JP2009068027A - アルミニウム合金鋳物の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルミニウム合金鋳物の延性等の金属特性を向上させることができるアルミニウム合金鋳物の製造方法を提供する。
【解決手段】アルミニウム合金鋳物Wに溶体化処理する工程S12と、該溶体化した状態を維持しつつ、アルミニウム合金鋳物Wの表面が、純アルミニウムの溶湯Lに浸漬される浸漬表面fdと、溶湯Lに浸漬されない非浸漬表面fnとからなるように、アルミニウム合金鋳物Wを溶湯Lに浸漬する工程S13と、非浸漬表面fnの少なくとも一部に面した空間S内に負圧を発生させて、非浸漬表面fnの少なくとも一部から溶体化した状態のアルミニウム合金鋳物W内の晶出物を空間Sに吸い出すと共に浸漬表面fdから溶湯Lをアルミニウム合金鋳物W内に吸い込むことにより、アルミニウム合金鋳物W内の晶出物を純アルミニウムに置換する工程S14と、を少なくとも含んでなる。
【選択図】図1
【解決手段】アルミニウム合金鋳物Wに溶体化処理する工程S12と、該溶体化した状態を維持しつつ、アルミニウム合金鋳物Wの表面が、純アルミニウムの溶湯Lに浸漬される浸漬表面fdと、溶湯Lに浸漬されない非浸漬表面fnとからなるように、アルミニウム合金鋳物Wを溶湯Lに浸漬する工程S13と、非浸漬表面fnの少なくとも一部に面した空間S内に負圧を発生させて、非浸漬表面fnの少なくとも一部から溶体化した状態のアルミニウム合金鋳物W内の晶出物を空間Sに吸い出すと共に浸漬表面fdから溶湯Lをアルミニウム合金鋳物W内に吸い込むことにより、アルミニウム合金鋳物W内の晶出物を純アルミニウムに置換する工程S14と、を少なくとも含んでなる。
【選択図】図1
Description
本発明は、アルミニウム合金鋳物の製造方法に係り、特に、アルミニウム基地以外の晶出物によるアルミニウム合金鋳物の延性等の低下を抑制することができるアルミニウム合金鋳物の製造方法に関する。
従来から、従来、固定金型と可動金型によって形成されるキャビティに、溶融されたアルミニウム合金等の金属溶湯を射出し、冷却して鋳物製品を製作する鋳造方法は一般的に知られている。鋳造されるアルミニウム合金の溶湯には、例えば溶湯の流動性、鋳型充填性、熱間割れ性等の向上を図るべくシリコンを含有させたり、固溶強化等を図るべく銅、マグネシウム等の元素を含有させたりしている。
このようにアルミニウムの元素を含有させた溶湯により鋳造されたアルミニウム合金鋳物には、組織内に、第一相であるアルミニウム基地以外の第二相の晶出物(例えば共晶シリコン等)が生成される。該晶出物は、基地となるアルミニウム(母相)に比べて延性が乏しく、例えば共晶シリコンが粗大である場合には、該晶出物がアルミニウム合金鋳物の亀裂進展の起点となり、アルミニウム合金鋳物が破壊に至ることもあった。
このような点を鑑みて、アルミニウムに含有させる元素とその量、鋳造時及び鋳造後における熱処理条件等を適宜調整することにより、アルミニウム合金鋳物の延性等の金属特性を向上させることが一般的である。
例えば、その一例として、重量比で、Si:1.65〜4.0%、Mg:0.2〜0.4%、Fe:0.2%以下、残部をアルミニウム及び不可避不純物の組成を含有する鋳造後のアルミニウム合金鋳物を、共晶温度近傍の高温に到達した後急冷する溶体化処理を行い、しかる後に時効処理を行なうアルミニウム合金鋳物の製造方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。該製造方法によれば、アルミニウム合金鋳物に含有させる元素及びその量、及び、鋳造後の熱処理条件を設定することにより、共晶Siの面積率を15%以下として、伸びが15%以上、衝撃値が30〜40×104J/m2以上の特性を有したアルミニウム合金鋳物を得ることができる。
