JP2009096762A - 熱回収方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】後段側の熱交換器からも温度の高い蒸気を発生させることができ、また蒸気回収割合を多くすることができる熱回収方法を提供する。
【解決手段】反応塔10からの塔頂流A(0)が第1熱交換器1、第2熱交換器2、予熱器20、第3熱交換器3、第2の予熱器30及び第4熱交換器4の1次側を順次に流通する。第1及び第3熱交換器の2次側には吸熱媒体として水が導入され、水蒸気Steam(1),(3)が発生する。第4熱交換器4では、2次側に水が導入され、温水HWが取り出される。第2の予熱器30の2次側に水が導入され、この第2の予熱器30から取り出された温水が第1の予熱器20の2次側に導入され、第1の予熱器20から取り出された温水が第2熱交換器2の2次側に導入され、第2熱交換器2から水蒸気Steam(2)が取り出される。
【選択図】図2
【解決手段】反応塔10からの塔頂流A(0)が第1熱交換器1、第2熱交換器2、予熱器20、第3熱交換器3、第2の予熱器30及び第4熱交換器4の1次側を順次に流通する。第1及び第3熱交換器の2次側には吸熱媒体として水が導入され、水蒸気Steam(1),(3)が発生する。第4熱交換器4では、2次側に水が導入され、温水HWが取り出される。第2の予熱器30の2次側に水が導入され、この第2の予熱器30から取り出された温水が第1の予熱器20の2次側に導入され、第1の予熱器20から取り出された温水が第2熱交換器2の2次側に導入され、第2熱交換器2から水蒸気Steam(2)が取り出される。
【選択図】図2
Description
本発明は、熱媒体から熱を回収する方法に係り、特に芳香族カルボン酸の製造工程で発生する熱を回収するのに好適な熱回収方法に関する。
芳香族カルボン酸はポリエステルの合成原料等として有用であり、通常、アルキル基を有する芳香族化合物(以下、アルキル芳香族化合物と称する。)を酸化することにより製造される。
芳香族カルボン酸の代表的な製造工程においては、まず、原料であるアルキル芳香族化合物を、触媒を含み高温高圧状態である反応器内に導入し、酢酸溶媒中で、空気などの分子状酸素含有ガスにより酸化して芳香族カルボン酸を生成する。酸化反応を行う反応器の塔頂からは、高温高圧状態でガス化した溶媒が留出しており、このガス化した溶媒を主成分とする反応ガスから熱回収を行って他の箇所で熱源として利用することにより、熱エネルギーの効率的利用が図られている(特許文献1)。
図3に、熱回収方法の具体的フローの一例を示す。反応塔10(反応器)から塔出した195℃、1.25MPaの反応ガスaを第1段の熱交換器1に供給し、130℃の水bと熱交換して155℃の水蒸気cを発生させる(対数平均温度ΔT=10℃)。得られた水蒸気cは、他の工程で熱を必要とする箇所に熱源として供給する。また、第1段の熱交換器1を経た反応ガスdは165℃、1.2MPaまで冷却されている。
同様に反応ガスdを第2段の熱交換器2に供給し、65℃の水eと熱交換して125℃の水蒸気fを得る(対数平均温度ΔT=10℃)一方、冷却された反応ガスgを更に第3段の熱交換器3に供給し、65℃の水hと熱交換して89℃の水蒸気iを得る(71kPa(絶対圧力)の真空蒸気として)。これら水蒸気f及び水蒸気iは、上記水蒸気cと同様に、熱源として利用される。
第3段の熱交換器3を出た反応ガスjは95℃、1.15MPaまで冷却されている。これと水とを熱交換しても水蒸気を得ることはできないが、常温以上であるため水の加熱は可能である。そこで、第4段の熱交換器4に供給して、45℃の水kと熱交換して65℃の水lを得る。冷却された反応ガスmを更に第5熱交換器5で35℃の水nと熱交換して40℃の水oを得る。
以上の工程により40℃、1.15MPaまで冷却された反応ガスpは、更に濃縮や分離などを行い、有効成分を回収し、残りは廃棄される。
それぞれの熱交換器で冷却された反応ガスの一部qは、反応塔10に循環されて再度反応溶媒として利用される。
なお、反応ガスaが酸やハロゲン元素を含むなど腐食性が強い場合、120℃を上回る高温でかつ高圧の環境では、ステンレスであっても腐食することがある。このため上記熱交換器のうち、120℃を超える反応ガスが供給される第1乃至第3段の熱交換器1〜3は、内部が耐腐食性に優れたチタン製であるものを使用して腐食を防ぐことが好ましい。一方、より低温の反応ガスしか供給されない第4段の熱交換器4及び第5段の熱交換器5はステンレス(図中、SUSと表記する。)製でよい。
特開2005−213223号公報
従来の熱回収方法においては、第3段の熱交換器3では、低温(65℃)の水を一気に加熱し水蒸気iとするため、水蒸気iの温度が低く、この水蒸気iを熱源として利用しても十分な熱を与えられない場合があった。
また、第4及び第5段の熱交換器4,5からは温水のみが回収され水蒸気は得られない。
また、第4及び第5段の熱交換器4,5からは温水のみが回収され水蒸気は得られない。
本発明は、直列に多段に設けた熱交換器によって熱を回収する方法において、後段側の熱交換器からも温度の高い蒸気を発生させることができる熱回収方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、蒸気として回収する吸熱媒体の割合を多くすることができる熱回収方法を提供することを目的とする。
