JP2009075535A - 光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents

光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置 Download PDF

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剛史 西部
Nobuhiro Fukuura
伸宏 福浦
Seiji Kondo
誠司 近藤
Masayuki Satake
正之 佐竹
Hiroshi Beppu
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Abstract

【課題】 本発明は、表面に傷が付いても、その傷付き部分に於いて、位相差変化を生じにくい光学フィルムを提供することを課題とする。
【解決手段】 透明基材2上に複屈折層5が形成された光学フィルムにおいて、前記複屈折層5上にオーバーコート層6が形成されていることを特徴とする。このオーバーコート層6のRe[590]及びRth[590]の絶対値は、0nm〜10nmであり、オーバーコート層6の光弾性係数の絶対値は、4×10−11/N以下である。また、上記透明基材2は、イミド系樹脂を主成分として含むポリマーフィルムであり、上記オーバーコート層6は、分子構造中にアミン基を有するアクリル系樹脂を含む樹脂硬化層である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液晶パネルの光学部材などとして使用される光学フィルム及び偏光板、並びにこれらを具備する画像表示装置に関する。
従来、透明高分子フィルム上にポリウレタン系樹脂溶液が塗布されることにより密着層が形成され、且つ該密着層上に非液晶ポリマーが塗布されることにより複屈折層が形成されている光学フィルムが公知である(特許文献1)。
上記光学フィルムに偏光子を積層することによって、偏光板として使用できる。前記偏光板は、別個に形成した上記光学フィルムと偏光子を、粘着剤などを介して貼り合わせることによって作製できる。前記偏光板は、例えば、液晶表示装置の液晶パネルに組み込まれて使用される。
特開2006−171685号公報
しかしながら、上記従来の光学フィルムは、複屈折層の一方の面が光学フィルムの一方の表面を構成している。このため、光学フィルムに偏光子を積層する工程などにおいて、光学フィルムを搬送している間に、搬送ローラや異物が光学フィルムに接触し、複屈折層の一方の面が傷付く場合がある。複屈折層が傷付くと、その部分において、位相差が変化する。複屈折層が傷付いた光学フィルムを液晶表示装置に使用すると、その傷付き部分において光抜けが生じ、液晶表示装置の表示特性が低下する。たとえ前記傷が微細であり、複屈折層の位相差変化が小さい場合であっても、近年、液晶表示装置は高繊細化しているため、僅かな位相差変化は、液晶表示装置の表示特性の低下の原因となる。従って、その改善が求められている。
本発明の目的は、表面に傷が付いても、その傷付き部分に於いて位相差変化が生じにくい光学フィルムを提供することである。
本発明の他の目的は、上記光学フィルムを備える偏光板、及び画像表示装置を提供することである。
本発明の第1の手段は、透明基材上に複屈折層が形成された光学フィルムにおいて、前記複屈折層上にオーバーコート層が形成されていることを特徴とする。
かかる光学フィルムは、複屈折層上にオーバーコート層が形成されている。すなわち、上記複屈折層は、その一面に透明基材を有し、且つその他面にオーバーコート層を有する。従って、上記光学フィルムを搬送などしている途中で、光学フィルムが異物に接触してもオーバーコート層などが傷付くことはあっても、複屈折層の面が傷付く虞はない。よって、複屈折層の一部分において、複屈折層の位相差が変化することを防止できる。
本発明の好ましい光学フィルムは、上記オーバーコート層の面内位相差値(Re[590])及び厚み方向位相差値(Rth[590])の絶対値が、0nm〜10nmである。
かかるオーバーコート層は、実質的に位相差を有しないので、光学フィルム全体では、オーバーコート層の位相差を無視できる。従って、オーバーオート層が傷付いても、光学フィルム自体の位相差は実質的に変化しない。
本発明の好ましい光学フィルムは、上記オーバーコート層の表面硬度が、0.1GPa〜0.25GPaである。かかるオーバーコート層は、表面硬度が0.1GPa〜0.25GPaであるため、オーバーコート層が傷付き難く、さらに、オーバーコート層に異物が接触して傷付いても、その下の複屈折層まで傷が達することを防止できる。
本発明の好ましい光学フィルムは、上記オーバーコート層の光弾性係数の絶対値が、4×10−11/N以下である。かかる光弾性係数のオーバーコート層は、応力が加わっても位相差を生じにくいので好ましい。
本発明の好ましい光学フィルムは、上記オーバーコート層が、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、エポキシ系樹脂、ノルボルネン系樹脂及びウレタン系樹脂から選択される少なくとも1種を含む。
本発明の好ましい光学フィルムは、上記透明基材が、イミド系樹脂を主成分として含むポリマーフィルムであり、上記オーバーコート層が、アクリルアミン系樹脂を含む樹脂硬化層である。
本発明の好ましい光学フィルムは、上記オーバーコート層の厚みが、0.3μm〜10μmである。
本発明の好ましい光学フィルムは、上記複屈折層の屈折率楕円体が、nx≧ny>nzの関係を満足する。
ただし、nxは、複屈折層の面内において、屈折率が最大となる方向(X軸方向)の屈折率を示し、nyは、複屈折層の面内において、前記X軸方向と直交する方向(Y軸方向)の屈折率を示し、nzは、前記X軸方向及びY軸方向に直交する方向(厚み方向)の屈折率を示す。
本発明の第2の手段は、上記いずれかの光学フィルムと、偏光子と、を有する偏光板を特徴とする。
本発明の第3の手段は、上記いずれかの光学フィルム、または、上記偏光板を有する画像表示装置を特徴とする。
本発明の光学フィルムは、透明基材上に形成された複屈折層上に、オーバーコート層が形成されているので、搬送・保管などしている途中で、異物などに接触しても複屈折層の面が傷付く虞はない。従って、複屈折層の一部分において、複屈折層の位相差が変化することを防止できる。よって、本発明によれば、位相差変化が生じ難い光学フィルムを提供することができる。
本発明において、主たる用語の意味は次の通りである。
(1)複屈折層:
「複屈折層」とは、その面内及び/又は厚み方向に複屈折(屈折率の異方性)を示す枚葉体をいい、例えば、波長590nmにおける面内及び/又は厚み方向の複屈折率が、1×10−4以上である層を含む。
(2)nx、ny、nz:
「nx」、「ny」及び「nz」とは、互いに異なる方向の屈折率を示す。nxは、面内において屈折率が最大となる方向(通常、X軸方向という)の屈折率を示し、nyは、面内において前記X軸方向と直交する方向(通常、Y軸方向という)の屈折率を示し、nzは、前記X軸方向及びY軸方向に直交する方向(通常、Z軸方向という)の屈折率を示す。
なお、「nx=nz」とは、nxとnzが完全に同一である場合だけでなく、実質的に同一である場合も含まれる。nxとnzが実質的に同一である場合とは、例えば、Rth[590]が−10nm〜10nmであり、好ましくは−5nm〜5nmであり、より好ましくは−3nm〜3nmである。また、「nx=ny」とは、nxとnyが完全に同一である場合だけでなく、実質的に同一である場合も含まれる。nxとnyが実質的に同一である場合とは、例えば、Re[590]が0nm〜10nmであり、好ましくは0nm〜5nmであり、より好ましくは0nm〜3nmである。
