JP2009115525A - 重力勾配計測装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】
重力勾配計における計測の繰り返し回数及び計測精度を向上させる。
【解決手段】
マイケルソン干渉計の2つの鏡に相当する物体を別々に自由落下させ、それらの間の変位の時間変化を干渉計の出力で計測する。第1反射鏡4A及びビームスプリッタ5を備えた第1自由落下体1と、第2反射鏡4Bを備えた第2自由落下体2と、を自由落下させる。自由落下体1,2のリリース機構は、圧電素子160を用いている。重力勾配計測装置は、落下機構及び復帰機構を構成する第1支持機構12,13、第2支持機構14,15を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、重力勾配計測装置に係り、好ましくは、移動体に搭載して用いられる重力勾配計測装置に関するものである。
重力加速度の測定において、1マイクロGalの感度で重力加速度を計測できる装置としては、FG5絶対重力加速度計とLaCoste Romberg重力計が知られている。FG5絶対重力加速度計(特許文献1)は、自由落下による落体の絶対加速度をμGalの精度で計測する。La-Coste Romberg 重力計は、相対的な重力加速度を1μGalの精度で計測するものであり、主としてフィールドワーク用として用いられる。いずれも資源探査や地球物理学研究に応用されているが、短時間に広範囲の面積をサーベイするために飛行船等の移動体上でしようすると計測時における運動体の加速度を差し引かなければ正しい計測値にならない。しかし、運動体の加速度を1マイクロGalレベルで知ることはGPSや地上とのレーザ測距技術で位置の計測精度を8桁に高めることを意味し現実には不可能である。
そこで、資源探査等で要求される重力加速度値は絶対値ではなく重力加速度の変化(勾配)であることに着目し、飛行船等の運動が計測に影響を及ぼさない形式で精密に重力加速度の勾配を計測することを考えた。重力勾配の測定原理はマイケルソン干渉計の2つの鏡に相当する物体を別々に自由落下させ、それらの間の変位の時間変化を干渉計の出力で計測することである。重力勾配計測は、地球重力が打ち消される測定原理を採用しており、局所的な質量分布による重力の変化のみを取り出すようになっている。この工夫のおかげで、計測器自体が加速度運動をしていてもその加速度は測定値に反映しないため、移動体の加速度の影響を受けない。
重力勾配計については、既に、幾つかの提案がなされている(特許文献2乃至特許文献6)。これらは、重力加速度の勾配を計測するという基本的なアイデアを開示するものであるが、実用を考えた場合には、計測の繰り返し回数の制限や精度の面で課題がある。実際、この種の重力勾配計はかなり前にそのアイデアが示されたにもかかわらず、長年に亘って実用化には至っていない。すなわち、重力勾配計における計測の繰り返し回数の向上や計測精度の向上は長年に亘って解決できなかった課題である。
十分な計測精度を備えた2台のFG5絶対重力加速度計を用い同時計測を行って重力勾配を計測することも想定し得るが、その場合には重力加速度の基準となる参照反射鏡の加速度の同一性が補償されず、系統誤差が発生するおそれがあると共に装置全体が大型化しコストも増大する。
米国特許第5351122号 特開昭47−18578号 米国特許第3688584号 米国特許第3693451号 米国特許第3704626号 米国特許第3727462号
本発明は、上述の課題を解決することを目的とするものである。
かかる課題を解決するために本発明が採用した重力勾配計測装置は、
第1反射鏡を備えた第1自由落下体と、
第2反射鏡を備えた第2自由落下体と、
固定部と、固定部に対して上側位置と下側位置との間で上下動可能な可動部とを備え、前記可動部に第1自由落下体を吊持してなる第1吊持機構と、
固定部と、固定部に対して上側位置と下側位置との間で上下動可能な可動部とを備え、前記可動部に第2自由落下体を吊持してなる第2吊持機構と、
第1自由落下体を、上側位置にある第1吊持機構の可動部からリリースさせる第1リリース機構と、
第2自由落下体を、上側位置にある第2吊持機構の可動部からリリースさせる第2リリース機構と、
第1吊持機構の可動部を上下動させる機構であって、第1自由落下体のリリース時に第1自由落下体の自由落下よりも大きい加速度で可動部を下動させ、第1自由落下体の自由落下後には、下側位置にある可動部を当該可動部に吊持された第1自由落下体と共に上側位置まで上動させるように構成された第1支持機構と、
第2吊持機構の可動部を上下動させる機構であって、第2自由落下体のリリース時に第2自由落下体の自由落下よりも大きい加速度で可動部を下動させ、第2自由落下体の自由落下後には、下側位置にある可動部を当該可動部に吊持された第2自由落下体と共に上側位置まで上動させるように構成された第2支持機構と、
少なくとも、前記第1自由落下体、第2自由落下体を真空状態で収容するケーシングと、
光源と、
前記第1自由落下体及び前記第2自由落下体の自由落下時に、前記光源から出射された光ビームを前記第1反射鏡、前記第2反射鏡にそれぞれ仕向け、前記第1反射鏡及び前記第2反射鏡からの両反射光ビームの干渉を生成するようなマイケルソン干渉計を構成する光学系と、
前記光学系によって生成された干渉光を受光する光検出器と、
前記光検出器で受光された干渉光から重力勾配を取得する手段と、
からなる。
一つの好ましい態様では、前記第1自由落下体は、さらにビームスプリッタを備えており、前記第1自由落下体及び前記第2自由落下体は、光源から出射された光ビームを当該ビームスプリッタで前記第1反射鏡、前記第2反射鏡にそれぞれ仕向け、前記第1反射鏡及び前記第2反射鏡からの反射光ビームを当該ビームスプリッタが受光して両反射光ビームの干渉を生成するように配設されている。
