JP2009070843A - ダミーパタン設計方法、情報処理装置およびプログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】配線のうち高速信号線における信号速度の低下を抑制し、CMP処理における平坦化効果を向上させたダミーパタン設計方法を提供する。
【解決手段】絶縁層を挟んで第1の配線層および第2の配線層が順に積層された半導体装置の第1の配線層に対するダミーパタン設計方法であって、第2の配線層に含まれる配線のうちダミーパタンとの配線容量が所定の値以下であることが要求される第1の配線を抽出し、第1の配線との間で生じる容量が所定の値以下になる、形状および位置の第1のダミーパタンを空き領域に配置し、第2の配線層において第1の配線を除く配線である第2の配線の下方の空き領域に第2のダミーパタンを配置するものである。
【選択図】図2
【解決手段】絶縁層を挟んで第1の配線層および第2の配線層が順に積層された半導体装置の第1の配線層に対するダミーパタン設計方法であって、第2の配線層に含まれる配線のうちダミーパタンとの配線容量が所定の値以下であることが要求される第1の配線を抽出し、第1の配線との間で生じる容量が所定の値以下になる、形状および位置の第1のダミーパタンを空き領域に配置し、第2の配線層において第1の配線を除く配線である第2の配線の下方の空き領域に第2のダミーパタンを配置するものである。
【選択図】図2
Description
本発明は、半導体装置の配線層に対して設計段階でダミーパタンの配置を決めるためのダミーパタン設計方法、その方法を実行する情報処理装置、およびその方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関する。
半導体集積回路などの半導体装置の製造技術の一つとしてCMP(Chemical and Mechanical Polishing:化学機械研磨)という技術がある。CMP技術は、半導体装置の製造過程でウェハ表面を研磨することにより、ウェハ表面を平坦化し、露光などの際の製造精度を上げることにより歩留りの向上をもたらす技術である。また、このCMP技術を用いて絶縁膜に予め設けられた溝に配線を形成する工程がある。この工程は、ダマシン(damascene)工程と呼ばれている。
ダマシン工程では、絶縁膜の溝を埋め込むように形成された導体膜に対して、溝の上面よりも上側に形成された、余分な導体膜を研磨して除去する。その際、余分な導体膜を研磨し終えた直後にCMP処理を終了させるのが理想である。しかし、ウェハ面内における導体膜の膜厚ばらつきやウェハの反りなどにより、ウェハ面内の部位によっては、余分な導体膜が完全に除去できないところがある。そのため、ウェハ全面で余分な導体膜を完全に除去しようとすると、他の領域に比べて早く研磨される領域では、導体膜だけでなく、導体膜と絶縁膜が混在する面が研磨されることになる。
ダマシン工程では主に導体膜を研磨する条件で行っているため、導体膜と絶縁膜が混在する領域を研磨しようとすると、その領域における導体膜の占める割合により研磨速度が異なってしまう。導体膜による配線パタンの密度が大きい領域とその密度が小さい領域とで研磨速度が異なるため、ウェハ表面の高さの均一性が悪くなるおそれがある。その場合、高さの不均一性による段差形状がその後の微細加工に影響を及ぼし、製造歩留りを下げてしまうことになる。
そのため、信号線や電源線などの配線パタンが存在しない空き領域に、信号を伝播する配線としては使用しないパタンを導体膜で形成し、導体膜部分の密度のばらつきを低減することが一般的に行われている。なお、CMPの研磨面における導体膜部分の密度を均一化するために配置する、信号を伝播する配線としては使用しないパタンを、ダミーパタンと称する。このダミーパタンは回路とは接続されていない。
このダミーパタンを配線パタン密度の小さい領域に設け、配線パタン密度のばらつきを低減することで、CMP技術による平坦化が向上する。その反面、ダミーパタンの上層に信号線が設けられていると、信号線とダミーパタンとの間に容量がつき、その容量により信号速度が遅くなってしまうという課題があった。
これを解決するための手段の一例が特許文献1に開示されている。特許文献1では、ダミーパタンの設計方法として、ダミーパタンとレイヤーの異なる配線パタンとが、基板垂直上方から見たときに重ならないようにすることが記載されている。
特開平10−27799号公報
