具体的な実施形態の説明
リン酸カルシウムセメントを保存、調製、および骨の修復部位に投与するためのシステムが提供される。本発明により、液体成分と乾燥成分とを有する二成分リン酸カルシウムセメントを保存するための保存手段が提供される。セメントの2つの成分を、保存手段内に存在する間に混成するための調製手段もまた提供され、装置が手段を備えている。本発明はさらに、調製されたセメントを生理学的部位に投与するための手段を提供する。本装置および方法は,固体リン酸カルシウムミネラルへと硬化可能な流動性材料を生理学的部位に導入することが望ましい様々な適用(歯科および整形外科的適用を含む)において使用できる。本発明をさらに説明する際に、発明の様々な構成要素が、一般的な言葉で最初に述べられ、次に、図面による本発明の好適な実施形態のより詳細な説明が続く。これらの説明の次に、本発明を使用できる様々な適用の説明が続く。
本発明をさらに説明する前に、本発明が、以下に記載される発明の具体的な実施形態に限定されることはないことが理解されるものとする。その理由は、それらの具体的な実施形態のバリエーションが作られ、なお添付の請求項の範囲にあり得るからである。また、使用される用語は、具体的な実施形態を説明する目的のものであり、限定を意図するものではないことが理解されるものとする。代わりに、本発明の範囲は、添付の請求の範囲によって確立される。
本明細書および添付の請求の範囲においては、単数形(「a」、「an」、および「the」)には、文脈が明白にそうでないことを指示していない限りは、複数形の言及も含まれる。別に規定されていない限りは、本明細書中で使用される全ての技術および科学用語は、本発明が属する当該分野の当業者に一般的に理解される意味と同じである。
本発明により、リン酸カルシウムセメントを保存、調製、および生理学的部位に投与するためのシステムが提供される。「システム」という用語は、列挙された構成要素(保存手段、混合手段、および送達手段を含む)の作用の混成されを意味する。
本発明の保存手段は、少なくとも、(a)液体成分および乾燥成分を有する二成分セメントを無菌環境で保存すること、および(b)これら2つの成分の混成にとっての無菌環境として機能することが可能である。
本保存手段に保存されることが可能な二成分セメントは、インビボで固体生成物へと硬化可能な流動性ペースト材料へと混成可能な乾燥成分および液体成分を含む。流動性ペースト状材料は、哺乳動物の骨、特にヒトの骨の海綿質骨領域に見られるような生理学的環境において、固体構造用材料へと硬化可能である。興味深いのは、等温硬化が可能な材料が、生体適合性および生体再吸収性(bioresorbable)であり、特に、再造形可能(remodelable)および移植の12時間から24時間以内に生理学的荷重を押しとどめるのに充分な圧縮強度を達成可能であることである。ここでは、充分な圧縮強度は、少なくとも約30であり、より一般的には、少なくとも約40mPaであり、多くの実施形態においては、少なくとも約50mPaである。好適な構造用材料は、リン酸カルシウムセメントである。
本方法での使用に適したリン酸カルシウムセメントは、調製後の初期間は流動性であり、インビボの流体環境において、固体のアパタイト生成物(apatitic product)へと硬化可能である。本セメントは、乾燥成分と液体成分とを含み、混成されると、リン酸カルシウムアパタイト材料、好適にはヒドロキシアパタイトであり、より好適には最終生成物の2〜10重量パーセント(通常は、2〜8重量パーセント)のカーボネート置換を有するカーボネートアパタイト(すなわちダーライト)へと硬化可能なペースト状の流動性組成物を形成する。本方法での使用に適したリン酸カルシウムセメントには、米国特許第4、880、610号、第5、047、031号、第5、129、905号、第5、336、264号、第5、053、212号、第5、178、845号、第5、580、623号、第5、569、442号、第5、571、493号、および第5、496、399号(これらの開示は本明細書中に参考として援用される)に記載されるセメントが含まれる。
本方法での使用に適したセメントの乾燥成分は、少なくともカルシウム源およびホスフェートを含む。ホスフェート源は、一般的に、非結合水を持たない部分中和されたリン酸源であり、このような源には、無水リン酸一カルシウム、リン酸1カルシウム一水和物、リン酸二カルシウム、およびリン酸二カルシウム二水和物等が含まれ、幾つかの実施形態においては、第1のプロトンを含むまで中和された、例えばリン酸一カルシウムおよびその一水和物(すなわち、MCPおよびMCPM)等の部分中和リン酸源が好ましい。種々のカルシウム源が使用され得、カルシウム源は、カーボネート源を含有していても、していなくてもよい。適したカルシウム源には、リン酸四カルシウム、リン酸三カルシウム、および無定形リン酸カルシウム等が含まれる。好適には、乾燥成分はさらに、炭酸イオン源を含み、この源は、カルシウム源(例えば、CaCO3またはカーボネート無定形リン酸カルシウム)と結合し得る。
多くの好適な実施形態においては、好適には、本方法において用いられるセメントの乾燥成分には、炭酸カルシウム、リン酸三カルシウム、好適にはα−リン酸三カルシウム、より好適には本明細書中に参考としてその開示が援用される米国特許第5、569、442号に記載されるような反応性α−リン酸三カルシウム、およびリン酸一カルシウム一水和物の均質保存安定性混合物が含まれる。一般的にいって、炭酸カルシウムは、乾燥成分の総重量の約5〜25重量パーセント(通常約5〜20重量パーセントであり、より一般的には10〜20重量パーセント)の範囲にある量でセメント中に存在する。α−リン酸三カルシウム成分は、乾燥成分の総重量の約60〜95重量パーセント(通常約65〜90重量パーセントであり、より一般的には70〜90重量パーセント)の範囲にある量で存在する。α−リン酸三カルシウムに関して特に興味深いのは、本明細書中に参考としてその開示が援用される米国特許第5、569、442号に記載される反応性α−リン酸三カルシウムである。リン酸一カルシウム一水和物成分は、乾燥成分の総重量の約1〜20重量パーセント(通常約1〜15重量パーセントであり、より一般的には約2〜15重量パーセント)の範囲にある量で存在する。
上記のように、セメントは、上記の乾燥成分に加えて液体成分(例えば硬化溶液または潤滑剤)を含む。ここでは、潤滑剤は、純水または1つ以上のイオンを含む水溶液であり得る。好適には、硬化溶液は、6〜11(好適には7〜9)の範囲にあるpHの溶液を含むカーボネートまたはホスフェートであり、溶液中のカーボネートまたはホスフェートの濃度は、好適には0.05〜0.5モル(m)の範囲であり、0.05〜0.1モル(m)のリン酸ナトリウム溶液が特に好ましい。硬化溶液または潤滑剤は、高分子剤(例えば、蛋白剤(proteinaceous agent))等のセメントの特性を変える1つ以上の改変剤をさらに含み得る。
保存手段は、(a)液体(例えば、二成分セメントの液体成分)を保存可能な第1の隔室と、(b)乾燥粉末(例えば、二成分セメントの乾燥成分)を保存可能な第2の保存隔室と、(c)液体および乾燥成分が混成された際に生成される流動性ペースト状材料を受け取ることが可能な第3の細長い隔室とを備える。第1、第2、および第3の隔室は、破壊可能バリヤを破壊するのに充分な大きさの力が付与された際に、1つの隔室の内容物が別の隔室に移動できるように、破壊可能バリヤによって互いに分離されている。重要なことは、この装置が、隔室およびその内容物全てを無菌環境で維持することができることである。
第1の隔室は、二成分セメントの液体成分を収容するのに充分な容量を持ち、この容量は、約5〜25(通常は約5〜20)グラムを保持するのに充分である。容器は、実質的に全ての液体の第2の容器への移動を促進する形状を持つ。適した形状には、正方形、長方形、曲線状、三角形、および不規則形状等が含まれる。この容器は、典型的には、丸コーナー、または平滑コーナーを持つ長方形または正方形の形状を持つ。
第2の隔室は、少なくとも乾燥成分および液体成分を収容し、2つの成分を混成するための充分な空間を提供するのに充分な容量を持ち、この容量は、典型的には、約5〜100(通常は約5〜50)グラムの材料を収容するのに充分である。第1の容器と同様に、第2の容器は、実質的に全ての混成材料の第3の隔室への移動を促進する形状を持ち、概して、丸コーナー、または平滑コーナーを持つ正方形、長方形、または八角形である。さらに、第2の隔室は、乾燥および液体成分の完全な混合を促進する、例えば、不完全な混合を防止する(すなわち、液体および乾燥成分を混成した後に乾燥粉末が残らないような)形状を持つ。好適には、第2の隔室は、容器中に他の内容物は保持しながら、隔室の内部から気体を選択的に放出するための手段を備え、そのような手段は、ベントまたは他の適切な手段である得る。
保存または包装手段の第3の隔室は、通常、管状または円柱状の容器である細長い隔室であり、保存手段の第2の隔室で液体および乾燥成分を混成した際に生成される流動性生成物を受け取ることができる。従って、第3の細長い隔室は、典型的に、第2の隔室の容量に釣り合った容量を持ち、約50%、通常は約30%以上異なることはない。第3の隔室は、好適には、その遠位端に、針または類似の送達装置を取り付け、隔室から送達手段までの材料の流れを提供するためのフィットメント手段(fitment means)を備える。フィットメント手段は、好適には、例えば4分の1回転させることによってロックされた位置およびロック解除された位置との間で移動可能であるように、第3の隔室に対する針のロック係合を提供できる。
第1および第2の隔室を分離しているのは、第1の破壊可能、または破裂可能なバリヤであり、これを通して、第1の容器に存在する液体成分は、適切な量の力、または第1の容器の液体内容物に対する移動手段が適用された際に、選択的に第2の容器に移動され得る。類似の破壊可能バリヤによって、第2および第3の隔室が分離され、セメントの第1および第2の成分を混成する間の第2の隔室の内容物の保持が提供されるが、適切な移動させる力が第2の隔室の内容物に付与される際には、混成された流動性生成物の第3の隔室への通過は可能である。破壊可能バリヤまたはシールは、任意の適切な材料から作製され、適切な材料には、熱圧式接着剤(heat pressure activated adhesives)およびプラスチック(例えば、ポリエチレン、ゲルラッカー、およびDE/DVA合金など)が含まれる。
上記の保存手段の様々な構成要素は、好適には、保存手段の内容物の無菌性を確実にする保持手段(containment means)内に収容され、第3の細長い容器の実質的全てを充分曝すように、少なくとも部分的に取り外し可能であり、ここで、「少なくとも部分的に取り外し可能」とは、第3の細長い部材を曝すために保持手段が剥がされ(pealed back)得ることを意味する。
保存装置の様々な部材は、一般に、以下に図面に関してさらに詳細に記載するように、少なくとも部分的に不活性ポリマー材料から製造される。ここで、適切なポリマー材料としては、ポリ(エチレン)およびそのブレンド、ポリエステル類、ナイロン、EVAなどが挙げられる。様々な容器の内容物を保護するように作用する様々な非ポリマー材料がパッケージング手段に導入され得る。ここで、このような非ポリマー材料としては、箔、Si−Oなどが挙げられる。格納手段中にはまた、様々な接着剤が存在し得る。ここで、適切な接着剤としては、アクリル系ラッカーおよびゲルラッカーなどが挙げられる。
格納手段は、任意の都合のよい方法を用いて調製され得る。対象となる方法の1つは、以下にさらに詳細に記載するように、2つの開始ポリマーシートを用い、格納手段の様々な隔室および他の部材を製造するように、これらのシートを共に加熱シールすることである。製造中、液体成分および乾燥成分を第1および第2の隔室にそれぞれ導入するためのシール可能な入口ポートが設けられる。これらの成分は、以下にさらに詳細に記載するように、手動で、または自動パッケージング装置を用いて導入され得る。
セメントの2つの成分を格納手段またはパッケージ、特に、パッケージの第2の隔室において滅菌条件下で流動性生成物に結合させる混合装置もまた本発明によって提供される。混合装置の重要な部材は、(a)液体成分を第1の隔室から第2の隔室に移動させる手段、(b)乾燥成分と液体成分とを第2の隔室で完全に混合する手段、および(c)液体成分と乾燥成分とを結合させることによって生成される流動性生成物を格納手段の第2の隔室から第3の細長い隔室に移動させる手段である。好ましくは、混合装置は、装置内の格納手段を、格納手段の内容物を混合中に、安定した(即ち、移動不可能な)位置となるように配置する手段をさらに含む。
液体成分を第1の隔室から移動させる手段は、液体成分が破壊可能バリヤを破裂させて2成分セメントの乾燥成分を含む第2の隔室に入るように、液体成分に十分な力を与えることができる任意の手段であり得る。この手段はまた、液体が第2の隔室から第1の隔室に逆流するのを防止する。適切な手段は、第1の隔室から、第1の隔室への液体の逆流を防止するクランプまたは同様の装置と連結された第2の隔室に液体を移動させるスクイジーまたはローラを含む。1つの好ましい手段は、実質的に平坦な表面を有するプレートなどの実質的に平坦な部材を含む。この部材は、第1の隔室に圧縮され、圧縮された位置に維持され、液体または流体成分は、壊れやすいシールを通して第1の隔室から第2の隔室に押し出され、ここで、第1の隔室への液体の逆流は、プレートによる第2の隔室の圧縮によって防止される。
混合装置の第2の重要な部材は、乾燥成分と液体成分とを第2の隔室内で完全に混合する手段である。この混合手段は、液体成分および粉末成分が実質的に完全に結合され、インビボで固体燐酸カルシウムミネラル(mineral)に硬化することができる流動性生成物を生成するように、十分な剪断力を第2の隔室の内容物に導入することができ、混合手段は、結合されていない粉末などの実質的に結合されていない反応物が固体成分と液体成分との結合後に残るようになっている。好ましい実施態様では、混合手段は、少なくとも2つの溝付きローラを有し、これらのローラは、乾燥成分と液体成分との必要な実質的に完全な結合を提供するように、第2の隔室にわたって移動可能である。本実施態様では、装置は、第2の隔室の内容物にわたる溝付きローラの移動を無作為化にする。ここで、無作為化するとは、溝付きローラが通過する度に、第2の容器に対して異なる経路を横切ることを意味する。装置は、溝付きローラのこの無作為化移動を提供する手段を有し得、このような手段は、隔室上を各通過前に、ローラの初期位置を変更する位置合わせ手段であり得る。
本混合装置の第3の構成要素は、流動性生成物を第2の隔室から第3の細長い隔室に移動させる手段である。上述の第1の移動手段と同様に、この第2の移動手段は、第2の容器の中味の実質的にすべてを破壊可能バリヤを通して第3の細長い隔室に移動させるのに十分な移動力を流動性生成物に与えることができる。好適な実施形態では、この第2の移動手段は、典型的には、流動性生成物を第2の容器から第3の容器に移動させるローラまたはスクイジーである。好ましくは、第2の移動手段はまた、流動性生成物が第3の容器から第2の容器に逆流するのを、防止しないにしても、少なくとも禁じる。
概して、混合装置は、混合中、2成分セメントを含む保存手段を装置内で静止位置に維持するように働く位置決め手段をさらに備えている。位置決め手段は、通常は、保存手段が混合中に配置される平表面を備える。平表面は、通常は、窪みまたは溝領域を備え得る。便宜であり所望であれば、リッジ、ペッグ、フラップまたは他の保持要素などの他の位置決め手段もまた存在し得る。
混合装置はまた、通常は、混合中に装置の様々な要素を移動させる始動手段を備えている。いかなる便宜的な始動手段を用いてもよく、2つのこのような始動手段としては、電子始動手段および、空気式エアシステムなどの空気式始動手段を含み、このような始動手段は、当業者の知識により任意の適切なやり方で構成され得る。
装置内に存在し得る他の要素としては、デジタルディスプレイ、読み出し装置、ダイオード列などの、様々な混合段階をユーザに表示する手段、例えば、混合がいつ完了するかをユーザに知らせるディスプレイを含む。ディスプレイの選択は便宜性の問題であって、本発明にとって重要ではない。装置は、バッテリなどの電源をさらに備え得る。
混合装置の様々な要素は、便宜的には、互いから分離可能な関係にありヒンジによって結合される蓋およびベースプレートを有する開口可能なハウジング構成内に収容され、ベースプレートは混合中、保存手段またはパッケージのための支持体として働き、蓋またはカバーは、上述のように、混合および移動要素を備え、蓋がベースプレート上に閉鎖されると、これらの要素は移動して、2成分セメントの調製中に必要とされる保存手段との接触を行い得るようにされる。
混合装置を使用して、保存手段内に存在する2成分セメントを調製するとき、保存手段は装置の位置決め手段、例えば底プレートまたはベースプレート上に配置される。上述のように混合手段および/または移動手段が閉鎖可能な蓋の上に存在する場合は、次のステップは装置の蓋の閉鎖である。次に第1の移動手段が、液状成分の実質的にすべてを第1の容器から壊れやすいシールを通って第2の容器に移動させるのに十分な力で始動される。実質的にすべてとは少なくとも約95%、通常は少なくとも約97%、より通常は少なくとも約99%であることを意味する。
液状成分が第2の容器に導入されると、次に混合手段を用いて、第2の容器内に未反応成分が実質的に全く残されないように、2つの成分が十分に化合される。混合手段が、第2の容器を横断してランダムに移動する2つの溝付きローラを備えている上記の実施形態では、ローラは、十分な回数だけ第2の容器を横断して移動し、これにより2つの成分の実質的に完全な化合が行われる。通常、ローラが第2の容器を横断して移動する回数は、約40から120回、通常は約50から100回、より通常は約60から90回であり得る。