一つの好ましい態様では、前記第1リリース機構及び第2リリース機構は、それぞれの可動部に設けられた圧電素子を備えており、電圧印加に応じて、各圧電素子を伸長させて各自由落下体を上動させた後に瞬時に伸縮させることで、各自由落下体を各吊持機構の可動部からリリースするように構成されている。
一つの態様では、前記圧電素子は、各可動部が各自由落下体を支承する支承部に設けてある。より具体的な態様例では、各可動部は、四周枠体であり、前記支承部は、当該四周枠体の水平状の下フレームに形成されている。
一つの態様では、前記圧電素子は、各可動部の部位において、各可動部を上方に伸長させるように配設してあり、当該圧電素子を伸長させることで、各可動部から吊持されている各自由落下体の高さを上動させるように構成されている。より具体的な態様例では、各可動部は、四周枠体であり、前記圧電素子は、当該四周枠体の左右の側フレームに設けてある。
一つの態様では、各自由落下体は、点接触で各可動部から吊持されている。より具体的な態様例では、可動部の支承部の上端に小球を設け、当該小球を介して自由落下体を支持する。あるいは、各自由落下体側に小球を設け、可動部の支承部の上端に小球の受部を形成してもよい。
一つの態様では、各支持機構は、
上側位置にある各可動部を下側に向かって付勢する手段と、
上側位置にある各可動部に対して係脱自在であり、可動部を上側位置で保持する係止手段と、
各可動部を下側位置から上側位置に上動させる手段と、
を備えている。
さらに具体的な態様例では、前記上動手段は、各可動部に連結された引き上げ棒と、引き上げ棒を上動させる駆動手段と、を備えている。駆動手段の駆動源としては典型的にはモータが例示される、モータの回転力を伝動手段を介して引き上げ棒の上下動に伝達することで、引き上げ棒を上下動できるように構成される。伝動手段としては、カムを用いたものやギアを用いたものが例示される。
一つの態様では、前記第1自由落下体、前記第2自由落下体は、垂直方向に間隔を存して配置されており、垂直重力勾配を計測するように構成されている。
一つの態様では、前記第1自由落下体、前記第2自由落下体は、水平方向に間隔を存して配置されており、水平重力勾配を計測するように構成されている。
一つの態様では、
前記第1自由落下体の落下体本体には、第1反射鏡を抜き差し自在に収容する2つの収容部が形成されており、
第1反射鏡が第1収容部に位置する時は、第1の方向からの光ビームを反射し、
第1反射鏡が第2収容部に位置する時は、第1の方向とは直交する第2の方向からの光ビームを反射する。
こうすることで、垂直重力勾配測定・水平重力勾配測定兼用の自由落下体を形成することができる。
一つの態様では、
前記第2自由落下体の落下体本体には、互いに直交する方向に延出する第1吊持部と第2吊持部とが設けあり、
前記第1吊持部及び第2吊持部は、それぞれ可動部に対して脱着可能となっており、
第2自由落下体が第1吊持部を介して可動部から吊持されている時は、第2反射鏡は、第1の方向からの光ビームを反射し、
第2自由落下体が第2吊持部を介して可動部から吊持されている時は、第2反射鏡は、第1の方向とは直交する第2の方向からの光ビームを反射する。
第1吊持部及び第2吊持部を可動部に対して脱着可能とする構成は、これら吊持部と可動部のいずれか一方あるいは両方を分解自在あるいは部分を回動自在とすることで可能である。
こうすることで、垂直重力勾配測定・水平重力勾配測定兼用の自由落下体を形成することができる。
本発明によれば、計測の繰り返し回数を上げることができる重力勾配計測装置を提供することができる。具体的には、落下機構及び復帰機構を構成する第1支持機構、第2支持機構を採用することで、計測の繰り返し回数を上げることができる。
本発明は、シンプルな構成でありながら、計測精度を向上させることができる。具体的には、ビームスプリッタを第1自由落下体に搭載することで、そうでない場合に必要な光学鏡の数を減らすことができ(結果として、それらの機械的振動の影響を除くことができる)、また、測定時間内に起こるビームスプリッタおよび必要な鏡の機械的振動の影響を無くすことができる。さらに、自由落下体のリリース機構として圧電素子を用いることで、自由落下体の傾き回転速度が小さくなるように高速で切り離すことができる。すなわち、高精度測定に必須の要件である落下体の角速度を最小限に抑えることができる。
重力勾配計測装置は、重力だけのもとで自由に運動する2つの自由落下体の間の相対加速度を計測するものである。以下に、本発明に係る垂直重力勾配計測装置及び水平重力勾配計測装置について、図面を参照しつつそれぞれ説明する。各図面において、同一の部材については同一の参照番号を付してある。また、同一の参照番号を付した部材に関する記載は、垂直重力勾配計測装置と水平重力勾配計測装置との間で必要に応じて互いに援用することができるものとする。
垂直重力勾配計測装置について、図1乃至図5に基づいて説明する。垂直重力勾配計測装置は、第1自由落下体1と、第2自由落下体2と、を備えている。垂直重力勾配計測装置の本体ケーシング3の内部空間は、仕切壁30を介して超高真空部3Aと、超高真空部3Aの下方の大気圧部3Bとに区分けされている。本体ケーシング3の壁面には超高真空部3Aを形成するための真空排気装置31が連結されている。第1自由落下体1及び第2自由落下体2は、本体ケーシング3の超高真空部3A内に垂直方向に間隔を存して配置されている。図示の態様例では、第1自由落下体1が下側に、第2自由落下体2が上側に配置されている。