導体膜部分の密度が均一になるように、ダミーパタンを配線層の空き領域に配置すると、ダミーパタンとその上層の配線との間に容量がつき、高速で信号が動作する配線に対してその容量が悪影響を及ぼすことになる。反対に、信号速度を優先し、高速で信号が動作する配線に寄生する容量を低減するために、ダミーパタンの配置をやめてしまうと、CMPによる平坦化が悪化し、所定の値以上のばらつきによる研磨ムラが生じ、製造歩留まりが低下することになる。
上述したように、ダミーパタンの配置の仕方が信号速度と製造歩留まりの両方に影響を及ぼすことから、これらのことを考慮しないと、配線設計段階にシミュレーションで確認した値と、実際に製造したチップで確認した値とが異なることになる。
製造歩留まりおよび信号速度のそれぞれとダミーパタンの配置との関係から、いずれか一方だけを優先するような設計では、製品のコストおよび仕様の両方を満足できず、2つの課題を解決することが求められるようになってきた。特許文献1の方法は、配線間の容量の問題を解決することに重点が置かれており、そのままでは2つの課題を解決するのは困難であった。
本発明は、上述したような技術が有する問題点を解決するためになされたものであり、配線のうち高速信号線における信号速度の低下を抑制し、CMP処理における平坦化効果を向上させたダミーパタン設計方法、情報処理装置、およびその方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明のダミーパタン設計方法は、絶縁層を挟んで第1の配線層および第2の配線層が順に積層された半導体装置の前記第1の配線層に対するダミーパタン設計方法であって、
前記第2の配線層に含まれる配線のうちダミーパタンとの配線容量が所定の値以下であることが要求される第1の配線を抽出し、
前記第1の配線との間で生じる容量が前記所定の値以下になる、形状および位置の第1のダミーパタンを空き領域に配置し、
前記第2の配線層において前記第1の配線を除く配線である第2の配線の下方の空き領域に第2のダミーパタンを配置するものである。
前記第2の配線層に含まれる配線のうちダミーパタンとの配線容量が所定の値以下であることが要求される第1の配線を抽出し、
前記第1の配線との間で生じる容量が前記所定の値以下になる、形状および位置の第1のダミーパタンを空き領域に配置し、
前記第2の配線層において前記第1の配線を除く配線である第2の配線の下方の空き領域に第2のダミーパタンを配置するものである。
一方、上記目的を達成するための本発明の情報処理装置は、絶縁層を挟んで第1の配線層および第2の配線層が順に積層された半導体装置の前記第1の配線層に対してダミーパタンを設計する情報処理装置であって、
前記第1および第2の配線層に含まれる配線の配置の情報と前記第2の配線層において前記ダミーパタンとの配線容量が所定の値以下であることが要求される第1の配線の情報を含む配線設計情報が格納された記憶部と、
前記第2の配線層から前記第1の配線を抽出し、前記第1の配線との間で生じる容量が前記所定の値以下になる、形状および位置の第1のダミーパタンを空き領域に配置し、前記第2の配線層において前記第1の配線を除く配線である第2の配線の下方の空き領域に第2のダミーパタンを配置する制御部と、
を有する構成である。
前記第1および第2の配線層に含まれる配線の配置の情報と前記第2の配線層において前記ダミーパタンとの配線容量が所定の値以下であることが要求される第1の配線の情報を含む配線設計情報が格納された記憶部と、
前記第2の配線層から前記第1の配線を抽出し、前記第1の配線との間で生じる容量が前記所定の値以下になる、形状および位置の第1のダミーパタンを空き領域に配置し、前記第2の配線層において前記第1の配線を除く配線である第2の配線の下方の空き領域に第2のダミーパタンを配置する制御部と、
を有する構成である。
また、上記目的を達成するための本発明のプログラムは、絶縁層を挟んで第1の配線層および第2の配線層が順に積層された半導体装置の前記第1の配線層に対してダミーパタンを設計する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記第2の配線層に含まれる配線のうちダミーパタンとの配線容量が所定の値以下であることが要求される第1の配線を抽出し、
前記第1の配線との間で生じる容量が前記所定の値以下になる、形状および位置の第1のダミーパタンを空き領域に配置し、
前記第2の配線層において前記第1の配線を除く配線である第2の配線の下方の空き領域に第2のダミーパタンを配置する処理を前記コンピュータに実行させるものである。
前記第2の配線層に含まれる配線のうちダミーパタンとの配線容量が所定の値以下であることが要求される第1の配線を抽出し、