(3)面内位相差値:
「面内位相差値(Re[λ])」とは、23℃で波長λ(nm)における面内位相差値をいう。Re[λ]は、測定対象の厚みをd(nm)としたとき、Re[λ]=(nx−ny)×dによって求めることができる。
(4)厚み方向位相差値:
「厚み方向の位相差値(Rth[λ])」とは、23℃で波長λ(nm)における厚み方向の位相差値をいう。Rth[λ]は、測定対象の厚みをd(nm)としたとき、Rth[λ]=(nx−nz)×dによって求めることができる。
(5)Nz係数:
「Nz係数」とは、Rth[λ]/Re[λ]から算出される値であり、本発明では、波長590nmを基準とする、Rth[590]/Re[590]から算出される値である。Rth[590]及びRe[590]は、上記の通りである。
(6)光弾性係数:
「光弾性係数(C[λ])」とは、測定対象に外力を加えて内部に応力を起こさせたときの複屈折の生じやすさをいう。本発明において、光弾性係数は、23℃で波長590nmにおいて測定される数値をいう。
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
<本発明の光学フィルムの概要>
本実施形態の光学フィルムは、透明基材と、前記透明基材上に形成された複屈折層と、前記複屈折層上に形成されたオーバーコート層と、を有する。好ましくは、透明基材と複屈折層の間に、両者の密着性を高めるための密着層が設けられる。前記複屈折層は、好ましくは非液晶ポリマーを主成分とする層である。前記複屈折層の一面は、透明基材(密着層が設けられている場合には、密着層)に接着され、且つ、複屈折層の他面は、上記オーバーコート層に接着されている。
<本発明の光学フィルムの層構成例>
図1は、本発明の光学フィルムの層構成を示す。
図1において、1は、上記光学フィルムを、2は、上記透明基材を、3は、上記密着層を、5は、上記複屈折層を、6は、上記オーバーコート層を、それぞれ示す。各層間は、強く密着しており、剥離不能である。
また、2aは、透明基材2の表面を示し、6aは、オーバーコート層6の表面を示す。前記透明基材2の表面2aは、光学フィルム1の一方の表面を構成し、オーバーコート層6の表面6aは、光学フィルム1の他方の表面を構成している。
5aは、複屈折層5の一面を示し、該一面5aの全体は、密着層3に接着されている。5bは、複屈折層5の他面を示し、該他面5bの全体は、密着層3に接着されている。
<透明基材>
上記透明基材は、透明性に優れていれば特に限定されないが、さらに、適切な機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などに優れる基材が好ましい。また、透明基材は、ロール状に巻き取り可能な柔軟なフィルムが好ましい。
上記透明基材としては、ポリマーフィルムを用いることができる。該ポリマーフィルムとしは、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のエステル系ポリマー、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー;ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)などのスチレン系ポリマー;カーボネート系ポリマー等を主成分とするフィルムを例示できる。また、上記ポリマーフィルムとしては、オレフィン系ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系若しくはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、又はエチレン・プロピレン共重合体等);塩化ビニル系ポリマー;ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー;イミド系ポリマー;スルホン系ポリマー;ポリエーテルスルホン系ポリマー;エーテルエーテルケトン系ポリマー;フェニレンスルフィド系ポリマー;ビニルアルコール系ポリマー;塩化ビニリデン系ポリマー;ビニルブチラール系ポリマー;アリレート系ポリマー;エポキシ系ポリマー;又は、これらのポリマーのブレンド物などを主成分とするフィルムなどを例示できる。
これらのポリマーフィルムの中でも、トリアセチルセルロースフィルム、側鎖にイミド基、フェニル基若しくはニトリル基を有する熱可塑性ポリマーにより形成されてなるフィルム、又は、ノルボルネン系ポリマーフィルムが好ましい。
上記ポリマーフィルムには、必要に応じて光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、充填剤などの各種添加剤が配合されていてもよい。また、コロナ処理等の公知の表面改質処理が行なわれていてもよい。
上記透明基材は、単層でもよいし、或いは、2以上の積層フィルムでもよい。
上記透明基材の厚みは、特に制限されないが、好ましくは10〜300μmであり、より好ましくは30〜100μmである。
上記透明性に優れた透明基材は、可視光に於ける光線透過率が、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。ただし、光線透過率は、基材厚100μmで、分光光度計(日立製作所製、製品名:U−4100型)で測定されたスペクトルデータを基に視感度補正を行ったY値をいう。また、透明基材のヘイズ値は、好ましくは3%以下、より好ましくは1%以下である。ただし、ヘイズ値は、JIS−K7105に準じて測定された値をいう。
さらに、上記透明基材の光弾性係数(C[590])の絶対値は、好ましくは4×10−11/N以下であり、より好ましくは2×10−11/N以下であり、特に好ましくは1×10−11/N以下である。かかる光弾性係数の透明基材を用いれば、光学的なムラの小さい光学フィルムを形成でき、応力が加わっても位相差を生じにくい。
<密着層>
上記透明基材上には、複屈折層の密着性を高めるため、必要に応じて、密着層が設けられる。前記密着層は、好ましくはウレタン系樹脂を主成分とする樹脂硬化層で構成される。該密着層は、例えば、透明基材上にウレタン系樹脂溶液(溶解液及び分散液を含む)を直接塗布し乾燥させることにより、透明基材上に形成できる。前記密着層は、透明基材上にウレタン系樹脂溶液を塗布して形成されているので、透明基材の表面上の微細な凹凸等に起因する位相差値への影響を緩和できる。
前記ウレタン系樹脂としては、ポリエステル系ウレタン(変性ポリエステルウレタン、水分散系ポリエステルウレタン、溶剤系ポリエステルウレタン)、ポリエーテル系ウレタン、又は、ポリカーボネート系ウレタン等を例示できる。これらのウレタン系樹脂は、自己乳化型又は強制乳化型であってもよい。これらのウレタン系樹脂の中でも、ポリエステル系ウレタンが好ましい。
ウレタン系樹脂は、一般的にポリオールとポリイソシアネートとから製造される。
前記ポリオールやポリイソシアネートの具体例は、特開2006−171685号公報の[0015]〜[0019]に開示されているので、それを参照されたい。
上記ウレタン系樹脂の溶媒としては、水、有機溶媒、又はこれらの混合溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、トルエン、N−メチルピロリドン(NMP)、又は、メチルイソブチルケトン等を例示できる。