第1自由落下体1は、本体10と、本体10の上端に形成された吊持部11と、からなる。本体10には、第1反射鏡4A、ビームスプリッタ5、反射鏡6Aが備わっている。吊持部11は、本体10の上端から上方に立ち上がり状に延出する左右の側フレーム11a,11bと、左右の側フレーム11a,11bの上端間を一体的に連結する上側の水平フレーム11cとからなる。本体10には、第1反射鏡4Aを抜き差し自在に挿入する第1収容部100(図6参照)、第2収容部101が形成されており、図1に示す態様では、第1反射鏡4Aは第1収容部100に挿入されている。第1自由落下体1は、第1自由落下体1の重心と第1反射鏡4Aの光学中心とが一致するように設計されている。第1反射鏡4Aがコーナーキューブプリズムの場合には、光学中心は、入射面を底面とする3角錐と考える場合の高さをhとすると、頂点から下に向かってh(1−1/n)(ただしnはプリズム材の屈折率)の位置にある。屈折率が1.5のガラスの場合、高さが11ミリなら頂点から下に約3.7ミリの位置に光学中心がある。第1自由落下体1の場合には、第1反射鏡(コーナーキューブプリズム)4Aがビームスプリッタ5の反射でできる鏡像の位置にあると考えて光学中心と重心位置を一致させる。このため、第1自由落下体1ではその上側に密度の高い物質を集中させて全体の重心がその位置に来るように設計する。例えば、吊持部11の材料の密度や形状を大きくすることで重心を調整する。第1反射鏡4Aが、コーナーレフレクタの場合には、光学中心は、その頂点にある。
第2自由落下体2は、本体20と、本体20の上端に突成された吊持部21と、からなる。本体20には、第2反射鏡4Bが備わっている。第1自由落下体1と同様に、第2自由落下体2は、第2自由落下体2の重心と第2反射鏡4Bの光学中心とが一致するように設計されている。第2自由落下体2では第2反射鏡(コーナーキューブプリズム)4Bの中に光学中心がある。吊持部21は、本体20の上端から上方に立ち上がり状に延出する左右の側フレームと、左右の側フレームの上端間を一体的に連結する上側の水平フレームとからなる。図1では一方の側フレーム21aのみ図示されている。本体20は、さらに、吊持部22、突出部23が突成されているが、これらの部材については後述する。
垂直重力勾配装置は、さらに、レーザ光源7と、マイケルソン干渉計を構成する光学系と、前記光学系によって生成された干渉縞を受光する光検出器8と、前記光検出器で受光された干渉縞から重力勾配を取得する手段9と、を備えている。光検出器8で受光された干渉は電気信号に変換され、その後の処理のために、増幅器9aで増幅され、電力勾配取得手段9で電気信号を処理することで重力勾配を取得する。レーザ光源7及び検出器8は、本体ケーシング3の大気圧部3Bに設けてある。レーザ光源7から出射された光ビームは仕切壁30に形成された光学窓30aを通して超高真空部3Aに導入される。図1では、レーザ光源7及び光検出器8は自由落下体1,2の下方に配置しているが、光学系の取り方によってはレーザ光源7及び光検出器8を自由落下体1、2の上部に設置することもできることは当業者に理解される。
マイケルソン干渉計を構成する光学系は、第1自由落下体1及び第2自由落下体2の自由落下時に、レーザ光源7から出射された光ビームを第1反射鏡4A、第2反射鏡4Bにそれぞれ仕向け、第1反射鏡4A及び第2反射鏡4Bからの反射光ビームを受光して両反射光ビームの干渉を生成するように構成されている。
図2は、図1のマイケルソン干渉計を構成する光学系のみを取り出して示す概略図である。レーザ光源7から出射された光は反射鏡6Bで上方に仕向けられ、下壁に形成された光学窓30aを通して、第1自由落下体1に設けられたビームスプリッタ5(ハーフミラー)で第1光ビームと第2光ビームの2つの光ビームに分割される。水平方向に左に向かって進む第1光ビームは、第1自由落下体1に設けられた反射鏡(コーナーキューブプリズムまたはコーナーリフレクタ)4Aで反射され、上方に進む第2光ビームは、第2自由落下体2の反射鏡(コーナーキューブプリズムまたはコーナーリフレクタ)4Bで反射される。反射鏡4Aで反射された第1光ビーム及び反射鏡4Bで反射された第2光ビームは、第1自由落下体1に設けられたビームスプリッタ5に仕向けられ、前記反射された第1光ビーム及び前記反射された第2光ビームの水平方向に右に向かって進む光ビーム同士が干渉する。干渉光は反射鏡6Aで下方へ仕向けられ、仕切壁30に形成された光学窓30bを通って下方の空間(大気圧部3B)に仕向けられた干渉光は、さらに反射鏡6Cで水平方向に仕向けられて、光検出器8で受光される。反射鏡6A,6B,6Cは、レーザ光源7、光検出器8の配置に応じて適宜設置されるものであり、その向きや配置は適宜変更され得ることは当業者に容易に理解される。
2つの自由落下体1,2の自由落下時に、それぞれの第1反射鏡、第2反射鏡とビームスプリッタ(ハーフミラー)5の初速度に応じて、それらの間の距離がほぼ一定の速さで変化して行き、一定から外れる変化が相対加速度となる。相対加速度の値は、光検出器で捉えられる干渉フリンジの位相データを時間の2次関数でフィットすることで取得される。干渉計によって取得された干渉縞からの相対加速度の算出方法は当業者においてよく知られているので、詳細な記載は省略する。また、干渉からの重力勾配の取得は、例えば、特許文献2に記載されている。
図1に示すように、ケーシング3内には、第1自由落下体1、第2自由落下体2をそれぞれ吊持する第1吊持機構12、第2吊持機構13が垂直方向に間隔を存して配置されている。ケーシング3内には、さらに、第1吊持機構12、第2吊持機構13をそれぞれ支持する第1支持機構14、第2支持機構15が垂直方向に間隔を存して配置されている。