請求項1の熱回収方法は、系から排出される熱媒体を、直列に配置された第1段ないし第m段のm個の熱交換器に第1段側から順次に流通させて吸熱媒体と熱交換させることにより、該熱媒体の有する熱を回収する熱回収方法において、各熱交換器に該吸熱媒体を導入し、少なくとも第1ないし第(n−1)段の熱交換器では吸熱媒体の蒸気を発生させるようにした熱回収方法であって、第(n−1)段の熱交換器と第n段の熱交換器との間に、該(n−1)段から流出する熱媒体と熱交換する予熱器を設け、第(n−1)段の熱交換器から流出する熱媒体を該予熱器を通してから該n段の熱交換器に流通させ、該予熱器に液体の吸熱媒体を導入し、この予熱器から流出した吸熱媒体を第1ないし第(n−1)段のいずれかの熱交換器に導入することを特徴とするものである。(但し、m、nは2以上の自然数であり、m≧nである。)
請求項2の熱回収方法は、請求項1において、m≧(n+1)であり、第1ないし第n段の熱交換器で吸熱媒体の蒸気を発生させるようにし、第(n+1)段以降の熱交換器からは液体の吸熱媒体を流出させることを特徴とするものである。
請求項3の熱回収方法は、請求項1又は2において、前記予熱器から流出する吸熱媒体を第(n−1)段の熱交換器に導入することを特徴とするものである。
請求項4の熱回収方法は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記吸熱媒体が水であることを特徴とするものである。
請求項5の熱回収方法は、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記熱媒体が脂肪族カルボン酸を含むことを特徴とするものである。
請求項6の熱回収方法は、請求項1ないし5のいずれか1項において、前記第1ないし第(n−1)の熱交換器及び予熱器に供給する熱媒体の温度が120℃を超え、かつn番目からm番目の熱交換器に供給する熱媒体の温度が120℃以下であって、第1ないし第(n−1)段の熱交換器及び予熱器の熱媒体と接する箇所がチタン製であり、第nないし第m段の熱交換器の熱媒体と接する箇所がステンレス製であることを特徴とするものである。
請求項7の熱回収方法は、請求項1ないし6のいずれか1項において、前記熱媒体が、アルキル芳香族化合物を脂肪族カルボン酸を含む溶媒中で酸化して芳香族カルボン酸を製造する酸化反応器の塔頂流であることを特徴とするものである。
請求項8の熱回収方法は、請求項1ないし7のいずれか1項において、前記熱媒体が、パラキシレンを酢酸を含む溶媒中で酸化してテレフタル酸を製造する酸化反応器の塔頂流であることを特徴とするものである。
請求項9の熱回収方法は、請求項2において、第n段の熱交換器と第(n+1)段の熱交換器との間に、第n段の熱交換器から流出する熱媒体と熱交換する第2の予熱器が設けられ、第n段の熱交換器から流出する熱媒体を該第2の予熱器を通してから第(n+1)段の熱交換器に導入し、該第2の予熱器に液体の吸熱媒体を導入し、該第2の予熱器から液体の吸熱媒体を流出させ、この流出した吸熱媒体を前記予熱器に導入することを特徴とするものである。
本発明において、熱交換器及び予熱器は、いずれも1次側に高温流体として熱媒体を流通させ、2次側に低温流体として吸熱媒体を流通させ、この熱媒体から吸熱媒体に熱を移動させるようにしたものである。熱交換器は、加熱された吸熱媒体を需要箇所へ送るか、又は該吸熱媒体を廃棄するようにしたものである。予熱器は、加熱された吸熱媒体を熱交換器又は他の予熱器に吸熱媒体として供給するように配置されたものである。
本発明では、第(n−1)段と第n段の熱交換器との間に設けた予熱器によって液体吸熱媒体を予熱し、この予熱された液体吸熱媒体を、該予熱器よりも前段側(第t段とする。)の熱交換器に供給して蒸気を発生させるため、この第t段の熱交換器から温度の高い蒸気を得ることができる。すなわち、本発明によると、この第t段の熱交換器に予熱された高温の吸熱媒体を導入するので、予熱されていない吸熱媒体を導入する従来例に比べて、第t段の熱交換器から温度の高い蒸気が発生する。
また、この予熱器で加温した吸熱媒体が第t段の熱交換器によって蒸気とされるため、システム全体として蒸気発生量を多くし、温水の割合を減少させることができる。
このようにして、本発明によれば、熱媒体からの熱回収方法において、高温の蒸気を大量に得ることができる。これにより、効率的な熱回収が行え、省エネルギー化、ひいては二酸化炭素排出量削減、省資源化、プラント操業の低コスト化につながる。
また、熱媒体が高温での腐食性があるような場合には、請求項6のように構成することにより、耐腐食性のチタン製とする部分を小さくすることができ、設備コスト削減が期待できる。
以下、本発明の実施の形態について図1を参照して説明する。
この実施の形態は、反応塔からの塔頂流A(0)を、多段に直列に設けられた第1段ないし第m段のm個の熱交換器1〜mの1次側(熱源流体側)に順次に流通させると共に、各熱交換器の2次側(吸熱媒体流通側)に吸熱媒体を流通させ、熱回収するようにしたものである。