上記ウレタン系樹脂を含む溶液に於けるウレタン系樹脂の濃度は、特に限定されない。もっとも、透明基材への塗布性(異物混入、塗布ムラや線状痕の発生防止)を考慮すると、前記濃度は、通常、5〜50質量%であり、好ましくは10〜40質量%である。前記濃度が5質量%未満であると、溶液粘度が低すぎるため、1回の塗布工程で所定の層厚に形成することが困難となる。一方、前記濃度が50質量%を越えると、溶液粘度が高すぎるために、塗布面が荒れるなどの不具合が発生する場合がある。
上記密着層の厚みは、好ましくは100nm〜10μmである。密着層の厚みが100nmより小さいと、十分な密着性が得られない虞があり、一方、10μmよりも大きいと、薄型軽量化の観点で問題がある。さらに、10μmより大きいと、密着層自体が無視できないほどの位相差を生じる虞があるからである。
前記ウレタン系樹脂を含有する溶液を前記透明基材上に塗布する方法としては、特に限定されず、スピンコート法、ロールコート法、ダイコート法、ブレードコート法等の従来公知の方法を採用することができる。これらの方法により前記溶液を透明基材上に、所望の厚みとなるように塗布した後、乾燥することにより密着層を形成することができる。
乾燥温度は、溶媒の種類等に応じて適宜決定することができる。通常、乾燥温度は、80〜200℃、好ましくは100〜150℃である。乾燥は、一定温度下で行ってもよいし段階的に温度を上昇させて行ってもよい。
乾燥時間は、通常、5〜30分間、好ましくは10〜20分間である。5分未満であると、溶媒が多量に残存する場合があり、30分を越えると効率的な工業生産に適しないからである。
<複屈折層>
上記密着層を形成した後、該密着層の上に、複屈折層が積層される。
前記複屈折層は、所望の面内位相差値又は/及び厚み方向位相差値を示す層であれば、その形成方法及び材質などは特に限定されない。前記複屈折層は、例えば、(a)所望の位相差値を示す複屈折フィルムを、密着層の上に積層接着してもよいし、或いは、(b)非液晶ポリマー又は液晶性ポリマー(例えばリオトロピック液晶性ポリマー等)を含有する溶液を、密着層上に塗布・乾燥することによって形成してもよい。
好ましくは、複屈折層は、前記(b)の方法で形成され、より好ましくは、非液晶ポリマーが用いられる。
また、上記複屈折層の屈折率楕円体は、特に限定されないが、好ましくは、下記式(1)の条件を満たすように設計される。
式(1):nx≧ny>nz。
前記式(1)において、nx、ny及びnzは、それぞれ、前記複屈折層におけるX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の屈折率を示す。
なお、nx≧ny>nzとは、nx>ny>nz又はnx=ny>nzを意味する。
非液晶ポリマーは、塗布の対象となる面の配向性に関係なく、それ自身の性質によりnx>nz、ny>nzという光学的一軸性を示すものとなり得る。このため、塗布の対象となる面(透明基材の面又は密着層の面)が、未配向性であっても、上記式(1)の屈折率楕円体を満足する複屈折層を形成できる。また、塗布の対象を加熱しながら延伸又は収縮することにより、屈折率楕円体がnx>ny>nzを満足する複屈折層を形成できる。
上記複屈折層の屈折率楕円体が上記式(1)の条件を満たす場合、該複屈折層を有する光学フィルムを垂直配向(VA)モードの液晶表示装置に組み込むと、斜め方向のコントラストを大幅に向上させることができる。
さらに、上記複屈折層は、好ましくは、その厚み方向の複屈折率(複屈折層の厚み方向の複屈折率を、Δnxz(a)と記す)が前記透明基材の厚み方向の複屈折率(透明基材の複屈折率を、Δnxz(b)と記す)に対して、下記式(2)の条件を満たすように設計される。
式(2):Δnxz(a)>Δnxz(b)×10。ただし、Δnxz=nx−nzである。
上記式(2)の条件を満たす光学フィルムは、画像表示装置に使用した際、表示ムラが極めて少なく、黒表示における虹ムラ等が低減され、視認性が大幅に向上するという利点を有する。
上記複屈折層を構成する非液晶ポリマーとしては、例えば、耐熱性、耐薬品性、透明性に優れ、剛性にも富むことから、アミド系樹脂、イミド系樹脂、エステル系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、アミドイミド系樹脂、又はポリエステルイミド系樹脂から選ばれる少なくとも1種のポリマーが好ましい。これらの樹脂は、1種単独で又は2種以上混合して使用できる。
これらのポリマーの中でも、高透明性、高配向性、高延伸性であることから、イミド系樹脂が特に好ましい。
上記イミド系樹脂の分子量は、特に制限されないが、好ましくは重量平均分子量(Mw)が1,000〜1,000,000であり、より好ましくは2,000〜500,000である。ただし、前記重量平均分子量は、テトラヒドロフラン溶媒によるゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法(ポリスチレン標準)で測定した値をいう。
上記イミド系樹脂の具体例は、特開2006−171685号公報の[0027]〜[0052]に開示されているので、それを参照されたい。
また、複屈折層を構成するポリエーテルケトン系樹脂の具体例は、特開2006−171685号公報の[0053]〜[0072]に、複屈折層を構成するアミド系樹脂又はエステル系樹脂の具体例は、同公報の[0073]〜[0085]に、それぞれ開示されているので、それを参照されたい。
前記複屈折層は、上記非液晶ポリマーを密着層上に塗布することによって、密着層上に形成できる。該非液晶ポリマーの塗布方法としては、特に制限されないが、例えば、(a)非液晶ポリマーを加熱溶融して塗布する方法、(b)非液晶ポリマーを溶媒に溶解又は分散させた非液晶ポリマーの溶液を塗布する方法、などを例示できる。その中でも、作業性に優れることから、(b)非液晶ポリマーの溶液を塗布する方法が好ましい。
上記非液晶ポリマーの溶液におけるポリマー濃度は、特に限定されないが、好ましくは溶媒100質量部に対して、非液晶ポリマー5〜50質量部であり、より好ましくは10〜40質量部である。
上記非液晶ポリマーの溶液の溶媒としては、非液晶ポリマー等の形成材料を溶解又は分散させることができれば特に制限されない。前記溶媒の具体例としては、クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類;フェノールなどのフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸エチルなどのエステル類;t−ブチルアルコール、エチレングリコールなどのアルコール類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;アセトニトリルなどのニトリル類;ジエチルエーテルなどのエーテル類;エチルセロソルブなどのセロソルブ類などを例示できる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上混合して用いてもよい。
これらの溶媒の中でも、均一な塗布が可能となる点から、上記非液晶ポリマーが溶解可能な溶媒が好ましく、特に、メチルイソブチルケトンが好ましい。
なお、上記非液晶ポリマーの溶液には、必要に応じて、安定剤、可塑剤、金属類等の各種の添加剤が配合されていてもよい。