図4、図5に示すように、第1吊持機構12は、固定部120と固定部120に対して上下動可能な可動部121とを備え、第1自由落下体1は、可動部121に吊持されている。尚、図4、図5では、第1自由落下体1は省略されているので、適宜図1、図3を参照されたい。可動部121は上側位置(図4)と下側位置(図5)との間でスライド自在に固定部120に設けてある。固定部120は、左右の側フレーム120a,120bと上フレーム120cとから門型に形成され、下側が開放された枠体である。固定部120は、上フレーム120cを介して第1支持機構14に支持されている。可動部121は、左右の側フレーム121a,121b、上フレーム121c、下フレーム121dとから縦長の長方形状に形成された四周枠体である。図示の例では、高さ方向中間部位に横フレーム121eを備えている。可動部121の左右の側フレーム121a,121bの外側には垂直方向に延出するガイド溝が形成されており、固定部120の左右の側フレーム120a,120bの内側に対して垂直方向にスライド自在となっている。
可動部121の上フレーム121cと固定部120の上フレーム120cとの間には押しバネ140が設けてあり、可動部121は押しバネ140によって固定部120に対して下側に移動する方向に付勢されている。
可動部121の左右の側フレーム121a,121bの上端には爪部121f,121gが突成されている。一方、固定部120の側フレーム120a,120bには、側フレーム120a,120bに沿って延出するバネ製のダンパー120d,120eの下端が固定されている。可動部121が押しバネ140のバネ力とその自重で下方に移動した場合には、ダンパー120d,120eの上端に爪部121f,121gがそれぞれ当接して、可動部121のそれ以上の下動が規制されている(図5)。
図3に示すように、第1自由落下体1の吊持部11の上フレーム11cは、第1吊持機構12の可動部121の下フレーム121dに支承部16を介して支承されており、これをもって、第1自由落下体1が可動部121から吊持される。支承部16は、可動部121の下フレーム121dの長さの中央部位に立ち上がり状に設けてあり、圧電素子160が備わっている。支承部16の上端には、第1自由落下体1の吊持部11の上フレーム11cを点接触で支持する小球161が設けてある。小球161としては、サファイア球、ルビー球、金属球、セラミックス球、プラスチック球、ガラス球が例示される。一般にボール軸受に用いられているようなボールを小球161として用いることができる。支承部16の上端の小球161は圧電素子160によって支承されており、小球161の高さ位置は、圧電素子160の上下方向の伸縮に伴って、高さ方向に変更可能となっている。尚、支承部16の上端に小球161を固定することに代えて、可動部121の下フレーム121dの下面に小球を固定し、支承部16の上端に受部を形成してもよい。
支承部16に備わっている圧電素子160は、第1自由落下体1を第1吊持機構12の可動部121からリリースさせる第1リリース機構を構成している。図示しない電圧供給手段によって、圧電素子160に所定の電圧を印加することで、圧電素子160を上方に伸長させて小球161を介して第1自由落下体1を上動させ、その状態で、圧電素子160の印加電圧を急激に下げて0Vとすることで瞬時に圧電素子160を縮小させると、小球161と第1自由落下体1との間に例えば10マイクロメートル程度の隙間が形成される。こうして、第1自由落下体1のリリースが行われる。
第2吊持機構13の構成は第1吊持機構12の構成と同様であって、第1吊持機構12の説明は、第2吊持機構13に援用することができる。第2自由落下体を第2吊持機構の可動部からリリースさせる第2リリース機構の構成も同様であり、上記記載を援用することができる。
第1支持機構14は、第1吊持機構12の可動部121を上下動自在に支持する機構であって、かつ、第1自由落下体1のリリース時に第1自由落下体1の自由落下よりも大きい加速度で可動部121を下動させ、第1自由落下体1の自由落下後には、下側位置にある可動部121を当該可動部121に吊持された第1自由落下体1と共に上側位置まで上動させるように構成されている。
第1支持機構14について図4、図5に基づいて説明する。第1支持機構14は、上側位置にある可動部121を下側に向かって付勢する手段と、上側位置にある可動部121に対して係脱自在であり、可動部121を上側位置で保持する係止手段と、可動部121を下側位置から上側位置に上動させる手段と、を備えている、
可動部121を下側に向かって付勢する手段は、既述の、可動部121の上フレーム121cと固定部120の上フレーム120cとの間に設けた押しバネ140から構成されている。可動部121が上側位置にある場合には、圧縮された押しバネ140のバネ力によって、可動部121に対して、可動部121を下方に移動させる方向の力が作用する。
上側位置にある可動部121に係脱する手段は、押しバネ140を上側に圧縮することでのバネ力に抗して可動部121が上側に位置した状態で、可動部121に係脱可能なように設けられた回動係止レバー141からなる。回動係止レバー141の先端には係止爪141aが設けてあり、可動部121の一方(右側)の側フレーム121aの上端に突成された爪部121gが被係止部を形成しており、爪部121gに係止爪141aが下方から係止することで、可動部121の下方への移動が規制されている(図4)。すなわち、回動係止レバー141の係止爪141aが可動部121の爪部121gに係止することで、可動部121は上側位置に保持される。
回動係止レバー141は、図示しないバネ手段によって水平姿勢が維持されるように付勢されており、電磁アクチュエータ142によって回動係止レバー141の基端側を強制的に上方に回動させて先端側の係止爪141aを下方に回動させながら横方向に移動させることで、係止爪141aが被係止部121gから外れて係止状態が解除され、可動部121が押しバネ140のバネ力によって下方に移動するように構成されている。
可動部121を下側位置から上側位置に上動させる手段は、その下端側が可動部121の上フレーム121cに連結されている引き上げ棒143と、引き上げ棒143を上方に引き上げる駆動機構と、からなる。
