JP2009089726A - 遊技機 - Google Patents
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Abstract
【課題】遊技媒体が詰ることなく円滑に払出されるよう改善した遊技機を提供する。
【解決手段】遊技制御動作を中心統括的に担う主制御部1と、記主制御部1からの指令に基づいて払出装置43を動作させて遊技媒体を払出す払出制御部5とを有して構成された遊技機である。払出装置43は、払出制御部5が出力する駆動パルスΦ1〜Φ3に基づいて最低角度ごとに間欠的に回転される払出モータMと、払出モータMに連動して回転することで遊技球を払出す払出回転体ROとを有して構成され、払出制御部5は、払出モータを16ステップ回転させる毎に休止状態に移行させ、払出モータを自由回転状態に設定している。
【選択図】図4
【解決手段】遊技制御動作を中心統括的に担う主制御部1と、記主制御部1からの指令に基づいて払出装置43を動作させて遊技媒体を払出す払出制御部5とを有して構成された遊技機である。払出装置43は、払出制御部5が出力する駆動パルスΦ1〜Φ3に基づいて最低角度ごとに間欠的に回転される払出モータMと、払出モータMに連動して回転することで遊技球を払出す払出回転体ROとを有して構成され、払出制御部5は、払出モータを16ステップ回転させる毎に休止状態に移行させ、払出モータを自由回転状態に設定している。
【選択図】図4
Description
本発明は、パチンコ機、アレンジボール機、雀球遊技機、回胴遊技機、その他遊技球や遊技メダルなどの遊技媒体を使用する遊技機に関し、特に、遊技媒体が詰まることなく円滑に払出される遊技機に関する。
例えば、弾球遊技機は、所定の入賞口に遊技球が入賞すると5〜15個程度の遊技球が払出される遊技機であり、払出された遊技球(賞球)が多いほど高価値の景品と交換できるようになっている。遊技球の払出には、例えば、左右の保持溝にそれぞれ複数の遊技球を保有可能な払出回転体が活用される。
このような払出回転体の回転軸には、払出モータとして例えばステッピングモータが接続され、この払出モータが所定角度ずつ間欠的に回転される結果、左右の保持溝から順番に遊技球が排出されるようになっている。なお、払出動作は、主制御基板から送信されてくる制御コマンドによって制御されており、必要なタイミングで必要な角度だけ、払出回転体が回転することによって実現されている(特許文献1)。
特開2004−41256号公報
この遊技機では、払出回転体が球詰り状態となると、払出回転体を低速度で回転させることで、球詰り状態を解消するようにしている。
しかしながら、払出回転体が低速回転し始めると、この異常回復のための動作を遊技者も察知するので、賞球動作への信頼感を損ねるおそれもある。すなわち、遊技者にとって最も重大関心事である払出動作が円滑に行われていないのではないかとの疑義を生じる可能性もある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、遊技媒体が詰ることなく円滑に払出されるよう改善した遊技機を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、遊技制御動作を中心統括的に担う主制御部と、前記主制御部からの指令に基づいて払出装置を動作させて遊技媒体を払出すサブ制御部とを有して構成された遊技機であって、前記払出装置は、前記サブ制御部が出力する駆動パルスに基づいて最低角度ごとに間欠的に回転される払出モータと、前記払出モータに連動して回転することで遊技媒体を払出す払出回転体とを有して構成され、前記サブ制御部は、前記払出モータを前記最低角度の整数倍だけ回転させる毎に休止状態に移行させ、前記休止状態では、所定時間だけ前記駆動パルスを出力しないことで前記払出モータを自由回転状態に設定している。
本発明では、一連の払出動作中に、払出モータが定期的に自由回転状態となるので、遊技媒体の詰まりを未然に防止することができる。なお、この詰まり回避効果は、多数回の実験により確認している。
本発明は、好ましくは、一連の払出動作が開始されるまでの前記払出回転体の待機状態では、前記サブ制御部は、前記駆動パルスを出力しないことで前記払出モータを自由回転状態に設定するべきである。このような実施態様では、払出モータの励磁コイルへの延べ通電時間が減少するので、払出モータの劣化が有効に抑制される。
また、好ましくは、本発明では、前記休止状態及び前記待機状態では、前記払出回転体には、内部に保持する遊技媒体の自重によって、本来の回転方向とは逆向きの回転トルクが発生するよう構成されている。このような構成を採ることによって、休止状態や待機状態における、払出回転体の慣性力による過回転や、振動による異常回転を確実に防止できる。なお、回転始動トルクの高い払出モータを採用すれば、前記した異常動作を回避できるが、請求項3に記載の構成を採ることで、特別な払出モータを使用する必要がなくなる。
また、前記払出回転体が同時に保持可能な遊技媒体の個数は、2個以上3個以下に制限されるのが好ましい。このような構成を採ると、払出回転体に内包される遊技媒体の個数が少ないので詰まりの可能性を低減することができる。
典型的には、前記払出回転体から遊技媒体を1個払出される毎に、前記休止状態に移行するよう構成される。そして、このような場合、前記所定時間は、前記最低角度の回転に要する時間と同一に設定されるのが好ましい。
また、前記払出モータが前記最低角度だけ回転される毎に、前記休止状態に移行するよう構成するのも好適である。但し、このような構成の場合には、払出スピードの低下を回避するために、前記所定時間は、前記最低角度の回転に要する時間より短く設定すべきである。
何れにしても、前記払出回転体と前記払出モータとは、その間に設けた中間ギアを介してギア接続されている構成が好適であり、この場合には、中間ギアの分だけ払出モータが空回りしにくく、払出回転体の慣性力による過回転や、振動による異常回転を防止できる。
上記した本発明によれば、遊技媒体の詰りを未然防止して、円滑な払出動作を長期にわたって可能にした遊技機を実現できる。
以下、実施例に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、実施例に係るパチンコ機の全体回路構成を示すブロック図である。図中の破線は、主に、直流電圧ラインを示している。
図示の通り、このパチンコ機は、AC24Vを受けて各種の直流電圧やシステムリセット信号SYSやRAMクリア信号CLRなどを出力する電源基板7と、遊技制御動作を中心統括的に担う主制御基板1と、主制御基板1から受けた制御コマンドCMD’に基づいてランプ演出及び音声演出を実行する演出制御基板2と、演出制御基板2から受けた信号を各部に伝送する演出インタフェイス基板3と、演出インタフェイス基板3から受けた制御コマンドCMD”に基づいて液晶ディスプレイDISPを駆動する液晶制御基板4と、主制御基板1から受けた制御コマンドCMDに基づいて払出モータMを制御して遊技球を払い出す払出制御基板5と、遊技者の操作に応答して遊技球を発射させる発射制御基板6とを中心に構成されている。
ここで、主制御基板1、演出制御基板2、液晶制御基板4、及び払出制御基板5には、ワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路がそれぞれ搭載されている。そこで、主制御基板1、演出制御基板2、液晶制御基板4、及び払出制御基板5に搭載された回路、及びその回路によって実現される動作を機能的に総称して、本明細書では、主制御部1、演出制御部2、液晶制御部4、及び払出制御部5と言うことがある。なお、演出制御部2、液晶制御部4、及び払出制御部5の全部又は一部がサブ制御部である。
主制御部1は、払出制御部5に対して制御コマンドCMDを一方向に送信する一方、払出制御部5からは、遊技球の払出動作を示す賞球計数信号や、払出動作の異常に係わるステイタス信号CONを受信している。ステイタス信号CONには、例えば、補給切れ信号、払出不足エラー信号、下皿満杯信号が含まれる。
この実施例の場合、制御コマンドCMDは、コマンドの種別を示すMODEデータと、具体的内容を特定するEVENTデータとが、それぞれ8ビット長で構成されている。そして、払出制御部5に伝送される制御コマンドCMDは、払出すべき遊技球の数を指示する賞球数指定コマンドと、払出動作の停止や再開を指示する動作指定コマンドとに大別され、賞球数指定コマンド(例えば、8A××H)は、EVENTデータ(=××H)によって賞球数を指定している。一方、動作指定コマンドには、払出停止コマンドと払出再開コマンドとが用意されている。
