JP2009106999A - 摩擦点接合方法 - Google Patents

摩擦点接合方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009106999A
JP2009106999A JP2007283752A JP2007283752A JP2009106999A JP 2009106999 A JP2009106999 A JP 2009106999A JP 2007283752 A JP2007283752 A JP 2007283752A JP 2007283752 A JP2007283752 A JP 2007283752A JP 2009106999 A JP2009106999 A JP 2009106999A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
joint
light metal
layer
metal member
material layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007283752A
Other languages
English (en)
Inventor
Kojiro Tanaka
耕二郎 田中
Fumihiko Saito
史彦 斉藤
Tsunesuke Yamanaka
恒佑 山中
Toshiyuki Gendo
俊行 玄道
Motoyasu Asakawa
元康 麻川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
Priority to JP2007283752A priority Critical patent/JP2009106999A/ja
Publication of JP2009106999A publication Critical patent/JP2009106999A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pressure Welding/Diffusion-Bonding (AREA)

Abstract

【課題】鋼製部材と軽金属製部材の固相状態での点接合強度を高めると共に、接合部の接触腐食に対する耐食性を確実に確保することができる摩擦点接合方法を提供する
【解決手段】Zn−Fe合金メッキ鋼板19の接合部の表面に亜鉛材料層20が形成され、Zn−Fe合金メッキ鋼板19とアルミニウム板17との間に接着剤層21を介在させて重ね合わせ、回転ツール7を回転させながらアルミニウム板17の接合部に押圧する。この回転ツールの回転及び押圧により、アルミニウム板17が摩擦熱で軟化し塑性流動すると共に、摩擦熱により溶融した亜鉛材料の流動を介して接着剤層21が接合部から押し出され、鋼板16とアルミニウム板17の界面が固相状態で接合される。
【選択図】図7