引き上げ棒143の軸部の下端側は可動部121の上フレーム121cに形成された挿通孔(図示せず)を挿通していると共に、軸部の下端部は前記挿通孔よりも大きな外形寸法に形成した抜け止め部143aに形成されている。引き上げ棒143は、固定部120の上フレーム120cも挿通しており、その上端部143bはフレキシブルワイヤ147の下端に設けた連結部143cに連結されている。
上記駆動機構は、モータ144と、ケース145内で水平方向に延出するロッド(図示せず)と、前記ロッドの一端側に設けられ、モータ144の軸部の回転を前記ロッドの水平方向の移動に伝達する図示しないカム機構と、ロッドの他端に設けられたベローズ式真空導入端子146と、真空導入端子146と引き上げ棒143の上端とを連結するフレキシブルワイヤ147と、フレキシブルワイヤ147を水平方向と垂直方向との間で変向案内するプーリ148と、復帰スプリング149と、を備えている。復帰スプリング149の下端は、フレキシブルワイヤ147と引き上げ棒143の上端部143bとの連結部143cに当接しており、復帰スプリング149の上端は、要素149Aに当接されている。
第1支持機構14は、本体ケーシング3の一方の側壁に片持ち状に固定された支持パネル14Aを備え、パネル14Aの下方の水平プレート140Aの下面に固定部120の上フレーム120cが連結されており、回動レバー141を支持する電磁アクチュエータ142もパネル140Aに支持されている。さらに、プーリ148、復帰スプリング149の上端側を固定する要素149Aも、パネル140Aに支持されている。
モータ144により、真空導入端子146が図中の左側に向かって運動することで、真空導入端子146に連結されたフレキシブルワイヤ147が引っ張られ、その向きがプーリ148により上向きの運動に変えられて引き上げ棒143が引き上げられる。モータ144の回転力は、ケース145に内装された図示しないカムとリンクによって直線運動に変換されて、引き上げ棒143の上動及び下動が行われる。カムとリンクについては、後述する水平重力勾配計測装置において説明する。下側位置(図5)にある可動部121が、上側位置(図4)まで引き上げられた後には、引き上げ棒143を最下位置まで下動させるが、ここでは復帰バネ149の張力によりワイヤ147は常に張力状態におかれる。
第1支持機構の動作、すなわち、第1自由落下体1の自由落下及び復帰動作について説明する。いま、図4に示すように、可動部121が上側位置にあり、可動部121に第1自由落下体1が吊持されているとする。この状態で、モータ144の回転に伴うカム・リンク機構によって、引き上げ棒143が下方に移動する。圧電素子160に所定の電圧を印加することで、圧電素子160が上方に伸長し、支承部16を介して第1自由落下体1が上方に持ち上げられる。尚、引き上げ棒143が下方に移動する前に、圧電素子160を伸長させてもよい。第1自由落下体1をリリースする際は、一旦ゆっくりと増加する電圧をかけて圧電素子161を最大に伸長させた状態にしておいて(電圧を保ったままにしておいて)、リリースの瞬間に電圧を急激に下げて0Vにする。第1自由落下体1のリリース時に、電磁アクチュエータ142により回動係止レバー141の基端側を強制的に上方に回動して先端側の係止爪141aを下方に回動させながら横方向に移動させて、回動係止レバー141の係止爪141aと可動部121の爪部121gとの係止状態を解除して、可動部121を、押しバネ140のバネ力で第1自由落下体1より速い加速度で下方にスライドさせる。
ここでリリースとは、可動部121の支承部16が縮んで、支承部16の上端の小球161と第1自由落下体1の吊持部11の上フレーム11c下面との間に10マイクロメーター程度の隙間ができ、この隙間を第1自由落下体1が自由落下する短い時間の間に、回動係止レバー141の係止爪141aと可動部121の爪部121gとの係止状態を解除するように、電磁アクチュエータ12の駆動時期と圧電素子16の駆動時期が調整される。可動部121の慣性質量、押しバネ140の強さは落下加速度を考慮して適宜決定される。また、図示の態様では、第1自由落下体1を支持する支承部16に圧電素子160が設けられているが、圧電素子160の駆動距離が短いことによる問題がある場合のために、可動部121の側フレーム121a,121bのそれぞれ一部に圧電素子を組み込むことにより、より長い駆動距離をもつ圧電素子を利用できる構造とすることができる。
下方に移動した可動部121は、側フレーム121a,121bの上端に形成した爪部121f,121gが、ダンパー120d,120eの上端に当接することで停止する。その間、第1自由落下体1は自由落下し、下側位置にある可動部121の支承部16の上端の小球161に当接して停止する。この状態では、第1自由落下体1は、下側位置にある可動部121から吊持された状態である。
駆動手段により引き上げ棒143を引き上げることで、可動部121及び第1自由落下体1を上方に移動させる。可動部121は、真空導入端子により吊り棒5を上方へ引き上げることにより回動係止レバー141の係止爪141aの位置まで引き上げられて、回動係止レバー141の係止爪141aが爪部121gに係止することで、その位置に保持される。この時、電磁アクチュエータへの通電を解除しておくことで、回動係止レバー141が図示しないバネによって水平姿勢に復帰しており、可動部121の上動にしたがって、爪部121gの傾斜面が爪部141aの傾斜部に接触して案内されながら自動的に係合状態となる。可動部121が上側位置で固定されたら、引き上げ棒143は下方に移動して、可動部121が下側へ移動した場合に、可動部121と引き上げ棒143とが衝突することを避ける。
