JP2009121855A - 模型船用試験水槽設備 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】模型船用試験水槽設備において、主台車1の走行方向と直交する方向に同主台車1上で走行する副台車2に設けられた回転盤3に、水槽H内に浮かべられた模型船を拘束する位置が、主台車1,副台車2および回転盤3の制御変数に応じ予め求められた同模型船の曳航による加速終了後の回転盤3に対する相対位置に設定されるように、模型船拘束位置調整手段が設けられる。
【選択図】 図1
Description
台車が自由航走する模型船を自動的に追尾する手段としては、コネクティングロッドや非接触の画像処理等によって台車と模型船との相対位置・方位の変化を時々刻々検出し、これを0にするようなフィードバック制御を台車に与える手方が採用されている。この場合、従来のシステムでは、自動追尾システムの開始時に、台車と模型船とは相対的な位置および方位がほぼゼロの状態で停止かそれに近い状態にある必要がある。このような状態でないと、自動追尾開始時に台車の急激な運動を伴うだけでなく、時には台車と模型船との相対位置が離れすぎて自動追尾の可能な範囲を逸脱してしまう事態までも引き起こすからである。このことは従来の台車の自動追尾に用いられる制御には一般に[数1]式が用いられてきたことを考えれば明らかである。
e:位置偏差または方位偏差(以下では、方位偏差も含めて「位置偏差」と 記す。)
KP:比例定数
KD:微分定数
KI:積分定数
KP2:2乗項定数
すなわち、[数1]式より、位置偏差eおよびde/dtが0か0に近い値でない場合に制御を始めると、急激な速度指令値が発生するからである。さらに、自動追尾を終了した場合を考えると、自動追尾システムの終了とともに模型船の運動と台車の運動とはまったく切り離されてしまい、台車は終了指令とともに停止することになるが、模型船は別の手段で減速等の操作が必要となる。
したがって、この制約を超えて模型船を加減速させるためには台車を通じて模型船に外力を加える、すなわち模型船を加減速時に台車に拘束する必要がある。台車の質量は模型船に比べて十分に大きいため、この場合現実的には模型船の加減速に必要な力は十分にあると考えてよい。この加減速装置については、加減速の間だけ模型船に外力を加えてこれを拘束し、計測時には模型船に外力を加えない構造とする必要がある。
加減速部分だけに限れば、この条件を満足する装置としてワイヤーによるクランプ装置がある。これは模型船の複数点(例えば4点)と台車とを軽量のワイヤーで結び、これを台車側の装置で引き込むことによって模型船を拘束しようとするものである。すなわち、台車の自動追尾機能が働いている計測中は、上記ワイヤーを緩めて台車自動追尾で検出される一定の相対位置・方位の差の範囲内で模型船が自由に航走できるようにすればよい。
本発明は、ワイヤー式クランプ装置を用いながらも、上述のような急激な台車と模型船の運動を誘起しないようにした台車自動追尾システムを実現しようとするものである。
まず、基本事項として台車の座標軸系と速度指令の変換について説明すると、台車は水平面内の運動を行うから、自由度は、前後・左右の直線運動と回転運動の3自由度となる。すなわち、台車Aは主台車1と主台車1上の副台車2、副台車2上の回転盤3から構成される。
まず、加速状態から自動追尾状態への滑らかな移行を実現するための制御系とその手段の基本的考え方について説明する。自動追尾のための基本的アルゴリズムは図3に示すとおり、画像処理系からの信号にフィルター処理を施し、フィードバック系によって速度信号を算出して台車座標系に返還した上で台車Aを運転する。フィードバック系では速度指令信号は[数3]式で計算される。
すなわち、模型船クランプ状態でXc,Yc,Ψ座標系においてそれぞれの方向に位置偏差がe0(3成分有り)となるように模型船4をクランプして、同模型船4を加速すればよいことになる。
