2ml容のマイクロ遠心チューブに入れる。また、活性汚泥の固形物濃度(MLSS濃度)が、1500〜2000mg/lである場合、2mlの活性汚泥、2000〜3000mg/lである場合、1.5mlの活性汚泥、3000〜5000mg/lである場合、1mlの活性汚泥、5000〜7000mg/lである場合、0.7mlの活性汚泥、7000〜10000mg/lである場合、0.5mlの活性汚泥を採取する。
その後、前記マイクロ遠心チューブに入れた活性汚泥を、20630×g(1500rpm)、2分間、4℃の遠心分離および20630×g(15000rpm)、30秒間、4℃の遠心分離に供する。ついで、得られた活性汚泥を、予め65℃に加温した450μlのLysis Solution BB〔商品名:ISOIL for Beads Beating(株式会社ニッポンジーン製)に添付〕に懸濁させる。
その後、得られた懸濁物を、Beads Tube〔商品名:ISOIL for Beads Beating(株式会社ニッポンジーン製)に添付〕に移す。また、元のチューブを、予め65℃に加温した450μlのLysis Solution BBで洗浄し、洗浄後に得られた懸濁物を前記Beads Tubeに移す。前記Beads Tube中の懸濁物に、50μlのLysis Solution 20S〔商品名:ISOIL for Beads Beating(株式会社ニッポンジーン製)に添付〕を添加し、混和させる。
その後、得られた混合物を、65℃で15分間維持し、ついで、ビーズ式破砕機〔商品名:Beads Beater(株式会社ニッポンジーン製)〕に供して、3000rpmで、90秒間、Beads Beatingを行なう。その後、得られた産物を、65℃で40分間、穏やかに混合しながら維持し、ついで、12000×g、1分間、20℃で遠心分離し、上清 約660μlを2mlのチューブに回収する。前記上清に、440μlのPurification Solution〔商品名:ISOIL for Beads Beating(株式会社ニッポンジーン製)に添付〕を添加し、混和させる。その後、600μlのクロロホルムを添加し、穏やかに撹拌し、ついで、12000×g、15分間、20℃の遠心分離にて、水層900μlを2mlチューブに回収する。得られた産物に、等量(900μl)のPrecipitation Solution〔商品名:ISOIL for Beads Beating(株式会社ニッポンジーン製)に添付〕を添加し、混合する。得られた産物を遠心分離し、得られた沈殿物を、Wash Solutionで洗浄する。その後、得られた沈殿物に1mlの70容量% エタノールと2μlの商品名:Ethachinmate(株式会社ニッポンジーン製)とを添加して、エタノール沈殿を行ない、DNAの沈殿物を得る。得られたDNAの沈殿物に、200μlのTE緩衝液(組成:10mM Tris−HCl(pH8.0)、0.1mM EDTA)を添加し、該DNAを溶解させ、PCR用DNA試料を得ることができる。
そして、リアルタイムPCRにより、活性汚泥中に含まれる各種細菌の細菌数を定量することができる。
この場合、活性汚泥から抽出した核酸試料と、活性汚泥中に含まれる細菌に適したプライマー対およびプローブとを用いて、定量対象となる細菌の核酸の増幅に適したPCR条件(温度、時間、サイクル)で反応を行なうことにより、活性汚泥中に含まれる各種細菌および細菌数が定量される。前記プライマー対としては、例えば、アンモニア酸化細菌数定量用として、CTO 189fA/B、CTO 189fC、RT1rなど、亜硝酸酸化細菌の一種であるNitrospira数定量用として、NSR1113f、NSR1264rなどが挙げられる。また、前記プローブとしては、アンモニア酸化細菌定量用として、TMP1、亜硝酸酸化細菌の一種であるNitrospira数定量用として、NSR1143Taqなどが挙げられる。
この場合、活性汚泥から抽出した核酸試料と、活性汚泥中に含まれる細菌に適したプライマー対およびプローブとを用いて、定量対象となる細菌の核酸の増幅に適したPCR条件(温度、時間、サイクル)で反応を行なうことにより、活性汚泥中に含まれる各種細菌および細菌数が定量される。前記プライマー対としては、例えば、アンモニア酸化細菌数定量用として、CTO 189fA/B、CTO 189fC、RT1rなど、亜硝酸酸化細菌の一種であるNitrospira数定量用として、NSR1113f、NSR1264rなどが挙げられる。また、前記プローブとしては、アンモニア酸化細菌定量用として、TMP1、亜硝酸酸化細菌の一種であるNitrospira数定量用として、NSR1143Taqなどが挙げられる。
具体的には、例えば、アンモニア酸化細菌、亜硝酸酸化細菌および真正細菌それぞれの細菌数は、アンモニア酸化細菌について、CTO 189fA/B〔GGAGRAAAGCAGGGGATCG(配列番号:1)〕およびCTO 189fC〔GGAGGAAAGTAGGGGATCG(配列番号:2)〕をフォワードプライマー〔例えば、CTO 189fA/B:CTO 189fC=2:1の混合物〕とし、RT1r〔CGTCCTCTCAGACCARCTACTG(配列番号:3)〕をリバースプライマーとするプライマー対と、TMP1〔CAACTAGCTAATCAGRCATCRGCCGCTC(配列番号:4)〕プローブとを有するプライマー/プローブセット;亜硝酸酸化細菌について、NSR1113f〔CCTGCTTTCAGTTGCTACCG(配列番号:5)〕とNSR1264r〔GTTTGCAGCGCTTTGTACCG(配列番号:6)〕とのプライマー対と、NSR1143Taq〔AGCACTCTGAAAGGACTGCCCAGG(配列番号:7)〕のプローブとを有するプライマー/プローブセットを用いたTaqMan法により定量化されうる。
なお、それぞれのプローブとしては、5’末端をFAM(6−carboxyfluorescein)、3’末端をTAMRA(6−carboxytetramethylrhodamine)で標識したものが挙げられる。
また、硝酸還元細菌数の定量用プライマー対として、narH50F、narHr3Bなどが挙げられる。
具体的には、硝酸還元細菌定量用として、narH50F 〔AARTGYATCGGYTGCCA(配列番号:8)〕をフォワードプライマーとし、narHr3B〔TCCCARKCCTTGGGRTAG(配列番号:9)〕をリバースプライマーとするプライマー対としたSYBR Green法などにより定量化されうる。
具体的には、硝酸還元細菌定量用として、narH50F 〔AARTGYATCGGYTGCCA(配列番号:8)〕をフォワードプライマーとし、narHr3B〔TCCCARKCCTTGGGRTAG(配列番号:9)〕をリバースプライマーとするプライマー対としたSYBR Green法などにより定量化されうる。
また、亜硝酸還元細菌数の定量用プライマー対として、nirK876、nirK1040およびcd3aF、R3cdなどが挙げられる。
具体的には、亜硝酸還元細菌定量用として、nirK876 〔ATYGGCGGVAYGGCGA(配列番号:10)〕をフォワードプライマーとし、nirK1040 〔GCCTCGATCAGRTTRTGGTT(配列番号:11)〕をリバースプライマーとするプライマー対、cd3aF 〔GTSAACGTSAAGGARACSGG(配列番号:12)〕をフォワードプライマーとし、R3cd〔GASTTCGGRTGSGTCTTGA(配列番号:13)〕をリバースプライマーとするプライマー対としたSYBR Green法により定量化されうる。
具体的には、亜硝酸還元細菌定量用として、nirK876 〔ATYGGCGGVAYGGCGA(配列番号:10)〕をフォワードプライマーとし、nirK1040 〔GCCTCGATCAGRTTRTGGTT(配列番号:11)〕をリバースプライマーとするプライマー対、cd3aF 〔GTSAACGTSAAGGARACSGG(配列番号:12)〕をフォワードプライマーとし、R3cd〔GASTTCGGRTGSGTCTTGA(配列番号:13)〕をリバースプライマーとするプライマー対としたSYBR Green法により定量化されうる。
前記リアルタイムPCRには、濃度が107、106、105、104、103、または102コピー/5μl/1反応であるサンプルを用いて作成された検量線が用いられる。具体的には、前記検量線は、リアルタイムPCRの対象となる遺伝子に対応する核酸をPCRにより増幅し、その後、プラスミドベクターにクローニングした組み換えプラスミドを用いて作成されたものである。例えば、亜硝酸酸化細菌の場合、NSR1113fとNSR1264rとのプライマー対を用いて、亜硝酸酸化細菌に特異的な16S rRNA遺伝子を増幅させ、得られた産物をプラスミドベクターにクローニングして得られた組み換えプラスミドを検量線作成用のスタンダードとして用いた。前記リアルタイムPCRは、濃度(遺伝子数)が既知のスタンダードサンプルと、試料から精製したDNA(1ng、若しくは、10ng)を鋳型として用いて行なわれる。通常、前記リアルタイムPCRは、16S rRNA遺伝子や水質の浄化に係わる酵素をコードする遺伝子、例えば、アンモニア酸化細菌の16S rRNA遺伝子〔Appl.Environ.Microbiol.、2001年発行、第67巻、第972頁〜第976頁〕、亜硝酸酸化細菌の一種であるニトロスピラの16S rRNA遺伝子〔Environ.Sci.Technol.、2003年発行、第37巻、第343頁〜第351頁〕、硝酸還元細菌のnarH遺伝子〔System.Appl.Microbiol.、2000年発行、第23巻、第47頁〜第57頁〕、亜硝酸還元細菌のnirS(シトクロムcd1タイプの亜硝酸還元酵素)遺伝子〔FEMS Microbiology Ecology 2004年発行、第49巻、第401頁〜第417頁〕、nirK(銅含有タイプの亜硝酸還元酵素)遺伝子〔J.Microbiol.Methods.、2004年発行、第59巻、第327頁〜第335頁〕などをターゲットとして行なわれる。
