JP2009080080A - 球体の偏心量計測器 - Google Patents

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Abstract

【課題】一般的にゴルフボールのような球体は、不均質な構造を持つ為、物体の幾何学的 重心に対して重心のずれた偏心が発生する。
この偏心は球体の機能を損なうものである。
本発明は、ゴルフボール(球体)自身の重力モーメントを応用して球体の偏心のずれ量 を計測するものであり精度良く、かつ安価で短時間でボールの偏心量を計測できる球体 偏重心量計測器を提供する。
【手段】球体より比重の大きい流体中にて球体に自己回転強制力を付与して、同球体を自 己回転させる自己回転強制手段と同球体の偏心により生じた重力モーメントで同球体が 逆回転を開始し、更に逆回転を繰り返してから回転を停止するまでに要する要停止時間 を計測する要停止時間計測手段と、計測した時間を所定の式に算入すると共に、同式に 基づいて上記球体の偏重心量を演算する偏重心量演算手段と、演算された偏重心量を表 示する偏重心量表示手段を設けたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、球体例えば、ゴルフボールの重心のずれ量を計測する装置に関するものである。
ゴルフボールのような球体は、一般的に不均質な構造を持つ為、物体の幾何学的重心に対して重心のずれた偏心が発生する。この偏心はゴルフボールの打球の軌道に悪影響を及ぼす。
例えば、ゴルフボールの重心が0.1mmずれていると約4mのパッテングで12cm曲がることが実証されている。
またゴルフボールの重心がずれているとアイアンショットやドライバーショットの方向性も左右にぶれ打球の軌道が定まらない。従って、ゴルフプレヤーにとってゴルフボールの重心のずれ量を知ることはスコアメイクに大きな影響を与える。
従来の「ボールの偏重心検査器」「偏芯検査器」について図を用いて説明する。
従来の特許公開事例「ボールの偏重心検査器」は、ボールを吊る手段を数段設けて遠心力を利用した偏重心検査器である。(特許文献1参照)
また、市販商品「偏芯検査器」商品名「ボールバランサCheck Go」は、高速回転で遠心力をつくりそれを利用した偏芯検査器である。
(非特許文献1参照)
「ボールの偏重心検査器」特許出願公開 昭58−61401号
市販商品:「偏芯検査器」商品名「ボールバランサCheck Go」
しかしながら上記の「ボールの偏重心検査器」の構成では、検査器そのものの不確定要素が多く、検査器自体の精度の影響が大きくその検査精度に難点があり、かつ検査時間も数十秒かかり、また検査器の価格も非常に高価になるなどの課題があった。
また「偏芯検査器」商品名「ボールバランサCheck Go」では、重心のずれ量は計測できず、かつ検査に時間も数十秒かかるなどの課題があった。
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、ボール自身の偏心による重力モーメントを応用した方法、手段であり精度良く、かつ短時間(10秒以内)で偏心量を計測でき、また安価でることを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、球体より比重の大きい流体中にて球体に自己回転強制力を付与して、同球体を自己回転させる自己回転強制手段と、同自己回転強制手段による自己回転強制力の付与を解除した後、同球体の偏心により生じた重力モーメントで同球体が、逆回転し更に逆回転を繰り返し逆回転開始してから回転を停止するまでに要する要停止時間を計測する要停止時間計測手段と、同要停止時間計測手段により計測した時間を下記の式に算入すると共に、同式に基づいて上記球体の偏重心量を演算する偏重心量演算手段と、同偏重心量演算手段により演算された偏重心量を表示する偏重心量表示手段を設けたものである。
偏心量計算式 e=4Kπ2gt2
t:要停止時間
g:重力の加速度(9.8m/sec2
K:流体と球体の間に発生する摩擦係数
この構成によりゴルフボールの自己回転の状態から、偏心により生じた重力モーメントで同ゴルフボールが逆回転して更に逆回転を繰り返し回転を停止するまでの時間を計測し、その時間を演算することによりゴルフボールの偏心量を計測することができる。
本発明に係る球体の偏重心量計測器によれば、ゴルフボールの重心のずれ量を精度よく、かつ短時間(10秒以内)で計測することができ、また安価である。
<構成要件:方法>
本発明に係る球体の偏重心計測方法は、球体より比重の大きい流体中にて球体を自己回転させ、同球体の偏心により生じた重力モーメントで同球体が逆回転し更に逆回転を繰り返して、回転を停止するまでに要する要停止時間を計測することによってゴルフボーの偏重心量を計測する方法である。
<作用、動作>
この構成によりゴルフボールの自己回転の状態から偏心により生じた重力モーメントで同ゴルフボールが逆回転して更に逆回転を繰り返し停止するまでの時間を計測して、同要停止時間を下記の式に算入し演算することにより、上記ゴルフボーの偏重心量を計測できる。
偏心量計算式 e=4Kπ2gt2
t:要停止時間
g:重力の加速度(9.8m/sec2
K:流体と球体の間に発生する摩擦係数
<効果>
ゴルフボールの重心のずれ量を精度よく、かつ短時間(10秒以内)で計測することができ、また安価である。
