JP2009103608A - 非接触型電圧電流プローブ装置 - Google Patents

非接触型電圧電流プローブ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ケーブルにおける電圧とケーブルに流れる電流を非接触型電圧電流プローブ装置を提供する。
【解決手段】非接触型電圧電流プローブ装置は、ケーブル6が貫通する空間が内側に形成される筒形の内部コア1、内部コア1に巻回された内部導体線2を有するトロイダルコイル1Aと、ケーブル6が貫通し且つトロイダルコイル1Aが配置される空間が内側に形成される筒形の外部導体3と、内部導体線2の一方端と他方端との間に挿入された終端抵抗8と、外部導体3をアースに接続する手段である接続端子9を備えた金属収納箱10と、終端抵抗8の一方端のアースに対する電位差を検出する電圧検出回路11aと、終端抵抗8の他方端のアースに対する電位差を検出する電圧検出回路11bと、検出された前記電位差同士の和を測定する加算器13aと、検出された前記電位差同士の差を測定する減算器13bとを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、ケーブルにおける電圧とケーブルに流れる電流を測定できる非接触型電圧電流プローブ装置に関する。
情報通信装置や電子・電気機器では、半導体技術の進歩とともに高密度、高集積、大容量、低消費電力化が進んできている。装置の構成も複雑になってきており、様々なケーブル等が接続されるようになってきている。また様々な伝送方式が考案され、通信に供される信号の種類が増加している。さらに、省電力化のためインバータ技術等が導入され、電源系統の電源高調波やそれによって発生する電磁妨害波等も増加している。
これらの状況では、信号の劣化による誤作動や故障、電源高調波による電源品質の劣化に伴う誤作動、様々な機器から発生した電磁妨害波が装置に接続されるケーブルに誘導され、ケーブルを伝わって他の装置の誤作動や故障を発生させるという現象が生じている。装置の大容量化によって、1回の故障が与える社会的影響は大きくなっており、このような原因による誤作動、故障を発生させないための技術が必要となっている。
上記のような事例においては、同一地点での信号の電圧や電流、高調波の電圧、電流、電磁妨害波の電圧、電流の測定が必要であるが、現状では、電圧、電流それぞれを検出するプローブが個別に必要である。これまで、電圧、電流の測定用として、様々なプローブが開発されている。たとえば、通常の電圧測定に用いられる電圧プローブでは、測定対象のケーブルの導体に接触する必要があり、ケーブルの切断や外皮の剥離といったことが必要であるため、実際に稼動いている装置に接続されているケーブルに適用することは困難であった。一方で、ケーブルとの電磁結合や静電結合を利用した非接触型の電圧プローブや電流プローブが開発されているが、それぞれ個別のプローブであり、様々なケーブルの径に同じように対応させることや必要な測定帯域をそろえる必要がある。物理的な大きさの制約や測定の際の影響等から、測定箇所が同一ではないなど、取り扱い上の課題があった。
さらにEMC(Electoromagnetic Compatibility 電磁両立性)の分野においては、電子装置からケーブルを伝わって外部に放射されるコモンモードの伝導性電磁妨害波の測定が必要であり、通常の電子装置の場合には、特定の試験サイトにおいて実施されている。しかしながら、試験用のサイトでは測定できないような大型の電子装置、例えばスタジアム等の大型ディスプレイや多数の機器から構成されるシステム等、においては、その伝導性妨害波をどのように測定するかが課題となっている。例えば、電圧、電流をそれぞれ個別に測定した場合には、被測定対象のコモンモードのインピーダンスが不明であるため、インピーダンスが低い場合の電圧測定、若しくはインピーダンスが高い場合の電流のみの測定等のように、発生している現象を正確に捉えられない可能性がある。したがって、この分野においても、電圧、電流を同時に同じ場所で測定する技術が求められている。
