JP2009089642A - 米ぬか・炭粉混合資材によるキャベツ等の無農薬栽培方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】モンシロチョウとカメムシ、ゴキブリの食害を同時に解決し、キャベツの無農薬栽培を実現できる安全な資材を実現する。
【解決手段】米ぬかと炭粉との混合資材を散布することで、モンシロチョウやカメムシ、ゴキブリの食害をほぼ完全にくい止めることができる。米ぬかと炭粉との配合割合は、米ぬか95%以下、炭粉5%以上が最適である。定植から収穫直前まで、EM活性液と米ぬか炭粉混合資材を1週間に1回の割合で散布する。同時散布でなく、週の前半にEM活性液を、後半に米ぬか炭粉混合資材を散布するのがよい。米ぬか炭粉混合資材もEM活性液も人畜に全く無害であるから、収穫直前まで使用して差し支えない。炭粉を併用することで、米ぬかの連続使用による土壌悪化の弊害も発生しない。
【選択図】図2

Description

近年、残留農薬に起因して食の安全が脅かされており、安心できる食が強く求められている。本発明は、害虫忌避方法、特にモンシロチョウやカメムシ、ゴキブリ等の食害を防止するための米ぬか・炭粉混合資材によるキャベツ等の無農薬栽培方法に関する。
キャベツは夏場の酷暑期を除き、年間長期にわたって栽培される。定植から収穫までの在圃期間は50日から90日で、秋・春の冷涼期が最も適温で、在圃期間ほぼ50日で収穫でき、酷暑の夏場に近づく程、条件が悪く、在圃期間が長くなる。亜熱帯の沖縄では、冬場が最も適温となる。
栽培の一番の難敵はモンシロチョウで、飛来して産卵し、孵化した幼虫が葉を食いつぶした上に、深部まで食い進むため、無農薬では栽培できなかった。
モンシロチョウ以外の害虫もいるが、それらはEM活性液と呼ばれている有用微生物群資材を週1回程度散布すれば、ほぼ完全に虫害を防ぐことが可能であるので、キャベツの無農薬栽培では、いかにしてモンシロチョウの食害を克服するかにかかっていると言える。
世界中で、当然ながらキャベツの無農薬栽培の試験が行われたが、これまでその技術は確立されていなかった。したがって、やむを得ず、防虫ネットを張ったハウスの中で栽培するすることが一般的であるが、施設園芸はコスト高となるのが欠点で、農家経営を圧迫している。
露地栽培での無農薬化を模索し、試行錯誤した結果、米ぬかを週1回散布することにより、モンシロチョウの被害は、ほぼ完全に克服できることが判明した。ところが、米ぬかの連続使用によって、いくつかの予期せぬ弊害が発生した。まず、米ぬかの散布により、カメムシ(ヒメナガメ・アヤナミカメムシ)が飛来し繁殖して、キャベツの葉液を吸い、枯死寸前に至らしめた。又、キャベツの葉の中にゴキブリ(ウスヒラタゴキブリ・ミナミヒラタゴキブリ)が入り込むという被害も発生した。カメムシ、ゴキブリの被害も、モンシロチョウの虫害に劣らず、キャベツの商品化を完全に阻害し、EM活性液でも阻止できない。
そこで、モンシロチョウ、カメムシ、ゴキブリの害を同時に解決する資材は無いか、さらに試験研究を重ねた結果、たどりついたのが、米ぬかに炭粉を混入することであった。又、米ぬか・炭粉混合資材は、後述の土壌の弊害も同時に解決できた。
米ぬかに炭粉を約5%混入して散布することにより、モンシロチョウ、カメムシ、ゴキブリの被害を完全にくい止めることができ、長年のテストの繰り返しで、ほぼ完璧にキャベツの無農薬栽培が実証できた。
なお、農薬に代わって、炭粉を害虫の忌避に用いる先行技術は存在せず、米ぬかに関しては、特開2005−281056号のように、発酵有機肥料に加える技術が開示されているだけである。
特開2005−281056号
本発明の技術的課題は次のような手段によって解決される。請求項1は、少なくとも米ぬかと炭粉との混合資材を散布するか又は少なくとも米ぬかと炭粉とを別々に散布することを特徴とする害虫の忌避方法である。このように、米ぬかと炭粉との混合資材を散布することで、モンシロチョウやカメムシ、ゴキブリの害をほぼ完全にくい止めることができた。米ぬかと炭粉を別々に散布しても有効と思われる。
請求項2は、米ぬか80〜99%、炭粉1〜20%であることを特徴とする請求項1に記載の害虫の忌避方法である。請求項1のように、米ぬかと炭粉との混合資材を散布する場合、米ぬかと炭粉との混合資材の配合割合は、米ぬか95%以下、炭粉5%以上が最適であるが、米ぬか80〜99%、炭粉1〜20%程度でも有効である。炭粉1%未満では、カメムシやゴキブリの忌避効果が極度に低下するし、炭粉20%以上ではコスト高となる。また、米ぬか80%未満では、炭粉が20%以上となってコスト高となり、米ぬか99%以上では、炭粉が1%未満となって、カメムシやゴキブリの忌避効果が極度に低下する。
