JP2009122007A - 薄切片試料の含有水分量測定装置および方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】テラヘルツ波発生器12、光波分割素子14、参照光検出器16、照射光学系18、透過光検出器20、演算装置22及び周波数制御装置24を備える。演算装置22により、入射光強度と透過光強度から薄切片試料1の照射部分の透過率Tを求め、薄切片試料の厚さdを用いて、ランベルト・ベールの法則によって試料の吸収係数αを求め、水分の吸収係数αwから薄切片試料の含有水分の体積分率νwを求める。また、周波数制御装置24により透過率Tが所定の最適範囲内(例えばT=0.22〜0.55)となるようにテラヘルツ波の発生周波数を制御する。
【選択図】図1
Description
このため、この発明では、図11の装置において、KTP結晶58は、励起光源51からの光を入射して、配置角度に応じた第1及び第2の波長の光を発生する。ガルバノスキャナ52は、ふたつのKTP結晶58の配置角度を定める。ガルバノスキャナ制御部57は、主制御部55からの制御信号に従い、ガルバノスキャナ58の駆動を制御してKTP結晶58の配置角度を定めさせる。主制御部55の記憶部には、所望の周波数のテラヘルツ波を発生させるための第1及び第2の波長と、該波長を出力するKTP結晶58の配置角度を定めるための制御信号とが予め記憶される。主制御部55は、記憶部を参照して所望の周波数に対応する各制御電圧を取得し、該制御電圧をガルバノスキャナ制御部57に出力する。テラヘルツ波発生用結晶53は、KTP結晶58からの第1及び第2の波長の差に応じてテラヘルツ波を出力するものである。
また特に、医学臨床分野における病理診断などの病理臨床分野では、水分量と病理組織の密接な関係が示唆されており、生体組織を乾燥させることなく、その水分量を簡易かつ迅速に測定することが要望されている。
また、THz波の透過率を利用する場合でも、適正な透過率を得るために試料の厚さ調整が不可欠であり、特に生体組織の場合に試料の厚さ調整に手間を要していた。
前記テラヘルツ波を入射光と参照光に分割する光波分割素子と、
前記参照光の強度を検出する参照光検出器と、
前記入射光を薄切片試料の一部に集光して照射する照射光学系と、
前記薄切片試料を透過したテラヘルツ波の透過光強度を検出する透過光検出器と、
前記入射光強度と透過光強度から薄切片試料の照射部分の透過率と含有水分量を演算する演算装置と、
前記透過率をフィードバックしてテラヘルツ波の発生周波数を制御する周波数制御装置とを備えた、ことを特徴とする薄切片試料の含有水分量測定装置が提供される。
前記テラヘルツ波を入射光と参照光に分割するテラヘルツ波分割ステップと、
前記参照光の強度を検出する参照光検出ステップと、
前記入射光を薄切片試料の一部に集光して照射する入射光照射ステップと、
前記薄切片試料を透過したテラヘルツ波の透過光強度を検出する透過光検出ステップと、
前記入射光強度と透過光強度から薄切片試料の照射部分の透過率と含有水分量を演算する演算ステップと、
前記透過率をフィードバックしてテラヘルツ波の発生周波数を制御する周波数制御ステップとを有する、ことを特徴とする薄切片試料の含有水分量測定方法が提供される。
前記入射光強度と透過光強度から薄切片試料の照射部分の透過率Tを求め、
薄切片試料の厚さdを用いて、ランベルト・ベールの法則によって試料の吸収係数αを求め、
水分の吸収係数αwから薄切片試料の含有水分の体積分率νwを求める。
また、光波分割素子(例えばハーフミラー)と参照光検出器(例えばSiボロメータ)により、入射光強度を精密に測定することができ、照射光学系(例えば集光レンズ)と透過光検出器(例えばSiボロメータ)により、透過光強度を精密に測定することができる。
さらに、演算装置(例えばPC)により、入射光強度と透過光強度から薄切片試料の照射部分の透過率Tと含有水分量(含有水分の体積分率νw)を演算することができる。