この実施の形態では、第(n−1)段の熱交換器(n−1)と第n段の熱交換器nとの間に予熱器20が配置されており、熱交換器(n−1)から流出する熱媒体が該予熱器20を流通して熱交換器nに導入され、予熱器20で予熱された液体吸熱媒体が熱交換器(n−1)に導入されるよう構成されている。
図中、A(1)からA(m)はそれぞれ各熱交換器1〜mから流出する熱媒体を示し、括弧内の数値はその熱媒体を供給する熱交換器の参照番号に対応する。また、W(1)〜W(m)は各熱交換器に導入される吸熱媒体を示し、その括弧内の数値はその吸熱媒体が流出する熱交換器の参照番号に対応する。
更に、図中、Steam(1)からSteam(n)は熱交換器1〜nから取り出される吸熱媒体の蒸気を示し、Out(m)は、液体のままの吸熱媒体を示す。これらの括弧内の数値は、その吸熱媒体が経過した熱交換器の参照番号に対応する。なお、第(n+1)段ないし第m段の熱交換器(n+1)〜mでは液体のままの吸熱媒体が得られることになる。
反応塔10からの塔頂流(熱媒体)A(0)は、第1段の熱交換器1の1次側、第2段の熱交換器の1次側、………第(n−1)段の熱交換器(n−1)の1次側を順次に通過する。熱交換器(n−1)から流出する熱媒体A(n−1)は、予熱器20の1次側を流通する。この予熱器20から流出した熱交換器A(n−1)’は、その後、第n段の熱交換器nの1次側、第(n+1)段の熱交換器(n+1)、………第m段の熱交換器mの1次側を順次に通過する、熱媒体は、各熱交換器1〜m及び予熱器20において、各々の2次側を流れている吸熱媒体に熱を与える。
第1ないし第(n−2)段の熱交換器1〜(n−2)と、第nないし第m段の熱交換器n〜mの2次側にはそれぞれ吸熱媒体として液体の水が導入されている。
予熱器20の2次側にも吸熱媒体として液体の水Wpが導入されている。この実施の形態では、予熱器20からは、加温された温水が流出し、この温水が第(n−1)段の熱交換器(n−1)の2次側に導入されている。
第1ないし第n段の熱交換器1〜nの2次側からは、水蒸気Steam(1)〜Steam(n)が取り出される。予熱器20及び第(n+1)ないし第m段の熱交換器(n+1)〜nからは温水が取り出される。
なお、各熱交換器1〜m及び予熱器20で凝縮した凝縮液Bは反応塔10へ還流される。
このように、第(n−1)段の熱交換器(n−1)の2次側に対し、それよりも後段側の予熱器20で予熱された温水を導入することにより、該熱交換器(n−1)に予熱されていない水を導入する場合(従来例)と比べて、温度の高い水蒸気Steam(n−1)を発生させることができる。また、予熱器20からの温水を、そのまま温水として用いるのではなく、水蒸気とするため、熱回収システム全体から得られる水蒸気量が多くなり、またその分だけ温水量が減少する。
[別態様]
本発明では、第1図の実施の形態において、水蒸気を発生させている熱交換器1〜nのうち最後段の熱交換器nの次段の熱交換器(n+1)の2次側から流出する温水HWを予熱器20の2次側へ吸熱媒体として導入してもよい。後述の実施例(図2)は、このように構成されたものの一例である。
本発明では、第1図の実施の形態において、水蒸気を発生させている熱交換器1〜nのうち最後段の熱交換器nの次段の熱交換器(n+1)の2次側から流出する温水HWを予熱器20の2次側へ吸熱媒体として導入してもよい。後述の実施例(図2)は、このように構成されたものの一例である。
[上記各態様を含めた本発明の一般的な説明]
上述の通り、予熱器20を設ける箇所は、m個の熱交換器からなる一連の熱回収工程の中で、吸熱媒体を供給して吸熱媒体の蒸気を得られる熱交換器の中で最も低温側にある熱交換器(n)と、その熱交換器(n)よりも一つ高温側にある熱交換器(n−1)との間である。蒸気を得ることができる最後段の熱交換器(n)よりも前段側に予熱器20を設けるため、該予熱器20の2次側から流出する吸熱媒体の温度は、この吸熱媒体の常温における沸点以上となる。このように予め常温における沸点以上に熱せられた吸熱媒体W(n−1)を熱交換器(n−1)に導入することで、熱交換器(n−1)から出る吸熱媒体の蒸気Steam(n−1)は、単純に予熱器を用いずに沸点未満の吸熱媒体を導入した場合よりも高温となる。
上述の通り、予熱器20を設ける箇所は、m個の熱交換器からなる一連の熱回収工程の中で、吸熱媒体を供給して吸熱媒体の蒸気を得られる熱交換器の中で最も低温側にある熱交換器(n)と、その熱交換器(n)よりも一つ高温側にある熱交換器(n−1)との間である。蒸気を得ることができる最後段の熱交換器(n)よりも前段側に予熱器20を設けるため、該予熱器20の2次側から流出する吸熱媒体の温度は、この吸熱媒体の常温における沸点以上となる。このように予め常温における沸点以上に熱せられた吸熱媒体W(n−1)を熱交換器(n−1)に導入することで、熱交換器(n−1)から出る吸熱媒体の蒸気Steam(n−1)は、単純に予熱器を用いずに沸点未満の吸熱媒体を導入した場合よりも高温となる。
本発明において熱媒体とは、例えば化学プラントにおける反応等などの系で生じる、常温(通常、約25℃)より高温で熱源となりうるものを言う。熱媒体は気体でも液体でも、その混合物であってもよい。
