JP2009070200A - プラント運用適正化装置、プラント運用適正化方法およびプラント運用適正化プログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】評価指数作成手段13cは、最適運転指令に対するフィールド機器の制御性のバラツキとプラント11のモデルの特性の解析結果に基づいて、最適解探索手段13bにて探索される探索点において、プラント11の状態変数のバラツキを考慮した評価指数を作成し、最適解再評価手段13dは、評価指数作成手段13cにて作成された評価指数が加味された再評価関数に基づいて、最適解探索手段13bにて探索された最適解の周辺の運用状態を再評価することにより、最適解探索手段13bにて探索された最適解を選択する。
【選択図】 図1
Description
この最適化手法を適用するに当たっては、各プラントの運転状態(稼動または非稼動)および出力レベルが状態変数として定義されたモデルを構築し、モデル全体を状態空間として一旦定義し、その上で最適化する目的および制約条件に応じて状態変数や評価関数(コスト関数など)に操作変数を付加することで、数学的な状態空間を拡張あるいは縮小する方法がある。
また、プラントの最適運転状態の探索方法において、特許文献1、3には、プラント内の装置の過去の運転状態から入出力モデルを作成し、そのプラントの入力と出力とを状態変数として扱い、その入出力モデルを制約条件として関連付けた上で、ジェネティックアルゴリズム(GA)やパーティクル・スォーム・オプティミゼイション(PSO:Particle Swarm Optimization)などの最適化手法を適用する方法が開示されている。
また、特許文献1に開示された方法では、最適化手法による状態変数の評価が、燃料価格などの予測値およびこれらの確率または確率分布を用いて作成されたシナリオに対して実行されるので、最適化手法にて求めた最適解が状態変数のばらつきによってどのように変化するかを評価することができず、状態変数のばらつきに対して安定な最適解を求めることができないという問題があった。
そこで、本発明の目的は、既存の最適化手法を適用しつつ、状態変数のばらつきに対して安定な最適解を求めることが可能なプラント運用適正化装置、プラント運用適正化方法およびプラント運用適正化プログラムを提供することである。
また、請求項3記載のプラント運用適正化装置によれば、前記再評価関数は、前記評価指数に加え、前記状態変数と制約条件との距離を加味して設定されることを特徴とする請。
図1は、本発明の一実施形態に係るプラント運用適正化装置が適用されるプラント制御システムの概略構成を示すブロックである。
図1において、プラント制御システムには、エネルギー変換プラントなどのプラント11、プラント11への操作指令およびプラント11の計測を行う計測制御システム12、プラント11の運用状態を適正化するプラント運用適正化装置13が設けられ、計測制御システム12とプラント運用適正化装置13とはネットワーク14を介して接続されている。
ここで、プラント11は、互いに組み合わせて運転可能な複数のプラントを含むことができる。また、計測制御システム12は、操作量Sを入力としてプラント11に与えるとともに、制御量Pを出力としてプラント11から取得することができる。
そして、最適解探索手段13bは、プラントモデル化手段13aにてモデル化された各プラントの操作量Sを変数化し、その変数を元にプラント11の運用状態を評価する評価関数を定め、プラントモデル化手段13aにて作成されたプラント11のモデル上でその評価関数を最適化することにより、プラント11を運用する上での評価関数の最適解を探索する。
そして、このプログラムをCD−ROMなどの記憶媒体に記憶しておけば、プラント運用適正化装置13のコンピュータ(計算機)に記憶媒体を装着し、そのプログラムをコンピュータにインストールすることにより、プラントモデル化手段13a、最適解探索手段13b、評価指数作成手段13cおよび最適解再評価手段13dで行われる処理を実現することができる。
図2は、本発明の一実施形態に係るプラントの構成例を示すブロック図である。
図2において、プラント11には、複数のプラントj、j+1、k、lが設けられている。そして、プラントjには、Xj(1、t)、Xj(2、t)、Xj(3、t)が操作量Sとして与えられるとともに、Yj(1、t)、Yj(2、t)が制御量Pとして出力される。また、プラントj+1には、Xj+1(1、t)、Xj+1(2、t)、Xj+1(3、t)が操作量Sとして与えられるとともに、Yj+1(2、t)、Yj+1(3、t)が制御量Pとして出力される。また、プラントkには、Xk(2、t)、Xk(3、t)、Xk(4、t)が操作量Sとして与えられるとともに、Yk(1、t)、Yk(2、t)が制御量Pとして出力される。また、プラントlには、Xl(1、t)、Xl(2、t)、Xl(4、t)が操作量Sとして与えられるとともに、Yl(2、t)、Yl(3、t)が制御量Pとして出力される。
そして、過去のプラント11のプロセスデータに対して、最小二乗法などの統計的手法を適用することにより、以下の(1)式に示すように、プラント11の入力Xと出力Yとの関係式を導くことができる。
Ya=F(Xa) ・・・(1)
ただし、Xa、Yaは、プラント11の入力Xと出力Yとをベクトル表現したものである。
α=β×SQRT(R^2) ・・・(2)
ただし、βは正規化パラメータ、Rは標準偏差、SQRTは平方根を求める関数、^はべき乗を求める関数である。
そして、プラント11のモデルが持つ誤差を正規分布と仮定し、以下の(3)式に示すように、変数αを用いることで、プラント11の入力XのバラツキδXを、正規分布を満足するように乱数を用いて発生させる。
W(δX)=1/(α×SQRT(2π))×e^(−(X×α)^2)/2)
・・・(3)
なお、プラント11のモデルが持つ誤差の分布が判明している場合には、その平均値が0、分散が100/αを満足する乱数として適用するようにしてもよい。
図3において、プラント11のモデルには一定の誤差が含まれている。このため、プラント11の運転時のモデル値と実績値の関係式から、プラント11の入力を変化させるバラツキδXを求めることができる。
