JP2009074169A - 連続鋳造鋳片の熱処理装置及び熱処理方法 - Google Patents

連続鋳造鋳片の熱処理装置及び熱処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】トンネル型のチャンバー内で鋳片を連続的に熱処理する装置において、前記チャンバー内で低コストで酸素濃度を低濃度に維持可能とし、搬送中に連続的に表層を加熱された鋳片の酸化を防止する連続鋳造鋳片の熱処理装置または熱処理方法を提供する。
【解決手段】鋳片の搬送方向の両端に入口及び出口を有するトンネル型チャンバーの入口及び出口に鋳片に対して蛇行代のギャップを確保すると共に、鋳片の搬送方向と法線が垂直となる鋳片の面と対向する面を有するひさし部を設置し、前記ひさし部のうち、少なくとも出口側のひさし部の鋳片の被加熱面に対向する面内には、鋳片幅方向に、ガス吐出用のスリット口を設け、該スリット口につながる不活性ガスのスリット流路は不活性ガスがチャンバー内側へ吐出されるように鋳片の搬送方向に垂直な面から0度超、90度未満、傾けて設置した連続鋳造鋳片の熱処理装置およびこの装置を用いた熱処理方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、搬送中に連続的に表層を加熱された鋳片の酸化防止のために、チャンバー内に不活性ガスを供給する連続鋳造鋳片の熱処理装置及び熱処理方法に関する。また、表層改質に応用する前記連続鋳造鋳片の熱処理装置及び熱処理方法に関する。
まず、本発明を主として利用する、銅を含有する鋼の連続鋳造鋳片の表層改質方法について説明する。鋼は、銅を含むと熱間加工性が著しく阻害され、通常の鋼の製造工程である連続鋳造、再加熱、熱間圧延において表面に割れを発生する。これは、連続鋳造もしくは再加熱、熱間圧延時に鋼が雰囲気中の酸素にさらされて酸化する際に、鋼の中への銅の溶解度が低く、かつ、銅の融点が低いために銅が酸化鉄と鋼の間に液体状態で存在し、さらにこの液体の銅が鋼の結晶粒界に侵入し、界面強度を低下させるため割れに至るとされる。また、錫は銅の鋼中への溶解度を下げることにより、銅による割れの現象を促進してしまうことから、錫単独では問題となりにくいが、銅と併せて存在すると問題になることが知られている。
この現象を防止するためには、銅が鋼の精錬の工程において除去できない元素であることから、銅を鋼中に混入させないようにするか、もしくは銅の鋼中への溶解度を上げる元素であるニッケルを添加する方法が知られている。しかしながら、循環型社会となり銅を多く含むスクラップが多量に使用される現在では、銅は不可避的に混入し、鉱石からつくった鉄により希釈しても次第に累積し、徐々にニッケルを添加し、無害化する必要性が高まってきている。しかし、一方で、ニッケルは稀少で高価な元素でもあり、製造コストが高くなる問題を抱えている。
以上のことから、連続鋳造する際に、銅を含有する鋼とNiを含有する鋼の2種類の溶鋼を同時に鋳造する方法や連続鋳造用の潤滑材内にニッケルを混入させる方法などにより、鋳片表層のみニッケルを添加して、安価に処理する方法が知られている。しかし、前者の方法では、2種類の溶鋼を準備するために製造コストが高くなること、後者の方法では、後に鋳片の内部となる部分もまだ凝固しないうちに添加するので、表層のみに添加することが難しく、添加厚みの安定や、成分下限を満足することが難しかった。
そこで、銅を含有する鋼の鋳片表層を安価に確実に改質し、熱間加工時の割れの発生を防止することを目的とした技術が特許文献1において開示されている。図8にその概要図を示す。特許文献1によると、表面品質に欠陥を持つ鋳片1が、鋳片搬送ロール2により連続的雰囲気ボックス3内に搬送され、雰囲気ガス供給装置6を持つ雰囲気ボックス3の中で鋳片1の表面が加熱、溶融され、溶融改質手段5で、鋳片1の溶融した表面に添加元素が添加され、連続的に表面改質されるようになっている。
特許文献1には、銅を含有する鋼の鋳片表層に、銅の鋼中への溶解度を上げる元素であるニッケルを溶着させる方法として、誘導加熱、プラズマ加熱のいずれか一方または双方を用いて銅を含有する鋼の鋳片表層を溶融させ、そこへニッケルを含む純金属もしくは合金を添加することで、鋳片表層を安価に確実に改質できることが示されている。
すなわち、連続鋳造機で得られた鋳片は、切断後、溶融処理場に輸送され、ニッケルを含む純金属もしくは合金をプラズマに供給することで、プラズマで鋳片表層を溶融しつつ、ニッケルを含む純金属もしくは合金が鋼の溶融した部分に供給され、溶着される。その後再度冷却され凝固する。この方法でも、鋳片表層の溶融部温度を液相線温度(鉄は他の成分を含むため、融点のように1つの温度では溶融状態が決まらず、凝固が始まる温度を固相線温度、全て液体となる温度を液相線温度と呼ぶ) よりもわずかに高い温度に保持し、添加後に急速に冷却凝固させることにより凝固組織を小さくでき、結晶粒のサイズを小さくすることにより、銅が鋼の結晶粒界へ侵入することで起こる強度低下という悪影響を抑制できるという利点がある。
また、鋳片表層溶融部にニッケルを含む純金属もしくは合金を添加して溶着させる場合、鋳片の酸化を防止することが好ましいため、不活性ガス雰囲気(例えばアルゴン、窒素等)のチャンバー内で溶融改質するのが好ましく、さらにより確実に酸化を防止するためには、不活性ガス雰囲気中に約2容量% 程度の水素を含んで溶融改質することが好ましいとされる。特許文献1においては、酸化防止のために図8に示すように、プラズマトーチ全体を覆うチャンバー構造が開示されている。鋳片が連続的に搬出されてくるため、雰囲気ボックス3は、上から蓋をかぶせるような構造を持つようになっている。
特開2004−195514号公報