特開平9−272942号公報
このように、アルミニウム合金鋳物中の晶出物は、含有させる元素の種類とその含有量、鋳造時又は溶体化処理時の熱処理条件等により、アルミニウム合金鋳物の金属特性に大きく影響を及ぼす。そして、特許文献1のように、含有させる元素の種類とその含有量、熱処理条件の僅かな相違により、共晶Si等の晶出物の晶出の割合は変化するので、該晶出物の割合を正確にコントロールして、所望の特性のアルミニウム合金鋳物を得ることは容易ではない。
一方、第二相となる共晶Si等の晶出物を減らすべく、Si等の含有量を減らすことも考えられるが、例えばSiの含有量を減らし過ぎると前述したような所望の鋳造性及び時効特性を得ることができない場合もある。
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、鋳造条件及び含有元素の割合等に拘わらず、アルミニウム合金鋳物内に含まれる第二相となる晶出物の割合を低減することができ、アルミニウム合金鋳物の延性等の金属特性を向上させることができるアルミニウム合金鋳物の製造方法を提供することにある。
前記課題を解決すべく、発明者は、鋭意検討を重ねた結果、アルミニウム合金鋳物内の第二相となる晶出物の多くは、アルミニウム基地に比べて凝固が遅い点に着眼し、該アルミニウム合金鋳物内の晶出物を該鋳物の表面から吸引して吸い出すことにより、晶出物の割合を低減し、さらには、吸い出された晶出物の存在した空間に純アルミニウムを充填することにより、アルミニウム合金鋳物の延性等の金属特性を画期的に向上させることができるとの新たな知見を得た。
本発明は、発明者らの前記新たな知見に基づくものであり、前記課題を解決すべく、本発明に係る、アルミニウム合金鋳物の製造方法は、アルミニウム合金鋳物に溶体化処理する工程と、該溶体化した状態を維持しつつ、アルミニウム合金鋳物の表面が、純アルミニウムの溶湯に浸漬される浸漬表面と、前記溶湯に浸漬されない非浸漬表面とからなるように、前記アルミニウム合金鋳物を前記溶湯に浸漬する工程と、前記非浸漬表面の少なくとも一部に面した空間内に負圧を発生させて、前記非浸漬表面の少なくとも一部から前記溶体化した状態のアルミニウム合金鋳物内の晶出物を前記空間に吸い出すと共に前記浸漬表面から前記溶湯を前記アルミニウム合金鋳物内に吸い込むことにより、前記アルミニウム合金鋳物内の前記晶出物を前記純アルミニウムに置換する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする。
本発明に係るアルミニウム合金鋳物の製造方法は、まず、アルミニウム合金鋳物に対して、溶体化処理を行う。本発明にいう「溶体化処理」とは、アルミニウム合金鋳物の固相において、合金元素の溶解限以上の温度に、アルミニウム合金鋳物を加熱し、種々の合金元素をアルミニウムに固溶させる処理である。
なお、本発明にいう「晶出物」とは、鋳造時(具体的には冷却時)に晶出するものであり、第一相をアルミニウム基地としたときの該基地以外の第二相を構成するものであり、アルミニウム合金鋳物を溶体化処理したときに及び後述する純アルミニウムの溶湯に浸漬したときに溶融状態又は半溶融状態となり、流動可能なものをいう。前記晶出物は、アルミニウム合金に含有する元素及びその量によって異なるが、例えば、共晶Si、β−AlFeSi晶出物、Al2Cu晶出物、またはMg2Si晶出物、などを挙げることができる。