2つの成分を化合して流動性生成物とすると、第2の移動手段、例えば、スクイジーが、流動性生成物の実質的にすべてを第2の容器から破壊可能バリヤまたはシールを通して第3の細長い容器に移動させるのに十分なやり方で始動される。上述のように流動性生成物が第3の細長い部材内に存在するように流動性生成物を調製すると、次に装置の蓋を開けて保存手段を取り出し得る。
また、本発明により、第3の隔室中に存在する流動性生成物を、問題とする部位、例えば骨修復部位などの目的の生理学的部位に送達することが可能な送達装置が提供される。本発明の送達装置は少なくとも、(a)流動性材料をを含む細長形状容器すなわち保存手段からの第3の細長形状隔室を受け取る、ホルダと、(b)細長形状容器の開いている第1の端部を実質的に閉めるための手段と、(c)流出口と、(d)細長形状容器の内容物を流出口を通って移動させる作動手段と、を有する。
細長形状容器を受け取るホルダは、容器を保持するために十分な容積を有しており、多くの実施形態において容積は約5〜30ccの間であり得、通常約5〜20ccの間であり得、実質的に円形の断面寸法を一般に有している。装置はさらに、細長形状容器をホルダ中に導入するための開口手段、例えば開位置に動かされたときにホルダを露出させる除去可能な蓋などを有している。
送達装置のホルダ内に設置されたとき、構造材料を含んでいる細長形状容器は一般に、開いた第1の端部を有している。従って、送達装置は好ましくは、開いた第1の端部を実質的に閉じるための手段を有しており、そのような手段はクランプ、シールバーその他であり得、流出口を通って細長形状容器の内容物を移動させる機能を有する作動手段の一部であってもそうでなくてもよい。
作動手段は、例えばペーストなどの流動性材料を、隔室内に存在する細長形状容器の内部から、隔室を出て、流出口を通り移動させるために十分なものである。任意の都合のよい作動手段を用い得るが、好適な実施形態において作動手段は手動で押下可能なハンドルに動作可能に接続されたローラまたはスクイジーを有しており、ハンドルが押下された際、容器の内容物を隔室の遠位端の開口部を通しかつ装置の流出口を通って押し出すのに十分なように、ローラまたはスクイジーが容器に沿って移動する。あるいは、装置はモータ化押し器(pusher)などの、容器の内容物を流出口を通って装置から外に押し出す機能を有する自動的作動手段を有し得る。
装置の流出口は、容器の取り付け手段(fitment means)が少なくとも部分的に装置の外側に延びて針やカニューレなどの管状送達手段が取り付け手段に取り付けられ得るようにするために十分な寸法を有している。従って、排出ポートの断面積は一般に、約10〜24、通常約18〜20ゲージの範囲であり、断面形状は典型的には、容器の取り付け手段と実質的にぴったりはまるように設計される。
必要ではないが、以下により詳細に説明するように、上述の送達装置の構成要素は銃状のハウジング中に存在することで、構造材料を骨修復部位へ投与する使用の際において装置の操作を容易にする。
本発明の送達装置を使用のために準備する際、第1のステップは流動性構造材料を含んだ細長形状容器を装置隔室中に導入する。この導入ステップは、細長形状の第3の容器の実質的に全部を露出させるのに十分なように、まず保存手段またはパッケージの外側容器手段を剥く(pealing back)ことで達成される。次に細長形状の第3の容器を保存手段の残りから例えば切断などにより分離する。分離の後、例えば銃形状のハウジングの蓋を開け、隔室を露出し、容器を隔室内に設置することによって、細長形状の第3の容器を隔室中に導入する。細長形状の容器を隔室中に設置した後、蓋がある場合はこれを閉じ、針またはカニューレなどの管状の送達手段を容器の露出したシール手段に取り付け、手段を排出ポートを通じて露出し、次に作動手段を作動させて第3の容器から材料を押し出す。
本システムは、一般的に記載された本発明の保存手段、混合装置、および送達装置を備え、これらの要素の各々は、ここで図を参照してより詳細に説明される。
ここで図を参照すると、一般的な意味で上述されたように、本発明は、リン酸カルシウムセメントの保存、調製、および送達のためのシステムを提供し、ここでシステムは、保存手段または使い捨て反応物パック51、混合装置またはミキサー52、および送達装置(apparatus or device)53を備える。パック51は、図1〜6に詳細に示され、そして外部剥離可能(peelable)パッケージまたはポーチ56、および外部ポーチ56内に封入された内部パッケージまたは混合ポーチ57を有する。内部ポーチ57は、第1または後部端57aおよび第2または前部端57bを有する。ポーチ57は、それぞれ形状が長方形でありそして長さが約9.5インチおよび幅が約3.75インチである第1および第2可撓性シート61および62から形成される。シート61および62はそれぞれ、水に対して実質的に不浸透であり、3層を組合わせたものである(図2参照)。外部層66は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエステル、またはナイロンなどの0.0005インチの厚さを有する適切なポリマー材料から形成される。中間または中央層67は、外部層66に接着され、そして約0.0035インチの厚さを有するアルミニウムホイルなどの、流体および/または気体の流動に対するバリアとして機能し得る材料から形成される。内部層68は、厚さが約0.0025〜0.0030インチの範囲を有するポリエチレンなどのポリマー材料から形成される。外部層66のPET材料は、シート61および62に対して強度および剛度を提供し、他方中央層67のアルミニウムホイル材料は、ポーチ57内の流体が漏出することおよび望ましくない流体がポーチ57へ侵入することを防ぐための水分および気体のバリアを提供する。内部層68の不活性材料は、シート61および62からなるポーチ57内の材料の混入を防ぐ。内部層68はまた、シート61および62の隣接する内部表面を外部周辺またはマージン71で一つに合わせそしてマージン71で不浸透なシールを形成するためのヒートシール手段として機能する。
第1または第2チャンバまたは隔室72および73は、内部ポーチ57内に提供される(図1および2参照)。第1および第2シート61および62は、その中心部を横切ってヒートシールされ、隣接する外部マージンに垂直に伸展しそしてシート61および62で隔室72および73を形成するヒートシールストリップ76を提供する。第1または液体隔室72は一般に、形状が長方形でありそして長さが約2.75インチおよび幅が約3.25インチであり、そして液体隔室83を備える。第2またはドライ隔室73は実質的に、形状が八角形であり、最長の点で長さが約5インチであり最大幅の点で幅が約3.25インチであり、そしてドライコンポーネント84を備える。第1および第2シート61および62は、熱で合わせてシールされ、内部ポーチ57の両側の外部マージン71から約35°の角度で内部ストリップ76へ向かって伸展する第1および第2ストリップ81を提供する。同様の第1および第2ストリップ82は、外部マージン71から約40°の角度で内部ポーチ57の前端部57bへ向かって、前端部57bの中点に達しない点へ伸展する。このように、ドライ隔室73には、一般に90°の角がない。
内部ポーチ57の製造中に、ポート91および92は、別にヒートシールされた外部マージン71中に提供され、液体または潤滑剤83を液体隔室72へおよび粉末84をドライコンポーネント73へ導入することを可能にする(図1参照)。次にポート91および92は、内部ポーチ57内に液体83および粉末84を封入するようにヒートシールされる。粉末および液体コンポーネントで隔室を自動的に充填することに適する装置が図28に図示される。図28に示される自動充填装置は、操作者が立つ位置、粉末充填コンポーネント、液体充填コンポーネント、および熱間スタンプコンポーネントを備える。装置は、本発明の保存手段を自動的に充填およびシールするようにうまく動作する。ストリップ81の内部端の間の内部シールストリップ76の部分76aは、1インチ当たり約0.5〜3.0ポンド、通常1.2〜1.7ポンド、の範囲の剥離強度で形成されるので、よりpsiの大きな圧力に対して壊れやすく、液体83および粉末84が以下に説明するように混合される。ポーチ57中のヒートシールの残りの部分は、1インチ当たり約1〜3ポンドの範囲の剥離強度を有する。破壊可能なストリップ部分76aは、ほぼ1インチの長さを有する。
ベント101は、液体83と粉体84との混合中に乾燥隔室73から気体が逃げることを可能にするが液体を実質的に逃がさない内部ポーチ57手段内に含まれる(図1および図2)。ベント101は、第1のシート61内を延びる複数の互いに空間のあいたスリット102から形成されている。MilliporeによるDURAPELaなどの任意の適切な疎水性材料の層から形成されるディスク103がスリット102の下に延びる。ディスク103は、気体が最高40〜50l/分の速度で内部を流れることを可能にし、約12〜15psiの水侵入圧を有する。双積層を含む手段またはカバー104は、スリット102の周縁の第1のシート61内部にディスク103を固定させるために設けられている。カバー104は、約2ミルの厚みを有するポリエチレンなどの任意の適切な材料から形成される上部層106と、約0.002インチの厚みを有するポリエチレンなどの任意の適切な材料から形成されている下部層107とから形成されている。カバー104は、ディスク103の下にあり、内部ポーチ57の内部層68と係合し内部層68にヒートシールされている周囲を有する。スリット108という形態の複数の開口部が、カバー104内に形成されている。スリット108は好適には、スリット102の方向に対応する横方向に整合している。しかし、複数のピンホールなどの他の形態の開口部が設けられ得、本発明の範囲内であり得ることが、理解されるべきである。
内部ポーチ57はさらに、第1のまたは後部の端部111aと第2のまたは前部の端部111bとを有する細長い管状部材または送達管111を含む(図1および図3参照)。管111は、約8インチの長さ、および丸く形成された場合には約5/8インチの直径を有する。管111は、押し出しまたは吹き出し成形され得、約55〜65psiの動作範囲を有する。通路または保持チャンバ112が、端部111aと111bとの間に延び、図3に示すように、3層構造を有する薄壁113から形成されている。保持チャンバまたは送達リザバ112は、図3に示すように細長い断面を有する。薄壁113の外層116および内層117は各々、ポリエチレンから形成され、0.004〜0.005インチの範囲の厚みを有する。中層118はナイロンなどの任意の適切な材料から形成され、0.001〜0.002インチの範囲の厚みを有する。送達管の後部端部111aは、シートの外マージン71間を延び、シート61および62から形成されるヒートシールされたストリップ126などの任意の適切な手段によってマージン71内で固定されている。約1インチの長さを有する破壊可能なシール127は、ヒートシールストリップ82の内端部間において内部ポーチ57の中心部を通って延びている。内部破壊可能なシール127は、1インチあたり約0.5〜3.0、通常は1.2〜1.7ポンドの範囲の剥離強度を有するように製造され、それより大きいpsiの圧力で破裂または開口するようになっている。シール127の開口は、混合チャンバ73と送達管111の保持チャンバ112との間の連通を可能にする。実質的に平面の内部ポーチ57は、液体および乾燥隔室72および73、ならびに送達管111の保持チャンバ112の中心を通過する長手方向軸131に沿って延びる(図1参照)。
取り付け手段136からなる手段は、送達管111の前部端部111bに取り付けられ、送達針が送達管に取り外し可能に取り付けられることを可能にする(図1、図4〜6および図34参照)。取り付け手段136は、ポリエチレンなどの任意の適切な材料から形成されており、図5および図6に示すように、連結部またはカプラ132と協働的に対をなすシャンク部を有する。図4および図5に示すように、取り付け手段の近位端部は、フットボール形状であり且つ保持チャンバ112内に適合するサイズを有する断面を有する。送達管111はヒートシールされるか、あるいは取り付け手段の近位端部まわりに適切に安定的に取り付けられている。第1および第2の、間隔のあいたヒートシールリブ138は、取り付け手段の周囲に延び、ヒートシールプロセスを向上させる。孔141は、取り付け手段内を長手方向に延び、カプラ132の円柱状またはバヨネット(bayonet)部142を摺動可能且つ回転可能に受け取る。
協働嵌合手段146は、差込部142が先行141内に完全に挿入および受容された時に、カプラー132を付属具136にロックさせるように設けられる(図5および図6を参照のこと)。手段146は、その直径方向に延在する第1および第2のフランジが付属具136の末梢端に形成され、その直径方向反対側に第1および第2の窪み147がカプラー132の基端に形成され、図6に示されるようなシャンク部に相対するカプラーの時計方向回転に際して、フランジを受容する。カプラー132上に形成された止め148はフランジ146に係合して、カプラー132の付属部136への回転ロックさせる動作を制限するため、付属部を「ロック」位置に移動させるのに、4分の1回転しか必要としない。第1および第2のタブまたはサムウイング151は差込部142の末梢端の両側部から半径方向外向きに延び、カプラー132の把握とカプラーの付属部136へのロックを促進する。付属部136の中央部152は、後で説明されるように、搬送装置53内部の整合動作のために低減される(図5および参照番号34を参照のこと)。中央穿孔156はカプラー132の差込部142を通って延び、ステンレス鋼のような好適材料から作られたニードル157を受容し、そこを貫通する通路を有する。ニードル157は、図5および図6に仮想線で例示される。カプラー132は図1に仮想線で示されるが、これは、付属部136がカプラー132を用いずに搬送管111上に最初に設けられ得るからである。あるいは、ニードル157を備えていないカプラー132が輸送管111上に最初に設けられ得る。
外側ポーチ56は、ポーチの外側マージンを形成するための、第1または後方端56a、第2または前方端56b、第1または左側部56c、および第2または右側部56dを有する(図1を参照のこと)。外側ポーチ56は、平面上で見ると全般に矩形であり、およそ17.5インチの長さとおよそ5インチの幅を有する。図2から図4に例示されるように、少なくとも1枚の可撓性シートと第1および第2の可撓性シート161および162が設けられ、外側ポーチ56を形成する。シート161および162の各々は、実質的に液体不浸透性であり、PETから形成される外側層163をおよそ0.0005インチの厚みで含む、3層構造を有する。シリコン酸化物から形成される中間層164は外側層163の内側に被膜され、外側ポーチ56の透過性を減じ、従って、その保存期間を延ばす。ポリエチレンから作られる0.0025インチから0.0030インチの範囲の厚さを有する内側層166が更に設けられ、測定可能なポリエチレン混合物から作成されればよい。中間層164は、アルミニウムのような他の材料から作成可能であり、尚かつ本発明の範囲に入ることが、更に評価されるべきである。中間層を有さない外側ポーチ56も設けることが可能であり、本発明の範囲に入ることが、更に評価されるべきである。166が封鎖可能なポリエチレン混合物から製造されない場合は、熱封鎖可能材料の層が166の表面に設けられ、剥離可能熱封鎖を提供する。
剥離可能熱封鎖167は、第1および第2のシート161および162内部に無菌チャンバー168を作るための手段の内部に含まれる。熱封鎖部167は1インチあたりおよそ12ポンドから16ポンドの範囲の引っ張り強さを有し、後方端56aならびに左右側部56cおよび56dのシート161および162の外側マージンの周囲全般に延在する。熱封鎖部167はその一部167aが側部56cと56dの間で前方端56bから間隔を設けて延び、山型の形状を有する。第1および第2のシート161および162は山型部分167aを越えて延び、それぞれの第1および第2フラップまたはプルタブ171および172を形成する。プルタブ171および172は、前方端56bに接合する外側ポーチ56の2つのコーナーの各々で、熱封鎖タブ173により一緒に固着される。無菌チャンバー168は、その内部に内側ポーチ57を受容するような寸法および形状にされる。チャンバー168、したがってそのパウダーチャンバー73は、外側ポーチ56の封鎖の前に空にされる。1つの半円形カットアウト176が熱封鎖部167において右側部56dに沿って設けられ、2つの長手方向に間隔を設けたカットアウト177が、熱封鎖部167において外側ポーチ56の左側56dに沿って設けられる。
