JP2009080613A - 熱流体解析方法および熱流体解析装置 - Google Patents

熱流体解析方法および熱流体解析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】解析条件の設定が非常に簡単で解析時間の短縮が可能な輻射を考慮した熱流体解析方法を提供する。
【解決手段】流体と、前記流体中に複数段に設置させた固体との間の対流、伝熱、輻射による熱移動を、多数の微小要素で表現されるモデルを用いてコンピュータにより計算する熱流体解析方法において、予め単位形状モデルにより予備解析した結果から輻射による熱の移動量を数式化した式を用いて、流体と固体との間の対流、伝熱、輻射による熱移動を解析することを特徴とする熱流体解析方法。
【選択図】図6

Description

本発明は、熱流体解析方法および熱流体解析装置に関するものである。
さまざまな製造分野において熱処理炉が用いられている。例えば、半導体ウェハの製造においては、ガラス基板等の被処理体に対して拡散層やシリコン酸化膜やシリコン窒化膜やポリシリコン膜等を形成する場合に用いられる。他にも、炭素繊維の製造において、繊維束の被処理物に対して耐炎化処理や炭化処理を施す場合にも用いられる。
図14は炭素繊維の製造において、繊維束の被処理物に対して耐炎化処理を行うための熱処理炉の一例を簡略化して示した断面図である。図14の紙面の左右方向は糸の走行方向を、紙面の上下方向は高さ方向を示している。図14において、熱処理炉8は、熱処理室9、ダクト10、ダクト内ヒータ11、ファン12を有する熱処理炉全体を示している。ダクト内ヒータ11で所望の温度に加熱された熱風は、ファン12で送風されて、熱処理室9内を上から下へ向けて流れる。熱処理室9を流れ出た熱風は再びダクト10へ送風される。このように、ダクト内ヒータ11で所望の温度に加熱された熱風はファン12により熱処理室9とダクト10を循環している。熱処理炉9では、水平方向にシート状に引き揃えられた多数本の繊維束13が、スリット状開口部14を通って熱処理室9内に入り熱処理され、スリット状開口部14を通って一旦処理室外へ出、折り返しロール15により走行方向を180°折り返され、再度、熱処理室内に入るということを繰り返し、熱処理室9内に繊維束13が複数段走行している状態で熱処理される。
かかる構造の熱処理炉により、炭素繊維を製造する際に、多数の繊維束を同時に熱処理するため、製造された炭素繊維の特性にライン間でバラツキが生じることがあった。
本発明者らの知見によれば、バラツキの要因として、熱処理のムラすなわち糸温度のムラに起因するものと考えられる。例えば、炉壁近傍を走行する繊維束の温度が、炉の中央部を走行する繊維束の温度よりも低い場合、中央部と比較して炉壁近傍を走行する繊維束の熱処理量が小さくなる。
そこで、コンピュータを用いた熱流体解析により炉内の最適設計をする方法としていくつかの技術が提案されている。熱流体解析とは、流れ場における流速や圧力や温度などを予測する方法であり、有限体積法や差分法、境界要素法などが知られている。これらの方法は、解析領域を四面体や六面体などの立体的な微小要素に分割し、前記微小要素に対して流量や圧力や温度などの境界条件、粘度や密度などの流体物性、比熱や熱伝導率などの熱物性を設定し、コンピュータを用いて解析することにより、微小要素における流速や圧力や温度などを求めることができる。
例えば、特許文献1において、輻射を考慮した解析により半導体ウェハ熱処理炉の最適設計を行っている。
図1は半導体ウェハ1と加熱体2との配置関係を示す拡大図である。半導体ウェハ1は、図示しないポート支持と呼ばれる部材で設置されており、所定のピッチの等間隔で複数段設置されている。これらを囲うようにして円筒状の加熱体2が設けられている。加熱体2により半導体ウェハ1を加熱し、半導体ウェハ1がプロセス温度に到達したならば、炉内に熱処理に応じたプロセスガスを導入し、所定時間だけ熱処理を行う。ここで、半導体ウェハ1の温度を均一にすることで、均一な熱処理が可能となり、輻射を考慮した解析により最適設計が行われている。
ここで用いられている解析手法は、輻射熱を輻射熱伝導解析理論および形態係数の手法を用いて分析するDBM(Discrete Beam Method)と呼ばれる手法の一つである。形態係数とは,ある面から発せられる熱エネルギの合計が,入射エネルギとして他の面へ伝わる割合を示すための係数のことである。