図示の通り、主制御部1と払出制御部5には、電源基板7から、直流5Vのバックアップ電源BUが供給されている。したがって、営業終了や停電により交流電源24Vが遮断された後も、ワンチップマイコン内部のRAMのデータは保持される。本実施例では、少なくとも数日は、RAMの記憶内容が保持されるよう設計されている。
また、電源基板7は、交流電源24Vの遮断時に、主制御部1及び払出制御部5に、電圧降下信号ABNを出力するよう構成されている。電圧降下信号ABNは、この実施例では、各ワンチップマイコンの割込み端子ではなく、入力ポートに供給されている。そして、主制御部1及び払出制御部5では、フラグセンス方式によって、電圧降下信号ABNのレベル降下を把握した後、必要なデータをRAMに退避している。そのため、上記したバックアップ電源BUの作用とあいまって、主制御部1と払出制御部5では、営業開始時や停電からの復旧時に、電源遮断前の動作を再開できることになる。
更にまた、電源基板7は、主制御部1と払出制御部5に対して、係員のスイッチ操作を示すRAMクリア信号CLRを出力している。このスイッチ操作は、主に電源投入時に実行されるが、バックアップ電源BUによって保持されているRAMの記憶内容を消去させるための操作である。したがって、各制御基板1,5では、RAMクリア信号CLRのレベルを判定することによって、係員によるスイッチ操作の有無を把握できることになる。
図2(a)は、払出制御基板5の周辺回路を図示したものである。図示の通り、払出制御部5は、電源基板7から直流電源電圧(バックアップ電源BUを含む)だけでなく、払出制御部5(ワンチップマイコン)のRAMをクリアするためのRAMクリア信号CLRと、交流電源の電圧降下を示す電圧降下信号ABNと、システムリセット信号SYSなどを受けている。
また、払出制御部5は、プリペイドカードユニット22とも接続され、球貸し動作に係わる各種の制御信号(BRDY,BRQ,EXS,PRDY)を送受している。そして、球貸し情報信号を外部に出力するようになっている。なお、払出制御部5は、プリペイドカードユニット22から直流電圧18Vを受けており、この電圧値を正常に受信できることを条件に、発射制御基板6に許可信号CTLを出力して発射動作を許可している。
払出制御部5は、遊技球の入賞に伴う賞球か、又はプリペイドカードで清算される貸し球として、所定数の遊技球を払出す必要がある。そこで、ステッピングモータたる払出モータMに4種類の駆動パルスデータΦ1〜Φ4を出力し(ユニポーラ2−2相励磁)、払出モータMの回転に伴って払出される遊技球を、左右の賞球計数スイッチRSW,LSWで検出するようにしている(図3(a)参照)。なお、図2(a)に示す通り、左右の賞球計数スイッチRSW,LSWの信号は、主制御基板1にも伝送されるようになっている。
また、払出制御部5には、補給切れ状態や、下皿満杯状態を検出するスイッチ信号が供給されている。ここで、補給切れ状態とは、払出回転体RO(図3)の上流側から供給される遊技球が途絶え、賞球動作が事実上不可能となる状態を意味する。また、下皿満杯状態とは、払出回転体ROの下流側が一杯となり、それ以上の賞球が事実上不可能となる状態を意味する。
したがって、本実施例では、上記いずれの場合にも、その後の払出回転体ROの回転動作を禁止して、異常状態が解消されるまで待機している。なお、補給切れ状態は自動的に解消されるか、係員の操作によって解消される。また、下皿満杯状態は、遊技者の操作によって解消される。
図3は、払出モータMと払出回転体ROとの接続関係を詳細に図示したものである。図3(a)に示す通り、払出モータMの回転軸に設けられた駆動ギア20と、払出回転体ROに設けられた従動ギア22との間には、中間ギア21が設けられ、これら3つのギアが歯合することで、払出回転体ROが回転するよう構成されている。なお、払出回転体ROの回転軸には、係員が操作可能な操作軸23を突出させている。
駆動ギア20と従動ギア22は、そのギア比が1対2に設定されており、したがって、払出モータMの回転角度に対して、払出回転体ROの回転角度は1/2倍となる。また、本実施例では、中間ギア21を介して、駆動ギア20と従動ギア22を連結するので、払出モータMと払出回転体ROの回転方向を一致させることができると共に、払出モータMと払出回転体ROの配置位置を比較的自由に設定することができる。
また、中間ギア21の分だけ、払出モータMが自由回転状態でも空回りしにくい。なお、払出モータMと払出回転体ROは、操作軸23の方から見て、時計方向に回転する(図3(c)(d)参照)。なお、本実施例では、払出回転体ROの最小回転角は、払出モータM(ステッピングモータ)の最小回転角(ステップ角)θの1/2となるので、払出動作における基準位置(ホームポジション)を、θ/2ごとに精密に調整することができる。
図3(c)(d)に示す通り、本実施例では、払出回転体ROには、それぞれ遊技球3個を保有可能な120°間隔の保持溝が、半ピッチ60°ずれて左右に形成されている。この払出回転体ROの回転に伴い、保持溝に保持された遊技球は、払出回転体ROが60°回転する毎に、左右から交互に1個ずつ下方に放出される。この実施例では、払出モータMのステップ角が7.5°であるため、通常時には4mS毎に変化する駆動データΦ1〜Φ4が16ステップ出力されると、払出モータMが120°回転する。この時、払出回転体ROが60°回転することによって、1個の遊技球が払出されるよう設計されている。
ところで、本実施例では、操作軸23に近い3個の保持溝と、操作軸23から遠い3個の保持溝とが、正六角形の頂点位置に配置されている。そして、合計6個の保持溝のうち、実際に遊技球を保持する保持溝を、必要最小限の保持個数である2個以上3個以下に制限することで、払出回転体RO内部での球詰まりの可能性を有効に低減している。すなわち、保持溝での遊技球の保持個数が多ければ多いほど、球詰まりの可能性が高まるので、保持個数の少ない本実施例の構成は有効である。
また、本実施例の払出回転体ROは、遊技球が払出された瞬間には、残り2個の遊技球の自重によって、逆方向に回転トルクが加わるよう構成されている(図3(d)参照)。そのため、遊技球を払出したタイミングで、払出モータMを自由回転状態に設定する制御方法を採用しても、回転時の慣性力によって払出回転体ROが正方向に余分に回転してしまうおそれはない。また、一連の払出動作を開始するまでの待機状態においても、払出モータMの自由回転状態に設定することで、払出モータMの劣化を有効に防止することができる。すなわち、待機状態では、2個の遊技球の自重によって払出回転体ROに逆方向の回転トルクが加わっているので、仮に、遊技機を強く揺すっても、遊技球が払出されるようなことはなく、弊害が生じることなく払出モータの劣化を回避できる。
図5は、払出制御部5の内部構成を図示したものである。図示の通り、払出制御部5は、主制御部からの制御コマンドCMDを受ける入力バッファ10と、各種のスイッチ信号や制御信号を受ける第1入力ポート13と、第2入力ポート12と、Z80CPU相当品を内蔵するワンチップマイコン14と、入出力ポートのチップセレクト信号を生成するデコーダ15と、第1出力ポート16と、第2出力ポート17と、第1出力ポート16から受けた駆動信号を払出モータMに供給するトランジスタ群(オープンコレクタ)18とを中心に構成されている。
図示の通り、第1入力ポート13には、賞球計数スイッチ、補給切れ検出スイッチ、及び、下皿満杯検出スイッチからのスイッチ信号が供給されている。また、第1入力ポート13には、電源基板7からの制御信号である、RAMクリア信号CLRと、電圧降下信号ABNも供給されている。なお、この実施例では、入力バッファ10、第1と第2の入力ポート12,13は、74541相当品のバスバッファで構成され、デコーダは、74138相当品で構成されている。また、出力ポート16,17は、74273相当品のD型フリップフロップで構成されている。
