JP2009093795A - 波長選択性回折素子および光ヘッド装置 - Google Patents

波長選択性回折素子および光ヘッド装置 Download PDF

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Abstract

【課題】2波長用半導体レーザが出射する一つの波長の光を回折せず透過し、他の波長の光を回折する光学素子を得て、光ヘッド装置に搭載し光利用効率の高く安定した装置とする。
【解決手段】断面形状が周期的凹凸状の格子を表面に形成した透明基板と格子の凹凸部12Aに充填した充填部材13Aとを備え、格子の凹凸部には波長λよりも短い波長域に光の吸収端を有する有機物顔料を備えており、かつ凹凸部と充填部材は、波長λまたは波長λのいずれか一方の波長の光に対しては同じ屈折率を有し、また他方の波長の光に対しては異なる屈折率を有する波長選択性回折素子1Aを形成して、光ヘッド装置の光源と対物レンズとの間に設置する。
【選択図】図1

Description

本発明は波長選択性回折素子および光ヘッド装置に関し、特に異なる2つの波長の光が入射される波長選択性回折素子およびこの波長選択性回折素子を搭載した光ヘッド装置に関する。
CDやDVDなどの光ディスク、または光磁気ディスクなどの光記録媒体(以下、これらをまとめて「光ディスク」とよぶ)の情報記録面上に情報を記録し、または情報記録面上の情報を再生する光ヘッド装置が種々用いられている。これらの光ヘッド装置には回折素子が様々な用途で使用されている。
光ヘッド装置では、光ディスクの情報記録面に形成されたトラック上にレーザ光を集光させながら光ディスクを回転するため、集光されたレーザ光のビームがトラックから外れないようにする必要があり、このため種々のトラッキング方法が開発されている。これらトラッキング方法の中では、情報の再生時に使用する3ビーム法がよく知られている。また情報の記録時に使用するプッシュプル法、すなわちトラックと平行に2分割された受光素子を用いて光ディスクからの反射光を受け2分割された反射光の差をとる方法、特に信号のオフセットを打ち消すための差動プッシュプル法がよく知られている。
3ビーム法および差動プッシュプル法は、回折素子が使用され、回折素子による0次回折光であるメインビームと、±1次回折光であるサブビームを発生させる点が共通している。
近年、規格、構成などの異なるCDおよびDVDの両光ディスクの情報の記録または再生のため、CDとDVD互換型の光ヘッド装置(以下、互換型光ヘッド装置という)が注目されている。この互換型光ヘッド装置においては、CD−RなどのCD系で情報の再生を前提とする光ディスクの場合には、再生用に790nm波長帯の半導体レーザが使用される。また、DVD系の光ディスクの場合には再生用に650nm波長帯の半導体レーザが使用される。
図9の構成例を参照しながら、2つの半導体レーザが分離配置された第1の従来例の光ヘッド装置について説明する。半導体レーザ3A、3Bからの出射光は、波長合成プリズム9により同一光軸上で合成され、ビームスプリッタ4を透過した後に、コリメートレンズ5で平行光とされ、対物レンズ6を透過後、光ディスク7の情報記録面に集光される。この集光された光は情報記録面で反射され、反射された光は、往路と同じ光路を逆行する。
すなわち、この反射された光は、再び対物レンズ6によって平行光となり、コリメートレンズ5で集光された後、ビームスプリッタ4に入射する。このビームスプリッタ4で反射された光は、往路の光軸とは90°の角度をなす光軸に沿って進行して、光検出器8の受光面に集光される。そして信号光は、この光検出器8で電気信号に変換される。図9において、790nm(以下λともいう)波長帯の光に対して3ビーム発生用回折格子10が用いられている。
このような光ヘッド装置において、2つの波長の光を出射する半導体レーザとして、例えば790nm波長帯の半導体レーザと650nm(以下λともいう)波長帯の半導体レーザを1チップ内に形成したモノリシックな2波長用半導体レーザが提案されている。また、各波長帯のレーザチップを発光点間が100〜300μm程度の間隔となるように配置した複数チップからなる2波長用半導体レーザが最近提案されている。これらの半導体レーザを用いれば、図9に示した2つの半導体レーザが別々に構成された従来の光ヘッド装置に比べ部品点数が低減し、装置の小型化および低コスト化を図ることができる。そのため、2波長用半導体レーザに対応した3ビーム発生用回折格子が強く望まれている。
回折素子が使用されている第2の従来例の光ヘッド装置を示す。光ディスクに情報を記録する光ヘッド装置において、半導体レーザからの出射光が光ディスクにより反射されて戻り光となり、この光はビームスプリッタを用いて光検出器である受光素子へ導かれる。このビームスプリッタとして、ホログラムの回折素子(ホログラムビームスプリッタ)が使用される。
図11にホログラムビームスプリッタを用いた従来の互換型光ヘッド装置の概略を示す((a)λ波長帯の光を出射する場合、(b)λ波長帯の光を出射する場合)。650nm波長帯の光および790nm波長帯の光を出射する半導体レーザ3からの出射光は、コリメートレンズ5により平行光となり、対物レンズ6により光ディスク7の面上に集光される。光ディスク7からの反射光は、再び対物レンズ6を通過し、コリメートレンズ5を通過した後、ホログラムビームスプリッタ11により光検出器8A(図11(b))または8B(図11(a))を構成する受光素子に到達する。受光素子は、受光した反射光を電気信号に変換し、電気信号はアンプで増幅され、さらに自動ゲイン補正回路でゲインがかけられて信号レベルを一定範囲に調整される。ただし、図11には、アンプおよび自動ゲイン補正回路は図示されていない。
一方、CDとDVD互換用の回折素子として、特許文献1に、一方の入射光に対して光路差をその波長の整数倍にし、かつ他方の入射光に対して光路差をその波長の非整数倍にした波長選択性回折素子が記載されている。以下、その説明を行う。一般に、山と谷が交互に出現する2レベル(矩形状)の回折格子の回折効率は、波長をλ、光路差をRとして以下の式で近似される。ここで、ηは0次の回折効率、ηはm次の回折効率をあらわし、またmは0以外の整数である。
Figure 2009093795
ここで、一方の入射光に対してその光路差をその波長の整数倍にすると、上式より、η=1、η=0となる。さらに、他方の入射光に対して光路差がその波長の非整数倍ならば、0<η<1、0<η<1となる、波長選択性回折素子を得ることができる。
ここでは2レベルの回折素子の場合について説明したが、1レベル(段差)の光路差が一方の入射光に対してその波長の整数倍であり、他方の入射光に対してその波長の非整数倍であるという条件が満たされている限り、マルチレベルの格子形状、特に疑似ブレーズド格子形状においても、波長選択性回折素子を得ることができる。
以下に、この波長選択性回折素子を利用した、従来の光ヘッド装置の例を示す。
図13は、波長選択性回折素子が、開口制限素子として使用されている、第3の従来例の光ヘッド装置である。開口制限素子18は、合成石英ガラスなどのガラス基板からなっており、開口制限素子として使用されている従来の波長選択性回折素子の構成の一例を図12に示す。図12に示すように、開口制限素子18の周辺部にのみ、光路差がDVD系の波長λの2倍になる回折格子が形成されている。そのとき、その光路差は、CD系の波長λのほぼ1.6倍となるため、λの波長の光を透過し、λの波長の光の70%以上を回折できる。図12において、回折格子の格子面が2分割されているのは、往路と復路でともに回折された光が、非回折透過光と同じ光路を進行し、光検出器に集光されるのを防ぐためである。
図13に示すように、半導体レーザ3A、3Bからの出射光は、波長合成プリズム9により同一光軸上で合成され、ビームスプリッタ4を透過した後に、コリメートレンズ5により平行光となり、開口制限素子18に入射する。λの光は開口制限素子18の周辺部(図12(b)の斜線部)、中心部(図12(b)の円内部)で回折されることなく透過し、対物レンズ6によりDVD系の光ディスク7の情報記録面に焦点を結ぶ(図13(a))。
また、λの光は開口制限素子18の周辺部では回折され、中心部を透過した光のみが、小さい開口数で光ディスク7の情報記録面に集光される(図13(b))。光ディスクからの反射光は、再び対物レンズ6、開口制限素子18、コリメートレンズ5を透過した後、ビームスプリッタ4に入射する。このビームスプリッタ4で反射された光は、往路の光軸とは90°の角度をなす光軸に沿って進行して、光検出器8の受光面に集光される。そして信号光は、この光検出器8で電気信号に変換される。なお、図13(b)では省略されているが、開口制限素子18により回折されたλの光も、光ディスク7の情報記録面に集光され、反射された後、信号光と同様の光路を進行し、光検出器8の、受光面とは異なる部分に集光される。
図15には、波長選択性回折素子が、波長選択性の偏向素子として使用されている第4の従来例の光ヘッド装置が示されている。波長選択性偏向素子は、合成石英ガラスなどのガラス基板からなっており、従来の波長選択性回折素子の構成の他の例である図14に示すように、1レベル(段差)の光路差RがDVD系の波長λに等しくなる、5〜7レベル(4〜6段)のマルチレベルの疑似ブレーズド回折格子19が形成されている(図14では6レベル(5段)の格子が示されているが、このレベル数に限定されない)。
このとき、λの波長の光を回折せず透過し、λの波長の光を60%以上、一つの回折次数で回折させて、偏向させることができる。
図15に示すように、2波長用半導体レーザ3の1つの発光点から出射された波長λの出射光(図15(a))と、それとは異なる発光点から出射された波長λの出射光(図15(b))は、ビームスプリッタ4を透過した後に、コリメートレンズ5により平行光となり、対物レンズ6により光ディスク7の情報記録面に集光される。
