JP2009068900A - 沸騰水型原子炉用燃料集合体 - Google Patents

沸騰水型原子炉用燃料集合体 Download PDF

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Abstract


【課題】コスト高を招く煩雑な加工、作業工程を必要とせず、簡便な構成で水管下部端栓の下部タイプレートからの外れを防止できる沸騰水型原子炉用燃料集合体の提供。
【解決手段】沸騰水型原子炉用燃料集合体において、角形水管の下部端栓に、円筒又は円柱形状の上方縮径部とその下方に連なる円筒状又は円柱状部材の外周面上に一つ以上の突出部を有する下方係合部とを備え、下部タイプレート上面に設けられた水管用下部端栓挿入部が、水管設定装着状態に対して予め定められた角度範囲で中心軸周りに回動した下方係合部を挿入可能に受け入れると共に、挿入後に前記角度分逆回動して設定装着状態に戻した際に、上方縮径部周りに位置して突出部上方に重なって下部端栓の上方移動を規制する凸部を形成する内周形状を備えているものとした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、沸騰水型原子炉用の燃料集合体に関し、詳しくは水管下部端栓と下部タイプレートの水管下部端栓挿入部の構成に関するものである。
沸騰水型原子炉用燃料集合体100は、図5に示すように、燃料棒120を9行9列や10行10列に配列し、中心領域の何本かの燃料棒120の代わりに水で満たされた水管122を配置するものであり、これら燃料棒120と水管122をスペーサ130により正方格子状に束ね、上部タイプレート101と下部タイプレート102により上部及び下部を支持し、正方筒形状のチャンネルボックス200内に収めた構造となっている。この燃料集合体100が多数本、原子炉内に装荷されて炉心を形成、原子炉用燃料として使用される。炉心運転時には、冷却材は下部タイプレート102からチャンネルボックス200内に導入されて上部タイプレート101へ向かって流れる。
上部タイプレート101の下面及び下部タイプレート102の上面には、適切な直径の端栓挿入孔が燃料棒120及び水管122の配列に応じて正方格子状配列で形成されており、これら各挿入孔に燃料棒120の上部端栓および下部端栓121と水管122の上部端栓および下部端栓123が差し込まれることによって、燃料棒120及び水管122が上下タイプレート(101,102)間に保持されると共に燃料集合体100の使用中に近接する燃料棒120同士あるいは水管122と近接する燃料棒120との間隙が維持される。
上部及び下部タイプレートに設けられる端栓挿入孔は、通常、所定の正方格子状配列で連結されたボス部材に形成されている貫通孔からなるものと、平板部材に前記正方格子状配列位置に形成された貫通孔からなるものとがある。
一方、燃料集合体は使用環境において核燃料物質の核分裂によって発生する高速中性子に晒される。沸騰水型原子炉用の燃料集合体では、燃料棒の被覆管や水管の材料としてジルコニウム合金が使用されているが、このジルコニウム合金は結晶構造が非等方性であるため、高速中性子に晒されると伸びを生じることが知られている。特に、高速中性子の源である核燃料物質を簿肉の被覆管によって内包する燃料棒は、単に冷却材を内包している水管よりも多くの高速中性子に晒されるため、水管よりも伸び量が大きい傾向にある。
また、燃料集合体には長手方向に適切な間隔でスペーサが数カ所取り付けられており、燃料棒と水管がそれぞれスペーサの正方格子状に配列された各区画セル内を貫通した状態で各セルに設けられたバネ手段によって燃料棒同士の間隙が一定になるよう保持されている。
従って、高速中性子に晒されることで燃料棒と水管に伸び量の差違が生じると、燃料棒の伸びによってスペーサが長手方向の上方に引き上げられ、これに追随して水管を上に引き上げようとする力が作用する。水管が上方へ引き上げられると、水管の下部端栓が下部タイプレートのボス貫通孔から抜けてしまう恐れがある。そこで、燃料集合体の設計においては、このような水管の下部端栓の抜けを防止する手段を講じる必要があった。
水管の脱落防止手段として、図6に示すように、水管122の下部端栓124を、設計で考慮される燃料棒120と水管122との照射による伸び量の差分よりも充分長いものとし、伸び量差が設計で考慮される範囲まで達したとしても水管122の下部端栓124が下部タイプレート102から外れないようにしたものがある。