ミキサー52は図7から図27に例示され、ベース部材または基部201および上部または部材202を備える。基部201はミキサー52のフレームワークの内部に含まれ、アルミニウムのような好適な金属から作られる。基部201は平面上では実質的に矩形であり、前方端部またはリップ203および後方端部または背部204を有する(図7および図8を参照のこと)。頂部水平表面206(図9)が設けられ、リップ203は頂部表面206の前方端から下向きに傾斜する。第1溝207および第2溝209は頂部表面206に形成される。第1溝またはチャネル207は表面206を横断して延び、シリコン発泡ラバーまたは他の好適材料から作られるストリップ208がその中央部に沿って固着される。溝209は表面206に沿って長手方向に延び、リップ203の前方傾斜上部表面上へと開放する。左壁211および右壁212を含む左側部および右側部は、表面206の各側から上向きに延びる。ポスト216および217の左セットおよび右セットは、基部201の左側部および右側部の内部に更に含まれる。左ピン218は各左ポスト216の間で基部201から横断して延び、類似する右ピン219は各右ポスト217の間で基部201から横断して延びる。左直立ディスク222および右直立ディスク223は基部201の背部204と一体的に形成される。基部201は各端部の間でおよそ22インチの長さと、各側部の間でおよそ7インチの幅と、およそ2インチの高さを有する。
上部またはリッド202はフレーム231を含み、ミキサー52のフレームワーク内部に含まれる(図8および図15を参照のこと)。フレーム231は間隔を設けて離された左側部材232および右側部材233、これな平行な側部部材232と233の間に延在する前方直立フェースプレート236および後方直立フェースプレート237を含む。左イヤー241および右イヤー242は、それぞれの左側部材232および右側部材233から後方および下向きに角度を設ける。
リッド202は基部201上に旋回自在に搭載される(図8および図9を参照のこと)。この点で、左イヤー241および右イヤー242は、基部201のそれぞれの左ディスク222および右ディスク223の内側に沿って並置される。旋回ピン243はディスク222および223ならびにイヤー241および242を通り、基部壁211および212に対しておよそ直角に配置される横断軸に沿って延在する。従って、リッド202は、図7および図8に示される、リッドが頂部表面206を実質的に被覆する第1または閉位置と、図9に示される、リッド202が基部201およびその表面206に対してほぼ70°の角度で延びる第2または開位置との間で、ピン243を中心として旋回する。当該技術で公知の型の従来型ガスバネ246は、その開位置でリッド202を支持するように設けられる。ガスバネ246は、ピンによりベース201に旋回自在に固着される第1端部246aと、別なピンによりフレーム231に旋回自在に固着される第2端部246bとを含む。右壁212はそこに窪み247が設けられ、ガスバネ246を受容する。
ミキサー52は、リッド202をその閉位置に維持する手段を有する。図8および図15に示されるように、この手段は、それぞれの左フレーム側部部材232および右フレーム側部部材233の各前方下方端固着される、左ラッチ251および右ラッチ252を含む。ラッチ251および252の各々は、ステンレス鋼または他の好適な材料から作成され、直立部253がピン254によりフレーム231に旋回自在に連結され、かつ前方に延びる水平部256が直立部253に対して実質的に直角に配置されたL字型部材から構成される。構造表面257は部分253と256の間に外側コーナーを形成し、前方に延びるスロット258がそこに形成される。リッド202がその水平位置に移動させられ、かつ、ピン218および216がスロット258に入るまで、ラッチ251および252を前方に旋回させる場合、表面257は左ピン218および右ピン216に係合し、それらの上に載置される。
ラッチ251および252を開放する手段が設けられ、同手段は、フレーム231に旋回自在に搭載されるラッチ手段259からなる(図8および図9を参照のこと)。ラッチ部材259はステンレス鋼または他の好適な材料から作成され、水平方向に配置される頂部プレート261を含む。第1または左旋回アーム262および第2または右旋回アーム263は、頂部プレート261からフレーム231のそれぞれの左側部材232および右側部材233まで後方に延びる。旋回ピン264は、各旋回アーム262の後方端をフレーム側部部材232および233に旋回可能に連結するように働く。従って、ラッチ部材259は図15で実線で示される第1または下方位置から図15に仮想線で示される第2または上方位置まで、ピン264を通して横断方向に延びる軸を中心に旋回する。ラッチ部材259は、頂部プレート261から垂れ下がる、第1または左ラッチアーム267および第2または右ラッチアーム268を更に含む。各ラッチアームは、フレーム231の各側部の周囲に延在するような寸法および形状にされる。支持バー269は、ラッチアーム267および268の各下方端の間で、フレーム231の下で横断方向に延在する。左ラッチアーム267および右ラッチアーム268の各下方端は、左ピンおよび右ピン271により、ラッチ251および252のそれぞれ左右水平部256の各前方端に旋回自在に固着される。この態様で、ラッチ部材259をその上方位置まで旋回させることにより、ラッチ251および252を上方に旋回させ、基部201のピン218および219から解放する。ねじりコイルバネ272は頂端がラッチ部材259に固着され、底部端がフレーム231に固着され、ラッチ部材259をその下方位置またはロック位置まで付勢させる。
第1または左側空気式ピストンアセンブリ273および第2または右側空気式ピストンアセンブリ274は、リッド202をその閉位置にロックするための手段としてミキサー52に設けられる。空気式アセンブリ273および274は好適な手段により、それぞれの左および右側部部材232および233に搭載される。アセンブリ273および274の各々は、ブレット276がその端部上に搭載された、長手方向に延びる可動ピストンを有する。ラッチ部材259は、互いに対向する左右垂直プレート277がそれぞれの穿孔278を有し、ブレット276を受容する。プレート277および穿孔278は空気式アセンブリ273および274に相対して整列され、ブレット276の丸み付けされた前方端は穿孔278に入り、かつその内部に載置され、ラッチ部材259はその下部またはロック位置まで動かされる。ブレット276および空気式アセンブリ273および274は、従って、ラッチ部材259が、ラッチ251および252のロック解除するための上方位置まで旋回するのを阻止する。
パック51および基部201は、パック51がミキサー52およびその上を閉じるリッド202の内部に設置され得るように、協働する寸法および形状にされる(図10を参照のこと)。パック51が止め表面206に配置される場合、パック51と基部201の間の横断方向整列は、パックの左側部56cおよび右側部56dを左右壁ならびに基部の左ポストおよび右ポストと係合させることにより、達成される。長手方向整列は、右壁と一体的に形成される横断方向に延びる突起部283および左壁と一体的に形成される長手方向に間隔を設けられた類似突起部284により、達成される。突起部または整列突起部283および284は、左右壁上に位置決めされ、破り取り可能な封鎖部127が横断チャネル207上で整列され、通気孔101が上方を向いた時に、同突起部はそれぞれ、パック51のカットアウト176および177に係合する。パック51が基部201上で適切に整列すると、搬送管111は長手方向溝209の内部に受容され、パックの前方端56bは上に垂れ下がり、リップ203を越えて前方に延びる。
パック51を基部201およびその頂部表面206上に維持するための手段は、左フレーム側部部材232および右フレーム側部部材233上に搭載される第1または左クランプ部材および第2または右クランプ部材あるいはパッケージクランプ291および292を含む(図13から図16を参照のこと)。クランプ291および292は各々、ステンレス鋼または他の好適な材料から作成される。長手クランプ291および292の各々は、垂直部293および垂直部に対して実質的に直角に配置される水平部294を含み、実質的にL字型交差セクションを有する。クランプ291および292は、ボルト(示さず)または他の好適な手段によりフレーム231に固着された左搭載ブロック296および右搭載ブロック297により、フレーム部材232および233の内側に装着される。ブロック296および297の各々には、それぞれのクランプ291または292の垂直部293が配置される垂直スリット298が設けられる。クランプ291または292は、図16に実線で示される下部位置と、図16に仮想線で示される上部位置との間で、垂直方向に可動である。この垂直移動は、ブロック296または297により搬送され、かつ、垂直部293に設けられたそれぞれの垂直スロット302を通して延びる、複数の横断方向に延びるピン301により誘導される。間隔を設けて離された第1および第2のバネ手段またはバネ303は、搭載ブロック296または297の内部に保持され、垂直部293の頂部に係合する。バネ303はクランプ291または292をその下部位置に付勢するように働く。リッド202の閉鎖と同時に、左パッケージクランプ291および右パッケージクランプ292の水平位置294は、パック51の左側部56cおよび右側部56dに係合し、基部201に対してパックを固着させる。垂直部203は全般に、基部の左右壁に接合する。右クランプ292にはカットアウト306が設けられ、左クランプ291には長手方向に間隔を設けたカットアウト307が設けられ、基部の壁から内向きに延びるそれぞれの隆起部283および284を受容する。
バースト封鎖部クランプアセンブリ316の形態のクランプ手段は、リッド202により保有され、ミキシング期間中に破り取り可能封鎖部127の流体密封封鎖部を補強する(図13から図16ならびに図25および図26を参照のこと)。アセンブリ316は、ステンレス鋼または他の好適な材料から作成され、フレーム部材232と233の間で直交方向に延びる長手バー318から構成されたバースト封鎖部クランプ317を含む。バー318は、その上にパウダー被膜仕上げを施した、底部表面319を有する。第1または左旋回アーム321および第2または右旋回アーム322は、バー318のそれぞれの端部から直角に延びる。左旋回アーム321および右旋回アーム322の各端部は、バー318に平行な方向に延びる軸上に配置される左ピンおよび右ピン323により、左側部部材232および右側部部材233のそれぞれに連結される。バースト封鎖部クランプ317は、図13から図16および図25に実線で例示される第1または作動位置と、図26に実線で示される第2または解放位置との間で、およそ135°の角度を介して旋回する。バースト封鎖部クランプ317が水平位置にあり、ミキサー52が閉鎖すると、バー318は基部頂部表面206と全般的に同一平面にある横断チャネル207の内部に載置される。螺旋状バネ324は左旋回ピンおよび右旋回ピンの各々を中心としてコイル状にされ、それぞれの旋回アーム321または322の周囲で延びる一方端324aを有し、バースト封鎖部クランプ317をその解放位置まで付勢する。
垂直方向に配置された第1または左ブロック326および第2または右ブロック327は、図16、図25、および図26に例示されるような、ボルト(示さず)のような好適手段により左側部材232および右側部材233それぞれの内側に搭載される。図25および図26でわかるように、左ブロック326は、その内側表面331に、左ピン323に相対する一定半径方向寸法を有する弧状に延びるスロット332が設けられる。スロット332は、左旋回アーム321から直交方向外向きに延びるピン333を受容する。ピン333は、以下に論じるように、バースト封鎖部クランプ317をリコック(recock)するように働く。
垂直方向に配置された第1または左ラッチ336あるいは第2または右ラッチ337は、クランプ317を水平位置に維持するために、上端部338および下端部339それぞれならびにそれらの間の中央ハブ部を有して設けられる(図16、図25、および図26を参照のこと)。ラッチ336および337は、縦断方向に延びる左旋回ピンおよび右旋回ピン341により、左側部材232および右側部材233それぞれに旋回自在に搭載される。ピン341の各々は、一方端で側部部材に固着され、その他方端でラッチ336または337の中央ハブ部に旋回自在に搭載される。下方端部339には各々、バースト封鎖部クランプアーム321または322の旋回端部を受容するためのカットアウト346が設けられる。左コイルバネおよび右コイルバネ347は、ラッチ上方端部338を回動自在に、後方に付勢するように、従って、ラッチ下方端部339をクランプアーム321および322に対して前方に付勢するように設けられる(図16から図18を参照のこと)。各コイルバネ347はミキサー52から長手方向に延び、後方端が側部部材232または233それぞれに連結され、かつ、前方端が、側部部材に向かってラッチ上方端部338から横断して延びるピン351に連結される。
マイクロスイッチ356は、リッド202が閉鎖された時にパック51が基部201上の適所にあるかどうかを検知するための、ミキサー52の手段の内部に含まれる。図9および図13に示されるように、マイクロスイッチ356はリッド202の下側にその背部で搭載される。マイクロスイッチ356は、当該分野で公知のような従来型のもので有れば良く、そこから下向きに延びる旋回可能スイッチアーム357を含む。基部201には、図10に例示されるように、その背部に窪み358が設けられ、基部表面206上にパック51が無い状態でリッド202が閉鎖された時に、スイッチアーム357を受容する。スイッチ356および窪み358は基部201の上に長手方向に位置決めされ、パック51が基部201上で即時位置決めされた時に、パック51がそれらの間に延在する。そのように、スイッチ356は外側ポーチ56に係合し、パック51がミキサー52の内部に設置された時は、閉位置まで旋回する。
パック51の液体チャンバー72を加圧して破り取り可能な封鎖部76aを破断し、かつ、液体チャンバー72からパウダーまたは混合チャンバー73に液体83を移送して、その中でパウダー34と混合させるための手段がミキサー52のフレームワークにより保有される(図9から図14を参照のこと)。この加圧および移送手段は、ボルト362によりフレーム231の底部背部で水平位置に搭載される、プレート部材または圧力プレート361を含む(図9、図13、および図14を参照のこと)。圧力プレート361はアルミまたは他の好適な材料から作成され、平面上では全般に矩形である。図12で最もよくわかるように、平面状表面363はプレート361の底部を形成し、丸み付けされたコーナー(rounded corner)366で前方端表面364に当接する。
第2プレート部材または圧力プレート371は基部201に旋回するように搭載され、第1圧力プレート361に当接する(図10および図12を参照のこと)。圧力または旋回プレート371はアルミニウムまたは他の好適材料から形成され、平面上では全般に矩形である。旋回プレート371は、直立リッジ部371aおよび後方端部371bの形態で前方端部を有する。リッジ部371aが、外向きに丸み付けされた第1コーナー373に接合する平面状頂部表面37により規定され、今度、同コーナーは内向きに丸み付けされた第2コーナー374に接合する。平面状表面376は第2コーナー374から旋回プレート371の端部371bまで後方に延びる。左ピンおよび右ピン377は、旋回プレートを基部201に旋回自在に搭載するために、プレート後方端部371bの側部へと横断方向に延びる。図10で最も明瞭に例示されるように、各ピン377は基部201に設けられた穿孔378に受容される。ピン377は、図12に実線で示される第1またはホームポジションから、図12に仮想線で示される第2またはクランプ位置まで、旋回プレート371を移動させられるようにする。このホームポジションでは、平面状表面376はおよそ5°の角度で圧力プレート371の底部平面状表面363まで延びる。クランプ位置では、旋回プレート371の第2コーナー374および上部表面376は、圧力プレート361の下部表面363および丸み付けされたコーナー366に全般的に当接し、かつそれらと同一平面にある。
空気式作動アセンブリ383の形態の手段は、旋回プレート371をそのホームポジションからそのクランプ位置まで移動させるために設けられる(図11および図12を参照のこと)。低プロファイル作動アセンブリ383は基部201の下側384により保有され、基部と一体的に形成される環状壁376を含む。リング387およびリング387の下に配置されるカップ状キャップ388は、ボルトのような好適手段により環状壁386に搭載される。リング387およびキャップ388はステンレス鋼または他の好適材料から作成される。ラバーまたは他の好適材料から作られたダイヤフラム391は、リング387とキャップ388の間で延在する外側周辺部を有する。ダイヤフラム391および環状壁386は第1または上方チャンバー392を形成し、ダイヤフラム391およびキャップ388は気密の第2または下方チャンバー393を形成する。ダイヤフラム391は、上方チャンバー392に配置されたカップ396と下方チャンバー393に配置されたキャップ397との間の作動アセンブリ383の内部で挟まれる。カップ396およびキャップ397は、カップ396を通って上方に延び、かつ、ボルト401によりそれら固着される、垂直方向に配置されたピストン398のために合成支持を提供するが、同ボルトは、キャップ397、ダイヤフラム391、およびカップ396を連続的に通ってピストン398内部のねじ切り加工された穿孔内へと延びる。ピストン398は、基部201に設けられた穿孔401を通って延びて旋回プレート371の下側に係合する、丸み付けされた上方端398aを有する。カップ396、キャップ397、およびピストン398は各々、ステンレス鋼または他の好適材料から作られる。キャップ388は、図11に示される、逆とげ403を有し、これにより、加圧空気を下方チャンバー393内に導入でき、かつ、ピストン398を上方に移動させ、従って、プレート371を圧力プレート361に対して上方に旋回っせる。ピストン398は、ピストン398の周囲に同軸に搭載され、かつ、基部201をその頂端で、またカップ396をその低部端で係合させる。