Description

本発明は、鋼製部材と軽金属製部材を重ね合わせて点接合する摩擦点接合方法に関するものである。
従来から、アルミニウム製部材と鋼製部材の接合方法においては、アルミニウム製部材と鋼製部材とを摩擦熱を利用して接合する摩擦点接合方法が知られている。この摩擦点接合方法においては、アルミニウム製部材と鋼製部材とを重ね合わせた状態で、摩擦点接合装置の回転ツールを回転させながらアルミニウム製部材に押圧して摩擦熱を発生させ、アルミニウム製部材の接合部を軟化させ塑性流動を生じさせてアルミニウム製部材と鋼製部材の接合部を固相状態で点接合する。
ところで、アルミニウム製部材と鋼製部材の異種金属部材を摩擦点接合した場合、その接合部に水が付着すると接触電位差により接触腐食(電触)が生じ、金属部材が急速に腐食するという問題がある。特許文献1の摩擦点接合方法においては、接合部の接触腐食を防止する為に、接着剤がアルミニウム合金板と鋼板の接合部を囲繞するように塗布され接着剤層が形成される。
特開2007−160342号公報
接合時に、アルミニウム合金板と鋼板の接合部に接着剤が介在する場合、摩擦熱により接着剤が炭化して接合界面に残るため接着性能が低下すると共に、接着剤の影響により接合部の固相状態での点接合強度を高められない等の問題がある。特許文献1においては、鋼板とアルミニウム合金板の接合部を囲繞するように接着剤層が形成されているので、接着剤が炭化することがなく、接合部の固相状態での点接合強度も高めることができる。しかし、接着剤層が接合部近傍に存在しないことにより、接合部近傍へ水が浸入した場合、接合部に水が付着して接触電位差による接触腐食が発生する虞がある。
本発明の目的は、鋼製部材と軽金属製部材の固相状態での点接合強度を高めると共に、接合部の接触腐食に対する耐食性を確実に確保することができる摩擦点接合方法を提供することである。
請求項1の摩擦点接合方法は、鋼製部材と軽金属製部材との間に接着剤を介在させて重ね合わせ、回転ツールを回転させながら軽金属製部材に押圧して摩擦熱を発生させ、軽金属製部材を軟化させ塑性流動を生じさせて鋼製部材と軽金属製部材を固相状態で点接合する摩擦点接合方法において、鋼製部材の接合部の表面に低融点材料層を形成する第1工程と、次に鋼製部材と軽金属製部材との間に接着剤を介在させて鋼製部材と軽金属製部材とを重ね合わせる第2工程と、次に回転ツールを回転させながら軽金属製部材の接合部に押圧して摩擦熱を発生させ、軽金属製部材を軟化させて塑性流動を生じさせると共に、摩擦熱で低融点材料層を溶融させて溶融した低融点材料の流動を介して接着剤の接合部からの押出しを促進し、鋼製部材と軽金属製部材とを点接合する第3工程とを備えたことを特徴としている。
この摩擦点接合方法では、鋼製部材の接合部の表面に低融点材料層が形成され、鋼製部材と軽金属製部材との間に接着剤を介在させて重ね合わせ、回転ツールを回転させながら軽金属製部材の接合部に押圧する。回転ツールの回転及び押圧により摩擦熱を生じさせ、軽金属製部材の接合部を軟化させ塑性流動を生じさせると共に、摩擦熱により溶融した低融点材料の流動を介して接着剤の接合部からの押出しが促進されるので、接合界面に接着剤がほとんど介在しない状態でこれら接合部を固相状態で点接合できる。
請求項2の摩擦点接合方法は、請求項1の発明において、低融点材料層が亜鉛材料層であり、軽金属製部材がアルミニウム合金板であることを特徴としている。
請求項3の摩擦点接合方法は、請求項1又は2の発明において、鋼製部材の接合部の表面には、低融点材料層より融点の高い金属メッキ層が形成され、この金属メッキ層の接合部の表面に低融点材料層を形成し、鋼製部材と軽金属製部材の接合部が固相状態で接合されることを特徴としている。
請求項4の摩擦点接合方法は、請求項3の発明において、金属メッキ層がZn−Fe合金メッキ層であることを特徴としている。
請求項1の発明によれば、第1工程において鋼製部材の接合部の表面に低融点材料層を形成し、第2工程において鋼製部材と軽金属製部材との間に接着剤を介在させて鋼製部材と軽金属製部材とを重ね合わせ、第3工程において回転ツールを回転させながら軽金属製部材の接合部に押圧して摩擦熱を発生させ、軽金属製部材を軟化させて塑性流動を生じさせると共に、摩擦熱で溶融した低融点材料層の低融点材料の流動を介して接着剤の接合部からの押出しを促進し、鋼製部材と軽金属製部材とを点接合するので、次の効果が得られる。
接合時に低融点材料の流動を介して接着剤の接合部からの押出しを促進するので、接合界面に接着剤がほとんど介在しない状態でこれら接合部を固相状態で点接合でき、鋼製部材と軽金属製部材との固相状態での点接合強度を高めることができる。また、接合時の熱による接着剤の炭化を低減することができる。