前記第1の配線との間で生じる容量が前記所定の値以下になる、形状および位置の第1のダミーパタンを空き領域に配置し、
前記第2の配線層において前記第1の配線を除く配線である第2の配線の下方の空き領域に第2のダミーパタンを配置する処理を前記コンピュータに実行させるものである。
本発明によれば、CMP処理における平坦化効果を得るとともに、ダミーパタンとの間で生じる容量に対して特性に影響を受ける配線には影響を抑制するようにダミーパタンを設計できる。容量の影響を受ける配線が高速信号線であれば、信号速度について配線設計段階におけるシミュレーション値が実際の値に近くなり、信号速度をより正確に見積もって配線を設計することが可能となる。
本発明のダミーパタン設計方法は、上層の配線層のうちダミーパタンとの間で生じる容量が所定の値以下であることを要求されるか否かで2種類の配線に分類し、分類した配線種に応じて下層の空き領域に配置するダミーパタンの種類を変えることを特徴とする。
本実施形態では、説明を簡単にするために、第1配線層とその上層の第2配線層との2つの配線層を有する半導体装置に対して、設計段階で第1配線層のダミーパタンの配置を決める場合とする。そして、第1配線層と第2配線層のそれぞれには信号線が設けられ、信号速度が所定の値以上の高速信号線が第2配線層に設けられているものとする。CMPで研磨されるのは第1配線層となる。
本実施形態の情報処理装置について説明する。図1は本実施形態の情報処理装置の一構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の情報処理装置10は、記憶部11と、制御部12と、ダミーパタンの配置を示す情報を表示する表示部13と、操作者が指示を入力するための操作部14とを有する。制御部12は、プログラムにしたがって処理を実行するCPU(Central Processing Unit)(不図示)と、プログラムを格納するためのメモリ(不図示)とを備えている。
記憶部11には、ダミーパタンを配置する対称となる半導体装置の配線パタンの配置を示す配線設計情報が格納される。配線設計情報には、各配線パタンの配置の情報と、配線パタン毎の設計上の信号速度の情報とが含まれている。
ここで、配線設計情報を基板全体の配線としてではなく、半導体装置のチップ単体として考える理由は、次の通りである。半導体装置の製造では、通常、1枚の基板に対して等間隔にチップが複数配置されるため、チップ単位で研磨ムラを抑制すれば、1枚の基板に配置される全てのチップに対してその効果が及ぶからである。
また、記憶部11には、高速信号線であるか否かを判定するための信号速度の基準値である信号速度基準値が格納されている。信号速度基準値は、半導体装置のデザインルールおよび種類などにより異なり、予め決められている。現在のDRAMを例に考えると、外部から入力される100〜200MHzのクロック信号に対して同期可能な信号速度は、その基準値以上の値に相当する。
また、記憶部11には、高速信号線およびダミーパタンの配線間容量が信号動作に影響を及ぼすか否かを判定するための基準値である容量基準値と、一定の面積における導体膜からなるパタンの密度について、CMPで研磨ムラが生じるか否かの基準値である密度基準値が格納されている。導体膜のパタン密度が密度基準値よりも小さければ、研磨ムラが生じることになる。
制御部12は、CPUがプログラムを実行することで、以下のように動作する。なお、ダミーパタンの配置は、コンピュータ処理で仮想的に行われることを意味する。
制御部12は、配線設計情報が入力されると、配線設計情報を記憶部11に格納する。そして、配線設計情報から第2配線層の各配線パタンの信号速度の情報を読み出し、基準値を参照することで、各配線パタンについて高速信号線であるか否かを判定する。高速信号線の配線パタンを抽出すると、高速信号線のパタン位置に相当する、第1配線層における部位およびその周辺に空き領域があるか否かを調べる。パタン位置またはパタン配置とは、基板面に平行な面である水平面におけるチップ上のパタンの位置または配置である。
制御部12は、上述のようにして調べた結果、第1配線層に空き領域があると、高速信号線との間で生じる配線間容量が容量基準値以下になるまで、高速信号線から離れた位置にダミーパタンを配置する。配置されるダミーパタンはアイランド状のものである。所定の断面形状が一方向に連続した配線状パタンを1つ設けるよりも、所定のパタンを一方向に間隔を空けて複数設けた方が、配線間容量が低減するからである。また、ここで配置されるダミーパタンのサイズは予め決められた大きさとする。このようにして、高速信号線に対応して設けられたダミーパタンを、以下では、高速信号線ダミーパタンと称する。