また、別の方法として図7に示すような、水管122の下部端栓125を雄ネジ形状とすると共に下部タイプレート102のボス貫通孔126を下部端栓125に螺合する雌ネジ形状として集合体組立作業において水管122を下部タイプレート102のボス貫通孔126にねじ込み締結させる方法がある(例えば、特許文献1参照。)。この場合、水管の下部端栓125の長さはねじ締結に必要な長さで足りる。
特開平11−174182号公報
しかしながら、まず水管下部端栓の長さを充分長くする方法では、下部端栓の長さを設計で考慮される伸び量差にさらに余裕を見込んだ長さにしなければならないため、高価なジルコニウム合金材料を多く必要とするという問題がある。
また、水管下部端栓とボス貫通孔とを互いに雄ネジ雌ネジとして締結する方法では、下部端栓と下部タイプレートのボス貫通孔とにネジ加工を施す必要があり、単純な差込構造と比較して、製造・検査工程の増加に伴うコストアップの要因となってしまう。また、集合体組立工程でもねじ込み作業を行わなければならない分、単純な差込構造と比較すればコストアップにつながる。しかも、ネジ締結は使用中の振動等によってゆるんでしまう可能性がある。
例えば、図7に示す燃料集合体では、水管の上部端栓の側面と対応する上部タイプレートのボス貫通孔の内壁面に平面を設け、この平面同士を当接させるように上部端栓を貫通孔に挿入することによって、水管の相対回転を防止している。このように、水管の回転を防止するための何らかの方策をネジ加工とは別に施さなければならず、その分、また製造におけるコストアップは避けられない。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、大幅なコスト高を招くような煩雑な加工工程や作業工程を必要とすることなく、簡便な構成で水管下部端栓の下部タイプレートからの外れを防止することができる沸騰水型原子炉用燃料集合体を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体は、複数本の燃料棒と水管とが正方格子状に配列されて燃料束を構成し、これら燃料棒及び水管の各上下端栓が上部タイプレートの下面及び下部タイプレートの上面の各対応位置に設けられた端栓挿入部にそれぞれ挿入されることによって該燃料束が上下タイプレート間に保持され、これら全体が角筒状チャンネルボックス内に収容されてなる沸騰水型原子炉用燃料集合体において、
前記水管は角形管であり、
前記水管の下部端栓は、円筒または円柱形状の上方縮径部と、該上方縮径部の下方に連なる円筒状または円柱状部材の外周面上に少なくとも一つの突出部を有する下方係合部とを備え、
前記下部タイプレートは、上面に設けられた前記水管用の下部端栓挿入部が、前記水管の設定装着状態に対して予め定められた角度範囲で水管中心軸周りに回動した状態の前記下方係合部を挿入可能に受け入れると共に、該下部端栓の挿入受け入れ後に前記角度分だけ逆回動して前記設定装着状態に戻した際に、前記上方縮径部周りに位置して前記突出部の上方に重なって下部端栓の上方移動を規制する凸部を形成する内周形状を備えていることを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体は、請求項1に記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体において、前記下部タイプレート上面に設けられた下部端栓挿入部は、燃料棒の下部端栓が挿入可能な貫通孔を有するボス部材が互いに正方格子状配列に連結されてなる燃料棒用下部端栓挿入部と、前記正方格子状配列の予め定められた領域に亘って前記ボス部材が配列されない空間からなる水管用下部端栓挿入部とを有し、
前記水管用下部端栓挿入部に形成された凸部は、前記空間を囲んで該水管用下部端栓挿入部の輪郭を形成するボス部材の少なくとも一つから延設されたものである。
また、請求項3に記載の発明に係る沸騰水型原子炉用燃料集合体は、請求項1に記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体において、前記下部タイプレート上面に設けられた下部端栓挿入部は、平板部材に予め定められた配列位置に形成された貫通孔からなることを特徴とするものである。
