JP2009120987A - 編成コース数の調整方法およびデザイン装置 - Google Patents

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【課題】横編機でコース数や編目ループの大きさが異なる領域を接合して編地を編成する場合などのコース数の調整を、自動的に行うことも可能な、編成コース数の調整方法およびデザイン装置を提供する。
【解決手段】(a)のデザイン編地12では、ウエール方向の境界12cを挟むコース数の多少に対応して、領域12aが多コース領域となり、領域12bが少コース領域となる。(b)の調整編地15では、領域15a,15bを、領域12bのコース数に等しい数の基底編成コース16で編成する。領域15a側のみにはさらに、領域12a,12bの差に等しい数の追加編成コース17を、基底編成コース16の間に分散するように挿入する。この結果、(c)に示すように、編成編地13としての外形や境界13cでの歪みを小さくすることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、横編機でコース方向に隣接して形状や編成仕様が異なる領域を含む編地を編成するために用いる、編成コース数の調整方法およびデザイン装置に関する。
従来から、コンピュータ制御の横編機で編成するニット製品では、全体の形状を型紙の組合せとしてデザインし、型紙の各部を編成する条件を、所望する編地の風合いに基づいて設定するようにしている(たとえば、特許文献1参照)。また、成形編みでの編幅の増減を、編幅の内側で行う内減らしを行う場合、編幅の端部側に追加編成コースを設けて、編地の歪みを防止することができる方法も開示されている(たとえば、特許文献2参照)。
図9は、型紙1として二つの領域1a,1bを接合した形状を基礎とする編地をデザインし、横編機で編成して編地として製造するまでの過程を模式的に示す。後述する図も含めて、編地を図示する場合は、図の横方向はコース方向、図の縦方向はウエール方向をそれぞれ示す。格子は形状を単純化した編目ループに対応する。編目ループの数、コース数、ウエール数は、単純化した例を示す。
図9(a)は、型紙1で領域1a,1bが境界1cの両側に配置されている状態を示す。図9(b)は、型紙1の各領域1a,1bにそれぞれ対応するデザイン編地2の領域2a,2bについて、編目ループの大きさなどの編成条件を設定した状態を示す。編目ループの大きさは、使用する横編機の針床での編針の針列ピッチであるゲージ、編糸の太さや張力、編目の種類、度目値などに応じて変化する。サンプルを試編みしてみて、風合いなどが好ましい編成条件が設定される場合がある。試編みなどの結果、デザイン編地2で編目ループの大きさが異なる領域2a,2bが境界2cの両側に生じ、領域2a,2bでは編地としてのコース数が異なるようになる。図9(c)に示すように横編機で編成する編成編地3では、領域3a,3bが境界3cを挟み、編目単位で繋がらなければならないので、境界3cに歪みが生じる。また、編成編地3としての外形にも歪みが生じる。
特許第2676182号公報 特許第3010484号公報
図9(b)に示すデザイン編地2の段階で、領域2a,2bで編目ループの大きさが同一であれば、図9(c)の境界3cの歪みは生じないけれども、コース数が異なれば、外形に段差が生じる。編目ループの大きさが同一で、コース数も同一であっても、少なくとも一方の領域で編目を増減させる成形編みを行えば、境界や外形に歪みが生じる。デザイン編地2の領域2a,2bを分離して編成し、縫製で接合すれば、境界2cや外形に歪みや段差は生じないけれども、手間がかかる。編成編地3で、境界3cの一方に編成コースを追加するなどのコース数の調整を行えば、境界3cや外形の歪みを小さくして、コース数や編目ループの大きさが異なる領域を接合して編地を編成し、縫製の手間を省くことができる。しかしながら、編成編地3を自動的に編成する横編機を使用して編成を行うためには、境界3cや外形に歪みが小さくなるように追加編成コースなどを付加する位置や割合などを、試編みなどを繰返して設定して編成データを生成する必要がある。
本発明の目的は、横編機でコース数や編目ループの大きさが異なる領域を接合して編地を編成する場合などのコース数の調整を、自動的に行うことが可能な、編成コース数の調整方法およびデザイン装置を提供することである。