さらに、接着剤が鋼製部材と軽金属製部材の接合部近傍に存在するので、接合部近傍への水の浸入を防止でき、接合部の接触腐食に対する耐食性を確実に確保することができる。
請求項2の発明によれば、低融点材料層が亜鉛材料層であるので、摩擦熱により溶融した低融点材料の流動を介して接着剤の接合部からの押出を一層促進させることができ、鋼製部材とアルミニウム合金板との固相状態での点接合を確実に高めることができる。
請求項3の発明によれば、鋼製部材の接合部の表面には、低融点材料層より融点の高い金属メッキ層が形成され、この金属メッキ層の接合部の表面に低融点材料層を形成し、鋼製部材と軽金属製部材の接合部が固相状態で点接合されるので、融点の高い金属メッキ層を形成した場合でも、低融点材料の流動を介して接着剤の接合部からの押出しを促進し、金属メッキ層を介して鋼製部材と軽金属製部材の接合強度を高めることができる。
請求項4の発明によれば、金属メッキ層がZn−Fe合金メッキ層であり、請求項3と同様の効果を奏する。
本実施例は、鋼製部材と軽金属製部材との間に接着剤を介在させて重ね合わせ、鋼製部材と軽金属製部材を点接合する摩擦点接合方法に、本発明を適用した場合の一例である。
以下、本発明の実施例1について図面に基づいて説明する。
図1,2に示すように、摩擦点接合装置1は、接合ガン2を装備したロボット3と、ロボット3と接合ガン2を駆動制御する制御装置5と、接合ガン2でスポット接合する2枚(又は3枚)の金属構成部材を重ね合わせた状態で位置決め保持するワーク保持装置(図示略)とを備えている。
ロボット3は汎用の6軸垂直多関節型ロボットであり、そのロボットハンドの先端部に接合ガン2が装備されている。このロボット3が、接合ガン2をワーク保持装置(図示略)で位置決め保持された金属構成部材をスポット接合動作位置と、この接合動作位置から退避した待機位置とに亙って移動させる。
図2に示すように、接合ガン2は、受け具6と、回転ルーツ7と、回転ツール駆動機構8とを有する。受け具6と回転ツール7は上下に対向状に配設され、受け具6は逆L字状のアーム9の下先端部に着脱可能に上向きに取付られ、アーム9の上部側に回転ツール駆動機構8が設けられ、この回転ツール駆動機構8に回転ツール7が着脱可能に下向きに取付られている。回転ツール駆動機構8は、回転ツール7を接合軸Xを中心として回転させる回転モータ10と、回転ツール7を接合軸Xに沿って昇降させて複数の金属構成部材を押圧する昇降モータ11とを有する。
図3に示すように、回転ツール7の胴体部7aの先端面(下端面)にはショルダ部7bが形成されている。このショルダ部7bは平坦な形状をなし、ショルダ部7bの中心部に細径のピン部7cが突設されている。受け具6は、回転ツール7と略同径に形成され、その先端面(上端面)は平坦に形成されている。
図1に示すように、制御装置5は、ロボット3の各種電動アクチュエータ(図示略)にハーネス12を介して接続されて、それらアクチュエータを夫々駆動制御し、また、接合ガン2の回転モータ10と昇降モータ11にハーネス13と中継ボックス14とハーネス15を介して接続され、これら回転モータ10と昇降モータ11を夫々駆動制御する。
次に、上記の摩擦点接合装置1を用いて鋼製部材と軽金属製部材を固相状態で点接合する摩擦点接合方法について、図4に示す接合工程図に基づいて説明する。尚、図4中のPi(i=1,2,・・・)は各工程を示す。この摩擦点接合方法においては、鋼製部材として鋼板16、軽金属製部材としてアルミニウム合金板17を用いて、これらの接合部を摩擦点接合した。
P1において、鋼板16の接合部の表面に溶融亜鉛メッキを施した後、合金化処理して亜鉛−鉄合金メッキ層(以下、Zn−Fe合金メッキ層)18を有する、Zn−Fe合金メッキ鋼板(合金化亜鉛メッキ鋼板)19が形成される。なお、Zn−Fe合金メッキ層18は鋼板16の両面に形成するようにしてもよい。
合金化処理においては、所定の加熱条件下(温度・時間・加熱速度)で鋼板16の鉄を亜鉛メッキ層中に拡散させてZn−Fe合金メッキ層18が形成される。Zn−Fe合金メッキ鋼板19は、従来の溶融亜鉛メッキ鋼板と比較して、軟化温度(例えば、530℃〜600℃)が高く、防錆性能を持ちつつ、複雑な形状をプレス成形する際の成形性、溶接性、塗装耐食性などに優れ、主に自動車の車体などに使用されている。
Zn−Fe合金メッキ層18を形成後、Zn−Fe合金メッキ層18の接合部の表面が例えばレーザーにより加熱され、その表面の油分やコンタミなどが除去されると共に、棒状や粒状の金属結晶が破壊され平滑化される。そのため、接合時のアルミニウム合金板17とZn−Fe合金メッキ層18の接合界面においてAlとZnの拡散を促進させ、アルミニウム合金板17と鋼板16の接合強度を向上させることができる。