しかしながら、連続鋳造鋳片の熱処理装置において、トンネル型構造のチャンバー内で表面品質に欠陥を持つ鋳片の表面を溶融させると、鋳片が変形し、それが原因で鋳片が蛇行し、チャンバーに接触し、破損する場合があり、それを避けるために、チャンバー入口とチャンバー出口に、鋳片とチャンバーの壁との間に大きなギャップ(間隙)を設ける必要があった。その場合、開口面積が大きくなり、チャンバーの中の酸素濃度が高くなり、溶融金属表面が酸化し、品質が安定しないという問題があった。
また、鋳片が広幅となる場合は、開口面積が大きくなり、酸素濃度が高くなり、品質が安定しないという問題があった。また、鋳片が肉厚となる場合は、単純に上下からチャンバーで挟み込むこともできないという問題もあった。
そこで、本発明では、チャンバー入口とチャンバー出口にチャンバー壁と鋳片表面との間に鋳片の変形・蛇行を考慮したギャップを有する大開口面積のチャンバーにおいて、前記チャンバー内で低コストで酸素濃度を低濃度に維持可能とし、搬送中に連続的に表層を加熱された鋳片の酸化を防止でき、また、熱間加工性の優れた鋳片を得る表層改質にも用いることのできる前記連続鋳造鋳片の熱処理装置および熱処理方法を提供することを目的とする。
上記の課題を達成するため、本発明者は連続鋳造鋳片の熱処理装置及び熱処理方法並びに鋳片の表層改質装置及び方法について広く研究を行った。本発明はこの研究を基になされたものであって、その要旨は以下のとおりである。
(1)鋳片の上面表層を加熱する加熱手段と、加熱された鋳片の酸化防止のために不活性ガスを供給する手段を備えたトンネル型のチャンバーによる連続鋳造鋳片の熱処理において、前記チャンバーの入口及び出口には、鋳片の面と対向する面を有するひさし部が設置され、前記ひさし部のうち、少なくとも出口側のひさし部の前記鋳片の被加熱面に対向する面内には、鋳片幅方向に、不活性ガス吐出用のスリット口が設けられ、且つ、該スリット口につながる前記不活性ガスのスリット流路が鋳片の搬送方向に垂直な面から0度超、90度未満、チャンバー内側方向に傾斜して設置され、前記不活性ガスがチャンバー内側方向へ吐出されるようになっていることを特徴とする連続鋳造鋳片の熱処理装置。
(2)前記チャンバーの入口及び出口に設置された前記ひさし部のうち、少なくとも出口側のひさし部の前記鋳片の側面に対向する面内には、鋳片厚み方向に、不活性ガス吐出用のスリット口が設けられ、且つ、該スリット口につながる不活性ガスのスリット流路が鋳片の搬送方向に垂直な面から0度超、90度未満、チャンバー内側方向に傾斜して設置され、前記不活性ガスがチャンバー内側方向へ吐出されるようになっていることを特徴とする(1)に記載の連続鋳造鋳片の熱処理装置。
(3)前記チャンバーの入口及び出口に設置された前記ひさし部のうち、少なくとも出口側のひさし部の前記鋳片の被加熱面の裏面に対向する面内には、鋳片幅方向に、不活性ガス吐出用のスリット口が設けられ、且つ、該スリット口につながる不活性ガスのスリット流路が鋳片の搬送方向に垂直な面から0度超、90度未満、チャンバー内側方向に傾斜して設置され、前記不活性ガスがチャンバー内側方向へ吐出されるようになっていることを特徴とする(1)又は(2)に記載の連続鋳造鋳片の熱処理装置。
(4)前記チャンバーの入口及び出口に設置された前記ひさし部のうち、少なくとも出口側において、前記鋳片の被加熱面の裏面と、該裏面に対向するひさし部との間に、鋳片の幅方向に回転軸を有するシールロールが設置されていることを特徴とする(1)又は(2)に記載の連続鋳造鋳片の熱処理装置。
(5)前記チャンバーの入口及び出口に設置された前記ひさし部の前方に、シャッター及びシャッターの開閉装置が設置されていることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の連続鋳造鋳片の熱処理装置。
(6)前記チャンバーの入口及び出口に設置された前記ひさし部のうち、少なくとも出口側において、前記鋳片の被加熱面と該被加熱面に対向するひさし部との間、及び前記鋳片の被加熱面の裏面と該裏面に対向するひさし部との間に、鋳片幅方向に回転軸を有するシールロールを設置し、さらに、加熱面側のひさし部と加熱面側のシールロールとの間部、加熱面側のシールロールと加熱面の裏面側のシールロールとの間部、および、加熱面の裏面側のシールロールと加熱面の裏面側のひさし部との間部に、それぞれシール体を設け、かつ、該加熱面側のシールロールと加熱面の裏面側のシールロールとの間部のシール体を鋳片幅方向に2分割して構成し、該2分割されたシール体を鋳片幅方向に移動する可能としたことを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載の連続鋳造鋳片の熱処理装置。但し、加熱面側とは鋳片の被加熱面の側、加熱面の裏面側とは鋳片の被加熱面の裏面側を指すものとする。
(7)前記チャンバー内に、連続的に鋳片の表層を加熱溶融し、溶融部に添加元素を添加する鋳片の表層改質手段を設けたことを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載の連続鋳造鋳片の熱処理装置。
(8)鋳片の表層を加熱し、前記加熱された鋳片表層の酸化防止のために不活性ガスを供給するトンネル型のチャンバーによる連続鋳造鋳片の熱処理方法において、前記チャンバーの入口及び出口に、鋳片の面と対向する面を有するひさし部を設置し、前記ひさし部のうち、少なくとも出口側のひさし部の前記鋳片の被加熱面に対向する面内には、前記鋳片の幅方向に、不活性ガス吐出用のスリット口を設置し、且つ、該スリット口から不活性ガスを鋳片の搬送方向に垂直な面から0度超、90度未満、チャンバー内側方向へ傾斜して吐出することを特徴とする連続鋳造鋳片の熱処理方法。
(9)前記チャンバーの入口及び出口に設置された前記ひさし部のうち、少なくとも出口側のひさし部の前記鋳片の側面に対向する面内には、鋳片厚み方向に、不活性ガス吐出用のスリット口を設置し、且つ、該スリット口から不活性ガスを鋳片の搬送方向に垂直な面から0度超、90度未満にチャンバー内側方向へ傾斜して吐出することを特徴とする(6)に記載の連続鋳造鋳片の熱処理方法。