本発明は、横編機で編成すべき編地の形状の基礎となる型紙に、共通の境界で接合すべき二つの領域が含まれ、二つの領域はコース方向に隣接して並行に編成すると、境界で歪みが発生する要因として、接合すると境界となる部分の接合前の長さの違いのうちの少なくとも一方を有する場合に、境界での歪みが低減するように、各領域での編成コース数を調整する方法であって、
境界での歪みが発生する要因を解消しうるコース数を、二つの領域にそれぞれ算出し、
コース数の多い多コース領域とコース数の少ない少コース領域とを共通して編成する基底編成コースを、少コース領域のコース数に合わせて繰り返すように設定し、
多コース領域のみに、領域間のコース数の差だけの追加編成コースを、基底編成コースの繰り返しの間に分散して挿入することを特徴とする編成コース数の調整方法である。
さらに本発明は、横編機で編成する編地の基礎となる形状を表す型紙データと、型紙データに対する編成時の編目仕様とを設定すると、横編機で編地を編成するための編成データを生成するデザイン装置であって、
型紙データと編目仕様とに基づき、共通の境界でコース方向に隣接するように接合させると、境界で歪みを発生させる要因として、編目ループ長の違い、または接合すると境界となる部分の接合前の長さの違いのうちの少なくとも一方を有する二つの領域が含まれる場合に、二つの領域を抽出する領域抽出手段と、
領域抽出手段によって抽出される二つの領域に対し、予め定める条件に従って編成するコース数を設定するコース数設定手段と、
コース数設定手段によって設定されるコース数が少い方の少コース領域の編成に必要な基底編成コースを、少コース領域とコース数が多い方の多コース領域とを共通に編成するように設定し、領域間のコース数の差だけの追加編成コースを、基底編成コースの繰り返しの間に分散して挿入するように調整するコース調整手段とを、
含むことを特徴とするデザイン装置である。
また本発明で、前記コース数設定手段は、前記編目ループ長の違いに対する前記予め定める条件として、各領域の編成時の編目仕様に基づき、編目ループ長が長い領域の編成に必要なコース数を前記少コース領域のコース数に、編目ループ長が短い領域の編成に必要なコース数を前記多コース領域のコース数に、それぞれ設定することを特徴とする。
また本発明で、前記コース数設定手段は、前記境界となる部分の接合前の長さの違いに対する前記予め定める条件として、長さの短い方が長い方に合うように、長さの短い方の領域に、長さの不足分に相当する数の編成コースを追加するように設定することを特徴とする。
本発明によれば、基底編成コースで多コース領域と少コース領域とを共通して編成し、多コース領域のみを編成する追加編成コースを、領域間のコース数の差だけ、基底編成コースに分散して挿入する。追加編成コースは、基底編成コースの間に挿入されるので、外形には段差や歪みを生じさせないようにすることができる。また、基底編成コースの間に、追加編成コースが分散されるので、境界での歪みも小さくすることができる。多コース領域と少コース領域とを、横編機でコース方向に隣接させながら並行して編成するために必要な基底編成コース数、追加編成コース数、追加編成コースの挿入位置は、自動的な計算で求めることができる。
さらに本発明によれば、編地の基礎となる形状を表す型紙データと、型紙データに対する編成時の編目仕様とに基づき、共通の境界でコース方向に隣接するように接合させると、境界で歪みを発生させる場合に、境界での歪みが小さくなるようにコース数の調整を行う編成データを生成し、編地を編成することができる。
また本発明によれば、編目ループ長の違いに対応して、編目ループ長が長い多コース領域と、編目ループ長が短い少コース領域とを並行して編成するように、コース数を調整するので、外形や境界での歪みを小さくすることができる。
また本発明によれば、成形編みを行う場合など、接合前には異なる長さの部分を接合する場合でも、短い方に編成コースを追加するように調整して、外形や境界での歪みを小さくすることができる。
図1は、本発明の実施の一形態としての編成コース数の調整方法を模式的に示す。図1(a)は、前述の図9(b)と同様に、デザイン編地12で編目ループの大きさが異なる領域12a,12bが境界12cの両側に生じ、境界12cを挟んで編地としてのコース数が異なるようになる状態を示す。このような状態は、図9(a)に示すような型紙1で、二つの領域1a,1bを共通の境界1cを挟んで並行に編成しても編目ループ長が異なるような場合に生じる。また、領域12aでゴム編み、領域12bで平編みを行うなど、編地としての組織の違いで編目ループ長を変える場合などには、型紙1での領域1a,1bの存在を暗黙の前提として、直接、デザイン編地12についてコース数の調整を行うことができる。編目ループを形成する際の編針の引込み量を大小に切換えて度違いの編成を行う場合も、編目ループ長の違いが生じ、コース数の調整の対象とすることができる。