制御部12は、第2配線層において高速信号線よりも信号速度の遅く、標準的な信号線である通常信号線について、そのパタン位置に相当する、第1配線層の部位およびその周辺に密度基準値を満たすようにダミーパタンを配置する。このようにして、通常信号線に対応して設けられたダミーパタンを通常信号線ダミーパタンと称する。高速信号線ダミーパタンと通常信号線ダミーパタンの配置を示すデータと配線設計情報とを合成する。
さらに、制御部12は、第1配線層内の一定領域毎に密度基準値を満たすかを確認する。通常信号線ダミーパタンが密集する領域では、上述したように密度基準値を満たすようにダミーパタンが配置されているが、高速信号線ダミーパタンが配置された領域や、高速信号線ダミーパタンと通常信号線ダミーパタンの両方が含まれる領域では、密度基準値を満たしていない場合がある。制御部12は、確認の結果、密度基準値を満たさない領域があれば、密度基準値を満たすようにダミーパタンのサイズを大きくする。高速信号線ダミーパタンのサイズを大きくする際には、高速信号線から離れる方向にサイズを拡大する。
なお、ダミーパタンのサイズを大きくする際、密度基準値を満たすようにサイズを一度に大きくしてしまうと、パタン密度を算出するときに領域の区切り方により極端にパタン密度が大きくなる領域が生成されるおそれがあるので、所定の倍率ずつ拡大する。
次に、本実施形態の情報処理装置10の動作手順を説明する。
図2は図1で示した情報処理装置の動作手順を示すフローチャートである。
情報処理装置10は、配線設計情報が入力されると、配線設計情報を記憶部11に格納する(ステップ101)。続いて、配線設計情報から第2配線層における各配線パタンの信号速度の情報を読み出し、基準値を参照することで、各配線パタンについて高速信号線であるか否かを判定し、高速信号線を抽出する(ステップ102)。
情報処理装置10は、第2配線層における高速信号線の配線パタンを抽出すると、高速信号線のパタン位置に相当する、第1配線層における部位およびその周辺に空き領域があるかを調べる。空き領域があれば、高速信号線との間で生じる配線間容量が容量基準値以下になる、位置および形状のダミーパタンを第1配線層に配置する(ステップ103)。なお、高速信号線のパタン位置に相当する、第1配線層の部位またはその周辺に信号線があれば、その領域にはダミーパタンを配置する必要はない。
情報処理装置10は、上述のようにして、高速信号線ダミーパタンを生成すると、その配置の情報を示すデータを作成する(ステップ104)。続いて、高速信号線ダミーパタンのデータをマージするために、配線設計情報を読み出し、高速信号線ダミーパタンのデータと配線設計情報とを合成する(ステップ105)。
続いて、情報処理装置10は、第2配線層において高速信号線以外の通常信号線に対しても高速信号線と同様にして、通常信号線のパタン位置に相当する、第1配線層における部位およびその周辺に空き領域があるか否かを調べ、空き領域があれば、密度基準値を満たすようにダミーパタンを第1配線層に配置する(ステップ106)。
そして、情報処理装置10は、通常信号線ダミーパタンの配置の情報を示すデータを作成する(ステップ107)。続いて、通常信号線ダミーパタンのデータをマージするために、ステップ105で合成した配線設計情報とステップ107で作成したデータとを合成する(ステップ108)。
その後、情報処理装置10は、第1配線層内の一定領域毎に密度基準値を満たすかを確認する(ステップ109)。密度基準値を満たさない領域がある場合、その領域のダミーパタンのサイズを大きくする。高速信号線ダミーパタンのサイズを大きくする際には、高速信号線から離れる方向にサイズを所定の倍率で拡大する(ステップ110)。ステップ109で、第1配線層内の一定領域毎のパタン密度が密度基準値を満たす場合、処理を終了する。
なお、図2に示すフローチャートでは第2配線層に信号線のある領域に対して、第1配線層の空き領域にダミーパタンをどのように配置するかを示すものである。第2配線層に信号線のない領域に対する、第1配線層の空き領域にダミーパタンを配置する場合には、第2配線層の信号線を考慮する必要がなく、CMP処理の平坦化を目的として、ダミーパタンを配置する。この場合のダミーパタンの設計方法は、従来と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