(10)前記チャンバーの入口及び出口に設置された前記ひさし部のうち、少なくとも出口側のひさし部の前記鋳片の被加熱面の裏面に対向する面内には、鋳片幅方向に、不活性ガス吐出用のスリット口を設置し、且つ、該スリット口から不活性ガスを鋳片の搬送方向に垂直な面から0度超、90度未満にチャンバー内側方向へ傾斜して吐出することを特徴とする(6)又は(7)に記載の連続鋳造鋳片の熱処理方法。
(11)前記チャンバーの入口及び出口に設置された前記ひさし部のうち、少なくとも出口側の前記鋳片の被加熱面の裏面と、該裏面に対向するひさし部との間に、鋳片幅方向に回転軸を有するシールロールを設置し、不活性ガスのチャンバー内からの流出を防止することを特徴とする(8)又は(9)に記載の連続鋳造鋳片の熱処理方法。
(12)前記チャンバーの入口及び出口に設置された前記ひさし部の前方に、シャッター及びシャッターの開閉装置を設置し、入口又は出口に鋳片が無い時はシャッターを閉じ、不活性ガスのチャンバー内からの流出を防止することを特徴とする(8)〜(11)のいずれか1項に記載の連続鋳造鋳片の熱処理方法。
(13)前記チャンバーの入口及び出口に設置された前記ひさし部のうち、少なくとも出口側において、前記鋳片の被加熱面と該被加熱面に対向するひさし部との間、且つ、前記鋳片の被加熱面の裏面と該裏面に対向するひさし部との間に、鋳片幅方向に回転軸を有するロールを設置し、さらに、加熱面側のひさし部と加熱面側のロールとの間部、加熱面側のロールと加熱面の裏面側のロールとの間部、加熱面の裏面側のロールと加熱面の裏面側のひさし部との間部に、それぞれシール体を設け、かつ、該加熱面側のシールロールと加熱面の裏面側のシールロールとの間部のシール体を鋳片幅方向に2分割して構成し、鋳片の幅に対応して、加熱面側のロールと加熱面の裏面側のロール間部のシール体を鋳片の幅方向に移動させることにより鋳片の側面とひさし部の側面との間の間隙を小さくし、不活性ガスのチャンバー内からの流出を防止することを特徴とする(8)〜(12)のいずれか1項に記載の連続鋳造鋳片の熱処理方法。但し、加熱面側とは鋳片の被加熱面の側、加熱面の裏面側とは鋳片の被加熱面の裏面側を指すものとする。
(14)前記チャンバー内において連続的に鋳片の表層を加熱溶融し、溶融部に添加元素を添加することによって、鋼鋳片を表層改質することを特徴とする(8)〜(13)のいずれか1項に記載の連続鋳造鋳片の熱処理方法。
本発明では、トンネル型チャンバー入口及びチャンバー出口に、ひさし部を設け、少なくとも出口側のひさし部にシールガススリット口11を、チャンバー3側に向けて設置し、シールガス(不活性ガス)を噴出させ、境界層を形成することにより、境界層を考慮した実質的なチャンバー出口ギャップH’をHより小さくすることができる。これにより、鋳片の変形・蛇行を考慮したギャップを、チャンバー入口8とチャンバー出口9に有する広幅、厚肉の鋳片用の大開口面積のチャンバーにおいて、低コストで酸素濃度を低濃度に維持可能であり、また、熱間加工性の優れた鋼鋳片を得る表層改質を行なうことの可能な連続鋳造鋳片の熱処理装置及び熱処理方法を提供することができる。
以下、本発明を鋳片の表層改質を行なう場合を例にとって説明する。すなわち、鋳片の搬送路に、酸化防止のため不活性ガスが供給された、鋳片蛇行代のギャップを有する鋳片の入口と出口を持つトンネル型のチャンバー4内で、連続的に表層を加熱溶融し、添加元素を添加し、表層改質する連続鋳造鋳片の熱処理装置において、チャンバー搬送方向の端部外側に突出して、鋳片の入口と出口として、鋳片の溶融改質面と対向するひさし部を有し、該ひさし部の鋳片の溶融改質面と対向する面に、鋳片幅方向に不活性ガス吐出用のスリット口を備え、不活性ガスがチャンバー側に吐出するように不活性ガスのスリット流路をチャンバー側に傾けて設置している連続鋳造鋳片の熱処理装置について、図4を用いて説明する。図4は本発明の連続鋳造鋳片の熱処理装置のガスシールの原理を示した断面模式図である。
ここで、加熱手段は特に特定されるものではなく、プラズマ加熱でも誘導加熱でも構わない。また、加熱手段によって加熱される鋳片の被加熱面は、溶融させるので、溶融物が流出しないように上面であることが望ましい。
連続鋳造鋳片の熱処理装置において、表面品質に欠陥を持つ鋳片1の表面を溶融させると、鋳片が変形し、それが原因で鋳片が蛇行し、チャンバー4に接触し、破損する場合があり、それを避けるために、チャンバー入口8とチャンバー出口9に、チャンバーの壁と鋳片面との間にギャップを設ける必要があった。チャンバー出口のギャップHは、例えば20mm以上とする必要があり、鋳片幅1mとすると、開口面積は1辺で0.02平方メートルとなり、チャンバー内の酸素濃度を低下させるには、雰囲気ガス流量が2000リットル/分オーダー以上必要となり、雰囲気ガスとしてアルゴンを用いる場合、コストが大きく実現しなかった。
本発明においては、チャンバー入口8および出口9に、ひさし部10を設け、少なくとも出口側のひさし部10にシールガススリット口11を、チャンバー4側に向けて設置し、シールガスを噴出させ、境界層12を形成することにより、境界層を考慮した実質的なチャンバー出口ギャップH’をHより小さくすることができることを見出した。これにより、見かけの開口面積を1/2程度に抑えることができ、現実的な不活性ガスのコストで、連続鋳造鋳片の熱処理装置を運転することができた。ひさし部10は、鋳片に対して変形または蛇行代のギャップを確保するように、チャンバーの入口及び出口から搬送方向に突出して設けるが、好ましくは、例えば、ひさし部の開口部形状、チャンバー入口または出口の開口部の断面形状とほぼ同じか、または若干広い断面形状とする。
