JP2009089510A - 交流フィルタおよびその制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低次分路の進相コンデンサが投入されていない状態で、高次分路の進相コンデンサが投入されることがなく、低次の高調波電流の増大、過進相による機器等の寿命の低下、および皮相電力増加による電力損失の増加を抑制できる交流フィルタを提供する。
【解決手段】本発明に係る交流フィルタ1は、直列に接続されたスイッチS5、7、11、リアクトルL5、7、11および進相コンデンサC5、7、11からなる複数の分路が電力系統の負荷Zに対して並列に接続され、遅れ無効電力の多寡に応じてスイッチS5、7、11が開閉されるとともに、進相コンデンサC5、7、11が投入または遮断されるものであって、進相コンデンサC5、7、11の投入が、低次の高調波電流に対応したものから順に行われ、進相コンデンサC5、7、11の遮断が、高次の高調波電流に対応したものから順に行われることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】本発明に係る交流フィルタ1は、直列に接続されたスイッチS5、7、11、リアクトルL5、7、11および進相コンデンサC5、7、11からなる複数の分路が電力系統の負荷Zに対して並列に接続され、遅れ無効電力の多寡に応じてスイッチS5、7、11が開閉されるとともに、進相コンデンサC5、7、11が投入または遮断されるものであって、進相コンデンサC5、7、11の投入が、低次の高調波電流に対応したものから順に行われ、進相コンデンサC5、7、11の遮断が、高次の高調波電流に対応したものから順に行われることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、インバータ等の負荷から発生する高調波電流を吸収し、当該電流が外部の電力系統に流出するのを防ぐ交流フィルタに関する。
近年、インバータ等の各種電力調整装置が、家電機器、OA機器および産業設備等の様々な分野で利用されている。インバータ等の各種電力調整装置によれば、これらの機器、設備の省エネルギー化を図ることができる。
その一方で、インバータ等の各種電力調整装置は、その動作時に多量の高調波電流を発生する。この高調波電流が外部の電力系統に流出すると、電圧ひずみにより進相コンデンサが過負荷となり、発熱する等の様々な高調波障害が発生する。
その一方で、インバータ等の各種電力調整装置は、その動作時に多量の高調波電流を発生する。この高調波電流が外部の電力系統に流出すると、電圧ひずみにより進相コンデンサが過負荷となり、発熱する等の様々な高調波障害が発生する。
そこで、従来から、上記高調波電流を抑制するべく、様々な交流フィルタが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
従来の基本的な交流フィルタを図5に示す。
交流フィルタ1は、直列に接続された5次リアクトルL5および5次進相コンデンサC5からなる5次分路、7次リアクトルL7および7次進相コンデンサC7からなる7次分路、11次リアクトルL11および11次進相コンデンサC11からなる11次分路を備えている。
各分路に備えられる進相コンデンサC5、C7、C11の静電容量は、前記交流フィルタ1が適用される電力系統の想定される遅れ無効電力に応じて選定される。
また、各分路に備えられるリアクトルL5、L7、L11のリアクタンスは、それぞれ、当該分路によって吸収されるべき次数の高調波に対して分路全体として低インピーダンスとなるように選定される。
交流フィルタ1は、直列に接続された5次リアクトルL5および5次進相コンデンサC5からなる5次分路、7次リアクトルL7および7次進相コンデンサC7からなる7次分路、11次リアクトルL11および11次進相コンデンサC11からなる11次分路を備えている。
各分路に備えられる進相コンデンサC5、C7、C11の静電容量は、前記交流フィルタ1が適用される電力系統の想定される遅れ無効電力に応じて選定される。