本実施形態のダミーパタン設計方法は、半導体装置の配線レイアウトの設計段階において、第1配線層およびその上層の第2配線層の信号線の配線設計情報が決まると、第2配線層の信号線を高速信号線と通常信号線に分類する。そして、通常信号線の下方が空き領域であれば、ダミーパタンを配置し、従来と同様にCMP処理において平坦化効果が得られる。高速信号線の下方では、高速信号線とダミーパタンとの配線間容量が基準値より小さくなるようにダミーパタンの形状および位置が決定される。そのため、高速信号線の信号速度の仕様を満足させるとともに、ダミーパタンを設けない場合に比べてCMP処理における平坦化効果が向上する。
また、第1配線層の一定領域毎にパタン密度が基準値を満たすように、ダミーパタンを拡大させることで、CMP処理における平坦化がより向上する。
本実施形態では、高速信号線とダミーパタンとの容量による、信号速度の低下を防ぎ、高速信号線に対してダミーパタンを配置しなかった場合におけるCMP処理の平坦化が悪化するのを抑制する。信号速度について配線設計段階におけるシミュレーション値が実際の値に近くなり、信号速度をより正確に見積もって配線を設計することが可能となる。
また、本実施形態では、高速信号線と通常信号線を有する配線層の下層に設けられる配線層のダミーパタン設計方法について説明したが、高速信号線だけではなく、配線とダミーパタンとの間の容量を所定の値以下に抑える必要のある配線を含む配線層に適応することも可能である。ダミーパタンとの容量を所定の値以下に抑える必要のある配線とは、例えば、充放電時の消費電力が容量の影響を受ける配線部分とか、ノイズに対して敏感な信号配線である。
この場合、CMP処理における平坦化効果を得るとともに、ダミーパタンとの間で生じる容量に対して特性に影響を受ける配線には影響を抑制するようにダミーパタンを配置できる。容量の影響を受ける配線が高速信号線であれば、信号速度について配線設計段階におけるシミュレーション値が実際の値に近くなり、信号速度をより正確に見積もって配線を設計することが可能となる。
本実施例では、図1に示した情報処理装置10にダミーパタン設計方法を実行させた場合の一例を、図2を参照して説明する。
図3は本実施例におけるダミーパタン設計方法を説明するための平面図である。
図3に示す通常信号線202a〜202cおよび高速信号線203は第2配線層に属している。通常信号線202a〜202cおよび高速信号線203の大きさおよび配置と、各信号線の信号速度の情報を含む配線設計情報が情報処理装置10に入力されると、情報処理装置10は、配線設計情報を記憶部11に格納する(ステップ101)。続いて、配線設計情報から第2配線層における各配線パタンの信号速度の情報を読み出し、基準値を参照することで、各配線パタンについて高速信号線であるか否かを判定し、高速信号線203を抽出する(ステップ102)。
情報処理装置10は、高速信号線203の配線パタンを抽出すると、高速信号線203のパタン位置に相当する、第1配線層における部位およびその周辺に空き領域があるかを調べる。空き領域があると判断すると、高速信号線203との間で生じる配線間容量が容量基準値以下になるように、ダミーパタン204a、204bを第1配線層に配置する(ステップ103)。
図3に示す例では、高速信号線203との間で生じる配線間容量を小さくするために、情報処理装置10は、長方形状のダミーパタン204a、204bを、一定の間隔で高速信号線203に沿って信号線の長手方向に複数配置する。さらに、上記配線間容量が基準値以下になるまで、高速信号線203の長手方向に直交し、かつ、基板面に平行で高速信号線203から離れる方向にダミーパタン204a、204bを移動させる。ダミーパタン204a、204bが高速信号線ダミーパタンに相当する。
図3に示す例では、ダミーパタン204aは通常信号線202bの下方に配置され、ダミーパタン204bは通常信号線202cの下方に配置される。情報処理装置10は、このようにしてダミーパタン204a、204bの大きさと配置を決定すると、これらの情報をデータにして配線設計情報と合成する(ステップ104、105)。
続いて、情報処理装置10は、第2配線層において通常信号線202a〜202cに対しても高速信号線203と同様にして、通常信号線のパタン位置に相当する、第1配線層における部位およびその周辺に空き領域があるか否かを調べる。図3に示すように、通常信号線202b、202cの下方にはダミーパタン204a、204bが配置されているため、空き領域ではない。通常信号線202aの下方は空き領域になっているため、情報処理装置10は、密度基準値を満たすようにダミーパタン201aを配置する(ステップ106)。