また、上述のように、ひさし部及びひさし部のシールガススリット口は、ひさし部からチャンバー内側に不活性ガスを吐出させ、チャンバー内で加熱、或いは加熱溶融された鋳片表層の酸化防止を強化するためのものであり、シールガススリット口11は、チャンバー入口及び出口のひさし部の双方に設けることが好ましいが、チャンバーで加熱された鋳片の酸化防止の観点から、少なくとも出口側に設けることが必要である。
また、このシールガススリット口11は、ひさし部を構成する各面に設けることができる。鋳片の加熱、あるいは溶融状況などの必要に応じて、スリットを設ける面を選定することができる。例えば、鋳片を表層改質する場合においては、溶融された表層の酸化を防止するために、図1のようにひさし部の鋳片の被加熱面(溶融面)に対向する面に設けることは必須であるが、鋳片の側面或いは被加熱面の裏面も高温となり、鋳片の側面とこれと対向するひさし部の面とのギャップ(間隙)、鋳片の被加熱面の裏面とこの面と対向するひさし部の面とのギャップ(間隙)からの空気の侵入による酸化が避けられないので、図2あるいは図3に示すように、鋳片のこれらの面と対向するひさし部の面にも、シールガススリット口11を設けることが好ましい。
ガスのスリット流路は、図4に示すようにチャンバー内側方向に(スリット口(先端)がチャンバー内側方向を向くように)、ひさし部の上記鋳片の搬送方向に対して垂直な面から時計回りに、0°超、90°未満の角度θで傾斜させて設置する。これによりスリット口から不活性ガスをチャンバー内側方向に、ひさし部の上記鋳片の搬送方向に対して垂直な面から、0°超、90°未満の角度で傾斜させて吐出させることができる。
鋳片の側面や鋳片の被加熱面の裏面に対向するひさし部の面、或いはこれらを、入口側に設ける場合においても、例えば実施例の図1〜図3に示すように、上記スリットの流路の傾斜方向、傾斜角度の関係が保たれるものとする。スリットの流路の傾き角を逆方向(マイナス)にした場合、つまりチャンバー外側方向側に傾けた場合、境界層を考慮した実質的なチャンバー出口ギャップH’をHより小さくする効果はないばかりでなく、流れがアンバランスとなり、場所によっては、逆流が起こり、外気の吸い込みが生じ、チャンバー内の酸素濃度を上げることがあった。
上記のスリットの流路の傾き角θを90度以上にした場合について図5を用いて説明する。図5はスリットの流路の傾き角を鋳片の搬送方向に垂直面から時計回りに90度以上にした場合の連続鋳造鋳片の熱処理装置を示した図である。チャンバー出口でテーパー形状16を形成するなどすると、スリットの流路の傾き角を90度以上にすることができ、境界層を厚くできるが、ひさし部10では境界層は壁に再付着し、実質的なチャンバー出口ギャップH’をHより小さくする効果は小さかった。
次に、チャンバー入口及び出口に設けたひさし部の前方に、シャッター及びシャッターの開閉装置を設置した熱処理装置および熱処理方法の一例を、熱処理装置の側面の断面模式図である図6−1、図6−2を用いて説明する。
図6−1の(b)〜(c)、図6−2の(d)〜(f)において、 チャンバー4の入口及び出口にそれぞれ設けられたひさし部10の前方には、それぞれシャッター29a、29bが設置されている。これらのシャッターは、少なくとも上下および左右の4辺ひさし部により形成される開口部の全面を閉塞するに十分な大きさを有し、それぞれシャッター支持体30a、30bにより上下に昇降可能に支持されており、後述するシャッター駆動装置により昇降され、開口部を開閉するようなっている。なお、図6−1、図6−2ではシャッターは、開口部の全面を覆う一体の部材で構成しているが、上下に2分割した部材で構成し、それぞれ上下に昇降させて開閉するようにしてもよい。また、図6−1、図6−2の例では、シャッターは上下に昇降するようにしたが、開口部全体を覆う一体の部材で構成し、駆動装置により左右に開閉するようにしてもよく、さらには、シャッターを左右に2分割した部材で構成し、それぞれを左右に移動させてして開閉するようにしてもよい。
シャッターの開閉装置は、上記のシャッターの開閉を行うものであり、鋳片の端部をセンシングする入口側及び出口側のセンサー27a、27b、27c、27d(なお、図6−1、図6−2に示すように、センサー27aおよび27dは、シャッター29aおよび29bそれぞれの外側に、センサー27bおよび27cはシャッター29aおよび29bそれぞれの内側に設けられている)、シャッターを開閉するシャッター駆動装置(図示せず)、この駆動装置を制御するコントローラ28からなる。
以下、図6−1の(a)〜(c)、図6−2の(d)〜(f)に従って、シャッターの開閉を説明する。
鋳片の熱処理をしない待機時(図6−1の(a))には、入口側及び出口側のシャッターは両方とも閉としている。そして雰囲気ガス供給装置6と、シールガススリット口11からは、常時、雰囲気ガスおよびシールガス(不活性ガス)の供給を行っている。これにより、チャンバー4への外からの空気の侵入が抑えられ、チャンバ内の酸素濃度を低濃度に維持されている。
鋳片1が矢印の方向に進行し、チャンバー入口に接近したとき(図6−1の(b))、鋳片の端部をセンシングする入口側の外側のセンサー27aが鋳片1の先端部を検知する。その信号をコントローラー28に伝え、コントローラ28がよりシャッター29aを開ける信号をシャッター駆動装置に送り、これを駆動させてシャッター29aを開く。この開いた状態は、鋳片が移動し、鋳片の後端部を入口側の内側のセンサ27bが検知する図6−2(e)まで維持する。