また、各分路に備えられるリアクトルL5、L7、L11のリアクタンスは、それぞれ、当該分路によって吸収されるべき次数の高調波に対して分路全体として低インピーダンスとなるように選定される。
交流フィルタ1において、各分路は並列に接続され、その接続点は、配線用遮断器からなるスイッチSを介して交流電源Eから負荷Zへの給電ラインに接続されている。スイッチSが閉じられると、各分路の進相コンデンサが一斉に投入される。また、スイッチSが開かれると、各分路の進相コンデンサは一斉に遮断される。
図6は、他の従来の交流フィルタである。
図6に示す従来の交流フィルタ1は、スイッチSに加えて、各分路に電磁接触器からなるスイッチS5、S7、S11を備えており、分路毎に進相コンデンサの投入/遮断を選択可能になっている。
各分路の進相コンデンサの投入/遮断の制御は、計器用変流器CT1およびCT2によって検知される電流に基づき、制御部2によって行われる。
図6に示す従来の交流フィルタ1は、スイッチSに加えて、各分路に電磁接触器からなるスイッチS5、S7、S11を備えており、分路毎に進相コンデンサの投入/遮断を選択可能になっている。
各分路の進相コンデンサの投入/遮断の制御は、計器用変流器CT1およびCT2によって検知される電流に基づき、制御部2によって行われる。
しかしながら、図5に示す交流フィルタは、全ての進相コンデンサを一斉に投入することしかできないので、遅れ無効電力がそれほど大きくならない負荷条件では、進み力率である過進相となっていた。過進相になると、電圧上昇により、負荷Zとして接続される機器等の寿命の低下や、皮相電力増加による電力損失の増加等の問題が発生する。
一方、図6に示す交流フィルタによれば、分路毎に進相コンデンサの投入/遮断が選択可能になっているので、上記の問題は緩和される。
しかしながら、この交流フィルタ1には、低次分路の進相コンデンサ(例えば、5次進相コンデンサC5)が遮断された状態で、高次分路の進相コンデンサ(例えば、11次進相コンデンサC11)を投入すると、低次(5次)の高調波電流がむしろ増大してしまうという問題があった。
しかしながら、この交流フィルタ1には、低次分路の進相コンデンサ(例えば、5次進相コンデンサC5)が遮断された状態で、高次分路の進相コンデンサ(例えば、11次進相コンデンサC11)を投入すると、低次(5次)の高調波電流がむしろ増大してしまうという問題があった。
また、進み無効電力を消費する分路リアクトルを適用することにより、過進相を防ぐ方法もある。しかしながら、一般的に、分路リアクトルは損失が大きく、しかも高価なので、その適用可能範囲は非常に限られていた。
そこで、本発明は、分路毎に進相コンデンサの投入/遮断を選択可能な交流フィルタにおいて、低次分路の進相コンデンサが投入されていない状態で、高次分路の進相コンデンサが投入されることがない交流フィルタおよびその制御方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る交流フィルタは、
直列に接続されたスイッチ、リアクトルおよび進相コンデンサからなる複数の分路が電力系統の負荷に対して並列に接続され、検出された電力系統の遅れ無効電力の多寡に応じて前記スイッチが開閉されるとともに、前記進相コンデンサが投入または遮断される交流フィルタであって、
前記複数の分路に備えられた前記リアクトルのリアクタンスは、それぞれ、該分路が吸収するべき特定次数の高調波電流に対して該分路全体として低インピーダンスとなるように選定され、これにより、該分路は、前記遅れ無効電力に伴って発生する特定次数の前記高調波電流を吸収し得るように構成され、前記投入は、低次の前記高調波電流に対応した前記進相コンデンサから順に行われ、前記遮断は、高次の前記高調波電流に対応した前記進相コンデンサから順に行われることを特徴とする。
