JP2009097545A - 車両用電子制御カップリング - Google Patents

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Abstract

【課題】温度変化による過大トルク出力を簡単な構成により抑制する車両用電子制御カップリングを提供する。
【解決手段】クラッチプレート64の摩擦によりプロペラシャフト24と出力軸52との相対回転を抑制するメインクラッチ62と、そのメインクラッチ62を構成する複数のクラッチプレート64を挟圧するメインカム66と、そのメインカム66の外周側に隣接して軸心方向の相対移動不能に設けられ、内周面においてメインカム66との間で摩擦力を発生させる環状部材70とを備える。温度変化に応じて環状部材70とメインカム66との間で所定の摩擦力が発生させられるように環状部材70の形状及び材料等を定めることで、カップリング26内の温度が低下した場合にカップリング内の追いオイル粘度が上がりトルクが過大になる分そのメインカム66が過度にメインクラッチ62側へ押し出されるのを抑制して、温度によらず一定の動力伝達を実現できる。
【選択図】図6

Description

本発明は、前後輪への駆動力の配分を制御する前後輪駆動力配分装置等に好適に用いられる車両用電子制御カップリングに関し、特に、温度変化による過大トルク出力を抑制するための改良に関する。
前輪及び後輪を駆動輪として備えた車両において、例えば、4輪駆動状態と2輪駆動状態とを選択的に成立させたり、或いはその4輪駆動状態において前輪と後輪との間の駆動力配分率を制御したりというように、駆動力源により発生させられる駆動力の前記前輪及び後輪への配分を制御する前後輪駆動力配分装置が知られている。例えば、特許文献1に記載されたクラッチ装置がそれである。斯かる前後輪駆動力配分装置を備えた車両では、その前後輪駆動力配分装置の制御に関して、車両に備えられた各種センサにより検出される情報に基づいて各車輪への駆動力配分量が制御される。
特開2000−179584号公報
しかし、前記従来の電子制御カップリングでは、低温時において出力トルクが過大となる不具合が指摘されていた。斯かる不具合を解消するために、電子制御カップリング内の温度を検出する温度センサを設け、その温度センサにより検出される温度に基づいて電気的に出力トルクの制御を行う技術が提案されているが、制御が複雑となり実用に適さないという弊害があった。このため、温度変化による過大トルク出力を簡単な構成により抑制する車両用電子制御カップリングの開発が求められていた。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、温度変化による過大トルク出力を簡単な構成により抑制する車両用電子制御カップリングを提供することにある。
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、入力軸と出力軸の間に設けられて、コイルにより発生させられる磁力に応じてその入力軸から出力軸への駆動力の伝達を制御する車両用電子制御カップリングであって、複数の係合要素が挟圧されることにより前記入力軸と出力軸との相対回転を抑制するためのメインクラッチと、そのメインクラッチを構成する複数の係合要素を挟圧するためのメインカムと、前記コイルにより発生させられる磁力に応じて前記入力軸に対する相対回転が抑制される制御カムと、前記入力軸に対する前記制御カムの相対回転が抑制された際、その制御カム側のカム面に乗り上げて前記メインカム側のカム面に押圧されることで、前記メインクラッチを構成する複数の係合要素を挟圧する側へそのメインカムを押し出すために各カム面の間に配設された複数のボールと、前記メインカムの外周側に隣接して、前記入力軸に対する軸心方向の移動不能に設けられ、その内周面において前記メインカムとの間で摩擦力を発生させる環状部材とを、備えたことを特徴とするものである。
このようにすれば、複数の係合要素が挟圧されることにより前記入力軸と出力軸との相対回転を抑制するためのメインクラッチと、そのメインクラッチを構成する複数の係合要素を挟圧するためのメインカムと、前記コイルにより発生させられる磁力に応じて前記入力軸に対する相対回転が抑制される制御カムと、前記入力軸に対する前記制御カムの相対回転が抑制された際、その制御カム側のカム面に乗り上げて前記メインカム側のカム面に押圧されることで、前記メインクラッチを構成する複数の係合要素を挟圧する側へそのメインカムを押し出すために各カム面の間に配設された複数のボールと、前記メインカムの外周側に隣接して、前記入力軸に対する軸心方向の移動不能に設けられ、その内周面において前記メインカムとの間で摩擦力を発生させる環状部材とを、備えたものであることから、温度変化に応じて前記環状部材と前記メインカムとの間で所定の摩擦力が発生させられるようにその環状部材の形状及び材料等を定めることで、カップリング内の温度が低下した場合にそのメインカムが過度に前記メインクラッチ側へ押し出されるのを抑制して、温度によらず一定の動力伝達を実現できる。すなわち、温度変化による過大トルク出力を簡単な構成により抑制する車両用電子制御カップリングを提供することができる。