チャンバー内を鋳片が処理を受けながら進行し、鋳片の端部をセンシングする出口側の内側のセンサー27cは鋳片の先端部を検知すると(図6−2の(c))、その信号をコントローラ28に伝え、コントローラ28がシャッター29bを開く信号をシャッター駆動装置に送り、これを駆動させてシャッター29bを開く。 さらに、鋳片がチャンバー内で処理を受けつつ進行し(このとき、入口側及び出口側のシャッターは開いた状態となっている)、鋳片の後端がチャンバー入口を通過するとき(図6−2の(e))、鋳片の端部をセンシングする入口側の内側のセンサー27bが鋳片の後端部がシャッターを通過したことを検知し、その信号をコントローラー28に伝え、コントローラ28が入口側のシャッター29aを閉じる信号をシャッター駆動装置に送り、これを駆動させてシャッター29aを閉じる。鋳片がさらに進行し、鋳片の後端がチャンバ出口を通過するとき(図6−2の(f))、鋳片の端部をセンシングする出口側の外側のセンサー27dが鋳片の後端部がシャッターを通過したことを検知し、その信号をコントローラ28に伝え、コントローラ28がシャッター29bを閉じる信号をシャッター駆動装置に送り、これを駆動させてシャッター29bを閉じるようになっている。これにより、雰囲気ガスの拡散を抑えつつ、効率的にチャンバ内の酸素濃度を低濃度に維持できる。
次に、本発明においてさらにチャンバー内の雰囲気のシール性を向上させる他の実施形態の熱処理装置および熱処理方法について説明する。
通常、鋳片の厚さや幅は多様に変化することが多く、このような多様なサイズの鋳片を処理する場合には、鋳片のサイズによっては鋳片と熱処理装置の入口及び出口のひさし部との間隙が大きくなり、処理装置内を所定の雰囲気に安定して維持することが困難になることがある。例えば、鋳片の厚さが通常よりも薄い場合は、ひさし部と鋳片の間に上下方向の大きな間隙が生じ、また、鋳片の幅が通常より狭い場合は、鋳片の側面と熱処理装置のひさし部との間に幅方向(鋳片幅方向)の大きな間隙が生ずることとなり、いずれの場合にも、この間隙から外の空気が侵入し、処理装置内を所定の雰囲気に安定して維持することが困難になる。
この実施形態は、このような鋳片の厚さや幅が変化する多様なサイズの鋳片を処理する場合においても、鋳片と熱処理装置のひさし部との間に形成される間隙をできるだけ小さくするようにするものである。
すなわち、熱処理装置のチャンバーの入口及び出口に設置された前記ひさし部のうち、少なくとも出口側のひさし部と鋳片間において、鋳片の被加熱面とこの被加熱面に対向するひさし部との間、及び鋳片の被加熱面の裏面とこの裏面に対向するひさし部との間に、それぞれ鋳片幅方向に回転軸を有するシールロールを各々設置する。なお、以下においては、但し、加熱面側とは鋳片の被加熱面の側、加熱面の裏面側とは鋳片の被加熱面の裏面側を指すものとし、鋳片の被加熱面に対向するひさし部を加熱面側のひさし部、鋳片の被加熱面の裏面に対向するひさし部を加熱面の裏面側のひさし部とも記載し、また、鋳片の被加熱面とこの被加熱面に対向するひさし部(加熱面側のひさし部)との間の上記シールロールを加熱面側のシールロール、鋳片の被加熱面の裏面とこの裏面に対向するひさし部(加熱面の裏面側のひさし部)との間の上記シールロールを加熱面の裏面側のシールロールとも記載する。
さらに、熱処理装置の上記加熱面側のひさし部と上記加熱面側のシールロールとの間、上記加熱面側のシールロールと上記加熱面の裏面側のシールロールとの間、及び上記加熱面の裏面側のシールロールと上記加熱面の裏面側のひさし部との間に、それぞれの間をシールする3つのシール体を設け、かつ上記加熱面側のシールロールと上記加熱面の裏面側のシールロールとの間をシールする上記シール体を、軸方向(鋳片幅方向)に2分割した2つのシール体で形成し、それぞれ軸方向(鋳片幅方向)移動可能に構成するものである。
なお、上述のように、上記加熱面側のひさし部と上記加熱面側のシールロールとの間のシール体を加熱面側のシール体、上記加熱面側のシールロールと上記加熱面の裏面側のシールロールとの間のシール体を可動シール体、上記加熱面の裏面側のシールロールと上記加熱面の裏面側のひさし部との間のシール体を加熱面の裏面側のシール体とも記載する。
図7は、本発明の他の実施形態の一例である連続鋳造鋳片の熱処理装置を示す模式図であり、(a)は、(c)のA''''−A''''上面図、(b)は(C)のB''''−B''''視側面図(c)は、(b)C''''−C''''視正面図である。
図7(a)〜(c)において、熱処理装置の入口側及び出口側にはひさし部10が設けられ、入口側及び出口側のひさし部10と鋳片1との間において、鋳片の被加熱面とこの被加熱面に対向するひさし部(加熱面側のひさし部)との間、及び鋳片の被加熱面の裏面とこの裏面に対向するひさし部(加熱面の裏面側のひさし部)との間に、鋳片幅方向に回転軸を有する加熱面側のシールロール17および加熱面の裏面側のシールロール18が各々設けられている。各シールロールは、軸受を含むシールロール支持体19により回転自在に支持され、それぞれ加熱面側のひさし部及び加熱面の裏面側のひさし部に固定されている。なお、加熱面側のシールロール17は、加熱面側のひさし部にスプリングのダンパー20を介してシールロール支持体19により上下に移動可能に支持されており、熱処理により鋳片が熱変形した場合でも、シールロールが上下に移動して衝撃を吸収し、ひさし部に対して大きな衝撃がかからないようになっている。シールロール17、18は、シールロールと鋳片との上下方向の間隔が小さくなるようにその径や上下方向の設置位置を設定すれば良いが、通常5mm以下となるように設定するのが好ましい。なお、上述のように熱処理による変形を考慮して、加熱面側のシールロールをダンパーを介して加熱面側のひさし部に移動可能に支持することが好ましい。
また、シールロールの軸方向(鋳片の幅方向)の長さは、ひさし部の開口部の幅方向長さに近いものとし、ひさし部の両側面とロール側面との間隙を小さくすることが好ましい。