少なくとも1つのローラーと、図示のように、第1または前方ローラー416および第2または後方ローラー417とは、基部201の頂部表面およびそこに配置されるパック51を横断する前後方向に運動のために、リッド202により保持される(図13、図14、および図19から図21を参照のこと)。ローラー416および417の各々は、プラスティックまたは他の好適材料から作成され、パウダーチャンバー73の幅と少なくとも均等な、より特定すると、およそ3.5インチの長さと、およそ0.75インチの外径を有する。ローラー416および417は各々、外側円筒型表面418を備えて形成される。溝421の形態の少なくとも1つの窪みは、ローラー416および417の各々の周囲で延び、螺旋状ねじまたはランド422の形態の、少なくとも1つの隆起部を形成する。図19に例示されるように、溝421は、略U字型の隣接する各溝421の間で断面を有する。溝421は、およそ0.15インチの深さと、0.125インチから0.250インチの範囲に入り、好ましくはおよそ0.125インチの、隣接する各ランド422の間の幅を有する。ランド422は、0.4インチから0.5インチの範囲に入る、好ましくはおよそ0.5インチのピッチを有する。前方ローラー416は右回りであり、すなわち、ローラー416の螺旋状ランド422は時計方向に前進するが、後方ローラー417は左回りであり、すなわち、ローラー417の螺旋状ランド422は反時計方向に前進する(図13および図17を参照のこと)。従って、前方ローラー416および後方ローラー417の構造は異なる。
フレーム231に前方ローラー416および後方ローラー417を搭載する手段が設けられ、同手段は、ドイツのLiutraにより製造される従来型の、長手空気式シリンダまたはエアシリンダ426を含む。エアシリンダ426は、前部426aおよび背部426bがボルト(示さず)のような好適な手段により前面プレート236および背面プレート237にそれぞれ搭載される。エアシリンダ426は、従来型スライドブラケット428がその底部に沿って、滑動自在に搭載される。
図13、図14、および図19から図21に示される、キャリッジアセンブリ431は、ボルト(示さず)または他の好適な手段によりスライドブラケット428に搭載される。キャリッジアセンブリ431は、依存型左側部プレート433および右側部プレート434を有する反転U字型部材またはガルウイング432を含む。キャリッジ部材またはローラーキャリッジ436は側部プレート433と434の間に延在し、左端プレート437および右端プレート438ならびにプレート437と438の間に延在するU字型中央部439を有する。ガルウイング432およびローラーキャリッジ436は各々、ステンレス鋼または他の好適材料から作られる。垂直配置された端プレート437および438は一般に、左側プレート433および右側プレート434と平行で、側部プレート433および434の内側に滑動自在に隣接する。
左および右スロットベアリング446は端プレート437および438から横断して延び、左側プレート433および右側プレート434に形成される左右垂直スロット447それぞれにより、滑動自在に受容され、ガルウイング432に関して上方および下方に、ローラーキャリッジ436が移動するのを許容する。スロットまたはスライドベアリング446は、プラスティックまたは他の好適材料から製造され、ボルトまたは他の好適手段により、左端プレート437および右端プレート438それぞれに回転自在に搭載される。ローラーキャリッジ436の上方および下方垂直移動は、ローラーキャリッジ436と一体的に形成され、かつ、端プレート437および438の各々から長手方向に間隔を設けた位置で上方および下方に延びる、1対の前タブ部材および後タブ部材または前方ガイド451および後方ガイド452により制限される(図19および図20)。タブ部材またはガイドタブ451および452はそれぞれ、側部プレート433および434の各々に設けられる、第1または前方開口部453および第2または後方開口部454を通して延在する。ガイドタブ451および452と開口部453および454の頂部との係合は、ガルウイング432に相対するローラーキャリッジ436の上方移動を制限し、ガイドタブと開口部の下方端縁との係合は、ローラーキャリッジの下方移動を制限する。ローラーキャリッジは、およそ0.4インチのガルウイング432に関する垂直移動を有する。
第1または左コイルバネ457および第2または右コイルバネ458の形態のバネ手段は、キャリッジアセンブリ431の内部に含まれ、ローラーキャリッジ436をその下方位置に向けて動かしまたは付勢する。垂直配置されたコイルバネ457および458は、左端プレート437および右端プレート438それぞれに隣接して、ローラーキャリッジ436の中央部439の底部に係合する。左および右管状保持器461の形態の保持器手段は上方に延びてコイルバネに入り、ローラキャリッジ436上の位置でバネを維持する。コイルバネ457および458の各頂部は、左側プレート433および右側プレート434に隣接してガルウイング432の内側に係合し、それらの上で、ガルウイングと一体的に形成され、かつコイルバネまで下方向に延びる左右の管状保持器46により維持される。
フロントローラー416およびリアローラー417は、それぞれ、フロントシャフト468およびリアシャフト469(これらの末端はローラーキャリッジ436に固定されている)によって、キャリッジアセンブリ431に旋回可能に装備されている。図13に示されるように、シャフト468および469は、それぞれ、中央部分439の向かい合う側面に配置されている平行な第1および第2旋回軸に沿って伸びている。シャフト468および469を中心にしたローラー416および417の旋回を容易にするために、左右従来型ベアリングアセンブリが、各ローラー416および417内に収容されており、シャフト468および469の向かい合う端部に取り付けられている。しかし、ローラー416および417がベアリングアセンブリ無しでもキャリッジアセンブリ431に旋回可能に装備され得ることが理解されるべきであり、本発明の範囲内であり得る。図示され得るように、ローラーキャリッジ436は、フロントローラー416およびリアローラー417が第1横軸(スライドベアリング446を通って伸びている)および第2軸(上記第1横軸に対して直角に、キャリッジアセンブリ431を通って長手方向に伸びている)を中心に旋回するのを許容する。
エアシリンダー426は、キャリッジアセンブリ431ならびにフロントローラー416およびリアローラー417がエアシリンダー426のリア近くの第1またはホーム位置から第2または中間位置まで、次いで第3または前方位置まで移動するのを許容する。ホーム位置(図13に例示)において、キャリッジアセンブリ431は、圧力プレート361の上方にスペースを設け、すなわちローラー416および417は、圧力プレートの頂上面363の上方に約0.10インチの距離にスペースを設けている。中間位置および前方位置において、ローラー416および417は、横方向チャネル207の前方に位置し、かつベース201の頂上面206とかみ合っている。ローラー416および417が表面206を横切って通過するときに、フロントガイドタブ451およびリアガイドタブ452は、それぞれ、フロント開口部453およびリア開口部454の底部エッジの上方に約0.5インチスペースを設けており、その結果、ローラー416および417上のコイルスプリング457および458が少なくとも30ポンドの力を働かせる。
角度に対して無作為化されたローラー416および417の旋回は、キャリッジアセンブリ431の後方へのストローク中にローラーが頂上面206を解放する場合に、ローラーが圧力プレート361の上方に自由に移動する性能によって達成される。キャリッジアセンブリ431内にベアリングアセンブリ468を備えることは、この自由な移動を容易にする。したがって、ローラー416および417が圧力プレート361の上方にスペースを設けるか、さもなければミキシング中の自由な移動を許容するような実施態様が供与され得ることは、理解されるべきであり、本発明の範囲内である。
図26に示されるように、左右ラッチ336および337を解除する手段は、ミキサー52内に備えられ、それによって破壊シールクランプ317がその作動位置(バー318が横チャネル207内に位置する)からその外れた(out-of-the-way)位置まで移動される。解除手段には、左右空気式アクチェーションシリンダー511および512が、フレーム231の左右側部部材232および233のそれぞれの内側に装備されている。図13、15および25〜26に図示されるように、左アクチェーションシリンダー511は、図25に示される収縮位置から図26に示される伸張位置まで移動するピストン513を備える。左プレート部材516またはスライドプレート516は、ステンレス鋼または他の適切な材料から形成されており、左取付けブロック296の内側にスライド可能に装備されている。左シフター516が図25に示される第1すなわち後方長軸位置から、図26に示される第2すなわち前方長軸位置まで移動できるように、取付けブロック296は、内側方向に伸びているピン517を有し、スライドプレートすなわちシフター516は、ピンおよびスロット手段を形成するための長軸方向伸張スロット518を有する。左シフター516は、ピストン513に取付けられたリア端部516aおよび左ラッチ336の上部端部338に取り付けられ旋回するフロント端部516bを有し、これらにより破壊シールクランプ317の左旋回アーム321を解除する。
右アクチェーションシリンダー512は、左アクチェーションシリンダー511と実質的に類似し、長軸方向可動ピストン521(図16を参照すること)を備える。右プレート部材すなわちサイドプレート522は、右取付けブロック297中に供与された通路523内でスライド可能な移動のために長軸方向に配置されている。右スライドプレートすなわちシフター522は、ピストン521に取付けられたリア端部522aを有し、右ラッチ337の上部端部338との取り付けのための取付けブロック297の前方端を超えて突出している。従って、右アクチェーションシリンダー512および右シフター522は、破壊シールクランプ317の右旋回アーム322と同時に右旋回アーム321を解除するように、旋回右ラッチ337を供する。
スキージーアセンブリ531の形成におけるパウダーチャンバー73を加圧する手段は、破壊可能シール127(図13〜14および20〜21を参照のこと)を破壊させるようにミキサー52内に備えられる。スキージーアセンブリ531はさらに、パウダーチャンバー73内の材料を破壊シール127を介して送達チューブ111の保持チャンバー112内へ移動させるのに役立つ。アセンブリ531は、硬度計範囲で50〜60ショアA硬さを有するneoprene(R)のような任意の適切なエラストマーから形成されるスキージーローラー532を備える。スキージーローラー532は、外部円筒形表面533を有し、シャフト538によって、その左右端部でそれぞれ左右旋回プレート536に横切って装備されている。次いで、左右旋回プレート536(SSTあるいは他の任意の適切な材料から形成されている)は、それぞれ、ガルウィング432の左右サイドプレート433および434上に、ピン541によって旋回可能に装備されている。従って、スキージーローラー532は、フロントおよびリアローラー416および417の旋回軸に平行に伸びている旋回軸を中心に旋回する。また、スキージーローラー532は、図20の実線で示される第1すなわち外部外れた位置と図20の破線で示される第2すなわち作動位置との間でピン541によって規定される横方向伸張軸を中心に旋回する。ミキサー52が閉じ、旋回プレート536が下向きに旋回する場合、スキージーローラー532は、キャリッジアセンブリ431がベース201を通過するとき、頂上面206を留めるように、高く位置される。旋回プレート536は、直立部分542(追加ローラー543がこの間でピン546によって旋回可能に装備される)と共にそれぞれ形成される。板ばね547は、ガルウィング432の裏側に装備され、横方向伸張ローラー543を固定するために前方に伸び、圧迫ローラー532をその外れた位置に維持する。図20に示されるように、左旋回プレート536は、さらに、付随部分548と共に形成される。
また、左アクチェーションシリンダー511およびシフター516は、スキージーローラー532をその外れた位置からその作動位置まで旋回させるために供される。このことを考慮して図25〜27を参照すると、左シフター516は、そのリア端部516aと一体的に形成される内側伸張タブ555を備える。タブ555は、シフター516がアクチェーションシリンダー511の力を受けて長軸方向を前方に移動ときに、左旋回プレート536の直立部分542を固定するようなサイズである。左旋回プレート536は、それがタブ555によって前方に旋回された後でありタブ555に接触する(図26の破線)前には、図25の破線で示されている。
螺旋テンションスプリング561の形態のスプリング手段は、左シフター516および破壊シールクランプ317を再起立させるために、ミキサー52中に備えられる(図15および25〜26を参照とする)。長軸方向伸張スプリング561のリア端部は、左側面部材232の内側に取り付けられ、スプリング561のフロント端部は左シフター516のリア端部516aに形成されたホック563に取付けられる。テンションスプリング561は、左シフター516に対して後方への連続する力を発揮する。このように、テンションスプリング561によって、左アクチェーションシリンダー511が停止すれば、シフター516は、図25に示されるそのリア位置へ移動して戻ることとなる。
ベルクランク部材すなわちベルクランク566は、キャリッジアセンブリ431が戻り終える間、圧迫ローラー532をその作動位置からその外れた位置に戻すために、ピン567によって左側面部材232の内側に旋回可能に装備される(図25および26を参照のこと)。ベルクランク566は、ステンレス鋼または他の任意の適切な材料から形成され、鋭角に接続した第1および第2アーム568および569を供える。ピン567は、アーム569が第1アーム568と接続し、ベルクランク566が図26に示される第1すなわちホーム位置と図25に示される第2すなわち作動位置との間で旋回可能な場合、第2アーム569に連結される。螺旋テンションスプリング571は、そのフロント端部でベルクランクの頂端でピン567の下に接続され、そのリア端部でフレーム側面部分232に接続され、その結果、ベルクランクをそのホーム位置に収めさせる。左シフター516は、そのリターン移動の間、ベルクランク566をその作動位置へ旋回させるため、垂直方向に傾いている第2アーム569を固定し、従って第1アーム568が水平方向から上に角度を付けることができる。横軸方向に伸びるピン572の形態であるストップは、左旋回プレート536の付随部分548を固定するために、第1アームの自由端568に供与され、従って、圧迫ローラー532は図20の実線で示されるその外れた位置へ旋回して戻ることができる。
細長い部材すなわちバー576は、破壊シールクランプ317をシフター516に連結するために、左ブロック326および左取付けブロック296を超えて伸びている(図25〜26を参照のこと)。細長い態様のバー576は、ステンレス鋼または他の任意の適切な材料から形成される。特に、バー576のフロント端部は、ピン333に取付けられ、バー576のリア端部は、左取付けブロック296を介して伸びる追加ピン577に取付けられ、それと共にスライド運動するためにシフター516に取付けられている。従って、左シフター516の後方への移動によってピン333はスロット332を介して移動でき、破壊シールクランプ317はピン323を中心に後方に旋回でき、図25の作動位置に移動することになる。
ミキサー52は、前述の装置の種々の要素を稼動するのに利用される空気式アクチェーション手段で記載されてきた。用いられる空気式アクチェーション手段は、特徴において従来的であり、当業者が容易に生産可能であるから、詳細には例示しなかった。前述のように、アクチェーション手段は、また、当業者に公知のタイプの電気アクチェーション手段であり得る。この装置は、従来のオン/オフスイッチを用いて始動され停止されてもよい。
送達装置53(図29〜34で例示される)は、アルミニウムまたはプラスチックのような任意の適切な材料から作られるハウジングすなわちシェル701を備える支持構造を有する。ハウジング701は、一般に形が円筒形で、フロント端部702aおよびリア端部702bを有する細長い上部702を有する(図29を参照のこと)。上半分703はピン706によってリア端部702bにおいて底半分704に旋回可能に連結される。さらに、ハウジング701は、上部702に依存するハンドル部分すなわちハンドル707の形態のハンドル手段を備える。