なお、溶体化処理前において準備するアルミニウム合金鋳物は、アルミニウムに所定の合金成分となる含有元素が所定量含有した溶湯を、鋳型内に流し込むことにより鋳造される合金鋳物であり、その製造方法として、例えば、ダイキャスティング法などを挙げることができる。また、別の態様としては、アルミニウム合金鋳物は、例えばアルミニウムビレットを半溶融状態にして鋳造するチクソキャスティング法、又はレオキャスティング法により得られた鋳物であってもよい。
また、前記アルミニウム合金鋳物の合金としては、例えば、Al−Cu系アルミニウム合金、Al−Cu−Mg系アルミニウム合金、Al−Cu−Mg−Ni系アルミニウム合金、Al−Si系アルミニウム合金、Al−Si−Mg系アルミニウム合金、Al−Si−Cu−Mg系アルミニウム合金などの合金鋳物を挙げることができ、該合金に、さらにFe,Mn,Ti,及びZi等のうち少なくとも一種の元素がさらに含有されていてもよい。
次に、溶体化した状態を維持したアルミニウム合金鋳物、すなわち、晶出物が流動可能な状態となったアルミニウム合金鋳物を、純アルミニウムの溶湯に浸漬させる。このとき、アルミニウム合金鋳物の一部の面を非浸漬面として残し、残りの面を純アルミニウムの溶湯内に浸漬させる。なお、本発明にいう、純アルミニウムとは、アルミニウムと不可避不純物からなるアルミニウムをいい、少なくとも98.5質量%以上アルミニウム元素を含んでいるものが好ましい。
そして、浸漬工程における純アルミニウムの溶湯に一部浸漬させたアルミニウム合金鋳物の姿勢を維持して、非浸漬表面の少なくとも一部に面した空間に負圧を発生させて、該非浸漬表面の一部からアルミニウム合金鋳物内の晶出物を吸い出す。詳述すると、アルミニウム合金鋳物内の晶出物は、アルミニウム合金鋳物内で分散して網目状となるように繋がったネットワーク状の骨格を形成している(晶出物のネットワーク組織を形成している)ので、晶出物のネットワーク組織の形成空間を晶出物の吸出し流路として、アルミニウム合金鋳物内の晶出物は吸い出される。
これと同時に、前記負圧により、晶出物が吸い出されたネットワーク組織の形成空間を純アルミニウムの溶湯の吸い込み流路として、浸漬表面から純アルミニウムの溶湯が吸い込まれ、前記形成空間に純アルミニウムが充填される。
なお、本発明による「非浸漬表面の少なくとも一部に面した空間内に負圧を発生させる」とは、非浸漬表面の少なくとも一部から鋳物の内の晶出物を吸出し、鋳物内に純アルミニウムを吸い込むための吸引圧力を空間内に発生させることであり、非浸漬表面の前記少なくとも一部の表面をいわゆる真空吸引することをいう。
このようにして、アルミニウム合金鋳物内の晶出物は、純アルミニウムに置換される。この結果、一般的に脆性の特性を有する晶出物が存在した空間に、該晶出物に比べて熱伝導性が高く、成形性が良く、さらには耐腐食性に優れている純アルミニウムを配置することになるので、アルミニウム合金鋳物の熱伝導性、成形性(例えば延性)、耐腐食性は、溶体化処理前のアルミニウム合金鋳物に比べて向上する。
さらに、この置換工程後のアルミニウム合金鋳物に対して、焼入れ及び時効処理等を行なうことにより、アルミニウム合金鋳物の第一相である初晶部は、時効析出により強化される。
本発明に係るアルミニウム合金鋳物の製造方法の前記置換工程において、前記非浸漬表面の少なくとも一部に面した空間の負圧による圧力を、75kPa以下にすることがより好ましい。本発明によれば、前記非浸漬表面の少なくとも一部に面した空間内のエアを脱気することにより減圧して75kPa以下の圧力にするので、アルミニウム合金鋳物の表面から、好適に前記晶出物を吸引することができると共に、吸引された晶出物が存在したアルミニウム合金鋳物内の前記形成空間に、純アルミニウムの溶湯を好適に流入させ充填することができる。また、空間は完全真空となることがより好ましく、下限値は、0kPaよりも大きい圧力である。