ただし、このときVB=VAとなっていない場合は、初期の位置偏差をクランプ状態で実現することが必要となる。実際にこれを実現する手段について、以下に説明する。
本システムは、大きく分けて、台車・クランプ等制御装置(制御用計算機)と画像処理・表示装置とから構成され、制御変数設定モードと模型船初期位置偏差設定モードとを有するほか、自動制御モードおよび待機モードを有する。画像処理・表示装置にはCCDカメラ6が接続されている。制御用の計算機10には画像処理・表示装置11と台車A、ワイヤー式クランプ装置5、開始・終了ボタン8、ブザー9が接続されている。ワイヤー式クランプ装置5にはワイヤー長調整つまみ12とクランプ開閉ボタン7とが接続されている。
(a)CCDカメラ6は、台車回転盤上に設置され、視野内の模型船の追尾用マーカー(後述)の画像を画像処理・表示装置に送る。
(b)画像処理装置はCCDカメラで捉えられた模型船上の追尾用マーカーの画像座標系(画像の中心を原点とする0c−XcYc)での座標を算出し、制御用計算機に送信する。また、制御用計算機から受け取った模型船初期位置偏差に対応する追尾用マーカーの初期位置(後述)を表示する。
(c)ワイヤー式クランプ装置5は、模型船初期位置偏差設定モードでは、ワイヤー長調整つまみに応じてクランプ時のワイヤー長を調整する。また、自動制御モードでは、制御用計算機10からの信号によってクランプ装置5を開閉する。待機モードでは、必要に応じてクランプ開閉ボタン7の信号によってクランプを開閉する。別途クランプ開閉に要する時間(クランプ速度)が設定できることとする。
(d)ブザー9は、制御用計算機10の信号にしたがってブザー音を発生する。
(e)台車Aは制御中においては制御用計算機10から送られる速度信号に応じて運転される。また、台車Aの時々刻々の速度は制御用計算機10に送られる。
(f)制御用計算機10は制御変数設定モードでは制御変数を設定する。模型船初期位置偏差設定モードでは制御変数に応じて画像座標系における初期位置偏差を算出し、画像処理・表示装置11に送信する。自動制御モードでは、開始ボタン8によってクランプ・加速制御を開始すると共に定速を認識して自動追尾制御に移行する。また、終了ボタン8によってクランプ・減速制御を開始して台車Aと模型船4を停止する。
(1)模型船4,ワイヤー式クランプ装置5およびCCDカメラ6等の準備
(2)制御変数等を入力する。
(3)手動のクランプ開閉ボタン7によりクランプ閉。
(4)台車Aの初期位置・方位を決めて、その位置に台車Aを移動する。
(5)模型船追尾用マーカーを画像上の初期位置偏差に合わせるように、模型船4のクランプ位置をワイヤー長調整つまみ12によって調整する。
(6)クランプ開。
(7)0点の計測。
(8)クランプ閉。
(9)模型船4のプロペラに所定の回転数を与える。
(10)「クランプ閉(確認)・加速開始」ボタン(開始ボタン)8を押す。加速制御開始。
(11)加速終了目標値に達したら、ブザー9を鳴らしながらクランプ開の動作を始め、同時に自動追尾制御が開始される。
(12)クランプ開の完了に伴い、ブザー終了。
(13)計測開始。
(14)模型船4の操舵等の開始。
(15)計測終了。
(16)「クランプ閉・減速開始」ボタン(終了ボタン)8を押す。
(17)直ちにブザー9を鳴らしながらクランプ閉の動作を始め、同時に減速制御を開始する。
(18)システム全体が停止する。
(1)模型船の準備(図5参照)
模型船4の船首部左右舷および船尾部左右舷の計4点にワイヤー用フック13,13を取り付ける。
模型船4の船体中心線上において、追尾用マーカー(船首側Mf,船尾側Ma)を2点に置く。2点の中心位置Tは所定の位置と一致するようにする。追尾用マーカー(Mf,Ma)がXc軸(図1参照)上でその中心位置Tが座標原点0cにある状態を基準状態とする。(図7参照)
(2)ワイヤー式クランプ装置(図6参照)の準備