上部702は、長手方向の軸に沿ってハンドル707からフロント端部702に沿って前方に伸びているプラットホーム712を有する、細長い内部チャンバーすなわち隔室711を形成する。プラットホーム712は、向かい合う上部平面713および下部平面714を有する(図30〜31を参照のこと)。上部702は、ミキサー52で調製される生体適合性のリン酸カルシウムの水硬化セメント成分716をその内部に有する送達チューブを受容するように調節される。この点に関すれば、プラットホーム712は、送達チューブ111の長さおよび幅に少なくとも等しい長さおよび幅を有する。クランプ手段718は、上部702のフロント端部702aに供与され、装置53を受容し、送達チューブのフロント端部111bに供与されるカプラー132を固定する(図34を参照のこと)。クランプ手段718は、ハウジング701の上半分703および下半分704にそれぞれ形成された上部リップ721および下部リップ722を備える。リップ721および722は、それぞれ、内部にくぼみ723および724を有し、これらは共に、ぴったりフィットする取り付け部132の中央部分152を協働的に受容するのに適したサイズおよび形のハウジング701内に開口部を形成する。従って、リップ721および722は、送達装置53に対する送達チューブ111の長手方向の移動を不可能にする。
円筒形のローラー726の形態のローラー手段は、プラットホーム712の上部表面713に沿った長手方向の移動を提供され、送達チューブ111からのセメント成分716を圧迫する(図30〜32を参照のこと)。圧迫ローラー726は、硬度計範囲50〜70ショアA硬さを有するシリコーンラバーのような任意の適切な材料から作られる。ローラー726は、外部円筒形表面727および約1インチの直径を有する。ローラー726をプラットホーム712に装備するための手段は、ステンレス鋼または他の任意の適切な材料から作られる支持部材すなわちキャリッジシャーシ731を備える。キャリッジシャーシ731は、第1すなわち左側部平面732および第2すなわち右側部平面733、ならびにスペースを設た側部プレート732と733との間に垂直に伸びる中間プレート736および後部プレート737を有する。キャリッジシャーシ731は、装置53の上部702によってブラケット(図示せず)のそばまで運ばれる。ローラー726は、中間プレート736の前方に位置され、左右側面プレート732と733との間で横方向にかつ垂直に伸びているピン738によってキャリッジシャーシ731に旋回可能に装備されている。ローラーがプラットホーム712に沿って移動するとき、ローラー表面727を上部表面713上に堅固に維持するための手段が供与される。
駆動手段すなわちアセンブリ756は、ローラー726をプラットホーム表面713に沿って前方に移動させるのに役立つ。アセンブリ756は、フロント壁758およびリア壁759ならびに左右壁761および762ならびに底部壁763を有する箱状部材すなわちプッシャー757を備える(図30〜32を参照のこと)。プッシャーは、開口頂部を有する。プッシャー757は、キャリッジシャーシ731内に配置されるためのサイズを有し、キャリッジシャーシは、シャーシ731の中間プレート736および後部プレート737にそれぞれ向かい合うプッシャー757のフロント壁758およびリア壁759を有する。細長い円筒形のロッドすなわちスラストロッド771は、プラットホーム712に平行な方向に、ハウジングチャンバー711の実質的に全長にわたって伸びている。開口部は、スラストロッド771がスライド可能に伸びるために、シャーシ731の中間プレート736および後部プレート337の上部内に、そしてプッシャー757のフロント壁758およびリア壁759内に供与される。垂直に配置されたシンチ要素すなわちシンチ772は、ロッド771によってプッシャー757内に運搬される。細長いシンチ722は、図30〜31に示されるようにわずかにS字状の構造を有し、ロッド773を受け入れるために、向かい合う表面の上部を介して伸びているボア773と共に供与される。シンチ772の底端部は、シンチが図30に示される後方部分と図31に示される前方部分との間で、プッシャーに対して旋回可能であるように、プッシャー757の底壁763内に供与されている開口部776内に位置している。プッシャー757、スラストロッド771およびシンチ772は、それぞれ、ステンレス鋼のような任意の適切な材料から形成される。コイルスプリング777は、シンチ772とプッシャー757のリア壁759との間のスラストロッド771を中心に同軸に配置されており、シンチをその前方位置に付勢する。シンチ772の頂端は、シンチのフィンガーアクチェーションが送達装置53のユーザーによって許容されるために、上部702の頂上に供与されているスロット779を介して伸びている。
送達装置53内でのスラストロッド771の長軸方向の往復運動は、プラットホーム712に沿ったプッシャー757の前方への移動という結果となる。これに関すると、その内部のシンチ772およびボア773のサイズおよび形状は、スラストロッド771がボア773を介して前方にスライドするのを防止する。その結果として、スラストロッド771の前方への移動において、シンチ772は、ロッド771に調和するプラットホーム712に対してシンチが前方に移動するように、ロッド771を中心にロックされる。シンチ772は、スラストロッド771が後方に移動するする間、コイルスプリング777から力がかかって、前方位置にとどまる。ロッド771は、ロッド771の後方への移動中に、シンチボア773を介して自由にスライドできるように許容される。
スラストロッド771の長軸方向の往復運動を引き起こす手段は、ハンドル707によって遂行され、横方向に伸びているピン782によってハウジング701上に旋回可能に装備されているベルクランク781を備える(図30〜31および33を参照とすること)。ベルクランク781は、ファスナー783によってスラストロッド771のリア端部に旋回可能に連結されている第1アーム781a、およびファスナー787によって細長い要素すなわちプーラー786に旋回可能に連結されている第2アーム781bとを有する。互いに直角に伸びているトリッガー792およびアーム793を有するL型部材791は、横軸方向伸長ピン794によってハンドル707の底端部付近に旋回可能である。プーラー786の底端部は、ファスナー796によってアーム793の自由端に旋回可能に連結されている。従って、トリッガー792は、図30に示される第1すなわちホーム位置と図31に示される第2すなわち作動位置との間で、ピン794を中心に旋回可能である。トリッガー792のその作動位置への動きは、強固なプーラー786がベルクランク781の第1アーム781を前方に旋回させるのを引き起こす。スラストロッド781は、ベルクランクアーム781aの旋回と一致して前方に移動する。トリッガー792は、プーラー786の低部の付近に装備されている螺旋圧縮スプリング801によって、ホームポジションの前方に付勢される。スプリング801の第1端部はプーラー786中に形成されているショルダー802に接触し、スプリング801の第2端部はハウジング701に強固に取り付けられているストップ803に接触する。プーラー786は、ストップ803を介してスライド可能に伸びている。従って、作動されたトリッガー792の弛緩によって、スラストロッド771が図30に示されるホーム位置へと後方に移動して戻る。ベルクランク781、プーラー786およびL型部材791は、それぞれ、ステンレス鋼または任意の他の適切な材料で形成される。
プッシャー757は、後方位置、すなわち、通常位置(この位置では、図30に示すように、プッシャー後壁759がシャシ後板737と接している)と前方位置、すなわち、作動位置(この位置では、図31に示すように、プッシャー前壁758がシャシ中間板736と接している)との間で、カートリッジシャシ731中を縦方向に移動可能である。プッシャー757は、螺旋スプリング811(これは、スラストロッド771の回りに同軸状に取り付けられており、シャシ中間板736とプッシャー前壁758との間で、圧縮配置されている)により、その通常位置に方へと歪められている。
ツメ816は、シンチ772がその前方位置にある間、プラットホーム712上のローラー726の後方への回転および移動を制限するための分配装置53の手段に含まれる。ツメ816は、このカートリッジシャシの側板732および733の間で垂直に伸長しているピン817により、中間板736の前方のカートリッジシャシ731に旋回的に取り付けられている。作動要素818は、その前方末端にて、ツメ816と旋回的に連結されている。この作動要素の後方末端は、シンチ772の対向面を通ってスライド可能に伸長しており、この作動要素がこのシンチを通って前方に引かれるのを防止するために、このシンチに接するファスナー819をその上に有する。作動要素818の回りには、コイルスピリング821が取り付けられ、その前方末端にて、ツメ816と接しており、また、その後方にて、シンチ772と接している。
絞りローラー726がプラットホーム712に沿って前方に移動するときに分配管111への圧力を高めるため、およびローラー726がプラットホーム712に沿って前方に移動しないときに管111への圧力を下げるために、追加の抗ドリブルローラー826が設けられる。圧縮部材またはローラー826は、およそ0.25インチの直径を有し、絞りローラー726と同じ材料から製造されている。ローラー826は、ピン817の末端上の間隔を置いて離れた位置に旋回的に取り付けた第一(または左)および第二(または右)支持アーム827および828によって、カートリッジシャシ731上に取り付けられている。これらの支持アームは、各個の後方伸長部827aおよび828aを有し、これらの伸長部は、各個のプッシャー壁761または762とカートリッジ側板732および733との間で伸長している。ピン833は、プッシャー側壁761または762の頂部から下方に伸長している垂直溝832内にスライド可能に収容されるように、伸長部827aおよび828aのそれぞれから内側に突出している。支持アーム827および828は、それぞれ、各個の前方伸長部827bおよび828bと共に形成され、これらは、絞りローラー726上にアーチ形に伸長している。ローラー826は、ピン831により、伸長部827bおよび828bの前方末端の間に回転可能に取り付けられている。カートリッジシャシ731内でのプッシャー757の前方運動により、ピン833は、抗ドリブルローラー826を図30で示す隔離位置から図31で示すより低い操作位置へと旋回させるために、溝832内を上方に移動させる。
また、本発明により、リン酸カルシウムセメントを使用する用途で用いるためのキットが提供され、この場合、問題のキットは、少なくとも、本発明による二成分セメントを収容する保管手段を包含する。このキットは、さらに、上記の分配装置および/または混合装置を含んでいてもよい。また、このキットには、種々の管状分配手段(例えば、この分配装置の密封手段および出口ポートに取り付けた、材料を対象部位に導入するための針、カニューレまたは他の適切な分配手段)を設けることができる。このキットは、さらに、この保管手段に収容されたセメントを調製するための取扱説明書を含んでいてもよく、この場合、この取扱説明書は、この保管手段用の標識、パッケージ挿入物および/またはキット包装物の1個またはそれ以上に入れることができる。
上記対象システムは、固形状リン酸カルシウム製品に構成できる流動性材料を、(例えば、歯科用途、頭蓋-顎-顔面(craniomaxillofacial)用途および整形外科用途)の生理学的対象部位に導入するのが望ましい場合の使用を見出す。整形外科用途では、このセメントは、一般に、上記のように調製され、そして骨修復部位(例えば、海綿質骨および/または皮質骨)に導入される。
対象システムにより調製したセメントが特に利用できる整形外科用途には、哺乳動物宿主(特に、ヒト)での骨折治療および/または移植片増強が挙げられる。このような骨折治療方法では、まず、骨折が整復される。骨折の整復に続いて、対象システムにより調製した流動性構造材料が、上記分配装置を用いて、骨折領域の海綿質骨組織に導入される。本発明が利用できる具体的な整形外科適応症には、以下がある:(1)異形椎体の治療;(2)椎体突発骨折の治療;(3)椎弓根ネジ増強;(4)末端橈骨の骨折の治療;(5)転子間(intertrochanteric)臀部骨折の治療;(6)大腿骨頸(femoral neck)骨折の治療;(7)虚血壊死の治療;(8)脛骨水平部の骨折の治療;(9)踵骨の骨折の治療;(10)軟組織の再癒着;(11)近位上腕骨の骨折の治療;(12)脊椎融合;(13)寛骨臼の骨折;(14)骨盤骨折;(15)全体的な関節形成(初期および修正の両方)など。これらの各用途は、以下でさらに詳細に論述する。
I.異形(compromised)椎体の治療
対象システムで調製したセメントは、異形椎体の治療に利用できる。「異形椎体」とは、骨改造障害に罹っていない宿主(すなわち、正常コントロール)で見出される椎体と比較して、その海綿質骨塊が少なくとも減っている椎体を意味する。典型的には、異形椎体は、構造的に変形された椎体であり、この場合、このような構造的な変形は、典型的には、圧縮または骨折の形状であり、この圧縮および/または骨折は、椎体の1個またはそれ以上の個別の領域で起こり得るが、通常、椎体の前部に影響を及ぼす。治療とは、椎体での構造的変形の進行を、(もし、停止させないなら)、少なくとも遅らせることを意味する。治療には、また、椎体の圧縮負荷能力および/または初期構造を回復させる状況が含まれる。治療には、また、海綿質骨塊が正常コントロールに見出されるものと比較して減っているが圧縮または骨折していない椎体の予防的治療が含まれる。対象方法を用いた圧縮骨折の治療は、特に重要である。
対象方法では、椎体へのリン酸カルシウムセメントの導入前に、異形椎体は、必要に応じて、解剖学的に整復され、この場合、椎体の解剖学的整復法は、当業者に公知である。Rockwood & Green(4th ed.)p.529およびそこで引用された参考文献を参照せよ。あるいは、ある状況では、異形椎体の高さを回復させるために、以下のアプローチを使用するのが望ましい場合がある。まず、使用する構造材料(例えば、リン酸カルシウムセメント)を、隣接椎体に導入し、そして固化させる。この隣接椎体中の構造材料の固化に続いて、次いで、異形椎体を整復させ得る。この手順は、隣接椎体の構造的な完全性が、整復力に耐えるほどには充分ではない状況において、適用できる。
患者の調製および骨折椎体の任意の解剖学的整復に続いて、適切なセメント分配/導入手段(例えば、大孔針)が選択される。大孔針を使用する場合、この針のゲージは、一般に、約6〜16、通常、約10〜14、より通常には、約12〜14の範囲であり、この場合、この針の選択の際に考慮する主なパラメータの1個には、このリン酸カルシウムセメントがこの分配手段を通って容易に流動する性能、およびこの分配手段を所定部位および患者の特定の椎弓根内に固定する性能がある。
この流動性リン酸カルシウムセメント組成物の異形椎体への導入前に、椎体中に存在する任意の緩い物質、すなわち、除去可能な物質(脂肪骨髄物質などを含めて)を取り除くために、椎体を、温生理食塩水または他の適切な溶液でフラッシュしてもよい。さらに、椎体の温度を低くするために、椎体を、冷生理食塩水または他の適切な溶液でフラッシュしてもよく、これにより、その固化が遅らされ、このセメントの浸透が改善され得る。椎体をそのように冷却する場合、椎体を冷却するのに使用する溶液の温度は、一般に、25℃未満、通常、20℃未満であり、一般に、0℃より高く、通常、4℃付近である。上記の部位準備工程に加えて、血管アクセスを評価するために、静脈造影を実施してもよい。
上記工程だけでなく下記のセメント導入工程を実施する際には、当業者に公知の種々の方法を用いて、針または他の分配手段を椎体に導入してもよい。一般に、この針は、好ましくは、脊髄周辺(perispinally)か椎弓根を通ってかいずれかで、通常、椎弓根を通って、後側方アプローチを用いて、導入される。
対象方法の次の工程は、異形椎体の海綿質骨領域に存在するボイドまたは空間の少なくとも一部から実質的に全部までを、この流動性リン酸カルシウムセメントで満たすことである。従って、治療する異形椎体の性質(例えば、骨塊の疾患および/または圧縮骨折の存在)に依存して、椎体の1/3程度をこのセメントで満たしてもよく、この場合、満たされる椎体部分は、一般に、椎体の少なくとも約1/2である。時には、椎体の実質的に全部がこのセメント組成物で満たされるが、実質的に全部とは、少なくとも90%、通常、少なくとも95%を意味する。
この工程は、一般に、この針の末端が椎体の前方領域になるように、針を上記のように挿入することにより、達成される。望ましい場合には、次いで、圧力を加えて、上記リン酸カルシウムセメントをこの針に通して移動させ得、この場合、使用する圧力は、過度ではなく、一般に、このセメントを針に通して移動させるのにほぼ充分とされる。このセメントが椎体に入り始めるにつれて、この針を椎体から引き出して、隣接する海綿質骨にセメントをさらに浸透させて、それにより、椎体の海綿質骨がさらにセメントで満たされる。この針を取り除く速度は、一般に、少なくとも約0.1mm/s、通常、少なくとも約1mm/sであるが、一般に、約10mm/sを越えない。この針を取り除いている間、この針の先端を通して、セメントを導入し続ける。この針が殆ど出てしまうにつれて、椎体入口から周囲の軟組織へのセメントの逆流を最小にするために、針をによるセメントの分配は、停止すべきである。
このセメントへの加圧に代えてまたはそれに加えて、治療する異形椎体の海綿質骨領域へのセメントの分配、およびこの領域全体に及ぶセメントの灌流は、少なくとも、このリン酸カルシウムセメントの存在が望ましい海綿質骨領域に外部エネルギーを加えることにより、高めることができる。外部エネルギーとは、例えば、物理的エネルギー、例えば、運動(これは、攪拌、振動、音波などの形状であり得る)を意味する。浸透させる海綿質骨領域にこの外部エネルギーを導入する任意の手段が使用できる。異形椎体の対象領域に外部エネルギーを加える1つの便利な手段は、このセメント分配手段を振動させることであり、この場合、全セメント分配手段を振動してもよくまたは分配手段の単に一部を振動してもよいが、好ましくは、分配手段のうち、対象海綿質骨領域に近接した部分(例えば、分配針)が振動される。所望部位に外部エネルギーを加える他の手段には、異形椎体それ自体および/または隣接椎体を直接攪拌することがある。例えば、異形椎体に外部エネルギーを直接加えるためには、椎体に第二攪拌装置を挿入してもよい。導入する外部エネルギーの量は、過度ではないが、対象海綿質骨領域全体にわたって、このリン酸カルシウムセメント組成物の有効な浸透を促進するのに充分なだけでよい。