請求項3は、請求項1記載の害虫忌避方法を実施する資材の発明であって、少なくとも米ぬかと炭粉とを混合してなることを特徴とする害虫の忌避資材である。このように、米ぬかと炭粉とを混合してなる粉末を散布することで、モンシロチョウやカメムシ、ゴキブリの害をほぼ完全にくい止めることができた。
請求項4は、米ぬか80〜99%、炭粉1〜20%であることを特徴とする請求項3に記載の害虫の忌避資材である。このように、米ぬかと炭粉とを混合した害虫忌避資材の場合、米ぬかと炭粉との混合資材の配合割合は、米ぬか95%以下、炭粉5%以上が最適であるが、米ぬか80〜99%、炭粉1〜20%程度でも有効である。請求項2の場合と同様に、炭粉1%未満では、カメムシやゴキブリの忌避効果が極度に低下するし、炭粉20%以上ではコスト高となる。また、米ぬか80%未満では、炭粉が20%以上となってコスト高となり、米ぬか99%以上では、炭粉が1%未満となって、カメムシやゴキブリの忌避効果が極度に低下する。
請求項1のように、米ぬかと炭粉との混合資材を散布することで、モンシロチョウやカメムシ、ゴキブリの害をほぼ完全にくい止めることができた。米ぬかと炭粉を別々に散布しても有効と思われる。
請求項2のように、米ぬかと炭粉との混合資材を散布する場合、米ぬかと炭粉との混合資材の配合割合は、米ぬか95%以下、炭粉5%以上が最適であるが、米ぬか80〜99%、炭粉1〜20%程度でも有効である。炭粉1%未満では、カメムシやゴキブリの忌避効果が極度に低下するし、炭粉20%以上ではコスト高となる。また、米ぬか80%未満では、炭粉が20%以上となってコスト高となり、米ぬか99%以上では、炭粉が1%未満となって、カメムシやゴキブリの忌避効果が極度に低下する。
請求項3のように、米ぬかと炭粉とを混合してなる粉末を散布することで、モンシロチョウやカメムシ、ゴキブリの害をほぼ完全にくい止めることができた。
請求項4のように、米ぬかと炭粉とを混合した害虫忌避資材の場合、米ぬかと炭粉との混合資材の配合割合は、米ぬか95%以下、炭粉5%以上が最適であるが、米ぬか80〜99%、炭粉1〜20%程度でも有効である。請求項2の場合と同様に、炭粉1%未満では、カメムシやゴキブリの忌避効果が極度に低下するし、炭粉20%以上ではコスト高となる。また、米ぬか80%未満では、炭粉が20%以上となってコスト高となり、米ぬか99%以上では、炭粉が1%未満となって、カメムシやゴキブリの忌避効果が極度に低下する。
次に本発明による米ぬか・炭粉混合資材によるキャベツの無農薬栽培方法が実際上どのように具体化されるか実施形態を説明する。まず、害虫対策の面から見た栽培方法の違いを説明する。図1は、沖縄県農林水産部キャベツ栽培指導要項を示すタイムチャートで、農薬散布は、定植二週間前に1回、定植後は収穫までに、最も栽培しやすい時期でもあと4回、それぞれ散布する。
ところが、温度上昇等で栽培環境が厳しくなるにつれて、栽培期間も長くなるので、農薬散布回数も多くなり、ほぼ2週間に1回の割合で農薬散布する。したがって、収穫まで90日を要する場合は、さらに3回程度は農薬散布することになる。
これに対し、図2は、本発明の方法によって、米ぬか炭粉混合資材による無農薬栽培法を示すタイムチャートで、農薬散布は一切行なわない。
本発明の無農薬栽培方法に使用するのは、米ぬか95%未満、炭粉5%以上の混合資材であり、補助的に前記のEM活性液を併用する。
例えば、定植から収穫直前まで、EM活性液と米ぬか炭粉混合資材を1週間に1回の割合で散布する。同時に散布するのではなく、週の前半にEM活性液を、後半に米ぬか炭粉混合資材を散布するのがよい。栽培途中に雨天がある時は、適宜、日をずらして散布すればよい。米ぬか炭粉混合資材もEM活性液も人畜に全く無害であるから、収穫直前まで使用して差し支えない。
米ぬか・炭粉混合資材は、風によって飛散する恐れがある場合は、周囲に対する配慮は当然必要である。又、米ぬかは、サトイモ科の葉に付着すると葉が黄変し、枯れる恐れがあるので、近くにサトイモ科の作物がある時は注意を要する。
ところで、米ぬかを単独で連続使用した場合は、土壌の悪化という弊害が発生する。土壌は、その成り立つ母岩によって多種の土壌に分類されるが、それらは、粒径組成にそれぞれ特徴があり、粗砂、細砂、微砂、粘土、礫の含量がそれぞれ異なる。当然ながら、土壌構造の固相、液相、気相にも大きな違いが出てくる。