また、前記非液晶ポリマーの溶液には、例えば、非液晶ポリマーの配向性等が著しく低下しない範囲で、異なる他の樹脂が配合されていてもよい。前記他の樹脂としては、例えば、各種汎用樹脂、エンジニアリングプラスチック、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などを例示できる。
上記非液晶ポリマーの溶液の塗布法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、又はグラビア印刷法等を例示できる。また、塗布に際しては、重畳的に塗布してもよい。
上記非液晶ポリマーの溶液を塗布した後、好ましくは加熱処理を施して溶媒を除去する。かかる加熱処理によって透明基材が収縮し、この収縮に伴って、非液晶ポリマー溶液の塗工膜が収縮しながら乾燥し、非液晶ポリマーの複屈折層が形成される。
前記加熱処理の条件としては、特に制限されず、例えば、透明基材の材料、種類等によって適宜決定される。前記加熱条件としては、通常、加熱温度25〜300℃であり、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは60〜180℃である。
前記加熱処理後において、複屈折層中に残存する溶媒は、その量に比例して光学フィルムの光学特性を経時的に変化させる虞がある。このため、溶媒の残存量が、好ましくは5質量%以下となり、より好ましくは2質量%以下となり、特に好ましくは0.2質量%以下となるまで乾燥する。
溶媒を除去した後、光学二軸性等などの所望の光学特性を複屈折層に付与すべく、延伸処理が施される。
延伸処理の方法は、特に制限されないが、例えば、(a)基材の長手方向に一軸延伸する自由端縦延伸、(b)基材の長手方向を固定した状態で、幅方向に一軸延伸する固定端横延伸、(c)基材の長手方向及び幅方向の両方に延伸を行う逐次又は同時二軸延伸、などを例示できる。
これらの延伸処理は、例えば、透明基材と複屈折層とを共に引っ張ることによって行ってもよいが、例えば、以下の理由から、前記透明基材のみを引っ張ることが好ましい。すなわち、透明基材のみを延伸した場合、この延伸によって発生する張力によって、複屈折層が間接的に延伸される。そして、複屈折層を直接延伸するよりも、透明基材のみを延伸する方が、通常、均一な延伸となるため、これに伴って、複屈折層も均一に延伸できるためである。密着層が設けられている場合、密着層による十分な密着性によって、上記延伸処理時に複屈折層が透明基材から剥離することを防止できる。また、その作用は明確でないが、複屈折層に均一に張力が働くために、複屈折層の位相差値のバラツキも低減できる。
なお、上記延伸処理は、下記オーバーコート層を形成した後に行ってもよい。
延伸の条件としては、特に制限されず、例えば、透明基材や非液晶ポリマーの種類等に応じて適宜決定される。通常、延伸倍率は、1倍より大きく5倍以下であり、好ましくは1倍より大きく4倍以下であり、より好ましくは1倍より大きく3倍以下である。また、延伸処理を行う温度(延伸温度)は、通常、80℃〜150℃であり、好ましくは90℃〜140℃であり、より好ましくは100℃〜130℃である。
上記複屈折層の延伸前又は延伸後の厚みは、特に限定されないが、通常、0.5〜30μmであり、好ましくは1〜20μmであり、より好ましくは1.5〜15μmである。
屈折率楕円体がnx=ny>nzを満足する上記複屈折層の厚み方向位相差値(Rth[590])は、好ましくは50nm〜500nmであり、より好ましくは100nm〜350nmであり、特に好ましくは150nm〜300nmである。
屈折率楕円体がnx>ny>nzを満足する上記複屈折層の面内位相差値(Re[590])は、好ましくは10nm〜100nmであり、より好ましくは、20nm〜80nmであり、同厚み方向位相差値(Rth[590])は、好ましくは50nm〜500nmであり、より好ましくは100nm〜350nmであり、特に好ましくは150nm〜300nmである。屈折率楕円体がnx>ny>nzを満足する上記複屈折層のNz係数は、好ましくは3〜6であり、より好ましくは3.5〜5である。
<オーバーコート層>
上記複屈折層上には、オーバーコート層が形成される。
上記オーバーコート層は、複屈折層を保護するために設けられる。
上記オーバーコート層は、透明性に優れ、比較的硬く、実質的に位相差を有しない層が好ましい。
上記オーバーコート層の透明性は、上記透明基材の透明性と同程度が好ましい。
上記オーバーコート層の表面硬度は、好ましくは0.05GPa〜0.25GPaであり、より好ましくは0.1GPa〜0.23GPaであり、特に好ましくは0.1GPa〜0.20GPaである。このようにオーバーコート層を比較的硬く形成することにより、オーバーコート層の表面に異物が接触した際、異物が、オーバーコート層を突き抜けて、複屈折層まで達することを防止(複屈折層が傷付くことを防止)できる。
上記オーバーコート層は、実質的に位相差を有しない層が好ましい。前記実質的に位相差を有しないオーバーコート層とは、オーバーコート層のRe[590]の絶対値が、0nm〜10nmであり、好ましくは0〜5nmであり、より好ましくは0〜3nmであり、且つ、オーバーコート層のRth[590]の絶対値が、0nm〜10nmであり、好ましくは0〜5nmであり、より好ましくは0〜3nmである。特に好ましくは、実質的に位相差を有しないオーバーコート層は、波長400〜780nmの可視光域に於ける面内位相差値(Re[λ])及び厚み方向位相差値(Rth[λ])の絶対値が、いずれも、0nm〜10nmであり、好ましくは0〜5nmであり、より好ましくは0〜3nmである。
このように実質的に位相差を有しないオーバーコート層を用いることにより、オーバーコート層の表面(つまり、光学フィルムの他方の表面)が傷付いても、光学フィルムの位相差は、実質的に変化しない。なお、上記Re[590]とは、波長590nmに於けるオーバーコート層の面内位相差値を意味し、上記Rth[590]は、波長590nmに於けるオーバーコート層の厚み方向位相差値を意味する。
さらに、上記オーバーコート層の光弾性係数(C[590])の絶対値は、好ましくは4×10−11/N以下であり、より好ましくは2×10−11/N以下であり、特に好ましくは1×10−11/N以下である。かかる光弾性係数のオーバーコート層を用いれば、光学的なムラの小さい光学フィルムを形成でき、応力が加わっても位相差を生じにくい。
上記オーバーコート層は、通常、樹脂成分を含む溶液を、複屈折層上に塗布し、乾燥することによって形成できる。
オーバーコート層を構成する樹脂としては、特に限定されず、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、ノルボルネン系樹脂、エステル系樹脂、アミド系樹脂、カーボネート系樹脂、又はエポキシ樹脂などを例示できる。これらは、1種単独で又は2種以上混合して用いることができる。オーバーコート層の樹脂としては、好ましくはアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ノルボルネン系樹脂又はセルロース系樹脂が用いられる。アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ノルボルネン系樹脂又はセルロース系樹脂は、透明性に優れ、実質的に位相差がなく、さらに、複屈折層との密着性にも優れ、表面硬度や耐水性にも優れているからである。特に、複屈折層がイミド系樹脂を主成分とする場合には、オーバーコート層は、アクリル系樹脂を主成分とすることが好ましい。この場合、アクリル系樹脂は、特に、アクリルアミン系樹脂を用いることが好ましい。アクリルアミン系樹脂を含む溶液は、イミド系樹脂を主成分とする複屈折層上に良好に塗布でき、表面硬度の優れたオーバーコート層を形成できるからである。
