JP2009119436A - パーテーション - Google Patents

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光 佐藤
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佳代 中野
Shinya Kasamatsu
伸矢 笠松
Keiichi Fuse
圭一 布施
Ryoto Sasaki
亮人 佐々木
Yasuhiro Shirakawa
康博 白川
Masami Okamura
正巳 岡村
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Abstract

【課題】紫外線照射手段を使用しなくとも臭気や表面に付着した汚れを分解する機能を備えたことを特徴とするパーテーションを提供する。
【解決手段】基材表面の少なくとも一部に、酸化タングステン光触媒粉末の色がL*a*b*表色系で表したとき、a*が−5以下、b*が−5以上、L*が50以上の色を有する可視光応答型光触媒粉末を塗布したパーテーション。また、光源を設置することにより夜間でも臭気や汚れを分解することを可能とする。光源は発光ダイオードが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明はパーテーションに関し、基材表面に光触媒を塗布したパーテーションに関する。
パーテーションは家庭用、業務用として様々な分野で活用されている。パーテーションとしては、布、合成繊維、ゴム、プラスチックなど様々な材料が使用されている。パーテーションは、日常生活により表面が汚れたり、外からのほこりの混ざった雨・風等によって汚れたりしている。また、パーテーションは毎日使用するものであるため、汚れがつきやすい環境にある。このような汚染を防ぐために光触媒が注目を集めている。光触媒は光触媒粉末を具備する塗料をパーテーションとなる基材表面に塗布することにより、光触媒層となる。
近年、特開2006−82071号公報(特許文献1)では光触媒粉末としては酸化チタンが利用されている。酸化チタン粉末を使うことにより、アセトアルデヒド等の有機物の分解、窒素酸化物等の分解が可能となり防汚効果を有するパーテーションが開示されている。
特開2006−82071号公報
しかしながら、上記酸化チタン粉末による光触媒は、着色性を有していることからパーテーションに用いるとパーテーションに色がついてしまい外観上の不具合が生じ易かった。また、酸化チタン粉末は紫外線領域の波長によって励起されるために、太陽光が照射されたとしても利用されるのが紫外領域だけであるため分解効率は必ずしも良いとはいえなかった。
一方、可視光応答型光触媒については、開発が進んではいるものの、未だその光触媒性能は満足できるものではなかった。
本発明は上記点に着目してなされたものであり、パーテーションに用いたとしても着色の問題を無くし、可視光を利用できる光触媒を具備したパーテーションを提供するものである。
本発明のパーテーションは、基材表面の少なくとも一部に可視光応答型酸化タングステン光触媒粉末を具備する塗料を塗布したパーテーションであって、前記酸化タングステン粉末の色をL*a*b*表色系で表したとき、a*が−5以下、b*が−5以上、L*が50以上の色を有することを特徴とするものである。
また、可視光応答型酸化タングステン光触媒粉末は、画像解析による平均粒径(D50)が1〜548nmの範囲であることが好ましい。また、基材表面に模様が描かれているパーテーションにも好適である。
また、可視光を照射する光源を設けたものであってもよい。また、光源が電球であることが好ましい。また、光源が、波長が390〜830nmの領域の光を放出する発光ダイオードであることが好ましい。また、光源が、波長が430〜500nmの領域の光を放出する発光ダイオードであることが好ましい。
本発明のパーテーションによれば、光触媒粉末の着色性を抑えていることから基材表面の色を活かすことができるので外観上の不具合を抑制できる。また、可視光を利用できるので効率よく光触媒効果を発揮することができる。そのため、防汚効果、消臭および抗菌特性の優れたパーテーションを提供することができる。