先に説明した通り、第2入力ポート12には主制御基板1からの制御コマンドCMDが伝えられるが、主制御基板1からは、制御コマンドCMDの伝送に合わせてストローブ信号STBが供給される。このストローブ信号STBは、CPUコアの割込み端子(maskable interrupt)に供給されるので、これに応じて、払出制御基板5では受信割込みルーチンが起動し、制御コマンドCMDを取得するようになっている。
第1出力ポート16のbit3〜bit0からは、(Φ4,Φ3,Φ2,Φ1)=0101→0110→1010→1001→0101→・・・の駆動パルスデータが時間順次に払出モータMに出力される(図2(b)参照)。また、第1出力ポートのbit4にはLED駆動信号がエラー報知ランプERLに出力され、bit7からは、不図示のウォッチドッグタイマ回路のクリア信号が所定時間毎に出力されるようになっている。
なお、第2出力ポート17のbit3からは、外部出力用の球貸し情報信号が出力され、bit6,bit7からはプリペイドカードユニット22に対して、制御信号PRDY,EXSが出力される。
図6は、図5に示す払出制御部5で実行されるプログラムを説明するフローチャートである。払出制御部5の動作は、概説すると、電源投入後に開始されて無限ループ処理で終わるメインルーチン(図6(a))と、主制御部1からのストローブ信号STBによって起動される受信割込み処理ルーチン(図6(b))と、一定時間(2mS)毎に開始されるタイマ割込みルーチン(図7(a))とで構成されている。なお、本実施例では、マスク不能のNMIルーチンは存在しない。
図6(b)に示すように、受信割込みルーチンでは、第2入力ポート12から制御コマンドCMDを取得して、これをRAMのコマンドバッファ領域に格納した後(ST101)、CPUを割込み許可状態(EI)に設定して処理を終える(ST103)。
次に、メインルーチン(図6(a))の動作内容を説明する。電源基板7から電源電圧が供給されると共に、システムリセット信号SYSが供給されると、CPUは、自らを割込み禁止状態(DI)に設定した後(ST1)、ワンチップマイコン14各部の初期設定を行う(ST2)。この初期設定動作には、CPUのスタックポインタの初期設定も含まれ、スタックポインタは、LIFO方式のスタック領域の最底部を指すことになる。本実施例ではスタック領域のデータがバックアップ電源BUによって電源遮断後も維持されるが、ステップST2の処理によって、スタック領域が開放されることになる。
次に、第1入力ポート13からのデータに基づき、電源基板7からRAMクリア信号CLRが供給されているか否かをチェックする(ST3)。この実施例では、遊技ホールの営業開始時であって、特に係員が電源基板7のRAMクリアスイッチをON操作した場合にはRAMクリア信号CLRが供給されるが、停電からの復旧時を含め、通常はRAMクリア信号CLRが供給されない。
そして、RAMクリア信号CLRが供給されない場合には、電源監視処理(図7(b))のステップST237の処理で記憶されるバックアップフラグBAKFLGの値をチェックする(ST4)。そして、BAKFLG=5AHであれば、次に、電源監視処理のステップST238の処理と同様のチェックサム演算を実行してサム値を算出し(ST5)、これが、RAM領域に記憶されているサム値と一致するか否かを確認する(ST6)。そして、メインルーチンで算出したサム値と、電源監視処理(ST238)で記憶されたサム値とが一致する場合には、電源遮断前の処理を再開できると思われるので、バックアップフラグBAKFLGをクリアした後(ST7)、CPUを割込み許可状態に設定して(ST10)、無限ループ処理を繰り返す。
CPUが割込み許可状態になると、その後のタイマ割込みによって、図7に示す定期処理(ST82〜ST92)が実行されるが、ここまでの処理では、バックアップフラグBAKFLGを除いて、RAMの記憶内容は全く変更されていないので、その後は、電源遮断前の処理が正しく再開されることになる。
一方、(1)ステップST3の判定の結果、RAMクリア信号CLRがON状態であるか、(2)ステップST4の判定の結果、バックアップフラグが5AH以外の値であるか、或いは、(3)ステップST6のサムチェックで異常が認められた場合には、RAM領域が全てクリアされる(ST8)。
そして、払出リトライフラグを5AHに設定した後(ST9)、CPUを割込み許可状態に設定して(ST10)、無限ループ処理を繰り返す。ステップST8の処理で、RAM領域が全てクリアされたことにより、その後は、図7に示すタイマ割込み処理によって、初期状態から動作が開始される。また、払出リトライフラグが5AHに設定されたことにより、最初の賞球動作の1個目は、動作ステイタス3の状態で実行される。
続いて、図7(a)に示すタイマ割込みルーチンについて説明する。このタイマ割込みルーチンは、メインルーチンの無限ループ処理を中断させて、一定時間毎(2mS)に実行される。
タイマ割込みルーチンでは、最初に、割込み禁止状態(DI)になっているCPUを、割込み許可状態(EI)に戻す(ST82)。この処理の結果、タイマ割込み処理の間にも、図6(b)の受信割込みがかかり、主制御部1からの制御コマンドCMDは、読み落しなく取得されることになる。なお、この実施例では、メインルーチンの無限ループ処理では、CPUは、実質的には何の処理もしていないので、タイマ割込み時にCPUのレジスタを保存する必要はない。したがって、図7(a)のタイマ割込み処理の最初には、一群のPUSH命令が存在しないし、タイマ割込み処理の最後には、一群のPOP命令も存在しない。
ステップST82の処理が終われば、次に、電源監視処理が実行される(ST83)。具体的には、図7(b)に示す通りであり、先ず、第1入力ポート13を通して、電圧降下信号ABNを取得し(ST230)、それが異常レベルでないか判定する(ST231)。そして、異常レベルでない場合には、異常回数カウンタをゼロクリアして処理を終える(ST232)。
一方、電圧降下信号が異常レベルである場合には、異常回数カウンタを+1して(ST233)、計数結果が上限値MAXを超えていないかを判定する(ST234)。これは、第1入力ポート13からの取得データが、ノイズなどの影響でビット化けしている可能性があることを考慮したものであり、所定回数(例えば、上限値MAX=5)連続して異常レベルを維持する場合には、交流電源が現に遮断されたと判定する。
このように、本実施例では、電源遮断時にも、直ぐにはバックアップ処理を開始せず、動作開始のタイミングが、MAX×2mSだけ遅れる。しかし、(1)電源降下信号ABNは、直流電源電圧の降下ではなく、交流直流電圧の降下を検出すること、(2)直流電源電圧は、大容量のコンデンサによって交流電源の遮断後もしばらくは維持されること、(3)電源監視処理が高速度(2mS毎)で繰り返されること、(4)バックアップ処理が極めてシンプルであり、迅速に終わることから、実質的には何の弊害もない。
ところで、ステップST234の判定の結果、異常回数カウンタの計数値が上限値MAXに一致した場合には、その後の受信割込みを禁止するべく、先ず、CPUを割込み禁止状態に設定する(ST235)。次に、異常回数カウンタをゼロクリアした後(ST236)、バックアップフラグBAKFLGに5AHを設定する(ST237)。次に、メインルーチンのステップST5の場合と、全く同じ演算を、全く同じ作業領域(ワークエリア)に対して実行し、その演算結果を記憶する(ST238)。なお、実行される演算は、典型的には8ビット加算演算である。
そして、その後はワンチップマイコンをRAMアクセス禁止状態に設定した後(ST239)、無限ループ処理を繰り返しつつ直流電源電圧が降下するのを待つ。なお、このタイミングでは、FILO(First in Last out)方式のスタック領域の頂上部には、サブルーチン(電源監視処理)の戻り番地である、データ入力処理の先頭番地(アドレスデータ)が格納されている。そして、このアドレスデータは、電源遮断後もバックアップ電源によって維持されるが、本実施例では、電源復帰後は、スタックポインタの値が初期状態に設定されることで(ST2)、スタック領域が開放され、したがって、電源遮断ごとにスタック領域が侵食されるおそれはない。
この意味において、本実施例は、電源遮断時にCPUのスタックポインタの値を保存する必要がない利点がある。なお、電源復帰後のメインルーチンにおいて、ステップST6→ST7→ST10の経路を経た場合でも、その後は、タイマ割込みの最初の処理(ST82)から実行される。
