JP2009088861A - ホーンアレイアンテナおよび給電路 - Google Patents
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Abstract
【課題】 小型、高性能、低価格なミリ波レーダを実現するためのホーンアレイアンテナおよび給電路を提供する。
【解決手段】 表面6aに向けて開口が次第に拡がるように形成されるとともに、内側表面に導電層1が形成され、表面6aに配列させて設けられた複数のホーンアンテナ2と、裏面6bに設けられるとともに、内側表面から裏面6bの開口周囲にかけて導体層3が形成され、ホーンアンテナ2と給電ポート4とをそれぞれ接続するための複数の導波管用溝5とを有し、樹脂一体成型によって形成された基体6と、基体6の裏面6bに密着するように配されるとともに、給電ポート4となる貫通孔を有し、表面が導電性の背面板7とを備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】 表面6aに向けて開口が次第に拡がるように形成されるとともに、内側表面に導電層1が形成され、表面6aに配列させて設けられた複数のホーンアンテナ2と、裏面6bに設けられるとともに、内側表面から裏面6bの開口周囲にかけて導体層3が形成され、ホーンアンテナ2と給電ポート4とをそれぞれ接続するための複数の導波管用溝5とを有し、樹脂一体成型によって形成された基体6と、基体6の裏面6bに密着するように配されるとともに、給電ポート4となる貫通孔を有し、表面が導電性の背面板7とを備えている。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ミリ波レーダ等の超高周波用アンテナにおいて、アンテナと給電路の一部を一体的に作製することにより装置の小型化、高性能化を実現するホーンアレイアンテナおよび給電路に関するものである。
近年、ミリ波等の超高周波通信用途に関する様々な検討が行なわれている。例えば、自動車の安全性向上のために、衝突の可能性を事前に検知し衝突を回避あるいは衝突被害を軽減するミリ波レーダシステムへの応用が実用化されてきている。このシステムには、アンテナの小型化が可能で、雨、霧、雪等の気象条件下でも使用可能な76GHz帯のミリ波を用いたミリ波レーダが一部で採用されている。
レーダ方式には1本の鋭いビームをメカニカルにスキャンするメカスキャン方式、照射方向が異なる複数の鋭いビームを切り替えるマルチビーム方式、方向が揃った複数のブロードなビームを用いるビームフォーミング方式等がある。特にビームフォーミング方式においては複数のビームによる情報をデジタル化し、数値解析することにより、等価的に鋭いビームを広角度にスキャンし、遠距離から近距離まで広角度範囲の物体を精度良くセンシングできるため、先行車や自転車、歩行者との距離が短い低速一般道路走行時の衝突回避システムにおいては有効な方式である。
このビームフォーミング方式は複数のアンテナを平面上に配列し、各アンテナとミリ波回路を接続する必要がある。そして複数のアンテナを面上に配列していることから配列の外側どうしのアンテナは必然的に間隔が離れてしまう。この場合、各アンテナからミリ波回路への伝送損失を小さくするために、アンテナを配列した領域の中央部にミリ波回路を配置しても、外側のアンテナとミリ波回路との接続距離は比較的長くなって伝送損失が大きくなってしまう。
ミリ波レーダにおいては他のレーダへの干渉を抑えるために送信電力を小さく設定してある。このため、前方の小さなターゲットからの反射波の受信電力は非常に小さく、各アンテナで受信した受信信号を低損失にミリ波回路に伝送することがレーダ性能向上のキーポイントになる。例えば歩行者からの反射波は自動車からの反射波に比べて微弱であるが、アンテナからミリ波回路への伝送損失を小さくできれば、歩行者からの反射波も十分な信号強度でミリ波回路へ伝送でき、高感度なレーダを実現できる。また、歩行者からの微弱な反射波を減衰させずにミリ波回路へ伝送して、ノイズレベルよりも十分に高い信号レベルを維持できれば、ミリ波回路に高価な低雑音のデバイスを用いずともよくなり、レーダの低価格化を実現できる。