スタンダードサンプルそれぞれの濃度のCt値(閾値とPCRの増幅曲線が交わる点)を算出し、Ct値と濃度との関係から検量線を作成する。一方、試料DNAについてもCt値を求め、スタンダードサンプルから作成した検量線に当てはめることにより、リアルタイムPCRに使用した試料DNA 1ng若しくは、10ngあたりの前記遺伝子のコピー数を求める。最終的に、例えば、活性汚泥1mlあたりの細菌数は、下記式(33)
から導かれる。
なお、リアルタイムPCRのターゲットとする遺伝子は、細菌の種類により1個の細菌細胞に存在する数が異なるので、上記式(33)から求めた細菌数を遺伝子数で割ることにより、正確な細菌数を算出することができる。
リアルタイムPCR法により得られた細菌数から、下記式(34)
に基づき、細菌(アンモニア酸化細菌、亜硝酸酸化細菌、硝酸還元細菌、亜硝酸還元細菌)の濃度(mg−CODCr/l)を求める。
なお、前記1細菌あたりの乾燥重量には、測定値あるいは文献値〔文献値の例:0.28pg/細胞、Appl.Environ.Microbiol(2002),68,245−253)などの値が用いられる。
また、前記換算係数は、下記式(35)
C5H7O2N+5O2 → 5CO2+2H2O+NH3 ・・・(35)
から、細菌の酸素消費量(5×32)を分子量(113)で割ることにより計算できる。この場合、前記の換算係数は、1.416である。
これを細胞1つあたりに換算すると、1細胞 (1細菌)=0.28pg×1.416mg−CODCr/mg−SS=3.965×10-10mg−CODCr=3.965×10-13g−CODCrとなる。
なお、前記1細菌あたりの乾燥重量には、測定値あるいは文献値〔文献値の例:0.28pg/細胞、Appl.Environ.Microbiol(2002),68,245−253)などの値が用いられる。
また、前記換算係数は、下記式(35)
C5H7O2N+5O2 → 5CO2+2H2O+NH3 ・・・(35)
から、細菌の酸素消費量(5×32)を分子量(113)で割ることにより計算できる。この場合、前記の換算係数は、1.416である。
これを細胞1つあたりに換算すると、1細胞 (1細菌)=0.28pg×1.416mg−CODCr/mg−SS=3.965×10-10mg−CODCr=3.965×10-13g−CODCrとなる。
通常、主としてアンモニアや硝酸等の窒素化合物が処理対象物質であり、他に有機性化合物を多く含有していない被処理水の生物処理の工程における細菌の反応については、前記式(13)、(21)、(27)、(32)に示す関数によって最大反応速度を定義し、パラメータとして用いることにより精度の高いシミュレーションを実施させることができるが、上記に説明した方法によって、より実際の生物処理工程に合致した関数を求めてシミュレーション装置に組み込むことでより精度の高いシミュレーションを実施させることができ、キャリブレーションの手間をよりいっそう削減させることができる。
なお、このシミュレーション装置に組み込まれる設定項目としては、上記に説明した以外に、例えば、被処理水の溶存酸素(mg−O2/l)、溶解性不活性有機物質(mg−CODCr/l)、易分解性有機物質(mg−CODCr/l)、アルカリ度(moleHCO3/l)、浮遊不活性有機物質(mg−CODCr/l)、遅分解性有機物質(mg−CODCr/l)、従属栄養細菌(mg−CODCr/l)、従属栄養細菌の細胞内貯蔵有機物質(mg−CODCr/l)、浮遊物質(mg−SS/l)などが挙げられる。
また、このシミュレーション装置は、適宜設定を変更して、他の生物学的処理におけるシミュレーションを実施させることも可能である。
このようなシミュレーション装置でのシミュレーションを実施しつつ生物処理を実施することにより、予想外に処理対象物質を多く含んだ処理液を次段の処理に流下させてしまって正常な状態への復旧に手間取ったり、あるいは、過剰に時間を掛けて処理を実施してしまったりするなど生物処理に係る手間が必要以上に増大することを抑制させることができ、生物処理方法を効率の良いものとし得る。
したがって、生物処理装置の運転に要する手間も削減させることができ、運転コストの低減なども図ることができる。
したがって、生物処理装置の運転に要する手間も削減させることができ、運転コストの低減なども図ることができる。
なお、このシミュレーション方法やシミュレーション装置、あるいは、これらを用いた生物処理方法ならびに生物処理装置は、硝化、脱窒にかかるもののみならず、処理対象物質が有機ハロゲン化合物であれば、デハロコッコイデス(Dehalococcoides)属細菌などの脱ハロゲン能を持つ細菌を用いた生物処理工程や、処理対象物質が硫酸などの硫黄化合物であれば、硫酸還元菌、例えば、デスルフォトマキュラム(Desulfotomaculum)属細菌、デスルフォバクター(Desulfobacter)属細菌、デスルフォバクテリウム(Desulfobacterium)属細菌、デスルフォヴィクリオ(Desulfovicrio)属細菌などを用いた生物処理工程においても本実施形態において説明した硝化、脱窒における場合と同様の効果を期待できるものである。
(実験例1)
主としてアンモニア及び硝酸が処理対象物質であり、他に有機性化合物を多く含有していない被処理水に対する硝化・脱窒の生物処理工程に用いられている汚泥を対象として最大反応速度の値と、生物処理工程において細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量との相関関係調査を実施した。
主としてアンモニア及び硝酸が処理対象物質であり、他に有機性化合物を多く含有していない被処理水に対する硝化・脱窒の生物処理工程に用いられている汚泥を対象として最大反応速度の値と、生物処理工程において細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量との相関関係調査を実施した。
(アンモニア酸化細菌の反応速度)
アンモニア酸化細菌の反応速度は、以下のようにして測定を実施する。
500ml容三角フラスコに、希釈水[1lあたりの組成:炭酸水素ナトリウム 240mg、BOD−A液〔JIS K 0102の21の項に従う、緩衝液(pH7.2)〕1ml、BOD−B液(JIS K 0102の21の項に従う、硫酸マグネシウム溶液) 1ml、BOD−C液(JIS K 0102の21の項に従う、塩化カルシウム溶液) 1ml、BOD−D液〔JIS K 0102の21の項に従う、塩化鉄(III)溶液〕1ml、残部 水] 390mlを入れ、1000mg−N/lの塩化アンモニウム水溶液 10mlを添加して、混合物Aを調製する。ついで、500ml容三角フラスコ内の混合物Aを、恒温槽中、30℃に維持し、撹拌しながら、10分間以上曝気し、溶液Aを得る。ここで、溶液AのpHを測定する。
アンモニア酸化細菌の反応速度は、以下のようにして測定を実施する。
500ml容三角フラスコに、希釈水[1lあたりの組成:炭酸水素ナトリウム 240mg、BOD−A液〔JIS K 0102の21の項に従う、緩衝液(pH7.2)〕1ml、BOD−B液(JIS K 0102の21の項に従う、硫酸マグネシウム溶液) 1ml、BOD−C液(JIS K 0102の21の項に従う、塩化カルシウム溶液) 1ml、BOD−D液〔JIS K 0102の21の項に従う、塩化鉄(III)溶液〕1ml、残部 水] 390mlを入れ、1000mg−N/lの塩化アンモニウム水溶液 10mlを添加して、混合物Aを調製する。ついで、500ml容三角フラスコ内の混合物Aを、恒温槽中、30℃に維持し、撹拌しながら、10分間以上曝気し、溶液Aを得る。ここで、溶液AのpHを測定する。
硝化汚泥を500ml採取し、遠心分離器によって固液分離する。得られた産物から、上澄み液を除去し、前記希釈水 50mlに撹拌し、分散させる。得られた産物の全容量を、前記希釈水を用いて、100mlとなるように調整し、硝化汚泥試料を得る。
その後、得られた硝化汚泥試料 100mlを、前記500ml容フラスコに入れ、前記溶液Aと混合する。混合と同時に、5ml容シリンジで、前記混合により得られた試料 5mlをサンプリングし、フィルター(アドヴァンテック社製、商品名:ガラス繊維ろ紙GF−75、孔径:0.3μm)で濾過する。なお、塩化アンモニウムに由来するアンモニア性窒素が消費されるまで(約2時間)、一定時間毎に、サンプリングを行なう。
また、前記硝化汚泥試料と前記溶液Aとの混合直後に、前記サンプリングとは別に、30mlの試料を採取し、JIS K 0102の14の項に従い、汚泥濃度を測定する。
塩化アンモニウムに由来するアンモニア性窒素が消費された後、残りの混合物のpHを測定すると共に、汚泥濃度を測定する。
各サンプリング時点での試料を、イオンクロマトグラフ分析法(JIS K 0102の42.5の項に従う)を行なうことにより、アンモニア性窒素の量を測定する。分析結果より単位時間あたりのアンモニア性窒素の量の変化を算出し、この変化量をアンモニア酸化の最大反応速度とする。