直列に接続されたスイッチ、リアクトルおよび進相コンデンサからなる複数の分路が電力系統の負荷に対して並列に接続され、検出された電力系統の遅れ無効電力の多寡に応じて前記スイッチが開閉されるとともに、前記進相コンデンサが投入または遮断される交流フィルタであって、
前記複数の分路に備えられた前記リアクトルのリアクタンスは、それぞれ、該分路が吸収するべき特定次数の高調波電流に対して該分路全体として低インピーダンスとなるように選定され、これにより、該分路は、前記遅れ無効電力に伴って発生する特定次数の前記高調波電流を吸収し得るように構成され、前記投入は、低次の前記高調波電流に対応した前記進相コンデンサから順に行われ、前記遮断は、高次の前記高調波電流に対応した前記進相コンデンサから順に行われることを特徴とする。
前記複数の分路は、少なくとも、5次の前記高調波電流に対応した分路と、7次の前記高調波電流に対応した分路と、11次の前記高調波電流に対応した分路とを備えていることが好ましい。
また、本発明に係る交流フィルタの制御方法は、
直列に接続されたスイッチ、リアクトルおよび進相コンデンサからなる、特定次数の高調波電流を吸収し得る複数の分路が電力系統の負荷に対して並列に接続され、検出された電力系統の遅れ無効電力の多寡に応じて前記スイッチが開閉されるとともに、前記進相コンデンサが投入または遮断される交流フィルタの制御方法であって、
前記遅れ無効電力が増加した場合に、前記スイッチの開閉状態が記憶されている記憶部を参照して投入する前記進相コンデンサの候補を決定し、該進相コンデンサが吸収し得る前記高調波電流よりも低次の前記高調波電流を吸収し得る前記進相コンデンサが投入されていることを確認した後に、該進相コンデンサを投入し、
前記遅れ無効電力が減少した場合に、前記記憶部を参照して遮断する前記進相コンデンサの候補を決定し、該進相コンデンサが吸収し得る前記高調波電流よりも高次の前記高調波電流を吸収し得る前記進相コンデンサが投入されていないことを確認した後に、該進相コンデンサを遮断することを特徴とする。
直列に接続されたスイッチ、リアクトルおよび進相コンデンサからなる、特定次数の高調波電流を吸収し得る複数の分路が電力系統の負荷に対して並列に接続され、検出された電力系統の遅れ無効電力の多寡に応じて前記スイッチが開閉されるとともに、前記進相コンデンサが投入または遮断される交流フィルタの制御方法であって、
前記遅れ無効電力が増加した場合に、前記スイッチの開閉状態が記憶されている記憶部を参照して投入する前記進相コンデンサの候補を決定し、該進相コンデンサが吸収し得る前記高調波電流よりも低次の前記高調波電流を吸収し得る前記進相コンデンサが投入されていることを確認した後に、該進相コンデンサを投入し、
前記遅れ無効電力が減少した場合に、前記記憶部を参照して遮断する前記進相コンデンサの候補を決定し、該進相コンデンサが吸収し得る前記高調波電流よりも高次の前記高調波電流を吸収し得る前記進相コンデンサが投入されていないことを確認した後に、該進相コンデンサを遮断することを特徴とする。
本発明に係る交流フィルタでは、低次分路の進相コンデンサが優先的に投入され、高次分路の進相コンデンサが優先的に遮断されるように構成されている。
したがって、本発明に係る交流フィルタによれば、低次の高調波電流の増大に伴う過進相によって生じる、負荷として接続される機器等の寿命の低下、および皮相電力増加による電力損失の増加を安価に抑制することができる交流フィルタおよびその制御方法を提供することができる。
したがって、本発明に係る交流フィルタによれば、低次の高調波電流の増大に伴う過進相によって生じる、負荷として接続される機器等の寿命の低下、および皮相電力増加による電力損失の増加を安価に抑制することができる交流フィルタおよびその制御方法を提供することができる。
以下、添付図面を参照して、本発明に係る交流フィルタの好ましい実施形態について説明する。
図1に本発明に係る交流フィルタを示す。
交流フィルタ1は、直列に接続されたリアクトルおよび進相コンデンサからなる複数の分路を備えている。各分路は、それぞれ、対応する次数の高調波に対して低インピーダンスとなり、当該次数の高調波電流を吸収することができる。