この図において、本発明の含有水分量測定装置10は、テラヘルツ波発生器12、光波分割素子14、参照光検出器16、照射光学系18、透過光検出器20、演算装置22および周波数制御装置24を備える。
光波分割素子14は、例えばハーフミラーであり、テラヘルツ波2を入射光3と参照光4に一定の比率で分割する。
参照光検出器16は、第1のテラヘルツ波検出器であり、参照光4の強度を検出する。参照光検出器16は、例えばSiボロメータである。
照射光学系18は、例えば集光レンズであり、入射光3を薄切片試料1(被測定物)の一部に集光して照射する。以下、薄切片試料1を単に「試料1」と呼ぶ。
透過光検出器20は、第2のテラヘルツ波検出器であり、薄切片試料1を透過したテラヘルツ波5(透過光)の透過光強度を検出する。透過光検出器20は、例えばSiボロメータである。
周波数制御装置24は、透過率をフィードバックしてテラヘルツ波2の発生周波数を制御する。この周波数制御装置24は、透過率Tが所定の最適範囲内になるようにテラヘルツ波2の発生周波数を制御する。所定の最適範囲は、例えばT=0.22〜0.55の範囲である。
また、薄切片試料1(例えば生体組織)を2次元的に走査可能な機構を備え、水分量の面内分布測定を可能にすることが好ましい。
この例において、2波長光源32は、2つのバルクKTP結晶32a,32b、ミラーM1,M2,M3、及びレーザ発振器33からなる2波長光パラメトリック発振器であり、波長λ1、λ2の2波長のレーザ光7,8を出射する。このうち、波長λ1は例えば1250〜1650nmで可変とし、折り返し配置にした2つのKTP結晶32a,32bの角度をガルバノスキャナで制御することによりλ2の波長を所望のテラヘルツ周波数に合わせて1250〜1650nmで可変できるようになっている。
この構成により、0.01THzの間隔でテラヘルツ周波数を連続的又はパルス的に発生させることができる。
なお本発明は異なる2波長の光7,8を出射できる限りで、この構成に限定されない。
非線形光学材料34は、DAST結晶(4−N,N−dimethylamino−4−N’−methyl−stylbazolium tosylate)、MNA(2−methyl−4−nitroaniline)、LiNbO3、KTP、LiIO、GaSe、GaP、GaN、ZnSe、ZnTe、またはZGPが好ましく、特にDAST結晶が好ましい。
また、制御記録装置31は、図1における周波数制御装置24の機能を有し、透過率をフィードバックしてテラヘルツ波2の発生周波数を制御してもよい。
この図において、本発明の含有水分量測定方法は、テラヘルツ波発生ステップS1、テラヘルツ波分割ステップS2、参照光検出ステップS3、入射光照射ステップS4、透過光検出ステップS5、演算ステップS6、および周波数制御ステップS7の各ステップを有する。
テラヘルツ波発生ステップS1では、所定の周波数帯域(例えば1〜6THzの周波数範囲)においてテラヘルツ波2を、パルス波又は連続波として、連続的又は不連続的に任意の周波数を発生する。
テラヘルツ波分割ステップS2では、テラヘルツ波2を入射光3と参照光4に分割する。
参照光検出ステップS3では、参照光3の強度を検出する。
入射光照射ステップS4では、入射光4を薄切片試料1の一部に集光して照射する。
透過光検出ステップS5では、薄切片試料1を透過したテラヘルツ波5(透過光)の透過光強度を検出する。
この演算ステップS6において、入射光強度と透過光強度から薄切片試料の照射部分の透過率Tを求め、薄切片試料の厚さdを用いて、ランベルト・ベールの法則によって試料の吸収係数αを求め、水分の吸収係数αwから薄切片試料の含有水分の体積分率νwを求める。
演算ステップS6における計算内容は後述する。
この周波数制御ステップS7において、透過率TがT=0.22〜0.55となるようにテラヘルツ波の発生周波数を制御する。