次に、P2において、Zn−Fe合金メッキ層18の接合部の表面に亜鉛材料を適量塗布して亜鉛材料層(低融点材料層)20が形成される。亜鉛材料として、亜鉛スプレー剤(常温亜鉛メッキ/Zn96%含有)が用いられ、Zn−Fe合金メッキ層18の接合部の表面には、この亜鉛スプレー剤が約10μm程度薄く塗布された亜鉛スプレー層が形成される。
次に、P3において、亜鉛材料層20の接合部の表面に接着剤を適量塗布して接着剤層21が形成される。接着剤として、エポキシ系接着剤、ウレタン系接着剤、アクリル系接着剤などの熱硬化性接着剤が用いられる。Zn−Fe合金メッキ層18の接合部の表面には、熱硬化性接着剤が接着剤塗布装置により約数100μm程度薄く塗布された接着剤層21が形成される。
次に、P4において、図5に示すように、アルミニウム合金板17を上板、Zn−Fe合金メッキ鋼板19を下板とし、アルミニウム合金板17とZn−Fe合金メッキ鋼板19の接合部の間に、前記の亜鉛材料層20と接着剤層21とを介在させた状態で重ね合わせ、アルミニウム合金板17とZn−Fe合金メッキ鋼板19とを摩擦点接合にて点接合する。
P5において、図6に示すように、回転ツール7が回転されつつ接合軸Xに沿って下降すると、最初に回転ツール7のピン部7cがアルミニウム合金板17の接合部に当接して回転ツール7を位置決めし、次にショルダ部7bがその接合部に当接し、アルミニウム合金板17の接合部を押圧していく。そして、回転ツール7とアルミニウム合金板17の接合部とが接触することで発生する摩擦熱により、アルミニウム合金板17の接合部が軟化していく。この摩擦熱の温度は、約400℃〜500℃である。
図7に示すように、回転ツール7は更に下降を続けて軟化したアルミニウム合金板17の接合部に進入し、これに伴い、回転ツール7と接触圧力の高い部分のアルミニウム合金板17の接合部がせん断させる。また、摩擦熱をうけて接着層21や亜鉛材料層20が軟化する一方、亜鉛の融点及び摩擦熱より軟化温度が高いZn−Fe合金メッキ層18の接合部は軟化しない。なお、回転ツール7のショルダ部7bは平坦なので、摩擦熱が発生しやすくなっている。
回転ツール7が回転しつつ更に押圧されると、アルミニウム合金板17の接合部に塑性流動が生じてせん断部が外周へ広がる。同時に、摩擦熱により溶融した亜鉛材料層20が回転ツール7の押圧により接合部の外周側へ押し出されると共に、高温状態で硬化する直前の接着剤層21がこの亜鉛材料層20の流動を介して接合部の外周側へ押出される。これにより、接合界面には接着剤層21がほとんど介在しなくなり、接合時の熱による接着剤層21の硬化及び炭化も殆ど生じなくなる。
さらに、ピン部7cがZn−Fe合金メッキ層18部分にまで至らないように、回転ツール7を回転させつつ押圧を継続させる。これにより、アルミニウム合金板17とZn−Fe合金メッキ層18の接合界面において、Zn−Fe合金メッキ層18のZnがアルミニウム合金板17内に拡散してZn拡散層が形成されると共に、アルミニウム合金板17のAlがZn−Fe合金メッキ層18内に拡散してAl−Fe中間層22が形成される。
このとき、Zn−Fe合金メッキ層18のZnは、ほとんどアルミニウム合金板17内に拡散する。このため、Al−Fe中間層22は、Zn成分が少なく、Al及びFeを主成分とするものとなる。また、Al−Fe中間層22が形成された箇所以外の領域には、Zn−Fe合金メッキ層18が残留する。
アルミニウム合金17内の塑性流動を所定時間継続させ、アルミニウム合金板17と鋼板16とがAl−Fe中間層22を介して固相状態で点接合される。図8に示すように、昇降モータ11により回転ツール7が上昇駆動され、回転ツール7がアルミニウム合金板17内から離間される。その後、接合部が冷却されて硬化し、Al−Fe中間層22を介してアルミニウム合金板17と鋼板16の接合部の接合が完了する。この摩擦点接合方法においては、P2が第1工程、P3及びP4が第2工程、P5が第3工程に相当する。
以上説明した実施例1の摩擦点接合方法の作用効果について説明する。
Zn−Fe合金メッキ鋼板19とアルミニウム合金板17との間に亜鉛材料層20と接着剤層21とを介在させた状態で重ね合わせ、回転ツール7を回転させながらアルミニウム合金板17の接合部に押圧して、回転ツール7の回転及び押圧により摩擦熱を生じさせ、アルミニウム合金板17の接合部を軟化させ塑性流動を生じさせて、摩擦熱により溶融した亜鉛材料層20の流動を介して接着剤層21の接合部外周側への押出しを促進して、Al−Fe中間層22を介して鋼板16とアルミニウム合金板17の接合部を固相状態で点接合する。