本発明においては、熱回収に供する熱媒体は好ましくは気体を含み、より好ましくは全量が気体である。また、熱媒体の温度は高いほど回収できる熱量が多くなるため、熱交換器1に供給する熱媒体の温度は、好ましくは100℃以上であり、より好ましくは120℃以上であり、更に好ましくは140℃以上であり、最も好ましくは180℃以上である。また、熱交換器等の耐熱性、耐腐食性の点から、通常、300℃以下であり、好ましくは250℃以下であり、更に好ましくは210℃以下である。
吸熱媒体としては、熱回収工程に供される熱媒体よりも沸点が低く、常温より沸点が高く熱容量の大きいものが好適に用いられる。熱媒体を供給する元の系にもよるが、潜熱が大きく、かつ安価で入手も容易であるところから、水が好ましい。
本発明の熱回収方法により熱交換器で熱せられた吸熱媒体の液体又は蒸気は、熱媒体を生じる元の系や、その系と隣接する他の工程に導入してその熱を利用することができる。この熱の利用にあたっては、吸熱媒体が高温であるほど熱源としての利用価値が高いので、できるだけ高温の蒸気を得ることが好ましい。
本発明においては、図1の通り、m個の熱交換器のうち、第1段ないし第n段の熱交換器で吸熱媒体の蒸気を発生させ、n−1段とn番目の熱交換器のあいだに予熱器を設けるのが好ましい。この場合、熱媒体が芳香族カルボン酸の製造用の酸化反応器の塔頂流であり、その温度が180〜210℃程度のときには、nは1〜10特に2〜6が好ましく、mはnよりも1〜5特に2〜4大きいことが好ましい。
上記実施の形態では、予熱器20の2次側から液体の吸熱媒体としての温水を流出させているが、予熱器から吸熱媒体の蒸気を流出させてもよく、気液混合流を流出させてもよい。
なお、本発明において「熱交換器では吸熱媒体の蒸気が得られる」とは、該熱交換器の運転圧力見合いの飽和蒸気が得られることを言う。
好ましくは予熱器で吸熱媒体は、その吸熱媒体の常圧(0.101MPa)での沸点以上にまで加熱される。一旦ここまで高温に加熱しておくことで、その後熱交換器での加熱により高温の蒸気となりやすいためである。
第(n+1)段ないし第m段の熱交換器では吸熱媒体は蒸発してもよく、液体のまま取り出されてもよいが、液体のまま取り出されることが好ましい。予熱器は、熱交換器で吸熱媒体の蒸気がぎりぎり得られる程度の領域に設けるのが最も効果が高い。十分に高温側の熱交換器であれば、熱媒体が十分に高温であるため、吸熱媒体を予熱しなくても高温の蒸気が得やすいためである。
吸熱媒体として水を用いた場合、予熱器に供給する水の温度は、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上とする。また、好ましくは90℃以下、より好ましくは70℃以下とする。また、予熱器から出る水の温度は、100℃以上、特に130℃以上、とりわけ140℃以上となるようにするのが好ましい。このように高温に予熱された水が熱交換器に供給されることにより、該熱交換器から高温の水蒸気が得られるようになる。予熱器から取り出される水の温度は180℃以下であることが好ましい。なお、予熱器から出て第(n−1)段の熱交換器(n−1)に供給する水は高圧とし、液体とすることが好ましい。
予熱器からの水が供給される熱交換器よりも前段側にある熱交換器(図1では、第1段の熱交換器1ないし第(n−2)段の熱交換器(n−2))に供給される水として、100℃以上の温度を有し且つ高圧条件下で液体となっているものを用いると、効率的に蒸気を発生させることができ、好ましい。
本発明に関わる熱回収方法においては、上記で説明した箇所以外にも予熱器を設けてもよい。その場合、上記箇所より低温側に設けることが好ましい。その予熱器から排出される吸熱媒体は、より高温側の、任意の熱交換器又は予熱器に供給することができる。例えば図2のように、より低温側に設けた第2の予熱器から出た吸熱媒体を、より高温側に設けた第1の予熱器に供給することで、徐々に吸熱媒体を加熱して、高温の蒸気を得るようにすることができる。
即ち、より高い熱回収効率を求める場合には、予熱器は上記で説明した予熱器20を含めて2以上設けることが好ましい。但し、予熱器の個数は通常、(m−(n−1))以下である。
また、本発明に係わる熱回収方法において、常温又はそれに近い温度まで冷却された熱媒体は、有効成分を含む場合は更に濃縮や分離などを行って有効成分を回収し、残りを廃棄するとよい。
熱交換器及び予熱器は、熱媒体と接する表面積が大きいほど大きな熱を移動させることができる。予熱器が熱媒体と接する表面積は、熱交換器と同じでもよいが、熱交換器より小さいことがコスト上有利である。予熱段階であるため、予熱器だけで十分加熱する必要はなく、また、従来ある熱回収工程に予熱器を取り付けて本発明の熱回収方法を実施する場合、表面積の大きなものを導入しようとするとその分負担が大きくなるので、新たに導入することになる予熱器は、熱交換器より小さいものであると好ましく、それでも十分に本発明の効果を達成することができる。
また、熱媒体が酸やハロゲン元素等を含み高温でのステンレス腐食性を有していて、予熱器を腐食耐性の高いチタン製とする場合、予熱器の熱媒体との接触表面積を小さくすることで、コスト高のチタン部分を小さくすることができ、更なるコスト削減が期待できる。