一般にミリ波レーダには76GHz帯が用いられるが、高周波信号の伝送損失は周波数が高くなると大きくなる。例えば、伝送路がマイクロストリップ線路の場合、誘電体基板における誘電体損は周波数に比例して大きくなり、導体損は周波数の平方根に比例して大きくなる。このことから、同じマイクロストリップ線路でも、使用する周波数が1GHzから76GHzに高くなると、誘電体損は76倍に、導体損は約8.7倍に大きくなってしまう。
これをミリ波レーダのアンテナとミリ波回路との接続に用いるとレーダ感度の性能を損ない、コストを押し上げる可能性がある。一方、伝送路の1種である導波管は誘電体損の起源となる誘電体に誘電体損がほぼ0の空気を用い、導体損の起源となる導体を電流が集中しない構成にすることにより伝送損失が非常に小さいことが知られている。他方でマイクロストリップ線路に比べると大型であるが、76GHz帯では、たとえばWR10規格導波管を使う場合、断面が2.54mm×1.27mmとなり、レーダ装置に使用しても支障のない大きさに留めることができる。
このような理由でアンテナとミリ波回路との接続用伝送路である給電路に導波管を用いたミリ波レーダが提案されている。アンテナには導波管との接続が容易なホーンアンテナを用い、アンテナと給電路をアルミニウム等の金属部材で構成している。このようにアンテナとミリ波回路を導波管で接続すると、アンテナからミリ波回路への高周波信号の伝送損失を小さくすることができ、ミリ波レーダの高性能化と低価格化に有利になる(例えば、特許文献1参照)。
またアンテナと給電路を金属等の放熱性のよい部材で構成することにより、ミリ波回路で発生する熱を効率よく外部に放散することが可能で、レーダを安定して動作させることができる。一方で、金属部材を用いてアンテナと給電部を一体的に作製すると、複雑な中空構造を精度良く作製する必要があり、製造性に課題が発生し、かつ内部構造の検査も困難になってしまう。そのためにアンテナと給電部とを別体として結合すると、アンテナと給電部との間に結合ずれが生じ、反射損等の伝送損失が生じてしまう可能性がある。
また、中空構造による給電路の長さを縦に並んだアンテナに対して同じ長さにしながら、横の給電路と交差しないようにするために、給電路がアンテナを配列したアンテナ面に対し、垂直方向に伸びる構造となるため、アンテナの奥行き方向の寸法が大きくなってしまい、スペースに限りがある自動車の前面にコンパクトに搭載しにくくなってしまうという問題点があった。
特開2007−192804号公報
特開2006−270999号公報
このような問題を解決するために、導波管による給電路をアンテナ面と平行にする提案もなされている。この提案では1枚の金属板に導波管用溝を形成し、溝の上にもう1枚の金属板を結合して給電路を構成している(例えば、特許文献2参照)。この構成によればミリ波レーダの高性能化を維持しつつ奥行き寸法を小さくすることができ、自動車への搭載の自由度を高めることができる。しかしながら2枚の金属を結合して導波管を構成するため、導波管としての十分な性能を発揮させるために、両方の結合面を完全な平面にする必要があり、そのため精密な加工が必要となってコストを押し上げてしまう懸念があった。
本発明は上記問題点に鑑み案出されたもので、その目的は、小型、高性能、低価格なミリ波レーダを実現するためのホーンアレイアンテナおよび給電路を提供することにある。
本発明のホーンアレイアンテナは、表面に向けて開口が次第に拡がるように形成されるとともに、内側表面に導電層が形成され、前記表面に配列させて設けられた複数のホーンアンテナと、裏面に設けられるとともに、内側表面から前記裏面の開口周囲にかけて導体層が形成され、前記ホーンアンテナと給電ポートとをそれぞれ接続するための複数の導波管用溝とを有し、樹脂一体成型によって形成された基体と、前記基体の裏面に密着するように配されるとともに、給電ポートとなる貫通孔を有し、表面が導電性の背面板とを備えることを特徴とするものである。
本発明のホーンアレイアンテナにおいて、好ましくは、前記背面板に金属を用いたことを特徴とするものである。