以下、図面に基づき本発明の一実施形態について説明する。図1は、パーテーションの一例を示す断面図である。図中、1は基材(パーテーション本体)、2は光触媒層である。図面では便宜上、パーテーション本体の一部の断面図を用いた。光触媒層2は酸化タングステン粉末を具備する塗料を塗布したものである。光触媒層は酸化タングステン粉末の充填率が任意であるが30〜99%の範囲が好ましい。また、光触媒層は基材表面の少なくとも一部に設けられていればよい。好ましくは全面に光触媒層を設ける構造である。充填率とは光触媒層表面をEPMAにより面分析したときに(光触媒粉末存在する合計面積/測定面積)×100(%)で求めることができる。
基材1は、繊維、合成繊維、ガラス繊維、プラスチック、ゴムなど様々なものを用いることができる。基材1の厚さ、サイズ(縦横サイズ)は任意である。つまり、パーテーションのサイズ、形は任意である。また、光触媒層はパーテーションを完成させてから設けても良いし、予めパーテーションの基材表面に光触媒層を設けてから製造してもよい。また、本発明の光触媒粉末は着色性が低いのでパーテーションの基材表面に模様が描かれていたとしても、外観上模様に悪影響を与えないで済む。言い換えれば、模様の付いたパーテーションに効果的である。
図2に光源を具備するパーテーションの一例を示した。図中、1は基材、2は光触媒層、3は光源である。また、図2はパーテーションの一部を抜き出した例である。光源は図2に示したように基材に直接つけて光触媒層を照らすようにしてもよいし、基材表面に埋め込むようにして光を光触媒層に照射しても良い。また、例えばバッジ等のアクセサリーとして取り付けるような形式であっても良い。また、パーテーションを取り付ける付近に光源を設置しても良い。本発明では光源からの可視光が届くところに配置されたものを「光源を具備するパーテーション」と称する。
光源については、電球や発光ダイオードなどが挙げられる。これらは可視光領域で発光するものが好ましい。光源により可視光を照射することにより太陽光の無い夜間でも光触媒効果を発揮することができる。また、光源としては電球よりも発光ダイオードの方が消費電力が小さいので好ましい。発光ダイオードの波長が390〜830nm、さらには波長が430〜500nmの領域にピーク波長を具備するものが好ましい。可視光領域の波長であれば人体への影響も少ない。また、発光ダイオードであれば小型化・薄型化できるのでアクセサリーに埋め込むことも可能である。
また、光源の数は任意である。太陽光が直接当たり難い環境下や夜間に光触媒効果を発揮させたい場合は光源を設けることが好ましい。このとき、一個の光源では可視光の照射範囲が狭い場合は、必要に応じ、光源の個数を増やすことが好ましい。また、基材が透明材料であった場合、基材の内側に光源を設けることも可能である。
本発明のパーテーションは、上記基材表面に可視光応答型酸化タングステン光触媒粉末を具備する塗料を塗布したものである。このとき、可視光応答型酸化タングステン光触媒粉末を具備する塗料が0.01〜5.0μmの厚みで塗布されていることが好ましい。塗料の厚みとは乾燥後の厚みである。塗料の厚みが0.01μm未満では光触媒粉末量が少なく十分な光触媒効果が得られないおそれがある。一方、5.0μmを越えると外気に触れない光触媒粉末が増えそれ以上の光触媒効果が得られないおそれがある。
前記可視光応答型酸化タングステン光触媒は、その色をL*a*b*表色系(エルスター・エースター・ビースター表色系)で表したとき、a*が−5以下、b*が−5以上、L*が50以上の色を有している。
L*a*b*表色系は物体色を表すのに用いられる方法で、1976年に国際照明委員会(CIE)で規格化され、二本ではJIS Z−8729に規定がある。L*は明度を表し、a*とb*とで色相と彩度を表すものである。L*が大きいほど明るいことを示す。a*とb*は色の方向を示しており、a*は赤方向、−a*は緑方向、b*は黄方向、−b*は青方向を示す。また、彩度(c*)=((a*)+(b*)1/2で示される。
この実施形態の酸化タングステン光触媒粉末はa*が−5以下、b*が−5以上、L*が50以上の色を有している。これは酸化タングステン光触媒粉末が黄色から緑色付近の色相を有し、かつ彩度や明度が高いことを示しており、このような光学特性を持つ場合に、可視光励起による光触媒性能を向上されることが可能となる。酸化タングステン光触媒粉末の色調は酸素欠損等による組成変動や光の照射等に基づいて変化するものと考えられ、上記したような色相、彩度、明度を有する場合に良好な光触媒性能が得られる。
青色付近の色相を有する場合には酸素欠損などが多いと考えられ、そのような色相を有する酸化タングステン粉末では十分な光触媒性能を得ることができない。つまり、a*が−5を超えたり、b*が−5未満の場合には、十分な光触媒性能を得ることができない。これは酸素欠損等に基づいて酸化タングステン(WO)に組成変動が生じているためと考えられる。同様に、L*が50未満の場合にも十分な光触媒性能を得ることができない。