更に、このようなチタン製で表面積の小さい予熱器を、熱媒体への腐食耐性が要求される中でも最も低温側(n−1番目とn番目の熱交換器のあいだ)に設けることで、その分熱媒体を冷却でき、n番目の熱交換器を腐食耐性のやや低いステンレス製とすることができる可能性がある。これにより、チタン製であることを必要とする表面積を工程全体として減少させることができ、工程全体の設置にかかる費用を抑制できる。
具体的には、予熱器に供給される熱媒体の温度が120℃を超えており、n番目の熱交換器に供給される熱媒体の温度が120℃以下である場合には、予熱器及び予熱器より高温側にある熱交換器の、熱媒体と接する箇所をチタン製とし、予熱器より低温側にある熱交換器をステンレス製とすることが好ましい。120℃を超える環境であると、ステンレスが腐食する可能性が無視できなくなるためである。
なおこのとき、最も高温側にある熱交換器(1)に供給する熱媒体の温度は、210℃以下とすることが好ましい。210℃を超えるとチタン製であっても腐食の可能性があるためである。
このような高温でのステンレス腐食性を有する熱媒体としては、酢酸、プロピオン酸、蟻酸及び酪酸など脂肪族カルボン酸を含むものや、臭素、塩素などハロゲン元素を含むものが挙げられる。
このようにチタン製伝熱面が必要となる熱媒体を供給する系としては、例えば、アルキル芳香族化合物を脂肪族カルボン酸を含む溶媒中で酸化して芳香族カルボン酸を製造する酸化反応器が挙げられる。より具体的な例としては、パラキシレンを酢酸を含む溶媒中で酸化してテレフタル酸を製造する酸化反応器が挙げられる。この場合、熱媒体はその酸化反応器(反応塔)の塔頂流である。
この塔頂流は、酸化反応に高温が必要なため通常140℃以上の高温となっているが、同時に溶媒である酢酸などの脂肪族カルボン酸を含んでいる。脂肪族カルボン酸は高温環境でステンレスを腐食しうるため、チタン製の熱交換器を使用すると好ましい。また、蒸気酸化反応の触媒として臭素などハロゲン元素を用いる場合、更に塔頂流の腐食性が高まるため、チタン製の熱交換器の必要性が寄り高まる。
吸熱媒体としては、沸点が熱媒体A(0)よりも低く、常温より沸点が高く熱容量の大きい水が好適に用いられる。
芳香族カルボン酸の製造方法に本発明の熱回収方法を用いると好適である。つまり、反応器中、アルキル芳香族化合物を脂肪族カルボン酸を含む溶媒中で酸化して芳香族カルボン酸を製造する方法において、該反応器の塔頂流に対して本発明の熱回収方法を適用する。
本酸化反応は発熱反応であり、多量の熱を生成するため、これを効率よく回収することが望ましい。回収された熱は、芳香族カルボン酸の製造プロセスの他の工程で使用するエネルギーの源として利用することで、省エネルギー化でき、運転コストを大幅に低減できる。
この芳香族カルボン酸の種類は特に制限はないが、例えばオルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸(ベンゼントリカルボン酸)、2,6−、又は2,7−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸などが挙げられる。なかでも本発明はフタル酸類(オルトフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸)の製造に適用することが好ましく、特にテレフタル酸の製造に適用することが好ましい。
芳香族カルボン酸の原料となるアルキル芳香族化合物としては、例えば、ジ−及びトリ−アルキルベンゼン類、ジ−及びトリ−アルキルナフタレン類並びにジ−及びトリ−アルキルビフェニル類が挙げられる。好ましくは、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、o−、m−、又はp−ジイソプロピルベンゼン、トリメチルベンゼン類、2,6−又は2,7−ジメチルナフタレン、2,6−ジイソプロピルナフタレン、4,4’−ジメチルビフェニルなどが挙げられる。なかでもメチル基、エチル基、n−プロピル基およびイソプロピル基等の炭素数1〜4のアルキル基を2〜4個有する芳香族化合物が、反応性が高く好ましい。また原料アルキル芳香族化合物は一部酸化されたアルキル芳香族化合物(一部酸化アルキル芳香族化合物)を含んでもよく、全てが一部酸化アルキル芳香族化合物であってもよい。
一部酸化アルキル芳香族化合物は、上記アルキル芳香族化合物におけるアルキル基が酸化されて、アルデヒド基、アシル基、カルボキシル基又はヒドロキシアルキル基等に酸化されているものの、目的とする芳香族カルボン酸となる程には酸化されていない化合物である。具体的には、例えば3−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンズアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒド(以下、「4CBA」と称する。)、p−トルアルデヒド、m−トルイル酸、p−トルイル酸、3−ホルミル安息香酸、4−ホルミル安息香酸及び2−メチル−6−ホルミルナフタレン類等を挙げることができる。
原料としてはこれら化合物を単独で、又は2種以上の混合物として用いることができる。