本発明のホーンアレイアンテナにおいて、好ましくは、隣り合う前記導波管用溝の導体層同士が接続されないように、前記導体層の間に導体層が形成されない領域を設けたことを特徴とするものである。
本発明のホーンアレイアンテナにおいて、好ましくは、前記導体層が形成されない領域に溝状の空間を設けたことを特徴とするものである。
本発明のホーンアレイアンテナにおいて、好ましくは、前記導波管用溝の開口から開口周囲に向けて表裏間の厚みが薄くなるように前記基体が形成されていることを特徴とするものである。
本発明のホーンアレイアンテナにおいて、好ましくは、前記基体に、使用周波数における誘電正接が0.01以上の樹脂を用いたことを特徴とするものである。
本発明の給電路は、樹脂から成る基体の表面に溝状に形成され、内側表面から開口周囲にかけて導体層が形成された複数の導波管用溝と、前記基体の表面に密着するように配された金属板とを備え、隣り合う導波管用溝の導体層同士が接続されないように、前記導体層の間に導体層が形成されない領域を設けたことを特徴とするものである。
本発明の給電路において、好ましくは、前記導体層が形成されない領域に、溝状に空間を設けたことを特徴とするものである。
本発明の給電路において、好ましくは、前記導波管用溝の開口から開口周囲に向けて表裏間の厚みが薄くなるように前記基体が形成されていることを特徴とするものである。
本発明のホーンアレイアンテナは、表面に向けて開口が次第に拡がるように形成されるとともに、内側表面に導電層が形成され、前記表面に配列させて設けられた複数のホーンアンテナと、裏面に設けられるとともに、内側表面から前記裏面の開口周囲にかけて導体層が形成され、前記ホーンアンテナと給電ポートとをそれぞれ接続するための複数の導波管用溝とを有し、樹脂一体成型によって形成された基体と、基体の裏面に密着するように配されるとともに、給電ポートとなる貫通孔を有し、表面が導電性の背面板とを備えることから、基体裏面の導波管用溝と背面板とで導波管を構成し、この導波管を介して伝送される高周波信号をホーンアンテナにおいて送受することができる。伝送路に導波管を用いるので、アンテナからミリ波回路への高周波信号の伝送損失を小さくすることができ、ミリ波レーダの感度を上げて高性能化することができる。また、樹脂一体成型によって基体表面のホーンアンテナと基体裏面の導波管用溝とを一体的に作製することにより、アンテナと導波管との接続部にずれが発生せず、高周波信号に生じる反射損等の伝送損失を小さくすることができるとともに、小型化、低価格化が可能になる。
本発明のホーンアレイアンテナにおいて、好ましくは、背面板に金属を用いるので、裏面に導波管用溝を形成した樹脂基体と背面板とを結合した際に、背面板のヤング率が樹脂基体のヤング率より大きいので、背面板に樹脂基体を密着させることができ、高周波信号の漏れが小さく伝送損失の小さいホーンアレイアンテナとすることができる。
本発明のホーンアレイアンテナにおいて、好ましくは、隣り合う導波管用溝の導体層同士が接続されないように、導体層の間に導体層が形成されない領域を設けたことから、樹脂基体と背面板との結合面に部分的に隙間が生じた場合でも、隙間から漏れた高周波信号が隣の導波管に混入し難いものとでき、各導波路間のアイソレーションを上げることができる。
本発明のホーンアレイアンテナにおいて、好ましくは、導体層が形成されない領域に溝状の空間を設けたことから、樹脂基体裏面の背面板に接する面積を小さくでき、樹脂基体裏面と背面板との間の密着性をよくすることができる。
本発明のホーンアレイアンテナにおいて、好ましくは、導波管用溝の開口から開口周囲に向けて表裏間の厚みが薄くなるように前記基体が形成されていることから、樹脂基体裏面の背面板に最初に接する面積をさらに小さくでき、樹脂基体裏面と背面板との間の密着性をさらによくすることができる。
本発明のホーンアレイアンテナにおいて、好ましくは、基体に、使用周波数における誘電正接が0.01以上の樹脂を用いたことから、樹脂基体裏面と背面板との間の隙間から漏れた高周波信号が樹脂基体に減衰されて吸収されやすくなるので、各導波路間のアイソレーションを上げることができる。