従って、酸化タングステン粉末の色相を示すa*が−5以下、b*が−5以上で、明度を示すL*で50以上の場合に、良好な光触媒性能を再現性良く得ることが可能となる。酸化タングステン光触媒はa*が−8以下、b*が3以上、L*が65以上の色を呈することが好ましく、このような場合に光触媒性能がさらに向上する。さらに、a*は−20〜−10の範囲、b*は5〜35の範囲、L*は80以上であることがより望ましい。
また、可視光応答型酸化タングステン光触媒粉末は、1〜548nmの範囲の平均粒径(D50)であることが好ましい。ここで、平均粒径(D50)はSEMやTEM等の写真の画像解析から、n=50個以上の粒子の平均粒径により求めるものとする。
光触媒材料の性能は比表面積が大きく、粒径が小さい方が高くなる。平均粒径(D50)は1〜75nmの範囲であることが好ましく、さらに好ましくは3.3〜15nmの範囲である。酸化タングステン光触媒粉末の光触媒性能を高める上で、平均粒径が小さい方が好ましいが、酸化タングステン光触媒粉末の粒径が小さすぎると粒子の分散性が低下して均一な塗料が得られにくくなるため、分散方法に注意が必要である。
この実施形態による可視光応答型酸化タングステン光触媒粉末によれば、その色調を適切化した酸化タングステン粉末を使用しているため、可視光励起による光触媒性能の向上並びに安定化を図ることが可能となる。さらに酸化タングステン光触媒粉末の平均粒径を制御することで、光触媒性能をより一層向上させることができる。
また、例えば、基材として透明材料を用いる場合、酸化タングステン光触媒粉末を具備する塗料を塗布したパーテーションは、波長550nmによる光透過性が5%以上であることが好ましい。例えば、基材が透明材料であった場合、基材の内側に光源を設けることによって光触媒効果を得ることも可能である。また、室内照明などから照射された可視光を利用して光触媒効果を得ることも可能である。好ましくは波長550nmによる光透過率は好ましくは50%以上である。
したがって、前記可視光応答型酸化タングステン光触媒粉末を具備する塗料を塗布したパーテーションは、太陽光または各種光源から照射された可視光により可視光応答型酸化タングステン光触媒粉末が励起し、パーテーションに付着した油分などの汚れ物質や、臭気が光触媒面と接触することによって、分解、除去といった効果が得られる。
ここで可視光とは波長が390〜830nmの領域の光を示す。通常使用されている室内灯は発光波長域が可視光領域を有するため、紫外線で励起される酸化チタン系の光触媒を用いた場合、紫外線を照射する別のランプが必要であった。一方、本発明の光触媒は、可視光応答型であるため、通常使用されている庫内灯を光触媒照射のための励起源として使用することができる。
本実施形態の酸化タングステン光触媒粉末は可視光領域の光で光触媒特性を発現するが、特に430〜500nmの光を照射したときの光触媒性能に優れている。波長430〜500nmの光を発する励起源としては、蛍光灯、発光ダイオード等が挙げられる。特に青色発光ダイオードは波長430〜500nmの光のみを放出することができ、エネルギー効率がよく、消費電力量も低く抑えることができる。青色発光ダイオードをパーテーション付近に設置し、夜間等の太陽光の照射が行われない時間に点灯させるようにすれば、夜間も光触媒効果が得られる。
上述した実施形態の可視光応答型酸化タングステン光触媒粉末は、例えば以下のようにして作製される。原料となる酸化タングステン粉末は昇華工程を適用して作製される。また、昇華工程に熱処理工程を組合せることも有効である。昇華工程もしくは昇華工程と熱処理工程との組合せを適用して作製した酸化タングステン粉末によれば、上述した色調や好ましい平均粒径を有した、粒径ばらつきの小さい光触媒材料を安定して提供することができる。
まず、昇華工程について述べる。昇華工程は、金属タングステン粉末、タングステン化合物粉末、またはタングステン化合物溶液を、酸素雰囲気中で昇華させることによって、酸化タングステン粉末を得る工程である。昇華とは固相から気相、あるいは気相から固相への状態変化が、液相を経ずに起こる現象である。原料としての金属タングステン粉末、タングステン化合物粉末、またはタングステン化合物溶液を、昇華させながら酸化させることによって、微粉末状態の酸化タングステン粉末を得ることができる。