<構成要件:装置>
本発明に係る球体の偏重心計測器は、球体より比重の大きい流体中にて球体を自己回転させる回転手段と、同回転手段により回転された同球体の偏心により生じた重力モーメントで同球体が逆回転してから逆回転を停止するまでに要する要停止時間を計測する手段と、同時間計測手段により計測した時間より求められる偏重心量を表示する偏重心量表示手段とを具備しているものである。
ここでいう球体より比重の大きい流体とは、ゴルフボールの比重が約1.12であるので、例えば、それより比重の大きい液体を使用することが出来る。
具体的には、食塩やマグネシウム系の薬品を溶かした水溶液を選択することが出来る。
<作用、動作>
この構成によりゴルフボールの自己回転の状態から偏心により生じた重力モーメントで同ゴルフボールが逆回転して停止するまでの時間を計測する事により、同時間計測手段により計測した時間を下記の式に算入すると共に、同式に基づいて上記球体の偏重心量を演算する偏重心量演算手段と、同偏重心量演算手段により演算された偏重心量を表示する偏重心量表示手段とを具備しており、ゴルフボールの偏心量を計測することができる。
偏心量計算式 e=4Kπ2gt2
t:要停止時間
g:重力の加速度(9.8m/sec2
K:流体と球体の間に発生する摩擦係数
<効果>
ゴルフボールの重心のずれ量を精度よく、かつ短時間(10秒以内)で計測することができ、また安価である。
<偏心量計算式の説明>
本発明における偏心量の計算式は、一般的に知られている単振り子の理論式を応用したものである。
単振り子・単振動:質量(おもり)を糸で吊るし糸の上部を固定して、質量を振動させ た時、質量の重力モーメントが作用し、単振動が発生する
この単振動の周期Tと糸の長さl(cm)の関係は
T = 2π(g/l)1/2 g:重力の加速度(9.8m/sec2
l:振り子の糸の長さ(cm)
π:円周率
で表されることは一般的に知られている。
ここでg(重力加速度)やπ(円周率)は定数であるため、周期Tは、「糸の長さのみ」で決まってしまう。
本発明における偏心量の計算式は、この周期T = 2π(g/l)1/2を応用したものであり、その内容を以下説明する。
周期Tを単振動所要時間tに置き換えると,T=1/tより
T = 2π(g/l)1/2は1/t = 2π(g/l)1/2となる。
これよりl(振り子の糸の長さ(cm))とt(時間)の関係を求めると
l=4π2gt2となる。
従ってl(振り子の糸の長さ(cm))は、t(時間)の2乗に比例する事になる。自由空間に置かれた、偏心のあるゴルフボールも前記の単振り子のように単振動を起こす。
そこで、偏心量(重心からのずれの距離)をe'として、前記の振り子の糸の長さlに置き換えると偏心量e'は下記のようになる。
偏重心量e'は e'=4Kπ2gt2
t:要停止時間
g:重力の加速度(9.8m/sec2
となる、ここで水溶液とボールの間に摩擦があるので、ボールの単振動は時間と共に減衰し、最後に停止する。
そこで流体とゴルフボール(球体)の間に発生する摩擦係数Kをかけて
偏重心量eは e=4Kπ2gt2
t:要停止時間
g:重力の加速度(9.8m/sec2
K:流体と球体の間に発生する摩擦係数
で求める事ができる。
この時の要停止時間tとは、ボールが逆回転し始めてから更に逆回転を繰り返し回転を停止するまでの時間をいう。
<構成>
以下に、本発明に係る実施例1について、図1を参照しながら具体的に説明する。
図1は、本発明に係る球体の偏重心計測器Aの概念図であり、1は球体としてのゴルフボール、2はゴルフボール1よりも比重の大きい水溶液(例えば、食塩やマグネシウム系の薬品を溶かしたもの)である。
3はゴルフボール1に自己回転強制力を付与してするエアーポンプ、4はゴルフボール1に自己回転強制力を付与したり、自己回転強制力を解除する為にエアーポンプ3をオンオフするスイッチ、5は水溶液2の水圧でエアーポンプ3に水溶液2が逆流すのを防止する為の逆流防止弁である。
6はゴルフボール1の回転を計測するタイマー、7はタイマー6で計測した時間を演算する演算装置、8は演算装置7で演算された偏重心量を表示する表示装置である。
タイマー6、演算装置7、表示装置8は連動させておく。
<計測方法>
図1は実施例1、図2〜図4は実施事例1の計測方法の状態図であり、これらの図に基づいて計測方法の説明をする。
1、ゴルフボール1を水溶液2に入れ浮かす(図1)
2、エアーポンプ3のスイッチ4をオンしエアーポンプ3の空気口より空気を放出しエ アーポンプの気泡を発生させる(図2)
3、このエアーポンプ3の気泡でゴルフボール1を数回自己回転させる(図2)
4、ゴルフボール1が数回転したらエアーポンプ3のスイッチ4をオフする
5、ゴルフボール1が自然停止する様子を見る
6、ゴルフボール1の重心がずれていれば、停止寸前に重力モーメントの作用により逆 回転し始める、この時タイマー6のスッチをオンする(図3)
7、ゴルフボール1が逆回転し始めて更に逆回転を繰り返す(図4)
8、ゴルフボール1が逆回転を繰り返し、回転が静止したらその時タイマー6のスッチ をオフしにする。そして、ゴルフボール1が停止するまでに要した要停止時間がタ イマー6により計測されて、この要停止時間が偏心量演算装置7により入力され、 下記の重心のずれ量eの式に基づいて重心の偏心量が演算される。