本発明による沸騰水型原子炉用燃料集合体においては、角形管からなる水管の下部端栓に円筒または円柱形状の上方縮径部と該上方縮径部の下方に連なる円筒状または円柱状部材の外周面上に少なくとも一つの突出部を有する下方係合部とを備え、下部タイプレート上面に設けられた下部端栓挿入部の内周形状を、水管の設定装着状態に対して予め定められた角度範囲でその中心軸周りに回動した状態の下方係合部を挿入可能に受け入れると共に、挿入後に水管を逆回動して戻して設定装着状態とした際に上方縮径部周りに位置して下部端栓下方係合部の突出部の上方に重なる凸部が形成されているものとすることによって、水管を回動させた状態で下部タイプレートの水管用下部端栓挿入部に下部端栓を挿入させた後、水管を設定装着状態となる向きに逆回動して戻すという簡単な動作だけで、前記凸部と突出部とが上下に重った係合状態となって水管の下部タイプレートへの装着が完了するため、組み立て後の燃料集合体として炉心に装荷された使用状態において、水管に上方に引き上げようとする力が作用しても、下部端栓の突出部が前記凸部に突き当たって上方への移動が規制され、下部端栓の挿入部からの抜けは防止され、水管の外れ、脱落等の危険は回避されるという効果がある。
本発明による沸騰水型原子炉用燃料集合体は、水管を角形管とすると共にその下部端栓を、円筒または円柱形状の上方縮径部と、該上方縮径部の下方に連なる円筒状または円柱状部材の外周面上に少なくとも一つの突出部を有する下方係合部とを備えたものとし、下部タイプレート上面に設けられた下部端栓挿入部の内周形状を、水管の設定装着状態に対して予め定められた角度範囲でその中心軸周りに回動した状態の下方係合部を挿入可能に受け入れると共に、挿入後に水管を逆回動して戻して設定装着状態とした際に上方縮径部周りに位置して下部端栓下方係合部の突出部の上方に重なる凸部が形成されているものとしている。
従って、本発明においては、下部端栓挿入部に対して、その凸部に下部端栓の下方係合部の突出部が衝突しない角度に水管を回動させた状態で挿入部に下部端栓を挿入させ、挿入後、水管を本来設定されている装着状態となる向きに逆回動して戻すという簡単な動作だけで、前記凸部と突出部とが上下に重った係合状態となって水管の下部タイプレートへの装着が完了するため、組み立て後の燃料集合体として炉心に装荷された使用状態において、水管に上方に引き上げようとする力が作用しても、下部端栓の突出部が前記凸部に突き当たって上方への移動が規制され、下部端栓の挿入部からの抜けは防止され、水管の外れ、脱落等の危険は回避される。
しかも、水管を角形管とすることによって、組み立て後の燃料集合体内では水管の中心軸周りの回動も規制されるため、特別な回転防止機構やそのための追加部品を必要とすることなく、燃料集合体としての使用の間中、前記凸部と突出部との係合状態、即ち下部端栓の外れ防止状態は解消されることなく維持される。
以上のように、本願発明においては、水管の下部端栓に一つ以上の突出部を持つ下方係合部を形成し、下部タイプレートの端栓挿入部をそれに適応させた内周形状にしておくだけの簡便な構成で、且つ水管の下部タイプレートへの装着は挿入部への回動を伴う挿入という簡単な操作だけで、燃料集合体組み立て後の水管下部端栓の下部タイプレートからの外れを確実に防止することができるものであり、従来のような煩雑な加工製造工程や装着作業を必要としない分、コストアップを最小限に抑えることが可能となる。
なお、互いに上下に重なって係合状態となる下部端栓側の突出部と挿入部側の凸部とは少なくとも一つずつ、一組で上記下部端栓外れ防止効果は充分得られるが、より確実で強固な係合状態を得るために、複数組としてもよい。この場合、互いに歯合する連続した凹凸あるいは波状の輪郭が形成されるように、前記突出部も凸部のそれぞれ等角度間隔に設けるのが簡便な構成である。
このような突出部と凸部との係合箇所が複数組となる構成においては、挿入時の水管の回動は、突出部と凸部とが衝突しないで互い違いに通過できる程度の角度範囲内となるように調整しながら行うことになるが、水管が角形であるため、下部タイプレートに対する水管の角の相対角度位置に基づいて、挿入時の予め判っている通過可能な角度範囲内での回動調整は容易である。このように、複数組の係合であっても、装着に必要な操作は、回動を伴う挿入という簡便なものに変わりない。この操作は、いわゆるバヨネットと呼ばれる方式に似たものである。
ただし、突出部と凸部の数が多いほど、その互いに通過可能な水管回動角度範囲が小さくなり、角度調整が細かくなるため、係合部分の数によっては、予め、適度な回動角度での挿入を容易とする挿入時位置合わせ用のマークを水管側と下部端栓側とに設けておくことが好ましい。さらに、挿入後に突出部と凸部との係合状態を得るための逆回動を容易にするために設定位置合わせ用マークをさらに設けてもよい。