なお、非接触型の電圧プローブ装置に関する文献としては、非特許文献1、2がある。これらの文献で開示された構造では、内部を通るケーブルに発生した電圧を円筒形内部電極で検出し、その内部電極と、同軸円筒状に配置され、かつアースに接続された外部電極との間の電圧を検出することによって、ケーブルに発生している電圧を測定することが可能となっている。この構造においては、内部電極は電圧検出の役割を果たし、外部電極は、基準電位の提供と内部電極のシールドの役割を提供している。
また非接触型の電圧プローブのうち、電磁結合を利用しているものについては、非特許文献3に示すようなものが開発・販売されている。非特許文献3のような電磁結合を利用した電流プローブは、コア材に巻かれた内部導体線が低いインピーダンスで終端され、金属のシールド収納箱に納められた構造をしている。トロイダルコイルによって、ケーブルに流れる電流が作る磁界を検出し、電磁誘導によって終端のインピーダンスに発生した電圧は、ケーブルに流れる電流に比例するため、電流を測定することができる。多くの電流プローブでは金属のシールド収納箱内にトロイダルコイルが納められているが、これは、測定周囲の金属体との静電結合やケーブルとの静電結合による測定誤差を排除するためである。
これらの構造を考えると、ともに同軸状に構成された検出用の内部電極やトロイダルコイルを持ち、かつ外乱からの影響を排除するための静電シールドを備えている。
R.Kobayashi,Y,Hiroshima,H,Ito,H,Furuya,M.Hattori,and,Y.Tada:"A Novel Non-contact Capacitive Probe for Common-mode Voltage Measurement",Trans.EB,Vol.E90-B,No.6,Jun,2007 広島,桑原、「容量性電圧プローブにおける側面シールドの効果」電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集1999年通信ソサイエティ大会(講演論文集1),B-4-50,234,1999/08/16 ETS-EMCOカレント・プロ−ブ、[online],インターネット<URL:http://www.astechcorp.co.jp/jp/electronics/Electronics/content/EMCO/current.htm>
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ケーブルにおける電圧とケーブルに流れる電流を測定できる非接触型電圧電流プローブ装置を提供することにある。
本発明では、同軸状に構成されたトロイダルコイルとその外部にそれをシールドする外部導体で形成される構造とすることにより、トロイダルコイルが、内部を貫通するケーブルによって発生する磁界を捕らえるコイルとして機能すると同時に、そのケーブルとの静電結合によって、電圧検出のための内部電極として機能させることを特徴とする。さらに、外乱の影響を排除する目的で取り付けられていた外部導体をアースに接続できる構造とすることによって、電圧測定のための基準点を与えられることを特徴としている。この構造の場合、トロイダルコイルの終端抵抗には、電磁誘導で生じた電圧と、静電結合により生じた電圧が印加されるため、トロイダルコイルの終端抵抗の両端とアースの間の2つの電圧をそれぞれ高入力インピーダンスで測定する機能を付与することによって、ケーブルの電圧及び電流に比例した電圧を測定できる。さらにこの構造にした場合、一つの非接触型電圧電流プローブ装置で同一箇所の電圧、電流の2つの物理量を同時に非接触で測定することが可能となる。これにより、上記課題であった同一地点の電圧電流の測定が可能になり、かつインピーダンスが不明な状態でも、電圧と電流の2つの物理量を同時に測定できるため正確な評価が可能となる。さらに取扱いの不便さが解消される。
本発明によれば、ケーブルにおける電圧とケーブルに流れる電流を測定できる非接触型電圧電流プローブ装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る非接触型電圧電流プローブ装置の構成図である。