上記アクリルアミン系樹脂は、その分子構造中に、アクリル基とアミン基を有するポリマーであり、アクリル基の一部にアミン基が結合しているポリマーも含まれる。前記アミン基とは、アンモニアの水素原子の少なくとも1つが炭化水素基又は他の置換基で置換されている基をいう。
上記オーバーコート層の厚みは、特に限定されないが、余りに薄いと、複屈折層を十分に保護できず、一方、余りに厚いと、コスト的に不利である。このような点を考慮すると、オーバーコート層の厚みは、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上であり、特に好ましくは2μm以上である。オーバーコート層の厚みの上限は、好ましくは10μmであり、より好ましくは8μmである。
上記オーバーコート層を形成するにあたって、上記樹脂を適切な溶媒に溶解又は分散することによって溶液を調製する。
前記溶媒の具体例としては、水;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素類;フェノールなどのフェノール類;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸エチルなどのエステル類;t−ブチルアルコール、エチレングリコールなどのアルコール類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;アセトニトリルなどのニトリル類;ジエチルエーテルなどのエーテル類;エチルセロソルブなどのセロソルブ類などを例示できる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上混合して用いてもよい。
なお、上記溶液には、必要に応じて、安定剤、可塑剤、金属類等の各種の添加剤が配合されていてもよい。
上記溶液の樹脂濃度は、特に限定されないが、好ましくは溶媒100質量部に対して、樹脂5質量部〜100質量部であり、より好ましくは樹脂7質量部〜80質量部である。
上記溶液を上記複屈折層上に塗布し、乾燥することによって、前記複屈折層上にオーバーコート層を形成できる。
上記溶液の塗布法及び乾燥条件としては、上記複屈折層の非液晶ポリマー溶液の塗布法及び乾燥条件で例示した方法を適宜採用できる。
乾燥後のオーバーコート層中における残存溶媒量は、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下であり、特に好ましくは0.2質量%以下である。
本発明の光学フィルムは、透明基材上に形成された複屈折層上にオーバーコート層が形成されている。従って、複屈折層は、その一面に透明基材を有し、且つその他面にオーバーコート層を有する。また、上記オーバーコート層は、実質的に位相差を有しないので、光学フィルムの位相差は、複屈折層の位相差に依存している。
かかる光学フィルムに異物などが接触した場合には、オーバーコート層などが傷付くことはあっても、複屈折層の面が傷付く虞がない。従って、光学フィルムの位相差が変化することを防止できる。
特に、上記オーバーコート層の表面硬度が、0.1GPa〜0.25GPaである場合には、オーバーコート層の表面に異物が強く接触して傷付いても、その傷が、下層の複屈折層まで達することを確実に防止できる。従って、複屈折層が傷付くことを確実に防止して、光学フィルムの位相差変化を防止できる。
<本発明の光学フィルムの用途>
本発明の光学フィルムは、所定の位相差を示すので、位相差フィルムとして利用できる。
本発明の光学フィルムは、それ単独で用いてもよいし、或いは、さらに、他の層が積層されていてもよい。
上記他の層としては、上記で説明した複屈折層とは別個の複屈折層、偏光子、保護層、接着層などが挙げられる。
本発明の光学フィルムに偏光子を積層することによって、偏光板が構成される。
図2及び図3は、本発明の偏光板の層構成を示す。
図2及び図3において、1は、上記光学フィルムを、2は、上記透明基材を、3は、上記密着層を、5は、上記複屈折層を、6は、上記オーバーコート層を、7は、接着層を、8は、偏光子を、9は、保護層を、それぞれ示す。
上記別個の複屈折層は、所定の位相差を示す層であり、位相差板或いは補償層などとも呼ばれる。上記別個の複屈折層の屈折率楕円体は、任意に設計でき、また、その位相差値も任意に設計できる。
上記偏光子は、自然光又は各種偏光から、特定の直線偏光を透過させる機能を有する光学部材である。該偏光子としては、二色性物質(例えば、ヨウ素等)が吸着され且つ延伸された親水性ポリマーフィルム(例えば、ポリビニルアルコールフィルム等)などを例示できる。
上記保護層は、光学フィルムを保護するために設けられる。保護層は、上記偏光子に積層することが好ましい。この保護層は、偏光子の両側に積層されていてもよい(図3参照)。また、本発明の光学フィルムは、透明基材を有することから、該透明基材が偏光子の一方側の保護層を兼ねていてもよい(図2参照)。
偏光子などを接着するための上記接着層は、各種の接着剤を用いることができる。
前記接着剤としては、水溶性接着剤、エマルジョン型接着剤、ラテックス型接着剤、マスチック接着剤、複層接着剤、ペースト状接着剤、発泡型接着剤、サポーテッドフィルム接着剤、熱可塑型接着剤、熱溶融型接着剤、熱固化接着剤、ホットメルト接着剤、熱活性接着剤、ヒートシール接着剤、熱硬化型接着剤、コンタクト型接着剤、感圧性接着剤、重合型接着剤、溶剤型接着剤、及び溶剤活性接着剤などを例示できる。これらの中でも、透明性、接着性、作業性、製品の品質及び経済性に優れていることから、水溶性接着剤が好ましい。
前記水溶性接着剤は、例えば、水に可溶な天然高分子及び合成高分子の少なくとも一方を含有してもよい。前記天然高分子としては、たんぱく質、澱粉などを例示できる。前記合成高分子としては、レゾール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリビニルアルコール系樹脂などを例示できる。これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶性接着剤が好ましく用いられる。さらに、前記ポリビニルアルコール系樹脂としては、アセトアセチル基を有する変性ポリビニルアルコール系樹脂がより好ましい。前記アセトアセチル基を有する変性ポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、日本合成化学(株)製の商品名「ゴーセノールZシリーズ」、同社製の商品名「ゴーセノールNHシリーズ」、同社製の商品名「ゴーセファイマーZシリーズ」などを例示できる。
前記ポリビニルアルコール系樹脂としては、ポリ酢酸ビニルのケン化物及びその誘導体;酢酸ビニルと共重合性を有する単量体との共重合体のケン化物;ポリビニルアルコールをアセタール化、ウレタン化、エーテル化、グラフト化、リン酸エステル化等した変性ポリビニルアルコールなどを例示できる。前記共重合性を有する単量体としては、例えば、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、アリルスルホン酸ナトリウム、メタリルスルホン酸ナトリウム、スルホン酸ナトリウム、スルホン酸ナトリウムモノアルキルマレート、ジスルホン酸ナトリウムアルキルマレート、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩などのスルホン酸基含有モノマー;N−メチロールアクリルアミド;N−ビニルピロリドン及びその誘導体などを例示できる。