また、水管用の下部端栓挿入部の具体的構成は、燃料棒用も含む下部端栓挿入部が形成される下部タイプレートの上面構造に応じたものとする。例えば、下部タイプレート上面に複数個のボス部材を正方格子状配列に連結したものが設置された場合、即ち、ボス部材に形成された貫通孔が燃料棒用の下部端栓挿入部となり、水管用の下部端栓挿入部は、正方格子状配列の水管配置に相当する略中央部の所定領域に亘るボス部材を配列しない空間から構成される。この空間を囲んだ配列位置にあるボス部材が水管用の下部端栓挿入部の輪郭を形成することになるため、前記突出部に係合させる凸部は、これらボス部材のうちの適宜選択されたものから延設して設ければよい。
また、下部タイプレート上面に平板部材が設置され、この平板部材に正方格子状配列で形成された貫通孔から燃料棒用の下部端栓挿入部が構成される場合、水管用の下部端栓挿入部もこの平板部材に貫通孔を形成することによって得られる。この場合、所望の凸部が形成されるような内周形状に平板部材を穿てばよい。
本発明の第1の実施例として、燃料集合体の下部タイプレートが、それぞれ貫通孔を有するボス部材が正方格子状配列で連結されたネット状上面を備え、各ボス部材の貫通孔が燃料棒用の下部端栓挿入部となる場合の水管下部端栓及び水管用下部端栓挿入部の構成を図1及び図2に示す。
図1は、水管の下部端栓と下部タイプレートの水管用下部端栓挿入部との構成を示す概略模式図であり、(a)は水管の下部端栓部分の側断面図、(b)は下部端栓の下方係合部を下から見た平面図であり、(c)は下部タイプレートを下部端栓挿入方向から見た概略平面図である。図2は、水管の下部端栓の装着状態を、下部端栓の上方縮径部での横断面から見た下部タイプレートの平面図であり、(a)は挿入時の状態図、(b)は装着完了時の状態図である。
本実施例における燃料集合体の角形管からなる水管1は、下部端栓2として、円柱状の上方縮径部3と、この上方縮径部3の下方に連なる円柱状部材5の外周面上に突出部6を有する下方係合部4とを備えたものである。
この下方係合部4の突出部6は、円柱状部材の外周上に軸に対して直行方向に延設されたものであり、図1(b)に示すように、下方からの平面視で全体的に略四角形状の輪郭を持ち、該四角形の各四隅から中心軸方向に向けて溝状スリット7が形成されている。即ち、円柱状部材5の外周面上に下方からの平面視で略扇状の突出部6が等角度間隔で延設され、隣合う扇状突出部6同士の間に溝状スリット7が形成されるものである。
一方、図1(c)に示すように、下部タイプレート10の上面には、燃料棒用下部端栓挿入部となる貫通孔12を有するボス部材11が燃料棒の正方格子状配列に応じた配列で互いにネット状に連結されており、その略中央部に、ボス部材11が配列されない空間から水管用下部端栓挿入部13が構成されている。即ち、前記空間を囲む位置にあるボス部材11によって水管用下部端栓挿入部13の輪郭が形成される。
この水管用下部端栓挿入部13は、水管1の下部端栓2の挿入を受け入れる形状を有するものであるが、本実施例においては水管1が設定装着状態に対して中心軸周りに45度回動した状態における下部端栓2に対応した形状とした。
まず、下部端栓挿入部3の輪郭を構成するボス部材11のうち、等角度間隔位置にある4つのボス部材(11a,11b,11c,11d)それぞれから4つの凸部(14a,14b,14c,14d)が一体的に延設されており、これら各凸部(14a,14b,14c,14d)は、下部端栓2の挿入時に下方係合部4の溝7内をそれぞれ通過可能な幅と長さを備えたものである。また、隣合う凸部同士間の空間15で下方係合部4の略扇状突出部6が通過可能であると同時に、全凸部の先端同士の間に形成される中央空間16が円柱状部材5および上部縮径部3の通過を許容する寸法を有するものとした。
以上の構成を備えた水管1の下部タイプレート10への装着は以下の通りである。まず、図2(a)に示すように、水管1を下部タイプレート10に対して予め設定されている装着状態より中心軸周りに45度回動させた状態で、凸部(14a,14b,14c,14d)を対応する溝部7内を通過させると共に、略扇状突出部6を空間15、円柱状部材5を中央空間16にそれぞれ通過させながら、下部端栓2を水管用下部端栓挿入部13へ挿入していく。