さらに、上記実施形態の熱処理装置では、加熱面側のひさし部と加熱面側のシールロール17との間に、この間をロール軸方向(鋳片の幅方向)にわたってシールする加熱面側のシール体21、加熱面の裏面側のシールロール18と加熱面の裏面側のひさし部との間に、この間をロール軸方向(鋳片の幅方向)にわたってシールする加熱面の裏面側のシール体22、および、加熱面側のシールロール17と加熱面の裏面側のシールロール18との間に、鋳片の側面とこの側面と対向するひさし部との間をロール軸方向(鋳片の幅方向)にわたってシールする可動シール体23の3つのシール体が設けられており、後述するように、可動シール体23は、鋳片幅方向に2分割された可動シール体23a,23bで形成されている。
加熱面側シール体21はその下側の面に、加熱面の裏面側のシール体22はその上側の面に、それぞれ軸方向(鋳片幅方向)に垂直な断面がほぼ半円状の溝を軸方向に有しており、この溝に加熱面側のシールロール17または加熱面の裏面側のシールロール18の円周面の一部が溝面と間隙を有して配置できるようになっている。 加熱面側のシール体21および加熱面の裏面側のシール体22の軸方向長さは、ひさし部の両側面との間隙を小さくする観点から、加熱面側または加熱面の裏面側のシールロールの軸方向の長さとほぼ同じとすることが好ましい。加熱面側のシール体21および加熱面の裏面側のシール体22は、加熱面側および加熱面の裏面側のひさし部にそれぞれ取り付けられる。
上記可動シール体23は、その上側の面及び下側の面に軸方向(鋳片幅方向)に垂直な断面がほぼ半円状の溝を軸方向に有する(軸方向に垂直な断面形状は鼓状となる)左右2つのシール体23a、23bから構成されており、上記の溝には加熱面側のシールロール17および加熱面の裏面側のシールロール18の円周面の一部が溝面と間隙を有してそれぞれ配置できるようになっている。
また、可動シール体23(23a,23b)は、上述の加熱面側のシール体21および加熱面の裏面側のシール体22と上下方向に間隔を有して配置されるとともに、左右のシール23a、23bの鋳片幅方向の一端部は、駆動軸25を介して可動シール体駆動装置24に連結、支持されており、可動シール体駆動装置24により鋳片幅方向(ロール軸方向)に移動可能に構成されている。
可動シール体23の左右2つのシール体23a、23bは、上記可動シール体駆動装置の駆動により、鋳片幅方向に相互に対向する方向に移動し、それぞれの他端部が熱処理装置の開口部の中央部で接触し、一体の可動シール体となるように構成される。これにより、加熱面側シールロール17と加熱面の裏面側シールロール18との上下方向の間をひさし部の両側面の間にわたってシールすることができる。
図7(a)、(b)から判るように、 この熱処理装置により鋳片を処理し、鋳片が処理装置内から退出する場合は、出口側の可動シール体駆動装置24を駆動させて出口側の可動シール体23a、23bを開き、鋳片を退出させる。その際、駆動装置24の駆動を調整して、可動シール体23aと23bの中央側端部と鋳片の側面との間隔が小さくなるように調整する。また、鋳片が進行しその後端部が入口側の可動シール体を通過した後は、入口側の可動シール体23を閉じておくことにより、あるいは、熱処理装置内に鋳片がない場合は、入口側および出口側の可動シール体を閉じておくことにより、チャンバー内の雰囲気をより安定して維持することができることはいうまでもない。
このように、可動のシール体23を設けることにより、処理する鋳片の幅が変化した場合、可動シール体23のシール体部材23a、23bを左右に移動させることにより、鋳片の側面とシール体部材の中央側端部との間隙を極めて小さく、例えば、鋳片の側面から5mmの位置に設置させるようにすることができ、隙間が小さくなり、開口面積を小さく抑えることができ、不活性ガスのチャンバー内からの流出を防止でき、酸素濃度を低濃度に維持できる。また、加熱面側シールロール、加熱面の裏面側シールロール、加熱面側のシール体、加熱面の裏面側のシール体により、鋳片の厚さの変動に対してもシール機能が強化される結果、活性ガスのチャンバー内からの流出を防止でき、酸素濃度を低濃度に維持できる。
なお、本実施形態では図7に示したように、出口側及び入口側の双方のひさし部に加熱面側シールロール、加熱面の裏面側シールロール、加熱面側のシール体、加熱面の裏面側のシール体、及び可動シール体を設けた例によって説明したが、本発明は、これに限るものではなく、これらのシールロール及びシール体を、少なくとも出口側のひさし部に設ければ、本発明の効果を得ることができる。
本発明の熱処理装置においては、前記チャンバー内の鋳片の表面を加熱、溶融する手段に溶融部に表面を改質するための例えばニッケルなどのような添加元素を添加する手段を設け、これによって鋳片の表層を改質し、鋳片表面の割れや表面疵などの表面欠陥の発生を抑制するようにすることができることはいうまでもない。
また、本発明の熱処理装置の構造は、特に限定するものではなく、通常の熱処理装置、熱処理炉などと同様の構造とすることができる。例えば、鋼製の炉体とし、必要に応じてこの炉体に断熱・耐火材などを配置して断熱・耐火性能を付与したもの或いは、この炉体の水冷配管などを設けて冷却構造を組み込んだものとすることも可能である。
本発明の実施例を、図1〜3を用いて説明する。
鋳片の搬送路に、酸化防止のため不活性ガスが供給され、鋳片の入口と出口を持つトンネル型のチャンバー内で、連続的に表層を溶融改質する連続鋳造鋳片の熱処理装置において、搬送される鋳片断面の寸法は幅1000mm、厚み100mmである。供給される不活性ガスはアルゴンガスである。チャンバー前後端にある鋳片の入口と出口の開口部は、鋳片蛇行代として、鋳片の左右上下方向に20mmのギャップHを持たせているので、開口部は、横幅1040mm、縦幅140mmとなっている。