異形椎体の適切な部分がこのセメント組成物で満たされることを保証するために、この椎体の充填の進行は、任意の適切な監視手段を用いてモニターし得、この場合、このようなモニタリング手段には、CTスキャン、蛍光透視法、MRI、DEXA(二重エネルギーX線吸光光度法)などが挙げられ、このような手段は、当業者に公知である。
II.椎体突発(burst)骨折の治療
対象システムを用いて調製したセメントは、椎体突発骨折の治療に利用できる。椎体突発骨折を治療するためには、まず、この突発骨折が圧縮を解かれて、脊柱管へと突出している任意の骨が取り除かれる。除圧および任意の突出骨の除去に続いて、除圧により生じた椎体中の任意のボイドに、これらのボイドを実質的に満たすのに充分な量で、インビボでアパタイト生成物へと固化できる流動性リン酸カルシウムセメントが導入される。導入したリン酸カルシウムセメントは、好都合には、保持手段を用いて、投与部位に保持される。このセメントは、次いで、固化され、それにより、この突発骨折が安定化され治療される。椎体突発骨折を治療する際には、対象方法は、脊髄融合(fusion)方法と併せて使用してもよい。
III.椎弓根ネジ増強
対象システムにより製造した流動性材料は、椎弓根ネジ増強用の脊髄固定用途での使用に適切である。このような用途では、脊椎は、まず、公知の手順に従って、使用する粒子脊髄固定装置に依存して、椎弓根ネジの挿入のために準備される。椎弓根ネジを含む種々の脊髄固定システムは、当該技術分野で公知であり、これには、米国特許第5,690,630号;第5,634,925号;第5,584,831号;第5,545,163号;第5,474,558号;第5,366,455号;第5,209,753号;および第5,169,015号で記述のものが挙げられ、これらの開示内容は、本明細書中で参考として援用されている。脊椎を準備する際に、適切な椎弓根の露出に続いて、次いで、ドリルまたは他の便利な手段を用いて、椎弓根に、椎弓根ネジのための穴が形成される。この穴の穿孔に続いて、穴から、液体および/または緩い組織または他の物質(例えば、骨断片など)を取り除いてもよい。次いで、本発明の分配装置を用いて、この調製済み穴に、この穴に椎弓根ネジを安定に配置するのに充分な量で、本発明に従って調製した流動性材料が導入され、この場合、この量は、一般に、約0.5〜5.0ml、通常、約0.5〜3.0ml、さらに一般的には、約1.0〜2.0mlである。次いで、この流動性セメント材料の導入に続いて、流動性材料の固化前に、この穴に、椎弓根ネジが最終位置で挿入されるが、この場合、最終位置での椎弓根ネジの配置は、通常、セメント導入の10分間以内、さらに通常には、セメント導入の5分間以内、好ましくは、セメント導入の3分間以内に達成される。椎弓根ネジの導入およびこの流動性材料の固化に続いて、通常のプロトコルに従って、この脊髄固定化仕様の残りが実施できる。
IV.末端橈骨(radius)の骨折の治療
本発明による末端橈骨の骨折の治療の際の第一工程は、この骨折の整復である。好ましくは、骨折した末端橈骨の正常な長さ、配列および関節表面適合性が回復されるように、この骨折は解剖学的に整復される。本発明で使用するのが適切な骨折整復法は、当該技術分野で周知であり(Rockwood & GreenのFractures in Adults (1991) pp592〜599(その開示内容は、本明細書中で参考として援用されている)を参照)、開放整復法(例えば、縦背面手法、手掌足底(volar)手法、限定背面横断手法による)および閉鎖整復法(例えば、指トラップ牽引など)の両方が挙げられる。この骨折の性質だけでなく整復する様式に依存して、骨折の整復により、骨折領域の海綿質骨において、ボイドまたは開放空間が形成される場合があり、この場合、このようなボイドは、この海綿質骨が、骨折整復時のこのような骨の除圧なしに、骨折中に圧縮された結果である。
対象方法の次の工程は、海綿質骨の骨折ボイドの調製である。海綿質骨の骨折ボイドの調製は、少なくとも、この骨折領域の末端橈骨の海綿質骨において、骨折ボイドの形成を包含し、この場合、このボイドは、通常、骨折線の両側の海綿質骨部分に形成されるように、骨折線を横切っている(すなわち、それを橋渡し、ブリッジ、クロスオーバーしている)。
骨折の整復により骨のボイドが生じる場合には、この海綿質骨の骨折ボイドは、骨折整復の結果として既に存在しているボイドの容量を少なくとも拡大することにより、調製される。既に存在しているボイドを少なくとも拡大するとは、そのボイド容量を、骨折整復に続いて、その初期容量から少なくとも約300%、通常、少なくとも約500%、さらに一般的には、少なくとも約1000%増加させることを意味し、この場合、このボイドは、はるかに末端橈骨の外部皮質へと、近方、内側および側方に拡大してもよい。このボイド容量は、ボイド内の海綿質骨を圧縮できる任意の便利な手段を用いて、拡大できる。例えば、骨鉗子錐などが使用できる。
この海綿質骨の骨折ボイドの調製はまた、骨折安定化形状の海綿質骨を生じるのに充分な様式で、末端橈骨の領域において、海綿質骨が除去および/または圧縮される本発明の実施態様を包含し、この場合、骨折安定化との用語は、骨折を内部安定化するのに役立つ形状を意味し、これには、このボイドのセメント接合、充填などが含まれ、この場合、この骨折領域の末端橈骨の皮質骨の内面に近似した形状が好ましい。
この海綿質骨のボイド容量の調製中、任意の便利な手段(例えば、吸引、Frazier先端、鉗子など)を用いて、必要なら、この調製中で1回以上にわたって、そのボイドから、いずれの組織、液体または他の物質も取り除いてもよく、この場合、このような除去は、さらに、この除去を補助する生体適合性溶液(例えば、生理食塩水液、水、リンゲル(ringers)液など)の導入を含んでいてもよく、この場合、この溶液は、このボイドの温度を低下させるために、冷却できる。冷却溶液を使用するとき、このような溶液の温度は、典型的には、約5〜37℃、通常、約5〜20℃、さらに一般的には、約15〜20℃の範囲である。
この海綿質骨の骨折ボイド容量の調製に続いて、調製済み海綿質骨骨折ボイドには、上記構造材料(例えば、インビボで炭酸化アパタイトのような固体アパタイト生成物へと固化できる流動性リン酸カルシウムセメント)が導入される。この構造材料は、任意の便利な分配手段を用いて導入してもよい。使用する特定の分配手段は、必ず、調製済みボイドに導入すべき構造材料の性質に依存している。この構造材料は、典型的には、流動性ペースト様のコンシステンシーを有するので、通常、注射器、カニューレまたは他のこのような分配手段が使用される。好ましい流動性リン酸カルシウムセメントと共に使用するためには、典型的には、使用する分配手段は、この流動性材料が通過できるのに充分なサイズのゲージを有する針である。通例、この分配手段としては、約8〜16、通常、約9〜16、さらに一般的には、約12〜14の範囲のゲージを有する針が使用される。
調製済みボイドに導入される構造材料の量は、全ボイド容量を実質的に満たすのに充分であり、この場合、実質的に満たすとは、導入した量が、このボイド容量および隣接海綿質骨への浸透の少なくとも約95%、通常、少なくとも約98%、さらに一般的には、少なくとも約99%を満たすのに充分であることを意味する。
調製済みボイドへの構造材料の導入に続いて、この構造材料は、次いで、このボイド容量を実質的に満たす固体生成物へと固化され、この場合、実質的に満たすとの用語は、上で定義したものと同じである。
この構造材料の性質に依存して、この骨折の治療は、さらに、構造材料が固体生成物へと完全に硬化するのに充分な時間にわたって、少なくとも骨折領域の末端橈骨を固定化することを包含できる。例えば、本発明の好ましい実施態様のリン酸カルシウム構造材料を用いて、少なくとも骨折領域の末端橈骨が、約8週間未満、通常、約6週間未満、さらに一般的には、約4週間未満にわたって固定化され、この場合、この固定化時間は、2週間未満、また、1週間未満でさえあり得る。任意の便利な固定化手段が使用でき、この場合、このような手段には、ギブス(cast)の使用が挙げられ、このギブスは、種々の異なる材料(プラスター、重合体材料、成形可能金属など)から組み立てることができ、この場合、ギブスの作製および使用は、当業者に周知である。
本発明は、固定装置と混成されて使用でき、この場合、このような装置は、外部固定装置(例えば、経皮的な固定装置(例えば、Kワイヤ、ピンなど))または内部固定装置(例えば、骨ネジおよびプレート)であり得る。固定装置と混成されて用いるとき、この固定装置は、好ましくは、構造材料、特に、最終固化特性(例えば、強度、統合性など)が固定装置の除去により弱められるかも知れないような材料(例えば、リン酸カルシウムセメント)の中にまたはそれを通って挿入されない。これらの装置は、解剖部位を完全に安定化するのに充分な治癒が起こるまで、骨折部位にとどまる。
V.転子間(intertrochanteric)臀部骨折の治療
対象システムを用いて製造した流動性材料は、転子間臀部骨折の治療に利用できる。このような用途では、この流動性セメント材料は、スライド臀部ネジ装置と共に使用され、この装置は、少なくとも、ラグネジおよびスライドプレート部品から構成される。種々のスライド臀部ネジ装置は、当業者に公知であり、これらには、米国特許第5,562,666号;第5,492,442号;第5,312,406号;第5,167,663号;第5,032,125号;および第4,657,001号で記述のものが挙げられ、これらの開示内容は、本明細書中で参考として援用されている。
本発明に従って転子間臀部骨折を治療する際に、第一工程には、この骨折を整復することがある。転子間臀部骨折を整復する方法は、当業者に公知であり、Rockwood & GreenのFractures in Adults(1996)で記述されており、その開示内容は、本明細書中で参考として援用されている。
骨折整復に続いて、使用する特定のスライド臀部ネジ装置のラグネジ部品が一定位置に導入される。このラグネジを導入するためには、一般に、画像化手段(例えば、蛍光透視画像化手段)で補助しつつ、ラグネジガイドワイヤが、まず、一定位置に挿入される。このガイドワイヤの挿入に続いて、当該技術分野で公知なように、三重拡孔(triple reaming)により、ラグネジ穴が作製される。三重拡孔に続いて、このラグネジは、一定位置に導入される。
ラグネジの配置に続いて、この骨折領域の海綿質骨において、ボイドが調製される。ボイド調製とは、海綿質骨領域から、骨組織および軟組織の両方および他の物質を取り除いて、開放空間(これは、圧縮海綿質骨の領域により、少なくとも部分的に取り囲まれている)を提供することを意味する。これらのボイドは、ボイド領域中の弱い海綿質骨を圧縮および/または除去するキューレットまたは他の適切な装置を用いて、調製される。全ての血塊、骨片などは、灌注または他の適切な手段を用いて、このボイド部位から取り除かれる。ボイドの調製に続いて、以下で詳述するセメント導入工程での充分な充填が得られるように、ボイド面積が評価される。
対象方法の次の工程は重要であり、スライド臀部ネジ装置の側板部品の試行配置を包含し、これは、この側板が、このセメント材料の導入に続いて容易かつ正確に位置づけられることを保証するために、行われる。この側板を挿入して、適切な配置について評価した後、それは、次いで、取り除かれる。
次に、調製済みボイドに、この流動性材料が導入される。このセメントは、通常、分配針または類似の手段を逆行様式で移動させることにより、導入される。好ましくは、上部側方のボイドがまず満たされ、続いて、上部医学的ボイドおよび内側のボイドが満たされる。好ましくは、各ボイド(特に、下部ボイド)は、最大に満たされる。このボイド空間の充分な充填を保証するために、充填は、好ましくは、画像拡大下にて実施される。このセメント導入期間は、比較的に早く、通常、8分間を越えず、さらに一般的には、6分間を越えず、好ましくは、約5分間を越えない。
セメント導入に続いて、このスライド板は、最終位置に配置される。このセメントの固化前(通常、セメント導入の5分以内、さらに一般的には、3分以内、好ましくは、2分以内)に、このスライド板を配置することが、本発明には重要である。
この側板の挿入に続いて、側板の皮質ネジが挿入され、それにより、この側板が一定位置にさらに固定される。必要に応じて、この皮質ネジの導入前に、固定化をさらに高めるために、この側板の皮質ネジ穴(例えば、第一皮質ネジ穴)を通して、追加のセメント材料を導入してもよい。
この骨折は、次いで、この流動性材料が硬化生成物へと固化するのに充分な時間(通常、少なくとも約10分間)にわたって、安定位置で維持され、すなわち、操作されない。
小転節間臀部骨折を治療する対象方法は、多数の利点(安定な整復、構造的医学的支持壁の発生、この装置の末端部分の構造材料による完全な充填などを含む)を提供し、これらは、患者の成果を改善する。
VI.大腿骨頸骨折の治療
この対象システムにより調製したセメントは、大腿骨頸骨折の治療に利用できる。この対象システムにより製造した流動性セメント材料を用いて大腿骨頸骨折を治療する際には、第一工程には、この骨折を整復することがある。大腿骨頸骨折を整復する方法は、当業者に周知である。Rockwood & GreenのFractures in Adults(1996)で記述されており、その開示内容は、本明細書中で参考として援用されている。骨折整復に続いて、大腿骨頸の固定手段のための穴が作製され、この場合、調製済みタイプの穴は、必ず、使用する固定手段の性質に依存している。対象方法で利用できる固定手段には、米国特許第5,573,436号;第5,431,651号;第5,167,663号;米国再発行特許第33,348号などで開示されているネジ型装置だけでなく、非ネジ型固定装置(例えば、Rebar Bone Fixation Devicesの表題の米国特許出願第60/046,668号で記述のもの)が挙げられ、これらの特許の開示内容は、本明細書中で参考として援用されている。対象方法では、少なくとも1個の固定手段、通常、少なくとも2個の固定手段であって、約5個以下の固定手段、通常、約3個以下の固定手段が使用される。調製済み穴への少なくとも1個の固定手段の導入に関連して、対象システムを用いて調製した流動性材料のこの穴への導入がなされ、この場合、導入は、典型的には、特定の固定手段の挿入前に、行われる。この穴に導入する流動性材料の量は、一般に、約0.2〜2.0cc、通常、約0.5〜1.0ccの範囲である。この固定手段は、この流動性材料の固化前(典型的には、セメント導入の10分以内、通常、5分以内、さらに一般的には、2分以内)に、この流動性材料を含む穴に導入される。この骨折領域は、次いで、このセメントが硬化するのに充分な時間(通常、少なくとも約10分間)にわたって、安定な位置で維持される。次いで、この骨折ボイドには、追加のセメントを導入してもよい。上記プロトコルを用いることにより、大腿骨頸の骨折が治療され、ここで、治療されるとは、大腿骨が臀部の小転節に対して安定に位置づけられることを意味する。
VII.虚血壊死の治療
対象システムにより調製したセメントは、虚血壊死に罹っているホストの治療に利用できる。対象方法では、まず、骨壊死領域から、壊死組織の少なくとも一部を取り除いて、調製済み骨ボイドを形成することにより、骨壊死領域を準備するが、この場合、このボイドは、必要に応じて、最適な構造負荷特性を与えるように、調製される。次に、調製済みボイドに、インビボで固体生成物へと固化できる流動性構造材料が導入され、そして硬化される。対象方法は、種々の骨壊死状態の治療に利用でき、特に、大腿骨頭の虚血壊死の治療に使用するのが適切である。壊死骨領域での骨ボイドの調製は、対象方法には重要である。この骨ボイドを調製する際に、この骨壊死領域における壊死骨組織の少なくとも一部は、取り除かれる。この壊死組織の除去により骨ボイドを調製するための任意の便利な装置が使用でき、この場合、適切な装置は、当該技術分野で公知である。
好ましい実施態様では、調製済み骨ボイドは、そこに導入した硬化構造材料が、自己仕込みされて大腿骨頭の周辺の皮質骨へと負荷を分配するような様式で、形成される。そのようなものとして、好ましい骨ボイドは、逆テーパ状カット(例えば、逆円錐形状)を有し、この場合、このボイドの断面積は、この皮質表面の骨ボイド入口へと移動するにつれて、減っている。
この骨ボイドを調製するのに使用する特定の方法は、必ず、虚血領域または骨壊死領域が存在する骨の特定の性質に依存する。大腿骨頭の虚血壊死の治療において対象方法を使用するとき、この海綿質骨ボイドを調製する好ましい1方法には、「トラップ-ドア」法の使用が関与している。
この骨ボイドを調製する際に、任意の便利な手段(例えば、吸引、洗浄、鉗子、キューレットなど)を用いて、必要なら、この調製中で1回以上にわたって、そのボイドから、いずれの組織、液体または他の物質も取り除いてもよく、この場合、このような除去は、さらに、この除去を補助する生体適合性溶液(例えば、生理食塩水溶液、水、リンゲル溶液など)の導入を含んでいてもよく、この場合、この溶液は、このボイドの温度を低下させるために、冷却できる。冷却溶液を使用するとき、このような溶液の温度は、典型的には、約5〜37℃、通常、約5〜20℃、さらに一般的には、約15〜20℃の範囲である。