以上、電源監視処理(ST83)について説明したので、続いて、ステップST84のデータ入力処理について説明する。データ入力処理は、主として、払出モータMの回転によって、遊技球が実際に払出されたか否かを確認するための処理である。
データ入力処理(ST84)では、第1入力ポート13の8ビットデータを取得し、前回の取得値との対比によって信号レベルが変化したか否かを判定し、レベル変化が検出された場合には、エッジデータとして、RAM領域のワークエリアEDGに保存する。図6(c)に示す通り、賞球検出スイッチLSW,RSWからのスイッチ信号がレベル変化したこと(スイッチ信号が立上ったこと)が、ワークエリアEDGに記憶される。なお、ワークエリアLVLには、今回取得した賞球検出スイッチLSW,RSWからのスイッチ信号のビット反転データが保存され、次回のデータ入力処理において参照される。
このようにしてデータ入力処理(ST84)が終われば、次に、8bit長又は16bit長のタイマの減算処理(−1)が行われる(ST85)。なお、無限ループ処理が2mS毎に実行されることにより、減算タイマの1単位時間は2mSを意味する。
タイマ減算処理が終われば、次に、受信割込み処理によって取得される制御コマンドの解析処理が行われる(ST86)。コマンド解析処理では、受信した制御コマンドCMDが賞球数指定コマンドであるか否かが判定される。そして、賞球数指定コマンドを受信した場合には、そのコマンドによって特定される賞球数を、RAMのワークエリアに設けられた全賞球数カウンタに加算する。なお、この全賞球数カウンタの値は、賞球処理(ST89)におけるステップST25(図8)の処理で読み出され使用される。
次に、プリペイドカードユニット22との通信処理(ST87)と、プリペイドカードで清算される球貸し処理(ST88)とが実行される。そして、その後、賞球処理(ST89)と払出エラー処理(ST90)とモータ処理(ST91)とデータ出力処理(ST92)とが実行され、タイマ割込み処理が終わる。
モータ処理(ST91)は、払出モータMを回転させるための準備処理であり、具体的には、払出モータM用の駆動データ(Φ1〜Φ4)を生成してワークエリアMOOUT番地に格納している。一方、データ出力処理(ST92)は、前記した駆動データを含む各種のデータを、第1と第2の出力ポート16,17から出力する処理である。
また、賞球処理(ST89)は、賞球の払出数を管理する処理であり、コマンド解析処理(ST86)によって更新された全賞球数カウンタの値に基づいて払出数を決定し、データ出力処理(ST92)によって払出モータMを回転させると共に、データ入力処理(ST84)で把握される遊技球の払出し状態を参照して払出モータMの動作終了タイミングなどを決定している。
賞球処理(ST89)とモータ処理(ST91)の説明に先立って、図15に基づいてデータ出力処理(ST92)から説明する。データ出力処理では、先ず、モータ処理ST91(詳細には図11のST67)で用意されたモータ駆動データをMOOUT番地から取得する(ST70)。なお、モータ駆動データは2進数で0101,0110,1010,1001の何れかであり、それらが図4に示すように出力されることで払出モータMが回転する。なお、この実施例では、通常時、払出モータMの1ステップの回転時間が4mSに設定され、16ステップ分のデータ駆動データの出力によって払出回転体ROが60°回転して遊技球を1個払出すように設定されている。なお、払出モータMの1ステップの回転時間は、モータ駆動タイマで管理されており、1ステップ分の回転時間4mSが、タイマ割込み2回分に相当することから、通常動作時にはモータ駆動タイマの初期値は2に設定される。
何れにしてもステップST70の処理によって、モータ駆動データがBレジスタに用意されたら、リトライエラーLEDフラグが5AHにセットされているか判定される(ST71)。リトライエラーLEDフラグとは、払出動作の異常状態が所定時間継続した場合に、エラー報知ランプERL(図5参照)を点灯させるためのフラグである(図10のS703参照)。したがって、リトライエラーLEDフラグが5AHであれば、Bレジスタのbit4を1にセットする(ST72)。
次にBレジスタのbit7を1に設定し(ST73)、Bレジスタの値を、第1出力ポート16に出力する(ST74)。この結果、払出モータMには駆動データが出力され、エラー報知ランプERLが点灯又は消灯する。また、Bレジスタのbit7は、ウォッチドッグタイマに出力されるので、時間消費処理(ST75)の後、bit7をゼロに戻して、第1出力ポート16から再出力している(ST76)。この動作によってウォッチドッグタイマがゼロクリアされるが、プログラムの暴走によって、本来2mS毎に実行されるべきデータ出力処理(ST92)が実行されなくなると、ウォッチドッグタイマ回路の動作に基づいてCPUが強制的にリセットされることになる。
何れにしてもステップST76の処理に続いて、球貸し信号フラグ、PRDYフラグ、EXEフラグを参照して、該当ビットをセットしたデータを第2出力ポート17に出力する(ST78)。この動作の結果、場合によっては、球貸し情報信号が外部に出力される。なお、PRDY信号やEXE信号は、プリペイドカードユニット22に出力される制御信号である。
以上、図7(a)に示すタイマ割込みルーチンについて概略的に説明したが、続いて、図8〜図14を参照しつつ、賞球処理(ST89)と払出エラー処理(ST90)とモータ処理(ST91)とを詳細に説明する。
図8に示すように、賞球処理では、最初に賞球が検出されたか否かが判定される(ST20)。賞球の払出は、データ出力処理(ST92)に起因して払出モータMが回転した場合に生じ得るが、もし、払出があればステップST84のデータ入力処理(図7(a))によって、その旨がワークエリアEDGにスイッチエッジデータとして記憶されている(図6(c))。なお、この実施例では、スイッチエッジデータのbit0が、左賞球計数スイッチの検出状態を表し、bit1が右賞球計数スイッチの検出状態を表している(図5参照)。
賞球検出処理(ST20)の具体的内容は図9に示す通りであり、左右の賞球データ(スイッチエッジデータのbit0とbit1)を変数D1に取得すると共に、Bレジスタに2を設定する(ST40)。次に、変数D1を右に1ビットシフト演算することで、スイッチエッジデータのbit0の内容をキャリーフラグCYに移動させる(ST41)。
CY=1であれば左賞球計数スイッチがONであることを意味するが、この段階では払出モータMの回転が開始されていないのでCY=0のはずである。そこで、Bレジスタの値を−1して(ST50〜ST51)、更に変数D1を右に1ビットシフト演算する(ST41)。この段階でCY=1であれば右賞球計数スイッチがONであることを意味するが、この段階では払出モータMの回転が開始されていないのでCY=0のはずである。したがって、ステップST50〜51の処理を経て賞球検出処理を終える。
一方、払出モータMの回転が開始された後は、ステップST42の判定でCY=1となる場合がある。そこで、その場合には、払出検出フラグを5AHに書き換えた後に(ST43)、賞球フラグの内容をチェックする(ST44)。
払出動作が完了するまでは、賞球フラグの値が5AHであるから(図8のST32参照)、続いて、払出残数カウンタの値がゼロか否かを判定する(ST46)。後述するように、払出残数カウンタは、データ出力処理(ST92)を経て払出されるべき遊技球の残数を管理している。そして、このタイミングでは、ステップST42の判定によって遊技球の払出が確認されている。したがって、払出残数カウンタの値がゼロでない場合には、カウンタ値を−1して(ST48)、ステップST50の処理に移行する。
一方、デクリメント処理(ST48)の結果、払出残数カウンタの値がゼロになれば、払出モータフラグと賞球フラグとをA5Hに設定した後に(ST47)、ステップST50の処理に移行する。なお、払出モータフラグと賞球フラグは、払出残数カウンタに新規払出カウンタの値を加算した段階で5AHに設定されるようになっている(後述する図8のST30〜ST32)。
また、払出モータフラグは、払出モータMを駆動状態にするか非駆動状態にするかを規定しており、払出モータフラグが5AH又はA5Hであれば、モータ駆動状態となるが、00Hであれば非駆動状態となる。ここでモータ駆動状態とは、第1出力ポート16に有意な駆動データ(2進数0101,0110,1010,1001の何れか)が出力されていることを意味し、非駆動状態とは、第1出力ポート16に2進数0000が出力されていることを意味する。なお、第1出力ポート16に2進数0000が出力されると、オープンコレクタタイプのトランジスタ群18が全てOFF状態となり、払出モータMは自由回転状態となる(図5参照)。