本発明では、チャンバー入口8およびチャンバー出口9の開口部に、図1〜3に示すように、開口部の4辺にヒサシ部10を設けている。また、図2に示す実施例では、開口部4辺のヒサシ部10のすべてに(鋳片の被加熱面および被加熱面の裏面および両側面にそれぞれ対向する面)スリット幅2mmとし、鋳片幅方向に延びるシールガススリット口11を、チャンバー4側に向けて上記各面の垂直面から45°の角度を持たせて設置した。このシールガススリット口11より、シールガスを長さあたり10リットル毎分で噴出させ、厚さ10mm程度の境界層12(図4参照)を形成することにより、境界層を考慮した実質的なチャンバー出口ギャップH’を10mmとすることができ、当初のギャップH=20mmより小さくすることができることを見出した。これにより、実質的な開口面積を1/2程度に抑えることができ、現実的な不活性ガスのコストで、連続鋳造鋳片の熱処理装置を運転することができた。
溶融改質する面以外の面の変形が少ない場合は、図1のように、ひさし部の溶融面(被加熱面)に対向する面にのみスリット口を設け、溶融面(被加熱面)に対向する面からのみ、ガスシールを行ない、溶融面以外の面に対向する面の鋳片とのギャップを10mm以下にすることで、開口面積を低下させることができた。また、図3のようにシールロール18(加熱面の裏面側のシールロール)をチャンバー入口と出口のヒサシ部の鋳片の溶融面(被加熱面)の裏面と対向する面と鋳片の被加熱面の裏面との間に設置することで、開口面積を低下させることができた。 なお、シールロール18がこの位置にある場合は、シールロールにより外気の侵入が妨げられるので、加熱されている鋳片の下側(被加熱面の裏面)からのガスシールを省略することが可能である。なお、シールロールの軸方向(鋳片幅方向)の長さは、熱処理装置の幅とほぼ同じとした。
本発明の一実施形態の連続鋳造鋳片の熱処理装置を示す模式図であり、(a)は(c)のA−A視上面図、(b)は(c)のB−B視側面図、(c)は(b)のC−C視正面図である。 本発明の他の実施形態の連続鋳造鋳片の熱処理装置を示す模式図であり、(a)は(c)のA´−A´視上面図、(b)は(c)のB´−B´視側面図、(c)は(b)のC´−C´視正面図である。 本発明の他の実施形態の連続鋳造鋳片の熱処理装置を示す模式図であり、(a)は(c)のA"−A"視上面図、(b)は(c)のB"−B"視側面図、(c)は正面図である。 本発明の連続鋳造鋳片の熱処理装置におけるガスシールの原理を示す、側面模式図である。 連続鋳造鋳片の熱処理装置におけるガスシールの他の形態を示した側面模式図であり、スリットの流路の傾き角を90度以上にした場合を示す。 本発明の連続鋳造鋳片の熱処理装置におけるシャッターの構造及び開閉方法を示す模式図(側面模式図)である。 本発明の連続鋳造鋳片の熱処理装置におけるシャッターの構造及び開閉方法を示す模式図(側面模式図)である。 本発明の他の実施形態の連続鋳造鋳片の熱処理装置を示す模式図であり、(a)は、(c)のA''''−A''''上面図、(b)は(C)のB''''−B''''視側面図(c)は、(b)C''''−C''''視正面図である。 従来の連続鋳造鋳片の熱処理装置を示す模式図であり、(a)は(c)のA'''−A'''視上面図、(b)は(c)のB'''−B'''視側面図、(c)は正面図である。
符号の説明
1 鋳片
2 鋳片搬送ロール
3 雰囲気ボックス
4 チャンバー
5 加熱手段または加熱溶融改質手段
6 雰囲気ガス供給装置
7 加熱したまたは加熱溶融した鋳片表面
8 チャンバー入口
9 チャンバー出口
10 ひさし部
11 シールガススリット口
12 境界層
13 シールガス(不活性ガス)
14 雰囲気ガス
15 シールガスヘッダー
16 テーパー状
17 加熱面側のシールロール
18 加熱面の裏面側のシールロール
19 シールロール支持体
20 ダンパー
21 加熱面側のシール体
22 加熱面の裏面側のシール体
23、23a、23b 可動シール体
24 可動シール体駆動装置
25 駆動軸
27a、27b、27c、27d スラブ端をセンシングするセンサー
28 コントローラ
29a、29b シャッター
30a、30b シャッター支持体
H チャンバー出口ギャップ
H’ 境界層を考慮した実質的なチャンバー出口ギャップ

Claims (14)

  1. 鋳片の上面表層を加熱する加熱手段と、加熱された鋳片の酸化防止のために不活性ガスを供給する手段を備えたトンネル型のチャンバーによる連続鋳造鋳片の熱処理において、前記チャンバーの入口及び出口には、鋳片の面と対向する面を有するひさし部が設置され、前記ひさし部のうち、少なくとも出口側のひさし部の前記鋳片の被加熱面に対向する面内には、鋳片幅方向に、不活性ガス吐出用のスリット口が設けられ、且つ、該スリット口につながる前記不活性ガスのスリット流路が鋳片の搬送方向に垂直な面から0度超、90度未満、チャンバー内側方向に傾斜して設置され、前記不活性ガスがチャンバー内側方向へ吐出されるようになっていることを特徴とする連続鋳造鋳片の熱処理装置。
  2. 前記チャンバーの入口及び出口に設置された前記ひさし部のうち、少なくとも出口側のひさし部の前記鋳片の側面に対向する面内には、鋳片厚み方向に、不活性ガス吐出用のスリット口が設けられ、且つ、該スリット口につながる不活性ガスのスリット流路が鋳片の搬送方向に垂直な面から0度超、90度未満、チャンバー内側方向に傾斜して設置され、前記不活性ガスがチャンバー内側方向へ吐出されるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造鋳片の熱処理装置。
  3. 前記チャンバーの入口及び出口に設置された前記ひさし部のうち、少なくとも出口側のひさし部の前記鋳片の被加熱面の裏面に対向する面内には、鋳片幅方向に、不活性ガス吐出用のスリット口が設けられ、且つ、該スリット口につながる不活性ガスのスリット流路が鋳片の搬送方向に垂直な面から0度超、90度未満、チャンバー内側方向に傾斜して設置され、前記不活性ガスがチャンバー内側方向へ吐出されるようになっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の連続鋳造鋳片の熱処理装置。