ところで、アルミニウム合金鋳物を鋳造する際には、アルミニウム基地相(第一相)となるデンドライトが成長する。デンドライトは、先ず一次デンドライト(一次アーム)となる樹の樹部が発達し、樹部につながった二次デンドライト(二次アーム)となる樹の枝部が成長し、樹枝状晶を形成して凝固する。さらに、一次及び二次デンドライトの隙間には、第二相となる共晶Si等の晶出物で埋められる。そして、本発明にいう「二次デンドライトアームスペーシング(DAS2)」は、この隣り合う二次アーム同士の間隔(距離)をいい、金属組織の粗さを表す指標として一般的に使用されるパラメータである。
本発明に係るアルミニウム合金鋳物の製造方法において、前記溶体化処理される前記アルミニウム合金鋳物として、前記アルミニウム合金鋳物の二次デンドライトアームスペーシングが50μm以下のアルミニウム合金鋳物を用いることがより好ましい。
本発明に係る製造方法において、溶体化処理前の準備するアルミニウム合金鋳物は、二次デンドライトアームスペーシングが50μm以下であり、二次デンドライトの隙間に晶出される第二相となる晶出物は塊状にはならず微細であるので、前述した晶出物のネットワーク組織が分断されることなく形成されている。よって、アルミニウム合金鋳物を用いることにより、置換工程時においてアルミニウム合金鋳物の非浸漬表面の一部から前記晶出物を好適に吸い出し易く、アルミニウム合金鋳物内の晶出物を純アルミニウムに好適に置換し易い。この結果、置換工程後のアルミニウム合金鋳物の延性、熱伝導性が向上するばかりでなく、耐腐食減量をもさらに低減することができる。
一方、二次デンドライトアームスペーシングが50μmよりも大きい場合には、二次デンドライトの隙間に晶出される第二相となる晶出物は粗大であり、晶出物のネットワーク組織が分断されやすい。このため、置換工程時においてアルミニウム合金鋳物の非浸漬表面の一部から該晶出物を吸い出し難くなり、アルミニウム合金鋳物内の晶出物を純アルミニウムに好適に置換し難くなる。また、二次デンドライトアームスペーシングは、小さいほうがより好ましく、0μmよりも大きいことがより好ましい。
尚、前述したデンドライトの成長は、鋳造時における冷却速度(凝固速度)、凝固核の分布状態等によって変化するものである。よって、アルミニウム合金鋳物の二次デンドライトアームスペーシングが50μm以下のアルミニウム合金鋳物は、前述したように溶体化処理前に準備するアルミニウム合金鋳物の鋳造時の凝固速度等を調整することにより、前記範囲内にすることが可能である。
さらに、本発明に係るアルミニウム合金鋳物の製造方法は、溶体化処理される前記アルミニウム合金鋳物として、前記アルミニウム合金鋳物の前記晶出物の面積率が8.2%以上のアルミニウム合金鋳物を用いることがより好ましい。
本発明によれば、前記アルミニウム合金鋳物の前記晶出物の面積率が8.2%以上のアルミニウム合金鋳物は、鋳造時の第二相を構成する晶出物がネットワーク組織を形成するように晶出し易い。このようなアルミニウム合金鋳物を用いることにより、前述したように、晶出物により形成されるネットワーク組織の空間は晶出物の吸出し流路として作用し、アルミニウム合金鋳物内の晶出物は吸い出される。一方、吸い出された晶出物が存在していたネットワーク組織の空間が純アルミニウム溶湯の吸い込み流路として作用し、浸漬表面から純アルミニウムの溶湯が吸い込まれ易くなる。この結果、置換工程後のアルミニウム合金鋳物の延性、熱伝導性が向上するばかりでなく、さらにアルミニウム合金鋳物の破壊靭性を向上させることができる。