光ディスク7からの反射光は、再び対物レンズ6、コリメートレンズ5を透過した後、ビームスプリッタ4に入射し、このビームスプリッタ4で反射された光は、往路の光軸とは90°の角度をなす光軸に沿って進行して、波長選択性偏向素子19に入射する。波長選択性偏向素子19に入射した波長λの光は、波長選択性偏向素子19で偏向されることなく透過した後、光検出器8の受光面に集光される(図15(a))。一方、波長選択性偏向素子19に入射した波長λの光は、波長選択性偏向素子19で偏向された後、波長λの光の検出器8と同一の光検出器の受光面に集光される(図15(b))。
しかし、第1の従来例の光ヘッド装置の場合、すなわち3ビーム法や差動プッシュプル法で用いる3ビーム発生用の回折素子を2波長用半導体レーザと組み合わせて使用する場合、次の問題が発生する。すなわち、CD系の光ディスク用790nm波長帯およびDVD系の光ディスク用650nm波長帯のいずれの入射光に対しても回折素子は、回折効果を有して回折光が発生する。その結果、望まない不要な回折光が迷光となって光検出器に混入して、情報の記録または再生ができなくなる。また、一方の光ディスク用入射光の3ビーム発生用に設けられた回折格子が、他方の光ディスク用入射光を回折し不要回折光を発生して、光量損失を招き信号光を減少させるなどの問題が生ずる。
この問題を解決する方法として、前述のように、特許文献1には、一方の入射光に対して光路差をその波長の整数倍にし、かつ他方の入射光に対して光路差をその波長の非整数倍にした波長選択性回折素子を形成することが記載されている。しかし、一方の波長帯の入射光に対して光路差をその波長の整数倍にする条件が、他方の波長に対する設計の自由度を少なくし、回折効率選択の自由度を少なくするため、満足できるものではなかった。
また、第2の従来例の光ヘッド装置の場合、すなわちホログラムビームスプリッタをモノリシックな2波長用半導体レーザと組み合わせて使用する場合、次の問題が発生する。すなわち、格子ピッチがPの回折素子からなるホログラムビームスプリッタに波長λの光が入射したとき、光の回折角をθとするとsinθは、λ/Pに比例する。このため、650nm波長帯と790nm波長帯の光とでは波長が異なるため回折角が異なり、同一の光検出器で回折光を受光するとき受光面積を大型化する必要がある。
大型化することにより、高周波特性が劣化して光ディスクの高速再生ができない問題がある。また、650nm波長帯と790nm波長帯の光に対し光検出器のそれぞれ受光面を形成した場合、受光素子数が2倍に増加し、この増加に伴って信号処理回路も複雑になる問題が生じる。
この問題を解決する方法として、特許文献2には、光路差がDVD系の波長λと等しい回折格子と、回折格子が形成してある基板面とは別の面に、光路差がCD系の波長λと等しい回折格子とを形成し、小型の同一の光検出器で信号を検出することが記載されている。
しかし、前述の回折効率の式は、回折格子の光路差と比較して回折格子のピッチが非常に大きいと考えられる場合にのみ成立する近似式であり、格子の光路差が大きくなる、または格子ピッチが小さくなるにつれて、近似式が成立しなくなる。光路差を波長のn倍(nは自然数)、すなわち前述の式でη=1、η=0となる条件に設定しても、実際にはη=1にならない、またはη=0にならないことがある。上記の近似式が成り立たなくなることは、回折格子の共鳴現象と呼ばれ、格子ピッチが小さくなる、または光路差が大きくなるにつれてより近似式の不成立が顕著に表れる。
通常、このホログラムビームスプリッタの格子ピッチは5μm以下と小さく、光路差と比較して格子ピッチが小さいため、前述した共鳴現象により、透過させたい波長の透過率が低下する問題を有していた。
また、第3の従来例の光ヘッド装置の場合、信号検出用の受光素子に、開口制限素子により回折された波長λの不要な光が信号検出用の受光素子に入射しないようにするため、回折格子のピッチを小さくして回折光の回折角度を大きくする必要がある。しかし、前述のように、回折格子のピッチを小さくすると、透過させたいλの波長の光の透過率が低下し、開口制限素子としての特性が低下する問題を有していた。
また、第4の従来例の光ヘッド装置の場合、波長λの光を透過させ、波長λの光を回折させるためには、擬似ブレーズド回折格子のレベル数を5〜7と多くする必要があった。多くすると合計の光路差は、波長λの4〜6倍と長くなるため、透過させたいλの波長の光の透過率が低下し、波長選択性偏向素子としての特性が低下する問題を有していた。
特開平4−129040号公報 特開2000−76689号公報
本発明の目的は、上記の問題を解決し、さらに設計自由度の大きい、すなわち、回折効率が任意に設定でき、また、透過させたい波長の光に対して光路差が発生せず、格子ピッチが小さくても、透過させたい波長の透過率が低下しない波長選択性回折素子を提供することである。またこの波長選択性回折素子と2波長用半導体レーザを備えた情報の記録および再生を、安定して行える光ヘッド装置を提供することにある。
本発明は、波長λおよび波長λ(λ<λ)の2つの光を入射させて用いる波長選択性回折素子であって、波長選択性回折素子は周期的凹凸状の格子を表面に形成した透明基板と格子の凹凸部に充填された充填部材とを備え、格子の凹凸部を形成する凹凸部材または充填部材のいずれかが波長λよりも短い波長域に光の吸収端を有する有機物顔料を含んでおり、かつ凹凸部材と充填部材とは、波長λまたは波長λのいずれか一方の波長の光に対しては同じ屈折率を有しこの一方の波長の光を回折せず透過し、他方の波長の光に対しては異なる屈折率を有しこの他方の波長の光を回折することを特徴とする波長選択性回折素子を提供する。
また、波長λおよび波長λの2つの光を出射する光源と、2つの光を光記録媒体に集光する対物レンズと、2つの光の光記録媒体からの反射光を検出する光検出器とを備える光ヘッド装置であって、光源と対物レンズとの間の光路中に、上記の波長選択性回折素子が設置されていることを特徴とする光ヘッド装置を提供する。
本発明の波長選択性回折素子を用いれば、特定の波長に対して3ビームを発生する回折格子やホログラムビームスプリッタとして機能する光学素子が実現する。このような波長選択性回折素子を光ヘッド装置に搭載することにより、CD系とDVD系の光に対して独立に回折効率や回折角度を設定できるため、おのおのの光学系で最適に光ディスクの情報を検出できる。
さらに、本発明の波長選択性回折素子を用いた光ヘッド装置では、2波長用半導体レーザの搭載による半導体レーザ数の削減に加えて、さらに装置の部品点数の削減および小型化が実現できるとともに、CD系光ディスクおよびDVD系光ディスクの情報の記録および再生において、光利用効率の高い安定した記録および再生性能が実現できる。
本発明の波長選択性回折素子の第1の態様を示す図で、(a)波長λの光が入射したときの様子を示す側面図、(b)波長λの光が入射したときの様子を示す側面図。 本発明の波長選択性回折素子の第2の態様を示す図で、(a)波長λの光が入射したときの様子を示す側面図、(b)波長λの光が入射したときの様子を示す側面図。 本発明の波長選択性回折素子の第3の態様を示す図で、図1と図2の波長選択性回折素子を積層した波長選択性回折素子であり、(a)波長λの光が入射したときの様子を示す側面図、(b)波長λの光が入射したときの様子を示す側面図。 本発明の波長選択性回折素子の第4の態様を示す図で、図1と図2の波長選択性回折素子を積層した波長選択性回折素子であり、図1と図2の波長選択性回折素子を積層した波長選択性回折素子であり、(a)波長λの光が入射したときの様子を示す側面図、(b)波長λの光が入射したときの様子を示す側面図。 本発明の波長選択性回折素子の第5の態様を示す図で、図3の波長選択性回折素子に位相板を組み合わせた波長選択性回折素子であり、(a)波長λの光が入射したときの様子を示す側面図、(b)波長λの光が入射したときの様子を示す側面図。 本発明の波長選択性回折素子の第6の態様を示す図で、図4の波長選択性回折素子に位相板を組み合わせた波長選択性回折素子であり、(a)波長λの光が入射したときの様子を示す側面図、(b)波長λの光が入射したときの様子を示す側面図。 本発明の波長選択性回折素子の第7の態様を示す図で、図3の波長選択性回折素子に位相板を組み合わせた波長選択性回折素子であり、(a)波長λの光が入射したときの様子を示す側面図、(b)波長λの光が入射したときの様子を示す側面図。 本発明の光ヘッド装置の第1の態様を示す概略的側面図。 従来の光ヘッド装置の一つの例を示す概略的側面図。 本発明の光ヘッド装置の第2の態様を示す概略的側面図。 従来の光ヘッド装置の他の例を示す図で、(a)波長λの光が回折される様子を示す概略的側面図、(b)波長λの光が回折される様子を示す概略的側面図。 従来の波長選択性回折素子の一つの例を示す図で、(a)、(b)断面図。 従来の光ヘッド装置の別の例を示す図で、(a)波長λ1の光で記録、再生が行われている様子を示す概略的側面図、(b)波長λ2の光で記録、再生が行われている様子を示す概略的側面図。 従来の波長選択性回折素子の他の例を示す図で、(a)、(b)断面図。 従来の光ヘッド装置のさらに別の例を示す図で、(a)波長λ1の光で記録、再生が行われている様子を示す概略的側面図、(b)波長λ2の光で記録、再生が行われている様子を示す概略的側面図。 本発明の波長選択性回折素子の第8の態様を示す図で、(a)波長λの光が入射したときの様子を示す側面図、(b)波長λの光が透過、回折される様子を示す側面図。 本発明の光ヘッド装置の第3の態様を示す図で、(a)波長λの光で記録、再生が行われている様子を示す概略的側面図、(b)波長λの光で記録、再生が行われている様子を示す概略的側面図。 本発明の波長選択性回折素子の第9の態様を示す図で、(a)波長λの光が入射したときの様子を示す側面図、(b)波長λの光が回折される様子を示す側面図。 本発明の光ヘッド装置の第4の態様を示す図で、(a)波長λの光で記録、再生が行われている様子を示す概略的側面図、(b)波長λの光で記録、再生が行われている様子を示す概略的側面図。