前記ポリビニルアルコール系樹脂の平均重合度は、接着性の観点から、好ましくは100〜5000であり、より好ましくは1000〜4000である。前記ポリビニルアルコール系樹脂の平均ケン化度は、接着性の観点から、好ましくは85〜100モル%であり、より好ましくは90〜100モル%である。
前記アセトアセチル基を有する変性ポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂とジケテンとを任意の方法で反応させることにより得られる。具体的には、例えば、(a)酢酸等の溶媒中にポリビニルアルコール系樹脂を分散させた分散体に、ジケテンを添加する方法、(b)ジメチルホルムアミド又はジオキサン等の溶媒にポリビニルアルコール系樹脂を溶解させた溶液に、ジケテンを添加する方法、(c)ポリビニルアルコール系樹脂にジケテンガス又は液状ジケテンを直接接触させる方法などを例示できる。
前記アセトアセチル基を有する変性ポリビニルアルコール系樹脂のアセトアセチル基変性度は、例えば、0.1モル%以上である。前記アセトアセチル基変性度を0.1モル%以上とすることで、より耐水性に優れた接着層を形成できる。前記アセトアセチル基変性度は、好ましくは0.1〜40モル%であり、より好ましくは1〜20モル%であり、特に好ましくは2〜7モル%である。前記アセトアセチル基変性度は、例えば、核磁気共鳴(NMR)法により測定した値である。
前記ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶性接着剤は、さらに、架橋剤を含有してもよい。架橋剤を含有する上記水溶性接着剤は、より一層耐水性に優れる。前記架橋剤としては、任意の適切な架橋剤を採用し得る。前記架橋剤は、好ましくは、前記ポリビニルアルコール系樹脂と反応性を有する官能基を少なくとも2つ有する化合物である。前記架橋剤としては、例えば、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアルキレン基とアミノ基とを2個有するアルキレンジアミン類;トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリレンジイソシアネートアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、メチレンビス(4−フェニル)メタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、及びこれらのケトオキシムブロック物又はフェノールブロック物などのイソシアネート類;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−へキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミンなどのエポキシ類;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒドなどのモノアルデヒド類;グリオキザール、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルジアルデヒド、マレインジアルデヒド、フタルジアルデヒドなどのジアルデヒド類;メチロール尿素、メチロールメラミン、アルキル化メチロール尿素、アルキル化メチロール化メラミン、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合物などのアミノホルムアルデヒド樹脂;ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、ニッケルなどの金属の塩及びその酸化物などを例示できる。これらの中でも、アミノホルムアルデヒド樹脂及びジアルデヒド類が好ましい。前記アミノホルムアルデヒド樹脂としては、メチロール基を有する化合物が好ましい。前記ジアルデヒド類としては、グリオキザールが好ましい。中でも、メチロール基を有する化合物が好ましく、メチロールメラミンが特に好ましい。前記アルデヒド化合物としては、日本合成化学(株)製の商品名「グリオキザール」、OMNOVA製の商品名「セクアレッツ755」などを例示できる。前記メチロール化合物としては、大日本インキ(株)製の商品名「ウォーターゾールシリーズ」などを例示できる。
前記架橋剤の配合量は、前記ポリビニルアルコール系樹脂(好ましくは、アセトアセチル基を有する変性ポリビニルアルコール系樹脂)100質量部に対して、例えば、1〜60質量部である。前記配合量を前記の範囲とすることで、透明性、接着性、耐水性に優れた接着層を形成することができる。前記配合量の上限値は、好ましくは50質量部であり、より好ましくは30質量部であり、特に好ましくは15質量部であり、さらに好ましくは10質量部であり、最も好ましくは7質量部である。前記配合量の下限値は、好ましくは5質量部であり、より好ましくは10質量部であり、特に好ましくは20質量部である。なお、後述する金属化合物コロイドを併用すれば、前記架橋剤の配合量が多い場合であっても、接着剤の安定性を、より向上させることができる。
前記ポリビニルアルコール系樹脂を含有する水溶性接着剤は、さらに、金属化合物コロイドを含んでもよい。前記金属化合物コロイドは、例えば、金属酸化物微粒子が分散媒中に分散しているものであってもよく、微粒子の同種電荷の相互反発に起因して静電的に安定化し、永続的に安定性を有するものであってもよい。前記金属化合物を形成する微粒子の平均粒子径は、特に制限されないが、好ましくは1〜100nmであり、より好ましくは1〜50nmである。これは、前記微粒子を前記接着層中に均一に分散させ、接着性を確保し、且つ、クニックの発生を抑制できるからである。なお、前記「クニック」とは、偏光子と保護層の界面で生じる局所的な凹凸欠陥をいう。
前記金属化合物としては、任意の適切な化合物を採用できる。前記金属化合物としては、例えば、アルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニアなどの金属酸化物;ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸バリウム、リン酸カルシウムなどの金属塩;セライト、タルク、クレイ、カオリン等の鉱物などを例示できる。これらの中でも、好ましくは、アルミナである。
前記金属化合物コロイドは、例えば、前記金属化合物が分散媒に分散したコロイド溶液の状態で存在している。前記分散媒としては、例えば、水、アルコール類等が挙げられる。前記コロイド溶液中の固形分濃度は、例えば、1〜50質量%である。前記コロイド溶液は、安定剤として、硝酸、塩酸、酢酸等の酸を含有してもよい。
前記金属化合物コロイド(固形分)の配合量は、前記ポリビニルアルコール系樹脂100質量部に対して、好ましくは、200質量部以下である。前記配合量を前記の範囲とすることにより、接着性を確保しながら、より好適に上記クニックの発生を抑制できる。前記配合量は、より好ましくは10〜200質量部であり、特に好ましくは20〜175質量部であり、さらに好ましくは30〜150質量部である。