図3に示す例では、情報処理装置10は、正方形状のダミーパタン201aを、一定の間隔で通常信号線202aの下方に信号線の長手方向に複数配置している。また、情報処理装置10は、第2配線層の空き領域に相当する第1配線層が空き領域になっていれば、第2配線層の信号線を考慮せずに、ダミーパタンを配置する。図3に示す例では、ダミーパタン201aと同様に、正方形状のダミーパタン201bを一定の間隔で第2配線層の信号線の長手方向に複数配置している。ダミーパタン201aが通常信号線ダミーパタンに相当する。
このようにして、情報処理装置10は、ダミーパタン201a、201bの大きさと配置を決定すると、これらの情報をデータにしてステップ105で生成したデータに合成する(ステップ107、108)。
その後、情報処理装置10は、第1配線層内の一定領域毎に密度基準値を満たすかを確認する(ステップ109)。ダミーパタン204a、204bを含む領域が密度基準値を満たさないと判断すると、ダミーパタン204a、204bのサイズを高速信号線203から離れる方向に所定の倍率で拡大する(ステップ110)。情報処理装置10は、再び、ステップ109で第1配線層内の一定領域毎の密度基準値を満たすか否かを確認し(ステップ109)、全ての領域で条件を満たすことを確認すると、処理を終了する。
図4は、本実施例におけるダミーパタン設計方法によりダミーパタンを配置した場合の配線構造の断面図である。図3の線分AA’の破線部分の断面が図4に相当する。
絶縁層305の下層には図に示さない配線や半導体素子が形成されている。絶縁層305の上に形成された絶縁層306の上に第1配線層が設けられている。第1配線層を覆う絶縁層307が絶縁層306の上に形成されている。絶縁層307の上に第2配線層が設けられている。第2配線層を覆う絶縁層308が絶縁層307の上に形成されている。
図4に示すように、高速信号線203の下方にはダミーパタンが設けられていない。通常信号線202aの下方にはダミーパタン201aが設けられている。通常信号線202b、202cのそれぞれの下方には、ダミーパタン201aよりもサイズの大きいダミーパタン204a、204bのそれぞれが設けられている。ダミーパタン201bは第2配線層に信号線のない領域の下方に設けられている。
本実施例では、高速信号線の真下にダミーパタンを設けると、高速信号線とダミーパタンとの距離が近く、配線間容量が最も大きくなるため、ダミーパタンを高速信号線から遠ざけて配置している。予め決めた容量基準値よりも小さくなるまで、高速信号線とダミーパタンとの距離を大きくすれば、高速信号線の信号速度の仕様を満足させることができる。
また、第1配線層で一定領域毎にパタン密度が基準値以上になるように、ダミーパタンを拡大している。これにより、CMP処理時の平坦化がさらに向上する。
一定領域毎のパタン密度が均一になり、高速信号線とダミーパタンとの間に生じる容量もパタン密度の条件を満たす上で最低限の容量値に抑えられる。そのため、通常信号線に対して設けるダミーパタンと同じパタンを高速信号線に対して設けた場合に比べて、信号速度の低下を防止できる。
実施例1では、高速信号線に対するダミーパタンの設計方法として、高速信号線とダミーパタンとの距離を大きくして配線容量が基準値以下になるように図るものであったが、本実施例では、ダミーパタンの形状を変えることで配線容量が基準以下になるように図るものである。
本実施例のダミーパタン設計方法を説明する。実施例1で説明した手順において同様な処理の説明は省略し、実施例1と異なる点について詳細に説明する。
図5は本実施例におけるダミーパタン設計方法を説明するための平面図である。
情報処理装置10は、実施例1で説明した配線設計情報が入力されると、配線設計情報を記憶部11に格納する(ステップ101)。続いて、配線設計情報から第2配線層における各配線パタンの信号速度の情報を読み出し、基準値を参照することで、各配線パタンについて高速信号線であるか否かを判定し、高速信号線203を抽出する(ステップ102)。
情報処理装置10は、高速信号線203の配線パタンを抽出すると、高速信号線203のパタン位置に相当する、第1配線層における部位およびその周辺に空き領域があるかを調べる。空き領域があると判断すると、高速信号線203との間で生じる配線間容量が容量基準値以下になるように、高速信号線203の下方にダミーパタン302を配置する(ステップ103)。