本実施の形態では、図1(c)に示すような編成編地13を、図1(b)に示すようにコース数を調整した調整編地15の編成で得ることができる。図1(a)のデザイン編地12では、ウエール方向の境界12cを挟むコース数の多少に対応して、領域12aが多コース領域となり、領域12bが少コース領域となる。図1(b)の調整編地15では、領域15a,15bをデザイン編地12の領域12a,12bにそれぞれ対応させる。領域15a,15bは、領域12bのコース数に等しい数の基底編成コース16で編成する。領域15a側のみにはさらに、領域12a,12bの差に等しい数の追加編成コース17を、基底編成コース16の間に分散するように挿入する。この結果、図1(c)に示すように、編成編地13としての外形や境界13cでの歪みを小さくすることができる。
図2は、図1(b)の調整編地15を、横編機の針床に連続して配置される編針a,b,c,…,nの区間で、平編みとして編成する過程を例示する。編針a〜gで多コースの領域15aを編成し、編針h〜nで少コースの領域15bを編成する。左側に示す数値は、相対的な編成コースの順番を示す。数値は下から上に向って増加するので、編成は図の最下段側から最上段側に進められる。
1コース目では、編針aから編針nまで連続的に給糸してニットの編目を形成する。ただし、各編針a,b,c,…,nは、すでに編目ループを係止しているものとする。編目ループが係止されていない場合は、ニットの編目の形成ではなく、編出しとなる。2コース目では、給糸方向を反転して、編針nから編針aまで連続的にニットの編目を形成する。このような1コース目と2コース目とは、図1(b)の基底編成コース16に相当する。
3コース目では、編針aから編針gまで、多コースの領域15aのみに連続的に給糸してニットの編目を形成する。少コースの領域15bに対しては、境界15c側の端部の編針hにタックで編糸を掛ける。4コース目では、給糸方向を反転して、編針gから編針aまで連続的にニットの編目を形成する。このような3コース目と4コース目とは、図1(b)の追加編成コース17に相当する。
5コース目から10コース目までは、基底編成コース16に相当する編成を行う。11コース目と12コース目とは、追加編成コース17に相当する編成を行う。13コース目と14コース目とは、基底編成コース16に相当する編成を行う。
なお、基底編成コース16と追加編成コース17とを、同一の編糸で連続的に編成しているけれども、異なる編糸で編成する区間を連結するインターシャ編成を行うようにしてもよい。また、図2では、単一の針床で編地を編成する場合について説明しているけれども、本発明は、少なくとも一対の針床が対向して設けられる横編機に、好適に適用することができる。平編みなどの組織は、一方の針床のみを使用して編成可能であっても、ゴム編みなどの組織は、両方の針床を使用して編成する。さらに、両方の針床を使用して筒状に編地を編成する場合もある。いずれの場合も、基本的には同様なコース数の調整で、歪みの小さい編地を得ることができる。
図3は、図2で説明しているような編成6を横編機で実行するための編成データを生成するデザイン装置20の概略的な構成と、デザイン装置20を使用しての編成データの概略的な作成手順と示す。
図3(a)に示すように、デザイン装置20は、編地のデザインを行うソフトウエアが動作する処理装置21を含む。処理装置21には、キーボード、デジタイザ、マウスなどの入力装置22、グラフィックディスプレイなどの表示装置23、LANなどを介しての外部との通信が可能な通信装置24、各種記録媒体を着脱可能な外部記録装置25などが接続される。処理装置21へのソフトウエアのインストールは、通信装置24を介するダウンロードによって行ったり、外部記録装置25にCD−ROMやDVD−ROMなどの記録媒体を装着して行うことができる。このソフトウエアには、図3(b)に示す手順で編成データを生成するプログラムも含むようにする。