交流フィルタ1は、一例として、5次リアクトルL5および5次進相コンデンサC5からなる5次分路、7次リアクトルL7および7次進相コンデンサC7からなる7次分路、11次リアクトルL11および11次進相コンデンサC11からなる11次分路を備え、5次、7次および11次の高調波電流を吸収することができる。
交流フィルタ1は、直列に接続されたリアクトルおよび進相コンデンサからなる複数の分路を備えている。各分路は、それぞれ、対応する次数の高調波に対して低インピーダンスとなり、当該次数の高調波電流を吸収することができる。
交流フィルタ1は、一例として、5次リアクトルL5および5次進相コンデンサC5からなる5次分路、7次リアクトルL7および7次進相コンデンサC7からなる7次分路、11次リアクトルL11および11次進相コンデンサC11からなる11次分路を備え、5次、7次および11次の高調波電流を吸収することができる。
各分路は並列に接続され、その接続点は、配線用遮断器からなるスイッチSを介して交流電源Eから負荷Zへの給電ラインに接続されている。
スイッチSが閉じられると、各分路の進相コンデンサが一斉に投入される。また、スイッチSが開かれると、各分路の進相コンデンサは一斉に遮断される。
スイッチSが閉じられると、各分路の進相コンデンサが一斉に投入される。また、スイッチSが開かれると、各分路の進相コンデンサは一斉に遮断される。
本発明に係る交流フィルタ1は、スイッチSに加えて、各分路に電磁接触器からなるスイッチS5、S7、S11を備えており、分路毎に進相コンデンサの投入/遮断を選択可能にしている。
各分路の進相コンデンサの投入/遮断の制御は、計器用変流器CTによって検知される電流、および計器用変圧器PTによって検知される電圧に基づき、制御部2によって行われる。
各分路の進相コンデンサの投入/遮断の制御は、計器用変流器CTによって検知される電流、および計器用変圧器PTによって検知される電圧に基づき、制御部2によって行われる。
制御部2は、無効電力演算部3、コンデンサ投入遮断決定部4、駆動部5および記憶部6からなる。無効電力演算部3は、検知された電流および電圧に基づいて遅れ無効電力を演算し、その演算結果をコンデンサ投入遮断決定部4に出力する。
遅れ無効電力が所定値を超えると、コンデンサ投入遮断決定部4から駆動部5にコンデンサ投入信号が出力され、駆動部5は、その信号に基づいて低次分路のものから順にスイッチS5、S7、S11を閉じ、進相コンデンサC5、C7、C11を投入する。
一方、遅れ無効電力が所定値を下回ると、コンデンサ遮断信号に基づいて高次分路のものから順にスイッチS11、S7、S5が開かれ、進相コンデンサC11、C7、C5は遮断される。スイッチS11、S7、S5の最新の開閉状態は、記憶部6に記憶される。
一方、遅れ無効電力が所定値を下回ると、コンデンサ遮断信号に基づいて高次分路のものから順にスイッチS11、S7、S5が開かれ、進相コンデンサC11、C7、C5は遮断される。スイッチS11、S7、S5の最新の開閉状態は、記憶部6に記憶される。
続いて、上記した制御部2による進相コンデンサの投入/遮断制御を、図2に示すある1日の交流フィルタの動作の具体例と、図3および図4に示すフローチャートを参照して説明する。
なお、図3および図4のフローチャートは、交流フィルタの一連の動作のうち、遅れ無効電力の増減が検出された場合の動作のみを抜き出したものである。
なお、図3および図4のフローチャートは、交流フィルタの一連の動作のうち、遅れ無効電力の増減が検出された場合の動作のみを抜き出したものである。
図2は、上から、(1)無効電力演算部3の演算によって得られた遅れ無効電力のグラフ、(2)本発明に係る交流フィルタによる高調波対策を行う前の高調波電流のグラフ、(3)投入された進相コンデンサの全容量のグラフ、(4)高調波対策を行った後の高調波電流のグラフ、および(5)進相コンデンサの投入状況を示す表である。