また、光波分割素子14と参照光検出器16により、入射光強度Iinを精密に測定することがで、照射光学系18と透過光検出器20により、透過光強度Ioutを精密に測定することができる。
さらに、演算装置22により、入射光強度と透過光強度から薄切片試料の照射部分の透過率Tと含有水分量(生体組織中の含有水分の体積分率νw)を演算することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
初めに、本発明の測定原理を説明する。
図4は、本発明の測定原理図である。
この図に示すような構成において、光が試料1に入射すると、反射、吸収、透過を繰り返す。この場合において、試料1に対する入射強度と透過強度の関係は、ランベルト・ベール(Lambert−Beer)の法則により数1の式(1)で記述される。
ここで、Iinは試料1への入射強度、Ioutは試料1からの透過強度、αは試料の吸収係数、dは試料の厚さである。なお「光」は、テラヘルツ波に限定されない。
ここで、水分の吸収係数をαw、水分以外の成分の吸収係数をαnwとする。また、試料中の水分が占める体積の割合、つまり含有水分の体積分率をνwとし、水分以外の成分の体積分率をνnwとする。
従って、試料の吸収係数αは主に水分によるものと考えると、試料の吸収係数αは数1の式(5)のように近似できる。
つまり、生体組織による吸収係数αを水による吸収係数αwと近似することで、THz波を生態組織に照射し、その透過率を測定するという簡易な測定法において、THz波が照射された領域の水分量測定(生体組織単位体積あたりに含まれる水分の質量mの測定)が可能となる。
本発明の方法では、生体組織のTHz波の吸収を含有水分によるものと仮定している。この仮定、つまり式(5)による近似によって生じる誤差について以下検討する。
図中の斜線領域は、生体組織中の水分の体積分率として0.5〜0.9および、吸収係数の比として0.1〜0.01の領域を示している。つまり、この条件での測定では式(5)の仮定によって生じる誤差は最大10%となり、最小で0.1%以下で測定が可能であることを示している。
THz波による水分量の測定では式(1)のように透過測定法に基づいている。まず、透過測定法における最適な透過率について検討する。透過測定法における透過率は測定感度と密接な関係がある。感度を見積もるためには、式(1)を用いて吸収係数αの微小変化率Δα/αに対する、透過率の微小変化を検討すればよい。この変化は式(1)を用いて数3の式(9)のように表わされる。
式(10)はT=0.368において極大をとる関数である。図6は、感度sの透過率依存性を示しており、透過率T=0.368のとき極大値を取り、このとき、感度s=0.368となり最大になることが分かる。したがって、透過測定法を用いた水分量の測定には、透過率36.8%付近に設定することが好ましい。
一般的に、吸収係数αwは周波数の関数であり、αw(f)と書き換えることが出来る。つまり、式(11)は数3の式(12)となる。
含有水分の体積分率νwの測定に用いる試料の厚さについて議論する。まず、本測定では水のTHz波帯の吸収係数が重要になる。図7は非特許文献1を基に計算した水の吸収係数である。1〜6THzでは、吸収係数が200cm−1から1400cm−1の範囲で、周波数の増加に伴い単調に増加していることが分かる。
次に、図10に厚さdをパラメータとしたときの周波数fと含有水分の体積分率νwの関係を示す。1〜6THzの周波数領域で、最もνwの範囲が広く取れるのはd=40μmのときであり、このときνw=0.2以上の測定が可能となる。
本発明では単一周波数(例えば周波数変動が0.01〜0.1THz)のテラヘルツ波を用いて試料の水分量を測定するが、最適感度で測定を行うには、水分量および厚さに応じて周波数を変化させなければならない。更に、実用性を考えれば、迅速に測定できる必要がある。したがって、測定に用いるTHz波光源としては、迅速に周波数を変化できかつ、単色広帯域の周波数可変なTHz波光源が適している。