本発明の光学フィルム(及び他の層が積層された本発明の光学フィルム)は、任意の適切な用途に用いられ得る。代表的には、本発明の光学フィルムは、画像表示装置の構成部材として使用される。好ましくは、本発明の光学フィルムは、液晶表示装置又は液晶パネルの光学部材として組み込まれる。
本発明の光学フィルム又は偏光板を有する液晶表示装置の用途は、例えば、パソコンモニター、ノートパソコン、コピー機などのOA機器;携帯電話、時計、デジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機などの携帯機器;ビデオカメラ、テレビ、電子レンジなどの家庭用電気機器;バックモニター、カーナビゲーションシステム用モニター、カーオーディオなどの車載用機器;商業店舗用インフォメーション用モニターなどの展示機器;監視用モニターなどの警備機器;介護用モニター,医療用モニターなどの介護・医療機器等である。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳述するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例における各層の物性の測定方法は、次の通りである。
(1)厚みの測定:
瞬間マルチ測光システム(大塚電子製、商品名:MCPD−2000)を用いて各層の厚みを測定した。
(2)Re[λ]、Rth[λ]、nx、ny、nz及びΔnxzの測定:
王子計測機器(株)製、商品名「KOBRA21−ADH」を用いて、23℃で測定した。
(3)光弾性係数の測定:
日本分光(株)製の分光エリプソメーター(製品名「M−220」)を用いて、2cm×10cmの試験片の両端を挟持し、23℃で応力(5〜15N)をかけながら、波長590nmの光で試験片の中央の位相差値を測定し、位相差値と応力の関数の傾きから光弾性係数を算出した。
(4)表面硬度の測定:
表面硬度は、Nanoindenter DCM SA2(MTS社製)を用いて行った。表面硬度の値は、オーバーコート層の表面からの深さ100nmに於ける測定値である。
[実施例1]
(複屈折層形成用の溶液の調製)
イミド系樹脂((株)カネカ製、商品名:エオリス)を、メチルイソブチルケトンに溶解し、イミド系樹脂濃度10質量%の複屈折層形成用の溶液を調製した。
(密着層形成用の溶液の調製)
トルエン(36.1質量部)、メチルエチルケトン(36.1質量部)、シクロヘキサノン(20質量部)、酢酸エチル(3質量部)、及びウレタン樹脂(東洋紡績(株)製、商品名:バイロンUR−1400)(4.8質量部)を混合して、密着層形成用の溶液を調製した。
(オーバーコート層形成用の溶液の調製)
トルエン(39.6質量部)、イソプロパノール(17.5質量部)、及びアミノエチル化アクリル系樹脂を30質量%含有する溶液((株)日本触媒製、商品名:ポリメントNK−350)(42.9質量部)を混合して、オーバーコート層形成用の溶液を調製した。
(光学フィルムの作製)
上記密着層形成用の溶液を、透明基材(厚み80μmのトリアセチルセルロールフィルム。富士フィルム(株)製、商品名:フジタックTD80ULG)上に、ワイヤーバー(10番手)を用いて塗工し、30秒間室温で乾燥した後、120℃雰囲気下で3分間乾燥し、透明基材上に厚み約0.8μmの密着層を形成した。
次に、形成した密着層の上に、上記複屈折層形成用の溶液をワイヤーバー(32番手)を用いて塗工し、120℃雰囲気下で3分間乾燥し、厚み約3.0μmの複屈折層を形成した。
次に、形成した複屈折層の上に、上記オーバーコート層形成用の溶液をワイヤーバー(5番手)を用いて塗工し、100℃雰囲気下で2分間乾燥し、厚み1.0μmのオーバーオート層を形成した。
このようにして、下から順に、透明基材、密着層、複屈折層及びオーバーコート層が積層された光学フィルムを作製した。
(実施例1の各層の諸物性)
上記透明基材(密着層形成前)のRe[590]は、0nm、同Rth[590]の絶対値は、50nmであった。また、透明基材(密着層形成前)の光弾性係数の絶対値は、1.8×10−11/Nであった。
上記複屈折層は、その屈折率楕円体がnx=ny>nzの関係を満足した。複屈折層のΔnxzは、0.04であり、Rth[590]は、130nmであった。
上記オーバーコート層のRe[590]は、0nm、同Rth[590]の絶対値は、0nmであった。また、オーバーコート層の光弾性係数の絶対値は、1.0×10−11/Nであった。さらに、オーバーコート層の表面硬度は、0.13GPaであった。
[実施例2]
オーバーコート層形成用の溶液をワイヤーバー(9番手)を用いて塗工し、厚み2μmのオーバーコート層を形成したこと以外は、上記実施例1と同様にして光学フィルムを作製した。
(実施例2の各層の諸物性)
実施例2の透明基材及び複屈折層の諸物性は、実施例1と同様である。
実施例2のオーバーコート層のRe[590]は、0nm、同Rth[590]の絶対値は、0nmであった。また、同オーバーコート層の光弾性係数の絶対値は、1.0×10−11/Nであった。さらに、同オーバーコート層の表面硬度は、0.13GPaであった。
[実施例3]
オーバーコート層形成用の溶液をワイヤーバー(20番手)を用いて塗工し、厚み4μmのオーバーコート層を形成したこと以外は、上記実施例1と同様にして光学フィルムを作製した。
(実施例3の各層の諸物性)
実施例3の透明基材及び複屈折層の諸物性は、実施例1と同様である。
実施例3のオーバーコート層のRe[590]は、0nm、同Rth[590]の絶対値は、0nmであった。また、同オーバーコート層の光弾性係数の絶対値は、1.0×10−11/Nであった。さらに、同オーバーコート層の表面硬度は、実施例1と同様である。ただし、実施例3のオーバーコート層の表面硬度は、実施例1の測定値と異ならないと推定されるため、実施例3では、表面硬度の測定を行わなかった。
[実施例4]
オーバーコート層形成用の溶液をワイヤーバー(30番手)を用いて塗工し、厚み6μmのオーバーコート層を形成したこと以外は、上記実施例1と同様にして光学フィルムを作製した。
(実施例4の各層の諸物性)
実施例4の透明基材及び複屈折層の諸物性は、実施例1と同様である。
実施例4のオーバーコート層のRe[590]は、0nm、同Rth[590]の絶対値は、0nmであった。また、同オーバーコート層の光弾性係数の絶対値は、1.0×10−11/Nであった。さらに、同オーバーコート層の表面硬度は、実施例1と同様である。ただし、実施例4のオーバーコート層の表面硬度は、実施例1の測定値と異ならないと推定されるため、実施例4では、表面硬度の測定を行わなかった。
[実施例5]
オーバーコート層形成用の溶液として下記の溶液を用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして光学フィルム(オーバーコート層の厚みは、1.0μm)を作製した。
(オーバーコート層形成用の溶液の調製)
水(66.4質量部)、ウレタン樹脂を30質量%含有する溶液((株)第一工業製薬製、商品名:スーパーフレックス110)(33.2質量部)、及びレベリング剤((株)ビックケミー・ジャパン製、商品名:BYK347)(0.3質量部)を混合して、オーバーコート層形成用の溶液を調製した。
(実施例5の各層の諸物性)
実施例5の透明基材及び複屈折層の諸物性は、実施例1と同様である。
実施例5のオーバーコート層のRe[590]は、0nm、同Rth[590]の絶対値は、0nmであった。また、同オーバーコート層の光弾性係数の絶対値は、5.1×10−11/Nであった。さらに、同オーバーコート層の表面硬度は、0.17GPaであった。