ここで、好適には、前記環状部材は、前記メインカムよりも熱膨張率が大きい材料により形成されたものである。このようにすれば、カップリング内の温度が低くなるほど前記環状部材とメインカムとの間の摩擦力が大きくなるように構成でき、低温時の過大トルク出力を実用的な態様で好適に抑制することができる。
また、好適には、前記メインカムはスチールから成るものであり、前記環状部材はアルミニウム合金から成るものである。このようにすれば、カップリング内の温度が低くなるほど前記環状部材とメインカムとの間の摩擦力が大きくなるように構成でき、低温時の過大トルク出力を実用的な態様で好適に抑制することができる。
また、好適には、前記環状部材は、前記コイルにより発生させられる磁力に応じた、前記入力軸からの入力トルクに対する前記出力軸からの出力トルクが、温度によらず一定となるように前記メインカムに対する摩擦力を発生させるものである。このようにすれば、低温時の過大トルク出力を実用的な態様で好適に抑制することができる。
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明が好適に適用される駆動力伝達装置10を有する前置エンジン前輪駆動(FF)を基本とする前後輪駆動車両の構成を説明する骨子図である。この図1において、駆動力源であるエンジン12により発生させられたトルクは、トルクコンバータ14、変速機16、前輪用差動歯車装置18、及び左右1対の前輪車軸20を介して左右1対の前輪22へ伝達される一方、駆動力伝達軸であるプロペラシャフト24、本発明の一実施例である車両用電子制御カップリング26(以下、単にカップリング26という)、後輪用差動歯車装置28、及び左右1対の後輪車軸30を介して左右1対の後輪32へ伝達される。また、上記カップリング26を制御するための電子制御装置34が設けられている。すなわち、図1に示す駆動力伝達装置10は、駆動力源であるエンジン12により発生させられたトルクを走行状態に応じて前後輪に配分する電子制御トルクスプリット式4輪駆動車両の駆動系の一例である。
上記エンジン12は、例えば、気筒内噴射される燃料の燃焼によって駆動力を発生させるガソリンエンジン或いはディーゼルエンジン等の内燃機関である。また、上記トルクコンバータ14は、例えば、上記エンジン12のクランク軸に連結されたポンプ翼車と、上記変速機16の入力軸に連結されたタービン翼車と、一方向クラッチを介して変速機ケースに固定されたステータ翼車とを、備えており、上記ポンプ翼車とタービン翼車との間で流体を介して動力伝達を行う流体式動力伝達装置である。また、上記変速機16は、例えば、複数の摩擦係合要素を備え、それら摩擦係合要素の係合又は解放の組み合わせに応じて複数の変速比を選択的に成立させて、入力軸から入力された駆動力を変速して出力させる自動変速機である。
前記電子制御装置34は、CPU、ROM、RAM、及び入出力インターフェイス等を含んで構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を実行する所謂マイクロコンピュータであり、例えば、前記カップリング26に備えられたコイル50に供給される電流の指令値を制御することによるそのカップリング26の伝達トルク制御等、前記駆動力伝達装置10による前後輪駆動に関する各種制御を実行する。斯かる制御を実行するために、前記動力伝達装置10には、車速に対応する前記後輪32の実際の回転速度を検出する車輪速センサ36、前記変速機16の変速段を検出するシフト段センサ38、前記エンジン12の給排気管内に設けられた図示しないスロットル弁の実際の開度を検出するスロットルセンサ40、そのエンジン12の実際の回転速度を検出するエンジン回転速度センサ42、及び前後Gセンサ44等が設けられており、それぞれのセンサから車速を表す信号、シフト段を表す信号、スロットル開度を表す信号、エンジン回転速度を表す信号、及び前後加速度を表す信号等が前記電子制御装置34へ供給されるようになっている。