昇華工程の原料(タングステン原料)には、金属タングステン粉末、タングステン化合物粉末、またはタングステン化合物溶液のいずれを使用してもよい。原料として使用するタングステン化合物としては、例えば三酸化タングステン(WO)、二酸化タングステン(WO)、低級酸化物等の酸化タングステン、炭化タングステン、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸カルシウム、タングステン酸等が挙げられる。
上述したようなタングステン原料の昇華工程を酸素雰囲気中で行うことで、金属タングステン粉末やタングステン化合物粉末を瞬時に固相から気相とし、さらに気相となった金属タングステン蒸気を酸化することによって酸化タングステン微粉末が得られる。溶液を使用した場合でも、タングステン酸化物あるいは化合物を経て気相となる。このように、気相での酸化反応を利用することによって、酸化タングステン微粉末を得ることができる。さらに、酸化タングステン微粉末の色調を制御することができる。
昇華工程の原料としては、酸素雰囲気中で昇華して得られる酸化タングステン粉末に不純物が含まれにくいことから、金属タングステン粉末、酸化タングステン粉末、炭化タングステン粉末、およびタングステン酸アンモニウム粉末から選ばれる少なくとも1種を使用することが好ましい。金属タングステン粉末や酸化タングステン粉末は、昇華工程で形成される副生成物(酸化タングステン以外の物質)として有害なものがふくまれないことから、特に昇華工程の原料として好ましい。
原料に用いるタングステン化合物としては、その構成元素としてタングステン(W)と酸素(O)を含む化合物が好ましい。構成成分としてWおよびOを含んでいると、昇華工程で後述する誘導結合型プラズマ処理等を適用した際に瞬時に昇華されやすくなる。このようなタングステン化合物としては、WO、W2058、W1849、WO等が挙げられる。また、タングステン酸、パラタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸アンモニウムの溶液あるいは塩等も有効である。
タングステン原料としての金属タングステン粉末やタングステン化合物粉末は0.1〜100μmの範囲の平均粒径を有することが好ましい。タングステン原料の平均粒径は0.3μm〜10μmの範囲がより好ましく、さらに好ましくは0.3μm〜3μmの範囲、望ましくは0.3μm〜1.5μmの範囲である。上記範囲内の平均粒径を有する金属タングステン粉末やタングステン化合物粉末を用いると、昇華が生じやすい。
タングステン原料の平均粒径が0.1μm未満の場合には原料粉が微細すぎるため、原料粉の事前調整が必要になったり、取扱い性が低下することに加えて、高価になるために工業的に好ましくない。タングステン原料の平均粒径が100μmを超えると均一な昇華反応が起きにくくなる。平均粒径が大きくても大きなエネルギー量で処理すれば均一な昇華反応を生じさせることができるが、工業的には好ましくない。
昇華工程でタングステン原料を酸素雰囲気中で昇華させる方法としては、誘導結合型プラズマ処理、アーク放電処理、レーザ処理、電子線処理、およびガスバーナー処理から選ばれる少なくとも1種の処理が挙げられる。これらのうち、レーザ処理や電子線処理ではレーザまたは電子線を照射して昇華工程を行う。レーザや電子線は照射スポット径が小さいため、一度に大量の原料を処理するためには時間がかかるものの、原料粉の粒径や供給量の安定性を厳しく制御する必要がないという長所がある。
誘導結合型プラズマ処理やアーク放電処理は、プラズマやアーク放電の発生領域の調整が必要であるものの、一度に大量の原料粉を酸素雰囲気中で酸化反応させることができる。また、一度に処理できる原料の量を制御することができる。ガスバーナー処理は動力費が比較的安いものの、原料粉や原料溶液を多量に処理することが難しい。このため、ガスバーナー処理は生産性の点で劣るものである。なお、ガスバーナー処理は昇華させるのに十分なエネルギーを有するものであればよく、特に限定させるものではない。プロパンガスバーナーやアセチレンガスバーナー等が用いられる。
昇華工程に誘導結合型プラズマ処理を適用する場合、通常アルゴンガスや酸素ガスを用いてプラズマを発生させ、このプラズマ中に金属タングステン粉末やタングステン化合物粉末を供給する方法が用いられる。プラズマ中にタングステン原料を供給する方法としては、例えば金属タングステン粉末やタングステン化合物粉末をキャリアガスと共に吹き込む方法、金属タングステン粉末やタングステン化合物粉末を所定の液状分散媒中に分散させた分散液を吹き込む方法が挙げられる。