下部端栓2の挿入が所定深さに達したら、図2(b)に示すように、水管1を中心軸周りの45度逆回動させて予め設定された装着状態の向きに戻す。この装着状態においては、各凸部(14a,14b,14c,14d)は、上方縮径部3の周りに位置すると共に、略扇状の突出部6の上方に重なる。また、水管1は角形管であるため、他の燃料棒の装着も終えて組み立て完了状態の燃料集合体においては、この設定装着状態からの水管回動は阻止され、各突出部6の上方に各凸部(14a,14b,14c,14d)が重なった状態が維持される。
従って、燃料集合体として炉心に装荷された状態において、照射により燃料棒と水管1との延び量に差が生じて水管1に上方へ引き上げられる力が作用したとしても、前記凸部(14a,14b,14c,14d)が突出部6に突き当たって上方への移動を規制するため、水管1の下部端栓2が下部タイプレート10から抜けて外れることはない。
本発明の第2の実施例として、燃料集合体の下部タイプレートが燃料棒挿入部となる貫通孔が穿設された平板部材からなる上面を備えた場合の水管下部端栓及び水管用下部端栓挿入部の構成を図3及び図4に示す。
図3は、水管の下部端栓と下部タイプレートの水管用下部端栓挿入部との構成を示す概略模式図であり、(a)は水管の下部端栓部分の側断面図、(b)は下部端栓の下方係合部を下から見た平面図であり、(c)は下部タイプレートを下部端栓挿入方向から見た概略平面図である。図4は、水管の下部端栓の装着状態を、下部端栓の上方縮径部での横断面から見た下部タイプレートの平面図であり、(a)は挿入時の状態図、(b)は装着完了時の状態図である。
本実施例における燃料集合体の角形管からなる水管21は、下部端栓22として、円柱状の上方縮径部23と、この上方縮径部23の下方に連なる円柱状部材25の外周面上に突出部26を有する下方係合部24とを備えたものである。
この下方係合部24では、4つの突出部26が、円柱状部材25の外周上に軸に対して直行方向に等角度間隔で放射状に延設されたものであり、下方からの平面視では、図3(b)に示すように、これら4つの突出部26によって、全体的に略十字形状となるような連続した凹凸を円柱状部材25の外周上に形成している。
一方、図3(c)に示すように、下部タイプレート30の上面には、燃料棒用下部端栓挿入部となる貫通孔32が燃料棒の正方格子状配列に応じた配列で穿設された平板部材31が固定されており、その略中央部に水管用下部端栓挿入部33として略×形状の貫通孔が形成されている。この水管用下部端栓挿入部33は、下部端栓22の下方係合部24の平面形状が水管21の設定装着状態に対して中心軸周りに45度回動した状態において両者の凹凸が互い違いにほぼ合致する内周形状となっている。
従って、下方係合部24の平面形状を45度逆回動して水管21の設定装着状態に戻した略十字形状に対しては、水管用下部端栓挿入部33の内周形状は、その各凸部(34a,34b,34c,34d)が下方係合部4の各突出部26に重なる内周形状となっている。
以上の構成を備えた水管21の下部タイプレート30への装着は以下の通りである。まず、図4(a)に示すように、水管21を下部タイプレート30に対して予め設定されている装着状態より中心軸周りに45度回動させた状態、即ち、4つの突出部26を水管用下部端栓挿入部33の凸部(34a,34b,34c,34d)に干渉しないよう凹部に合わせて通過させながら、下部端栓22を水管用下部端栓挿入部33へ挿入していく。
下部端栓22の挿入が所定深さに達したら、図4(b)に示すように、水管21を中心軸周りに45度逆回動させて予め設定された装着状態の向きに戻す。この装着状態においては、各凸部(34a,34b,34c,34d)は、上方縮径部23の周りに位置すると共に、下方係合部24の各突出部26の上方に重なる。また、水管21は角形管であるため、他の燃料棒の装着も終えて組み立て完了状態の燃料集合体においては、この設定装着状態からの水管回動は阻止され、各突出部26の上方に各凸部(34a,34b,34c,34d)が重なった状態が維持される。
従って、燃料集合体として炉心に装荷された状態において、照射により燃料棒と水管21との延び量に差が生じて水管21に上方へ引き上げられる力が作用したとしても、前記凸部(34a,34b,34c,34d)が突出部26に突き当たって上方への移動を規制するため、水管21の下部端栓22が下部タイプレート30から抜けて外れることはない。
以上の実施例に示すように、本発明の燃料集合体においては、水管を下部タイプレートに対して所定角度中心軸周りに回動させた状態で下部端栓を下部端栓挿入部に挿入し、挿入後、逆回動して戻すという一連の簡単な操作だけで、水管の上方の移動が規制された状態での下部タイプレートへの装着が完了するものであり、組み立てられた燃料集合体において照射による燃料棒との伸び量に差が生じても水管が抜けることのないものである。