以上総合して、アルキル芳香族化合物としてはキシレン類(o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン)が好ましく、特にp−キシレンが好ましい。アルキル芳香族化合物としてp−キシレンを用いる場合、一部酸化アルキル芳香族化合物としては、例えば4CBA、p−トルアルデヒド、p−トルイル酸等が挙げられ、芳香族カルボン酸としてはテレフタル酸が得られる。
このアルキル芳香族化合物を分子状酸素含有ガスにより酸化する。分子状酸素含有ガスとしては分子状酸素を含むガスであればよく、例えば空気、酸素富化空気、不活性ガスで希釈された酸素等が用いられる。このうち、コストが低い空気が実用的には好ましい。
このようなアルキル芳香族化合物を溶媒中で酸化することで芳香族カルボン酸が生成する。溶媒は、アルキル芳香族化合物や芳香族カルボン酸に化学的な変化をきたさないものが用いられる。溶媒の大気圧における沸点は好ましくは60℃以上200℃以下、さらに好ましくは80℃以上180℃以下である。溶媒の大気圧下における沸点を上記範囲とすることで、各工程での反応媒体の取り扱い及び回収が容易となり、かつ後の脱液及び乾燥が容易となる。また溶媒の大気圧における蒸発潜熱は、300kcal/kg以下が好ましく、200kcal/kg以下が更に好ましく、150kcal/kg以下が特に好ましい。また、蒸発潜熱の下限は特に規定されないが、通常50kcal/kg以上であり、好ましくは70kcal/kg以上である。
溶媒としては脂肪族カルボン酸を主成分とする溶媒が好ましく、酢酸、プロピオン酸、蟻酸及び酪酸を主成分とする溶媒がより好ましく、なかでも溶解性及び取り扱いの容易性から酢酸を主成分とする溶媒が好ましい。なお、主成分とするとは溶媒の全重量の60重量%以上を占めることを言う。最も好ましくは酢酸と水との混合物である。酢酸と水との比率は、酢酸100重量部に対して水は通常1重量部以上であり、好ましくは5重量部以上である。また、通常40重量部以下であり、好ましくは25重量部以下であり、より好ましくは15重量部以下である。上限値以下とすることで反応効率を向上させることができ、下限値以上とすることで酢酸の燃焼による分解量をより削減することができる。
酸化反応においては酸化触媒を用いることが好ましい。触媒は公知のものをいずれも用いうるが、好ましくはコバルト、マンガン及び臭素が用いられる。具体的には、コバルト化合物は酢酸コバルト、ナフテン酸コバルト、臭化コバルトなどが挙げられ、なかでも酢酸コバルトが好ましい。マンガン化合物としては、酢酸マンガン、ナフテン酸マンガン、臭化マンガンなどが挙げられ、なかでも酢酸マンガンが好ましい。また臭素化合物としては、臭化水素、臭化ナトリウム、臭化コバルト、臭化マンガン、ブロモエタンなどが挙げられ、なかでも臭化水素が好ましい。これらの化合物は併用してもよい。また、酢酸溶媒中には他の金属成分が存在していても構わない。
触媒の使用量は、コバルト成分の使用量がコバルト金属換算で溶媒に対し、通常100重量ppm以上、2000重量ppm以下であり、好ましくは200重量ppm以上、1000重量ppm以下である。マンガン成分の使用量は、通常1重量ppm以上1000重量ppm以下、好ましくは5重量ppm以上、500重量ppm以下である。臭素成分の使用量は、通常400ppm以上2000ppm以下である。また、反応促進のために共酸化剤を併用することもできる。
酸化反応器の圧力は、通常、常圧(0.101MPa)以上であり、好ましくは0.2MPa以上、より好ましくは0.5MPa以上、更に好ましくは1MPa以上である。下限値より高くすることで温度を上げることができ、触媒活性が高まり収率が向上する。一方、圧力は通常20MPa以下であり、好ましくは10MPa以下、より好ましくは7MPa以下、更に好ましくは5MPa以下、特に好ましくは2MPa以下である。上限値より低くすることで副反応や分解が起こりにくく収率が向上する。
酸化反応器の温度は特に限定されないが、通常、溶媒の大気圧における沸点以上の温度である。通常80℃以上であり、好ましくは100℃以上、より好ましくは140℃以上とし、更に好ましくは160℃以上とし、最も好ましくは180℃以上とする。下限値より高くすることで触媒活性が高まり収率が向上する。一方、温度は、好ましくは250℃以下とし、より好ましくは230℃以下とし、更に好ましくは210℃以下とし、特に好ましくは200℃以下とする。上限値より低くすることで副反応や分解が起こりにくく収率が向上する。
酸化反応は連続的に実施すると生産効率が高まり、望ましい。その際の反応時間(平均滞留時間)は20分以上であると好ましく、30分以上であるとより好ましく、40分以上であると更に好ましい。反応を十分に進行させ、純度の高い芳香族カルボン酸を得るためである。一方、反応時間は300分以下であると好ましく、150分以下であるとより好ましく、120分以下であると更に好ましく、90分以下であると特に好ましい。溶媒の燃焼による損失を抑制しコストを低減するためである。また反応器の容量を小さくできる点でも好ましい。
酸化反応器は、例えば攪拌機付き反応器、気泡塔反応器、プラグフロー型(配管流通型)反応器などいずれでもよいが、反応効率を高めるには攪拌機付き完全混合槽型反応器が好ましい。反応器の下部には分子状酸素含有ガスの供給口が設けられる。反応器の下部供給口から供給された分子状酸素含有ガスは、アルキル芳香族化合物の酸化反応に利用された後、多量の溶媒の蒸気を含むガスとなり反応器の塔頂部より塔頂流として抜き出される。