接合時に溶融した亜鉛材料層20の亜鉛材料の流動を介して接着剤層21の接合部からの押出しを促進するので、接合界面に接着剤層21がほとんど介在しない状態でこれら接合部を点接合でき、Al−Fe中間層22を介して鋼板16とアルミニウム合金板17の接合部の固相状態での点接合強度を高めることができる。また、接合時の熱による接着剤層21の炭化及び硬化を低減することができる。
さらに、接着剤層21が鋼板16とアルミニウム合金板17の接合近傍まで存在するので、接合部近傍への水の浸入を防止でき、接合部の接触腐食に対する耐食性を確実に確保することができる。
次に、実施例2に係る摩擦点接合方法について図9〜図12に基づいて説明する。なお、実施例1の摩擦点接合方法と同様の部材に同一の符号を付してその説明を省略する。
摩擦点接合装置1を用いて鋼板16とアルミニウム合金板17を固相状態で点接合する摩擦点接合方法について、図9に示す接合工程図に基づいて説明する。尚、図9中のPi(i=11,12,・・・)は各工程を示す。この摩擦点接合方法においては、鋼板16として、表面に亜鉛メッキ層24を形成した亜鉛メッキ鋼板25、軽金属製部材としてアルミニウム合金板17を用いて、これらの接合部を摩擦点接合した。
P11において、鋼板16の接合部の表面に溶融亜鉛メッキを施した溶融亜鉛メッキ層(以下、Znメッキ層)24を有する、Znメッキ鋼板25が形成される。
次に、P12において、Znメッキ層24の接合部の表面に亜鉛スプレー剤が約10μm程度薄く塗布され亜鉛材料層20が形成される。次に、P13において、亜鉛材料層20の接合部の表面に接着剤を約数100μm程度薄く塗布され接着剤層21が形成される。
次に、P14において、アルミニウム合金板17を上板、Znメッキ鋼板24を下板とし、アルミニウム合金板17とZnメッキ鋼板24の接合部の間に亜鉛材料層20と接着剤層21とを介在させた状態で重ね合わせ、アルミニウム合金板17とZnメッキ鋼板24とを摩擦点接合にて点接合する。
図10に示すように、回転ツール7が回転されつつ接合軸Xに沿って下降すると、最初に回転ツール7のピン部7cがアルミニウム合金板17の接合部に当接して回転ツール7を位置決めし、次にショルダ部7bがその接合部に当接し、アルミニウム合金板17の接合部を押圧していく。そして、回転ツール7とアルミニウム合金板17とが接触することで発生する摩擦熱により、アルミニウム合金板17の接合部が軟化していく。
P15において、図11に示すように、回転ツール7は更に下降を続けて軟化したアルミニウム合金板17の接合部に進入し、これに伴い、回転ツール7と接触圧力の高い部分のアルミニウム合金板17の接合部がせん断させる。また、摩擦熱を受けた亜鉛材料層20、接着剤層21やZnメッキ鋼板25のZnメッキ層24が軟化する。
回転ツール7が更に押圧されると、アルミニウム合金板17の接合部に塑性流動が生じてせん断部が外周へ広がる。同時に、溶融した亜鉛材料層20が回転ツール7の押圧により接合部外周側へ押し出されると共に、高温状態で硬化する直前の接着剤層21がこの亜鉛材料層20の流動を介して接合部外周側へ押出される。これにより、接合界面には接着剤層21がほとんど介在しなくなり、接合時の熱による接着剤層21の硬化及び炭化も殆ど生じなくなる。
さらに、ピン部7cがZnメッキ層24部分にまで至らないように、回転ツール7を回転させつつ押圧を継続させる。これにより、溶融したZnメッキ層24は、一部がアルミニウム合金板17内に取り込まれ、残りは接合部の周囲に押し出される。こうして、Znメッキ層24が解消した範囲では、表面の酸化被膜が破壊されて新生面が露出したアルミニウム合金板17と鋼板16の新生面の接合部が接触して固相状態で点接合される。
図12に示すように、昇降モータ11により回転ツール7が上昇駆動され、回転ツール7がアルミニウム合金板17内から離間される。その後、接合部が冷却されて硬化し、アルミニウム合金板17と鋼板16の接合部の接合が完了する。この摩擦点接合方法においては、P12が第1工程、P13及びP14が第2工程、P15が第3工程に相当する。
次に、上述した実施例2の摩擦点接合方法により形成されるアルミニウム製部材17と鋼製部材16の接合部の効果検証試験について説明する。
[接合ガン]
接合ガンとして位置制御型ユニットを使用した。回転ツールは、ショルダ部の直径が10mm、ピン部7cの直径が2mm、長さが0.3mmのものを使用した。
[ワーク材料]
アルミニウム製部材17として、厚み1.2mmの6000系アルミニウム板を準備し、鋼製部材13として、Znメッキ層を形成した、厚み0.8mmのZnメッキ鋼板を準備した。
[接合方法]