第2支持機構15は、第2吊持機構13の可動部を上下動自在に支持する機構であって、かつ、第2自由落下体2のリリース時に第2自由落下体2の自由落下よりも大きい加速度で可動部を下動させ、第2自由落下体2の自由落下後には、下側位置にある可動部を当該可動部に吊持された第2自由落下体2と共に上側位置まで上動させるように構成されている。第2支持機構15の具体的な構成は、上述の第1支持機構の説明を援用することができる。第1自由落下体1、第2自由落下体2が同時に自由落下するように第1支持機構、第2支持機構を制御することで、マイケルソン干渉計を用いて干渉縞を取得し、そこから、垂直重力勾配を取得する。
垂直重力勾配計測装置では、下側の第1自由落下体1のビームスプリッタ5から光ビームが上方に向かう光学系が採用されるために、第1吊持機構12、第1支持機構14により第2自由落下体2の反射鏡4Bに向かう光ビームの光路が邪魔されないようにする必要がある。このことは、各機構及び構成要素の寸法や形状、配置態様の設計によって解決できることは当業者に理解される。例えば、光ビームの往復光路に相当する部分を確保するように第1吊持機構12、第1支持機構14の構成要素にビーム穴を形成することが可能である。図1では、第2自由落下体2の第2支持機構15も、第1支持機構14と同様に、本体ケーシング3の側壁から持ち出しているが、第2自由落下体2の第2支持機構を本体ケーシング3の上壁から垂下させてもよい(図7乃至図9参照)。
次に、水平重力勾配計測装置について、図6乃至図9に基づいて説明する。図6乃至図9に示す水平重力勾配計測装置において、図1乃至図5に示す垂直重力勾配計測装置と同一の参照番号が付されている部材については、垂直重力勾配計測装置についての記載を援用することができる。
図6に示すように、本体ケース3の超高真空部3Aには、第1自由落下体1及び第2自由落下体2が水平方向に間隔を存して配置されている。第1自由落下体1は、第1吊持機構12から吊持されており、第1吊持機構12は、第1支持機構14に支持されている。第2自由落下体2は、第1吊持機構13から吊持されており、第1吊持機構13は、第1支持機構15に支持されている。垂直重力勾配計測装置では、第1支持機構14、第2支持機構15は本体ケース3の側壁に取り付けてあるのに対して、水平重力勾配計測装置では、第1支持機構14、第2支持機構15は本体ケース3の上壁に取り付けてある。大気圧部3Bに配置されたレーザ光源7から出射された光ビームは、反射鏡6Bで上向きに仕向けられ、光学窓30cを通して超高真空部3Aに導入され、第1自由落下体1のビームスプリッタ5で上向きの光ビームと左向きの光ビームに分割される。左向き水平に進む光ビームは第2自由落下体2の反射鏡(例えば、コーナーキューブプリズム)4Bにより反射される。上向きの光ビームは第1自由落下体1の反射鏡(例えば、コーナーキューブプリズム)4Aにより反射され、それぞれの反射光ビームは再びビームスプリッタ5で合わさり干渉を起こす。この干渉光は反射鏡6Aにより下向きに仕向けられ、光学窓30cを通して大気圧部3B導入され、反射鏡6Cで水平方向に仕向けられた後に光検出器7に入り、電気信号に変換され、増幅されて適切なAD変換の後、記録される。
第1自由落下体1、第2自由落下体2の可動部からリリース機構についても、垂直重力勾配計測装置のリリース機構と同様であって、図3及び図3に関連する記載を援用することができる。
第1自由落下体1の自由落下及び復帰動作について図7乃至図9に基づいて説明する。いま、図7に示すように、可動部121が上側位置にあり、可動部121に第1自由落下体1が吊持されているとする。この状態から、制御部144aからモータ144に駆動信号を送信することで、モータ144の回転軸に連動してカム150が回転し、カム150と係り合うリンク151が下方に移動することで、真空導入端子146を介して、引き上げ棒143が下方に移動する(図8)。
圧電素子160に所定の電圧を印加することで、圧電素子160が上方に伸長し、支承部16を介して第1自由落下体1が上方に持ち上げられる。圧電素子160を最大に伸長させた状態を保持しておき、リリースの瞬間に電圧を急激に下げて0Vにする。第1自由落下体1のリリース時に、電磁アクチュエータ142により回動係止レバー141の基端側を強制的に上方に回動させて先端側の係止爪141aを下方に回動させながら横方向に移動させて、回動係止レバー141の係止爪141aと可動部121の爪部121gとの係止状態を解除して、可動部121を、押しバネ140のバネ力で第1自由落下体1より速い加速度で下方にスライドさせる。
下方に移動した可動部121は、側フレーム121a,121bの上端に形成した爪部121f,121gが、ダンパー120d,120eの上端に当接することで停止する。その間、第1自由落下体1は自由落下し、下側位置にある可動部121の支承部16の上端の小球161に当接して停止する(図9)。この状態では、第1自由落下体1は、下側位置にある可動部121から吊持された状態である。
制御部144aからモータ144に駆動信号を送信することで、モータ144の回転軸に連動してカム150が回転し、カム150と係り合うリンク151が上方に移動することで、真空導入端子146を介して、引き上げ棒143を上方に引き上げて、可動部121及び第1自由落下体1を上方に移動させる。可動部121は、引き上げ棒143を上動させることにより回動係止レバー141の係止爪141aの位置まで引き上げられて、回動係止レバー141の係止爪141aが爪部121gに係止することで、その位置に保持される。
第2支持機構15は、第2吊持機構13の可動部を上下動自在に支持する機構であって、かつ、第2自由落下体2のリリース時に第2自由落下体2の自由落下よりも大きい加速度で可動部を下動させ、第2自由落下体2の自由落下後には、下側位置にある可動部を当該可動部に吊持された第2自由落下体2と共に上側位置まで上動させるように構成されている。第2支持機構15の具体的な構成は、上述の第1支持機構の説明を援用することができる。第1自由落下体1、第2自由落下体2が同時に自由落下するように第1支持機構、第2支持機構を制御することで、マイケルソン干渉計を用いて干渉縞を取得し、そこから、水平重力勾配を取得する。