ここで、(2)および(4)に示す高調波電流は、全次数の高調波電流の和である。
また、(5)中の記載“×”は、当該進相コンデンサが遮断されていることを示し、“○”は投入されていることを示す。
また、図2の(1)に示す遅れ無効電力は、説明の便宜上、ステップ状に変化するものとしているが、実際の遅れ無効電力は連続的に変化する。
ここで、(2)および(4)に示す高調波電流は、全次数の高調波電流の和である。
また、(5)中の記載“×”は、当該進相コンデンサが遮断されていることを示し、“○”は投入されていることを示す。
また、図2の(1)に示す遅れ無効電力は、説明の便宜上、ステップ状に変化するものとしているが、実際の遅れ無効電力は連続的に変化する。
(5)の表に示すように、図2の具体例において、5次進相コンデンサC5、7次進相コンデンサC7、11次進相コンデンサC11は、それぞれ、200、100、50[kvar]である。
図2の時刻7時において、(1)に示す遅れ無効電力が50[kvar]を超えると(図3のステップS1−1)、記憶部6が参照され(ステップS1−2)、投入されていない進相コンデンサのうち、50[kvar]の11次進相コンデンサC11が投入候補として挙がる(ステップS1−3)。
しかしながら、この時点において、より低次の進相コンデンサC5、C7が投入されていないので(ステップS1−4の“No”)、結局、11次進相コンデンサC11は投入されない(ステップS1−7の“No”)。
これにより、11次進相コンデンサC11が先に投入されることによる、5次および7次の高調波電流の増大を防止することができる。
しかしながら、この時点において、より低次の進相コンデンサC5、C7が投入されていないので(ステップS1−4の“No”)、結局、11次進相コンデンサC11は投入されない(ステップS1−7の“No”)。
これにより、11次進相コンデンサC11が先に投入されることによる、5次および7次の高調波電流の増大を防止することができる。
図2の時刻8時において、遅れ無効電力が200[kvar]となると、投入されていない進相コンデンサC5、C7、C11の中から、最も適当な静電容量を有する5次進相コンデンサC5(200[kvar])が投入候補として決定される(ステップS1−3)。
5次進相コンデンサC5よりも低次の進相コンデンサは存在しないので、ステップS1−4では“Yes”の判定がなされる。そして、コンデンサ投入遮断決定部4から駆動部5に出力されるコンデンサ投入信号に基づき、駆動部5がスイッチS5を閉じ、5次進相コンデンサC5が投入される(ステップS1−5)。そして、スイッチS5が閉じられた旨が記憶部6に記憶される(ステップS1−6)。
5次進相コンデンサC5よりも低次の進相コンデンサは存在しないので、ステップS1−4では“Yes”の判定がなされる。そして、コンデンサ投入遮断決定部4から駆動部5に出力されるコンデンサ投入信号に基づき、駆動部5がスイッチS5を閉じ、5次進相コンデンサC5が投入される(ステップS1−5)。そして、スイッチS5が閉じられた旨が記憶部6に記憶される(ステップS1−6)。
200[kvar]の遅れ無効電力に対して、200[kvar]の5次進相コンデンサC5が投入されたので、(4)に示す高調波対策後の高調波電流は、ほぼ“0”となる。
図2の時刻9時に、遅れ無効電力が300[kvar]に増加すると、100[kvar]の7次進相コンデンサC7が投入候補に挙がる(ステップS1−3)。
コンデンサ投入遮断決定部4は、記憶部6を参照して、より低次のスイッチS5が閉じられていることを確認する(ステップS1−4の“Yes”)。そして、コンデンサ投入遮断決定部4から駆動部5にコンデンサ投入信号が出力され、駆動部5がスイッチS7を閉じ、7次進相コンデンサC7を新たに投入する(ステップS1−5)。
既に、5次進相コンデンサC5が投入されているので、(3)に示す進相コンデンサの全容量は、300[kvar]となる。