以上のステップST41〜ST51の処理は、Bレジスタの初期値(=2)に基づき二回実行される。そして、払出残数カウンタの値がゼロになった後は、払出動作が実行されないため、ステップST42の判定において、CY=1となることは本来無いはずである。
しかし、何らかの影響で過払い状態となる可能性も否定しきれない。但し、このような異常時には、賞球フラグがA5Hである状態で(ST47参照)、ステップST42の判定においてCY=1となるので、本実施例では、過払い状態を示すべく、払出リトライフラグを5AHに設定する(ST45)。
この払出リトライフラグは、電源投入後のステップST9(図6)でも5AHに設定されるフラグである。そして、払出リトライフラグが5AHであると、後述するリトライ処理(図14(a))が開始され、遊技球が一個払出されるまで3.75°ピッチで払出回転体ROが歩進することで、精密な位置合わせ処理が実現される(図12のS1,S7〜S9、及び図14参照)。
続いて、図8の賞球処理を説明する。上記した賞球検出処理(ST20)の後、先ず動作ステイタスの値がチェックされる(ST21)。ここで、動作ステイタスとは、一連の賞球払出動作における動作内容を規定するものであり、2mS毎に実行されるモータ処理(ST91)は、動作ステイタス0〜4の何れかの状態で実行される。モータ処理(ST91)は、具体的には、動作ステイタス0のモータ駆動開始処理(図12(a))、動作ステイタス1のモータ駆動中処理(図12(b))、動作ステイタス2のモータ一時休止中処理(図13(a))、動作ステイタス3のモータ停止中処理(図13(b))、動作ステイタス4のモータリトライ中処理(図14(a)何れかが2mS間隔で実行される(図11のST65a〜ST65e参照)。
図8に戻ると、ステップST21の処理で、今が動作ステイタス1や動作ステイタス2であって、モータ駆動中処理(図12(b))やモータ一時休止中処理(図13(a))を実行すべきタイマ割込みタイミングであると判定されると、何もしないで賞球処理を終える。また、今が、動作ステイタス4であって、モータリトライ中処理(図14(a))を実行すべきタイマ割込みタイミングであると判定されれば、賞球フラグの値をチェックし(ST22)、もしA5Hに設定されていれば、賞球フラグを00Hに書き直して賞球処理を終える(ST23)。
一方、ステップST21の処理で、今が動作ステイタス3であって、モータ停止中処理(図13(b))を実行すべきタイマ割込みタイミングであると判定されると、払出リトライフラグの値をチェックし(ST24)、もし5AHに設定されていれば、そのまま賞球処理を終え、5AH以外の値(=00H)に設定されていれば、ステップST25の処理に移行する(ST24)。
ステップST21の処理で、今回のタイマ割込み時が、動作ステイタス0であって、駆動開始処理(図12(a))を実行すべきタイマ割込みタイミングであると判定されれば、先ず、コマンド解析処理(ST86)で更新された全賞球数カウンタの値が変数D1に取得される(ST25)。そして、変数D1がD1≠0であれば、新規払出数の最大値25を変数D2に格納し、変数D1から変数D2の値を減算する(ST27)。
次に減算結果が負か否か判定され(ST28)、もし負なら変数D2に全賞球数カウンタの値を格納すると共に、変数D1をゼロに設定する(ST29)。その後、新規払出カウンタに、変数D2の値を格納すると共に、全賞球数カウンタに、変数D1の値を格納する(ST30)。なお、ステップST30の処理で設定される新規払出カウンタの値は、通常は5個、10個、25個(新規払出数の最大値)の何れかである。
続いて、払出残数カウンタの値を変数D3に格納し、変数D2の値を変数D3に加算する。そして、加算結果である変数D3の値を、払出残数カウンタに格納する(ST31)。この処理の結果、このタイミングで把握されている、払出すべき全賞球数が、払出残数カウンタに格納されることになる。
その後、賞球フラグと払出モータフラグが5AHに設定され(ST32)、動作ステイタスが0に設定されて賞球処理が終わる(ST33)。なお、5AHに設定された賞球フラグは、図9のステップST47の処理でA5Hに変更されるまで、その値を維持する。
一方、5AHに設定された払出モータフラグは、図9のステップST47の処理でA5Hに変更される他、図13(b)のステップS27や図14(a)のステップS40の処理で00Hに変更される。すなわち、払出モータフラグは、初期的に5AHに設定された後、払出残数カウンタの値がゼロになるとA5Hに変更され(ST47)、その後、動作ステイタス2から動作ステイタス0に変更されるか、或いは、動作ステイタス3から動作ステイタス0に変更されるタイミングで、00Hに変更される(S27,S40)。払出モータフラグが00Hとなった後は、払出回転体ROが駆動されない自由回転状態となる(図11のST63参照)。
図10は、払出エラー処理(ST90)の動作内容を示したものであり、払出エラー処理(ST90)は、リトライエラー検出処理(S70)、計数スイッチエラー検出処理(S71)、補給切れエラー検出処理(S72)、及び、下皿満杯エラー検出処理(S73)で構成されている。
リトライエラー検出処理(S70)では、データ入力処理(ST84)で更新されたワークエリアEDGのスイッチエッジデータの値に基づいて、新たに、遊技球の払出があったか否かが判定される(S701)。具体的には、第1入力ポート13のビット0とビット1の値が今回のタイマ割込み時に立上ったか否かが判定される。ここで、遊技球の払出が検出された場合は、遊技球が払出されない球詰り状態が、後述するリトライ処理の結果、解消されたことを意味する。したがって、遊技球の払出が確認された場合には、リトライエラーフラグ、リトライエラーLEDフラグ、及びリトライカウンタの全てを、00Hに設定して処理を終える(S704)。
一方、未だ、遊技球の払出しが検出されない場合には、リトライカウンタの値が上限値MM(例えば127)を超えない限りそのまま処理を終え、上限値MMを超えると、リトライエラーフラグ、リトライエラーLEDフラグ、及び払出リトライフラグの全てを、5AHに設定して処理を終える(S703)。なお、リトライカウンタの値は、図14(a)のリトライ処理におけるステップS33の処理で更新(+1)される。
ステップS703の処理でリトライエラーLEDフラグが5AHに設定されたことにより、その後のデータ出力処理(ST92)では、エラー報知ランプERLが点灯される。また、リトライエラーフラグの値が5AHである限り、その後のモータ処理(ST91)において、モータ駆動データが00Hとされるので、これに続くデータ出力処理(ST92)において払出モータMが非駆動状態(自由回転状態)となる。したがって、エラー報知ランプERLの点灯を検出した係員は、払出回転体ROの操作軸23を比較的自由に回転させることができ、容易に球詰り状態を解消させることができる。
ところで、補給切れエラー検出処理(S72)では、第1入力ポートへのスイッチ信号が所定時間を超えて異常レベルであるか否かが判定され、異常レベルが継続される場合には、補給切れエラーフラグが5AHに設定される。なお、異常レベルから正常レベルに戻れば、補給切れエラーフラグが00Hに戻される。
また、下皿満杯エラー検出処理(S73)でも、第1入力ポートへの該当するスイッチ信号が所定時間を超えて異常レベルであるか否かが判定され、異常レベルが継続される場合には、下皿満杯エラーフラグが5AHに設定される。なお、異常レベルから正常レベルに戻れば、下皿満杯エラーフラグは00Hに戻される。これら、補給切れエラーフラグと下皿満杯エラーフラグは、払出回転体ROの回転動作を禁止する動作禁止状態に突入させるか否かを決定する(図11のST62参照)。
続いて、図11のフローチャートに基づいてモータ処理(ST91)について説明する。モータ処理では、モータ駆動データを格納しているMOOUT番地の内容をクリアし(ST61)、各種のエラーフラグの値が全て00Hであるか否かが判定される(ST62)。ここで、判定されるエラーフラグには、リトライエラーフラグ、補給切れエラーフラグ、及び下皿満杯エラーフラグが含まれている。