「波長選択性回折素子の第1の実施態様」
図1に示す本実施態様の波長選択性回折素子1Aに、波長λと波長λの(λ<λ)光が入射する(図1(a)波長λの光が入射する様子を示す、図1(b)波長λの光が入射する様子を示す)。波長選択性回折素子1Aは、格子の凹凸部である回折格子12A(凹凸部材からなる)を表面に形成している透明基板11Aと、その間に充填される充填部材13Aとを備える回折素子であり、透明基板14Aで充填部材13Aが保護されている。波長λの光に対しては回折格子12Aと充填部材13Aの屈折率が等しく、波長λの光に対しては回折格子12Aと充填部材13Aの屈折率が異なる。
ここで、回折格子12Aまたは充填部材13Aのいずれかは、波長λよりも短い波長域に光の吸収端(波長)を有す有機物顔料を含んでいる。ここで含んでいるという意味は、凹凸部材または充填部材が、有機物顔料を実際上含有する(含まれる)場合と有機物顔料そのものが両部材の一方を構成している場合のことである。しかし、有機物顔料を含む場合が多いので、以下では実際上、有機物顔料が含まれる、として説明する。
例えば、回折格子12Aに有機物顔料が含まれているとすると、異常分散効果により回折格子12Aの、波長λにおける屈折率と波長λにおける屈折率の差を、充填部材13Aの屈折率の差よりも大きくできる。したがって、有機物顔料が含まれている回折格子12Aと充填部材13Aとの材料を適切に選択すれば(有機物顔料も適切に選択する)、これら材料の波長λにおける屈折率の差をゼロとし波長λにおける屈折率の差を大きくできる。
このため、波長λの光が回折格子12Aを通過するときには、屈折率が等しいため、回折格子の機能は発生せず直進透過する。一方、波長λの光が透過するときには、屈折率が異なるため回折格子として機能し、回折格子12Aの高さdと格子形状により回折効率を変化させることができ、また回折格子12Aの格子ピッチを変化させることにより回折角度を変化させることができる。
ここで、異常分散効果による屈折率の差を利用するのは、分散曲線における異常分散領域ではなく、この領域からは外れているが異常分散効果により屈折率が大きく変化した領域である。また、常分散領域の全波長領域で屈折率が全体的に高い方へシフトするので、この効果も利用できる。以下、同様である。
上記において、回折格子12Aに有機物顔料が含まれているとしたが、充填部材13Aに有機物顔料が含まれているとしても、同様である。
有機物顔料は分子骨格や置換基を変えることにより、容易に波長分散(屈折率の波長依存性)を変えることができる点で優れている。さらに、有機物顔料は染料などと異なり、耐熱性、対照射性などが優れていて耐久性がある。
波長λにおける凹凸部材と充填部材との屈折率の差が大きいほど格子の深さを浅くでき、回折効率の入射角度依存性が低減できて好ましい。しかし、現実に存在する光学材料の波長λにおける屈折率分散と吸収量の関係を考慮すると、屈折率の差は0.02から0.10までの値をとることができる。
「波長選択性回折素子の第2の実施態様」
図2に示す本実施態様の波長選択性回折素子1Bは、凹凸部材からなる回折格子12Bを表面に形成している透明基板と、その間に充填される充填部材13Bとを備える回折素子である。波長λの光に対しては回折格子12Bと充填部材13Bの屈折率が異なり(図1(a))、波長λの光に対しては回折格子12Bと充填部材13Bの屈折率が等しい(図1(b))。11B、14Bなど11A、14Aとはアルファベットは異なっているが、同じ数字のものは図1と同じ構成要素を示し、透明基板である。
本実施態様でも、回折格子12Bまたは充填部材13Bのいずれかに、波長λよりも短い波長域に光の吸収端を有する有機物顔料が含まれている。例えば、回折格子12Bに有機物顔料が含まれているとすると、異常分散効果により回折格子12Bの、波長λにおける屈折率と波長λにおける屈折率の差を、充填部材13Bの屈折率の差よりも大きくできる。したがって、有機物顔料が含まれている回折格子12Bと充填部材13Bとの材料を適切に選択すれば(有機物顔料も適切に選択する)、これら材料の波長λにおける屈折率の差を大きくし波長λにおける屈折率の差をゼロとできる。
このとき、回折格子12Bを波長λの光が透過するときには、波長選択性回折素子1Bは回折格子として機能し、格子ピッチの大きさに応じて特定の角度で回折される。直進光の透過効率と回折光の回折効率は、回折格子12Bの高さdや格子形状を変えることで変化できる。一方、波長λの光が透過するときは回折されることなく直進透過する。
「波長選択性回折素子の第3の実施態様」
図3に示す本実施態様の波長選択性回折素子1Cは、第1と第2の実施態様の波長選択性回折素子を組み合わせたものである。波長選択性回折素子1Cは、回折格子12Cを表面に形成している透明基板11Cと、回折格子15Cを表面に形成している透明基板16Cとを備え、充填部材13Cと14Cとにより透明基板17Cが挟まれている積層構造を有する。ここで、波長λの光に対しては回折格子12Cと充填部材13Cの屈折率が等しく、波長λの光に対しては回折格子12Cと充填部材13Cの屈折率が異なる。
また、波長λの光に対しては回折格子15Cと充填部材14Cの屈折率が異なり、波長λの光に対しては回折格子15Cと充填部材14Cの屈折率が等しい。したがって、図3(a)が示す波長選択性回折素子1Cの上側の部分は図2(a)、下側の部分は図1(a)がそれぞれ示すように、波長λの光は回折格子15Cで回折され、回折格子12Cを透過し、15Cのみが回折格子として作用する。
一方、図3(b)が示す波長選択性回折素子1Cの上側の部分は図2(b)、下側の部分は図1(b)がそれぞれ示すように、波長λの光は回折格子15Cを透過し、回折格子12Cで回折され、12Cのみが回折格子として作用する。したがって、ひとつの複合化された素子で2種の波長に対して、それぞれ独立に回折素子として機能する。
「波長選択性回折素子の第4の実施態様」
また、図3に示す波長選択性回折素子1Cにおける透明基板17Cを用いず、図4に示す本実施態様の波長選択性回折素子1Dのように、透明基板11D上に形成された回折格子12Dと透明基板15D上に形成された回折格子14Dとが充填部材13Dを介して積層されている構造としてもよい。波長λおよびλに対する充填部材と回折格子の屈折率の値の関係は、第3の実施態様の場合と同様である。
第4の実施態様において、有機物顔料は回折格子12Dおよび14Dに含ませるか、または充填部材13Dに含ませる。図4(a)に示す波長選択性回折素子1Dの場合、波長λの光は回折格子14Dで回折され、回折格子12Dを回折せず透過して、14Dのみが回折格子として作用する。一方、図4(b)に示す波長選択性回折素子1Dの場合、波長λの光は回折格子14Dを透過し、回折格子12Dで回折され、14Dのみが回折格子として作用する。
したがって、本実施態様においても、ひとつの複合化された素子で2種の波長に対して、それぞれ独立に回折素子として機能する。
「波長選択性回折素子の第5の実施態様」
図5に示す本実施態様の波長選択性回折素子1Eは、第3の実施態様で説明した波長選択性回折素子1Cにおいて、透明基板11Cの外側(図では下側)に位相板12Eが設けられ、その上に透明基板11Eを配置した構成となっている。位相板12Eとしては、1/2波長板、1/4波長板などを挙げることができる。位相板12Eを波長選択性回折素子と一体化することにより、小型でありながら入射光に対して回折効果と偏光状態を変化させる効果を合わせ持たせることができ好ましい。
ここで、図5(a)は波長λの光が回折格子15Cにより回折され、0次回折光および±1次回折光が位相板12Eを透過する様子を示し、図5(b)は波長λの光回折格子12Cにより回折され、0次回折光および±1次回折光が位相板12Eを透過する様子を示している。
「波長選択性回折素子の第6の実施態様」
図6に示す本実施態様の波長選択性回折素子1Fは、第4の実施態様で説明した波長選択性回折素子において、透明基板11Dの外側に位相板12Fが設けられ、その上に透明基板11Fを配置した構成となっている。図6(a)には波長λが入射し、図6(b)には波長λが入射する様子を示している。位相板12Fを波長選択性回折素子と一体化することにより、第5の実施態様の波長選択性回折素子1Eよりもさらに小型でありながら入射光に対して回折効果と偏光状態を変化させる効果を合わせもつことができ好ましい。また、波長選択性回折素子1Fは、波長選択性回折素子1Eより透明基板が1枚数少ないので、作製の工程数が減り好ましい。
「波長選択性回折素子の第7の実施態様」
図7に示す本実施態様の波長選択性回折素子1Gは、第5の実施態様で導入した位相板を位相板11Gとして充填部材13Cと14Cとの間に配置されている。この場合、有機物顔料は、回折格子15C、12Cにともに含まれていてもよいし、充填部材14Cと13Cにともに含まれていてもよいし、一方の回折格子15Cと他方の充填部材13Cであってもよいし、または一方の充填部材14Cと他方の回折格子12Cに含まれていてもよい。位相板11Gとしては、1/2波長板、1/4波長板などが挙げられる。
図7(a)に示すように、入射した波長λの光は回折格子15Cにより±1次回折光に分離され、または0次回折光は透過されて、ともに位相板11Gへ進み、±1次回折光および0次回折光は、偏光状態が変化する。これらの光はさらに、次の回折格子12Cへ進むが13Cと12Cの屈折率が等しいため、回折されずに透過する。