上記測定方法により、汚泥濃度の異なる試料を約50点測定し、最大反応速度の値と、生物処理工程においてアンモニア酸化細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量との相関関係を調査した。
得られた結果を、最大反応速度の値を縦軸に、アンモニア酸化細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量を横軸としたグラフにプロットした。
結果を図2に示す。
得られた結果を、最大反応速度の値を縦軸に、アンモニア酸化細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量を横軸としたグラフにプロットした。
結果を図2に示す。
この図2からも、最大反応速度の値が定数ではないこと、ならびに、アンモニア酸化細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量の増大にともなって最大反応速度の値が増大していることがわかる。
さらに、最大反応速度をVAOB(fg・copy-1・h-1)とし、細菌1個あたりに一日に負荷されるアンモニア性窒素量をLAOB(fg NH4−N・copy-1・day-1)とした際に、アンモニア酸化細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量:LAOBが100〜4000(fg NH4−N・copy-1・day-1)の範囲においては、VAOBとLAOBとが下記式(36)
に良く一致する関係にあることがわかる。
さらに、最大反応速度をVAOB(fg・copy-1・h-1)とし、細菌1個あたりに一日に負荷されるアンモニア性窒素量をLAOB(fg NH4−N・copy-1・day-1)とした際に、アンモニア酸化細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量:LAOBが100〜4000(fg NH4−N・copy-1・day-1)の範囲においては、VAOBとLAOBとが下記式(36)
(亜硝酸酸化細菌の反応速度)
亜硝酸酸化細菌の反応速度は、以下のようにして測定を実施する。
500ml容三角フラスコに、前記希釈水 390mlを入れ、1000mg−N/lの亜硝酸ナトリウム水溶液 10mlを添加して、混合物Bを調製する。ついで、500ml容三角フラスコ内の混合物Bを、恒温槽中、30℃に維持し、撹拌しながら、10分間以上曝気し、溶液Bを得る。ここで、溶液BのpHを測定する。
亜硝酸酸化細菌の反応速度は、以下のようにして測定を実施する。
500ml容三角フラスコに、前記希釈水 390mlを入れ、1000mg−N/lの亜硝酸ナトリウム水溶液 10mlを添加して、混合物Bを調製する。ついで、500ml容三角フラスコ内の混合物Bを、恒温槽中、30℃に維持し、撹拌しながら、10分間以上曝気し、溶液Bを得る。ここで、溶液BのpHを測定する。
硝化汚泥を500ml採取し、遠心分離器によって固液分離する。得られた産物から、上澄み液を除去し、前記希釈水 50mlに撹拌し、分散させる。得られた産物の全容量を、前記希釈水を用いて、100mlとなるように調整し、硝化汚泥試料を得る。
その後、得られた硝化汚泥試料 100mlを、前記500ml容フラスコに入れ、前記溶液Bと混合する。混合と同時に、5ml容シリンジで、前記混合により得られた試料 5mlをサンプリングし、フィルター(アドヴァンテック社製、商品名:ガラス繊維ろ紙GF−75、孔径:0.3μm)で濾過する。なお、亜硝酸ナトリウムに由来する亜硝酸性窒素が消費されるまで(約2時間)、一定時間毎に、サンプリングを行なう。
また、前記硝化汚泥試料と前記溶液Bとの混合直後に、前記サンプリングとは別に、30mlの試料を採取し、汚泥濃度を測定する。
亜硝酸ナトリウムに由来する亜硝酸性窒素が消費された後、残りの混合物のpHを測定すると共に、汚泥濃度を測定する。
各サンプリング時点での試料を、イオンクロマトグラフ分析法(JIS K 0102の43.1.2の項に従う)を行なうことにより、亜硝酸性窒素の量を測定する。分析結果より単位時間あたりの亜硝酸性窒素の量の変化を算出し、これを亜硝酸酸化の最大反応速度として求める。
上記測定法により、汚泥濃度の異なる試料を約50点測定し、最大反応速度の値と、生物処理工程において亜硝酸酸化細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質(アンモニア性窒素および亜硝酸性窒素)の量との相関関係を調査した。
得られた結果を、最大反応速度の値を縦軸に、亜硝酸酸化細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量を横軸としたグラフにプロットした。
結果を図3に示す。
得られた結果を、最大反応速度の値を縦軸に、亜硝酸酸化細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量を横軸としたグラフにプロットした。
結果を図3に示す。
この図3からも、最大反応速度の値が定数ではないこと、ならびに、亜硝酸酸化細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量の増大にともなって最大反応速度の値が増大していることがわかる。
さらに、最大反応速度をVNOB(fg・copy-1・h-1)とし、亜硝酸酸化細菌1個あたりに一日に負荷されるアンモニア性窒素と亜硝酸性窒素との合計量をLNOB(fg−N(NH4−N+NO2−N)・copy-1・day-1)とした際に、亜硝酸酸化細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量:LNOBが1000〜60000(fg・copy-1・day-1)の範囲においては、VNOBとLNOBとが下記式(37)
に良く一致する関係にあることがわかる。
ここでLNOBをアンモニア性窒素と亜硝酸性窒素との合計量としたのは、硝化槽内でアンモニア性窒素はアンモニア酸化細菌により亜硝酸性窒素に転換され、亜硝酸性窒素としては、通常、この合計量が負荷されるためである。
ここでLNOBをアンモニア性窒素と亜硝酸性窒素との合計量としたのは、硝化槽内でアンモニア性窒素はアンモニア酸化細菌により亜硝酸性窒素に転換され、亜硝酸性窒素としては、通常、この合計量が負荷されるためである。
(硝酸還元細菌の反応速度)
脱窒汚泥中に含まれる細菌による硝酸還元速度の測定(硝酸還元速度試験)は、以下のようにして実施する。
500ml容三角フラスコに、前記希釈水380mlを入れ、恒温槽中、30℃に維持し、撹拌しながら、1000mg−N/lの硝酸ナトリウム水溶液 10mlを添加し、ついで、メタノール水溶液〔5000mgメタノール/l〕 10mlを添加して、混合物Cを調製する。その後、前記混合物Cに、散気球により窒素ガスを吹き込み、10分間脱気する。ここで、前記混合物CのpHを測定する。前記500ml容三角フラスコに、シリコン栓をし、撹拌しながら窒素ガスを吹き込み、該500ml容三角フラスコ内の気相中の空気を除く。その後、1l容テドラーバックに窒素ガスを吹き込み、前記500ml容三角フラスコのシリコン栓に設置する。
脱窒汚泥中に含まれる細菌による硝酸還元速度の測定(硝酸還元速度試験)は、以下のようにして実施する。
500ml容三角フラスコに、前記希釈水380mlを入れ、恒温槽中、30℃に維持し、撹拌しながら、1000mg−N/lの硝酸ナトリウム水溶液 10mlを添加し、ついで、メタノール水溶液〔5000mgメタノール/l〕 10mlを添加して、混合物Cを調製する。その後、前記混合物Cに、散気球により窒素ガスを吹き込み、10分間脱気する。ここで、前記混合物CのpHを測定する。前記500ml容三角フラスコに、シリコン栓をし、撹拌しながら窒素ガスを吹き込み、該500ml容三角フラスコ内の気相中の空気を除く。その後、1l容テドラーバックに窒素ガスを吹き込み、前記500ml容三角フラスコのシリコン栓に設置する。
脱窒汚泥を500ml採取し、遠心分離器によって固液分離する。得られた産物から、上澄み液を除去し、前記希釈水 50mlに撹拌し、分散させる。得られた産物の全容量を、前記希釈水を用いて、100mlとなるように調整し、脱窒汚泥試料を得る。
その後、得られた脱窒汚泥試料 100mlを、前記500ml容フラスコに入れ、前記混合物Cと混合する。混合と同時に、5ml容シリンジで、前記混合により得られた試料 5mlをサンプリングし、フィルター(アドヴァンテック社製、商品名:ガラス繊維ろ紙GF−75、孔径:0.3μm)で濾過する。なお、硝酸ナトリウムに由来する硝酸性窒素が消費されるまで(約2時間)、一定時間毎に、サンプリングを行なう。
また、前記脱窒汚泥試料と前記混合物Cとの混合直後に、前記サンプリングとは別に、30mlの試料を採取し、汚泥濃度を測定する。
硝酸ナトリウムに由来する硝酸性窒素が消費された後、残りの混合物のpHを測定すると共に、汚泥濃度を測定する。
各サンプリング時点での試料を、イオンクロマトグラフ分析法(JIS K 0102の43.2.5の項に従う)を行なうことにより、硝酸性窒素の量を測定する。
分析結果より単位時間あたりの硝酸性窒素の量の変化を算出し、これを硝酸還元反応の最大反応速度として求めることができる。
分析結果より単位時間あたりの硝酸性窒素の量の変化を算出し、これを硝酸還元反応の最大反応速度として求めることができる。
上記測定方法により、汚泥濃度の異なる試料を約50点測定し、最大反応速度の値と、生物処理工程において硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質量との相関関係を調査した。