本発明の発明者らは、これまでに、非線形光学効果を用いたTHz波光源を開発し出願している。
リングTPOは発振THz周波数が1〜3THz波である。図9より1〜3THzの周波数範囲では、厚さ40μmの試料を用いた場合、νw=0.41〜1.0の範囲で式(12)を満たしながら測定が可能である。また、DAST結晶を用いたTHz波源ではνw=0.19〜1.0の測定ができる。
透過率の調整においては、吸収係数が周波数の関数であることと、THz波帯の水の吸収係数の周波数依存性が単調増加であることに着目して測定周波数を変化させて適度な透過率が得られることを提案した。
また、試料の厚さとしては1〜6THz波の吸収係数を考慮した場合に、40μmのとき最も広範囲で多含有水分の体積分率の測定が可能であることが明らかとなった。
4 参照光、5 テラヘルツ波(透過光)、7,8レーザ光、
10 含有水分量測定装置、11 2次元ステージ、
12 テラヘルツ波発生器、
14 光波分割素子(ハーフミラー)、16 参照光検出器(Siボロメータ)、
18 照射光学系、20 透過光検出器(Siボロメータ)、
22 演算装置、24 周波数制御装置、
31 制御記録装置(PC)、32 2波長光源、
32a,32b バルクKTP結晶、
34 非線形光学材料(DAST結晶)、
35 表示装置
Claims (5)
- 所定の周波数帯域においてテラヘルツ波を、パルス波又は連続波として、連続的又は不連続的に任意の周波数を発生するテラヘルツ波発生器と、
前記テラヘルツ波を入射光と参照光に分割する光波分割素子と、
前記参照光の強度を検出する参照光検出器と、
前記入射光を薄切片試料の一部に集光して照射する照射光学系と、
前記薄切片試料を透過したテラヘルツ波の透過光強度を検出する透過光検出器と、
前記入射光強度と透過光強度から薄切片試料の照射部分の透過率と含有水分量を演算する演算装置と、
前記透過率をフィードバックしてテラヘルツ波の発生周波数を制御する周波数制御装置とを備えた、ことを特徴とする薄切片試料の含有水分量測定装置。 - 前記周波数制御装置は、前記透過率が所定の最適範囲内になるようにテラヘルツ波の発生周波数を制御する、ことを特徴とする請求項1に記載の薄切片試料の含有水分量測定装置。
- 所定の周波数帯域においてテラヘルツ波を、パルス波又は連続波として、連続的又は不連続的に任意の周波数を発生するテラヘルツ波発生ステップと、
前記テラヘルツ波を入射光と参照光に分割するテラヘルツ波分割ステップと、
前記参照光の強度を検出する参照光検出ステップと、
前記入射光を薄切片試料の一部に集光して照射する入射光照射ステップと、
前記薄切片試料を透過したテラヘルツ波の透過光強度を検出する透過光検出ステップと、
前記入射光強度と透過光強度から薄切片試料の照射部分の透過率と含有水分量を演算する演算ステップと、
前記透過率をフィードバックしてテラヘルツ波の発生周波数を制御する周波数制御ステップとを有する、ことを特徴とする薄切片試料の含有水分量測定方法。 - 前記演算ステップにおいて、
前記入射光強度と透過光強度から薄切片試料の照射部分の透過率Tを求め、
薄切片試料の厚さdを用いて、ランベルト・ベールの法則によって試料の吸収係数αを求め、
水分の吸収係数αwから薄切片試料の含有水分の体積分率νwを求める、ことを特徴とする請求項3に記載の薄切片試料の含有水分量測定方法。 - 前記周波数制御ステップにおいて、前記透過率TがT=0.22〜0.55となるようにテラヘルツ波の発生周波数を制御する、ことを特徴とする請求項3に記載の薄切片試料の含有水分量測定方法。
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