非接触型電圧電流プローブ装置は、ケーブル6におけるアースに対する電圧Vとケーブル6に流れる電流Iを測定するための非接触型電圧電流プローブ装置であって、ケーブル6が貫通する空間が内側に形成される筒形の内部コア1、内部コア1に巻回された内部導体線2を有するトロイダルコイル1Aと、ケーブル6が貫通し且つトロイダルコイル1Aが配置される空間が内側に形成される筒形の外部導体3と、内部コア1の内側に設けられ、ケーブル6を固定し且つ内部導体線2に対しケーブル6が予め定めた距離以内に接近するのを防止する固定用ジグ4と、内部コア1と外部導体3との間に設けられ、内部コア1と外部導体3との間の距離を一定にするスペーサ5と、内部導体線2の一方端と他方端との間に挿入された終端抵抗8と、外部導体3をアースに接続する手段である接続端子9を備えた金属収納箱10と、終端抵抗8の一方端のアースに対する電位差を検出する電圧検出回路11aと、終端抵抗8の他方端のアースに対する電位差を検出する電圧検出回路11bと、検出された前記電位差同士の和を測定する加算器13aと、検出された前記電位差同士の差を測定する減算器13bとを備える。
内部コア1は、電流Iの周波数に応じて選択された磁性体材料により形成されたものである。トロイダルコイル1Aを空芯にしたい場合、内部コア1は、非磁性体で形成される。トロイダルコイル1Aとケーブル6との結合性を高くし、トロイダルコイル1Aのインダクタンスを大きくした場合、内部コア1は、高い透磁率を有する磁性体、例えばフェライトやアモルファスで形成される。このように内部コア1は、目的に応じた材料で形成すればよい。内部コア1は、円筒形であるが、トロイダルコイルを構成するためには筒形であればよく、横断面形状が例えば四角形のものであってもよい。
固定用ジグ4は、発泡性を有する材料、例えば発砲ゴム、発泡ウレタンで形成され、可塑性を有する。
固定用ジグ4およびスペーサ5は、低誘電率の誘電体でかつ低透磁率の磁性体または非磁性体である材料(例えば、プラスチック、シリコンコーキング剤など)で形成されたものである。これにより、高周波領域における測定の影響を少なくできる。
スペーサ5は、円柱状であるが、内部コア1と外部導体3との間の距離を一定にできれば、円筒形でもよい。また、スペーサ5は、内部コア1と外部導体3との間を上記材料で充填するものでもよい。
金属収納箱10は導電性を有し、外部導体3および接続端子9に電気的および機械的に接続され、各電圧検出回路11a、11bと加算器13aと減算器13bとを収納する。各電圧検出回路11a、11bは高い入力インピーダンスを有するものを使用する。
接続端子9をアースに接続することにより、金属収納箱10と外部導体3とがアースと等電位になり、内部導体線2や金属収納箱10内の回路が静電シールドされ、周囲の影響による測定の誤差が低減される。
内部導体線2の両端は、貫通孔14を通して金属収納箱10の中に引き込まれ、終端抵抗8は、金属収納箱10の中に配置されている。内部導体線2を金属収納箱10の中に引き込むことで、内部導体線2と周囲と高周波領域での結合による寄生キャパシタンスの影響を最低限にできる。また、内部導体線2を金属収納箱10の中に引き込むことで、引き込む部分の長さを最短にでき、高周波域での寄生インダクタンスの影響を最小限にできる。また、内部導体線2を金属収納箱10の中に引き込むことで、各電圧検出回路11a、11bと加算器13aと減算器13bの取り付けが容易になる。
各電圧検出回路11a、11bの出力は、加算器13aと減算器13bに入力に接続されている。
加算器13aの出力は、金属収納箱10に電気的および機械的に接続された出力端子12aに接続されている。減算器13bの出力は、金属収納箱10に電気的および機械的に接続された出力端子12bに接続されている。
各電圧検出回路11a、11bと加算器13aと減算器13bは、金属収納箱10に収納されたバッテリ25から電力供給を受けている。バッテリ25の充電には、例えばニッケル水素電池、リチウムイオン電池などを使用すればよい。なお、金属収納箱10に電源端子を設け、外部から電力供給してもよい。
図1に示す電圧Vと電流Iを考えると、このとき、ケーブル6の周囲には、アンペアの法則に基づく磁界7が発生する。トロイダルコイル1Aを構成する内部導体線2には、電磁誘導により電流Iに比例する起電力が生じ、終端抵抗8に誘導起電力が印加される。
電圧検出回路11aが終端抵抗8の一方端のアースに対する電位差を検出し、電圧検出回路11bが終端抵抗8の他方端のアースに対する電位差を検出し、減算器13bが、検出された前記電位差同士の差を測定すると、その差は、終端抵抗8の両端の電位差となる。この電位差は、電流Iによって誘起されたもので、電流Iに比例する。つまり、電流Iに比例した出力が得られる。