虚血壊死が大腿骨頸などのような傷害が原因である実施態様では、この骨折は、この骨ボイドの調製前に、整復してもよい。特定の適応症に適切な当業者に公知の骨折整復法が使用できる。
この骨ボイドの調製に続いて、調製済み骨ボイドには、上記構造材料(例えば、インビボで固体アパタイト生成物(例えば、炭酸塩アパタイト)へと固化できる流動性リン酸カルシウムセメント)が導入される。この構造材料は、任意の便利な分配手段を用いて導入してもよい。使用する特定の分配手段は、必ず、調製済みボイドに導入すべき構造材料の性質に依存している。この構造材料は、典型的には、流動性ペースト様の堅牢性を有するので、通常、注射器、カニューレまたは他のこのような分配手段が使用される。好ましい流動性リン酸カルシウムセメントと共に使用するためには、典型的には、使用する分配手段は、この流動性材料が通過できるのに充分なサイズのゲージを有する針である。通例、この分配手段としては、約8〜16、通常、約9〜16、さらに一般的には、約12〜14の範囲のゲージを有する針が使用される。
調製済みボイドに導入される構造材料の量は、全ボイド容量を実質的に満たすのに充分であり、この場合、実質的に満たすとは、導入した量が、このボイド容量および隣接海綿質骨への浸透の少なくとも約95%、通常、少なくとも約98%、さらに一般的には、少なくとも約99%を満たすのに充分であることを意味する。
調製済みボイドへの構造材料の導入に続いて、この構造材料は、次いで、このボイド容量を実質的に満たす固体生成物へと固化され、この場合、実質的に満たすとの用語は、上で定義したものと同じである。
治療領域は、この構造材料の導入に続いて、長期間にわたって固定化状態で保持できるものの、一般に、このホストは、構造材料の初期固化に続いて、この領域を動かすことが許される。この領域を長期間にわたって固定化するなら、このような期間は、通常、約24時間を越えず、さらに一般的には、約72時間を越えない。治療されるとは、患者の壊死組織の相当部分が、この構造材料で置き換えられることを意味する。治療されたことには、また、患者が最初の機能を取り戻した状態が含まれる。
VIII.脛骨水平部の骨折の治療
今、対象方法に目を向けると、本発明に従って末端橈骨の骨折を治療する際の第一工程は、この骨折の整復である。対象方法による治療が適切な骨折は、陥没骨折、分割-陥没骨折または複雑骨折であり得る。好ましくは、この骨折は、実質的に解剖学的に整復される。本発明で使用するのが適切な骨折整復法は、当該技術分野で周知である(Rockwood & GreenのFractures in Adults (1991)1919〜1954頁(その開示内容は、本明細書中で参考として援用されている)を参照)。
脛骨水平部の骨折の骨折整復により、この骨折の複雑性に依存して、海綿質骨の1個またはそれ以上の欠陥またはボイドが形成される。言い換えれば、骨折整復により、1個またはそれ以上の初期海綿質骨ボイドが形成される。この初期海綿質骨ボイドは、典型的には、約1〜20cm3の容量範囲、通常、約5〜15cm3の容量範囲である。
対象方法の次の工程には、調製済み海綿質骨骨折ボイドの形成がある。海綿質骨骨折ボイドの調製は、少なくとも、この骨折領域の脛骨の海綿質骨において、骨折ボイドを形成することを包含し、この場合、このボイドは、通常、骨折線の両側の海綿質骨部分に形成されるように、骨折線を横切っている。
骨折の整復により初期骨ボイドが生じる場合(例えば、陥没骨折の整復)には、この海綿質骨の骨折ボイドは、骨折整復の結果として既に存在しているボイドの容量を少なくとも拡大することにより、調製される。既に存在しているボイド(初期ボイド)を拡大するとは、そのボイド容量を、骨折整復に続いて、その初期容量から少なくとも約300%、通常、少なくとも約250%、さらに一般的には、少なくとも約200%増加させることを意味する。
本発明の1実施態様では、調製済み骨折ボイドは、反転形状を有する。反転形状とは、調製済み骨折ボイドが、その表面断面積よりも大きいベース断面積を有することを意味し、この場合、この表面断面積とは、この脛骨の水平面に実質的に近接したボイドの面積であり、このベース断面積とは、その遠方のボイドの面積である。反転形状の調製済み骨ボイドは、さらに、種々の異なる形状(例えば、円錐、ピラミッド形、不定形など)により特徴付けることができる。
本発明の他の実施態様では、この調製済みボイドは、実質的に、脛骨水平部の内部海綿質骨領域に一致する形状、すなわち、皮質性骨により束縛された領域に相当する形状を有する。
この調製済み海綿質骨ボイドは、任意の便利な手段(例えば、錐、骨タンプ(bone tamp)など)を用いて調製できる。
この海綿質骨のボイド容量の調製中、任意の便利な手段(例えば、生理食塩水を用いた灌注、吸引など)を用いて、必要なら、この調製中で1回以上にわたって、そのボイドから、いずれの組織、液体または他の物質も取り除いてもよく、この場合、このような除去は、さらに、この除去を補助する生体適合性溶液(例えば、生理食塩水溶液、リンゲル溶液など)の導入を含んでいてもよく、この場合、この溶液は、このボイドの温度を低下させるために、冷却できる。冷却溶液を使用するとき、このような溶液の温度は、典型的には、約5〜25℃、通常、約10〜20℃、さらに一般的には、約15〜20℃の範囲である。
この海綿質骨の骨折ボイド容量の調製に続いて、調製済み海綿質骨骨折ボイドには、上記構造材料(例えば、インビボで固体アパタイト生成物(例えば炭酸化アパタイト)へと固化できる流動性リン酸カルシウムセメント)が導入される。この構造材料は、任意の便利な分配手段を用いて導入してもよい。使用する特定の送達手段は、必ず、調製済みボイドに導入すべき構造材料の性質に依存している。この構造材料は、典型的には、流動性ペースト様の堅牢性を有するので、通常、注射器、カニューレまたは他のこのような送達手段が使用される。好ましい流動性リン酸カルシウムセメントと共に使用するためには、典型的には、使用する送達手段は、この流動性材料が通過できるのに充分なサイズのゲージを有する針である。通例、この分配手段としては、約9〜16、通常、約10〜14、さらに一般的には、約10〜12の範囲のゲージを有する針が使用される。
調製済みボイドに導入される構造材料の量は、全ボイド容量を実質的に満たすのに充分であり、この場合、実質的に満たすとは、導入した量が、このボイド容量の少なくとも約95%、通常、少なくとも約98%、さらに一般的には、少なくとも約99%を満たすのに充分であることを意味する。
調製済みボイドへの構造材料の導入に続いて、この構造材料は、次いで、このボイド容量を実質的に満たす固体生成物へと固化され、この場合、実質的に満たすとの用語は、上で定義したものと同じである。
この構造材料の性質に依存して、この骨折の治療は、さらに、構造材料が固体生成物へと完全に硬化するのに充分な時間にわたり、非重量支持状態にて、少なくとも骨折領域の治療される脛骨水平部を固定化することを包含できる。例えば、本発明の好ましい実施態様のリン酸カルシウム構造材料を用いて、少なくとも骨折領域の脛骨水平部が、少なくとも約1週間、通常、少なくとも約4週間、さらに一般的には、少なくとも約6週間にわたって固定化され、この場合、この非重量支持状態は、典型的には、12週間を越えない期間、通常、8週間を越えない期間にわたって、維持される。非重量支持状態を維持する任意の便利な手段(例えば、松葉杖、歩行器など)が使用できる。
本発明は、固定装置と混成されて使用でき、この場合、このような装置は、外部固定装置(例えば、経皮的な固定装置(例えば、Kワイヤ、ピンなど))または内部固定装置(例えば、骨ネジおよびプレート)であり得る。本発明の多くの実施態様のうち特に重要なものには、内部固定ハードウェア(例えば、骨ネジおよびプレート)と併せた対象方法の使用がある。脛骨骨折の治療で使用するのが適切な種々の骨ネジおよびプレート装置は、当業者に公知であり、これには、米国特許第4,936,884号(その開示内容は、本明細書中で参考として援用されている)で記述のものが挙げられる。
対象方法により、脛骨水平部の骨折の治療(すなわち、回復)が得られ、この場合、治療とは、患者が、少なくとも、脛骨の部分的な使用(もし、完全な使用でないなら)を取り戻すこと、および/または対照と比べて、この骨折の痛みが少なくとも軽減されることを意味する。好ましくは、対象方法により、脛骨の使用の完全な回復が得られる。
IX.踵骨の骨折の治療
本発明により踵骨の骨折を治療する際には、典型的には、第一工程には、踵骨の骨折を整復することがある。踵骨の骨折を整復する方法は、当業者に公知であり、Rockwood & GreenのFractures in Adults(上記)で再検討される。骨折整復の特定の方法は、治療する骨折の性質に依存して変わるが、一般に、踵骨の解剖学的な立体配置を回復させるという目標で実施され、この場合、距骨下間接の間接連続性の回復が、特に重要である。骨折の整復により、一般に、海綿質骨ボイドが形成される。
骨折整復に続いて、この海綿質骨領域の一部に存在するボイド空間を実質的に満たすのに充分な量で、整復した骨折の海綿質骨領域の少なくとも一部に、上記流動性材料が導入される。それゆえ、この構造材料は、この骨折整復および任意のボイド調製によってこの海綿質骨領域に存在するボイド空間の全てを実質的に満たすのに充分な様式で、海綿質骨領域に導入できるが、この場合、本明細書中で使用する「ボイド空間」との用語は、この海綿質骨の固有の多孔性の空間を含まないが、このような多孔性空間は、対象方法の過程において、少なくとも部分的に満たすことができる。あるいは、この材料は、この踵骨の海綿質骨の一部だけにおいて、実質的に全部のボイド空間が満たされるような様式で、導入してもよい。いずれにせよ、「実質的に全部」とは、少なくとも90%、通常、少なくとも95%、さらに一般的には、少なくとも99%の目的の領域のボイド空間が満たされることを意味する。
この構造材料は、便利な方法を用いて、この踵骨の海綿質骨領域に導入できるが、この場合、通常、使用する方法は、大孔針を使用を包含し、この場合、この針のゲージは、一般に、約6〜16、通常、約10〜14、さらに好ましくは、約10〜12の範囲であり、この場合、この針の選択の際に考慮する主なパラメータの1個には、このリン酸カルシウムセメントがこの分配針を容易に流動する性能、および外科医がこのボイドにアクセスする性能がある。
この構造材料の踵骨への導入前に、踵骨海綿質骨領域中に存在する任意の緩い物質、すなわち、除去可能な物質(脂肪骨髄物質などを含めて)を取り除くために、この領域を、温生理食塩水または他の適切な溶液でフラッシュしてもよい。さらに、踵骨の温度を低くするために、この海綿質骨領域を、冷生理食塩水または他の適切な溶液でフラッシュしてもよく、これにより、その固化が遅らされ、このセメントの浸透が改善される場合がある。踵骨をそのように冷却する場合、踵骨を冷却するのに使用する溶液の温度は、一般に、25℃未満、通常、20℃未満であり、一般に、0℃より高く、通常、4℃付近である。
必要に応じて、この海綿質骨ボイドは、この構造材料の導入前に調製してもよく、この場合、調製するとは、このボイドの直ぐ隣の海綿質骨が、このボイド容量を拡大するのに充分な様式で、少なくとも部分的に圧縮または除去されることを意味する。
対象方法の次の工程は、踵骨の海綿質骨領域に存在するボイドまたは空間の少なくとも一部から実質的に全部までを満たすことである。この工程は、一般に、満たすべき領域に針を挿入することにより、達成される。望ましい場合には、次いで、圧力を加えて、上記リン酸カルシウムセメントをこの針または類似の導入手段に通して移動させてもよく、この場合、使用する圧力は、過度ではなく、一般に、このセメントを針に通して移動させるのにほぼ充分とされる。このセメントが海綿質骨に入り始めるにつれて、この針を海綿質骨から引き出して、隣接する海綿質骨にセメントをさらに浸透させて、それにより、踵骨の海綿質骨がさらにセメントで満たされる。この針は、この海綿質骨ボイド中のセメントの一定の加圧ができる速度で引き出され、このボイドの最大充填およびボイドの周辺にある隣接海綿質骨の浸透が可能となる。この針を取り除く速度は、一般に、少なくとも約0.1mm/s、通常、少なくとも約1mm/sであるが、一般に、約10mm/sを越えない。この針を取り除いている間、この針の先端を通して、セメントを導入し続ける。この針が殆ど出てしまうにつれて、踵骨入口から周囲の軟組織へのセメントの逆流を最小にするために、針によるセメントの送達は、停止すべきである。
この構造材料の踵骨への導入に続いて、この構造材料は、固体生成物に固化される。この材料を固化させる際に、この踵骨は、この材料が固化するのに充分な時間にわたって、固定化状態で維持される。
対象方法は、少なくともこのセメントが固化する期間中に、骨折整復および/または踵骨固定化を維持するための固定手段と併せて、使用できる。踵骨を固定状態で維持する任意の固定手段が使用でき、この場合、このような手段には、以下が挙げられる:外部手段(例えば、ギブス、経皮的な手段(例えば、Kワイヤ));内部固定装置(例えば、プレートおよび骨ネジ)など。治療する骨折の性質に依存して、固定手段は、一時ベースまたは永久ベースで置くことを意図している。例えば、Kワイヤは、セメント導入および固化の前またはその間における骨折整復を維持するために、使用できる。この材料の固体生成物への固化に続いて、Kワイヤは、次いで、取り除いてもよい。
別の固定手段は、使用するとき、この流動性構造材料の導入前または後に導入できる。この固定手段を導入する時点は、必ず、使用する特定のタイプの追加固定手段に依存する。例えば、固定手段がギブスである場合、この固定手段は、この構造セメント材料をボイドに導入した後、使用される。逆に、内部ハードウェア固定手段を使用する場合、このセメントは、一般に、この固定手段の移植後に、導入される。
このようにして、踵骨骨折が治療される。治療されるとは、治療するホストの状態に少なくとも改善が見られることを意味し、この場合、少なくとも改善とは、骨折に付随した苦痛および歩行の問題の少なくとも一部が、治療を施さなかった状態と比べて、軽減または改善されていることを意味する。多くの場合には、対象方法により、苦痛は実質的に全くなくなり、そして充分な程度の運動が戻る。
X.軟組織の癒着
対象システムにより調製したセメントを軟組織の固定に使用する際には、この構造材料は、軟組織を骨の表面に安定に癒着させるのに使用できる。本発明の第一実施態様では、所望の軟組織癒着部位(軟組織の一部、すなわち、腱または靱帯の端部)で調製した海綿質骨ボイドは、このボイド内の任意のボイド空間を実質的に満たすのに充分な容量の流動性構造材料と混成されて、この骨ボイドに導入され、この構造材料は、固体生成物に固化されて、それにより、この軟組織は、この骨表面に安定に癒着されるかまたは結合される。当業者によって「鉢植え(potting)」手順として知られている本発明のこの実施態様では、任意の便利なボイド形状が使用できる。このボイド中の軟組織を「鉢植え」するためには、この流動性構造材料は、まず、この組織の導入に続いて導入でき、またはその逆であり、またはこれら2個を実質的に同時に導入してもよく、導入順序は、実施する特定の操作に基づいて、便宜的に選択される。
本発明において採用される骨ボイド(bone void)は標準形、テーパー状または逆テーパー状であり得る。標準という言葉は骨ボイドが実質的に平面底部表面境界を含むか、または実質的に垂直の壁(例えば円柱状形状のボイドに見られるように)によって取り囲まれることを意味する。テーパー状とは、皮質骨表面から海面質骨に移るにつれ骨ボイドの断面積が徐々に減少すること意味する。逆テーパーとは、外向きの張力が軟らかい組織上にそれに伴い加わるとき、骨圧縮力が構造材料に加わる形状を意味し、ここで「外向き張力」とは、張力が骨表面から離れる向きに導かれることを意味する。逆形状の骨ボイドは、上面よりも(通常少なくとも約1.1の係数により、より通常には少なくとも1約.5の係数により)大きな断面積を有するベース面を有することにより特徴づけられる。ここでベース面は骨表面から遠位のボイド形状の底面領域に配置され、上面は軟組織装着の所望の部位において実質的に骨の表面に配置される。逆形状ボイドを調製するために採用される手段により、ボイドはピラミッド形状、円錐形状、不規則形状などであり得、およびあり溝断面形状であり得る。一般に逆形状ボイドは円錐形状であり、ボイド部分の上部より大きい円形ベースを有する。逆形状ボイドの容積は特定の骨と軟組織を含めた容積、係留方法その他の性質に影響するパラメータとともに、達成されるべき軟組織の係留の特質によって大きく変化し得る。本方法で調製される骨ボイドの全体サイズは、0.1から5.0ccの範囲にあり、通常は約0.1ccから4.0ccの範囲である。大きなボイドに対しては、(例えばACL再構成(reconstruction)における骨プラグ用のもの)下記に、より詳細に述べるように、ボイド容積は通常約1.0から5.0ccのサイズの範囲にあり、より通常には約1.0から4.0ccである。より小さい逆形状ボイドに対して(例えばアンカーとともに使用するためのものは一般に約0.1から1.0ccの範囲にあり、通常は約0.2から0.8ccであり、より通常には約0.2から0.4ccである。