そして、全てのエラーフラグが00Hであって、全くエラーが発生していない場合には、続いて、払出モータフラグの値が判定される(ST63)。一方、そして、リトライエラーフラグ、補給切れエラーフラグ、及び下皿満杯エラーフラグの何れかが≠00Hであるか、或いは、払出モータフラグが=00Hである場合には、何もしないでモータ処理を終える(ST62,ST63)。その結果、モータ駆動データ(MOOUT番地の内容)は2進数0000のままとなり、データ出力処理(ST92)が実行されても、払出モータMが駆動されない。したがって、払出回転体ROが回転駆動されることはない。
一方、ステップST63の判定で、払出モータフラグが≠00Hと判定された場合には、そのときの動作ステイタスの値に応じてモータ駆動開始処理(ST65a)、モータ駆動中処理(ST65b)、モータ一時休止中処理(ST65c)、モータ停止中処理(ST65d)、モータリトライ中処理(ST65e)の何れかが実行される。
次に、そのタイミングでのモータ励磁フラグの値が判定され(ST66)、モータ励磁フラグがON状態である場合だけ、ステップST65a〜ST65eの処理で決定された払出モータMの位置に応じてモータ駆動データが選択され、MOOUT番地に格納される(ST67)。モータ励磁フラグは、動作ステイタス2(モータ一時休止中)の場合を除いてON状態であるので、その時のモータ駆動データが、MOUT番地に格納され、その後のデータ出力処理(ST92)によって、払出モータMが回転駆動される。払出モータMのモータ位置が0〜3で管理されており、これに対応して、モータ駆動データは(0101、0110、1010、1001)の4種類であり、図4に示す順番に出力されて払出モータMを歩進させる。
一方、動作ステイタス2(モータ一時休止中)の場合には、モータ励磁フラグがOFF状態であるから、ステップST67の処理がスキップされる。その結果、MOUT番地の内容は0000のままであり、データ出力処理(ST92)が実行されても、払出モータMが自由回転状態のまま一時的に駆動休止状態となる。本実施例では、遊技球を一個払出す毎に、払出モータMを一次休止中として自由回転状態とすることで、球詰まりを未然に防止している。
図12〜図14は、モータ駆動開始処理(ST65a)、モータ駆動中処理(ST65b)、モータ一時休止中処理(ST65c)、モータ停止中処理(ST65d)、及びモータリトライ中処理(ST65e)の具体的内容を図示したものである。初期状態では動作ステイタスは0であるので図12(a)モータ駆動開始処理が実行される。
モータ駆動開始処理では、払出リトライフラグの値がチェックされ(S1)、払出リトライフラグ≠5AHであれば、新規払出カウンタの値Nを16倍してステップカウンタに格納する(S2)。先に説明した通り、この実施例では、払出モータMを16ステップ歩進させて120°回転させることで、ギア接続された払出回転体ROを60°回転させて、遊技球を1個払出す。そのため、払出モータMに出力すべき一連の駆動データの総数として、16×Nの値をステップカウンタに設定している。なお、新規払出カウンタの値Nは、図8のステップST30の処理で設定された値(=25個以下)である。
ステップカウンタの初期値を設定すると、次に、励磁OFFカウンタを16に設定する(S3)。励磁OFFカウンタは、モータ一次休止中状態(動作ステイタス=2)を発生させるタイミングを規定するカウンタである。この実施例では、ステップS3の処理で、励磁OFFカウンタを16に初期設定するので、払出モータMが16ステップ歩進されて1個の遊技球を払出す毎に、払出モータMが自由回転状態で一次休止することになる。
その後、動作ステイタスを1に変更すると共に(S4)、モータ駆動タイマを2に初期設定する(S5)。モータ駆動タイマは、払出モータMに駆動データを出力する時間間隔を指定するものであり、2に初期設定されたモータ駆動タイマは、2mS毎にタイマ減算処理(ST85)で−1されるので、この場合には、2×2=4mSの時間間隔でモータ位置が変化することになる。なお、モータ駆動タイマがゼロになる毎にステップカウンタが−1される(S11〜S12)。
次に、モータ励磁フラグをON状態にセットして処理を終わる(S6)。モータ励磁フラグは、動作ステイタス2(払出モータMが自由回転状態で一次休止)の場合を除いて、ON状態とされる。そこで、ステップS6では、電源投入後の初期処理を兼ねて、モータ励磁フラグをON状態に初期設定している。
ところで、動作ステイタスが0であって、払出リトライフラグが5AHの場合には、動作ステイタスが4に変更される(S7)。また、モータ駆動タイマが125に設定され(S8)、払出リトライフラグと払出検出フラグがゼロクリアされる(S9)。動作ステイタスが4に変更されると、リトライ処理が開始させることになるが、モータ駆動タイマが125に初期設定されたことにより、以降は、1ステップ250mS(=2×125)の時間間隔でゆっくり払出モータMが駆動されることになる。
図12(a)のステップS4の処理によって動作ステイタスが1に設定された後は、図12(b)に示すモータ駆動中処理が実行される。ここでは、先ず、モータ駆動タイマの値がチェックされ(S10)、ゼロでなければ何もしないで処理を終える。したがって、例えば、モータ駆動タイマが2に初期設定された場合には、2回のモータ処理(ST91)は、同一の駆動データをMOUT番地に格納することになる(ST65b〜ST67)。
その後、モータ駆動タイマがゼロになると、ステップS2の処理で16×Nに初期設定されたステップカウンタの値が判定され(S11)、ゼロでなければステップカウンタと励磁OFFカウンタの値を−1すると共に、モータ位置を0〜3の範囲で+1する(S12〜S13)。また、モータ駆動タイマの値を、再び2に初期設定する(S14)。したがって、動作ステイタス1のモータ駆動中処理では、払出モータMが4mS毎に歩進することになる。
ステップS14の処理が終われば、次に、励磁OFFカウンタの値を判定する(S15)。そして、励磁OFFカウンタがゼロに達していた場合には、動作ステイタスを1から2に変更すると共に(S16)、モータ励磁フラグをON状態からOFF状態に変更して処理を終える(S17)。励磁OFFカウンタは、ステップS3の処理で16に初期設定されることから、ステップカウンタが16進み、遊技球が1個払出される毎に、払出モータMを自由回転状態にする動作ステイタス2に移行されることになる。
図13(a)に示す通り、動作ステイタス2では、最初にモータ駆動タイマの値が判定される(S50)。先に説明した通り、モータ駆動タイマは、2に初期設定されて動作ステイタスに移行するので(S14,S16)、2×2mSの間は、何もしないで処理を終える。そして、4mS経過後は、モータ駆動タイマを、再び2に初期設定すると共に、励磁OFFカウンタを16に初期設定して、モータ駆動フラグをOFF状態からON状態に戻す(S51〜S52)。また、動作ステイタスを2から1に戻してモータ一時休止中処理を終える(S53)。
したがって、本実施例では、動作ステイタス1で遊技球を1個払出す毎に、動作ステイタス2で、4mSの間、自由回転状態として一次休止する処理を繰り返す。つまり、64mSで1個払出(動作ステイタス1)⇒4mSの自由回転状態(動作ステイタス2)⇒64mSで1個払出(動作ステイタス1)⇒4mSの自由回転状態(動作ステイタス2)⇒・・・の動作を繰り返すことになる。このような歩進動作を繰り返すと、その後、ステップカウンタの値がゼロになる。そこで、この場合には、図12(b)のモータ駆動中処理において、動作ステイタスを1から3に変更すると共に、モータ駆動タイマの値を350に初期設定する(S18〜S19)。
以上の通り、動作ステイタス1のモータ駆動中処理と、動作ステイタス2のモータ一時休止中処理とを繰り返しつつ、ステップカウンタの値がゼロになったことにより、新規払出分の払出が完了する。但し、この一連の払出動作中にも、新規に制御コマンドCMD(賞球数指定コマンド)を受信している可能性があり、コマンド解析処理(ST86)によって全賞球数カウンタの値が更新されることで、更なる払出が必要となる場合もある(例えば大当り状態の場合など)。また、払出回転体ROの誤動作によって、新規払出分の払出量に過不足が生じている可能性もある。