図3(b)に示すように、編成データを生成するプログラムが開始されると、ステップs1として、操作者が入力装置22に編成すべき編地の基礎となる形状を表す型紙データを入力する。型紙データは、実際に型紙を作成し、スキャナなどで読込むことができる。また、CADソフトウエアで直接作成することもできる。さらに、単に編地の外形として設定することもできる。操作者は、表示装置23に表示されるデザイン結果を見ながら、ステップs2で型紙の各部を編成する編目ループ長や目数などの編目仕様の設定を行う。編目仕様は、たとえば特許文献1に示されているような試編みや、それまでの実績などに基づいて、適切な風合いが得られるように設定する。
ステップs3からは、デザイン装置20が自動的に動作を行う。ステップs3では、コース数調整の対象となる領域を抽出する。図1(a)のような、領域12a,12b間で編目ループ長などの編目仕様が異なるために、コース数が異なるようになる境界12cを抽出することはもちろんである。後述するように、同一の編目ループ長の編地でも、コース数が異なるように補正することが必要になる場合もある。ステップs4では、型紙としての補正が必要か否かを判断する。必要と判断すると、ステップs5で型紙の補正が行われる。型紙の補正については、後述する。
ステップs4で型紙の補正が必要でないと判断するか、ステップs5で型紙を補正すると、ステップs6で基底編成コース16を設定する。基底編成コース16は、少コース側となる領域12bのコース数だけ設定する。ステップs7では、追加編成コース17を設定する。追加編成コース17の数は、多コース側となる領域12aのコース数と少コース側となる領域12bのコース数との差とする。追加編成コース17は、基底編成コース16の間に分散して挿入する。ただし、基底編成コース16と追加編成コース17とは、図2に示すように、往復の編成を単位として設定することが好ましい。ステップs8では、コース数の調整を含む編成データを生成し、手順を終了する。
したがって、たとえば、図1(a)のように、多コース領域としての領域12aで14コース、少コース領域としての領域12bで10コースの編成を行う場合、図1(b)のように10コースの基底編成コース16と4コースの追加編成コース17とを設定する。追加編成コース17は、往復2コース分ずつ、基底編成コース16中の2カ所に分散して挿入する。基底編成コース16を3等分する位置に近く、しかも基底編成コース16も往復2コース分ずつ配置するとすれば、図1(b)に示す追加編成コース17の挿入位置は自動的に決めることができる。全体的にコース数が多くなる場合には、基底編成コース16中に追加編成コース17を均等に分散させることで直線状の境界を得ることができる。また、分散状態が均等でないように調整すれば、曲線状の境界を得ることもできる。
図4は、同一の編目ループの大きさの編地でも、図3(b)のステップs4で、型紙を補正することが必要になる場合の一例を示す。図4(a)に示す型紙30は、コース方向とウエール方向との両方から傾斜している傾斜境界30aとウエール方向の直線境界30bとを接合して立体的な編地を得るためのノッチを有する。傾斜境界30aの長さは、たとえば55.9mmとなり、直線境界30bの長さは、たとえば50mmとなる。図4(b)は、図3(b)のステップs5による補正後の補正型紙31を示す。補正前の型紙30に対応する編地では、接合時に隣接するようになる傾斜境界30aの左側の領域と直線境界30bの右側の領域とで、編成時のコース数は等しくなる。補正型紙31に対応する編地では、傾斜境界31aは図4(a)の傾斜境界30aと同一であるけれども、直線境界30bを長さが55.9mmとなる補正境界31bに補正するために、付加コース領域31cを追加する。すなわち、補正型紙31に対応する編地では、補正境界31bより右側の領域でコース数を増加させる。この結果、補正境界31bよりも右側が多コース領域となり、傾斜境界31aより左側が少コース領域となって、コース数の調整が行われる。
図4(c)は、コース数を調整した調整編地35を示す。少コース側となる領域35aは、基底編成コース36のみで編成する。多コース側となる領域35bは、基底編成コース36中に追加編成コース37を分散させて編成する。この結果、多コース側の領域35bでは、基底編成コース36と追加編成コース37とが設定順に編成される。少コース側の領域35aの編成では、多コース側の領域35bでの基底編成コース36の編成時のみ基底編成コース36を共通に編成する。編成を進めながら、領域35a,35b間は接合される。
図4(d)は、図4(c)の調整編地35の領域35a,35bを接合した接合編地38を示す。接合編地38では、調整編地35の領域35a,35bにそれぞれ対応する領域38a,38bが接合される。領域38bは、全体的に領域38aとの境界側に寄せられる。