本発明の実施例1による沸騰水型原子炉用燃料集合体の水管下部端栓と下部タイプレートの水管用下部端栓挿入部との構成を示す概略模式図であり、(a)は水管の下部端栓部分の側断面図、(b)は下部端栓の下方係合部を下から見た平面図であり、(c)は下部タイプレートを下部端栓挿入方向から見た概略平面図である。 図1に示した水管の下部端栓の装着状態を、下部端栓の上方縮径部での横断面から見た下部タイプレートの平面図であり、(a)は挿入時の状態図、(b)は装着完了時の状態図である。 本発明の実施例2による沸騰水型原子炉用燃料集合体の水管の下部端栓と下部タイプレートの水管用下部端栓挿入部との構成を示す概略模式図であり、(a)は水管の下部端栓部分の側断面図、(b)は下部端栓の下方係合部を下から見た平面図であり、(c)は下部タイプレートを下部端栓挿入方向から見た概略平面図である。 図3に示した水管の下部端栓の装着状態を、下部端栓の上方縮径部での横断面から見た下部タイプレートの平面図であり、(a)は挿入時の状態図、(b)は装着完了時の状態図である。 従来の沸騰水型原子炉用燃料集合体の一例を示す概略構成図であり、(a)は燃料集合体の縦断面図、(b)は(a)のA−A断面矢視図、(c)は該燃料集合体のスペーサの平面図である。 従来の沸騰水型原子炉用燃料集合体の他の例を示す概略縦断面図である。 従来の沸騰水型原子炉用燃料集合体の他の例を示す概略縦断面図である。
符号の説明
1,21:水管
2,22:下部端栓
3,23:上方縮径部
4,24:下方係合部
5,25:円柱状部材
6,26:突出部
7:溝状スリット
10,30:下部タイプレート
11,11a,11b,11c,11d:ボス部材
12,32:貫通孔
13,33:水管用下部端栓挿入部
14a,14b,14c,14d:凸部
31:平板部材
34a,34b,34c,34d:凸部
100:沸騰水型原子炉用燃料集合体
101:上部タイプレート
102:下部タイプレート
120:燃料棒
121:燃料部下部端栓
122:水管
123,124,125:水管下部端栓
126:ボス貫通孔
130:スペーサ
200:チャンネルボックス

Claims (3)

  1. 複数本の燃料棒と水管とが正方格子状に配列されて燃料束を構成し、これら燃料棒及び水管の各上下端栓が上部タイプレートの下面及び下部タイプレートの上面の各対応位置に設けられた端栓挿入部にそれぞれ挿入されることによって該燃料束が上下タイプレート間に保持され、これら全体が角筒状チャンネルボックス内に収容されてなる沸騰水型原子炉用燃料集合体において、
    前記水管は角形管であり、
    前記水管の下部端栓は、円筒または円柱形状の上方縮径部と、該上方縮径部の下方に連なる円筒状または円柱状部材の外周面上に少なくとも一つの突出部を有する下方係合部とを備え、
    前記下部タイプレートは、上面に設けられた前記水管用の下部端栓挿入部が、前記水管の設定装着状態に対して予め定められた角度範囲で水管中心軸周りに回動した状態の前記下方係合部を挿入可能に受け入れると共に、該下部端栓の挿入受け入れ後に前記角度分だけ逆回動して前記設定装着状態に戻した際に、前記上方縮径部周りに位置して前記突出部の上方に重なって下部端栓の上方移動を規制する凸部を形成する内周形状を備えていることを特徴とする沸騰水型原子炉用燃料集合体。
  2. 前記下部タイプレート上面に設けられた下部端栓挿入部は、燃料棒の下部端栓が挿入可能な貫通孔を有するボス部材が互いに正方格子状配列に連結されてなる燃料棒用下部端栓挿入部と、前記正方格子状配列の予め定められた領域に亘って前記ボス部材が配列されない空間からなる水管用下部端栓挿入部とを有し、
    前記水管用下部端栓挿入部に形成された凸部は、前記空間を囲んで該水管用下部端栓挿入部の輪郭を形成するボス部材の少なくとも一つから延設されたものであることを特徴とする請求項1に記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体。
  3. 前記下部タイプレート上面に設けられた下部端栓挿入部は、平板部材に予め定められた配列位置に形成された貫通孔からなることを特徴とする請求項1に記載の沸騰水型原子炉用燃料集合体。
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