本発明の給電路は、樹脂から成る基体の表面に溝状に形成され、内側表面から開口周囲にかけて導体層が形成された複数の導波管用溝と、前記基体の表面に密着するように配された金属板とを備え、隣り合う導波管用溝の導体層同士が接続されないように、前記導体層の間に導体層が形成されない領域を設けたことから、金属板に樹脂基体を密着させることができる。また導体層の間に導体層が形成されない領域を設けたことにより、基体と金属板との結合面に部分的に隙間が生じた場合でも、隙間から漏れた高周波信号が隣の導波管に混入し難いものとでき、アイソレーションの高い給電路を実現することができる。
本発明の給電路において、好ましくは、導体層が形成されない領域に、溝状に空間を設けたことから、基体と金属板との接触面積を小さくでき、基体と金属板との間の密着性をよくすることができる。
本発明の給電路において、好ましくは、導波管用溝の開口から開口周囲に向けて表裏間の厚みが薄くなるように前記基体が形成されていることから、基体と金属板の接触面積をさらに小さくでき、基体と金属板との間の密着性をさらによくすることができる。
本発明のホーンアレイアンテナおよび給電路を図面に基づき詳述する。図1は、本発明のホーンアレイアンテナの一例を説明するための概略図であり(a)は表面図、(b)は裏面図(背面板は図示せず)、(c)は背面板裏面図、(d)は(b)に示すA−AA断面図である。
図1において、1は導電層、2はホーンアンテナ、3は導体層、4は給電ポート、5は導波管用溝、6は基体、7は背面板である。なお、図1(b),図2(a),図3(a),図4(a),図5(a),図6(a)および図7(a)において、導体層3を判りやすくするため、導体層3部分に斜めハッチングを付した。したがって、これは断面を示すものではない。
この本発明のホーンアレイアンテナの例では、ホーンアンテナ2が、表面6aに向けて開口が次第に拡がるように基体6の表面6aより内側に形成されるとともに、ホーンアンテナ2の内側表面には導電層1が形成される。そして、ホーンアンテナ6は、基体6の表面6aに複数個が配列させて設けられる。また、基体6の裏面6bには、ホーンアンテナ2と給電ポート4とをそれぞれ接続するための複数の導波管用溝5がホーンアンテナ2の接続口から給電ポート4の直下まで設けられ、導波管用溝5の内側表面から導波管用溝5の開口周囲にかけて導体層3が形成される。このように、基体6には、表面6a側にホーンアンテナ2が、裏面6b側に導波管用溝5が配置されるように樹脂一体成型によって形成される。
また、基体6の裏面6bには、基体6の裏面6bに密着するように背面板7が配される。背面板7は、給電ポート4となる貫通孔を有し、表面が導電性のものである。基体6の裏面6bにこの背面板7が密着するように設置されることにより、導波管用溝5と背面板7とで導波管が構成され、各ホーンアンテナ2から各給電ポート4まで高周波信号を低損失に伝送することができる。
基体6と背面板7とは、密着させるように圧力を加え、ねじ止めや接着材によって固定される。導電層1や導体層3はメッキ等の方法で樹脂から成る基体6の所定の表面に形成する。
背面板7は基体6と同様に樹脂で作製し、メッキ等の手法で表面に導電性を与えて構成すればホーンアレイアンテナのさらなる軽量化を図ることができる。また、背面板7を金属で構成すれば、裏面6bに導波管用溝5を形成した樹脂基体6と背面板7とを固定する際に、背面板7のヤング率が樹脂基体6のヤング率より大きいので、樹脂基体6裏面6bに、例えば、凸出部があっても、凸出部が変形してしまい、樹脂基体6裏面6bと背面板7との間に隙間が生じないように背面板7に基体6を密着させることができる。隙間が生じないように密着させることができるので、隙間から高周波信号の漏洩が生じ難く、導波管の伝送損失を小さくすることができ、ミリ波レーダの感度を上げて高性能化することができる。
また、高周波信号の漏れによる隣り合う導波管への干渉が生じ難く、ミリ波レーダの各アンテナ経路、すなわち導波管等によって構成される高周波信号の給電路間のアイソレーションが上がるので、ミリ波レーダを高性能化することができる。また、背面板7を金属で構成すると、背面板7の給電ポート4に接続されるミリ波回路の熱を背面板7を通してレーダ筐体へ効率よく放散することができ、ミリ波レーダの動作を安定化することができる。