図7(b)に示すように、入射した波長λの光は、回折格子15Cでは回折されず、透過して位相板11Gへ進み偏光状態が変化して、回折格子12Cへ進む。入射光は、回折格子12Cによって、±1次回折光および0次回折光とに分離される。
図7に示すように、位相板11Gを回折格子15Cと12Cとの間に配置することにより、位相板を一体化している第6の実施形態の波長選択性回折素子1Fと比較して、波長選択性回折素子1Gは透明基板の枚数を1枚少なくでき、作製の工程数が減り、さらに素子厚を薄くできて好ましい。
以上、第1〜7の実施態様において、波長選択性回折素子の説明をした。1つの波長選択性回折素子の場合、2つの波長選択性回折素子を積層する場合、さらに、2つの波長選択性回折素子と位相板とを積層する場合について説明したが、1つの波長選択性回折素子と位相板とを積層して使用することもできる。
波長選択性回折素子においては、格子高さd、dまたは格子形状を変化させることで回折効率を変ることができるので、3ビーム発生用素子またはホログラムビームスプリッタとして、好適な効率が得られる格子高さを用いればよい。また、波長選択性回折素子の凹凸部を階段状の多段ステップまたはブレーズド回折格子の格子形状にすることにより、特定の次数の回折効率を高めて用いてもよい。回折角度についても、所望の回折角度となるような格子ピッチとすればよく、これらは従来の3ビーム発生用素子やホログラムビームスプリッタに用いられている手法をそのまま、波長選択性回折素子に採用できる。
上記において、2つの波長選択性回折素子の組み合わせ方について、波長λ1、波長λいずれの波長の光に対しても回折格子として機能する場合を説明した。しかし、波長λの光に対しては3ビーム発生用回折格子およびホログラムビームスプリッタとして機能し、波長λの光に対しては回折格子として機能しない組み合わせでもよく、また、その逆の場合であってもよい。選択的に回折させる波長とその回折格子の機能は、目的に応じて組み合わせて採用できる。
上記において、格子高さd、dが回折効率に寄与し格子ピッチが回折方向に寄与することを述べたが、格子高さが低いほど格子形状のエッジにダレが少なく、またファインピッチを作製しやすいなど形状制御性に優れており好ましい。さらに、格子高さが低いほど素子の作製時間の短縮ができ工程上も好ましい。
上記のように、凹凸部材または充填部材に、2つの波長λおよびλ(λ<λ)のうち短い方の波長λより短い波長域に吸収端を有する有機物顔料を含ませて、異常分散効果により屈折率の増加を発生させる。
例えば、図1に示す、充填部材13Aに有機物顔料が含まれているとして、回折格子12A(凹凸部材からなる)と充填部材13Aとの波長λの光に対する屈折率をそれぞれn12A(λ)、n13A(λ)、λの光に対する屈折率をそれぞれn12A(λ)、n13A(λ)とする。波長λに対して(図1(a))、n12A(λ)=n13A(λ)であり、波長λに対して(図1(b))、n12A(λ)>n13A(λ)であって、n12A(λ)−n13A(λ)を大きくできる。
回折格子12Aに有機物顔料が含まれているとすると、波長λに対して(図1(a))、n12A(λ)=n13A(λ)であり、波長λに対して(図1(b))、n13A(λ)>n12A(λ)であって、n13A(λ)−n12A(λ)を大きくできる。すなわち、波長λの光に対して波長選択性回折素子は回折の効果を有さず、波長λの光に対して回折の効果を有する。
また、例えば図2に示す充填部材13Bに有機物顔料が含まれているとして、回折格子12Bと充填部材13Bとの波長λの光に対する屈折率をそれぞれn12B(λ)、n13B(λ)、波長λの光に対する屈折率をそれぞれn12B(λ)、n13B(λ)とする。波長λに対して(図2(a))、n13B(λ)>n12B(λ)であり、n13B(λ)−n12B(λ)を大きくすることができ、また波長λに対して(図2(b))、n12B(λ)=n13B(λ)である。 回折格子12Bに有機物顔料が含まれているとすると、波長λに対して(図2(a))、n12B(λ)>n13B(λ)であり、n12B(λ)−n13B(λ)を大きくすることができ、また波長λに対して(図2(b))、n12B(λ)=n13B(λ)である。
すなわち、波長λの光に対して波長選択性回折素子は回折の効果を有し、波長λの光に対して回折の効果を有しない。
上記のように、凹凸部材または充填部材に有機物顔料を用いると、一方の波長(例えばλ)の光に対してはこれら2つの材料間の屈折率を等しくしておきながら、他方の波長(例えばλ)の光に対し屈折率の差を大きくできる。
有機物顔料は蒸着法などにより製膜してもよいし、また有機物顔料を樹脂バインダ、重合性モノマ、重合開始材、増感剤、溶剤、界面活性剤などに混合し適宜調整した組成物を用いて製膜してもよい。組成物を用いる場合には透明基板上に組成物を塗布した後、溶媒を加熱除去しさらに重合硬化させるとよい。また、必要に応じて重合硬化後、加熱処理してもよい。
上記組成物において、有機物顔料がエッチングできるレジスト中に含まれた場合には、選択的に硬化させた残りの末重合硬化部をエッチング処理し、容易に所望の格子形状を作製することができ好ましく、さらに前記レジストがフォトレジストである場合はフォトリソグラフィにより直接格子が形成でき特に好ましい。
波長λおよび波長λがそれぞれ650nm波長帯および790nm波長帯である場合には、赤色有機物顔料が好適に用いられる。
赤色有機物顔料は上記いずれの波長帯でも顕著な吸収がなく、高い透過率が実現できる。一方で650nmより短い波長で吸収が現れ、その後波長の減少に応じて急激に吸収が増加し、550nm近傍に吸収極大を有するため、異常分散効果により、790nm波長帯、650nm波長帯で、屈折率の差の大きな値を実現できる。
黄色有機物顔料は赤色有機物顔料と比較すると、吸収端が短波長域の500nm付近にある。このため、CD系の790nm波長帯、DVD系の650nm波長帯では吸収がないため透過率は高く良好な材料であるが、反面波長分散が大きい領域が赤色有機物顔料より全体的に短波長域にシフトしており、650nm波長帯と790nm波長帯の屈折率の差は小さい値しか得られない。
赤色顔料としては、ジケトピロロピロール系、アンスラキノン系、キナクリドン系、縮合アゾ系、ペリレン系などに分類される有機物顔料を採用できる。これらの有機物顔料は単独で用いてもよいし、2種または3種以上を混合して用いてもよい。なかでも、ピグメントレッド(Pigment Red) 254に代表されるジケトピロロピロール系やピグメントレッド177に代表されるアンスラキノン系は耐久性に優れており、本素子の赤色有機物顔料として好ましく用いられる。
赤色有機物顔料が含まれたフォトレジストは、液晶ディスプレイ用のカラーフィルタの作製に用いられており、市販のカラーフィルタ用レジストの一部はそのまま使用できる。また、赤色有機物顔料、樹脂バインダ、重合性モノマ重合開始材、増感剤、溶剤、界面活性剤などの濃度や化合物を必用に応じて調整してもよい。
赤色有機物顔料を用いてなる格子の凹凸部材または充填部材などについては、いずれの場合も、形成(製膜)後の光の吸収特性が以下のように調整されることが好ましい。吸収端の波長は580nmから620nmまでの範囲にあることが好ましく、吸収端の波長は複素屈折率n(λ)=n(λ)+i・k(λ)(実数部n(λ)は通常の屈折率、虚数部i・k(λ)のうちk(λ)は吸収係数、λは波長)において、波長を減少させていくとき、波長650nm以下で初めてk(λ)が0.01を超える波長λを吸収端と定義する。
k(λ)を0.01としたのは、k(λ)を0から増加させるときに、0に近くかつ測定誤差より大きくて、明らかに増加傾向が把握できる値であることによる。この吸収端の波長が620nmより大きい場合には、吸収損失(透過率の低下)が問題になり、また580nmより小さい場合には、650nm波長帯と790nm波長帯との間で大きな波長分散を得ることが困難である。
大きな波長分散を得る観点から、波長の減少とともに吸収係数が急激に増加することが必要である。赤色有機物顔料は波長550nm近傍で吸収極大を有するので、この波長で吸収係数が大きな値であるとよい。本発明の例1、例3、例4、例10、例11に用いた有機物顔料の550nmにおける吸収係数kと650nmと790nmの屈折率の差(△n)を表1に示した。
Figure 2009093795
ショット(SCHOTT)社の光学ガラスカタログにおいて、波長分散の大きい光学ガラスとしてフリントガラスが記載されている。商品名SF6やSF58などのフリントガラスの△nは、おのおの0.012、0.015である。これらの値と比較すると、赤色有機物顔料を用いた表1中でk(550nm)が0.05以下である場合には異常分散効果により△nが大きな値を得ているとは言い難い。したがって、波長550nmでの吸収係数kについては0.05より大きいことが好ましい。
また、上記の有機物顔料を含むレジストを硬化前にエッチングして格子を作製する方法以外にも、硬化後の部材(膜や蒸着膜)をフォトリソグラフィとエッチング処理により格子を形成してもよく、また、基板表面に形成された格子の凹凸部に有機物顔料を含んだレジストを充填部材として充填してもよい。他の充填部材としては、光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂などが挙げられる。
前述の赤色有機物顔料を含んでいる組成物の△nが大きい程、赤色有機物顔料組成物の膜厚が薄くできるため好ましく、△nが大きくなると波長650nmにおける屈折率も高くなる。このため、光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂としても波長650nmにおける屈折率が高いものが好ましく、1.6以上のものが好ましく用いられる。