図2は、前記カップリング26の構成例を説明する概略断面図である。この図2に示すように、本実施例のカップリング26は、入力軸としての前記プロペラシャフト24と同軸に且つそのプロペラシャフト24と共通の軸心Cまわりに一体回転させられるように構成された第1ハウジング46と、コイル(電磁ソレノイド)50を含んでその第1ハウジング46の内周側に固設された第2ハウジング48と、上記第1ハウジング46と同軸にその軸心Cまわりに相対回転可能に配設された出力軸52と、その出力軸52と同軸にその軸心Cまわりに相対回転可能に配設された制御カム54と、上記第1ハウジング46と制御カム54との相対回転を阻止したりスリップさせたりするために係合要素である複数のクラッチプレート58a、58bを交互に備えて構成された制御クラッチ56と、上記第2ハウジング48との間にその制御クラッチ56を構成するクラッチプレート58a、58bを挟圧するために上記出力軸52と同軸にその軸心C方向に相対移動可能に配設された環状鉄片であるアーマチュア60と、上記第1ハウジング46と出力軸52との相対回転を阻止したりスリップさせたりするために係合要素である複数のクラッチプレート64a、64bを交互に備えて構成されたメインクラッチ62と、上記第1ハウジング46との間にそのメインクラッチ62を構成するクラッチプレート64a、64bを挟圧するために上記出力軸52と同軸にその軸心Cまわりの相対回転不能且つ軸心方向の相対移動可能に配設されたメインカム66とを、備えて構成されている。上記出力軸52は、前記後輪用差動歯車装置28の入力軸(入力歯車)に連結されている。また、上記制御カム54及びメインカム66の相対向する側にはそれぞれのカム面に対応する複数の凹部がそれぞれ形成されており、その制御カム54とメインカム66との間にはそれぞれ対応する凹部の間に嵌め入れられるように複数のボール68が配設されている。また、その内周面において上記メインカム66の外周面との間で摩擦力を発生させるための環状部材70が、そのメインカム66の外周側に隣接して、前記第1ハウジング46(プロペラシャフト24)に対する軸心方向の移動不能に設けられている。
以上のように構成されたカップリング26において、上記コイル50が非励磁状態である場合には、上記制御クラッチ56及びメインクラッチ62の何れも非係合状態とされるため、入力軸としての前記プロペラシャフト24の駆動力(トルク)は上記出力軸52に伝達されないが、上記コイル50が励磁状態である場合には、そのコイル50の周囲に磁束が生じることにより、上記アーマチュア60が第2ハウジング48側へ引き付けられてその第2ハウジング48とアーマチュア60との間でクラッチプレート58a、58bが挟圧され、上記制御クラッチ56が上記コイル50への制御電流に応じて係合或いはスリップさせられる。そのようにして制御クラッチ56が係合或いはスリップさせられることで、上記制御カム54とメインカム66との間に相対的な回転速度差が生じると、上記ボール68が制御カム54における凹部の斜面に押されてメインカム66側へ押し付けられ、延いてはそのメインカム66が前記プロペラシャフト24側へ押し付けられる。それにより、前記第1ハウジング46とそのメインカム66との間でクラッチプレート64a、64bが挟圧されて上記メインクラッチ62が係合或いはスリップさせられ、前記プロペラシャフト24の駆動力が所定の割合で上記出力軸52に伝達される。
前記カップリング26により伝達される伝達トルクは、基本的には、例えば図3に示すように、前記コイル50に供給される制御電流により比例的に定まる。すなわち、前記コイル50に供給される電流が比較的小さい場合には、前記アーマチュア60が第2ハウジング48側へ引き付けられる力が比較的弱く、前記制御クラッチ56の係合力が比較的小さいことから、前記制御カム54とメインカム66との間の相対回転速度差が小さくなり、延いては前記メインカム66がプロペラシャフト24側へ押し付けられる力が比較的弱くなって伝達トルクは比較的小さくなるが、前記コイル50に供給される電流が比較的大きい場合には、前記アーマチュア60が第2ハウジング48側へ引き付けられる力が比較的強く、前記制御クラッチ56の係合力が比較的大きいことから、前記制御カム54とメインカム66との間の回転速度差が大きくなり、延いては前記メインカム66がプロペラシャフト24側へ押し付けられる力が比較的強くなって伝達トルクは比較的大きくなる。そして、前記コイル50に供給される電流が所定値以上になると直結4輪駆動車両に近い状態で前後輪に駆動力が伝達される。以上の構成により、前記変速機16から出力された全駆動力に対する前記後輪32に伝達される駆動力の比率が零乃至0.5の範囲内で無段階に制御される。