コンデンサ投入遮断決定部4は、記憶部6を参照して、より低次のスイッチS5が閉じられていることを確認する(ステップS1−4の“Yes”)。そして、コンデンサ投入遮断決定部4から駆動部5にコンデンサ投入信号が出力され、駆動部5がスイッチS7を閉じ、7次進相コンデンサC7を新たに投入する(ステップS1−5)。
既に、5次進相コンデンサC5が投入されているので、(3)に示す進相コンデンサの全容量は、300[kvar]となる。
図2の時刻10時に、遅れ無効電力が400[kvar]に増加すると、50[kvar]の11次進相コンデンサC11が投入候補に挙がる(ステップS1−3)。
コンデンサ投入遮断決定部4は、記憶部6を参照して、より低次のスイッチS5およびS7が閉じられていることを確認する(ステップS1−4の“Yes”)。そして、コンデンサ投入遮断決定部4から駆動部5にコンデンサ投入信号が出力され、駆動部5がスイッチS11を閉じ、11次進相コンデンサC11を新たに投入し(ステップS1−5)、スイッチS11が閉じられた旨が記憶部6に記憶される(ステップS1−6)。
既に、5次進相コンデンサC5、および7次進相コンデンサC7が投入されているので、(3)に示す進相コンデンサの全容量は、350[kvar]となる。
コンデンサ投入遮断決定部4は、記憶部6を参照して、より低次のスイッチS5およびS7が閉じられていることを確認する(ステップS1−4の“Yes”)。そして、コンデンサ投入遮断決定部4から駆動部5にコンデンサ投入信号が出力され、駆動部5がスイッチS11を閉じ、11次進相コンデンサC11を新たに投入し(ステップS1−5)、スイッチS11が閉じられた旨が記憶部6に記憶される(ステップS1−6)。
既に、5次進相コンデンサC5、および7次進相コンデンサC7が投入されているので、(3)に示す進相コンデンサの全容量は、350[kvar]となる。
その後、コンデンサ投入遮断決定部4は、記憶部6を参照して、全ての進相コンデンサが投入されており、さらに候補となる進相コンデンサが存在しないことを確認し(ステップS1−7の“No”)、遅れ無効電力が増加したことに伴う一連のフローが終了する(END)。
図2の時刻11時における遅れ無効電力は350[kvar]なので、進相コンデンサC5、C7、C11は全て投入されている。その後、時刻12時に、遅れ無効電力が200[kvar]に減少すると、7次進相コンデンサC7および11次進相コンデンサC11が遮断される。
このとき、コンデンサ投入遮断決定部4は、記憶部6に記憶されているスイッチS5、S7、S11の最新の開閉状態を参照して(図4のステップS2−2)、投入されている進相コンデンサのうち、より高次の進相コンデンサを優先的に遮断する(ステップS2−3〜7)。すなわち、まず、11次進相コンデンサC11が遮断され、その後、7次進相コンデンサC7が遮断される。
これにより、高次分路の進相コンデンサ(11次進相コンデンサC11)のみが投入された状態となるのを防止し、低次の高調波電流が増大するのを防止することができる。
このとき、コンデンサ投入遮断決定部4は、記憶部6に記憶されているスイッチS5、S7、S11の最新の開閉状態を参照して(図4のステップS2−2)、投入されている進相コンデンサのうち、より高次の進相コンデンサを優先的に遮断する(ステップS2−3〜7)。すなわち、まず、11次進相コンデンサC11が遮断され、その後、7次進相コンデンサC7が遮断される。
これにより、高次分路の進相コンデンサ(11次進相コンデンサC11)のみが投入された状態となるのを防止し、低次の高調波電流が増大するのを防止することができる。
図2の時刻13時における遅れ無効電力の変化においても、投入しようとしている進相コンデンサのうち、より低次の進相コンデンサから投入される(図3のステップS1−3〜7)。すなわち、既に投入されている5次進相コンデンサC5に加えて、まず7次進相コンデンサC7が投入され、続いて、11次進相コンデンサC11が投入される。