得られた結果を、最大反応速度の値を縦軸に、硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される硝酸性窒素の量を横軸としたグラフにプロットした。
結果を図4に示す。
得られた結果を、最大反応速度の値を縦軸に、硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される硝酸性窒素の量を横軸としたグラフにプロットした。
結果を図4に示す。
この図4からも、最大反応速度の値が定数ではないこと、ならびに、硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量の増大にともなって最大反応速度の値が増大していることがわかる。
さらに、最大反応速度をVNARB(fg・copy-1・h-1)とし、硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される全窒素量をLNARB(fgN・copy-1・day-1)とした際に、硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量:LNARBが5〜70(fg・copy-1・day-1)の範囲においては、VNARBとLNARBとが下記式(38)
に良く一致する関係にあることがわかる。
ここで、実施例では流入する被処理水中の全窒素量はアンモニア性窒素量と亜硝酸性窒素量と硝酸性窒素量の合計量にほぼ等しいことと、硝化槽においてほぼ全てのアンモニア性窒素および亜硝酸性窒素が硝酸性窒素に転換されていたことから、硝酸還元細菌1個あたりに負荷される窒素量は被処理水中の全窒素量(T−N)に等しいとして計算を行った。
仮に、全窒素量がアンモニア性窒素量と亜硝酸性窒素量と硝酸性窒素量の合計量に等しくない場合、または、硝化槽内でアンモニア性窒素および亜硝酸性窒素が硝酸性窒素まで完全に硝化されない場合は、脱窒槽に流入する硝酸性窒素量をLNARBとすることが望ましい。
仮に、全窒素量がアンモニア性窒素量と亜硝酸性窒素量と硝酸性窒素量の合計量に等しくない場合、または、硝化槽内でアンモニア性窒素および亜硝酸性窒素が硝酸性窒素まで完全に硝化されない場合は、脱窒槽に流入する硝酸性窒素量をLNARBとすることが望ましい。
(亜硝酸還元細菌の反応速度)
脱窒汚泥中に含まれる細菌による亜硝酸還元速度の測定(亜硝酸還元速度試験)は、以下のように測定する。
脱窒汚泥中に含まれる細菌による亜硝酸還元速度の測定(亜硝酸還元速度試験)は、以下のように測定する。
500ml容三角フラスコに、前記希釈水380mlを入れ、恒温槽中、30℃に維持し、撹拌しながら、1000mg−N/lの亜硝酸ナトリウム水溶液 10mlを添加し、ついで、メタノール水溶液〔5000mgメタノール/l〕 10mlを添加して、混合物Dを調製する。その後、前記混合物Dに、散気球により窒素ガスを吹き込み、10分間脱気する。ここで、前記混合物DのpHを測定する。前記500ml容三角フラスコに、シリコン栓をし、撹拌しながら窒素ガスを吹き込み、該500ml容三角フラスコ内の気相中の空気を除く。その後、1l容テドラーバックに窒素ガスを吹き込み、前記500ml容三角フラスコのシリコン栓に設置する。
脱窒汚泥を500ml採取し、遠心分離器によって固液分離する。得られた産物から、上澄み液を除去し、前記希釈水 50mlに撹拌し、分散させる。得られた産物の全容量を、前記希釈水を用いて、100mlとなるように調整し、脱窒汚泥試料を得る。
その後、得られた脱窒汚泥試料 100mlを、前記500ml容フラスコに入れ、前記混合物Dと混合する。混合と同時に、5ml容シリンジで、前記混合により得られた試料 5mlをサンプリングし、フィルター(アドヴァンテック社製、商品名:ガラス繊維ろ紙GF−75、孔径:0.3μm)で濾過する。なお、亜硝酸ナトリウムに由来する亜硝酸性窒素が消費されるまで(約2時間)、一定時間毎に、サンプリングを行なう。
また、前記脱窒汚泥試料と前記混合物Dとの混合直後に、前記サンプリングとは別に、30mlの試料を採取し、汚泥濃度を測定する。
亜硝酸ナトリウムに由来する亜硝酸性窒素が消費された後、残りの混合物のpHを測定すると共に、活性汚泥濃度を測定する。
各サンプリング時点での試料を、イオンクロマトグラフ分析法(JIS K 0102の43.1.2の項に従う)を行なうことにより、亜硝酸性窒素の量を測定する。分析結果より単位時間あたりの亜硝酸性窒素の量の変化を算出し、これを亜硝酸還元反応の最大反応速度として求める。
上記測定方法により、汚泥濃度の異なる試料を約50点測定し、最大反応速度の値と、生物処理工程において亜硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質量との相関関係を調査した。
得られた結果を、最大反応速度の値を縦軸に、亜硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量を横軸としたグラフにプロットした。
結果を図5に示す。
得られた結果を、最大反応速度の値を縦軸に、亜硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量を横軸としたグラフにプロットした。
結果を図5に示す。
この図5からも、最大反応速度の値が定数ではないこと、ならびに、亜硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量の増大にともなって最大反応速度の値が増大していることがわかる。
さらに、最大反応速度をVNIRB(fg・copy-1・h-1)とし、亜硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される全窒素量をLNIRB(fgN・copy-1・day-1)とした際に、亜硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量:LNIRBが5〜120(fg・copy-1・day-1)の範囲においては、VNIRBとLNIRBとが下記式(39)
に良く一致する関係にあることがわかる。
ここで、実施例では流入する被処理水中の全窒素量はアンモニア性窒素量と亜硝酸性窒素量と硝酸性窒素量の合計量にほぼ等しいことと、硝化槽においてほぼ全てのアンモニア性窒素が硝酸性窒素または亜硝酸性窒素に転換されていたことから、亜硝酸還元細菌1個あたりに負荷される窒素量は被処理水中の全窒素量(T−N)に等しいとしてLNIRBの算出を行った。
仮に、全窒素量がアンモニア性窒素量と亜硝酸性窒素量と硝酸性窒素量の合計量に等しくない場合、または、硝化槽内でアンモニアが完全に硝化されない場合は、脱窒槽に流入する硝酸性窒素と亜硝酸性窒素の合計量をLNIRBとすることが望ましい。
仮に、全窒素量がアンモニア性窒素量と亜硝酸性窒素量と硝酸性窒素量の合計量に等しくない場合、または、硝化槽内でアンモニアが完全に硝化されない場合は、脱窒槽に流入する硝酸性窒素と亜硝酸性窒素の合計量をLNIRBとすることが望ましい。
(実験例2)
前記実験例1よりも、高負荷な状態で、しかも、実設備を模擬させた状態で最大反応速度と細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量との関係を調査した。
前記実験例1よりも、高負荷な状態で、しかも、実設備を模擬させた状態で最大反応速度と細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量との関係を調査した。
(設備)
用いた実験設備の概要を図6に示す。
実験設備は、有効容積35リットルの反応槽と、該反応槽で生物処理させる被処理水(原水)を調整する原水タンク、該原水タンクから被処理水を反応槽に供給するための原水ポンプ、反応槽から処理水を排出するための処理水ポンプ、反応槽中において散気を行うためのエアポンプ(ブロワ)、脱窒工程時に反応槽にメタノールを供給するためのメタノールポンプ、反応槽中の槽内水のpH調整を行うpH調整ポンプ等によって構成されている。
また、この実験設備は、各機器の運転が制御盤によりタイマーや設定値等で制御され、運転記録がデータロガーに記録されるように構成されている。
用いた実験設備の概要を図6に示す。
実験設備は、有効容積35リットルの反応槽と、該反応槽で生物処理させる被処理水(原水)を調整する原水タンク、該原水タンクから被処理水を反応槽に供給するための原水ポンプ、反応槽から処理水を排出するための処理水ポンプ、反応槽中において散気を行うためのエアポンプ(ブロワ)、脱窒工程時に反応槽にメタノールを供給するためのメタノールポンプ、反応槽中の槽内水のpH調整を行うpH調整ポンプ等によって構成されている。
また、この実験設備は、各機器の運転が制御盤によりタイマーや設定値等で制御され、運転記録がデータロガーに記録されるように構成されている。
(生物処理工程の設定)
前記反応槽の運転状態を下記(1)〜(4)のように切り替えることにより硝化工程、脱窒工程、酸化工程、沈殿工程のサイクル運転を行った。
尚、反応槽への原水の投入量は、14リットル/1サイクルとし、56リットル/日とした。
(1)硝化工程(2時間)
・活性汚泥含有液が所定容量入っている反応槽に、原水の投入を開始すると同時に、ブロワによる散気を行い、硝化工程を開始する。
・ブロワは反応槽内に設置した溶存酸素濃度計(DO計)の指示値と連動させ、溶存酸素濃度(DO)が3.0±0.1mg/lの範囲内で運転できるよう自動でON−OFFさせる。