塔頂流の主成分は、通常、酸化反応の溶媒、副生する水、分子状酸素含有ガス中で消費されなかった窒素、などである。
一方、上記酸化反応により得られた芳香族カルボン酸は溶媒と共にスラリーとして反応器から抜き出される。必要に応じて酸化反応を2回以上行ってもよい(追酸化反応)。その後、必要に応じて晶析槽での晶析工程を経た後、固液分離されて芳香族カルボン酸ケーキとなり、乾燥されて芳香族カルボン酸結晶が得られる。
また、得られた芳香族カルボン酸結晶の精製を目的として、芳香族カルボン酸結晶を水を含む溶媒中で還元反応に供した後、反応液から芳香族カルボン酸を晶析させてスラリーを得、スラリーを固液分離して芳香族カルボン酸ケーキを得、乾燥されて高純度芳香族カルボン酸結晶を得ることもできる。
図2に示す通り、m=4、n=3とすると共に、第3熱交換器3と第4熱交換器4との間に第2の熱交換器30を設置した実施例について説明する。
図2に示すテレフタル酸生産能力100トン/hの製造設備を用い、反応塔10にp−キシレン及び酢酸を連続的に供給し、同時に触媒として酢酸コバルト、酢酸マンガン及び臭化水素を連続的に供給し、更にp−キシレンに対し分子状酸素が20倍モルとなるよう空気を供給し、温度190℃、圧力1.35MPa(絶対圧)で、反応時間(平均滞留時間)が60分となるよう液面を調整しながら酸化反応を行った。酸化反応を行うための分子状酸素含有ガスとしては空気を用いた。反応液中のコバルト/マンガン/臭素濃度は300/300/1000重量ppmであった。酸化反応の後、反応塔10から粗テレフタル酸と溶媒を主成分とする反応スラリー(粗テレフタル酸濃度35重量%)を抜き出し、固液分離、精製、乾燥等の工程を経てテレフタル酸を製造した。
反応塔10からの塔頂流A(0)が第1熱交換器1、第2熱交換器2、予熱器(この実施例では第1の予熱器)20、第3熱交換器3、第2の予熱器30及び第4熱交換器4の1次側を順次に流通する。第1及び第3熱交換器の2次側には吸熱媒体として水が導入され、水蒸気Steam(1),(3)が発生する。第4熱交換器4では、2次側に水が導入され、温水HWが取り出される。
第2の予熱器30の2次側に水が導入され、この第2の予熱器30から取り出された温水が第1の予熱器20の2次側に導入され、第1の予熱器20から取り出された温水が第2熱交換器2の2次側に導入され、第2熱交換器2から水蒸気Steam(2)が取り出される。
図中、A(1)、A(2)、A(3)、A(4)は各熱交換器1〜4から流出する熱媒体(塔頂流)を示す。A(3)’は、第2の予熱器30から流出する熱媒体を示す。
反応塔10は、パラキシレンをテレフタル酸に酸化するものである。塔頂流A(0)の温度は190℃であり、圧力は1.35MPaであり、通常、酢酸を30〜60体積%含む。この実施例では、塔頂流の組成は、酢酸約40体積%、水約32体積%、窒素約25体積%である。この塔頂流A(0)を、毎時1290トン(91520m3)の流量で一連の熱回収工程に供給した。
また吸熱媒体としては水を使用し、熱交換器1,3,4及び予熱器30への供給量の合計は1370トン/hとした。
熱交換器1〜4は、熱媒体と接触する伝熱面積が8000m2であり、予熱器20,30は、熱媒体と接触する伝熱面積が1100m2である。
熱交換器1,2及び第1の予熱器20の熱媒体と接する箇所をチタン製とし、熱交換器3,4及び第2の予熱器30の熱媒体と接する箇所はステンレス製とした。
塔頂流A(0)が供給される熱交換器1では、135℃、1.5MPaの高圧水を245トン/hにて供給して、155℃の水蒸気Steam(1)を得、塔頂流A(0)を165℃、1.35MPaに冷却した。
熱交換器2では、予熱器20から88トン/hにて供給される115℃の高圧水を加熱して125℃の蒸気Steam(2)を得、塔頂流を135℃、1.30MPaに冷却した。
熱交換器2で冷却された塔頂流A(2)を第1の予熱器20に供給するとともに、第2の予熱器30から335トン/hにて供給された65℃の水をこの予熱器20に供給して加熱し115℃の高圧水とした。予熱器20から出る塔頂流A(2)’は115℃、1.15MPaに冷却されており、ステンレスが腐食されない120℃未満の温度となった。
予熱器20から排出された塔頂流A(2)’が導入される熱交換器3では、90℃の水を加熱して、89℃の蒸気Steam(3)(流量15トン/h)とし、塔頂流を95℃、1.30MPaに冷却した。
塔頂流A(3)が供給される第2の予熱器30では、335トン/hで供給される45℃の水を65℃まで加熱し70℃、1.30MPaに冷却し、この冷却された塔頂流A(3)’を熱交換器4に導入した。熱交換器4では、775トン/hで導入される35℃の水を40℃に加熱し、塔頂流を40℃、1.25MPaに冷却して(A(4))、塔頂流からの熱回収を終了した。以上の工程により40℃、1.25MPaまで冷却された塔頂流A(4)は、酸素濃度が5〜7体積%程度であり、更に濃縮や分離などを行い、有効成分を回収し、残りは廃棄される。
また、それぞれの熱交換器及び予熱器で冷却されることにより凝縮した塔頂流の一部Bは、反応塔10に還流されて再度反応溶媒として利用される。還流量は、反応塔10から抜き出されるスラリーの母液中水分濃度が10重量%となるよう調節した。