払出量が不足する場合は、払出残数カウンタがゼロになっていないので、払出モータフラグがA5Hに変更されず5AHのままであるが、一方、払出モータフラグがA5Hであれば、払出残数カウンタがゼロになったことを意味する(ST47参照)。また、払出残数カウンタがゼロになった後に更に払出がされる過払い時には、払出モータフラグがA5Hであって、払出リトライフラグが5AHとなっている(ST45参照)。
以上を踏まえて説明を続けると、図13(b)に示すように、動作ステイタス3の状態ではモータ停止中処理が実行される。ここでは先ず、払出モータフラグの値がA5Hであるか否かが判定される(S20)。上記の通り、払出モータフラグがA5Hであれば払出残数カウンタがゼロになったことを意味するので(ST47)、このような場合には、動作ステイタスを2から0に変更し、モータ駆動タイマをゼロにする(S25〜S26)。また、払出モータフラグと払出検出フラグをゼロクリアする(S27)。なお、モータ励磁フラグをOFF設定しても良く、この場合には、払出モータフラグによるモータ駆動スキップ処理(図11のステップST63)を省略することもできる。
一方、ステップS20の処理において、払出モータフラグ≠A5Hと判定された場合には、未だ、払出残数カウンタがゼロになっていないことを意味する。したがって、払出モータフラグが≠A5Hの場合には、モータ駆動タイマがゼロになるのを待つ(S21)。なお、動作ステイタスが1から2に変更された段階で、モータ駆動タイマが350に初期設定されているので(S18)、ここでは700mSだけ時間消費されることになる。その後、モータ駆動タイマがゼロになれば、動作ステイタスを3から4に変更すると共に、モータ駆動タイマを125に初期設定し、払出検出フラグをクリアする(S22〜S24)。
図14(a)に示すように、動作ステイタスが4の場合には、先ず、モータ駆動タイマがゼロになるのを待つ(S30)。動作ステイタスが4に変更された段階で、モータ駆動タイマが125に初期設定されているので(S8,S23)、ここでは250mSだけ時間消費されることになる。その後、払出検出フラグの値をチェックする(S31)。払出検出フラグは、遊技球の払出しを確認した段階で5AHに設定され(図9のST43)、動作ステイタスが4に変更される段階でゼロにされている(図13(b)のS24,図12(a)のS9)。
したがって、モータリトライ処理において、払出検出フラグは最初ゼロの筈であるので、次に、モータ位置を0〜3の範囲で1つ進める(S32)。また、リトライカウンタを+1更新すると共に、モータ駆動タイマに125を設定する(S33〜S34)。したがって、以降、1ステップ=250mS毎に駆動データを更新するリトライ処理が実行されることになる。
このリトライ処理では、通常時の2/125倍の速度でゆっくり払出モータMが回転する。詳細には、ステップS30〜S34より明らかなように、モータ駆動タイマの初期設定値により、250mS毎に1ステップ(7.5°)分だけ払出モータMが回転し、これに対応して払出回転体ROが3.75°回転する毎に、遊技球の払出しがチェックされ、払出しを検出するまで同じ動作が繰り返えされる(S31)。なお、遊技球の払出は、図9のステップST42の処理で判定され、遊技球の払出が検出されたら、払出検出フラグが5AHに設定される(ST43)。
したがって、ステップS30〜S34の処理を繰り返していると、やがて払出検出フラグが5AHとなるので、この場合には次に払出モータフラグの値をチェックする(S35)。払出モータフラグは、払出残数カウンタがゼロとなる時、つまり、不足分なく遊技球を払出した時にA5Hに設定される(図9のST47)。したがって、払出モータフラグ≠A5Hは、払出していない遊技球が存在することを意味するので、払出残数カウンタの値を16倍した値をステップカウンタに格納する(S36)。
但し、本実施例では、リトライ処理後の払出量の上限値LTを設けており、具体的には、65536>LT×16となるよう、上限値LTをLT=4095に設定している。したがって、払出残数カウンタを、仮に16ビット長に制限しても、連続して大量の賞球が得られる大当り状態において、払出残数カウンタがオーバーフローして賞球数が消滅するおそれはない。
この実施例では、上限値LT=4095に設定されているので、払出残数カウンタの最大値は、65520となるが、ステップS36の処理に続いて、動作ステイタスを4から1に変更すると共に、励磁OFFカウンタを16に初期設定する(S37)。また、リトライカウンタをクリアすると共に、モータ駆動タイマに2を設定する(S38)。この設定処理の結果、これ以降は、1ステップ=4mS毎に駆動データを更新する通常のモータ回転が開始されることになる。
ところで、ステップS35の判定において払出モータフラグ=A5Hとなった場合は、動作ステイタス4から0に変更する(S39)。払出しを検出した状態(払出検出フラグ=5AH)で、払出モータフラグがA5Hであるということは、動作ステイタス=4の状態で1個の遊技球を払出し、且つ払出残数カウンタがゼロとなったことを意味する(ST47参照)。
つまり、不足分の払出しが完了したことを意味するので、動作ステイタスを4から0に変更して、その後、改めて払出動作が必要となる時期まで待機させるのである。そのため、リトライカウンタ、払出モータフラグ、及び払出検出フラグの値を全てゼロにする(S40)。なお、ここでも、モータ励磁フラグをOFF設定しても良く、この場合には、払出モータフラグによるモータ駆動スキップ処理(図11のステップST63)を省略することもできる。
図14(b)は、以上の動作を確認的に図示した状態遷移図である。初期状態である動作ステイタス0において、新規払出カウンタに指定された遊技球の払出動作を開始するにあたって、励磁OFFカウンタが16に設定されると共に(図12のS3)、モータ励磁フラグがON設定されて(S6)、動作ステイタス1に移行される(S4)。
動作ステイタス1(モータ駆動中)では、ステップカウンタと励磁OFFカウンタとが16進む毎に、遊技球が1個払出され(図12のS12)、モータ励磁フラグがOFF設定された状態で、動作ステイタスが1から2に移行される(S16〜S17)。
動作ステイタス2(モータ一時休止中)では、自由回転状態が4mS継続された後、励磁OFFカウンタが16に設定されると共に(図13(a)のS51)、モータ励磁フラグがON設定されて(S52)、動作ステイタス1に移行される(S53)。
このような動作ステイタス1と動作ステイタス2の動作を繰り返した結果、新規払出カウンタに指定された遊技球の払出動作を終えると、動作ステイタス1から動作ステイタス3に移行させる(図12(b)のS19)。なお、このタイミングでは、モータ励磁フラグはON状態のままである。
動作ステイタス3(モータ停止中)では払出動作の不足をチェックし、不足がなければ、動作ステイタス3から動作ステイタス0に移行させる(図13(b)のS25)。なお、このタイミングでは、モータ励磁フラグがON状態のままであるが、OFF状態に変更させても良い(S27)。
一方、動作ステイタス3において払出動作の不足が検出されると、動作ステイタス3から動作ステイタス4(リトライ動作中)に移行させる(図13(b)のS22)。そして、低速回転において1個の遊技球の払出を確認すれば、更に払出すべき遊技球が存在するか否かに応じて、動作ステイタス4から、動作ステイタス1か動作ステイタス0に移行させる。動作ステイタス1に移行させる場合には、励磁OFFカウンタが16に初期設定される(図14(a)のS37)。なお、動作ステイタス0に移行させる場合には、ON状態のモータ励磁フラグをOFF状態に変更しても良い(S40)。
以上の通り、本実施例では、ステップカウンタを16ステップ進めて遊技球を1個払出す毎に、払出モータMを自由回転状態にしているので、球詰まりを未然に防止することができる。本実施例について実験を繰り返した結果、所望の球詰まり回避の効果が得られることが確認されている。払出装置の球通路と払出回転体との間で遊技球を噛むことによって球詰まりが発生するが、払出回転体に定期的な自由回転時間を設けることで球噛み状態のバランスを崩し、球詰まりを解消できるものと思われる。
また、図3(d)に関して説明した通り、遊技球を払出し終わったタイミングでは、残り2個の遊技球の自重によって、逆方向に回転トルクが加わるので、慣性力によって回転し過ぎることも、遊技球への振動で遊技球が誤って払出されることもない。