重力勾配計測装置の構成要素の一部を垂直重力勾配計測装置と水平重力勾配計測装置で共通化することができる。第1自由落下体1の本体10には、第1収容部100、第2収容部101が設けてあり、第1反射鏡4Aは、各収容部100,101に抜き差し自在に挿入できるように構成されている。第1反射鏡4Aが第1収容部100内に位置する時(垂直重力勾配計測)には、水平方向からの光ビームを反射するように配置され、第1反射鏡4Aが第2収容部101内に位置する時(水平重力勾配計測)には、垂直方向からの光ビームを反射するように配置されている。
第2自由落下体2の本体20には、互いに直交して延出する2つの吊持部21、22が設けてあり、吊持部21、22は、可動部に対して脱着可能なように分解自在となっている。垂直重力勾配計測装置では、第2自由落下体2が吊持部21から吊持され、水平重力勾配計測装置では、第2自由落下体2が吊持部22から吊持される。突出部23は、吊持部22と同形・同重量の要素であり、第2自由落下体2が吊持部21から吊持される時のバランスを取るようになっている。突出部23を可動部に対して脱着可能な吊持部から構成してもよい。重力勾配計測装置の各構成要素を本体ケーシング3に対して着脱自在に構成しておけば、垂直重力勾配計測用の本体ケーシング、水平重力勾配計測用の本体ケーシングを用意するのみで、その他の構成要素を共通化させることができる。あるいは、超高真空部3Aの高さ寸法の大きい本体ケーシングを用いてれば、その他の構成要素の取り付け位置や配置態様を変更するのみで、
垂直・水平両用の重力勾配が計測できる装置を構成することができる。
特許文献2乃至6に開示された重力勾配計測装置は、いずれも垂直重力勾配の計測に係るものである。そこで、本発明の一つの態様である水平重力勾配計測装置の応用について説明する。先ず、資源探査への応用が挙げられる。地球が球対称である場合には、水平方向の加速度は0であるが、海中や地中に局所的に分布する質量は、垂直方向の重力加速度を変化させるだけでなく水平方向の重力加速度も発生する。その大きさは、斜め方向の場合には垂直方向の大きさに匹敵する大きさとなる。垂直方向の加速度計測データと併せることでより精度の高い資源探査が可能となる。また、地球物理的計測においても、上の資源探査と同様に、垂直方向の計測データと併せることよりで質の高い情報を得ることが可能になる。さらに、大型移動物体等の重さ推定に応用することもできる。高速道路における大型貨物自動車の重量を測定するためには停止して秤に載せる必要があるが、水平方向の重力勾配測定により全重量の推定が可能となる。同様に貨物船に積み降ろされる10トンのオーダーの重量物の重量を秤に載せることなく推定できるデータを提供できる。ただし、形状と被測定物までの距離が分かっている必要がある。同様に、大型の建築物の重量推定、オイルタンクの内容物の重さなどの推定にも応用できる。この場合も形状と被測定物までの距離が分かっている必要があるが、秤に載せることが不可能である場合には有用である。
本発明の重力勾配計測装置について、垂直重力勾配計測装置並びに水平重力勾配計測装置に基づいて説明した。資源探査や地球物理学的調査のために運搬体に搭載して広範囲を短時間に計測できる重力計はせいぜい50マイクロGalの精度しか出せなかったが、加速度計測を重力勾配の計測に置き換える本手法により、計測精度を1マイクロGal以上に上げることが可能となる。本発明は、飛行機や船など加速度を有する移動体に搭載して、空中あるいは船上から資源探査、活断層探査などを行う目的でなされる重力測定に適している。
本発明は、重力勾配計として利用することができる。重力勾配計の適用例としては、大洋海底に眠る資源探査、陸地に眠る資源探査、危険な隠れた断層の発見、火山のマグマの運動モニターが例示される。より具体的に説明する。本発明によると、鉱物資源やエネルギー資源の埋蔵場所をこれまでより効率的に発見できる可能性が生まれる。これは航空機などで上空からこれまでにない精密さで埋蔵物の推定が可能となるからである。また、知られていない活断層位置の候補を短時間にサーベイできるため、危険にさらされる原子力発電所の設置を容易に回避できる期待が生まれる。また、噴火寸前の火山のマグマの移動に関して精密な情報を提供できるため、防災という観点からも有効である。
本発明に係る垂直重力勾配計測装置の全体図である。 本発明に係る垂直重力勾配計測装置の光学系を示す図である。 第1自由落下体の吊持構造を説明する部分図である。 本発明に係る垂直重力勾配計測装置の第1吊持機構、第1支持機構を示す図であり、可動部が上側位置にある状態を示している。図4において、第1自由落下体は省略されている。 本発明に係る垂直重力勾配計測装置の第1吊持機構、第1支持機構を示す図であり、可動部が下側位置にある状態を示している。図5において、第1自由落下体は省略されている。 本発明に係る水平重力勾配計測装置の全体図である。 本発明に係る水平重力勾配計測装置の第1吊持機構、第1支持機構を示す図であり、可動部が上側位置にある状態を示している。図7において、第1自由落下体は省略されている。 図7の状態から、引き上げ棒が下動した状態を示す図である。 本発明に係る水平重力勾配計測装置の第1吊持機構、第1支持機構を示す図であり、可動部が下側位置にある状態を示している。図9において、第1自由落下体は省略されている。
符号の説明
1 第1自由落下体
10 本体
11 吊持部
2 第2自由落下体
20 本体
21 吊持部
3 本体ケーシング
3A 超高真空部
3B 大気圧部
4A 第1反射鏡
4B 第2反射鏡
5 ビームスプリッタ
7 レーザ光源
8 光検出器
9 重力勾配取得手段
12 第1吊持機構
120 固定部