Znメッキ鋼板のZnメッキ層の表面に亜鉛スプレー剤を塗布して亜鉛スプレー層を形成し、この亜鉛スプレー層の表面にエポキシ系接着剤を塗布して接着剤層を形成した。そして、アルミニウム板を上板、Znメッキ鋼板を下板し、アルミニウム板とZnメッキ鋼板の間に亜鉛スプレー層と接着剤層とを介在させた状態で重ね合わせ、回転ツールを回転させながらアルミニウム板に押圧して、アルミニウム板とZnメッキ鋼板を摩擦点接合にて点接合した。また、比較例の接合方法として、アルミニウム板とZnメッキ鋼板の間に接着剤層のみ介在させた状態でアルミニウム板とZnメッキ鋼板を摩擦点接合した。
[接合条件]
回転ツールの回転数を2500rpmとし、回転ツールの押圧力をアルミニウム板の上部、中部、下部の接合部に応じて2500N、4000N、1500Nとした。また、前記の押圧力に応じて、接合時間をそれぞれ1.0s、0.5s、2.7sとした。
[接合強度の試験及び評価]
接合部の剪断強度を測定した。図13に示すように、剪断強度は、比較例の剪断強度よりも高い剪断強度を示した。これは、Znメッキ層の接合部の表面の接着剤層が、摩擦熱で溶融したZnスプレー層の流動を介して接合部外周側へ押出され、接合の際、接合界面に接着剤層がほとんど介在しない状態でアルミニウム板と鋼板の接合部が接合されたため、接合部の固相状態での点接合強度が向上したと考えられる。一方、比較例の場合、接合部からの接着剤層の押出しが促進されず、接合界面に接着剤層が介在したため、その接着剤層の影響で、接合部の固相状態での点接合強度を高めることができなっかったと考えられる。
以上説明した実施例2の摩擦点接合方法の作用効果について説明する。
Znメッキ鋼板25とアルミニウム合金板17との間に亜鉛材料層20と接着剤層21とを介在させた状態で重ね合わせ、回転ツール7を回転させながらアルミニウム合金板17の接合部に押圧して、回転ツール7の回転及び押圧により摩擦熱を生じさせ、アルミニウム合金板17の接合部を軟化させ塑性流動を生じさせて、摩擦熱により溶融した亜鉛材料層20の流動を介して接着剤層21の接合部外周側への押出しを促進し、鋼板16とアルミニウム合金板17の接合部を固相状態で点接合する。
接合時に亜鉛材料層20を溶融させて溶融した亜鉛材料の流動を介して接着剤層21の接合部からの押出しを促進するので、接合界面に接着剤層21がほとんど介在しない状態でこれら接合部を固相状態で点接合でき、鋼板16とアルミニウム合金板17の接合部の固相状態での点接合強度を高めることができる。また、接合時の熱による接着剤層21の炭化及び硬化を低減することができる。
さらに、接着剤層21が鋼板16とアルミニウム合金板17の接合近傍まで存在するので、接合部近傍への水の浸入を防止でき、接合部の接触腐食に対する耐食性を確実に確保することができる。
次に、前記実施例1,2を部分的に変更した変更例について説明する。
1〕実施例の摩擦点接合方法は、例えば、自動車の車体の製造において前記アルミニウム合金板17及びZn−Fe合金メッキ鋼板19やZnメッキ鋼板25を車体構成部材として使用し、これら部材を接合する際に採用してもよい。
2〕前記実施例においては、回転ツール7のショルダ部7bを平坦にしているが、これに限らず、例えば、ショルダ部の形状を円錐台状に窪んだ形状にしてもよい。但し、平坦にしている方が、摩擦熱が発生しやすい。
3〕前記実施例においては、軽金属製部材としてアルミニウム合金板を用いたが、その他、アルミニウム板、マグネシウム合金板などを用いてもよい。
4〕前記実施例においては、亜鉛材料として亜鉛スプレー剤を用いたが、その他、純金属の亜鉛やはんだなどを用いてもよい。
5〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
摩擦点接合装置の側面図である。 摩擦点接合装置の接合ガン周辺の要部拡大側面図である。 回転ツールの要部部分断面図である。 実施例1の摩擦点接合方法の接合工程図である。 アルミニウム板とZn−Fe合金メッキ鋼板の間に介在させた亜鉛材料層と接着剤層を示す図である。 回転ツールがアルミニウム合金板の接合部の表面を押圧した状態を示す断面図である。 回転ツールがアルミニウム合金板の接合部内に進入した状態を示す断面図である。 接合完了後の接合状態を示す断面図である。 実施例2の摩擦点接合方法の接合工程図である。 回転ツールがアルミニウム合金板の接合部の表面を押圧した状態を示す断面図である。 回転ツールがアルミニウム合金板内に進入した状態を示す断面図である。 接合完了後の接合状態を示す断面図である。 接合部の剪断強度を示すデータである。
符号の説明
7 回転ツール
16 鋼板
17 アルミニウム合金板
20 亜鉛材料層
18 Zn−Fe合金メッキ層
21 接着剤層