最後に、本発明が好適に適用される弾球遊技機について確認的に説明する。図16は、本実施例のパチンコ機21を示す斜視図であり、図17は、同パチンコ機21の側面図である。なお、パチンコ機21は、カード式球貸し機22に電気的に接続された状態で、パチンコホールの島構造体の長さ方向に複数個が配設されている。
図示のパチンコ機21は、島構造体に着脱可能に装着される矩形枠状の木製外枠23と、外枠23に固着されたヒンジHを介して開閉可能に枢着される前枠24とで構成されている。この前枠24には、遊技盤25が裏側から着脱自在に装着され、その前側には、ガラス扉26と前面板27とが夫々開閉自在に枢着されている。
前面板27には発射用の遊技球を貯留する上皿28が装着され、前枠24の下部には、上皿28から溢れ出し又は抜き取った遊技球を貯留する下皿29と、発射ハンドル30とが設けられている。発射ハンドル30は発射モータと連動しており、発射ハンドルの回動角度に応じて動作する打撃槌31(図16参照)によって遊技球が発射される。
上皿28の右部には、カード式球貸し機22に対する球貸し操作用の操作パネル32が設けられ、この操作パネル32には、カード残額を3桁の数字で表示するカード残額表示部32aと、所定金額分の遊技球の球貸しを指示する球貸しスイッチ32bと、ゲーム終了時にカードの返却を指令する返却スイッチ32cとが設けられている。ガラス扉26の上部には、大当り状態を示す大当りLEDランプP1が配置されている。また、この大当りLEDランプP1に近接して、補給切れ状態や下皿の満杯状態を示す異常報知LEDランプP2,P3が設けられている。
図18に示すように、遊技盤25には、金属製の外レールと内レールとからなるガイドレール33が環状に設けられ、その内側の遊技領域25aの略中央には、表示装置8(具体的には液晶カラーディスプレイ)が配置されている。また、遊技領域25aの適所には、図柄始動口35、大入賞口36、複数個の普通入賞口37(大入賞口36の左右に4つ)、2つの通過口であるゲート部38が配設されている。これらの入賞口35〜38は、それぞれ内部に検出スイッチを有しており、遊技球の通過を検出できるようになっている。
表示装置8は、大当り状態に係わる特定図柄を変動表示すると共に背景画像や各種のキャラクタなどをアニメーション的に表示する装置である。この表示装置8は、中央部に特別図柄表示部Da〜Dcと右上部に普通図柄表示部39を有している。普通図柄表示部39は普通図柄を表示するものであり、ゲート部38を通過した遊技球が検出されると、表示される普通図柄が所定時間だけ変動し、遊技球のゲート部38の通過時点において抽出された抽選用乱数値により決定される停止図柄を表示して停止するようになっている。
図柄始動口35は、左右1対の開閉爪35aを備えた電動式チューリップで開閉されるよう例えば構成され、普通図柄表示部39の変動後の停止図柄が当り図柄を表示した場合には、開閉爪35aが所定時間だけ開放されるようになっている。そして、図柄始動口35に遊技球が入賞すると、特別図柄表示部Da〜Dcの表示図柄が所定時間だけ変動し、図柄始動口35への遊技球の入賞タイミングに応じた抽選結果に基づいて決定される停止図柄で停止する。
大入賞口36は、例えば前方に開放可能な開閉板36aで開閉制御されるが、特別図柄表示部Da〜Dcの図柄変動後の停止図柄が「777」などの大当り図柄のとき、「大当り」と称する特別遊技が開始され、開閉板36aが開放されるようになっている。大入賞口36の内部には入賞球を検出する入賞領域36bが存在する。
大入賞口36の開閉板36aが開放された後、所定時間が経過し、又は所定数(例えば10個)の遊技球が入賞すると開閉板36aが閉じる。このとき、最大で例えば15回まで特別遊技が継続され、遊技者に有利な状態に制御される。さらに、変動後の停止図柄が特別図柄のうちの特別状態発生図柄であった場合には、特別状態を発生させる。
図19に示すように、前枠24の裏側には、遊技盤25を裏側から押さえる裏機構板40が着脱自在に装着されている。この裏機構板40には開口部40aが形成され、その上側に賞球タンク41と、これから延びるタンクレール42とが設けられている。裏機構板40の側部には、タンクレール42に接続された払出装置43が設けられ、裏機構板40の下側には払出装置43に接続された通路ユニット44が設けられている。払出装置43から払出された遊技球は、通路ユニット44を経由して上皿排出口28a(図16)から上皿28に払出されることになる。
裏機構板40の開口部40aには、遊技盤25の裏側に装着された裏カバー45と、入賞口35〜37に入賞した遊技球を排出する入賞球排出樋(不図示)とが嵌合されている。この裏カバー45に装着されたケースCA1の内部に主制御基板1が配設される(図19参照)。
これらケースCA2,CA3の下側で、裏機構板40に装着されたケースCA4の内部には、電源基板7と払出制御基板5が設けられている。この電源基板7には、電源スイッチ53とRAMクリアスイッチ54とが配置されている。これら両スイッチ53,54に対応する部位は切欠かれ、両スイッチを指で同時に操作可能になっている。発射ハンドル30の後側に装着されたケースCA5の内部には、発射制御基板6が設けられている。
以上、本発明の実施例について具体的に説明したが、記載内容は特に本発明を限定するものではない。例えば、実施例では、励磁OFFカウンタの値を16に初期設定したが、例えば、1に初期設定すれば、払出モータMが1ステップ歩進する毎に、自由回転状態に移行することができる。その他、励磁OFFカウンタの初期値を変更することで、適宜なタイミングで払出モータMを、自由回転状態に移行することができる。
また、実施例では、一時休止中状態の継続時間を4mSとしたが、動作ステイタス2に移行させるに際して設定されるモータ駆動タイマの初期値に応じて適宜に変更可能である。例えば、払出モータMが1ステップ歩進する毎に、自由回転状態に移行させる実施例では、一時休止中状態の継続時間を2mSとすべきである。
その他、実施例では、弾球遊技機について説明したが、パチンコ機、アレンジボール機、雀球遊技機のみならず、メダルを用いる回胴遊技機や、遊技球を用いる回胴遊技機にも適用できるのは勿論である。
1 主制御部
5 サブ制御部
MO 払出モータ
RO 払出回転体
5 サブ制御部
MO 払出モータ
RO 払出回転体
Claims (9)
- 遊技制御動作を中心統括的に担う主制御部と、前記主制御部からの指令に基づいて払出装置を動作させて遊技媒体を払出すサブ制御部とを有して構成された遊技機であって、
前記払出装置は、前記サブ制御部が出力する駆動パルスに基づいて最低角度ごとに間欠的に回転される払出モータと、前記払出モータに連動して回転することで遊技媒体を払出す払出回転体とを有して構成され、
前記サブ制御部は、前記払出モータを前記最低角度の整数倍だけ回転させる毎に休止状態に移行させ、前記休止状態では、所定時間だけ前記駆動パルスを出力しないことで前記払出モータを自由回転状態に設定していることを特徴とする遊技機。 - 一連の払出動作が開始されるまでの前記払出回転体の待機状態では、前記サブ制御部は、前記駆動パルスを出力しないことで前記払出モータを自由回転状態に設定している請求項1に記載の遊技機。
- 前記休止状態及び前記待機状態では、前記払出回転体には、内部に保持する遊技媒体の自重によって、本来の回転方向とは逆向きの回転トルクが発生するよう構成されている請求項1又は2に記載の遊技機。
- 前記払出回転体が同時に保持可能な遊技媒体の個数は、2個以上3個以下に制限されている請求項1〜3の何れかに記載の遊技機。
- 前記払出回転体から遊技媒体を1個払出される毎に、前記休止状態に移行するよう構成されている請求項1〜4の何れかに記載の遊技機。
- 前記所定時間は、前記最低角度の回転に要する時間と同一に設定されている請求項1〜5の何れかに記載の遊技機。
- 前記払出モータが前記最低角度だけ回転される毎に、前記休止状態に移行するよう構成されている請求項1〜4の何れかに記載の遊技機。
- 前記所定時間は、前記最低角度の回転に要する時間より短く設定されている請求項7に記載の遊技機。
- 前記払出回転体と前記払出モータとは、その間に設けた中間ギアを介してギア接続されている請求項1〜8の何れかに記載の遊技機。
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