図2は輻射による熱移動量算出までのDBMの解析手順を示すフローチャートである。このフローチャートに沿って特許文献1の輻射による熱の移動量算出までの解析手順を説明する。なお、図3は半導体ウェハの熱処理炉にDBMを適用したときの輻射による熱移動量算出までの解析手順を概略図で示したものである。
手順s1では、図3に示すとおり、空気の存在する流体領域3と、半導体ウェハの存在する固体領域4とに立体的な微小要素を作成する。作成した微小要素により流体領域では、各微小要素における流体の流速、圧力、温度等を算出し、固体領域では、各微小要素における固体の温度を算出する。ただし、DBMでは、前記の立体的な微小要素だけでは輻射による熱の移動量を算出することができない。
そこで、手順s2において、手順s1で作成した立体的な微小要素とは別に、図3に示すとおり流体領域3と固体領域4との境界面に対して輻射パッチ5と呼ばれる2次元平面の微小要素を作成することで、輻射による熱の移動を解析する。輻射パッチ5は前記流体解析用の立体的な微小要素とは別のものであり、個別に製作する必要がある。
手順s3では、手順s2で作成したそれぞれの輻射パッチ5から半球方向へ向けて輻射ビームを発射する。図3に、あるパッチ6から発射された輻射ビーム7の様子を示す。
手順s4では、手順s3で発射された全ての輻射ビーム7がどの輻射パッチに到達するかを追跡することによって、形態係数を算出する。
手順s5では、手順4sで算出した形態係数と輻射による熱移動量を関連付けて輻射による熱移動量を解析する。
DBMは輻射ビームと輻射パッチの数が解析精度を決定する。輻射による熱移動量を高精度で解析するためには、輻射パッチおよび輻射ビームの数を増やす必要がある。
しかし、輻射パッチと輻射ビームの数を増やすということは、計算コストを増やすことになり、解析領域の形状、許容誤差に合わせて適当な数を選択する必要がある。計算コストが増えた場合、解析領域を複数の領域に分割し、それぞれの領域に対してCPUを割り当てて計算を実行する並列計算と呼ばれる手法を用いて解析するのが一般的である。しかし、DBMでは並列計算手法を用いることができない。その理由は、ある1つの輻射パッチに着目した場合、その輻射パッチから発射された輻射ビームが、他のCPUが計算する領域へと輻射ビームが飛散した場合に、その輻射ビームがどの輻射パッチに到達するかを追跡することができなくなるためである。
DBM以外にも輻射を考慮した熱流解析技術として、DOM(Discrete Ordinate Method)(非特許文献1)が知られている。図4はDOMの輻射による熱移動量算出までの解析手順を示すフローチャートである。手順s11で微小要素を作成する手順は、DBMと同じである。DOMは手順s12、s13で、流体領域と固体領域との境界面および流体領域で輻射の熱輸送方程式を解く方法である。DBMと異なり輻射ビームを発射してそれを追跡し形態係数を求める必要がないので、輻射パッチの作成が必要ない。そのため、計算条件の設定が容易であり、輻射ビームの追跡という考え方が無いため並列計算も可能である。
しかしながら、DOMは、流体領域と固体領域との境界面だけでなく、手順s13に示すとおり流体領域でも輻射の熱輸送方程式を解かなければならない。その理由は、ガス輻射を考慮するためである。ガス輻射とは,流体領域においても熱の吸収や散乱による熱エネルギーの放出が起こっている現象であり、燃焼炉のように水蒸気や炭酸ガスが多く点在するような場合に起こる。熱処理炉のようにガス輻射による影響が小さな場合には、DOMは計算コストが増えて計算時間が長くなることになる。
特開平9−320974号公報 G. D. Raithby and E. H. Chui:A Finite-Volume Method for Predicting a Radiant Heat Transfer in Enclosures with Participating Media J. Heat Transfer 112 ( 1990 ) pp.415−423 保原充・大宮司久明、数値流体力学、財団法人東京大学出版会、(1992)、p.15-82 技術資料 流体の熱物性値集、社団法人日本機会学会、(1983)、p.163-166 宮部英也・斉藤孟、基礎力学演習工業熱力学、実教出版株式会社、(1985)、p.184-188