Claims (4)

  1. 鋼製部材と軽金属製部材との間に接着剤を介在させて重ね合わせ、回転ツールを回転させながら軽金属製部材に押圧して摩擦熱を発生させ、軽金属製部材を軟化させ塑性流動を生じさせて鋼製部材と軽金属製部材を固相状態で点接合する摩擦点接合方法において、 前記鋼製部材の接合部の表面に低融点材料層を形成する第1工程と、
    次に前記鋼製部材と軽金属製部材との間に接着剤を介在させて鋼製部材と軽金属製部材とを重ね合わせる第2工程と、
    次に前記回転ツールを回転させながら軽金属製部材の接合部に押圧して摩擦熱を発生させ、軽金属製部材を軟化させて塑性流動を生じさせると共に、摩擦熱で低融点材料層を溶融させて溶融した低融点材料の流動を介して接着剤の接合部からの押出しを促進し、鋼製部材と軽金属製部材とを点接合する第3工程と、
    を備えたことを特徴とする摩擦点接合方法。
  2. 前記低融点材料層が亜鉛材料層であり、前記軽金属製部材がアルミニウム合金板であることを特徴とする請求項1に記載の摩擦点接合方法。
  3. 前記鋼製部材の接合部の表面には、低融点材料層より融点の高い金属メッキ層が形成され、この金属メッキ層の接合部の表面に低融点材料層を形成し、鋼製部材と軽金属製部材の接合部が固相状態で点接合されることを特徴とする請求項1又は2に記載の摩擦点接合方法。
  4. 前記金属メッキ層がZn−Fe合金メッキ層であることを特徴とする請求項3に記載の摩擦点接合方法。
JP2007283752A 2007-10-31 2007-10-31 摩擦点接合方法 Pending JP2009106999A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007283752A JP2009106999A (ja) 2007-10-31 2007-10-31 摩擦点接合方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007283752A JP2009106999A (ja) 2007-10-31 2007-10-31 摩擦点接合方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009106999A true JP2009106999A (ja) 2009-05-21