図5に示す例では、高速信号線203とダミーパタンとの間で生じる配線間容量を小さくして容量基準値以下にするために、情報処理装置10は、ダミーパタン302として、長方形パタンの外形を残して中抜きにしたパタンにしている。中抜き部分の大きさは、容量基準値を満たすように決める。そして、ダミーパタン302を、一定の間隔で高速信号線203に沿って信号線の長手方向に複数配置する。ダミーパタン302は高速信号線ダミーパタンに相当する。
ステップ104以降の処理については、実施例1と同様であるため、その詳細な説明を省略する。ダミーパタン301a〜301cは、ステップ106で通常信号線202a〜202cに対応して配置される通常信号線ダミーパタンに相当する。
図6は、本実施例におけるダミーパタン設計方法によりダミーパタンを配置した場合の配線構造の断面図である。図5の線分BB’の破線部分の断面が図6に相当する。なお、絶縁層305から絶縁層308は実施例1で説明したのと同様に形成されているため、ここでは、詳細な説明を省略する。
図6に示すように、高速信号線203の下にはダミーパタン302が設けられている。ダミーパタン302のパタンは図5で説明したように長方形の中抜き形状である。そのため、線分BB’の断面では、ダミーパタン302の枠状パタンの断面が図に示されている。通常信号線202a〜202cのそれぞれの下には、ダミーパタン301a〜301cのそれぞれが設けられている。
本実施例では、高速信号線とダミーパタンとの間の容量を、高速信号線とダミーパタンとの距離ではなく、ダミーパタンの形状を通常のパタンとは変えることで低減している。ダミーパタンを高速信号線の真下に配置する場合でも、図5に示したように中抜き形状とすることで、パタン密度を基準値以上にしてCMP処理における平坦化効果を得るとともに、高速信号線の信号速度に影響を及ぼす容量値を減らすことができる。
CMPの平坦化を主目的としてパタン密度だけに注力したダミーパタン設計方法では、信号の速度が遅くなり、その反対に、高速信号線の周りにダミーパタンを配置しないで信号の高速化を図る方法では、CMP処理における平坦化が悪化し、結局、平坦化のシミュレーションから導かれる製造歩留まりのシミュレーションの値が実際の値からかけ離れたものになってしまう。
本発明では、上述したように、高速信号線に対してはダミーパタンとの容量を抑制し、かつ、パタン密度も基準値を満たすようにしている。そのため、2つの特性のいずれか一方が極端に悪化することはなく、両方を一定のレベルまで満たすことで、製造歩留まりおよび信号速度のシミュレーション値が実際の値により近づけることが可能となる。信号速度について配線設計段階におけるシミュレーション値が実際の値に近くなり、信号速度をより正確に見積もって配線を設計することが可能となる。
また、第1配線層の一定領域毎にパタン密度を確認して、CMP処理で要求される平坦化の基準を満たすような大きさにしか拡大しないようにしている。このようにすると、単に高速信号線の真下を避けてダミーパタンを配置する従来の方法と比べて、高速信号線とダミーパタンとの間に生じる容量がより低減される。
本発明は、信号線に及ぼすダミーパタンの影響、およびCMPの平坦化を一定の精度で制御しやすく、シミュレーション値に反映しやすい。そのため、低消費電力、および信号の高速化が求められる近年の製品において、CMP工程を有し、CMP工程で平坦化のためのダミーパタンを設ける必要がある半導体装置の配線に対する自動レイアウト処理に有用である。
なお、本実施形態および実施例では、配線層が2層の場合で説明したが、配線層は3層以上であってもよい。CMP処理対象の配線層を上述の第1配線層に当てはめ、その1つ上の配線層を上述の第2配線層に当てはめればよい。
また、図1に示す情報処理装置10では、表示部13と操作部14を設けていたが、情報処理装置10に端末を接続し、その端末を操作して配線設計情報を情報処理装置10に入力し、その端末に処理の結果を表示させるようにすれば、情報処理装置10には表示部13と操作部14を設けなくてもよい。複数の端末を情報処理装置10に接続すれば、複数の操作者が同じデータを共用することが可能となる。
10 情報処理装置
11 記憶部
12 制御部
11 記憶部
12 制御部
Claims (12)
- 絶縁層を挟んで第1の配線層および第2の配線層が順に積層された半導体装置の前記第1の配線層に対するダミーパタン設計方法であって、
前記第2の配線層に含まれる配線のうちダミーパタンとの配線容量が所定の値以下であることが要求される第1の配線を抽出し、
前記第1の配線との間で生じる容量が前記所定の値以下になる、形状および位置の第1のダミーパタンを空き領域に配置し、