一方、内部導体線2は、ケーブル6に対して静電誘導によっても結合しており、内部導体線2とケーブル6の間に静電誘導電圧が生じる。また、内部導体線2は、外部導体3に対して静電誘導によって結合しており、内部導体線2と外部導体3の間に静電誘導電圧が生じる。外部導体3がアースに接続されていれば、ケーブル6〜内部導体線2〜外部導体3の間は、キャパシタンスで分圧されていることと等価である。したがって、内部導体線2と外部導体3の間の電位差を測定することにより、電圧Vを測定することができる。内部導体線2と外部導体3の間の電位差は、終端抵抗8の一方端とアースとの電位差と、終端抵抗8の他方端とアースとの電位差V2の平均(和の1/2)を測定することによって得ることができる。
図2は、第1の実施の形態に係る非接触型電圧電流プローブ装置の等価回路を示す図である。
ケーブル6とプローブの検出部分は、ケーブル6のインダクタンスL1、内部コア1と内部導体線2で構成されるトロイダルコイル1AのインダクタンスL2、及びその間の相互インダクタンスM、内部導体線2とケーブル6との結合キャパシタンスC、C、内部導体線2と外部導体3との結合キャパシタンスCs、Cs、終端抵抗8のインピーダンスZで表される。
インピーダンスZの一方端に接続された電圧検出回路11aは、高抵抗RpとコンデンサCpの並列回路20aで与えられる。インピーダンスZの他方端に接続された電圧検出回路11bは、高抵抗RpとコンデンサCpの並列回路20bで与えられる。
高抵抗Rpは通常100kΩ〜数10MΩの範囲であり、コンデンサCpは、通常数pF〜50pF程度で与えられる。
図2において、電流I、電圧Vがもつ周波数の帯域におけるインダクタンスL1によるインピーダンスjωL1が十分に小さく、かつ結合キャパシタンスC、Cによるインピーダンス1/jωCが十分に大きい場合、電流Iによってトロイダルコイルに発生する電磁誘導電圧は、結合キャパシタンスC、Cによらず、かつインダクタンスL1の電位降下が十分小さければ内部導体線2に生じる静電誘導電圧は、コモンモード電圧のみに比例する。したがって、インピーダンスZの両端の電位をV1,V2とすると、その電位差Vdは、
Vd=V1−V2 (1)
である。これは、インダクタンスL1及びインダクタンスL2、相互インダクタンスMによって生じる電位であり、ケーブルを流れる電流Iに比例する。
一方、静電誘導によって内部導体線2に電位が生じるが、これは、jωL1での電位降下が十分に小さいと仮定できる場合には、インピーダンスZの一方端とアースとの電位差V1と、インピーダンスZの他方端とアースとの電位差V2の平均で与えられる。すなわち、平均電圧Vcは、
Vc=(V1+V2)/2 (2)
として与えられる。このVcは、ケーブル6と内部導体線2との結合キャパシタンスC、Cと、内部導体線2と外部導体3の結合キャパシタンスCs、Cs及び電圧検出回路11a,11bのインピーダンス20a,20bで定まる電圧であり、ケーブルに発生した電圧Vに比例する。
図3は、第1の実施の形態における電圧、電流それぞれの周波数特性を示す図である。図3から、ケーブルに発生した電圧、電流を0.01MHz〜10MHzの範囲で測定可能であることが確認できる。
図4は、第1の実施の形態における電圧の入出力の関係を測定して得られた感度特性を示す図である。図4は、4つの代表的な周波数(10kHz,100kHz,1MHz,10MHz)における入力電圧に対する出力電圧の関係を測定して得られたものである。
図5は、第1の実施の形態における電流の入出力の関係を測定して得られた感度特性を示す図である。図5は、4つの代表的な周波数(10kHz,100kHz,1MHz,10MHz)における入力電流に対する出力電流の関係を測定して得られたものである。
図4,図5から、この周波数範囲では、電圧、電流共に、入力の増加に比例して出力が増加していることが確認できる。
図2の等価回路より、以下の条件(A)
(A)ケーブルのインダクタンスL1のインピーダンスjωL1が結合キャパシタンスC、Cのインピーダンス1/jωCに比べ十分に小さい。