図5は、図4(d)の接合編地38を編成する過程の例を概略的に示す。図の左側の数値は相対的な編成コースの順番を示す。図の右側の矢印は、編糸を給糸する方向を示す。1コース目と2コース目とでは、基底編成コース36を編成する。3コース目と4コース目とでは、追加編成コース37を編成する。3コース目の最後には、タック掛けを行う。次に2目分左に寄せて、5コース目と6コース目とで基底編成コース36を編成する。7コース目と8コース目とでは、タック掛けを含む追加編成コース37を編成する。さらに2目分左に寄せてから、9コース目と10コース目とで、基底編成コース36を編成する。
図6は、型紙を補正してからコース数の調整を行う他の例を示す。図6(a)に示すような型紙40で、対向する境界が屈曲している領域40aでの境界線の長さに合わせて、境界が直線状の領域40bを補正し、図6(b)に示す補正型紙41を得る。補正型紙41では、境界が屈曲する領域41aは型紙40の領域40aと同一である。境界が直線状の領域41bは、領域41に境界線の長さを合わせるように、ウエール方向に引き延されている。図6(c)に示す接合編地42は、補正型紙41に対応する編成コース数の調整を行い、基底編成コースのみで編成する領域42aに、追加編成コースを付加している領域42bを接合している。
図7は、本実施の形態でのコース数の調整を適用しながら編成するセータ50の例を示す。図7(a)に示すようなセータ50では、身頃となる上半部51R,51Lと下半部52R,52Lとの両側に袖53R,53Lを形成する。身頃の前面には、大きく上衿54R,54Lおよび下衿55R,55Lを形成し、上衿54R,54Lの頂部に首部56を形成する。セータ50は、少なくとも前後一対の針床を備える横編機によるC字状の給糸の繰り返しで編成される。たとえば、上半部51R,51Lおよび上衿54R,54Lは前針床で編成し、下半部52R,52Lおよび下衿55R,55Lは後針床で編成すると、上半部51R,51Lと下半部52R,52Lとの間は、前後の針床間の歯口を渡る部分となり、上衿54R,54Lと下衿55R,55Lとの間は分離する。セータ50は、右側の上下境界57Rが編出し部となり、左側の上下境界57Lが編み終り部となる。
図7(b)は、セータ50を横編機で編成した状態を示す。ただし、端糸や抜き糸、捨て糸などは省略する。たとえば、右側の袖53Rおよび身頃の上半部51Rや下半部52R、上衿54R、下衿55Rを上下境界57R側から編出して前後の針床で編成する。首部56を経て、左側の袖53Lおよび身頃の上半部51Lや下半部52L、上衿54L、下衿55Lを編成して、上下境界57Lで前後の編地を繋げるために、上半部51L、下半部52L、上衿54L、および下衿55Lの終端部で伏目処理を行って終了する。身頃の右側と左側とは、左右境界58を挟んで連続的に編成される。
上半部51R,51Lおよび下半部52R,52Lなどの身頃は平編みで編成し、上衿54R,54Lおよび下衿55R,55Lの衿はガーター編みで編成する。平編みとガーター編みとでは、編目ループの大きさが異なり、境界ではコース数の調整が行われる。また、首部56付近でもノッチの接合で立体的な形状を形成する境界でコース数の調整が行われる。
図8は、図7(b)に示すように編成するセータ50に対応する型紙を示す。図8(a)では、たとえば後針床で編成する下半部52R,52Lと下衿55R,55Lとの境界で、編目ループの大きさの違いをコース数で調整する。図8(b)では、たとえば前針床で編成する上半部51R,51Lと上衿54R,54Lとの境界で編目ループの大きさの調整を行うとともに、首56付近での調整も行う。上半部51Rで接合を行う外形部分は、境界線60、境界線61、境界線62、および境界線63に分けることができる。上半部51Lで接合を行う外形部分は、境界線64、境界線65、境界線66および境界線67に分けることができる。上衿54Rで接合を行う外形は、境界線70および境界線71に分けることができる。上衿54Lで接合を行う外形は、境界線72および境界線73に分けることができる。上半部51R,51Lと上衿54R,54Lとの間の接合は、境界線60、63,64,67と境界線70,71,72,73との間でそれぞれ行われる。首56付近での接合は、境界線61と境界線62との間、および境界線65と境界線66との間でそれぞれ行われる。接合の際にコース数の調整を行うことによって、図7(b)に示すようなセータ50を歪みが小さい状態で編成することができる。