このような光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂としては、特開平2000−309584に記載があるような下記の式1で表される化合物を含んでいる組成物は屈折率が高く、かつ屈折率の波長分散が小さく本用途として好ましく用いることができる。しかし、この化合物に限定されない。
Figure 2009093795
式中、R1〜Rはそれぞれ炭素数1〜10の炭化水素基または水素を表す。XはSまたはOを示し、このSの個数は三員環を構成するSとOの合計に対して、50%以上である。YはO、S、SeまたはTeを表し、pは0〜6、qは0〜4の範囲の整数である。
基板表面に格子を形成するには、基板そのものをエッチング処理、金型成型などしてもよいし、また基板に別の光学材料をコーティングなどした後、この光学材料をエッチング処理や金型成型して格子を作製してもよい。また、上記の蒸着などで製膜され有機物顔料もこれに含まれる。
以下、波長選択性回折素子が光ヘッド装置に搭載された場合を説明する。
「光ヘッド装置の第1の実施態様」
図8は本発明の光ヘッド装置の第1の態様を示し、波長選択性回折素子として、CD用の3ビームを発生する波長選択性回折素子1A(図1)を用いた光ヘッド装置である。このように構成された光ヘッド装置において、2波長用半導体レーザ3(DVD系光ディスク用の波長λのレーザ光を出射する半導体レーザとCD系光ディスク用の波長λのレーザ光を出射する半導体レーザとが一体化されている)から出射した波長λの光は、波長選択性回折素子1Aにより回折されることなく直進透過し、さらにビームスプリッタ4を透過し、コリメートレンズ5により平行光となる。
その後、この平行光は、対物レンズ6により光ディスク7(DVD系)の情報記録トラック上に集光される。そして、光ディスク7で反射された光は、再び対物レンズ6およびコリメートレンズ5を透過し、ビームスプリッタ4により反射されて光検出器8の受光面に集光される。
一方、2波長用半導体レーザ3から出射した波長λの光は、波長選択性回折素子1Aにより出射光の一部(例えば、5%〜40%)が±1次回折光として回折されるが、±1次回折光を含めこの光はさらにビームスプリッタ4を透過し、コリメートレンズ5により平行光にされる。その後、この平行光は対物レンズ6により光ディスク7(CD系)の情報記録トラック上に、0次回折光および±1次回折光が3ビームとなって集光される。そして、光ディスク7により反射された光は、再び対物レンズ6およびコリメートレンズ5を透過し、ビームスプリッタ4により反射されて、0次回折光および±1次回折光はそれぞれ光検出器8の受光面に集光される。
上記のように、本発明の波長選択性回折素子1Aを搭載した光ヘッド装置の場合、波長λの光は波長選択性回折素子により回折されることなく直進透過するため、効率低下をもたらさずまた迷光も発生しない。したがって、DVD系の光ディスクでは、DVD系の光検出器(4分割受光面)を用いて、1ビームを使用する位相差法によるトラッキング誤差信号検出、さらに非点収差法による光ディスク面へのフォーカシング誤差信号検出、および記録情報であるピット信号検出が安定して行える。
一方、CD系の光ディスクでは、DVD系と同一の4分割受光面の光検出器8を用いて、非点収差法による光ディスク情報記録面へのフォーカシング誤差信号検出およびピット信号検出が行われる。さらに光検出器における他の2つの受光面で±1次回折光を受光することにより、3ビーム法によるトラッキング誤差信号検出が行われる。
上記の説明では波長選択性回折素子をCD系の波長λの光に対する3ビーム法に適用した例について述べたが、情報記録用に用いられる差動プッシュプル法に適用してもよい。またDVD系の波長λの光に対して3ビームを発生する波長選択性回折素子1Bを適用しても、1ビームを使用する方法に比べ、より正確なトラッキング誤差検出に有効である。DVD系の波長λの光とCD系の波長λの光に対し、独立に3ビームを発生する波長選択性回折素子1Cまたは1Dを適用しても、CD系およびDVD系それぞれの光ディスクに対し最適な回折格子を設計できる。また、一方の光ディスク用の光が他方の光ディスク用の回折格子により回折され、光量損失が発生することがなく有効である。
また、CDおよびDVDの光ディスク上に情報の記録を行う光ヘッド装置においては、3ビーム発生用回折格子における、0次回折効率と1次回折効率との比の値を15以上にする場合が多く、この場合、回折効率を任意に設定できるため特に有用である。
なお、波長選択性回折素子の格子ピッチは、素子が用いられる光ヘッド装置の光学系および光ディスクのトラッキング誤差信号検出法に応じて適宜定められる。
「光ヘッド装置の第2の実施態様」
図10は本発明の光ヘッド装置の第2の態様を示し、波長選択性回折素子1Cを、ホログラムビームスプリッタとして用いた光ヘッド装置である。このように構成された光ヘッド装置において、波長λおよび波長λの光を出射する2波長用半導体レーザ3から出射した波長λの光は、ホログラムビームスプリッタで入射光の約70%が透過した後、コリメートレンズ5により平行光にされる。その後、この平行光は対物レンズ6により光ディスク7(DVD系)の情報記録トラック上に集光される。そして、光ディスク7で反射された光は、再び対物レンズ6およびコリメートレンズ5を透過し、波長選択性ホログラムビームスプリッタにより回折された約10%の光が、光検出器8の受光面に集光される。
一方、2波長用半導体レーザ3から出射した波長λの光も、ホログラムビームスプリッタで出射光の約70%が透過した後、コリメートレンズ5により平行光にされる。その後、この平行光は対物レンズ6により光ディスク7(CD系)の情報記録トラック上に集光される。そして、光ディスク7により反射された光は、再び対物レンズ6およびコリメートレンズ5を透過し、ホログラムビームスプリッタにより回折された約10%の光が、波長λの光の検出に用いたのと同一の光検出器8の受光面に集光される。
このように、本発明の波長選択性回折素子1Cを搭載した光ヘッド装置の場合、同一の光検出器を用いて、使用波長の異なる光ディスクへの情報の記録および再生を行うことができ、光ヘッド装置の小型化・高特性化を図れる。なお、波長選択性回折素子の格子ピッチはそれが用いられる光ヘッド装置の光学系に応じて適宜定められる。通常、この波長選択性回折素子の格子ピッチは5μm以下であるため、格子ピッチが5μm以下になっても透過させたい波長の光の透過率が低下することがない本発明の素子は、光の利用効率が高く有用である。また、DVD系の光ディスクについては、波長選択性の偏光ホログラムビームスプリッタを対物レンズと一体駆動する構成にしてもよい。
また、図8に示した光ヘッド装置の例では、ビームスプリッタ4が用いられ、2波長用半導体レーザ3(光源ユニット)と光検出器8とが分離された構成とした。しかし、ビームスプリッタ4の代わりに波長選択性ホログラムビームスプリッタを用いて、光ディスクで反射された光を2波長用半導体レーザ(光源ユニット)内の半導体レーザ近傍に配置された、光検出器に集光するように回折させてもよい。この場合、半導体レーザと光検出器とが同一の光源ユニット内に配置されるため光ヘッド装置を小型化できる。
「波長選択性回折素子の第8の実施態様」
図16に示す本実施態様の波長選択性回折素子1Hは、第1の実施態様の波長選択性回折素子において、周辺部のみに回折格子が存在するものである。波長選択性回折素子1Hは、格子の凹凸部である回折格子12H(凹凸部材からなる)を表面に形成している透明基板11Hと、その間に充填される充填部材13Hとを備える回折素子であり、透明基板14Hで充填部材13Hが保護されている。 波長λの光に対しては回折格子12Hと充填部材13Hの屈折率が等しく、波長λの光に対しては回折格子12Hと充填部材13Hの屈折率が異なる。
このため、波長λの光が回折格子12Hを通過するときには、屈折率が等しいため、回折格子の機能は発生せず直進透過する。一方、波長λの光が透過するときには、屈折率が異なるため回折格子として機能し、格子の高さを調節することで波長λの光の大部分を回折させることができる。
「光ヘッド装置の第3の実施態様」
図17は本発明の光ヘッド装置の第3の態様を示し、本発明の波長選択性回折素子1Hが、開口制限素子として、コリメートレンズと対物レンズとの間に配置された構成となっている。半導体レーザ3A、3Bからの出射光は、波長合成プリズム9により同一光軸上で合成され、ビームスプリッタ4を透過した後に、コリメートレンズ5により平行光となり、開口制限素子である波長選択性回折素子1Hに入射する。
λの光は開口制限素子の周辺部、中心部で回折されることなく透過し、対物レンズ6によりDVD系の光ディスク7の情報記録面に焦点を結ぶ(図17(a))。また、λの光は開口制限素子の周辺部では回折され、中心部を透過した光のみが、小さい開口数で光ディスク7の情報記録面に集光される(図17(b))。光ディスクからの反射光は、再び対物レンズ6、開口制限素子(波長選択性回折素子1H)、コリメートレンズ5を透過した後、ビームスプリッタ4に入射する。このビームスプリッタ4で反射された光は、往路の光軸とは90°の角度をなす光軸に沿って進行して、光検出器8の受光面に集光される。そして信号光は、この光検出器8で電気信号に変換される。
なお、図17(b)では省略されているが、開口制限素子により回折されたλの光も、光ディスク7の情報記録面に集光され、反射された後、信号光と同様の光路を進行し、光検出器8の受光面から外れた部分に集光される。本発明の波長選択性回折素子が使用されているため、波長λの光に対してのみ開口絞りとして機能し、また、回折格子のピッチを小さくしても波長λの透過率が落ちないため、格子ピッチを小さくしてλの光の回折角度を大きくでき、信号光との分離が容易になり、信号検出用の受光素子に迷光として到達することがなく、従来型の開口制限素子と比較して、安定して情報の記録、再生を行うことができる。