重心のずれ量 e=4Kπ2gt2
t:要停止時間
g:重力の加速度(9.8m/sec2
K:流体と球体の間に発生する摩擦係数
9、偏心量演算7により演算された偏心量を表示装置8で表示させる。
なお、ゴルフボール1の重心が偏心していない場合には、同一回転方向に回転した 後、自然に停止する。
図5は、実施例2としての球体の偏重心量計測器Bの概念的説明図であり、ゴルフボールの偏重心量計測器Bは、実施例1のエアープンプ3の代わりに水中ポンプ9を採用している。
図5において、実施例1のエアープンプ3の代わりに水中ポンプ9を採用している。実施例1でエアーポンプ3のスイッチ4をオンしエアーポンプ3の空気口より空気を放出し気泡を発生させて、この気泡でゴルフボール1を自己回転させているが、エアーポンプ3の変わりにゴルフボール1が自己回転するように、水中ポンプ9で水溶液の水流をつくってゴルフボール1を自己回転させている。その他は実施例1と同様とする。
図6は、実施例3としての球体の偏重心量計測器Cの概念的説明図であり、ゴルフボールの偏重心量計測器Cは、実施例1の水溶液の代わりにゴルフボール1より比重が多きい気体を採用している。実施例1では、ゴルフボールを水溶液に入れ浮かしているが、水溶液の代わりに、ゴルフボール1の比重より大きい気体を採用している。その他は実施例1と同様とする。
図7は、実施例4としての球体の偏重心量計測器Dの概念的説明図であり、ゴルフボールの偏重心量計測器Dは、実施例1のエアーポンプスイッチ4の代わりに時間制御タイマー12を採用している。
実施例4によると実施例では手動でエアーポンプ3をオンオフ使用しているが時間制御タイマー12により特定時間間隔で自動的にエアーポンプ3オンオフすることができる。その他は実施例1と同様とする。
本発明にかかるゴルフボール偏重心量計測器は、ゴルフボールの重心のずれ量を精度よく安価でかつ短時間で計測することができることから、たとえばその他の球体や部品の重心のずれの計測にも利用が可能である。
本発明の実施例1におけるゴルボール偏重心計測器Aの構成図 実施例1におけるボールが自己回転している状態の図 実施例1において、エアーポンプのスイッチを切りエアーの放出を停止した 状態からボールが逆回転し始めた状態を示している図 実施例1において、ボールが逆回転を繰り返している状態を示している図 実施例2ゴルボール偏重心計測器Bの構成図 実施例3ゴルボール偏重心計測器Cの構成図 実施例4ゴルボール偏重心計測器Dの構成図 単振り子・単振動の概念図 ゴルフボール偏重心量と回転の概念図
符号の説明
1 ゴルフボール
2 水溶液
3 エアーポンプ
4 エアーポンプのスイッチ
5 逆流防止弁
6 タイマー
7 演算装置
8 表示装置
9 水中ポンプ
10 水中ポンプのスイッチ
11 気体(比重が球体より大きい気体)
12 時間制御タイマー

Claims (2)

  1. 球体より比重の大きい流体中にて球体に自己回転強制力を付与することにより、同球体を強制的に自己回転させ、その後、自己回転強制力の付与を解除して、同球体の偏心により生じた重力モーメントで同球体が逆回転し更に逆回転を繰り返す場合には、最初に逆回転開始してから回転を停止するまでに要する要停止時間を計測すると共に、同要停止時間を下記の式に算入し演算することにより、上記球体の偏重心量を計測することを特徴とする球体の偏重心量計測方法。
    偏心量計算式 e=4Kπ2gt2
    t:要停止時間
    g:重力の加速度(9.8m/sec2
    K:流体と球体の間に発生する摩擦係数
  2. 球体より比重の大きい流体中にて球体に自己回転強制力を付与して、同球体を自己回転させる自己回転強制手段と、同自己回転強制手段による自己回転強制力の付与を解除した後、同球体の偏心により生じた重力モーメントで同球体が、逆回転し更に逆回転を繰り返し逆回転開始してから回転を停止するまでに要する要停止時間を計測する要停止時間計測手段と、同要停止時間計測手段により計測した時間を下記の式に算入すると共に、同式に基づいて上記球体の偏重心量を演算する偏重心量演算手段と、同偏重心量演算手段により演算された偏重心量を表示する偏重心量表示手段を具備することを特徴とする球体の偏重心量計測器。
    偏心量計算式 e=4Kπ2gt2
    t:要停止時間
    g:重力の加速度(9.8m/sec2
    K:流体と球体の間に発生する摩擦係数

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