・硝化によるpHの低下を避けるため、反応槽内に設置したpH計と連動させ、pHが7.7以上を維持できるよう、自動で2%苛性ソーダをpH調整ポンプで添加する。
・反応槽の温度センサで水温を測定し、ヒーターで30℃前後を維持できるよう加温する(この反応槽内の温度維持については、脱窒工程、酸化工程も同じ)。
(2)脱窒工程(2時間)
・ブロワによる散気を停止し、反応槽内を撹拌機により混合する。
・それと同時に5%に調整したメタノールをポンプにより注入する。
(3)酸化工程(1時間)
・酸化工程の開始と同時にブロワによる散気を再開し、残留するメタノールを処理する。
・硝化工程と同様にDOを3.0±0.1mg/lでコントロールする。
(4)沈殿工程(1時間)
・酸化工程終了時に、撹拌機、ブロワ、ヒーター、苛性ソーダの添加を停止して反応槽内を静置し、固液分離を行う。
・45分後に処理水排出ポンプを稼働させて、指定水位まで処理水を排出する。
この(1)〜(4)の工程(6時間/1サイクル)を1日4サイクル実施、設定の負荷の窒素含有排水を処理した。
前記反応槽の運転状態を下記(1)〜(4)のように切り替えることにより硝化工程、脱窒工程、酸化工程、沈殿工程のサイクル運転を行った。
尚、反応槽への原水の投入量は、14リットル/1サイクルとし、56リットル/日とした。
(1)硝化工程(2時間)
・活性汚泥含有液が所定容量入っている反応槽に、原水の投入を開始すると同時に、ブロワによる散気を行い、硝化工程を開始する。
・ブロワは反応槽内に設置した溶存酸素濃度計(DO計)の指示値と連動させ、溶存酸素濃度(DO)が3.0±0.1mg/lの範囲内で運転できるよう自動でON−OFFさせる。
・硝化によるpHの低下を避けるため、反応槽内に設置したpH計と連動させ、pHが7.7以上を維持できるよう、自動で2%苛性ソーダをpH調整ポンプで添加する。
・反応槽の温度センサで水温を測定し、ヒーターで30℃前後を維持できるよう加温する(この反応槽内の温度維持については、脱窒工程、酸化工程も同じ)。
(2)脱窒工程(2時間)
・ブロワによる散気を停止し、反応槽内を撹拌機により混合する。
・それと同時に5%に調整したメタノールをポンプにより注入する。
(3)酸化工程(1時間)
・酸化工程の開始と同時にブロワによる散気を再開し、残留するメタノールを処理する。
・硝化工程と同様にDOを3.0±0.1mg/lでコントロールする。
(4)沈殿工程(1時間)
・酸化工程終了時に、撹拌機、ブロワ、ヒーター、苛性ソーダの添加を停止して反応槽内を静置し、固液分離を行う。
・45分後に処理水排出ポンプを稼働させて、指定水位まで処理水を排出する。
この(1)〜(4)の工程(6時間/1サイクル)を1日4サイクル実施、設定の負荷の窒素含有排水を処理した。
(被処理水の調整)
反応槽に供給する被処理水(原水)は以下の試薬を用いて、窒素やリンの組成が火力発電所排水処理設備を模擬した濃度になるよう調整を行い、窒素負荷を変動させつつ反応槽に供給し処理後の処理水に残留する窒素の量を測定した。
(使用試薬)
NH4−N: 30 mg/l(硫酸アンモニウム)
NO3−N: 20 mg/l(硝酸ナトリウム)
PO4−P: 2 mg/l(リン酸二水素ナトリウム)
NaHCO3:360mg/l(炭酸水素ナトリウム)
反応槽に供給する被処理水(原水)は以下の試薬を用いて、窒素やリンの組成が火力発電所排水処理設備を模擬した濃度になるよう調整を行い、窒素負荷を変動させつつ反応槽に供給し処理後の処理水に残留する窒素の量を測定した。
(使用試薬)
NH4−N: 30 mg/l(硫酸アンモニウム)
NO3−N: 20 mg/l(硝酸ナトリウム)
PO4−P: 2 mg/l(リン酸二水素ナトリウム)
NaHCO3:360mg/l(炭酸水素ナトリウム)
なお、窒素負荷の設定を増加する場合は、原水と同様の基質の比率で作成した濃縮基質を作成し、原水投入と並行して濃縮基質を反応槽内に投入した。
濃縮基質の投入量が原水の投入量の1/50以下になるよう基質濃度を調整し、負荷上昇時にも反応槽内の水力学的滞留時間がほとんど変化しないよう配慮した。
この反応槽への負荷の与え方をどのように変化させたかを図7に示す。
反応槽における容積負荷は、0.08g−N/l/dを基準状態とし、一時的にこの基準負荷に対して2倍の負荷、ならびに2.5倍の負荷となるように変動させた。
濃縮基質の投入量が原水の投入量の1/50以下になるよう基質濃度を調整し、負荷上昇時にも反応槽内の水力学的滞留時間がほとんど変化しないよう配慮した。
この反応槽への負荷の与え方をどのように変化させたかを図7に示す。
反応槽における容積負荷は、0.08g−N/l/dを基準状態とし、一時的にこの基準負荷に対して2倍の負荷、ならびに2.5倍の負荷となるように変動させた。
この負荷変動によって、沈殿工程時に排出される処理水中の窒素成分がどのように変化するかを調査した。
結果を、図8に示す。
この図8にも示されているように、処理水に残留する各態窒素(NH4−N、NO2−N、NO3−N)の濃度は運転期間を通して1mg/l以下となっており、反応槽に流入させた窒素のほぼ全量が脱窒処理されていることがわかった。
結果を、図8に示す。
この図8にも示されているように、処理水に残留する各態窒素(NH4−N、NO2−N、NO3−N)の濃度は運転期間を通して1mg/l以下となっており、反応槽に流入させた窒素のほぼ全量が脱窒処理されていることがわかった。
この期間における反応槽内の活性汚泥中の菌数の変化を調査した結果を、図9、図10に示す。
また、槽内水のMLSS濃度の変動状況について調査した結果を図11に示す。
これらの図からもわかるように、それぞれの細菌は運転期間中で約1オーダーの範囲で大きく変動していた。
MLSSの変動幅が2000〜5000mg/lの範囲であったのに比べると、その中に含まれる細菌が大きく変動していたことがわかる。
また、槽内水のMLSS濃度の変動状況について調査した結果を図11に示す。
これらの図からもわかるように、それぞれの細菌は運転期間中で約1オーダーの範囲で大きく変動していた。
MLSSの変動幅が2000〜5000mg/lの範囲であったのに比べると、その中に含まれる細菌が大きく変動していたことがわかる。
この菌数で窒素負荷を除して、細菌1個あたりに一日に負荷される窒素の量:L(fg・copy-1・day-1)と、最大反応速度を:V(fg・copy-1・h-1)とを求めた。
結果を、図12〜図15に示す。図12は、アンモニア酸化細菌について、図13は、亜硝酸酸化細菌について、図14は硝酸還元細菌について、そして、図15は、亜硝酸還元細菌について細菌1個あたりに一日に負荷される窒素の量:L(fg・copy-1・day-1)と、最大反応速度を:V(fg・copy-1・h-1)とを求めた結果を示すものである。
このように、実験例1と同様に、高い負荷においても、細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量の増大にともなって最大反応速度の値が増大していることがわかる。
また、その増大する傾向が下記式(40)
(ただし、a、b、及びcは、それぞれ独立した定数である。)
となる形式の関数に良く一致することがわかる。
したがって、この式(40)に示すような関数を設けてシミュレーションを行うことでその予測精度を向上させ得ることがわかる。
結果を、図12〜図15に示す。図12は、アンモニア酸化細菌について、図13は、亜硝酸酸化細菌について、図14は硝酸還元細菌について、そして、図15は、亜硝酸還元細菌について細菌1個あたりに一日に負荷される窒素の量:L(fg・copy-1・day-1)と、最大反応速度を:V(fg・copy-1・h-1)とを求めた結果を示すものである。
このように、実験例1と同様に、高い負荷においても、細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量の増大にともなって最大反応速度の値が増大していることがわかる。
また、その増大する傾向が下記式(40)
となる形式の関数に良く一致することがわかる。
したがって、この式(40)に示すような関数を設けてシミュレーションを行うことでその予測精度を向上させ得ることがわかる。
また、先の実験例1の結果(図2〜図5)と、この図12〜図15に示す結果と、さらに、有機化合物が含まれた窒素含有排水を処理している排水処理槽から採取した汚泥について同様の実験(実験例3)を行った結果を、図16〜図19に示す。
この図16からも、VAOBとLAOBとを関係付ける関数については、アンモニア酸化細菌1個あたりに一日に負荷されるアンモニア性窒素量:LAOB(fg・copy-1・day-1)が1.0×102≦LAOB≦3.5×104において、最大反応速度:VAOB(fg・copy-1・h-1)が{4.0×103・LAOB/(1.0×104+LAOB)−2.5×103}≦VAOB≦{4.0×103・LAOB/(1.0×104+LAOB)+2.5×103}となるように定められることでシミュレーションの予測精度を向上させ得ることがわかる。
また、下水なども含めて窒素成分が処理対象物質として含有されている被処理水の生物学的処理全般に当該関数を適応し得ることがわかる。
また、下水なども含めて窒素成分が処理対象物質として含有されている被処理水の生物学的処理全般に当該関数を適応し得ることがわかる。