図2は本発明のホーンアレイアンテナの実施形態の一例を説明するための概略図であり(a)は基体6の裏面6bの平面図、(b)は(a)のB−BB断面図である。図2において図1と同じ部位には同じ符号を付けている。
この本発明のホーンアレイアンテナの例では、隣り合う導波管用溝5の導体層3同士がそれぞれ電気的に独立するように設けられ、互いに接続されないように、導体層3の間に導体層が形成されない領域6cが設けられている。領域6cが設けられたことから、樹脂基体6と背面板7との間の結合面に部分的に隙間が生じた場合でも、隙間から漏れた高周波信号が導体層3および背面板7の導電性表面との間を伝わり難くすることができる。また、導体層3が形成されない領域6cでは誘電性の樹脂基体6が露出しており、この樹脂基体6に高周波信号が吸収され、減衰してしまい易い。したがって、隙間から漏れた高周波信号が隣の導波管に混入し難いものとすることができるので、各給電路間のアイソレーションを上げることができる。
このとき、基体6に使用周波数における誘電正接が0.01以上の樹脂を用いると、隙間から漏れた高周波信号は導体層3が形成されない領域6cで露出する樹脂基体6によって効率よく吸収され、減衰されてしまうので、各給電路間のアイソレーションをさらに上げることができる。
誘電正接が0.01以上の樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂,フェノール樹脂,エポキシ樹脂,アクリル樹脂等が挙げられる。ポリ塩化ビニル樹脂は、可塑剤、安定剤、充てん材などの添加剤の加え方により、軟質から硬質まで非常に広い範囲の製品を作ることが出来る点で好適であり、フェノール樹脂は、機械強さ、電気絶縁性、耐熱性などの特性が比較的バランスの取れた良好な性質を示す点で好適である。さらに好ましくは、エポキシ樹脂は、機械強さ、電気絶縁性、耐熱性などの特性がともに非常に良好な点で好適である。
図3は本発明のホーンアレイアンテナの実施形態の一例を説明するための概略図であり(a)は基体6の裏面6bの平面図、(b)は(a)のC−CC断面図である。図3において図1と同じ部位には同じ符号を付けている。
この本発明のホーンアレイアンテナの例では、導体層3が形成されない領域6cに溝状の空間6dを設けてある。これによって、樹脂基体6の裏面6bの背面板7に接する面積を導波管用溝5と空間6dとの間の突出部に限定して小さくでき、接触部分の密着圧力を集中させることができる。したがって、樹脂基体6裏面6bの背面板7との接触部に凸部があっても、凸部が変形し易くなり、樹脂基体6裏面6bと背面板7との間の密着性がよくなる。そして、基体6と背面板7との間に隙間が生じ難くなるので、高周波信号が給電路から漏れ難くなり、給電路の伝送損失を小さくすることができる。これによって、ミリ波レーダの感度を上げて高性能化することができる。
領域6cは、導波管用溝5の内側面から一定の距離を隔てるようにして設ければよく、導波管用溝5の開口と、領域6cの開口との間の突出部の上面には一定幅の導体層3が形成される。なお、給電路の平面視配置の形状によって、導体層3と背面板7とが十分に接触せず、高周波信号が漏れ易い構造になる部分の突出部上面幅を広くし、導体層3と背面板7との電気的接触が取り易くしてもよい。また、図3(b)では溝の深さを強調して深く示しているが、上記目的を達成可能な深さとすれば十分である。
図4は本発明のホーンアレイアンテナの実施形態の一例を説明するための概略図であり(a)は基体6の裏面6b平面図、(b)は(a)のD−DD断面図である。図4において図1と同じ部位には図1と同じ符号を付けている。