本発明の実施の一形態としての編成コース数の調整方法を模式的に示す図である。 図1(b)の調整編地15を、横編機の針床に連続して配置される編針a,b,c,…,nの区間で、平編みとして編成する過程を示す編成図である。 図2で説明しているような編成6を横編機で実行するための編成データを生成するデザイン装置20の概略的な構成を示すブロック図、およびデザイン装置20を使用しての編成データの概略的な作成手順と示すフローチャートである。 図3(b)のステップs4で、コース数が異なるように補正することが必要になる場合の一例を示す図である。 図4(d)の接合編地38を編成する過程の例を概略的に示す図である。 図3(b)のステップs4で、コース数が異なるように補正することが必要になる場合の他の例を示す図である。 本実施の形態でのコース数の調整を適用しながら編成するセータ50の例を外観で示す図である。 図7のセータ50に対応する型紙を示す図である。 従来からの方法で、二つの型紙1a,1bを接合した編地をデザインし、横編機で編成して編地を製造するまでの過程を模式的に示す図である。
符号の説明
12 デザイン編地
12a,12b,13a,13b,15a,15b,35a,35b,38a,38b,40a,40b,41a,41b,42a,42b 領域
12c,13c,15c 境界
13 編成編地
15,35 調整編地
16,36 基底編成コース
17,37 追加編成コース
20 デザイン装置
30,40 型紙
30a,31a 傾斜境界
30b 直線境界
31,41 補正型紙
31b 補正境界
38,42 接合編地
50 セータ

Claims (4)

  1. 横編機で編成すべき編地の形状の基礎となる型紙に、共通の境界で接合すべき二つの領域が含まれ、二つの領域をコース方向に隣接して並行に編成すると、境界で歪みが発生する要因として、編目ループ長の違い、または接合すると境界となる部分の接合前の長さの違いのうちの少なくとも一方を有する場合に、境界での歪みが低減するように、各領域での編成コース数を調整する方法であって、
    境界での歪みが発生する要因を解消しうるコース数を、二つの領域にそれぞれ算出し、
    コース数の多い多コース領域とコース数の少ない少コース領域とを共通して編成する基底編成コースを、少コース領域のコース数に合わせて繰り返すように設定し、
    多コース領域のみに、領域間のコース数の差だけの追加編成コースを、基底編成コースの繰り返しの間に分散して挿入することを特徴とする編成コース数の調整方法。
  2. 横編機で編成する編地の基礎となる形状を表す型紙データと、型紙データに対する編成時の編目仕様とを設定すると、横編機で編地を編成するための編成データを生成するデザイン装置であって、
    型紙データと編目仕様とに基づき、共通の境界でコース方向に隣接するように接合させると、境界で歪みを発生させる要因として、編目ループ長の違い、または接合すると境界となる部分の接合前の長さの違いのうちの少なくとも一方を有する二つの領域が含まれる場合に、二つの領域を抽出する領域抽出手段と、
    領域抽出手段によって抽出される二つの領域に対し、予め定める条件に従って編成するコース数を設定するコース数設定手段と、
    コース数設定手段によって設定されるコース数が少い方の少コース領域の編成に必要な基底編成コースを、少コース領域とコース数が多い方の多コース領域とを共通に編成するように設定し、領域間のコース数の差だけの追加編成コースを、基底編成コースの繰り返しの間に分散して挿入するように調整するコース調整手段とを、
    含むことを特徴とするデザイン装置。
  3. 前記コース数設定手段は、前記編目ループ長の違いに対する前記予め定める条件として、各領域の編成時の編目仕様に基づき、編目ループ長が長い領域の編成に必要なコース数を前記少コース領域のコース数に、編目ループ長が短い領域の編成に必要なコース数を前記多コース領域のコース数に、それぞれ設定することを特徴とする請求項2記載のデザイン装置。
  4. 前記コース数設定手段は、前記境界となる部分の接合前の長さの違いに対する前記予め定める条件として、長さの短い方が長い方に合うように、長さの短い方の領域に、長さの不足分に相当する数の編成コースを追加するように設定することを特徴とする請求項2記載のデザイン装置。
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