また、プラント11を運用する上での評価関数Jは、プラント11の入力Xおよび出力Yを状態変数として、以下の(4)式に示すように設定することができる。
MIN J=ΣH(X、Y) ・・・(4)
ただし、制約条件Sを以下の(5)式のように設定することができる。
S(X、Y)>0 ・・・(5)
そして、プラント11の運用状態の最適化は、制約条件Sの元で評価関数Jを最小にする状態変数X、Yを求めることであると定義することができる。
このような最適化手法としては、生物学特性を真似たジェネティックアルゴリズム(GA)やパーティクル・スォーム・オプティミゼイション(PSO)などの手法を用いることができる。
この最適化手法では、探索ルート上で現在選択されている状態空間での評価関数Jの値と、前回選択されていた状態空間での評価関数Jの値とを比較することで、探索点の優劣を判断し、優勢側近傍の探索数を増やしながら最適解を探索することで、速やかに最適解に辿りつくことができる。
図4において、制約条件Sを満足させながら状態変数X、Yを変化させることにより、状態空間での探索位置がA0→A1→A2→A3と順次変化し、その時の評価関数Jを最小にする探索位置A4を求めることにより、現在の制約条件Sによる運転可能範囲においてプラント11の運用状態の最適解を求めることができる。
次に、ジェネティックアルゴリズム(GA)やパーティクル・スォーム・オプティミゼイション(PSO)などの手法にて求めた探索点に対して、(3)式を満足する状態変数XのバラツキδXを乱数を用いて計算し、その状態変数XのバラツキδXを考慮した評価関数JをJ(s)+δJ(s)とすることができる。ただし、sは探索ステップである。
このように、ジェネティックアルゴリズム(GA)やパーティクル・スォーム・オプティミゼイション(PSO)などの手法にて求めた探索点ごとに、その探索点の状態変数XのバラツキδXを考慮した評価関数J(s)+δJ(s)を計算し、その時のδXおよびδJ(s)を保存することができる。
そして、ジェネティックアルゴリズム(GA)やパーティクル・スォーム・オプティミゼイション(PSO)などの手法による最適解が求まると、以下の(6)式に示すように、状態変数XのバラツキδXによる最適解の安定性を評価する再評価関数JFを定めることができる。
JF=J+a×JJ+b×|S(X(N)、Y(N))| ・・・(6)
ただし、a、bは、a≧0、b≦0を満たすパラメータである。
これにより、ジェネティックアルゴリズム(GA)やパーティクル・スォーム・オプティミゼイション(PSO)などの既存の解探索ロジックに大きな変更を施すことなく、モデル精度の不確定要素を演算項に取り入れて評価することができ、安定した運転を効率よく行うことが可能な最適解を出力することができる。この方法は、例えば、厳密には制御できない系や、最適化対象に対する入出力に誤差を含むプラントに対しても適用することができる。
図5において、ジェネティックアルゴリズム(GA)やパーティクル・スォーム・オプティミゼイション(PSO)などの手法では、探索点A5が最終的な最適解として出力される。そして、探索点A5が最適解として求まると、この探索点A5について状態変数XのバラツキδXを考慮した探索点A5´を求めることができる。そして、状態変数XのバラツキδXを考慮することで、評価関数Jの値が探索点A5から探索点A5´に大きく変化する場合には、そのような探索点A5の評価を下げることができる。
図6において、プラント11の初期運転状態に該当する状態空間の点および複数の親粒子を配置する(ステップS11)。そして、親粒子に対して子粒子を生成し、その位置から粒子を微小空間分だけ移動させ、制約条件の満足度と目的関数の評価を実施する(ステップS12)。この際、プラント11のモデルの不確定要素幅の位置を変更した時の目的関数の値を格納する。
12 計測制御システム
13 プラント運用適正化装置
13a プラントモデル化手段
13b 最適解探索手段
13c 評価指数作成手段
13d 最適解再評価手段
14 ネットワーク
Claims (5)
- 互いに組み合わせて運転可能な複数のプラントを実用的な精度で個々にモデル化するプラントモデル化手段と、
前記各プラントの操作量を状態変数として含み、前記プラントを運用する上での評価関数の最適解を探索する最適解探索手段と、
前記最適解探索手段にて探索される探索点において、前記状態変数のバラツキを考慮した評価指数を作成する評価指数作成手段と、
前記評価指数が加味された再評価関数に基づいて、前記最適解探索手段にて探索された最適解を選択する最適解再評価手段とを備えることを特徴とするプラント運用適正化装置。 - 前記再評価関数は、前記最適解の周辺において前記評価関数の値がより大きく変化する場合には、前記最適解の評価が下がるように設定されることを特徴とする請求項1記載のプラント運用適正化装置。
- 前記再評価関数は、前記評価指数に加え、前記状態変数と制約条件との距離を加味して設定されることを特徴とする請求項1または2記載のプラント運用適正化装置。
- 互いに組み合わせて運転可能な複数のプラントを実用的な精度で個々にモデル化するステップと、
前記各プラントの操作量を状態変数として含み、前記プラントを運用する上での評価関数の最適解を探索するステップと、
前記探索された最適解に対して状態変数のバラツキによる安定性を評価するステップとを備えることを特徴とするプラント運用適正化方法。 - 互いに組み合わせて運転可能な複数のプラントを実用的な精度で個々にモデル化するステップと、
前記各プラントの操作量を状態変数として含み、前記プラントを運用する上での評価関数の最適解を探索するステップと、
前記最適解の周辺において前記評価関数の値がより大きく変化する場合には、前記最適解の評価が下がるように前記最適解を再評価するステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするプラント運用適正化プログラム。
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