逆形状ボイドを調製するためには、種々の異なった手段が採用され得る。ボイドは標準プローブ、スパーテルなどを使用して純粋に手動様式で調製され得、この場合ボイドが調製されるべき骨のスポンジ状海綿質領域はボイドを作成するため圧縮される。あるいは、穿孔手段が採用され得る。採用され得る穿孔手段は、標準の円柱形状骨ボイドを生じる従来の穿孔手段を含み、この穿孔手段は当業者に公知のように、ガイドワイヤとともに使用するためのカニューレ挿入法であり得る。逆形状骨ボイドを調製するためには、円錐形状の骨ボイドの調製を生じる漸変穿孔手段(graduate drilling means)が採用され得る。逆形状骨ボイドを調製するため、軟組織が付着されるべき骨の性質により、骨の中を進むにつれ幅が拡大する穿孔手段が採用され得る。このようなドリルにはビット、またはベーンもしくは切削エッジを展開し得る同様の装置が含まれ得、これらの装置は骨の皮質の下にくり抜きである「あり溝」を作る。あるいは、ボイドを形成するため、拡張するハンド装置がやすり(rasp)として使用され得る。
本方法のある実施態様において、軟組織係留手段は軟組織を硬化構造材料で安定的に結合させるため使用される。そのような方法において、次のような骨ボイド調製、すなわち軟組織係留手段が骨ボイドに導入され、次いで流動性構造材料
が導入される。
軟組織係留手段は、軟組織への予備付着であり得、または縫合などの固定手段を含み、骨に軟組織を付着させるため、この縫合はベースのような骨固定構成要素と混成され得る、あるいは混成され得ない場合がある。軟組織予備付着を含む係留手段の例は、骨軟組織移植片(graft)を含み、ここで移植片は自己移植、同系移植、同種異系移植または異種移植を含み、そして好ましくは自己移植である。このような係留手段は、膝蓋腱移植片、膝腱移植片、中央大腿四頭筋などを含む。
あるいは縫合などの軟組織を骨係留装置に結び付ける方法を包含する人造骨係留装置が、採用され得る。合成骨係留手段は表面のみからなり得、ここで縫合は骨ボイドにおいてくくられるだけであり得、以下に極めて詳細に述べるように流動性構造材料によりそこに安定的に固定され、あるいは結ばれる。ここで好ましくは縫合はボイドの中でくくられるだけである。合成骨係留手段はより複雑であり得、更に骨固定手段またはベースなどの他の構成要素を含み、隆起部、針突起あるいはその表面の他の握着手段などを有することにより、骨に固定化するよう成形され得る。使用のための異なった方法論を有する様々な異なった係留装置が発展し、本方法での使用に適する。このような装置は米国特許第5,643,320;5,634,926;5,601,558;5,584,385;5,522,843;5,501,696;5,501,683;5,500,001;5,472,452;5,441,502;5,411,522;5,380,334;5,372,604;5,370,662;5,013,316;4,744,353の各号に記載の装置を含み;これらの開示は本明細書に参考として援用される。
係留手段が採用されると、次の係留手段の骨ボイドへの導入が採用される。流動性構造手段が骨ボイドに導入され、そこで係留手段が骨ボイドを埋めこむことにより硬化し得る。係留手段を採用しない実施態様においては、骨ボイドに導入される構造材料の量は、骨ボイドにおけるどのような塞がれていないを空間も実質的に充填するのに充分な量である。
軟組織が係留手段に予備付着される実施態様においては、上記記載のように構造材料の硬化に続き軟組織は骨表面に安定的に結合する。
あるいは、軟組織が予備付着されない合成係留手段においては、この方法は更に軟組織を合成係留装置に付着させる工程を包含する。軟組織を係留装置に固定させる処置は、採用される係留装置の特性により必然的に変化する。一般的に縫合手段を備えるそれらの装置に関しては、当業者に公知の技術を用いた縫合手段により軟組織は係留装置に結びつけられる。
係留手段が縫合のみからなる場合、縫合導入装置が採用され得る。本発明で使用される縫合導入装置は、細長部材とそれに接続する可動縫合位置決め手段を備える。調製されたボイドの底へ縫合ループを配置するために、細長部材は充分に長く、その長さは一般に約2から15cmの範囲にあり、通常は約5から10cmである。細長部材は中実または中空であり得、例えば針のような管状で、ステンレスティール、プラスティックなどの任意の適切な材料で作成され得る。このような細長部材はボイドに流動性構造材料を導入するためにも使用され得るので、ここで好ましいのは針のような中空部材である。ボイドの中に細長部材を導入する間、可動縫合配置手段は細長部材への縫合を安定して固定し得、次いで細長部材が引き出される間、縫合のボイドの中への配置を維持し続け得る。導入の間、細長部材への縫合を更に固定するために縫合導入装置は、遠位端に切り欠きを更に備え得る。いくつかの実施態様においては、引っ張られることが可能な縫合を有することが望まれ得る。そのような実施態様においては、縫合と同じ材料などの好適な材料から作成された「u」型チューブとともに縫合が導入される。ここでチューブは縫合の動きのため硬化したセメントの中にトンネルを提供する。
更なる図示により、自己組織骨-腱移植片などの生理学的係留手段を使用した本発明の使用は、ACL再生(reconstruction)における本発明の方法の使用に関して極めて詳細に記載される。主題方法が採用されるACL再生の応用が実行される1つの方法は以下のとおりである。第1に、大腿骨および脛骨の両方を通じて当業者に公知の方法で、骨トンネルが調製される。好適な移植片が収穫されるが、ここで移植片は通常、骨-組織-骨移植片であり、例えば上述のような膝蓋腱移植片、膝腱移植片などである。この実施態様において、大腿骨に残留することになる骨プラグはテーパー状に切断され、大腿のトンネルもまたテーパー状に切断され、プラグのため上述のように逆形状骨ボイドを形成する。移植片の導入の配置に次いで、骨プラグの後部および周囲の大腿骨トンネルへ構造材料は、導入され硬化し得、それにより骨プラグを所定位置に固定する。次に張力が脛側から軟組織へ付与され、脛骨プラグが取り付けされ得、当業者に公知の標準的締めネジを用いて固定される。あるいは脛骨移植片を固定するため流動性構造材料が採用され得る。
軟組織の骨への係留が所望されるどのような応用においても、本方法は使用される。ここで本方法を用いて骨に係留させ得る軟組織のタイプは、腱、靭帯、被膜(capsuls)などを含み、ここで本方法が使用され得る応用は、ACL再生(reconstruction)、PCL(後部十字靭帯、posterial cruciate ligament)再生、肩回旋腱板の損傷の治療、肩の上腕関節窩脱臼などの骨からの軟組織の解離を伴う肘および踵の損傷の治療を含む。本方法はまた骨と別の骨をつなぐことが所望されるような方法で使用される。
本方法の実施で使用するためのキットもまた提供される。一般的にキットは、上述の燐酸カルシウムセメントの乾燥および液体の成分などの流動性構造材料を調製する成分からなる。キットは、新規な拡張可能穿孔手段など逆形状骨ボイドを調製するための器具を更に含み得る。最後にキットは、ACL再生、骨係留手段とともにあるいはなしで軟組織係留など様々な異なった応用において本方法を実施するための説明書を含み得る。
XI.近位上腕骨の骨折の治療
本方法に従った近位上腕骨の骨折を治療する第1のステップは、骨折の整復である。好ましくは骨折した近位上腕骨の関節表面の正常長さ、整合、および調和の制限が回復するように、解剖学的に整復される。本発明の使用に好適な骨折整復技術は当業者に周知であり、上述のRockwood&Greens’s Fractures in Adults(1991)(その開示は本明細書中に参考として援用される。)を参照すると閉鎖および開放整復技術が含まれる。骨折の性質とその整復の様態によって、骨折の整復には骨折領域の海綿質骨のボイドまたは開放空間の形成を生じ得る。ここでこのようなボイドは、骨折整復に際してのこのような骨の弛緩なしで海綿質骨を圧迫する結果である。
本方法の次の工程は、海綿質骨骨折ボイドの調製である。海綿質骨骨折ボイドの調製は、少なくとも骨折領域の近位上腕骨の海綿質骨での骨折ボイドを生成することを含む。ここでボイドは、通常、骨折線を横切り(すなわちスパン、ブリッジ、クロスオーバであり)、そのため骨折線の両側の海綿質骨の部分に生成される。
骨折の整復が骨ボイドを生じるような例においては、骨折の整復の結果すでに存在するボイドの容積を少なくとも拡張することにより海綿質骨ボイドが、調製される。すでに存在するボイドを拡張することにより、という意味は少なくとも約300%、通常は少なくとも約500%そしてより通常には少なくとも約1000%、骨折整復のあとの最初の容積からボイドの容積が増加することを意味する。ここで骨折ボイドは、近位上腕骨の皮質へ外側に、近位に、半径方向に、および遠位に全ての方向に拡張し得る。ボイドの容積は、ボイドの中の海綿質骨を圧縮し得るどのような好適な手段を用いても骨折ボイドは拡張し得る。例えば、骨鉗子錐(rongeur awl)などが採用され得る。
海綿質骨骨折ボイドの調製は、骨折安定形状を有する海綿ボイドを生成するのに十分なように近位上腕骨の領域で海綿質骨は除去されおよび/または圧迫される本発明の実施態様をも含む。ここで骨折安定という言葉は、骨折に対して内部的な安定を供与する形状のことを示し、セメント、ボイド充填などを含む。これらは、骨折領域で近位上腕骨の皮質骨の内部表面に近似する形状が好まれる場合、ボイドなどを充填する。
海綿質骨ボイド容積が調製されている間、必要ならば吸引、フレージャー針(Frazier tip)、鉗子等どのような好適な手段を使用しても、ボイドは、流体や他の材料などどのような組織も除去し得る。ここでこのような除去には、例えば食塩水、水、リンガー溶液などの除去を支援する生体適合溶液の導入も更に包含し得る。ここで溶液はボイドの温度を下げるため、冷却され得る。冷却溶液が採用された場合、そのような溶液の温度は典型的には、約5から37℃の範囲であり、通常は約5から20℃であり、より通常には約15から20℃である。
海綿質骨ボイド骨折容積の調製に次いで上述の構造材料(例えば流動性燐酸カルシウムセメントは、例えばカーボンアパタイトなどの固体燐灰石生成物にインビボで硬化し得る。)が、調製された海綿質骨骨折ボイドに導入され得る。この構造材料はどのような好適な送達手段を用いても導入され得る。採用される特定の送達手段は、調製されたボイドに導入されるべき構造材料の性質に必ず依存する。構造材料は典型的にはペースト様の粘稠度を有しているので通常、注射器、カニューレ、または他のそのような送達手段が採用される。好適な流動性燐酸カルシウムセメントと使用するための、採用される典型的な送達手段は、流動性材料が通過するための充分なサイズのゲージを有する針である。通常は約8から16のゲージ範囲を有し、通常は約9から16であり、より通常には約12から16のゲージ範囲を有する針が送達手段として採用される。
調製されたボイドに導入される構造材料の量は、全体のボイド容積を実質的に充填するのに充分である。ここで実質的に充填とは、導入される量が少なくとも約95%充填するのに充分な量が導入されることを意味し、通常は少なくとも約98%そしてより通常には少なくとも骨ボイドの容積および隣接する海綿質骨のへ浸透の約99%である。
調製された骨ボイドへの構造材料への導入に次いで、構造材料は次にはボイド容積を実質的に充填し固体生成物へと硬化し得る。ここで実質的に充填とは上記と同じ意味である。本発明の好適な燐酸カルシウムセメントのためには、材料は少なくとも約10分の時間で硬化し得る。
構造材料の性質により、構造材料が充分に硬化し、または固体生成物へと硬化するための充分な期間、骨折の治療は更には、少なくとも骨折の領域の近位上腕骨の固定(immobilization)を包含し得る。いかなる好適な固定手段も採用され得、通常は固着手段(fixation means)の使用を包含するが、このような手段はギプスの使用を包含し、ここでギプスは石膏、ポリマー材料、鋳造金属などを含む種々の異なった材料から製作され得る。ここでギプスの調製と使用は当業者に周知である。本発明は他の固着手段と混成されて使用され得る。例えば固着装置であり、このような固着装置は経皮固定装置などの外部固着装置であり得、例えばKワイヤ、ピンなどがあり、または骨ネジとプレートといった内部固定装置であり得る。固定装置を混成されて使用するとき、固定装置は好ましくは構造材料に挿入されず、または構造材料を介しても挿入されない。特にその強度、一体性等の最終定着特性(final set properties)が有する材料を通すことは燐酸カルシウムセメントなどの固着装置の除去という欠陥になり得る。本方法と混成されて使用する特定目的のひとつの固着方法は、エヴァンスステープル(Evans staple)として当業者により称されるものである。固着手段が採用されるとき、調製されたボイドへ構造材料が導入される前または後に採用され得、ここで採用される特定の導入手順は、治療されるべき特定の骨折、使用されるべき特定の固着手段および採用されるべき特定の構造材料に必然的に関わる。
本方法は様々な種(host)(特に哺乳種において)の近位上腕骨の骨折の治療に使用し得る。ここでこのような骨折は一般に置き換えられ、2部分、3部分および4部分の骨折であり得、ここで2部分の骨折が特に治療のために示され、外科的難題である2部分骨折が特に詳細に示される。
XII.さらなる応用
本発明により調製された流動性セメント材料におけるさらなる応用は、脊椎椎体固定、脱臼骨折、骨盤骨折、総合関節形成など、初期および修正の両方において含まれ採用され得る。
上記のように、本発明による調製されたセメントは、歯科用および頭蓋顎顔面用(craniomaxillofacial)の応用にも使用され得る。このような応用には以下が含まれる。歯周骨欠陥(periodontal osseous defects)の治療、歯根窩(tooth root socket)の充填、歯根管系(root canal system)の充填およびシール、歯移植の修復、歯周再生(periodontal reconstruction)および頭蓋顎顔面と頭蓋底との手術である。
歯周骨欠陥の治療において、流動性セメント材料は歯槽骨欠陥を充填するために使用され、歯周ポケット深さを減少させ歯を安定させ、歯肉組織を支持することにより歯周病の自然回復を容易にする。最初は移植のときには、これは構造および新骨形成のための足場を提供するが、やがて本来の骨に置き換わる。
上述のとおり、セメントは抜歯のあとの歯根窩の充填にも使用され得るが、膿瘍もしくは「歯槽痛」症候群になる可能性を防ぐため最初の抜歯のときか、またはこのような窩関連の罹病治療における2回目の処置のときのどちらかのときに使用され得る。
流動性セメント材料の歯内治療学的使用は、歯根系の除去および洗浄の後の歯根管系の充填およびシールを含み、その結果頂部閉鎖を誘導し漏れを防ぐ。流体環境の中でのセメントの硬さにより、このような応用での通常の材料(例えばグッタペルカなど)に比べて有利であり得、特に接近が制限される領域および乾燥状態(dry field)を維持するのが困難な領域において有利であり得る。
流動性セメント材料は、下顎骨または上顎骨の歯移植の迅速な固着を高めるするため使用され得る。セメント材料は、外科的不正確に起因する骨移植インターフェースにおけるどのようなボイドも充填することにより、そのような応用においてされる。歯移植の所定の手順には2つの処置がある。第1の工程は歯の移植であり、その後歯の据え付け(seating)前の数ヶ月が続く。本発明セメント材料による移植固着の改善は、移植における歯の一体化に通常要求される歯のない期間の必要性を排除するひとつの工程を可能とし得る。
本発明のセメントは、歯周の再生に使用され得、顎堤を保存し、抜歯後の歯槽突起の崩壊を防止しまたは抜歯後もしくは歯の移植の前の歯の無い顎堤を補強させる。このような応用において本セメントは、抜歯の際生じる歯の欠損に注入され得、または調製された骨床上に増強アンレー(onlay augmentation)として注入され得、手術の回数を減らし所望の隆線構築(ridge architecture)を達成する。
頭蓋顎顔面および頭蓋底の手術において、本発明のセメントは、骨切り(osteotomy)、骨折、手術によるばり孔、先天的奇形、および/または新生物疾患に起因する頭蓋顎顔面の歯の欠損 に対して、充填し構造的な一体性を提供する。本セメントの他の使用は、CMFおよび頭蓋底手術の適用においては、従来のORIF金物固着(hardware fixation)の補強、腔閉塞(sinus obliteration)、および脳脊髄液(CSF)漏洩のシールを含む。
本セメントが使用し得る他の歯科応用は、米国特許番号5,695,339;5,622,552;5,462,356;5,427,613;5,415,547;5,382,284;5,367,002;5,346,717;5,338,773;5,336,700;5,213,615;5,154,613;5,104,321;5,009,593;4,386,912;および4,280,842の各号に記載されるものを含み、これらの開示は本明細書に参照として援用される。
上記の結果および議論から、貯蔵し、調製し、燐酸カルシウムセメント構造材料を目的の生理学的部位へ送達する工程が提供されることは明白である。2成分セメントの長期間貯蔵を提供する本発明のシステムは、無菌で便利な形式である。更にセメントの成分は貯蔵手段の閉鎖された無菌環境の中で組み合わされるため、セメントは非無菌フィールドにおいて混合装置で調製され得、そして便利で使いやすい送達装置を用いて、手術の無菌フィールドへ都合よく移される。
本明細書において記載した全ての文献と特許出願は本明細書において参照として援用され、各個別の文献または特許出願が特定的に個別に参照として援用されるよう示されるであろう程度と同程度に、援用される。
本発明は今や充分述べられ、それに対して当業者が、多くの変更および改良を添付の請求の範囲の精神と範囲から逸脱することなく実施可能なことは明白である。