金属タングステン粉末やタングステン化合物粉末をプラズマ中に吹き込む場合に用いられるキャリアガスとしては、例えば空気、酸素、酸素を含有した不活性ガス等が挙げられる。これらのうち、空気は低コストであるために好ましく用いられる。キャリアガスの他に酸素を含む反応ガスを流入する場合や、タングステン化合物粉末が三酸化タングステンの場合等、反応場中に酸素が十分に含まれているときには、キャリアガスとしてアルゴンやヘリウム等の不活性ガスを用いてもよい。反応ガスには酸素や酸素を含む不活性ガス等を用いることが好ましい。酸素を含む不活性ガスを用いる場合、酸化反応に必要な酸素量を十分に供給することが可能なように、酸素量を設定することが好ましい。
金属タングステン粉末やタングステン化合物粉末をキャリアガスと共に吹き込む方法を適用すると共に、ガス流量や反応容器内の圧力等を調整することによって、酸化タングステン光触媒粉末の色調を制御することができる。具体的には、上述したL*a*b*表色系で表される色調を有する酸化タングステン光触媒粉末が得られやすい。
金属タングステン粉末やタングステン化合物粉末の分散液の作製に用いられる分散媒としては、分子中に酸素原子を有する液状分散媒が挙げられる。分散液を用いると原料粉の扱いが容易になる。分子中に酸素原子を有する液状分散媒としては、例えば水およびアルコールから選ばれる少なくとも1種を20容量%以上含むものが用いられる。液状分散媒として用いるアルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノールおよび2−プロパノールから選ばれる少なくとも1種が好ましい。水やアルコールはプラズマの熱で容易に揮発しやすいため、原料粉の昇華反応や酸化反応を妨害することはなく、分子中に酸素を含有していることから酸化反応を促進しやすい。
金属タングステン粉末やタングステン化合物粉末を分散媒に分散させて分散液を作製する場合、金属タングステン粉末やタングステン化合物粉末は分散液中に10〜95質量%の範囲で含ませることが好ましく、さらに好ましくは40〜80質量%の範囲である。このような範囲で分散液中の分散させることで、金属タングステン粉末やタングステン化合物粉末を分散液中に均一に分散させることができる。均一に分散していると原料粉の昇華反応が均一に生じやすい。分散液中の含有量が10質量%未満では原料粉の量が少なすぎて効率よく製造ができない。95質量%を超えると分散液が少なく、原料粉の粘性が増大することで、容器にこびりつき易くなるために取扱い性が低下する。
金属タングステン粉末やタングステン化合物粉末を分散液にしてプラズマ中に吹き込む方法を適用することによって、酸化タングステン光触媒粉末の色調を制御しやすい。さらに、タングステン化合物溶液を原料として用いることによっても、昇華反応を均一に行うことができ、酸化タングステン光触媒粉末の色調の制御性が向上する。分散液を用いる方法は、アーク放電処理にも適用することが可能である。
レーザや電子線を照射して昇華工程を実施する場合は、金属タングステンやタングステン化合物をペレット状にしたものを原料として使用することが好ましい。レーザや電子線は照射スポット径が小さいため、金属タングステン粉末、タングステン化合物粉末を用いることで効率よく昇華させることができる。レーザは金属タングステンやタングステン化合物を昇華させるのに十分なエネルギーを有するものであればよく、特に限定されるものではないが、COレーザが高エネルギーであるために好ましい。
レーザや電子線をペレットに照射する際に、レーザ光や電子線の照射源またはペレットの少なくとも一方を移動させると、ある程度の大きさを有するペレットの前面を有効に昇華することができる。これによって、所定の色調を有する酸化タングステン光触媒粉末が得られやすくなる。上記したようなペレットは誘導結合型プラズマ処理やアーク放電処理にも適用することができる。
この実施形態の可視光応答型酸化タングステン光触媒は上述したような昇華工程のみによっても得ることができるが、昇華工程で作製した酸化タングステン粉末に熱処理工程を実施することも有効である。熱処理工程は、昇華工程で得られた酸化タングステン粉末を、酸化雰囲気中にて所定の温度と時間で熱処理するものである。昇華工程の条件制御等で酸化タングステン粉末の色調や平均粒径にばらつきがあったり、光触媒の特性が不安定な場合でも、熱処理を施すことで色調や平均粒径のばらつきを低減し、その結果、光触媒特性を安定させることができる。