また、図17からは、VNOBとLNOBとを関係付ける関数について、亜硝酸酸化細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素量:LNOB(fg・copy-1・day-1)が1.0×103≦LNOB≦1.2×106となる範囲において、最大反応速度:VNOB(fg・copy-1・h-1)が{2.5×105・LNOB/(4.0×105+LNOB)−1.0×105}≦VNOB≦{2.5×105・LNOB/(4.0×105+LNOB)+1.0×105}となるように定められることでシミュレーションの予測精度を向上させ得ることがわかる。
また、下水なども含めて窒素成分が処理対象物質として含有されている被処理水の生物学的処理全般に当該関数を適応し得ることがわかる。
また、下水なども含めて窒素成分が処理対象物質として含有されている被処理水の生物学的処理全般に当該関数を適応し得ることがわかる。
また、図18からは、VNARBとLNARBとを関係付ける関数について、硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される硝酸性窒素量:LNARB(fg・copy-1・day-1)が5.0≦LNARB≦2500となる範囲において、最大反応速度:VNARB(fg・copy-1・h-1)が{2.2×102・LNARB/(7.0×102+LNARB)−1.7×102}≦VNARB≦{2.2×102・LNARB/(7.0×102+LNARB)+70}となるように定められることでシミュレーションの予測精度を向上させ得ることがわかる。
また、下水なども含めて窒素成分が処理対象物質として含有されている被処理水の生物学的処理全般に当該関数を適応し得ることがわかる。
また、下水なども含めて窒素成分が処理対象物質として含有されている被処理水の生物学的処理全般に当該関数を適応し得ることがわかる。
さらに、図19からは、VNIRBとLNIRBとを関係付ける関数については、亜硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素量:LNIRB(fg・copy-1・day-1)が5.0≦LNIRB≦3.5×103となる範囲において、最大反応速度:VNIRB(fg・copy-1・h-1)が{7.0×102・LNIRB/(2.5×103+LNIRB)−2.5×102}≦VNIRB≦{7.0×102・LNIRB/(2.5×103+LNIRB)+2.5×102}となるように定められることでシミュレーションの予測精度を向上させ得ることがわかる。
また、下水なども含めて窒素成分が処理対象物質として含有されている被処理水の生物学的処理全般に当該関数を適応し得ることがわかる。
また、下水なども含めて窒素成分が処理対象物質として含有されている被処理水の生物学的処理全般に当該関数を適応し得ることがわかる。
すなわち、生物処理工程に硝化工程を有する場合は、下記式(41)
ただし、
VAOB:最大反応速度(fg・copy-1・h-1)
LAOB:アンモニア酸化細菌1個あたりに一日に負荷されるアンモニア性窒素量(fg NH4−N・copy-1・day-1)
に示す関数によってアンモニア酸化の最大反応速度を定義するとともに、下記式(42)
ただし、
VNOB:最大反応速度(fg・copy-1・h-1)
LNOB:亜硝酸酸化細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素量(fg NO2−N・copy-1・day-1)
に示す関数によって亜硝酸酸化の最大反応速度を定義してシミュレーション装置に組み込み、生物処理工程にさらに脱窒工程を有する場合は、前記式(41)に示す関数、前記式(42)に示す関数に加え、下記式(43)
ただし、
VNARB:最大反応速度(fg・copy-1・h-1)
LNARB:硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される硝酸性窒素量(fg NO3−N・copy-1・day-1)
に示す関数によって硝酸還元の最大反応速度を定義し、下記式(44)
ただし、
VNIRB:最大反応速度(fg・copy-1・h-1)
LNIRB:亜硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素量(fg NO2−N・copy-1・day-1)
に示す関数によって亜硝酸還元の最大反応速度を定義してシミュレーション装置に組み込むことで、より精度の高いシミュレーションを実施させることができる。
VAOB:最大反応速度(fg・copy-1・h-1)
LAOB:アンモニア酸化細菌1個あたりに一日に負荷されるアンモニア性窒素量(fg NH4−N・copy-1・day-1)
に示す関数によってアンモニア酸化の最大反応速度を定義するとともに、下記式(42)
VNOB:最大反応速度(fg・copy-1・h-1)
LNOB:亜硝酸酸化細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素量(fg NO2−N・copy-1・day-1)
に示す関数によって亜硝酸酸化の最大反応速度を定義してシミュレーション装置に組み込み、生物処理工程にさらに脱窒工程を有する場合は、前記式(41)に示す関数、前記式(42)に示す関数に加え、下記式(43)
VNARB:最大反応速度(fg・copy-1・h-1)
LNARB:硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される硝酸性窒素量(fg NO3−N・copy-1・day-1)
に示す関数によって硝酸還元の最大反応速度を定義し、下記式(44)
VNIRB:最大反応速度(fg・copy-1・h-1)
LNIRB:亜硝酸還元細菌1個あたりに一日に負荷される亜硝酸性窒素量(fg NO2−N・copy-1・day-1)
に示す関数によって亜硝酸還元の最大反応速度を定義してシミュレーション装置に組み込むことで、より精度の高いシミュレーションを実施させることができる。
これら結果をもとに、従来のIWAのASM3(活性汚泥モデルNo.3)計算プログラムの硝化工程及び脱窒工程に関する最大反応速度に代えて、上記式(41)乃至(44)に示す、細菌1個あたりに一日に負荷される窒素の量によって変化する最大反応速度の関係式を組み込んで、本発明の活性汚泥モデル(新規モデル)の実証を行った。
この新規モデルに基づくASM計算用のPeterson’sマトリクスを表1(表は、一部のみ)に示す。
このマトリクスは、図20の比較表に示すとおり最大反応速度が一定の従来モデルと相違している。
これら新規モデル及び従来モデル(ASM3)を用いて、窒素負荷を基準負荷から2.5倍に増加させた、直後と、負荷上昇後の処理量の履歴の影響を十分受けていると考えられる48時間後の処理水の水質についてシミュレートし、実測データとの比較を行った。
結果を、図21(負荷増加直後)、図22(負荷増加後48時間)に示す。
図中のプロットは、実験の分析値、実線は細菌1個あたりに一日に負荷される窒素の量によって変化する最大反応速度の関係式を組み込んだシミュレータ(新規モデル)により計算した結果、破線は従来のASM3にて計算した結果をそれぞれ示す。
実験の水質分析値は、負荷上昇直後は硝化工程でアンモニアが消費されるのに約120分、脱窒工程で硝酸が処理されるのにも120分要していたが、負荷上昇後48時間が経過すると、アンモニアの消費には約80分、硝酸の消費は約60分で終了しており、処理速度の向上が確認された。
亜硝酸の生成は硝化脱窒を含めほとんど認められなかった。
新規モデルのシミュレータによる計算結果は、負荷上昇直後および負荷上昇後48時間の計算結果を良好に再現できており、また、水質予測精度は、目標値である分析値±20%を達成した。
一方、従来のASM3の計算結果は、硝化工程は48時間の間の硝化菌の増殖により処理速度の向上を再現できているが、脱窒工程は従属栄養微生物の増殖のみでは処理速度の向上が再現できておらず、活性の変化を再現できていないものと考えられた。
以上のように、本発明によればシミュレーションの予測精度を向上させ得ることがわかる。
これら新規モデル及び従来モデル(ASM3)を用いて、窒素負荷を基準負荷から2.5倍に増加させた、直後と、負荷上昇後の処理量の履歴の影響を十分受けていると考えられる48時間後の処理水の水質についてシミュレートし、実測データとの比較を行った。
結果を、図21(負荷増加直後)、図22(負荷増加後48時間)に示す。
図中のプロットは、実験の分析値、実線は細菌1個あたりに一日に負荷される窒素の量によって変化する最大反応速度の関係式を組み込んだシミュレータ(新規モデル)により計算した結果、破線は従来のASM3にて計算した結果をそれぞれ示す。
実験の水質分析値は、負荷上昇直後は硝化工程でアンモニアが消費されるのに約120分、脱窒工程で硝酸が処理されるのにも120分要していたが、負荷上昇後48時間が経過すると、アンモニアの消費には約80分、硝酸の消費は約60分で終了しており、処理速度の向上が確認された。
亜硝酸の生成は硝化脱窒を含めほとんど認められなかった。
新規モデルのシミュレータによる計算結果は、負荷上昇直後および負荷上昇後48時間の計算結果を良好に再現できており、また、水質予測精度は、目標値である分析値±20%を達成した。
一方、従来のASM3の計算結果は、硝化工程は48時間の間の硝化菌の増殖により処理速度の向上を再現できているが、脱窒工程は従属栄養微生物の増殖のみでは処理速度の向上が再現できておらず、活性の変化を再現できていないものと考えられた。
以上のように、本発明によればシミュレーションの予測精度を向上させ得ることがわかる。
(実験例4)