  4. 前記チャンバーの入口及び出口に設置された前記ひさし部のうち、少なくとも出口側において、前記鋳片の被加熱面の裏面と、該裏面に対向するひさし部との間に、鋳片の幅方向に回転軸を有するシールロールが設置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の連続鋳造鋳片の熱処理装置。
  5. 前記チャンバーの入口及び出口に設置された前記ひさし部の前方に、シャッター及びシャッターの開閉装置が設置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の連続鋳造鋳片の熱処理装置。
  6. 前記チャンバーの入口及び出口に設置された前記ひさし部のうち、少なくとも出口側において、前記鋳片の被加熱面と該被加熱面に対向するさし部との間、及び前記鋳片の被加熱面の裏面と該裏面に対向するひさし部との間に、鋳片幅方向に回転軸を有するシールロールを設置し、さらに、加熱面側のひさし部と加熱面側のシールロールとの間部、加熱面側のシールロールと加熱面の裏面側のシールロールとの間部、および、加熱面の裏面側のシールロールと加熱面の裏面側のひさし部との間部に、それぞれシール体を設け、かつ、該加熱面側のシールロールと加熱面の裏面側のシールロールとの間部のシール体を鋳片幅方向に2分割して構成し、該2分割されたシール体を鋳片幅方向に移動する可能としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の連続鋳造鋳片の熱処理装置。但し、加熱面側とは鋳片の被加熱面の側、加熱面の裏面側とは鋳片の被加熱面の裏面側を指すものとする。
  7. 前記チャンバー内に、連続的に鋳片の表層を加熱溶融し、溶融部に添加元素を添加する鋳片の表層改質手段を設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の連続鋳造鋳片の熱処理装置。
  8. 鋳片の表層を加熱し、前記加熱された鋳片表層の酸化防止のために不活性ガスを供給するトンネル型のチャンバーによる連続鋳造鋳片の熱処理方法において、前記チャンバーの入口及び出口に、鋳片の面と対向する面を有するひさし部を設置し、前記ひさし部のうち、少なくとも出口側のひさし部の前記鋳片の被加熱面に対向する面内には、前記鋳片の幅方向に、不活性ガス吐出用のスリット口を設置し、且つ、該スリット口から不活性ガスを鋳片の搬送方向に垂直な面から0度超、90度未満、チャンバー内側方向へ傾斜して吐出することを特徴とする連続鋳造鋳片の熱処理方法。
  9. 前記チャンバーの入口及び出口に設置された前記ひさし部のうち、少なくとも出口側のひさし部の前記鋳片の側面に対向する面内には、鋳片厚み方向に、不活性ガス吐出用のスリット口を設置し、且つ、該スリット口から不活性ガスを鋳片の搬送方向に垂直な面から0度超、90度未満にチャンバー内側方向へ傾斜して吐出することを特徴とする請求項6に記載の連続鋳造鋳片の熱処理方法。
  10. 前記チャンバーの入口及び出口に設置された前記ひさし部のうち、少なくとも出口側のひさし部の前記鋳片の被加熱面の裏面に対向する面内には、鋳片幅方向に、不活性ガス吐出用のスリット口を設置し、且つ、該スリット口から不活性ガスを鋳片の搬送方向に垂直な面から0度超、90度未満にチャンバー内側方向へ傾斜して吐出することを特徴とする請求項6又は7に記載の連続鋳造鋳片の熱処理方法。
  11. 前記チャンバーの入口及び出口に設置された前記ひさし部のうち、少なくとも出口側の前記鋳片の被加熱面の裏面と、該裏面に対向するひさし部との間に、鋳片幅方向に回転軸を有するシールロールを設置し、不活性ガスのチャンバー内からの流出を防止することを特徴とする請求項8又は9に記載の連続鋳造鋳片の熱処理方法。
  12. 前記チャンバーの入口及び出口に設置された前記ひさし部の前方に、シャッター及びシャッターの開閉装置を設置し、入口又は出口に鋳片が無い時はシャッターを閉じ、不活性ガスのチャンバー内からの流出を防止することを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載の連続鋳造鋳片の熱処理方法。
  13. 前記チャンバーの入口及び出口に設置された前記ひさし部のうち、少なくとも出口側において、前記鋳片の被加熱面と該被加熱面に対向するひさし部との間、且つ、前記鋳片の被加熱面の裏面と該裏面に対向するひさし部との間に、鋳片幅方向に回転軸を有するロールを設置し、さらに、加熱面側のひさし部と加熱面側のロールとの間部、加熱面側のロールと加熱面の裏面側のロールとの間部、加熱面の裏面側のロールと加熱面の裏面側のひさし部との間部に、それぞれシール体を設け、かつ、該加熱面側のシールロールと加熱面の裏面側のシールロールとの間部のシール体を鋳片幅方向に2分割して構成し、鋳片の幅に対応して、加熱面側のロールと加熱面の裏面側のロール間部のシール体を鋳片の幅方向に移動させることにより鋳片の側面とひさし部の側面との間の間隙を小さくし、不活性ガスのチャンバー内からの流出を防止することを特徴とする請求項8〜12のいずれか1項に記載の連続鋳造鋳片の熱処理方法。但し、加熱面側とは鋳片の被加熱面の側、加熱面の裏面側とは鋳片の被加熱面の裏面側を指すものとする。
  14. 前記チャンバー内において連続的に鋳片の表層を加熱溶融し、溶融部に添加元素を添加することによって、鋼鋳片を表層改質することを特徴とする請求項8〜13のいずれか1項に記載の連続鋳造鋳片の熱処理方法。
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