熱処理工程で用いられる酸化雰囲気としては、例えば空気や酸素含有ガスが挙げられる。酸素含有ガスとは、酸素を含有した不活性ガスを意味する。熱処理温度は300〜1000℃の範囲とすることが好ましく、さらに好ましくは500〜700℃である。熱処理時間は10分から2時間とすることが好ましく、さらに好ましくは30分〜1.5時間である。熱処理工程の温度および時間を上記範囲内にすることによって、所定の特性を有する酸化タングステン光触媒を形成しやすい。
熱処理温度が300℃未満の場合には、酸化タングステン粉末の色調や平均粒径のばらつきを十分低減することができない。一方、熱処理温度が1000℃を超えると酸化タングステン微粒子が急激に粒成長するため、得られる酸化タングステン粉末の粒径が大きくなってしまい、光触媒性能が低下してしまう。上記したような温度と時間で熱処理工程を制御することによって、酸化タングステン光触媒粉末の色調を調整することが可能となる。
次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について述べる。なお以下の実施例では昇華工程に誘導結合型プラズマ処理を適用しているが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
原料粉末として平均粒径が0.5μmの三酸化タングステン粉末を用意した。この原料粉末をキャリアガス(Ar)と共にRFプラズマに噴霧し、反応ガスとしてアルゴン80L/min、酸素5L/minの流量で流し、原料粉末を昇華させながら酸化反応させる昇華工程を実施して、酸化タングステン粉末を作製した。さらに得られた酸化タングステン粉末を900℃×1.0hの条件で熱処理を行い、酸化タングステン光触媒粉末を作製した。
得られた酸化タングステン光触媒粉末のL*a*b*表色系の各数値、TEM写真の画像解析による平均粒径を測定した。L*a*b*の測定はコニカミノルタ社製分光側色計CM−2500dを用いて行った。TEM観察は日立社製H−7100FAを使用し、拡大写真を画像解析にかけて粒子50個以上を抽出し、体積基準の積算径を求めてD50を算出した。
L*a*b*表色系による色の測定結果および平均粒径(D50)の測定結果を表2に示す。この可視光応答型酸化タングステン光触媒粉末を具備する塗料を基材表面に塗布し、アセトアルデヒドの分解能力を測定、評価した。アセトアルデヒドガスの分解性能は、JIS−R−1701−1(2004)の窒素酸化物の除去性能(分解能力)評価と同様の流通式の装置を用いて、以下に示す条件で行った。ガス分析装置としてはINOVA社製マルチガスモニタ1412を使用した。
アセトアルデヒドガスの分解性能評価において、アセトアルデヒドガスの初期濃度は10ppm、ガス流量は140mL/minとし、5×10cmのパーテーション(市販の布製業務用パーテーションを切出したもの)に厚さ0.5μmで塗布した。前処理はブラックライトで12時間照射した。光源に蛍光灯(東芝ライテック社製FT−21001N−GL15)を使用し、アクリル板で400nm以下の波長をカットした。照度は6000lxとした。初めに光を照射せずにガス吸着がなくなり安定するまで待つ。安定した後に光照射を開始する。このような条件下で光を照射し、15分後のガス濃度を測定してガス残存率を求める。ただし、15分経過後もガス濃度が安定しない場合には、安定するまで継続して濃度を測定する。
(実施例2)
原料粉末として平均粒径が0.5μmの三酸化タングステン粉末を用意した。この原料粉末をキャリアガス(Ar)と共にRFプラズマに噴霧し、さらに反応ガスとしてアルゴンを80L/minの流量で流し、原料粉末を昇華させながら酸化反応させる昇華工程を実施して、酸化タングステン粉末を作製した。さらに得られた酸化タングステン粉末を550℃×0.5hの条件で熱処理を行い、酸化タングステン光触媒粉末を作製した。得られた酸化タングステン光触媒粉末について、実施例1と同様の測定、評価を行い、結果を表2に示す。この酸化タングステン光触媒粉末を具備する塗料を塗布し、実施例1と同様の評価を行った。
(実施例3)
原料粉末として平均粒径が0.5μmの三酸化タングステン粉末を用意した。この原料粉末をキャリアガス(Ar)と共にRFプラズマに噴霧し、さらに反応ガスとして酸素を75L/minの流量で流し、原料粉末を昇華させながら酸化反応させる昇華工程を実施して、酸化タングステン光触媒粉末を作製した。得られた酸化タングステン光触媒粉末について、実施例1と同様の測定、評価を行い、結果を表2に示す。この酸化タングステン光触媒粉末を具備する塗料を塗布し、実施例1と同様の評価を行った。なお、基材として表面がゴムでできた業務用パーテーションを切出したものを用いた。