本発明の目的は、上記の問題を解決し、計算コストを削減し、設定が容易な輻射を考慮した熱流体解析方法を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明によれば、流体と、前記流体中に設置させた固体との間の輻射による熱移動を、多数の微小要素で表現されるモデルを用いてコンピュータにより計算する熱流体解析方法であって、輻射による熱の移動量を、予め単位形状モデルで熱流体解析した結果から数式化した式を用いて解析する熱流体解析方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記数式化が、固体の温度、固体の位置、壁面の温度の関数で表されている熱流体解析方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記流体中に設置させた固体との間の対流、伝熱による熱移動をも考慮する熱流体解析方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記流体中に設置させた固体が複数段の構造を有するものであり、前記単位形状モデルは前記構造の最小単位を含むものである熱流体解析方法が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記固体が、シートまたは糸条である熱流体解析方法が提供される。
また、本発明の別の形態によれば、流体と、前記流体中に設置させた固体との間の輻射による熱移動を多数の微小要素で表現されるモデルを用いて計算する熱流体解析装置において、輻射による熱の移動量を、予め単位形状モデルで熱流体解析した結果から数式化した式を用いて解析する解析手段と、前記解析手段の解析結果を出力する結果出力手段とを有する熱流体解析装置が提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記解析方法をコンピュータに実行させるためのプログラムが提供される。
また、本発明の好ましい形態によれば、前記プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
なお、本発明において「流体」とは、気体や液体のことで、例えば空気や水のようなもののことをいう。
また、本発明において「結果出力手段」は、解析結果を出力するものであれば何でもよく、例えば、プリンタやディスプレイなどが挙げられる。
また、本発明において「複数段」とは、1つの固体の上に流体領域を挟んで更に別の固体が設けられた状態をいう。
また、本発明において「最小単位」とは、固体の存在する固体領域の一部と、その近傍にある流体の存在する流体領域と、その流体領域を挟んでいるさらに別の固体領域とを含む単位をいう。
本発明によれば、輻射パッチを作成する必要がないため解析条件の設定が容易であり、輻射ビームを追跡する必要がないため並列計算が可能である。また、ガス輻射による計算コストの影響を小さくしやすいため、計算コストを削減することができる。
以下、本発明の最良の実施形態の例を炭素繊維の製造で用いられる熱処理炉に適用した場合を例にとって図面を参照しながら説明する。
図5は炭素繊維の製造において、繊維束の被処理物に対して耐炎化処理を行うための熱処理炉の一例および単位形状モデルを簡略化して示した断面図である。図5の熱処理炉の構成は、単位形状モデルを除いて図14で示した熱処理炉の構成と同じである。したがって、同じ構成の部分は、同じ符号を用いている。
図6は本実施形態の輻射による熱の移動量算出までの解析手順を示すフローチャートである。このフローチャートに沿って解析の手順を説明する。
本実施形態では、手順s31で微小要素を作成し、手順s32で輻射による熱の移動量は手順23で単位体積当たりの輻射による熱移動量を数式化した式に値を代入することによって容易に算出することができる。その式は、単位形状のモデル(以下、単位形状モデルと呼ぶ)を作成して予備解析を行うことによって得る。
繊維束は2つの物体から輻射による影響を受ける。1つは、その上下を走行する繊維束、もう1つは、炉壁である。それら2つの物体からの輻射による熱の移動量を算出するのが単位形状モデルである。
単位形状モデルは、固体の存在する固体領域の一部と、その近傍にある流体の存在する流体領域とをモデル化した小さく形状が単純なモデルである。例えば、図5において、上下を走行する繊維束13によって挟まれた図中斜線の領域が単位形状モデル16である。この領域が、この実施形態における複数段の構造の最小単位である。図7は、図5のA−A’断面図である。紙面左右方向は、機幅方向を示し、紙面垂直方向は、糸走行方向を示している。図5と同様に図中斜線の領域が単位形状モデル16である。繊維束19に着目した場合、その上下を走行する繊維束19’および、炉壁17からの輻射による熱の移動量を算出することができる。本実施形態のように機幅方向に対して左右対称形状である場合、単位形状モデル16は対称性を考慮して機幅方向に対しては1/2モデルにして良い。