この本発明のホーンアレイアンテナの例では、導波管用溝5の開口から開口周囲に向けて基体6の表裏6a6b間の厚みが薄くなるような傾斜面6eが基体6に形成されている。これによって、樹脂基体6裏面6bの背面板7に最初に接する面積を導波管用溝5の開口部に限定してさらに小さくでき、接触部分の密着圧力をさらに集中させることができる。したがって、樹脂基体6裏面6bの背面板7との接触部に凸部があっても、凸部が変形し易くなり、樹脂基体6裏面6bと背面板7との間の密着性がよくなる。そして、基体6と背面板7との間に隙間が生じ難くなるので、高周波信号が給電路からの漏れ難くなり、給電路の伝送損失を小さくすることができる。これによって、ミリ波レーダの感度を上げて高性能化することができる。なお、傾斜面6eの傾き、深さは上記目的を達成できるものとすればよい。
図5は、本発明の給電路の実施形態の一例を説明するための概略図であり(a)は基体6の表面6aの平面図、(b)は金属板8の平面図、(c)は基体6と金属板8とを組み合わせたときのE−EE断面図である。図5において図1と同じ部位には図1と同じ符号を付けている。なお、8は金属板、9はアンテナ接続口である。
この本発明の給電路の例では、樹脂から成る基体6の表面6aに導波管用溝5が溝状に形成されている。導波管用溝5は、その内側表面から開口周囲の基体6表面6aにかけて導体層3が形成されている。そして、この基体6の表面6aに密着するように金属板8が配置されて組み合わされる。隣り合う導波管用溝5の導体層3同士の間には、電気的に独立し、互いに接続されないように、導体層3が形成されない領域6cが設けられる。基体6と金属板8とが密着されるように圧接されて固定されることにより、導波管用溝5と金属板8とで囲まれた領域が導波管として機能する。
また、領域6cが設けられることによって、上記図2の給電路と同様に、隙間から漏れた高周波信号は導体層3が形成されない領域で樹脂基体6に吸収され、アイソレーションの高い給電路を実現することができる。なお、この例では導波管用溝5の端部に給電ポート4およびアンテナ接続口9を設けているが、導波管用溝5を基体6の縁まで延長して基体6の側面に形成された開口を給電ポート4およびアンテナ接続口9または隣の導波管との接続開口としても良い。
図6は、本発明の給電路の実施形態の一例を説明するための概略図であり、(a)は基体6の表面6aの平面図、(b)は(a)のF−FF断面図である。図6において図1と同じ部位には図1と同じ符号を付けている。
この本発明の給電路の例では、導体層3が形成されない領域6cに、溝状に空間6dを設けている。これによって、上記図3の給電路と同様に、基体6と金属板8との接触面積を小さくでき、高周波信号の漏れがなく伝送損失が小さい給電路を実現することができる。
図7は、本発明の給電路の実施形態の一例を説明するための概略図であり、(a)は基体6の表面6aの平面図、(b)は(a)のG−GG断面図である。図7において図1と同じ部位に図1と同じ符号を付けている。
この本発明の給電路の例では、導波管用溝5の開口から開口周囲に向けて基体6の表裏6a6b間の厚みが薄くなるような傾斜面6eが基体6に形成されている。これによって、上記図4の給電路と同様に、基体6と金属板8の接触面積をさらに小さくでき、高周波信号の漏れが少なく伝送損失がさらに小さい給電路を実現することができる。
なお、本発明は、以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更は可能である。例えば、実施の形態においては、各給電路に対して1つのアンテナが接続された例を示したが、給電路を分岐し、複数のアンテナを接続しても良い。このように1つの給電路に対して複数のアンテナを接続すれば、複数のアンテナがあたかも1つのアンテナのように作用し、アンテナ利得やビーム幅等のアンテナ特性を調整することができる。
1:導電層
2:ホーンアンテナ
3:導体層
4:給電ポート
5:導波管用溝
6:基体
7:背面板
8:金属板
9:アンテナ接続口
2:ホーンアンテナ
3:導体層
4:給電ポート
5:導波管用溝
6:基体
7:背面板
8:金属板
9:アンテナ接続口
Claims (9)
- 表面に向けて開口が次第に拡がるように形成されるとともに、内側表面に導電層が形成され、前記表面に配列させて設けられた複数のホーンアンテナと、