「波長選択性回折素子の第9の実施態様」
図18に示す本実施態様の波長選択性回折素子1Jは、第1の実施態様の波長選択性回折素子において、その凹凸部の形状が、ブレーズド形状または擬似ブレーズド形状になっているものである。(図18では4レベルの擬似ブレーズド形状であるが、それに限らない)波長選択性回折素子1Jは、格子の凹凸部である回折格子12J(凹凸部材からなる)を表面に形成している透明基板11Jと、その間に充填される充填部材13Jとを備える回折素子であり、透明基板14Jで充填部材13Jが保護されている。波長λの光に対しては回折格子12Jと充填部材13Jの屈折率が等しく、波長λの光に対しては回折格子12Jと充填部材13Jの屈折率が異なる。
このため、波長λの光が回折格子12Jを通過するときには、屈折率が等しいため、回折格子の機能は発生せず直進透過する。一方、波長λ2の光が透過するときには、屈折率が異なるため回折格子として機能し、凹凸の形状が、ブレーズド形状または、擬似ブレーズド形状であるため、格子の高さdを調節することで、波長λ2の光の大部分を特定の回折次数に回折させることができる。
「光ヘッド装置の第4の実施態様」
図19は本発明の光ヘッド装置の第4の態様を示し、本発明の波長選択性回折素子1Jが、ビームスプリッタ4と光検出器8との間に、波長選択性偏向素子として配置された構成となっている。2波長用半導体レーザ3の1つの発光点から出射された波長λの出射光(図19(a))と、それとは異なる発光点から出射された波長λ2の出射光(図19(b))は、ビームスプリッタ4を透過した後に、コリメートレンズ5により平行光となり、対物レンズ6により光ディスク7の情報記録面に集光される。
光ディスク7からの反射光は、再び対物レンズ6、コリメートレンズ5を透過した後、ビームスプリッタ4に入射し、このビームスプリッタ4で反射された光は、往路の光軸とは90°の角度をなす光軸に沿って進行して、波長選択性偏向素子である波長選択性回折素子1Jに入射する。波長選択性偏向素子に入射した波長λの光は、波長選択性偏向素子で偏向されることなく透過した後、光検出器8の受光面に集光される(図19(a))。
一方、波長選択性偏向素子に入射した波長λの光は、波長選択性偏向素子である波長選択性回折素子1Jで偏向された後、波長λの光の検出器8と同一の光検出器の受光面に集光される(図19(b))。本発明の波長選択性回折素子が使用されているため、波長λの光を高い透過率で透過するとともに、波長λの光を回折、すなわち偏向させることができ、従来型の波長選択性偏向素子を使用する場合より、安定して情報の記録、再生を行うことができる。
「例1」
有機物顔料(赤色顔料)を含む赤色レジストCFRP−RH1019(東京応化工業社製)を凹凸部材として用いた。この赤色レジストを、スピンコート法によりガラス基板上に均一に厚さ6.0μmにコーティングし、100℃で5分間保持した。次に、フォトマスクをガラス基板の赤色レジスト側に配置して紫外線露光した。その後アルカリ現像を行い、220℃で60分間保持した。
このようにして、図1に示すような回折格子12Aを、格子ピッチ60μm、格子高さ6.0μmとして形成した。凹凸部材は波長590nmに吸収端を有し、波長550nmにおける吸収係数kは0.21であった。また、屈折率は波長650nmにおいて1.654、波長790nmにおいて1.626であり、上記2波長での屈折率の差は0.028であった。
次に重合後の屈折率が波長650nmにおいて1.656、波長790nmにおいて1.646であり、屈折率の差が0.010であるフォトポリマをモノマの状態で充填部材として格子の凹凸部に充填し、さらに別のガラス基板を積層して、回折格子とフォトポリマを挟み込んだ。その後、モノマに紫外線を照射し重合させて波長選択性回折素子を作製した。
このようにして作製した素子に波長790nmの半導体レーザ光を入射したところ、0次回折光の透過率が74%であり、+1次回折光および−1次回折光の回折効率がおのおの10%であった。また、波長650nmの半導体レーザ光を入射したところ、0次回折光の透過率が92%であり、+1次回折光、−1次回折光、および高次回折光の回折効率はいずれも0.5%以下であり、本素子は上記2波長の光で波長選択性のある回折機能を示した。
「例2」
例1で用いたものと同じ赤色レジストを凹凸部材として、スピンコート法によりガラス基板上に均一にコーティングし、例1と同じ温度、時間などの条件で、厚さ6.0μmの赤色レジスト膜を作製した。このようにして作製した膜の上に、膜厚60nmのSiO膜をスパッタ法により形成し、SiO膜の上にフォトレジストをスピンコート法により塗布した。
次にフォトマスクをガラス基板のSiO膜側に配置して紫外線露光し、その後ドライエッチングを行った。このようにして、図1に示すような回折格子12Aを、格子ピッチ4μm、格子高さ6.0μmとして作製した。次に例1において用いたフォトポリマをモノマの状態で充填部材として格子の凹凸部に充填し、さらに回折格子とフォトポリマを別のガラス基板で積層して挟み込んだ。その後、紫外線をガラス基板全面に照射し、モノマを重合させ波長選択性回折素子を作製した。
このようにして作製した波長選択性回折素子に波長790nmの半導体レーザ光を入射したところ、0次回折光の透過率が74%で+1次回折光および−1次回折光の回折効率がいずれも10%であった。また、波長650nmの半導体レーザ光を入射したところ、0次回折光の透過率が92%であり、+1次回折光、−1次回折光、および高次回折光の回折効率はいずれも0.5%以下であり、本素子は上記2波長の光に対し波長選択性のある回折機能を示した。
「例3」
有機物顔料(赤色顔料)を含む赤色レジストA−0011(大日本インキ化学工業社製)を用いた。この赤色レジストを凹凸部材として、スピンコート法によりガラス基板上に均一にコーティングした。その後、例1と同様に、100℃で5分間保持し、ガラス基板全面に紫外線を照射し、220度で60分間保持して、厚さ7.0μmの膜を作製した。このようにして作製した膜の上に、例2と同様に、SiO膜をスパッタ法により形成し、SiO膜上に塗布したフォトレジストを紫外線露光後ドライエッチングを行った。このようにして、図1に示すような回折格子12Aを、格子ピッチ4μm、格子高さ7.0μmとして作製した。
凹凸部材は波長580nmに吸収端を有し、波長550nmにおける吸収係数kは0.19であった。屈折率は波長650nmにおいて1.631、波長790nmにおいて1.607であり、上記2波長の光での屈折率の差は0.024であった。
次に、重合後の屈折率が波長650nmにおいて1.632、波長790nmにおいて1.624であり、両波長における屈折率の差は0.008であるフォトポリマをモノマの状態で充填部材として格子の凹凸部に充填し、さらに回折格子とフォトポリマを別のガラス基板で積層して挟み込んだ。その後、紫外線をガラス基板全面に照射し、モノマを重合させ波長選択性回折素子を作製した。
このようにして作製した素子に波長790nmの半導体レーザ光を入射したところ、0次回折光の透過率が74%で+1次回折光および−1次回折光の回折効率がおのおの10%であった。また、波長650nmの半導体レーザ光を入射したところ、0次回折光の透過率が92%であり、+1次回折光、−1次回折光、および高次回折光の回折効率はいずれも0.5%以下であり、本素子は上記2波長の光に対し波長選択性のある回折機能を示した。
「例4」
赤色有機物顔料としてピグメントレッド177を14.8%(質量基準とする、以下同じ)含む顔料含有液である御国色素社製CFレッドAGR−01を73%、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(日本化薬社製KAYARAD−DPHA)を22%、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテートを5%混合し混合物を作製した。さらに光重合開始材として、イルガキュア907(チバスペシャリティケミカルズ社製)を上記混合物に対して0.7%となるよう混合し組成物を作製した。
この組成物を凹凸部材としてスピンコート法によりガラス基板上に均一にコーティングし、100℃で3分間保持した。次に組成物全面に紫外線を照射後、200℃で60分間保持し、厚さ5.5μmの膜を作製した。このようにして作製した膜の上に、膜厚60nmのSiO膜をスパッタ法により形成し、SiO膜の上にフォトレジストをスピンコート法により塗布した。次にフォトマスクをガラス基板のSiO膜側に配置して紫外線露光し、その後ドライエッチングを行った。このようにして、図1に示すような回折格子12Aを、格子ピッチ4μm、格子高さ5.5μmとして作製した。
凹凸部材の吸収端の波長は600nmであり、550nmでの吸収係数kは0.10であった。屈折率は波長650nmにおいて1.636、波長790nmにおいて1.601であり、上記2波長での屈折率の差は0.035であった。
次に重合後の屈折率が波長650nmにおいて1.638、波長790nmにおいて1.624であり、2波長における屈折率の差が0.014であるフォトポリマをモノマの状態で充填部材として格子の凹凸部に充填し、さらに別のガラス基板を積層して、回折格子とフォトポリマを挟み込んだ。その後、モノマに紫外線を照射し重合させて波長選択性回折素子を作製した。
このようにして作製した素子に波長790nmの半導体レーザ光を入射したところ、0次回折光の透過率が74%であり、+1次回折光および−1次回折光の回折効率がおのおの10%であった。また、波長650nmの半導体レーザ光を入射したところ、0次回折光の透過率が92%であり、+1次回折光、−1次回折光、および高次回折光の回折効率はいずれも0.5%以下であり、本素子は上記2波長で波長選択性のある回折機能を示した。