以上のように、本発明に係る交流フィルタでは、低次分路の進相コンデンサが優先的に投入され、高次分路の進相コンデンサが優先的に遮断されるので、高次分路の進相コンデンサのみが投入されることによる、低次の高調波電流の増大を防ぐことができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではない。
例えば、図1に示す交流フィルタは、5次、7次、および11次分路を備えているが、抑制したい高調波電流の次数に応じて、任意に変更することができる。
例えば、これらに加えて、13次、17次・・・等のさらに高次の分路を備えてもよいし、5次、7次、11次分路のいずれかを省略してもよい。また、各分路の進相コンデンサの容量は一例であって、他の容量に変更することもできる。
例えば、これらに加えて、13次、17次・・・等のさらに高次の分路を備えてもよいし、5次、7次、11次分路のいずれかを省略してもよい。また、各分路の進相コンデンサの容量は一例であって、他の容量に変更することもできる。
1 交流フィルタ
2 制御部
3 無効電力演算部
4 コンデンサ投入遮断決定部
5 駆動部
6 記憶部
E 交流電源
CT、CT1、CT2 計器用変流器
C5、C7、C11 進相コンデンサ
L5、L7、L11 リアクトル
S、S5、S7、C11 スイッチ
PT 計器用変圧器
Z 負荷
2 制御部
3 無効電力演算部
4 コンデンサ投入遮断決定部
5 駆動部
6 記憶部
E 交流電源
CT、CT1、CT2 計器用変流器
C5、C7、C11 進相コンデンサ
L5、L7、L11 リアクトル
S、S5、S7、C11 スイッチ
PT 計器用変圧器
Z 負荷
Claims (3)
- 直列に接続されたスイッチ、リアクトルおよび進相コンデンサからなる複数の分路が電力系統の負荷に対して並列に接続され、検出された電力系統の遅れ無効電力の多寡に応じて前記スイッチが開閉されるとともに、前記進相コンデンサが投入または遮断される交流フィルタであって、
前記複数の分路に備えられた前記リアクトルのリアクタンスは、それぞれ、当該分路が吸収するべき特定次数の高調波電流に対して当該分路全体として低インピーダンスとなるように選定され、これにより、当該分路は、前記遅れ無効電力に伴って発生する特定次数の前記高調波電流を吸収し得るように構成されており、
前記投入は、低次の前記高調波電流に対応した前記進相コンデンサから順に行われ、前記遮断は、高次の前記高調波電流に対応した前記進相コンデンサから順に行われることを特徴とする交流フィルタ。 - 前記複数の分路は、少なくとも、5次の前記高調波電流に対応した分路と、7次の前記高調波電流に対応した分路と、11次の前記高調波電流に対応した分路とを備えていることを特徴とする請求項1に記載の交流フィルタ。
- 直列に接続されたスイッチ、リアクトルおよび進相コンデンサからなる、特定次数の高調波電流を吸収し得る複数の分路が電力系統の負荷に対して並列に接続され、検出された電力系統の遅れ無効電力の多寡に応じて前記スイッチが開閉されるとともに、前記進相コンデンサが投入または遮断される交流フィルタの制御方法であって、
前記遅れ無効電力が増加した場合に、
前記スイッチの開閉状態が記憶されている記憶部を参照して投入する前記進相コンデンサの候補を決定し、当該進相コンデンサが吸収し得る前記高調波電流よりも低次の前記高調波電流を吸収し得る前記進相コンデンサが投入されていることを確認した後に、当該進相コンデンサを投入し、
前記遅れ無効電力が減少した場合に、
前記記憶部を参照して遮断する前記進相コンデンサの候補を決定し、当該進相コンデンサが吸収し得る前記高調波電流よりも高次の前記高調波電流を吸収し得る前記進相コンデンサが投入されていないことを確認した後に、当該進相コンデンサを遮断する、
ことを特徴とする交流フィルタの制御方法。
Priority Applications (1)
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