121 可動部
13 第2吊持機構
14 第1支持機構
15 第2支持機構

Claims (14)

  1. 第1反射鏡を備えた第1自由落下体と、
    第2反射鏡を備えた第2自由落下体と、
    固定部と、固定部に対して上側位置と下側位置との間で上下動可能な可動部とを備え、前記可動部に第1自由落下体を吊持してなる第1吊持機構と、
    固定部と、固定部に対して上側位置と下側位置との間で上下動可能な可動部とを備え、前記可動部に第2自由落下体を吊持してなる第2吊持機構と、
    第1自由落下体を、上側位置にある第1吊持機構の可動部からリリースさせる第1リリース機構と、
    第2自由落下体を、上側位置にある第2吊持機構の可動部からリリースさせる第2リリース機構と、
    第1吊持機構の可動部を上下動させる機構であって、第1自由落下体のリリース時に第1自由落下体の自由落下よりも大きい加速度で可動部を下動させ、第1自由落下体の自由落下後には、下側位置にある可動部を当該可動部に吊持された第1自由落下体と共に上側位置まで上動させるように構成された第1支持機構と、
    第2吊持機構の可動部を上下動させる機構であって、第2自由落下体のリリース時に第2自由落下体の自由落下よりも大きい加速度で可動部を下動させ、第2自由落下体の自由落下後には、下側位置にある可動部を当該可動部に吊持された第2自由落下体と共に上側位置まで上動させるように構成された第2支持機構と、
    少なくとも、前記第1自由落下体、第2自由落下体を真空状態で収容するケーシングと、
    光源と、
    前記第1自由落下体及び前記第2自由落下体の自由落下時に、前記光源から出射された光ビームを前記第1反射鏡、前記第2反射鏡にそれぞれ仕向け、前記第1反射鏡及び前記第2反射鏡からの両反射光ビームの干渉を生成するようなマイケルソン干渉計を構成する光学系と、
    前記光学系によって生成された干渉光を受光する光検出器と、
    前記光検出器で受光された干渉光から重力勾配を取得する手段と、
    からなる、
    重力勾配計測装置。
  2. 前記第1自由落下体は、さらにビームスプリッタを備えており、前記第1自由落下体及び前記第2自由落下体は、光源から出射された光ビームを当該ビームスプリッタで前記第1反射鏡、前記第2反射鏡にそれぞれ仕向け、前記第1反射鏡及び前記第2反射鏡からの反射光ビームを当該ビームスプリッタが受光して両反射光ビームの干渉を生成するように配設されている、請求項1に記載の重力勾配計測装置。
  3. 前記第1リリース機構及び第2リリース機構は、それぞれの可動部に設けられた圧電素子を備えており、電圧印加に応じて、各圧電素子を伸長させて各自由落下体を上動させた後に瞬時に伸縮させることで、各自由落下体を各吊持機構の可動部からリリースするように構成されている、請求項1,2いずれかに記載の重力勾配計測装置。
  4. 前記圧電素子は、各可動部が各自由落下体を支承する支承部に設けてある、請求項3に記載の重力勾配計測装置。
  5. 各可動部は、四周枠体であり、前記支承部は、当該四周枠体の水平状の下フレームに形成されている、請求項4に記載の重力勾配計測装置。
  6. 前記圧電素子は、各可動部の部位において、各可動部を上方に伸長させるように配設してあり、当該圧電素子を伸長させることで、各可動部から吊持されている各自由落下体の高さを上動させるように構成されている、請求項3乃至5いずれかに記載の重力勾配計装置。
  7. 各可動部は、四周枠体であり、前記圧電素子は、当該四周枠体の左右の側フレームに設けてある、請求項6に記載の重力勾配計測装置。
  8. 各自由落下体は、点接触で各可動部から吊持されている、請求項1乃至7いずれかに記載の重力勾配計測装置。
  9. 各支持機構は、
    上側位置にある各可動部を下側に向かって付勢する手段と、
    上側位置にある各可動部に対して係脱自在であり、可動部を上側位置で保持する係止手段と、
    各可動部を下側位置から上側位置に上動させる手段と、
    を備えている、請求項1乃至8いずれかに記載の重力勾配計測装置。
  10. 前記上動手段は、各可動部に連結された引き上げ棒と、引き上げ棒を上動させる駆動手段と、を備えている、請求項9に記載の重力勾配計測装置。
  11. 前記第1自由落下体、前記第2自由落下体は、垂直方向に間隔を存して配置されており、垂直重力勾配を計測するように構成されている、請求項1乃至10いずれかに記載の重力勾配計測装置。
  12. 前記第1自由落下体、前記第2自由落下体は、水平方向に間隔を存して配置されており、水平重力勾配を計測するように構成されている、請求項1乃至10いずれかに記載の重力勾配計測装置。
  13. 前記第1自由落下体の落下体本体には、第1反射鏡を抜き差し自在に収容する2つの収容部が形成されており、
    第1反射鏡が第1収容部に位置する時は、第1の方向からの光ビームを反射し、
    第1反射鏡が第2収容部に位置する時は、第1の方向とは直交する第2の方向からの光ビームを反射する、
    請求項11,12いずれかに記載の重力勾配計測装置。
  14. 前記第2自由落下体の落下体本体には、互いに直交する方向に延出する第1吊持部と第2吊持部とが設けあり、
    前記第1吊持部及び第2吊持部は、それぞれ可動部に対して脱着可能となっており、
    第2自由落下体が第1吊持部を介して可動部から吊持されている時は、第2反射鏡は、第1の方向からの光ビームを反射し、
    第2自由落下体が第2吊持部を介して可動部から吊持されている時は、第2反射鏡は、第1の方向とは直交する第2の方向からの光ビームを反射する、
    請求項11乃至13いずれかに記載の重力勾配計測装置。

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