「例5」
例1で用いたものと同じ赤色レジストを、スピンコート法によりガラス基板上に均一にコーティングし、例1と同じ温度、時間などの条件で、厚さ6.0μmの赤色レジスト膜を作製した。このようにして作製した膜の上に、例2と同様に、SiO膜をスパッタ法により形成し、ドライエッチングを行って、図1に示すような回折格子12Aを、格子ピッチ4μm、格子高さ4.0μmとして作製した。
次に、重合後の屈折率が波長650nmにおいて1.632、波長790nmにおいて1.624であり、2波長での屈折率の差が0.008である、例3で用いたフォトポリマをモノマの状態で充填部材として格子の凹凸部に充填し、さらに回折格子とフォトポリマを別のガラス基板で積層して挟み込んだ。その後、紫外線をガラス基板全面に照射し、モノマを重合させ波長選択性回折素子を作製した。
このようにして作製した素子に波長650nmの半導体レーザ光を入射したところ、0次回折光の透過率が72%で+1次回折光および−1次回折光の回折効率がおのおの10%であった。また、波長790nmの半導体レーザ光を入射したところ、0次回折光の透過率が95%であり、+1次回折光、−1次回折光、および高次回折光の回折効率はいずれも0.5%以下であり、本素子は上記2波長の光に対し波長選択性のある回折機能を示し、また例2の素子とは異なる波長選択性を示した。
「例6」
例1で用いたものと同じ赤色レジストを、スピンコート法によりガラス基板上に均一にコーティングし、例1と同じ温度、時間などの条件で、厚さ6.0μmの赤色レジスト膜を作製した。このようにして作製した膜の上に、例2と同様に、SiO膜をスパッタ法により形成し、ドライエッチングを行って、図1に示すような回折格子12Aを、格子ピッチ4μm、格子高さ4.0μmとして作製した。
次に、重合後の屈折率が波長650nmにおいて1.632、波長790nmにおいて1.624であり、2波長での屈折率の差が0.008であるフォトポリマをモノマの状態で充填部材として格子の凹凸部に充填し、例2で作製した素子を積層し、紫外線をガラス基板全面に照射し、モノマを重合させ波長選択性回折素子を作製した。
このようにして作製した素子に波長650nmの半導体レーザ光を入射したところ、0次回折光の透過率が70%で+1次回折光および−1次回折光の回折効率がおのおの10%であった。また、波長790nmの半導体レーザを入射光したところ、0次回折光の透過率が72%で+1次回折光のおよび−1次回折光の回折効率がおのおの10%であった。また、いずれの波長の光においても2次以上の高次回折光の回折効率は0.5%以下であった。
「例7」
本例の2波長用の光ヘッド装置は、例1で作製した波長選択性回折素子が、図8に示す波長選択性回折素子1Aのように、2波長用半導体レーザ3とビームスプリッタ4との間に配置された構成となっている。本発明の波長選択性回折素子が使用されているため、波長λの光を回折させることなく、また波長λの光に対してトラッキングエラー検出用の3ビームを発生させることができ、少ない部品点数でS/Nのよい安定した情報の記録、再生を行うことができた。
「例8」
本例の2波長用の光ヘッド装置は、例6で作製した波長選択性回折素子が、図10の示す波長選択性回折素子1Cのように、2波長用半導体レーザ3とコリメートレンズ5との間に配置された構成となっている。本発明の波長選択性回折素子が使用されているため、波長λの光および波長λの光に対して独立にホログラムビームスプリッタを設計することができ、波長λおよび波長λのいずれの光も同一の光検出器8の受光面に効率よく集光され、少ない部品点数でS/Nのよい安定した情報の記録、再生を行うことができた。
「例9(比較例)」
有機物顔料(黄色顔料)を含む黄色レジストCY−S673A(富士フィルムオーリン社製)を凹凸部材として用いた。この有機物顔料をスピンコート法によりガラス基板上に均一にコーティング後、100℃で5分間保持した。次にガラス基板全面に紫外線を照射後、220℃で60分間保持し、厚さ6.0μmの膜を形成した。この膜は波長480nmに吸収端を有し、屈折率は波長650nmにおいて1.590、波長790nmにおいて1.576であり、上記2波長における屈折率の差は0.014であった。
これに対し、波長590nmに吸収端を有する赤色顔料を含む赤色レジストCFRP−RH1019(東京応化工業社製)を用いて、同様に形成した膜の場合の上記2波長における屈折率の差は0.028であり、黄色レジストの値の2倍であった。
上記の黄色レジストを使用し、例1と同様の波長選択性回折素子を作製し、波長790nmの半導体レーザ光を入射したところ、0次回折光の透過率が90であり、+1次回折光および−1次回折光の回折効率がおのおの3%であった。回折効率は、赤色レジストCFRP−RH1019の場合の1/3の値であった。
「例10(比較例)」
赤色レジストCFRP−RP103(東京応化工業社製)を凹凸部材として用い、このレジストをスピンコート法によりガラス基板上に均一にコーティングし、90℃で2分間保持した。次に全面に紫外線を照射後、190℃で30分間保持し、厚さ6.0μmの膜を作製した。この凹凸部材における吸収端の波長は580nmであり、波長550nmにおける吸収係数kは0.05であった。屈折率は波長650nmにおいて1.548、波長790nmにおいて1.534であり、上記2波長での屈折率差は0.014であった。
これに対し、波長590nmに吸収端を有する赤色顔料を含む赤色レジストCFRP−RH1019(東京応化工業社製)を用いて、同様に形成した膜の場合の上記2波長における屈折率の差は0.028であり、赤色レジストCFRP−RP103の2倍であった。
上記の赤色レジストCFRP−RP103を使用し、例1と同様の波長選択性回折素子を作製し、波長790nmの半導体レーザ光を入射したところ、0次回折光の透過率が90%であり、+1次回折光および−1次回折光の回折効率がおのおの3%であった。回折効率は、赤色レジストCFRP−RH1019の場合の1/3の値であった。
「例11(比較例)」
赤色有機物顔料としてピグメントレッド209を14.7%含む顔料含有液である御国色素社製CFレッドAGR−02を73%、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(日本化薬社製KAYARAD−DPHA)を22%、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテートを5%混合し混合物を作製した。さらに光重合開始材として、イルガキュア907(チバスペシャリティケミカルズ社製)を上記混合物に対して0.7%となるよう混合し組成物を作製した。
この組成物を凹凸部材としてスピンコート法によりガラス基板上に均一にコーティングし、100℃で3分間保持した。次に組成物全面に紫外線を照射後、200℃で60分間保持し、厚さ6.0μmの膜を作製した。この凹凸部材における吸収端の波長は570nmであり、波長550nmでの吸収係数kは0.05であった。屈折率は波長650nmにおいて1.605、波長790nmにおいて1.590であり、上記2波長での屈折率の差は0.015であった。
これに対し、波長590nmに吸収端を有する赤色顔料を含む赤色レジストCFRP−RH1019(東京応化工業社製)を用いて、同様に形成した膜の場合の上記2波長における屈折率の差は0.028であり、本例における組成物の値の約2倍であった。
本例における組成物を使用し、例1と同様の波長選択性回折素子を作製し、波長790nmの半導体レーザ光を入射したところ、0次回折光の透過率が90%であり、+1次回折光および−1次回折光の回折効率がおのおの3%であった。回折効率は、赤色レジストCFRP−RH1019の場合の1/3の値であった。
「例12」
赤色有機物顔料としてピグメントレッド254を14.7%含む顔料含有液である御国色素社製CFレッドEX−2739を85%、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(日本化薬社製KAYARAD−DPHA)を12%、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテートを3%混合し混合物を作製した。さらに光重合開始材として、イルガキュア907(チバスペシャリティケミカルズ社製)を上記混合物に対して0.2%となるよう混合し組成物を作製した。
この組成物を凹凸部材としてスピンコート法によりガラス基板上に均一にコーティングし、100℃で3分間保持した。次に組成物全面に紫外線を照射後、200℃で60分間保持し、厚さ4.9μm膜を作製した。このようにして作製した膜の上に、膜厚60nmのSiO膜をスパッタ法により形成し、SiO膜の上にフォトレジストをスピンコート法により塗布した。次にフォトマスクをガラス基板のSiO膜側に配置して紫外線露光し、その後ドライエッチングを行った。このようにして、図1に示すような回折格子12Aを、格子ピッチ4μm、格子高さ4.9μmにして作製した。
凹凸部材の吸収端の波長は590nmであり、550nmでの吸収係数kは0.28であった。屈折率は波長650nmにおいて1.703、波長790nmにおいて1.656であり、上記2波長での屈折率の差は0.047であった。
次に、式2で表される化合物、ビス(β−エピチオプロピル)スルフィドにテトラブチルアンモニウムブロミドを0.1%添加し、5分間攪拌した後、モノマの状態で充填部材として格子の凹凸部に充填し、さらに別のガラス基板を積層して、回折格子と充填部材を挟み込んだ。その後、100℃で4時間加熱し充填部材を硬化させた。硬化後の充填部材の屈折率は波長650nmにおいて1.704であり、790nmにおいて1.697であった。