[実施例6]
オーバーコート層形成用の溶液として下記の溶液を用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして光学フィルム(オーバーコート層の厚みは、1.0μm)を作製した。
(オーバーコート層形成用の溶液の調製)
トルエン(79.8質量部)、アクリル樹脂を50質量%含有する溶液((株)大日本インキ化学工業製、商品名:アクリディックA−807)(20.0質量部)、及びレベリング剤((株)ビックケミー・ジャパン製、商品名:BYK333)(0.2質量部)を混合して、オーバーコート層形成用の溶液を調製した。
(実施例6の各層の諸物性)
実施例6の透明基材及び複屈折層の諸物性は、実施例1と同様である。
実施例6のオーバーコート層のRe[590]は、0nm、同Rth[590]の絶対値は、0nmであった。また、同オーバーコート層の光弾性係数の絶対値は、1.0×10−11/Nであった。さらに、同オーバーコート層の表面硬度は、0.18GPaであった。
[実施例7]
オーバーコート層形成用の溶液として下記の溶液を用いたこと以外は、上記実施例1と同様にして光学フィルム(オーバーコート層の厚みは、1.0μm)を作製した。
(オーバーコート層形成用の溶液の調製)
トルエン(89.9質量部)、ノルボルネン系樹脂((株)JSR、商品名:アートンF5023)(10.0質量部)、及びレベリング剤((株)ビックケミー・ジャパン製、商品名:BYK333)(0.1質量部)を混合して、オーバーコート層形成用の溶液を調製した。
(実施例7の各層の諸物性)
実施例7の透明基材及び複屈折層の諸物性は、実施例1と同様である。
実施例7のオーバーコート層のRe[590]は、0nm、同Rth[590]の絶対値は、0nmであった。また、同オーバーコート層の光弾性係数の絶対値は、6.0×10−12/Nであった。さらに、同オーバーコート層の表面硬度は、0.19GPaであった。
[比較例]
オーバーコート層を形成しなかったこと以外は、上記実施例1と同様にして光学フィルムを作製した。
[光抜け試験]
(傷付け)
光学フィルムの表面(各実施例の場合にはオーバーコート層の表面、比較例の場合には複屈折層の表面)に、ナノスクラッチテスター(CSM社製)のダイヤモンド圧子(先端R=10μm)を用いて、20mN荷重で該ダイヤモンド圧子を押圧した。該押圧によって、光学フィルムの表面に傷を付けた。
なお、各実施例及び比較例の傷の様子を、非接触3次元面形状測定装置(VEECO社製、製品名「WYKO NT3300)を用いて測定した。
その結果、実施例1〜実施例4では、オーバーコート層の表面に、幅17.7μmの傷が認められた。また、実施例5〜7は、オーバーコート層の表面に、実施例1と同程度の傷が認められた。比較例では、複屈折層の表面に、幅21.5μmの傷が認められた。
(光抜けの測定)
上記のように傷を付けた実施例1〜7及び比較例の光学フィルムの透明基材の表面に、アクリル系粘着剤を塗工した。このアクリル系粘着剤を介して、光学フィルムを、ガラス板に貼り合わせた。
次に、これを偏光顕微鏡(オリンパス社製、製品名「ECLIPSE E600 POL」)を用いてクロスニコル状態での光抜け画像を取り込み、画像処理を行った。
上記画像処理は、偏光顕微鏡で取り込んだ画像を画像解析ソフト(Media Cybernetics社製、Image−ProPlus5.1J)を用いて、光抜け領域150×150ピクセルを8bitグレースケールに変換し、前記8bitグレースケール画像をビットマップ解析で、各ピクセルを255階調に数値化(黒=0、白=255)した。
前記数値化した数値データを基に、150×150ピクセルの和を算出した。
比較対照を作成するため、傷付け処理を行っていないブランクサンプル(傷付け処理をしなかった実施例1の光学フィルム)について、上記と同様にして、画像処理を行い、150×150ピクセルの和を算出した。
そして、上記データを下記式に代入して、光抜け量の定量化を算出した。
式:(各実施例又は比較例の光学フィルムの150×150ピクセルの和)−(ブランクサンプルの試験の150×150ピクセルの和)。
[試験結果]
その結果、実施例1の相対輝度は、「0.113」、実施例2の相対輝度は、「0.005」、実施例3の相対輝度は、「0.004」、実施例4の相対輝度は、「0.003」であった。実施例5の相対輝度は、「0.204」、実施例6の相対輝度は、「0.533」、実施例7の相対輝度は、「0.341」であった。
なお、相対輝度は、比較例に対する評価であり、下記式によって求められる。
式:相対輝度=実施例の光抜け量/比較例の光抜け量。
この結果から、各実施例の光学フィルムは、光抜け量が小さいことが判る。特に、実施例2〜4の光学フィルムは、光抜け量が極めて小さかった。
本発明の一実施形態の光学フィルムの断面図。 本発明の一実施形態の偏光板の断面図。 本発明の他の実施形態の偏光板の断面図。
符号の説明
1…光学フィルム、2…透明基材、3…密着層、5…複屈折層、6…オーバーコート層、7…接着層、8…偏光子、9…保護層

Claims (10)

  1. 透明基材上に複屈折層が形成された光学フィルムにおいて、前記複屈折層上に、オーバーコート層が形成されていることを特徴とする光学フィルム。
  2. 前記オーバーコート層の面内位相差値(Re[590])及び厚み方向位相差値(Rth[590])の絶対値が、それぞれ0nm〜10nmである請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記オーバーコート層の表面硬度が、0.05GPa〜0.25GPaである請求項1または2に記載の光学フィルム。
  4. 前記オーバーコート層の光弾性係数の絶対値が、4×10−11/N以下である請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルム。
  5. 前記オーバーコート層が、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、エポキシ系樹脂、ノルボルネン系樹脂、及びウレタン系樹脂から選択される少なくとも1種を含む請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルム。
  6. 前記透明基材が、イミド系樹脂を含むポリマーフィルムであり、
    前記オーバーコート層が、アクリルアミン系樹脂を含む請求項1〜4のいずれかに記載の光学フィルム。
  7. 前記オーバーコート層の厚みが、0.3μm〜10μmである請求項1〜6のいずれかに記載の光学フィルム。
  8. 前記複屈折層の屈折率楕円体が、nx≧ny>nzの関係を満足する請求項1〜7のいずれかに記載の光学フィルム。
    ただし、nxは、複屈折層の面内において、屈折率が最大となる方向(X軸方向)の屈折率を示し、nyは、複屈折層の面内において、前記X軸方向と直交する方向(Y軸方向)の屈折率を示し、nzは、前記X軸方向及びY軸方向に直交する方向の屈折率を示す。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の光学フィルムと、偏光子と、を有する偏光板。
  10. 請求項1〜8のいずれかに記載の光学フィルム、または、請求項9に記載の偏光板を有する画像表示装置。
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