この実施例においては、第2の予熱器30に45℃の水を供給し、加熱された65℃の温水を第1の予熱器20に供給し、予熱器20から排出された115℃の高圧水を熱交換器2に導入し、この熱交換器2から125℃の蒸気Steam(2)を得ている。
本実施例の方法によれば、図3に記載の従来の熱回収方法に比べ、高温の蒸気を大量に得られることが分かる。
また、図3に記載の従来の熱回収方法では熱交換器3つをチタン製とする必要があったのに比べ、本実施例の方法によれば、熱交換器2つと予熱器1つをチタン製にすればよく、コスト面でも有利なことが分かる。
10 反応塔(反応器)
1〜5 熱交換器
a,d,g,j,m,p,q 反応ガス
b,e,h,k,n,o 水
c,f,i,l 水蒸気
20 予熱器(第1の予熱器)
30 第2の予熱器
1〜5 熱交換器
a,d,g,j,m,p,q 反応ガス
b,e,h,k,n,o 水
c,f,i,l 水蒸気
20 予熱器(第1の予熱器)
30 第2の予熱器
Claims (9)
- 系から排出される熱媒体を、直列に配置された第1段ないし第m段のm個の熱交換器に第1段側から順次に流通させて吸熱媒体と熱交換させることにより、該熱媒体の有する熱を回収する熱回収方法において、
各熱交換器に該吸熱媒体を導入し、
少なくとも第1ないし第(n−1)段の熱交換器では吸熱媒体の蒸気を発生させるようにした熱回収方法であって、
第(n−1)段の熱交換器と第n段の熱交換器との間に、該(n−1)段から流出する熱媒体と熱交換する予熱器を設け、
第(n−1)段の熱交換器から流出する熱媒体を該予熱器を通してから該n段の熱交換器に流通させ、
該予熱器に液体の吸熱媒体を導入し、この予熱器から流出した吸熱媒体を第1ないし第(n−1)段のいずれかの熱交換器に導入することを特徴とする熱回収方法。
(但し、m、nは2以上の自然数であり、m≧nである。) - 請求項1において、m≧(n+1)であり、第1ないし第n段の熱交換器で吸熱媒体の蒸気を発生させるようにし、第(n+1)段以降の熱交換器からは液体の吸熱媒体を流出させることを特徴とする熱回収方法。
- 請求項1又は2において、前記予熱器から流出する吸熱媒体を第(n−1)段の熱交換器に導入することを特徴とする熱回収方法。
- 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記吸熱媒体が水であることを特徴とする熱回収方法。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記熱媒体が脂肪族カルボン酸を含むことを特徴とする熱回収方法。
- 請求項1ないし5のいずれか1項において、前記第1ないし第(n−1)の熱交換器及び予熱器に供給する熱媒体の温度が120℃を超え、かつn番目からm番目の熱交換器に供給する熱媒体の温度が120℃以下であって、
第1ないし第(n−1)段の熱交換器及び予熱器の熱媒体と接する箇所がチタン製であり、第nないし第m段の熱交換器の熱媒体と接する箇所がステンレス製であることを特徴とする熱回収方法。 - 請求項1ないし6のいずれか1項において、前記熱媒体が、アルキル芳香族化合物を脂肪族カルボン酸を含む溶媒中で酸化して芳香族カルボン酸を製造する酸化反応器の塔頂流であることを特徴とする熱回収方法。
- 請求項1ないし7のいずれか1項において、前記熱媒体が、パラキシレンを酢酸を含む溶媒中で酸化してテレフタル酸を製造する酸化反応器の塔頂流であることを特徴とする熱回収方法。
- 請求項2において、
第n段の熱交換器と第(n+1)段の熱交換器との間に、第n段の熱交換器から流出する熱媒体と熱交換する第2の予熱器が設けられ、第n段の熱交換器から流出する熱媒体を該第2の予熱器を通してから第(n+1)段の熱交換器に導入し、
該第2の予熱器に液体の吸熱媒体を導入し、該第2の予熱器から液体の吸熱媒体を流出させ、この流出した吸熱媒体を前記予熱器に導入することを特徴とする熱回収方法。
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JP2007270344A JP2009096762A (ja) | 2007-10-17 | 2007-10-17 | 熱回収方法 |
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JP7286048B1 (ja) * | 2022-07-15 | 2023-06-02 | 三菱電機株式会社 | メタン合成システム |
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2007
- 2007-10-17 JP JP2007270344A patent/JP2009096762A/ja active Pending
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WO2024013959A1 (ja) * | 2022-07-15 | 2024-01-18 | 三菱電機株式会社 | メタン合成システム |
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