(細菌1個あたりに一日に処理された処理対象物質量適用事例)
実験例1乃至3において採取されたデータを基にして、“細菌1個あたりに一日に処理された処理対象物質(窒素)の量”を計算して求め、図16〜図19と同様にグラフ化した結果を、図23〜図26に示す。
なお、実験例1〜3のように、“細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質(窒素)の量”をファクターとして利用すれば、処理水質の予測計算を行う場合に、生物処理の結果を反映させる必要がないため計算速度を早めることが出来る。
一方で、この実験例4のように“細菌1個あたりに一日に処理された処理対象物質(窒素)の量”をファクターとして利用する場合には、生物処理後の処理水の水質を測定し、その測定に基づいて“細菌1個あたりに一日に処理された処理対象物質(窒素)の量”を算出して、結果を最大反応速度に反映させるべくフィードバックさせる必要があることから結果の予測に手間を要することとなる。
しかし、負荷と処理量とにおいて差が生じやすい(処理水に処理対象物質を残留させやすい)場合などにおいては、“細菌1個あたりに一日に処理された処理対象物質の量”をファクターとして利用する方が、精度の高いシミュレーション結果を得られやすいという利点がある。
なお、通常の生物処理工程においては、図8や、図16〜図19と図23〜図26との対比に示されているように、細菌1個あたりの一日の負荷と処理量とには大きな差がないため、計算速度を向上させる点において“細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量”をファクターとして利用することが好適である。
(細菌1個あたりに一日に処理された処理対象物質量適用事例)
実験例1乃至3において採取されたデータを基にして、“細菌1個あたりに一日に処理された処理対象物質(窒素)の量”を計算して求め、図16〜図19と同様にグラフ化した結果を、図23〜図26に示す。
なお、実験例1〜3のように、“細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質(窒素)の量”をファクターとして利用すれば、処理水質の予測計算を行う場合に、生物処理の結果を反映させる必要がないため計算速度を早めることが出来る。
一方で、この実験例4のように“細菌1個あたりに一日に処理された処理対象物質(窒素)の量”をファクターとして利用する場合には、生物処理後の処理水の水質を測定し、その測定に基づいて“細菌1個あたりに一日に処理された処理対象物質(窒素)の量”を算出して、結果を最大反応速度に反映させるべくフィードバックさせる必要があることから結果の予測に手間を要することとなる。
しかし、負荷と処理量とにおいて差が生じやすい(処理水に処理対象物質を残留させやすい)場合などにおいては、“細菌1個あたりに一日に処理された処理対象物質の量”をファクターとして利用する方が、精度の高いシミュレーション結果を得られやすいという利点がある。
なお、通常の生物処理工程においては、図8や、図16〜図19と図23〜図26との対比に示されているように、細菌1個あたりの一日の負荷と処理量とには大きな差がないため、計算速度を向上させる点において“細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量”をファクターとして利用することが好適である。
(実験例5)
(塩化物イオンの影響調査)
実験例1にて作製した溶液A、B、C、Dにそれぞれ、2000mg/l、4000mg/lの濃度となるように塩化物イオン濃度を加えた以外は、実験例1の最大反応速度の測定と同様に最大反応速度を測定した。
そして、塩化物イオンの影響がない状態での最大反応速度の値をそれぞれ、VAOB0、VNOB0、VNARB0、VNIRB0とし、これらを100とした場合の最大反応速度の値(VAOB、VNOB、VNARB0、VNIRB)を塩化物イオン2000mg/l及び4000mg/l加えた場合について求めた。
結果をそれぞれ、図27〜図30に示す。
(塩化物イオンの影響調査)
実験例1にて作製した溶液A、B、C、Dにそれぞれ、2000mg/l、4000mg/lの濃度となるように塩化物イオン濃度を加えた以外は、実験例1の最大反応速度の測定と同様に最大反応速度を測定した。
そして、塩化物イオンの影響がない状態での最大反応速度の値をそれぞれ、VAOB0、VNOB0、VNARB0、VNIRB0とし、これらを100とした場合の最大反応速度の値(VAOB、VNOB、VNARB0、VNIRB)を塩化物イオン2000mg/l及び4000mg/l加えた場合について求めた。
結果をそれぞれ、図27〜図30に示す。
この図27からも、アンモニア酸化細菌によるアンモニア酸化反応においては、(1+4.4×10-5・DCL)≦kAOB(DCL)≦(1+1.64×10-4・DCL)となる関数:kAOB(DCL)(ただし、「DCL」は塩化物イオン濃度(mg/l)を表す)を設定して、最大反応速度:VAOBと、細菌1個あたりに単位時間に負荷されるアンモニア性窒素の量:LAOBとのあいだに、VAOB=fAOB(LAOB)・kAOB(DCL)の関数を設定することにより、処理水の水質の予測精度を従来のシミュレーションに比べて向上させうることがわかる。
また、図28からは、亜硝酸酸化細菌による亜硝酸酸化反応においては、(1−8.7×10-5・DCL)≦kNOB(DCL)≦(1−4.0×10-5・DCL)となる関数:kNOB(DCL)(ただし、「DCL」は塩化物イオン濃度(mg/l)を表す)を設定して、最大反応速度:VNOBと、細菌1個あたりに単位時間に負荷される亜硝酸性窒素の量:LNOBとのあいだに、VNOB=fNOB(LNOB)・kNOB(DCL)の関数を設定することにより、処理水の水質の予測精度を従来のシミュレーションに比べて向上させうることがわかる。
また、図29からは、硝酸還元細菌による硝酸還元反応においては、(1−7.9×10-5・DCL)≦kNARB(DCL)≦(1−1.0×10-5・DCL)となる関数:kNARB(DCL)(ただし、「DCL」は塩化物イオン濃度(mg/l)を表す)を設定して、最大反応速度:VNARBと、細菌1個あたりに単位時間に負荷される硝酸性窒素の量:LNARBとのあいだに、VNARB=fNARB(LNARB)・kNARB(DCL)の関数を設定することにより、処理水の水質の予測精度を従来のシミュレーションに比べて向上させうることがわかる。
さらに、図30からは、亜硝酸還元細菌による亜硝酸還元反応においては、(1−6.0×10-5・DCL)≦kNIRB(DCL)≦(1−5.0×10-6・DCL)となる関数:kNIRB(DCL)(ただし、「DCL」は塩化物イオン濃度(mg/l)を表す)を設定して、最大反応速度:VNIRBと、細菌1個あたりに単位時間に負荷される亜硝酸性窒素の量:LNIRBとのあいだに、VNIRB=fNIRB(LNIRB)・kNIRB(DCL)の関数を設定することにより、処理水の水質の予測精度を従来のシミュレーションに比べて向上させうることがわかる。
なお、この図27から図30に示された実験例5の結果については、実験例1のように“細菌1個あたりに一日に負荷される処理対象物質の量”をファクターとして利用する場合のみならず、実験例4のように“細菌1個あたりに一日に処理された処理対象物質の量”をファクターとして利用する場合にも同様に反映させうるものである。
すなわち、アンモニア酸化細菌1個あたりに単位時間に処理されるアンモニア性窒素の量を“LAOB”、亜硝酸酸化細菌1個あたりに単位時間に処理される亜硝酸性窒素の量を“LNOB”、硝酸還元細菌1個あたりに単位時間に処理される硝酸性窒素の量を“LNARB”、及び亜硝酸還元細菌1個あたりに単位時間に処理される亜硝酸性窒素の量を“LNIRB”としたときにおいても、(1+4.4×10-5・DCL)≦kAOB(DCL)≦(1+1.64×10-4・DCL)となる関数:kAOB(DCL)、(1−8.7×10-5・DCL)≦kNOB(DCL)≦(1−4.0×10-5・DCL)となる関数:kNOB(DCL)、(1−7.9×10-5・DCL)≦kNARB(DCL)≦(1−1.0×10-5・DCL)となる関数:kNARB(DCL)、及び(1−6.0×10-5・DCL)≦kNIRB(DCL)≦(1−5.0×10-6・DCL)となる関数:kNIRB(DCL)(ただし、「DCL」は塩化物イオン濃度(mg/l)を表す)を設定して、最大反応速度:VAOB、VNOB、VNARB、及びVNIRBとの間に、VAOB=fAOB(LAOB)・kAOB(DCL)、VNOB=fNOB(LNOB)・kNOB(DCL)、VNARB=fNARB(LNARB)・kNARB(DCL)、及びVNIRB=fNIRB(LNIRB)・kNIRB(DCL)の関数を設定することにより、処理水の水質の予測精度を従来のシミュレーションに比べて向上させうる。