図8は単位形状モデル16の概略図である。糸走行方向の長さは任意に設定して良いが、全体モデルで解析するときの糸走行方向の微小要素のサイズに合わせておくことが好ましい。任意に設定しても良い理由は、解析結果から、輻射による熱の移動量を固体領域の単位体積あたりの移動量に換算するためである。
図6における手順s21では、単位形状モデル16を微小要素に分割する。図9は単位形状モデル16を微小要素に分割した図である。この微小要素は、図6における手順s31で作成した微小要素から上下の繊維束と壁に囲まれた範囲の微小要素を抜き出してもよいし、輻射による熱の移動量を高精度で解析したい場合は、単位形状モデルの微小要素をより細かな微小要素で新たに作成しなおしても良い。
解析に用いる境界条件としては、繊維束19の上下を走行する繊維束19’の領域に温度境界条件を、壁面17の領域に温度境界条件を設定する。繊維束19’および炉壁17の領域に設定する温度の値は、任意に設定して良い。ただし、実際の温度に近いと思われる温度に設定することが好ましい。
手順s22では、図2、図4に示したDBMやDOM等の輻射を考慮した熱流解析技術を用いて単位形状モデルの解析を実施する。単位形状モデルは単純形状であるため、計算条件の設定が容易である。これは、例えばDBMで解析する場合、輻射パッチを貼り付ける必要があり、全体モデルでは全ての繊維束に対してパッチを貼り付ける必要があるため、非常に手間がかかるが、単位形状モデルは、モデルが小さいためパッチを貼り付ける作業が容易であるからである。
また、単位形状モデルは微小要素の数が少ないため計算コストが低く、計算時間も非常に短い。
上記手順で、単位形状モデルによる予備解析を複数ケース実施する。複数ケース実施するとは、繊維束19’の温度境界条件と、炉壁17の温度境界条件とを変更して解析するということである。その理由は、熱処理室内において繊維束13および炉壁17の温度はその位置によって異なった値を示す。その要因として、図14に示すスリット状開口部14から温度の低い外気が熱処理室9内へ流入することや、炉外に設置された折り返しロール15によって冷却された糸が熱処理室9内へ入ってくることがあげられる。前記要因から、スリット状開口部近傍は温度が低く、糸走行方向の中央部では温度が高くなる傾向にある。しかし、熱処理室内全ての領域における繊維束と炉壁の温度条件で解析すると、膨大な時間を有するため、いくつかのケースについて解析を行い、数式化することによって離散的なデータを連続的なデータに変換する。そうすれば、解析を行っていない温度条件についても輻射による熱の移動量を数式化したデータから予測することができる。
なお、繊維束19の上下を走行する繊維束19’の領域に設定する温度境界条件、および壁面17の領域に設定する温度境界条件は、それぞれの領域において一定値でよい。すなわち、繊維束19’の領域は機幅方向に、壁面17の領域は高さ方向に温度の分布を与えなくても良いということである。繊維束19’の領域に関しては、機幅方向の温度差が微小であること、壁面17の領域に関しても、図5に示すとおり全体領域と比較して単位形状モデル16の領域が非常に小さいことから、領域内における温度のバラツキは小さく、一定値と仮定しても問題ない。
前記単位形状モデルを用いて、それぞれのケースで固体領域のそれぞれの位置における輻射による熱移動量を出力し、単位体積当たりの輻射による熱移動量を算出する。手順s23で算出した単位体積当たりの輻射による熱移動量を「固体領域の位置」「固体領域の温度」「炉壁面温度」の関数で数式化する。なお、「固体領域の位置」とは繊維束13の機幅方向中央断面18からの距離のことであり、「固体領域の温度」とは繊維束13’の温度(温度境界条件の値)のことであり、「壁面の温度」とは炉壁17の温度(温度境界条件の値)のことである。なお、必ず「固体領域の位置」「固体領域の温度」「炉壁面温度」の関数で数式化しなければならないわけではない。例えば、炉壁面温度は一定と仮定し、「固体領域の位置」「固体領域の温度」のみの関数で表しても良い。