このようにして作製した素子に波長790nmの半導体レーザ光を入射したところ、0次回折光の透過率が73%であり、+1次回折光および−1次回折光の回折効率がおのおの9%であった。また、波長650nmの半導体レーザ光を入射したところ、0次回折光の透過率が95%であり、+1次回折光、−1次回折光、および高次回折光の回折効率はいずれも0.5%以下であり、本素子は上記2波長で波長選択性のある回折機能を示した。
Figure 2009093795
「例13」
赤色有機物顔料としてピグメントレッド254を14.7%含む顔料含有液である御国色素社製CFレッドEX−2739を91%、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(日本化薬社製KAYARAD−DPHA)を7%、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテートを2%混合し混合物を作製した。さらに光重合開始材として、イルガキュア907(チバスペシャリティケミカルズ社製)を上記混合物に対して0.2%となるよう混合し組成物を作製した。
この組成物を凹凸部材としてスピンコート法によりガラス基板上に均一にコーティングし、100℃で3分間保持した。次に組成物全面に紫外線を照射後、200℃で60分間保持し、厚さ2.7μm膜を作製した。このようにして作製した膜の上に、膜厚60nmのSiO膜をスパッタ法により形成し、SiO膜の上にフォトレジストをスピンコート法により塗布した。次にフォトマスクをガラス基板のSiO膜側に配置して紫外線露光し、その後ドライエッチングを行った。このようにして、図2に示すような回折格子12Bを、格子ピッチ4μm、格子高さ2.7μmにして作製した。
凹凸部材の吸収端の波長は590nmであり、550nmでの吸収係数kは0.29であった。屈折率は波長650nmにおいて1.756、波長790nmにおいて1.695であり、上記2波長での屈折率の差は0.061であった。
次に、実施例12で用いた充填部材を使用して、同様に格子の凹凸部に充填し、さらに別のガラス基板を積層して、回折格子と充填部材を挟み込んだ。その後、100℃で4時間加熱し充填部材を硬化させた。硬化後の充填部材の屈折率は波長650nmにおいて1.704であり、790nmにおいて1.697であった。
このようにして作製した素子に波長790nmの半導体レーザ光を入射したところ、0次回折光の透過率が97%であり、+1次回折光および−1次回折光の回折効率がおのおの0.5%以下であった。また、波長650nmの半導体レーザ光を入射したところ、0次回折光の透過率が70%であり、+1次回折光、−1次回折光、および高次回折光の回折効率はいずれも10%であり、本素子は上記2波長の光で波長選択性のある回折機能を示した。
「例14」
例12で用いたのと同じ赤色有機物顔料を含む組成物を凹凸部材として、スピンコート法によりガラス基板上に均一にコーティングし、100℃で3分間保持した。次に組成物全面に紫外線を照射後、200℃で60分間保持し、厚さ10.0μmの膜を作製した。このようにして作製した膜の上に、膜厚60nmのSiO膜をスパッタ法により形成し、SiO膜の上にフォトレジストをスピンコート法により塗布した。次にフォトマスクをガラス基板のSiO膜側に配置して紫外線露光し、その後ドライエッチングを行った。このようにして、図16に示すような波長選択性回折素子12Hを、格子ピッチ10μm、格子高さ10.0μmにして作製した。この回折素子は、周辺部のみに回折格子が存在するもの(図12(b)参照)である。
次に、例12で用いた充填部材を使用して、同様に格子の凹凸部に充填し、さらに別のガラス基板を積層して、回折格子と充填部材を挟み込んだ。その後、100℃で4時間加熱し充填部材を硬化させた。このようにして作製した素子に波長650nmの半導体レーザ光を入射したところ、0次回折光の透過率が95%であり、+1次回折光および−1次回折光の回折効率がおのおの0.5%以下であった。また、波長790nmの半導体レーザ光を入射したところ、0次回折光の透過率が10%であり、本素子は上記2波長の光で波長選択性のある回折機能を示した。
「例15」
例12で用いたのと同じ赤色有機物顔料を含む組成物を凹凸部材として、スピンコート法によりガラス基板上に均一にコーティングし、100℃で3分間保持した。次に組成物全面に紫外線を照射後、200℃で60分間保持し、厚さ15.0μmの膜を作製した。このようにして作製した膜の上に、膜厚60nmのSiO膜をスパッタ法により形成し、SiO膜の上にフォトレジストをスピンコート法により塗布した。次にフォトマスクをガラス基板のSiO膜側に配置して紫外線露光し、その後ドライエッチングを行った。その後、SiO膜形成からドライエッチングまでの工程を繰り返すことで、図18に示すような波長選択性回折素子12Jを、格子ピッチ30μm、各段の高さが5.0μm、合計高さ15.0μmにして作製した。
次に、例12で用いた充填部材を使用して、同様に格子の凹凸部に充填し、さらに別のガラス基板を積層して、回折格子と充填部材を挟み込んだ。その後、100℃で4時間加熱し充填部材を硬化させた。このようにして作製した素子に波長650nmの半導体レーザ光を入射したところ、0次回折光の透過率が90%であり、+1次回折光および−1次回折光の回折効率がおのおの0.5%以下であった。また、波長790nmの半導体レーザ光を入射したところ、+1次回折光の透過率が75%であり、0次回折光、−1次回折光の回折効率はいずれも0.5%以下であり、本素子は上記2波長で波長選択性のある回折機能を示した。
「例16」
本例の2波長用の光ヘッド装置は、例14で作製した波長選択性回折素子が、図17に示す波長選択性回折素子1Hのように、コリメートレンズ5と対物レンズ6との間に配置された構成となっている。本発明の波長選択性回折素子が使用されているため、波長λの光の開口数を変化させることなく、波長λの光の開口数を小さくでき、また、回折素子の格子ピッチを小さくしても波長λの光の透過率が低下しないため、格子ピッチを小さくして波長λの光の回折角度を大きくでき、迷光が少なく、S/Nのよい安定した情報の記録、再生を行うことができた。
「例17」
本例の2波長用の光ヘッド装置は、例15で作製した波長選択性回折素子が、図19に示す波長選択性回折素子1Jのように、ビームスプリッタ4と光検出器8との間に配置された構成となっている。本発明の波長選択性回折素子が使用されているため、波長λの光を高い透過率で透過させるとともに波長λの光を高い回折効率で回折させることができ、波長λおよび波長λのいずれの光も同一の光検出器8の受光面に効率よく集光され、少ない部品点数でS/Nのよい安定した情報の記録、再生を行うことができた。
以上説明したように、本発明の波長選択性回折素子を用いれば、特定の波長に対して3ビームを発生する回折格子やホログラムビームスプリッタとして機能する光学素子が実現する。このような波長選択性回折素子を光ヘッド装置に搭載することにより、CD系とDVD系の光に対して独立に回折効率や回折角度を設定できるため、おのおのの光学系で最適に光ディスクの情報を検出できる。
さらに、本発明の波長選択性回折素子を用いた光ヘッド装置では、2波長用半導体レーザの搭載による半導体レーザ数の削減に加えて、さらに装置の部品点数の削減および小型化が実現できるとともに、CD系光ディスクおよびDVD系光ディスクの情報の記録および再生において、光利用効率の高い安定した記録および再生性能が実現できる。
1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H、1J:波長選択性回折素子
3:2波長用半導体レーザ
3A,3B:半導体レーザ
4:ビームスプリッタ
5:コリメートレンズ
6:対物レンズ
7:光ディスク
8、8A、8B:光検出器
9:波長合成プリズム
10:3ビーム発生用回折格子
11:ホログラムビームスプリッタ
11A、14A、11B、14B、11C、16C、17C、11D、15D、11E、11F:透明基板
12A、12B、12C,15C、12D、14D:回折格子
13A、13B、13C、14C、13D:充填部材
12E、12F、11G:位相板

Claims (4)

  1. 波長λおよび波長λ(λ<λ)の2つの光を入射させて用いる波長選択性回折素子であって、波長選択性回折素子は周期的凹凸状の格子を表面に形成した透明基板と格子の凹凸部に充填された充填部材とを備え、格子の凹凸部を形成する凹凸部材または充填部材のいずれかが波長λよりも短い波長域に光の吸収端を有する有機物顔料を含んでおり、かつ凹凸部材と充填部材とは、波長λまたは波長λのいずれか一方の波長の光に対しては同じ屈折率を有しこの一方の波長の光を回折せず透過し、他方の波長の光に対しては異なる屈折率を有しこの他方の波長の光を回折することを特徴とする波長選択性回折素子。
  2. 波長λの光は回折せず透過し波長λの光を回折する請求項1記載の波長選択性回折素子と、波長λの光は回折せず透過し波長λの光を回折する請求項1記載の波長選択性回折素子とを備え、これら波長選択性回折素子が積層されて構成されている波長選択性回折素子。
  3. 有機物顔料として赤色有機物顔料を用いる請求項1または2記載の波長選択性回折素子。
  4. 波長λおよび波長λの2つの光を出射する光源と、2つの光を光記録媒体に集光する対物レンズと、2つの光の光記録媒体からの反射光を検出する光検出器とを備える光ヘッド装置であって、光源と対物レンズとの間の光路中に、請求項1、2または3記載の波長選択性回折素子が設置されていることを特徴とする光ヘッド装置。
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