上述のように、前記カップリング26では、前記制御クラッチ56及びボール68により前記メインカム66が前記メインクラッチ62を挟圧する側へ押し出されることで、そのメインクラッチ62が係合又はスリップ係合させられて、入力軸としてのプロペラシャフト24からの入力トルクが出力軸52へ伝達される。図4に示すように、前記メインカム66に軸心方向に働く力(メインクラッチ62を係合させる方向の力)をFc(N)、クラッチプレート64相互間の摩擦係数をμ、摩擦面数をn、摩擦面の径方向の中心からクラッチプレート64の回転軸Cまでの距離をPCB(m)、潤滑油のせん断力をTsh(Nm)とすると、前記カップリング26の出力トルク(発生カップリングトルク)Tcp(Nm)は、次の(1)式のように表される。
Tcp=Fc×μ×n×PCD+Tsh ・・・(1)
ここで、前記潤滑油のせん断力Tshは、温度に依存して変化する値であり、潤滑油の動粘度の上昇に伴い大きくなる。すなわち、前記カップリング26内の温度が低下すると、前記潤滑油のせん断力Tshは常温乃至高温よりも大きくなる。図5は、従来の電子制御カップリングにおける、そのカップリング内の温度(℃)と発生カップリングトルクの上昇(Nm)との関係の一例を示すグラフである。このグラフに示すように、従来の電子制御カップリングでは、発生カップリングトルクが温度の下降に応じて略比例的に上昇し、低温時例えば−40℃の場合において出力トルクが常温時例えば50℃の場合よりも55%程度上昇する。このように低温時の出力トルクが過大となると、駆動ユニットの耐久性が低下するという弊害が生じる。一方、駆動ユニットを保護するために低温時の出力トルクを制限すると、常温時乃至高温時における4WD性能が劣化するおそれがある。また、カップリング内の温度を検出する温度センサを設け、その温度センサにより検出される温度に基づいて電気的に出力トルクの制御を行う技術では、制御が複雑となり実用に適さないという弊害がある。以下、そのような新たな弊害を生じさせることなく低温時の過大トルク出力を抑制するために本実施例のカップリング26に備えられた構成について詳述する。
図6は、前記カップリング26における制御クラッチ56及びメインクラッチ62に相当する部分を拡大して示す図である。この図6に示すように、本実施例のカップリング26には、前記環状部材70が前記メインカム66の外周側に隣接して設けられている。この環状部材70は、例えば、常温(カップリング26の通常の使用温度)において前記メインカム66の外周面よりも若干大径の内周面を有する円環状に形成されたものであり、その外周部には、前記第1ハウジング46の内側に形成されたスプライン溝76に嵌め合わされるスプライン歯が設けられている。このスプライン溝76は、前記複数のクラッチプレート64bをスプライン嵌合するために形成されたものであり、前記環状部材70は、図6に示すように、それら複数のクラッチプレート64bと同様に、前記第1ハウジング46の内側に形成されたスプライン溝76に嵌め合わされて前記メインカム66の外周側に隣接して配設されるようになっている。また、そのようにして上記スプライン溝76に嵌め合わされた環状部材70の軸心方向の移動を阻止するために、その環状部材70の軸心方向(厚み方向)両側にスナップリング72、74が嵌め付けられ、その環状部材70の前記第1ハウジング46(プロペラシャフト24)に対する軸心方向の移動が不能とされている。ここで、前記環状部材70は、好適には、前記メインカム66よりも熱膨張率(線膨張係数)が大きい材料により形成されたものである。例えば、前記メインカム66はスチールから成るものであり、前記環状部材70はアルミニウム合金から成るものである。
上述のように構成されたカップリング26において、前記環状部材70は、前記コイル50により発生させられる磁力に応じた、前記プロペラシャフト24からの入力トルクに対する前記出力軸52からの出力トルクが、温度によらず一定となるように前記メインカム66に対する摩擦力を発生させる。前記環状部材70を、前記メインカム66よりも熱膨張率が大きい材料により形成した場合、所定の温度低下に応じたその環状部材70の収縮率は、同じ温度低下に応じた前記メインカム66の収縮率よりも大きくなる。換言すれば、所定の温度低下に応じた前記環状部材70の内周面の径寸法の収縮率は、同じ温度低下に応じた前記メインカム66の外周面の径寸法の収縮率よりも大きくなり、従って、予め前記メインカム66の外周面及び環状部材70の内周面それぞれの径寸法を適当に定めておくことで、低温時には前記環状部材70の内周面とメインカム66の外周面との間で抵抗が発生し、図6に示すように、軸心方向の相対移動に関して摩擦力Faが発生する。この摩擦力Faは、前記環状部材70の外周面の軸心方向の幅寸法及び摩擦係数μに応じて定まる値である。前記ボール68によりメインカム66を前記メインクラッチ62を構成する複数のクラッチプレート64を挟圧する側へ押し出す推力をFbとすると、そのメインカム66が前記メインクラッチ62を構成する複数のクラッチプレート64を挟圧する力Fは、その推力Fbと上記摩擦力Faの差すなわちFb−Faとなる。