が成立する範囲では、電流Iはケーブルのみに流れるため、トロイダルコイルのインダクタンスL2の両端の電圧V1,V2の差は、電磁誘導によって発生する電圧Vmになる。また、結合キャパシタンスC、Cとケーブルの接点の電位Va,VbはインダクタンスL1の電位降下が十分に小さければ等しいと考えられる。そのため、トロイダルコイルのインダクタンスL2の両端の電圧V1,V2は、結合キャパシタンスC、Cと並列回路20a,20b、内部導体線2と外部導体3の結合キャパシタンスCs、Csの分圧によって生じる電位Vc分だけ底上げされることになる。したがって、トロイダルコイルのインダクタンスL2の両端の電位V1,V2は
V1=Vm/2+Vc (3)
V2=−Vm/2+Vc (4)
で与えられ、電圧検出回路11a、11bによって、トロイダルコイルの両端とアースの間の電圧を測定することにより、その差分(V1−V2)をとると、電流に比例した値、その和の平均(V1+V2)/2をとると、電圧に比例した値となる。すなわち、条件(A)が成立する範囲では、電圧V、電流Iに比例した出力を得ることができる。図4,5においては、各周波数において、電圧、電流の入力と出力が比例しており、このことから、第1の実施の形態においては、この周波数範囲において、電圧V、電流Iに比例した値を測定できていることが確認された。
[第2の実施の形態]
図6は、第2の実施の形態に係る非接触型電圧電流プローブ装置の構成図である。
第2の実施の形態では、図1に示した第1の実施の形態とは異なり、金属収納箱10の内部に加算器13a及び減算器13bを収納していない場合のものである。第1の実施の形態の場合、加算器13aと減算器13bを収納することにより、回路構成が複雑となることが考えられる。そのため、加算器13a、減算器13bを無くし、終端抵抗8の両端で検出された電圧を個々に出力端子12a,12bに出力することによって、金属収納箱10の内部構成を簡単なものとすることができる。さらに接続端子に繋がる測定機器にデジタルオシロスコープ等のデジタルデータを蓄積でき、かつ内部演算処理が可能なものを用いることによって、測定データの出力を任意に加工できる利点が得られる。
[第3の実施の形態]
図7は、第3の実施の形態に係る非接触型電圧電流プローブ装置の構成図である。
第3の実施の形態では、図1に示した非接触型電圧電流プローブ装置の周囲に存在する外乱からのシールド性能を高めるべく、さらに円板状の導電板24を設けたものである。導電板24は、内部コア1の端面に対向させて外部導体3の端面に接続される。導電板24には、ケーブル6が貫通する開口が内側に形成される。
図1の非接触型電圧電流プローブ装置では、内部導体線2がその周囲にある外乱要因(金属体、他のケーブル等)と結合する可能性が考えられる。そこで、第3の実施の形態の導電板24を設けることによって、外部導体3により得られたシールド効果を高めることができる。
図8は、その概要を示す図である。
図8(a)に示すように、外乱要因は内部導体線2に直接結合し、測定結果に影響を与える。しかし、図8(b)に示すように、導電板24を設けることにより、内部導体線2と外乱要因との静電結合を減らし、測定の精度を向上させることが可能となる。第3の実施の形態では、外部導体3の形状に合わせて導電板24を円板状としたが、ケーブル6が貫通する開口を備えれていればよく、例えば、四角形状としてもよい。
[第4の実施の形態]
図9は、第4の実施の形態に係る非接触型電圧電流プローブ装置の構成図である。
第4の実施の形態では、図1に示した非接触型電圧電流プローブ装置に対して、内部コア1が分割され、外部導体3が分割されている。内部導体線2の一部は、分割で生じた内部コア1の一方の部分に巻回され、内部導体線2の他の一部は、分割で生じた内部コア1の他方の部分に巻回されている。これにより、ケーブルを容易に挟みこむことが可能となっている。また、第4の実施の形態では、導電板24を設けて、これを分割しているが、導電板24はなくてもよい。
外部導体3および導電板24を電気的、機械的に確実に接続させかつ可動性をよくするため、分割された外部導体3の片側には電極固定用の止め金具26が取り付けられており、その反対側は蝶番27が取り付けられている。これにより、可動性の確保と、ケーブルを挟んだ後の電気的、機械的接続を確実にしている。本実施の形態では、止め金具26は、外部導体3のみに取り付けられているが、より確実に接続するため、導電板24に追加してもよい。このような構造にすることによって、ケーブルに対し非接触型電圧電流プローブ装置を容易に取り付けることができ、作業性の向上が図れる。