裏面に設けられるとともに、内側表面から前記裏面の開口周囲にかけて導体層が形成され、前記ホーンアンテナと給電ポートとをそれぞれ接続するための複数の導波管用溝と
を有し、樹脂一体成型によって形成された基体と、
前記基体の裏面に密着するように配されるとともに、給電ポートとなる貫通孔を有し、表面が導電性の背面板と
を備えることを特徴とするホーンアレイアンテナ。 - 前記背面板に金属を用いたことを特徴とする請求項1記載のホーンアレイアンテナ。
- 隣り合う前記導波管用溝の導体層同士が接続されないように、前記導体層の間に導体層が形成されない領域を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のホーンアレイアンテナ。
- 前記導体層が形成されない領域に溝状の空間を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のホーンアレイアンテナ。
- 前記導波管用溝の開口から開口周囲に向けて表裏間の厚みが薄くなるように前記基体が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のホーンアレイアンテナ。
- 前記基体に、使用周波数における誘電正接が0.01以上の樹脂を用いたことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のホーンアレイアンテナ。
- 樹脂から成る基体の表面に溝状に形成され、内側表面から開口周囲にかけて導体層が形成された複数の導波管用溝と、
前記基体の表面に密着するように配された金属板と
を備え、隣り合う導波管用溝の導体層同士が接続されないように、前記導体層の間に導体層が形成されない領域を設けたことを特徴とする給電路。 - 前記導体層が形成されない領域に、溝状に空間を設けたことを特徴とする請求項7記載の給電路。
- 前記導波管用溝の開口から開口周囲に向けて表裏間の厚みが薄くなるように前記基体が形成されていることを特徴とする請求項7または8記載の給電路。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
RU2589488C2 (ru) * | 2013-08-15 | 2016-07-10 | Нуктех Кампани Лимитед | Решетки волноводно-рупорных излучателей, способы построения решеток волноводно-рупорных излучателей и антенные системы |
WO2020110696A1 (ja) * | 2018-11-27 | 2020-06-04 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | レーダ装置 |
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2007
- 2007-09-28 JP JP2007254578A patent/JP2009088861A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
RU2589488C2 (ru) * | 2013-08-15 | 2016-07-10 | Нуктех Кампани Лимитед | Решетки волноводно-рупорных излучателей, способы построения решеток волноводно-рупорных излучателей и антенные системы |
WO2020110696A1 (ja) * | 2018-11-27 | 2020-06-04 | 日立オートモティブシステムズ株式会社 | レーダ装置 |
JPWO2020110696A1 (ja) * | 2018-11-27 | 2021-09-30 | 日立Astemo株式会社 | レーダ装置 |
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