ちなみに、沖縄における主な土壌の物理的性質を表1にすると以下の通りである。
Figure 2009089642
表1からも明らかなように、ジャーガルは液相が約42%と極端に多く、気相は約8%と極端に少ない。
今回の試験は、すべてジャーガル地帯で実施されたものであり、米ぬかの連続使用とジャーガル土壌の悪化との相関関係が表1を参照すれば明らかである。
すなわち、米ぬかのみを連続使用すると、水分吸収により土壌の粘度が増して、液相部分がますます多くなり、ショベルでの耕運も非常に困難となる。又、乾燥状態では土壌がカチカチに固まって、ヒビ割れが生じ、作物の根を切断して生育に非常な不具合が発生する。このような悪影響を受けるので、前述の液相が極端に多く保水力の強いジャーガル土壌で米ぬかのみを連続使用すれば、ますます液相部分が増加して土壌の粘度も一層増加し、反動で、極端に少ない気相部分がますます少なくなり、土壌中でのガスの発生、空気の供給不足など、作物の根の生育に弊害をもたらす等、害が出てくるのは当然の帰結と言える。
上記の諸々の問題、すなわちモンシロチョウやカメムシ、ゴキブリによる被害も、又、米ぬかの連続使用による土壌悪化の弊害なども、米ぬかに炭粉を5%以上混入した資材を散布することにより、すべての問題が効果的に解消された。
モンシロチョウの発生をくい止め、カメムシ、ゴキブリも完全に撃退し、又、土壌は以前にも増してフワフワの状態となり、降雨後に見られた土壌表面にできる被膜状態もかなり改善され、当然土壌中に空気が浸透しやすい状態になるので、作物の根の生育環境は良くなった。このことは、炭粉混入が大きく作用した結果である。炭粉混入の割合は、多くても実害が出ることはあり得ず、炭粉の遠赤外線効果や水分の浄化作用を考えれば、炭粉混入割合は多い程良い。ただし、コスト高になるので、最低混入割合は1%である。1%未満では、炭粉混入の効果が殆ど期待できない。
なお、米ぬか・炭粉混合資材の散布は、ミスト機を使って、全面にむらなく散布することが、害虫防除と土壌保全の面からも肝要である。
今回の試験はジャーガル地帯で実施したが、仮に条件の良い他の土壌(国頭マージ、島尻マージ、カニク土壌、本土の火山灰土壌など)で実施していたら、米ぬかの多用によって、土壌の粘度が増して、作物の生育に悪影響を及ぼすことがあり、又、炭粉を混入することによって、土壌悪化の問題も解消するということに気づかずにいたであろう。まさにこれは、テストしたのが重粘土壌のジャーガル地帯であったことが幸運の巡り合わせであり、誠に幸いであった。
又、他府県に分布する火山灰土壌の気相割合は、ジャーガル土壌よりはるかに高い数値を示すので、米ぬかの多量散布による弊害は、ジャーガル土壌に散布する適量を維持すれば、その害は心配するほどでない。したがって、本技術は沖縄のみならず日本全土に適用されると考えてよい。
一方、カメムシ、ゴキブリに対する炭粉の効果は、沖縄本島南部に見られる品種を用いて確認した。我が国に生息するカメムシ、ゴキブリの品種はかなり多く、両昆虫とも多くの系統があるため、炭粉の効果を全ての品種に確認したわけではない。おおむね、他の品種にも効果はあると考えられる。なお、炭粉は、木炭くずを利用してもよいが、砂糖キビの絞りかすであるバガスを炭化することで、容易に量産できる。
また、本発明の米ぬかと炭粉との混合資材による害虫の忌避作用を利用した無農薬栽培方法は、キャベツに限られず、他の各種野菜や果樹、水稲、陸稲などの無農薬栽培にも適用できるものと思われので、今後、更なる試験研究を続行する予定である。
以上のように、米ぬかと炭粉との混合資材を散布することによって、重要な栄養源であるキャベツの無農薬栽培が可能となり、収穫量も、従来の農薬を用いた栽培に劣らない。したがって、本発明の無農薬栽培によって、消費者の食の安全が確保され、安心した食生活が可能になる。
沖縄県農林水産部キャベツ栽培指導要項を示すタイムチャートである。 本発明の米ぬか炭粉混合資材による無農薬栽培法を示すタイムチャートである。

Claims (4)

  1. 少なくとも米ぬかと炭粉との混合資材を散布するか又は少なくとも米ぬかと炭粉とを別々に散布することを特徴とする害虫の忌避方法。
  2. 米ぬか80〜99%、炭粉1〜20%であることを特徴とする請求項1に記載の害虫の忌避方法。
  3. 少なくとも米ぬかと炭粉とを混合してなることを特徴とする害虫の忌避資材。
  4. 米ぬか80〜99%、炭粉1〜20%であることを特徴とする請求項3に記載の害虫の忌避資材。
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