図5を用いて前述したように、前記カップリング26の発生カップリングトルクは、前記コイル50に同じ磁力を与えた場合であっても温度の低下に伴って上昇する。一方、前記環状部材70の内周面とメインカム66の外周面との間の抵抗は、温度の低下に伴って前記環状部材70が収縮するほど大きくなることから、その抵抗に対応する上記摩擦力Faは温度の低下に伴って上昇する。このため、図5に示すような温度の低下に伴う前記カップリング26の発生カップリングトルクの上昇分を抑制する(好適には相殺する)摩擦力Faを発生させるように前記環状部材70の材料及び形状等を定めることで、前記カップリング26における低温時の過大トルク出力を抑制することができる。
図7は、図5に示すカップリング内の温度と発生カップリングトルクの上昇との関係に加えて、その温度と前記環状部材70の内周面とメインカム66の外周面との間の摩擦力(抵抗荷重)Faとの関係を一点鎖線で示すグラフである。このグラフは、次の表1に示す条件で算出したものであり、2.50℃をベースとしたときの上昇率を示している。この図7に示すように、前記環状部材70の内周面とメインカム66の外周面との間の摩擦力Faは、前記カップリング26内の温度変化(低下)に応じてそのカップリング26の発生カップリングトルクの変化と略同様の変化を示し、温度の下降に応じて略比例的に上昇する。上述のように、前記メインカム66が前記メインクラッチ62を構成する複数のクラッチプレート64を挟圧する力Fは、前記ボール68から与えられる推力Fbと前記環状部材70による摩擦力Faの差すなわちFb−Faとなるため、その環状部材70の内周面の面積、摩擦係数、線膨張係数等を適宜定めることにより、前記コイル50により発生させられる磁力に応じた、前記プロペラシャフト24からの入力トルクに対する前記出力軸52からの出力トルクが、温度によらず一定となるように前記摩擦力Faを発生させることができるのである。
Figure 2009097545
このように、本実施例によれば、複数の係合要素であるクラッチプレート64が挟圧されることにより入力軸である前記プロペラシャフト24と出力軸52との相対回転を抑制するためのメインクラッチ62と、そのメインクラッチ62を構成する複数のクラッチプレート64を挟圧するためのメインカム66と、前記コイル50により発生させられる磁力に応じて前記プロペラシャフト24に対する相対回転が抑制される制御カム54と、前記プロペラシャフト24に対する前記制御カム54の相対回転が抑制された際、その制御カム54側のカム面に乗り上げて前記メインカム66側のカム面に押圧されることで、前記メインクラッチ62を構成する複数のクラッチプレート64を挟圧する側へそのメインカム66を押し出すために各カム面の間に配設された複数のボール68と、前記メインカム66の外周側に隣接して、前記プロペラシャフト24に対する軸心方向の移動不能に設けられ、その内周面において前記メインカム66との間で摩擦力を発生させる環状部材70とを、備えたものであることから、温度変化に応じて前記環状部材70と前記メインカム66との間で所定の摩擦力が発生させられるようにその環状部材70の形状及び材料等を定めることで、カップリング26内の温度が低下した場合にカップリング内の追いオイル粘度が上がりトルクが過大になる分そのメインカム66が過度に前記メインクラッチ62側へ押し出されるのを抑制して、温度によらず一定の動力伝達を実現できる。すなわち、温度変化による過大トルク出力を簡単な構成により抑制するカップリング26を提供することができる。
また、前記環状部材70は、前記メインカム66よりも熱膨張率が大きい材料により形成されたものであるため、カップリング26内の温度が低くなるほど前記環状部材70とメインカム66との間の摩擦力が大きくなるように構成でき、低温時の過大トルク出力を実用的な態様で好適に抑制することができる。
また、前記メインカム66はスチールから成るものであり、前記環状部材70はアルミニウム合金から成るものであるため、カップリング26内の温度が低くなるほど前記環状部材70とメインカム66との間の摩擦力が大きくなるように構成でき、低温時の過大トルク出力を実用的な態様で好適に抑制することができる。
また、前記環状部材70は、前記コイル50により発生させられる磁力に応じた、前記プロペラシャフト24からの入力トルクに対する前記出力軸52からの出力トルクが、温度によらず一定となるように前記メインカム66に対する摩擦力を発生させるものであるため、低温時の過大トルク出力を実用的な態様で好適に抑制することができる。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