なお、「壁面の温度」とは、例えば図7における繊維束19の場合、最も近い炉壁面の位置20における炉壁面温度、あるいは、最も近い炉壁面の位置20を中心としてある範囲を設定し、その範囲内における温度の平均値でも良い。ただし、その範囲の大きさは図8に示す単位形状モデルで壁面17の温度を温度境界条件として設定する炉壁17の領域の大きさよりも小さいことが好ましい。
全体モデルの解析では、手順s31で作成した固体領域の各微小要素において「固体領域の位置」、「固体領域の温度」、「壁面の温度」の値を手順s23で数式化した式に代入することによって、輻射による熱の移動量を算出することができる。手順s23では、予備解析で解析を行っていない温度条件についても輻射による熱の移動量を数式化したデータから予測することができるため、全体モデル内の全ての固体領域における微小要素の輻射による熱の移動量を算出することができる。
なお、伝熱は固体内部に温度差がある場合に生じる熱移動であり、温度勾配と熱伝導率から熱の移動量を算出することができる。また、対流は流体と固体とが接していて流体と固体に温度差がある場合に生じる熱移動であり、温度差と熱伝達率から熱の移動量を算出することができる。(非特許文献4)
図6に示す解析手順で解析を行ったので、その一例を以下に示す。
図10に示す斜線の領域が、解析領域の正面断面図であり、熱処理炉をモデル化したものである。糸走行方向に対して熱処理炉は十分に長いため、糸走行方向の中央部に関しては、どの断面をとってもほぼ等しい温度分布を示すと考えられるためである。図11は図10におけるB−B’断面図である。熱処理炉8は上壁21より一定速度で高温の流入温風23が下向きに供給されており、供給された熱風と同流量の流出温風24が下壁22より排気されているものとする。実施例は図10,11のように構成された空間の構成を、市販の汎用流体解析ソフト(株式会社シー・ディー・アダプコの「STAR−CD」)により解析を行うことで算出した。本ソフトは流体の運動方程式であるナヴィエ・ストークス方程式を有限体積法(非特許文献2)により解析するものである。
解析に用いたモデルは、熱処理炉の高さ方向の長さ(h)を0.63m、機幅方向の長さ(w)を4mとした。なお、繊維束の高さ方向ピッチ(p)は0.2m、繊維束の走行領域の幅(f)は3.4mとした。
解析における解析条件として、熱処理炉8内の領域において上壁21より255℃の流入温風23が1.1m/secで供給され、下壁22より上壁21から供給された流入温風23と同流量の流出温風24が排気されるものとした。なお、空気の密度は実測値(非特許文献3)のデータをもとに温度の関数として表した。温度毎に密度が変わる設定にすることによって、浮力を考慮することができる。繊維束13は、直径3mm、密度750kg/m3、比熱1300J/kgKである。解析モデルは図11に示す中心線を対称面とする1/2モデルで実施した。なお、解析を実施したコンピュータのCPUは、Intel Pentium4(米国インテル社の商品名)3.2GHzである。
伝熱による熱の移動量は繊維束の温度勾配と熱伝導率から算出した。なお、熱伝導率は1.0W/mKとした。
対流による熱の移動量は空気と繊維束13との温度差と熱伝達率から算出した。なお、熱伝達率は100W/m2Kとした。
まず、図8に示す斜線の領域を単位形状モデル16として予備解析を実施した。単位形状モデルの糸走行方向の長さは0.1mとした。炉壁17の温度は240℃一定であると仮定して温度境界条件をに設定し、繊維束13の温度を55,105,155,205,225,245,265℃であると仮定して温度境界条件を設定した。図12は単位形状モデルによる予備解析の結果を表すグラフである。横軸が繊維束の炉中央からの距離を、縦軸が輻射による単位体積当たりの熱の移動量を繊維束の温度毎に示している。このグラフから、輻射による熱の移動量qを繊維束の炉中央からの距離L、繊維束の温度Tの関数で数式化したものが式(1)である。
Figure 2009080613
[実施例1]
式(1)を用いて前記モデルの解析を実施した。計算時間は4749秒であった。4CPUを用いた並列計算では、919秒であった。
[比較例1]
従来のDBMで前記モデルの解析を実施した。解析条件は実施例1と同じである。計算時間は5008秒であった。並列計算は実施できず、これ以上の時間短縮はできなかった。
[まとめ]
実施例1、比較例1のいずれも解析結果として、流速、圧力、温度等さまざまな流れのデータを得ることができるが、中央を走行する繊維束の温度により両解析手法の比較検証を行うことにする。図13は比較例1および実施例1の熱処理炉8内における中央を走行する繊維束の糸走行方向における温度分布を示すグラフである。横軸は熱処理炉8内における機幅方向の位置を、縦軸は繊維束13の温度を示している。実施例1は比較例1と比較して計算時間が短いにもかかわらず、ほぼ同等の温度分布結果を得ることができている。