ワイヤー式クランプ装置5を台車回転盤3に設置する。ワイヤー式クランプ装置5は回転盤3に固定され、回転盤3とともに回転するものとする。また、ワイヤー式クランプ装置5におけるワイヤー5aの長さをワイヤー長調整つまみ12によって調整することにより、模型船4のクランプされた位置偏差を調整できるものとする。
模型船4の船首部左右舷および船尾部左右舷の計4点にワイヤー式クランプ装置5のワイヤー5aを連結する。
(3)自動追尾用カメラの準備(図5参照)
台車回転盤3の中心位置に自動追尾用ビデオカメラ6を設置する。カメラ画像の上方向は回転盤の基準方向に一致させる。
(4)信号線等の配線
信号線が配線される。
(a)自動追尾制御変数:VB,KP,KI,KD,KP2,フィルター型, フィルター次数, 遮断周波数, リップル(Xc,Yc,Ψ方向それぞれについて)
(b)加速後の船速:VA(Xc,Yc,Ψ3成分)
(c)加速時間:ta
(d)減速時間:td
(1)初期位置および加速方位ΨSは別途設定するものとする。
(2)クランプ閉に要する時間は減速時間tdよりも短く設定することとする。
(1)自動追尾制御変数と加速後速度VA(Xc,Yc,Ψ3成分)の値とから初期位置偏差e0([数5]式におけるXc,Yc,Ψ3成分)を計算する。
(2)模型船が座標原点からe0(XcYcΨ3成分)だけずれた場合の追尾用マーカー2点(Mf1,Ma1)およびその中心位置T1を追尾カメラ画像中に表示する。
(3)クランプワイヤの前後・左右の長さをワイヤー長調整つまみ12によって調整して実際のマーカー位置(Mf,Ma)と中心位置Tとが画像上のMf1.Ma1,T1にそれぞれ一致するようにする。
2 副台車
3 回転盤
4 模型船
5 クランプ装置
5a ワイヤー
6 カメラ
7 クランプ開閉ボタン
8 開始ボタン
9 ブザー
10 制御用計算機
11 画像処理・表示装置
12 調整つまみ
13 フック
A 台車
H 水槽
Claims (3)
- 水槽の両側に沿い平行に敷設された一対の主レールにより案内されて走行しうる主台車と、同主台車上で上記主レールと直角をなす方向に敷設された副レールにより案内されて走行しうる副台車とを備えるとともに、上記副台車上に設けられた水平な回転盤と、同回転盤の下方で上記水槽の水面に浮かべられる模型船を同模型船の自走開始の直前に上記回転盤へ係脱可能に拘束しうる模型船用拘束手段とを備え、上記模型船を上記回転盤に拘束して上記の主台車,副台車および回転盤により曳航し加速を行う曳航状態から同模型船を拘束しないで上記の主台車,副台車および回転盤により行われる模型船自動追尾制御状態への移行時に上記の主台車,副台車および回転盤の円滑な制御をもたらすべく、上記拘束手段による上記模型船の上記回転盤への拘束位置を、上記模型船自動追尾制御状態における上記の主台車,副台車および回転盤の制御変数に応じて予め求められた同模型船の曳航による加速終了後の上記回転盤に対する相対位置に設定するための模型船拘束位置調整手段が設けられたことを特徴とする、模型船用試験水槽設備。
- 上記模型船自動追尾制御状態での上記模型船の予測される平均速度成分を上記の主台車,副台車および回転盤の制御変数の一部として予め与えるための制御変数付与手段と、同制御変数付与手段により付与された制御変数に応じて計算される上記模型船の拘束位置に上記模型船拘束位置調整手段により同模型船を拘束してから同模型船を加速するための上記の主台車,副台車および回転盤による模型船加速手段とを備えたことを特徴とする、請求項1に記載の模型船用試験水槽設備。
- 上記模型船を上記模型船用拘束手段により拘束して行われる同模型船の加速状態から同模型船を拘束しないで行われる上記模型船自動追尾制御状態への移行時に、同模型船の上記回転盤に対する位置および方位の偏差をゼロとして上記の主台車,副台車および回転盤を制御できる加減速機能が付与されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の模型船用試験水槽設備。
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