例えば、前述の実施例では、本実施例のカップリング26が前後輪駆動車両において前後輪への駆動力の配分を制御する前後輪駆動力配分装置として用いられた例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、入力軸と出力軸の間に設けられて、コイルにより発生させられる磁力に応じてその入力軸から出力軸への駆動力の伝達を制御する車両用電子制御カップリングに広く適用され得るものである。
また、前述の実施例において、前記環状部材70はアルミニウム合金から形成されたものであったが、温度変化に応じて前記メインカム66の外周面との間に適当な摩擦力を発生させられる構成であれば、他の金属又は非金属から形成されたものであってもよい。また、必ずしもその内周面全面において前記メインカム66の外周面と接触するものでなくともよく、少なくとも一部においてそのメインカム66の外周面と接触して前記摩擦力を発生させるものであれば本発明の一応の効果を奏する。
また、前述の実施例において、前記環状部材70は、その外周部に形成されたスプライン歯により前記第1ハウジング46の内周側に設けられたスプライン溝76に嵌め合わされたものであったが、前記第1ハウジング46(プロペラシャフト24)に対する軸心方向の移動不能に、その内周面において前記メインカム66との間で摩擦力を発生させるように設けられるのであれば、その配設の態様は問わない。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
本発明が好適に適用される駆動力伝達装置を有する前置エンジン前輪駆動を基本とする前後輪駆動車両の構成を説明する骨子図である。 本発明の一実施例である車両用電子制御カップリングの構成例を説明する概略断面図である。 図2の車両用電子制御カップリングに備えられたコイルに供給される制御電流と伝達トルクとの関係を示すグラフである。 車両用電子制御カップリングにおける発生カップリングトルクを説明するための模式図である。 従来の車両用電子制御カップリングにおける、そのカップリング内の温度と発生カップリングトルクの上昇との関係の一例を示すグラフである。 図2の車両用電子制御カップリングにおける制御クラッチ及びメインクラッチに相当する部分を拡大して示す図である。 図5に示すカップリング内の温度と発生カップリングトルクの上昇との関係に加えて、その温度と環状部材の内周面とメインカムの外周面との間の摩擦力との関係を一点鎖線で示すグラフである。
符号の説明
24:プロペラシャフト(入力軸)
26:車両用電子制御カップリング
50:コイル
52:出力軸
54:制御カム
62:メインクラッチ
64:クラッチプレート(係合要素)
66:メインカム
68:ボール
70:環状部材

Claims (4)

  1. 入力軸と出力軸の間に設けられて、コイルにより発生させられる磁力に応じて該入力軸から出力軸への駆動力の伝達を制御する車両用電子制御カップリングであって、
    複数の係合要素が挟圧されることにより前記入力軸と出力軸との相対回転を抑制するためのメインクラッチと、
    該メインクラッチを構成する複数の係合要素を挟圧するためのメインカムと、
    前記コイルにより発生させられる磁力に応じて前記入力軸に対する相対回転が抑制される制御カムと、
    前記入力軸に対する前記制御カムの相対回転が抑制された際、該制御カム側のカム面に乗り上げて前記メインカム側のカム面に押圧されることで、前記メインクラッチを構成する複数の係合要素を挟圧する側へ該メインカムを押し出すために各カム面の間に配設された複数のボールと、
    前記メインカムの外周側に隣接して、前記入力軸に対する軸心方向の移動不能に設けられ、その内周面において前記メインカムとの間で摩擦力を発生させる環状部材と
    を、備えたものであることを特徴とする車両用電子制御カップリング。
  2. 前記環状部材は、前記メインカムよりも熱膨張率が大きい材料により形成されたものである請求項1に記載の車両用電子制御カップリング。
  3. 前記メインカムはスチールから成るものであり、前記環状部材はアルミニウム合金から成るものである請求項1又は2に記載の車両用電子制御カップリング。
  4. 前記環状部材は、前記コイルにより発生させられる磁力に応じた、前記入力軸からの入力トルクに対する前記出力軸からの出力トルクが、温度によらず一定となるように前記メインカムに対する摩擦力を発生させるものである請求項1から3の何れか1項に記載の車両用電子制御カップリング。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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