(比較例1)
反応容器内の圧力を30kPaと減圧側に調整する以外は、実施例1と同様の昇華工程を実施して、酸化タングステン光触媒粉末を作製した。尚、昇華工程後の熱処理は実施しなかった。得られた酸化タングステン光触媒について、実施例1と同様の測定、評価を行い、結果を表2に示す。この酸化タングステン光触媒を具備する塗料を塗布し、実施例1と同様の評価を行った。
(比較例2)
実施例1と同様のパーテーションに光触媒を塗布せず、実施例1同様、アセトアルデヒドガスの分解性能の評価を行った。
(比較例3)
実施例1と同様のパーテーションに紫外線励起光触媒である酸化チタンを塗布し、実施例1同様、アセトアルデヒドガスの分解性能の評価を行った。
(実施例4)
実施例2で得られた酸化タングステン光触媒粉末を具備する塗料を塗布した試料を用いて、光源を青色LEDとして実施例1と同様の評価を行った。
表2に各実施例と比較例における測定結果を示す。この結果によれば、酸化タングステン光触媒粉末のL*a*b*表色系の各数値が本発明を満たす酸化タングステン光触媒粉末を塗布したものは、アセトアルデヒドガスの分解性能が高く、光触媒効果が高いことがわかる。さらに、青色LEDを照射したサンプルはさらに効果が大きかった。
Figure 2009119436
Figure 2009119436
以上のように、本実施例にかかるパーテーションは可視光応答型酸化タングステン光触媒を具備する塗料を基材表面の少なくとも一部に塗布することによって、新たに紫外線照射手段を設置せずとも可視光を点灯することにより光触媒が励起され、脱臭、汚れ物質を分解する効果を得ることができる。また、可視光応答型酸化タングステン光触媒粉末の色や粒径に基づいて光触媒性能の向上並びに安定化を図ることができる。特に着色性の問題を解決できるのでパーテーションに有効である。
なお、本実施例では基材として市販のパーテーションを利用したが、これ以外にも、模様のついたパーテーションを用いたが外観上の不具合は確認されなかった。
(実施例1A〜4A、比較例1A〜3A)
次に実施例1〜4、比較例1〜3のパーテーションについて抗菌特性を調べた。抗菌特性については、黄色ブドウ球菌を入れた水を各試料(実施例、比較例)に塗布し、48時間後の菌のコロニー数を調べた。光源としては実施例1と同様のものを用い30分に1回、1分間可視光を照射した。以下にその結果を示す。
Figure 2009119436
以上のように、本実施例による可視光応答型酸化タングステン光触媒を具備する塗料を塗布したパーテーションは除菌、汚れ防止の効果を得ることができる。また、青色LEDを使用すると、さらに大きな効果を得ることができる。
本発明のパーテーションの一例を示す断面図である。 本発明の光源を設置したパーテーションの一例を示す断面図である。
符号の説明
1…基材
2…光触媒層
3…光源

Claims (7)

  1. 基材表面の少なくとも一部に可視光応答型酸化タングステン光触媒粉末を具備する塗料を塗布したパーテーションであって、前記酸化タングステン粉末の色をL*a*b*表色系で表したとき、a*が−5以下、b*が−5以上、L*が50以上の色を有することを特徴とするパーテーション。
  2. 請求項1に記載したパーテーションにおいて、可視光応答型酸化タングステン光触媒粉末は、画像解析による平均粒径(D50)が1〜548nmの範囲であることを特徴とするパーテーション。
  3. 請求項1または請求項2に記載のパーテーションにおいて、パーテーションは基材表面に模様が描かれているものであることを特徴とするパーテーション。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のパーテーションにおいて、可視光を照射する光源を設けたことを特徴とするパーテーション。
  5. 請求項4のパーテーションにおいて、光源が電球であることを特徴とするパーテーション。
  6. 請求項5のパーテーションにおいて、光源が、波長が390〜830nmの領域の光を放出する発光ダイオードであることを特徴とするパーテーション。
  7. 請求項6に記載のパーテーションにおいて、光源が、波長が430〜500nmの領域の光を放出する発光ダイオードであることを特徴とするパーテーション。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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