前記第2の配線層において前記第1の配線を除く配線である第2の配線の下方の空き領域に第2のダミーパタンを配置する、ダミーパタン設計方法。 - 前記容量が前記所定の値以下になるまで前記第1のダミーパタンを前記第1の配線から離れる方向に配置する請求項1記載のダミーパタン設計方法。
- 前記第1の配線の下方に前記第1のダミーパタンとして外形を残した中抜き形状のパタンを配置し、
前記第1の配線との容量が前記所定の値以下になるまで前記第1のダミーパタンの中抜き部分のサイズを拡大する請求項1記載のダミーパタン設計方法。 - 前記第1および第2のダミーパタンの配置を決めた後、前記第1の配線層について一定の領域毎にパタン密度が予め決められた基準値以上になるか否かを判定し、
前記パタン密度が前記基準値より小さい領域があると、該領域の前記第1または第2のダミーパタンを拡大する、請求項1から3のいずれか1項記載のダミーパタン設計方法。 - 絶縁層を挟んで第1の配線層および第2の配線層が順に積層された半導体装置の前記第1の配線層に対してダミーパタンを設計する情報処理装置であって、
前記第1および第2の配線層に含まれる配線の配置の情報と前記第2の配線層において前記ダミーパタンとの配線容量が所定の値以下であることが要求される第1の配線の情報を含む配線設計情報が格納された記憶部と、
前記第2の配線層から前記第1の配線を抽出し、前記第1の配線との間で生じる容量が前記所定の値以下になる、形状および位置の第1のダミーパタンを空き領域に配置し、前記第2の配線層において前記第1の配線を除く配線である第2の配線の下方の空き領域に第2のダミーパタンを配置する制御部と、
を有する情報処理装置。 - 前記制御部は、
前記容量が前記所定の値以下になるまで前記第1のダミーパタンを前記第1の配線から離れる方向に配置する、請求項5記載の情報処理装置。 - 前記制御部は、
前記第1の配線の下方に前記第1のダミーパタンとして外形を残した中抜き形状のパタンを配置し、前記第1の配線との容量が前記所定の値以下になるまで前記第1のダミーパタンの中抜き部分のサイズを拡大する、請求項5記載の情報処理装置。 - 前記制御部は、
前記第1および第2のダミーパタンの配置を決めた後、前記第1の配線層について一定の領域毎にパタン密度が予め決められた基準値以上になるか否かを判定し、前記パタン密度が前記基準値より小さい領域があると、該領域の前記第1または第2のダミーパタンを拡大する、請求項5から7のいずれか1項記載の情報処理装置。 - 絶縁層を挟んで第1の配線層および第2の配線層が順に積層された半導体装置の前記第1の配線層に対してダミーパタンを設計する処理をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記第2の配線層に含まれる配線のうちダミーパタンとの配線容量が所定の値以下であることが要求される第1の配線を抽出し、
前記第1の配線との間で生じる容量が前記所定の値以下になる、形状および位置の第1のダミーパタンを空き領域に配置し、
前記第2の配線層において前記第1の配線を除く配線である第2の配線の下方の空き領域に第2のダミーパタンを配置する処理を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。 - 前記容量が前記所定の値以下になるまで前記第1のダミーパタンを前記第1の配線から離れる方向に配置する処理を有する請求項9記載のプログラム。
- 前記第1の配線の下方に前記第1のダミーパタンとして外形を残した中抜き形状のパタンを配置し、
前記第1の配線との容量が前記所定の値以下になるまで前記第1のダミーパタンの中抜き部分のサイズを拡大する処理を有する請求項9記載のプログラム。 - 前記第1および第2のダミーパタンの配置を決めた後、前記第1の配線層について一定の領域毎にパタン密度が予め決められた基準値以上になるか否かを判定し、
前記パタン密度が前記基準値より小さい領域があると、該領域の前記第1または第2のダミーパタンを拡大する処理を有する、請求項9から11のいずれか1項記載のプログラム。
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JP2007234338A JP2009070843A (ja) | 2007-09-10 | 2007-09-10 | ダミーパタン設計方法、情報処理装置およびプログラム |
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