すなわち、アンモニア酸化細菌1個あたりに単位時間に処理されるアンモニア性窒素の量を“LAOB”、亜硝酸酸化細菌1個あたりに単位時間に処理される亜硝酸性窒素の量を“LNOB”、硝酸還元細菌1個あたりに単位時間に処理される硝酸性窒素の量を“LNARB”、及び亜硝酸還元細菌1個あたりに単位時間に処理される亜硝酸性窒素の量を“LNIRB”としたときにおいても、(1+4.4×10-5・DCL)≦kAOB(DCL)≦(1+1.64×10-4・DCL)となる関数:kAOB(DCL)、(1−8.7×10-5・DCL)≦kNOB(DCL)≦(1−4.0×10-5・DCL)となる関数:kNOB(DCL)、(1−7.9×10-5・DCL)≦kNARB(DCL)≦(1−1.0×10-5・DCL)となる関数:kNARB(DCL)、及び(1−6.0×10-5・DCL)≦kNIRB(DCL)≦(1−5.0×10-6・DCL)となる関数:kNIRB(DCL)(ただし、「DCL」は塩化物イオン濃度(mg/l)を表す)を設定して、最大反応速度:VAOB、VNOB、VNARB、及びVNIRBとの間に、VAOB=fAOB(LAOB)・kAOB(DCL)、VNOB=fNOB(LNOB)・kNOB(DCL)、VNARB=fNARB(LNARB)・kNARB(DCL)、及びVNIRB=fNIRB(LNIRB)・kNIRB(DCL)の関数を設定することにより、処理水の水質の予測精度を従来のシミュレーションに比べて向上させうる。
以上のように、本発明によれば予測精度の低下を抑制しつつキャリブレーションの手間を削減させ得るシミュレーション方法などを実施させうることがわかる。
2:硝化槽、4:脱窒槽、6:再曝気槽、8:沈殿槽
Claims (10)
- 処理対象物質を含有する被処理水を、前記処理対象物質を分解する細菌によって生物学的に処理する生物処理工程後の処理水の水質を予測すべく、前記細菌による前記処理対象物質の最大反応速度の値をパラメータに用いるシミュレーション方法であって、
生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に処理された前記処理対象物質の量との間に関数関係を有する状態で前記最大反応速度の値をパラメータに用い、しかも、前記関数は、前記最大反応速度の値をVとし、生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に処理された前記処理対象物質の量をLとしたときに、Lの値の増大とともにVの値を増大させる関数であることを特徴とするシミュレーション方法。 - 前記処理対象物質が窒素成分であり、前記生物処理工程が硝化工程又は脱窒工程のいずれかである請求項1記載のシミュレーション方法。
- 前記窒素成分がアンモニア性窒素であり、前記硝化工程におけるアンモニア酸化細菌の酸化反応の最大反応速度をVAOB(fg・copy-1・h-1)、硝化工程においてアンモニア酸化細菌1個あたりに単位時間に処理された前記アンモニア性窒素の量をLAOB(fg・copy-1・day-1)としたときに、下記式(4)
〔ただし、fAOBは、1.0×102≦LAOB≦3.5×104において、{4.0×103・LAOB/(1.0×104+LAOB)−2.5×103}≦VAOB≦{4.0×103・LAOB/(1.0×104+LAOB)+2.5×103}となるように定められる関数である。〕
となる関数fAOBでVAOBとLAOBとを関係付けてパラメータに用いる請求項2記載のシミュレーション方法。 - 前記窒素成分が亜硝酸性窒素であり、前記硝化工程における亜硝酸酸化細菌の酸化反応の最大反応速度をVNOB(fg・copy-1・h-1)、硝化工程において亜硝酸酸化細菌1個あたりに単位時間に処理された前記亜硝酸性窒素の量をLNOB(fg・copy-1・day-1)としたときに、下記式(5)
〔ただし、fNOBは、1.0×103≦LNOB≦1.2×106において、{2.5×105・LNOB/(4.0×105+LNOB)−1.0×105}≦VNOB≦{2.5×105・LNOB/(4.0×105+LNOB)+1.0×105}となるように定められる関数である。〕
となる関数fNOBでVNOBとLNOBとを関係付けてパラメータに用いる請求項2記載のシミュレーション方法。 - 前記窒素成分が硝酸性窒素であり、前記脱窒工程における硝酸還元細菌の還元反応の最大反応速度をVNARB(fg・copy-1・h-1)、脱窒工程において硝酸還元細菌1個あたりに単位時間に処理された前記硝酸性窒素の量をLNARB(fg・copy-1・day-1)としたときに、下記式(6)
〔ただし、fNARBは、5.0≦LNARB≦2.5×103において、{2.2×102・LNARB/(7.0×102+LNARB)−1.7×102}≦VNARB≦{2.2×102・LNARB/(7.0×102+LNARB)+70}となるように定められる関数である。〕
となる関数fNARBでVNARBとLNARBとを関係付けてパラメータに用いる請求項2記載のシミュレーション方法。 - 前記窒素成分が亜硝酸性窒素であり、前記脱窒工程における亜硝酸還元細菌の還元反応の最大反応速度をVNIRB(fg・copy-1・h-1)、脱窒工程において亜硝酸還元細菌1個あたりに単位時間に処理された前記亜硝酸性窒素の量をLNIRB(fg・copy-1・day-1)としたときに、下記式(7)
〔ただし、fNIRBは、5.0≦LNIRB≦3.5×103において、{7.0×102・LNIRB/(2.5×103+LNIRB)−2.5×102}≦VNIRB≦{7.0×102・LNIRB/(2.5×103+LNIRB)+2.5×102}となるように定められる関数である。〕
となる関数fNIRBでVNIRBとLNIRBとを関係付けてパラメータに用いる請求項2記載のシミュレーション方法。 - 前記窒素成分とともに被処理水に塩化物イオンが含有されており、該被処理水を細菌によって生物学的に硝化処理又は脱窒処理した後の処理水の水質を、前記被処理水に含有されている窒素成分の濃度に基づいて計算された最大反応速度の値をパラメータに用い、しかも、前記被処理水中の塩化物イオン濃度を変数とする関数の計算結果に基づいて前記最大反応速度の値を計算することにより、前記塩化物イオン濃度との間に関数関係を有する状態で、前記最大反応速度の値をパラメータに用いて予測する請求項3乃至6のいずれか1項に記載のシミュレーション方法。
- 処理対象物質を含有する被処理水を、前記処理対象物質を分解する細菌によって生物学的に処理する生物処理工程後の処理水の水質を予測すべく、前記細菌による前記処理対象物質の最大反応速度の値がパラメータに用いられてシミュレーションが実施されるシミュレーション装置であって、
生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に処理された前記処理対象物質の量との間に関数関係を有する状態で前記最大反応速度の値がパラメータに用いられており、しかも、前記関数は、前記最大反応速度の値をVとし、生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に処理された前記処理対象物質の量をLとしたときに、Lの値の増大とともにVの値を増大させる関数であることを特徴とするシミュレーション装置。 - 処理対象物質を含有する被処理水を、前記処理対象物質を分解する細菌によって生物学的に処理する生物処理工程後の処理水の水質を、前記細菌による前記処理対象物質の最大反応速度の値をパラメータに用いたシミュレーションによって予測しつつ前記生物処理工程を実施する生物処理方法であって、
生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に処理された前記処理対象物質の量との間に関数関係を有する状態で最大反応速度の値を前記パラメータに用いており、しかも、前記関数が、前記最大反応速度の値をVとし、生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に処理された前記処理対象物質の量をLとしたときに、Lの値の増大とともにVの値を増大させる関数であることを特徴とする生物処理方法。 - 処理対象物質を含有する被処理水を、前記処理対象物質を分解する細菌によって生物学的に処理する生物処理工程後の処理水の水質を、前記細菌による前記処理対象物質の最大反応速度の値がパラメータに用いられたシミュレーションによって予測しつつ前記生物処理工程が実施される生物処理装置であって、
生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に処理された前記処理対象物質の量との間に関数関係を有する状態で最大反応速度の値が前記パラメータに用いられており、しかも、前記関数が、前記最大反応速度の値をVとし、生物処理工程において細菌1個あたりに単位時間に処理された前記処理対象物質の量をLとしたときに、Lの値の増大とともにVの値を増大させる関数であることを特徴とする生物処理装置。
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JPN6008047403; 山下哲生、竹田尚弘、辻幸志、藤田昌史、味埜俊、赤司昭: '硝化細菌の最大活性の変動を考慮した活性汚泥モデルの検討' 環境システム計測制御学会誌 Vol.12, No.2/3, 20071015, p.76-p.77, 学会誌「EICA」編集委員会 * |
JPN6008047405; 藤田昌史: '分子生物学的手法を利用した硝化反応モデルの開発' 水環境学会誌 Vol.31,No.1, 20080110, p.17-p.20, 社団法人日本水環境学会 * |
Also Published As
Publication number | Publication date |
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JP2009131828A (ja) | 2009-06-18 |
JP4278701B1 (ja) | 2009-06-17 |
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