Family

ID=40776094

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007283752A Pending JP2009106999A (ja) 2007-10-31 2007-10-31 摩擦点接合方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009106999A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114273770A (zh) * 2022-01-10 2022-04-05 上海工程技术大学 一种封闭式无针搅拌摩擦点焊装置和方法

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007090436A (ja) * 2006-12-06 2007-04-12 Mazda Motor Corp 金属の接合方法
JP2007160342A (ja) * 2005-12-13 2007-06-28 Mazda Motor Corp 摩擦スポット接合方法及び摩擦スポット接合構造

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007160342A (ja) * 2005-12-13 2007-06-28 Mazda Motor Corp 摩擦スポット接合方法及び摩擦スポット接合構造
JP2007090436A (ja) * 2006-12-06 2007-04-12 Mazda Motor Corp 金属の接合方法

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN114273770A (zh) * 2022-01-10 2022-04-05 上海工程技术大学 一种封闭式无针搅拌摩擦点焊装置和方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10500679B2 (en) Resistance welding electrode and method of resistance welding
JP4961532B2 (ja) 異種金属の接合方法及び装置
CN107520550B (zh) 用于将铝焊接到钢的多梯级电极焊接面的几何形状
JP5468350B2 (ja) 異種金属板の接合方法
JP4770661B2 (ja) 摩擦点接合方法
US10675702B2 (en) Joining of light metal alloy workpieces to steel workpieces using resistance spot welding and adhesive
US20170157697A1 (en) Welding electrode for use in resistance spot welding workpiece stack-ups that include an aluminum workpiece and a steel workpiece
JP6287083B2 (ja) 鋼板とアルミニウム合金板との異種金属接合方法
JP4971821B2 (ja) 鋼材とアルミニウム材との異材接合方法
JP4968447B2 (ja) 金属構成部材の接合方法及びその接合構造
EP2679328A1 (de) Fügen von zwei Fügepartnern mittels einer Kombination eines elektrischen Widerstandsschweißens und eines Reibschweißens
JP5315207B2 (ja) 異材接合体及び異材抵抗スポット溶接方法
JP2009000700A (ja) 異種金属の接合方法及び接合構造
CN100409995C (zh) 一种胶焊连接方法
JP2005161382A (ja) 金属部材のスポット接合方法およびその装置。
CN105033421A (zh) 异种金属电弧胶焊连接系统及方法
CN111151854A (zh) 提高铝钢焊接接头的机械性能
JP4998027B2 (ja) 摩擦点接合方法
US6109506A (en) Method of enhancing a joined metal assembly
JP2009226446A (ja) 異種板材のスポット溶接方法
JP2009113077A (ja) 摩擦点接合方法
JP4958498B2 (ja) アルミ製品と鋼材製品との接合用継ぎ手及びそれを用いた接合方法
CN111037076A (zh) 在工件之间具有间隔的相似和不相似金属焊接体的优质焊接
JP2007160342A (ja) 摩擦スポット接合方法及び摩擦スポット接合構造
KR100990005B1 (ko) 한쪽은 알루미늄 재료 그리고 다른 쪽은 철 또는 티탄재료로 된 두 금속판을 용접-땜납 연결에 의해 연결시키는방법

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20100317

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111122

A02 Decision of refusal

Effective date: 20120314

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02