第1の実施の形態に係る非接触型電圧電流プローブ装置の構成図である。 第1の実施の形態に係る非接触型電圧電流プローブ装置の等価回路を示す図である。 第1の実施の形態における電圧、電流それぞれの周波数特性を示す図である。 第1の実施の形態における電圧の入出力の関係を測定して得られた感度特性を示す図である。 第1の実施の形態における電圧の入出力の関係を測定して得られた感度特性を示す図である。 第2の実施の形態に係る第1の実施の形態に係る非接触型電圧電流プローブ装置の構成図である。 第3の実施の形態に係る非接触型電圧電流プローブ装置の構成図である。 外部導体により得られたシールド効果を導電板により高めることの概要を示す図である。 第4の実施の形態に係る非接触型電圧電流プローブ装置の構成図である。
符号の説明
1…内部コア
1A…トロイダルコイル
2…内部導体線
3…外部導体
4…固定用ジグ
5…スペーサ
6…ケーブル
8…終端抵抗
9…接続端子
10…金属収納箱
11a,11b…電圧検出回路
13a…加算器
13b…減算器
24…導電板

Claims (9)

  1. ケーブルにおけるアースに対する電圧と前記ケーブルに流れる電流を測定するための非接触型電圧電流プローブ装置であって、
    前記ケーブルが貫通する空間が内側に形成される筒形の内部コア、前記内部コアに巻回された内部導体線を有するトロイダルコイルと、
    前記ケーブルが貫通し且つ前記トロイダルコイルが配置される空間が内側に形成される筒形の外部導体と、
    前記内部コアの内側に設けられ、前記ケーブルを固定し且つ前記内部導体線に対し前記ケーブルが予め定めた距離以内に接近するのを防止する固定用ジグと、
    前記内部コアと前記外部導体との間に設けられ、前記内部コアと前記外部導体との間の距離を一定にするスペーサと、
    前記内部導体線の一方端と他方端との間に挿入された終端抵抗と、
    前記外部導体をアースに接続する手段と、
    前記終端抵抗の一方端のアースに対する電位差を検出する電圧検出回路と、
    前記終端抵抗の他方端のアースに対する電位差を検出する電圧検出回路と、
    検出された前記電位差同士の和を測定する加算器と、
    検出された前記電位差同士の差を測定する減算器と
    を備えることを特徴とする非接触型電圧電流プローブ装置。
  2. 前記各電圧検出回路は高い入力インピーダンスを有することを特徴とする請求項1記載の非接触型電圧電流プローブ装置。
  3. 前記内部コアは、前記電流の周波数に応じて選択された磁性体材料により形成されたことを特徴とする請求項1または2記載の非接触型電圧電流プローブ装置。
  4. 前記外部導体に接続され、前記各電圧検出回路と前記加算器と前記減算器とを収納する導電性の収納箱を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の非接触型電圧電流プローブ装置。
  5. 前記内部コアと前記外部導体の形状が円筒形であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の非接触型電圧電流プローブ装置。
  6. 前記固定用ジグは、低誘電率の誘電体でかつ低透磁率の磁性体または非磁性体でかつ可塑性を有するもので形成されたことを請求項1ないし5のいずれかに記載の非接触型電圧電流プローブ装置。
  7. 前記スペーサは、低誘電率の誘電体でかつ低透磁率の磁性体または非磁性体であるもので形成されたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の非接触型電圧電流プローブ装置。
  8. 前記内部コアの端面に対向させて前記外部導体の端面に接続され、前記ケーブルが貫通する開口が内側に形成される導電板を備えることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の非接触型電圧電流プローブ装置。
  9. 前記内部コアが分割され、前記外部導体が分割されていることを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の非接触型電圧電流プローブ装置。
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