本発明の熱流体解析方法は、熱処理炉内におけるシートや繊維束の温度分布を熱流体解析により予測したい場合などに利用できるが、その応用範囲はこれらに限られるものではない。
半導体ウェハと加熱体との配置関係を示す拡大図である。 DBMの輻射による熱移動量算出までの解析手順を示すフローチャートである。 半導体ウェハの熱処理炉にDBMを適用したときの解析手順の概略図である。 DOM輻射による熱移動量算出までの解析手順を示すフローチャートである。 炭素繊維の製造において繊維束の被処理物に対して耐炎化処理を行うための熱処理炉の一例および単位形状モデルを簡略化して示した断面図である。 本実施形態の輻射による熱の移動量算出までの解析手順を示すフローチャートである。 図5のA−A’断面図である。 単位形状モデルの概略図である。 単位形状モデル16を微小要素に分割した概略図である。 解析領域の正面断面図である。 図9のB−B’断面を示す図である。 単位形状モデルによる予備解析の結果である。 比較例1および実施例1の熱処理炉内における繊維束の温度分布である。 炭素繊維の製造において、繊維束の被処理物に対して耐炎化処理を行うための従来の熱処理炉の一例を簡略化して示した断面図である。
符号の説明
1:半導体ウェハ
2:加熱体
3:流体領域
4:固体領域
5:輻射パッチ
6:パッチ
7:輻射ビーム
8:熱処理炉
9:熱処理室
10:ダクト
11:ダクト内ヒータ
12:ファン
13:繊維束
14:スリット状開口部
15:折り返しロール
16:単位形状モデル
17:炉壁
18:機幅方向中心線
19:繊維束
19’:繊維束19の上下を走行する繊維束
20:炉壁面の位置
21:上壁
22:下壁
23:流入温風
24:流出温風

Claims (8)

  1. 流体と、前記流体中に設置させた固体との間の輻射による熱移動を、多数の微小要素で表現されるモデルを用いてコンピュータにより計算する熱流体解析方法であって、輻射による熱の移動量を、予め単位形状モデルで熱流体解析した結果から数式化した式を用いて解析することを特徴とする熱流体解析方法。
  2. 前記数式化が、固体の温度、固体の位置、壁面の温度の関数で表されていることを特徴とする請求項1に記載の熱流体解析方法。
  3. 前記流体中に設置させた固体との間の対流、伝熱による熱移動をも考慮することを特徴とする請求項1または2に記載の熱流体解析方法。
  4. 前記流体中に設置させた固体が複数段の構造を有するものであり、前記単位形状モデルは前記構造の最小単位を含むものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の熱流体解析方法。
  5. 前記固体が、シートまたは糸条であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の熱流体解析方法。
  6. 流体と、前記流体中に設置させた固体との間の輻射による熱移動を多数の微小要素で表現されるモデルを用いて計算する熱流体解析装置において、輻射による熱の移動量を、予め単位形状モデルで熱流体解析した結果から数式化した式を用いて解析する解析手段と、前記解析手段の解析結果を出力する結果出力手段とを有することを特徴とする熱流体解析装置。
  7. 請求項1から5のいずれかに記載の解析方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  8. 請求項7に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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KR20200133599A (ko) * 2019-05-20 2020-11-30 두산중공업 주식회사 발전소 운전 데이터를 이용한 실시간 유동 가시화 장치 및 이를 위한 방법
KR102248881B1 (ko) * 2019-05-20 2021-05-06 두산중공업 주식회사 발전소 운전 데이터를 이용한 실시간 유동 가시화 장치 및 이를 위한 방법

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