一方、前記アルミニウム合金鋳物の前記晶出物の面積率が8.2%よりも小さいアルミニウム合金鋳物は、晶出物のネットワーク組織が形成されたとしても、該ネットワーク組織は部分的に分断される傾向にあるので、アルミニウム合金鋳物内部の晶出物を好適に吸い出すことが難しくなる。
なお、本発明にいう、晶出物の面積率とは、置換工程前のアルミニウム合金鋳物の任意の断面を観察した場合における、金属断面の全体面積に対する第二相(アルミニウム基地以外の相)の占める面積の割合をいう。また、晶出物の面積率は、アルミニウム合金鋳物に鋳造する際に添加される元素の割合、または凝固速度などを変化させることにより、調整することができる。
なお、前記晶出物の面積率の上限値は、アルミニウム合金鋳物に添加される元素の割合等を考慮すると、20%以下であることがより好ましい。これよりも多い割合の場合には、添加元素の増加に伴い、アルミニウム合金鋳物の基本的な機械特性等をかえって阻害するおそれがある。
また、本発明に係るアルミニウム合金鋳物の製造方法は、前記置換工程において、前記純アルミニウムの前記溶湯の動粘度が、0.18×10−2cm2/s以下となるように前記溶湯の温度を調整することがより好ましい。
本発明によれば、溶湯を加熱して、前記純アルミニウムの溶湯の動粘度を、0.18×10−2cm2/s以下とすることにより、吸引された晶出物が存在したアルミニウム合金鋳物内の空間に、溶融した純アルミニウムを好適に充填することができる。また、前記動粘度を得るためには、少なくとも純アルミニウムを450℃以上に加熱することが好ましい。
すなわち、溶湯の動粘度が0.18×10−2cm2/sよりも低い場合には、純アルミニウムの溶湯の流動性が低下し、溶湯をアルミニウム合金鋳物に吸い込むことが阻害され易くなる。また、前記溶湯の動粘度の下限値は、0.15×10−2cm2/s以上であることがより好ましい。該動粘度よりも小さくした場合であっても、それ以上の効果を期待することができず、アルミニウム合金鋳物を浸漬する際に、該アルミニウム合金鋳物の一部が溶融してしまう可能性がある。
前記アルミニウム合金鋳物の製造を好適にすることができる装置として、以下の製造装置を開示する。本発明に係るアルミニウム合金鋳物の製造装置は、鋳造されたアルミニウム合金鋳物に対して、その金属組織を改質するための装置であって、溶融した純アルミニウムの溶湯を収容する溶湯収容部と、該溶湯収容部内の純アルミニウムの溶湯に浸漬される浸漬表面と前記溶湯に浸漬されない非浸漬表面とからなるようにアルミニウム鋳物を前記溶湯に浸漬させる溶湯浸漬部と、前記非浸漬表面の少なくとも一部に面した空間内に負圧を発生させ、前記非浸漬表面の少なくとも一部から前記アルミニウム合金鋳物内の晶出物を前記空間に吸い出すと共に前記浸漬表面から前記溶湯を前記アルミニウム合金鋳物内に吸い込む吸引部と、を少なくとも備えることを特徴とするものである。
本発明によれば、溶湯浸漬部により、溶体化処理で晶出物が流動可能なアルミニウム合金鋳物を、溶湯収容部内の純アルミニウムの溶湯に浸漬させることができる。そして、吸引部により、非浸漬表面の少なくとも一部に面した空間に負圧を発生させて、該非浸漬表面の一部からアルミニウム合金鋳物内の晶出物を吸い出し、浸漬表面から純アルミニウムの溶湯を、アルミニウム合金鋳物の内部に吸い込み、晶出物を純アルミニウムに置換することができる。
また本発明に係る装置の前記吸引部は、前記空間内の圧力を測定する圧力測定器を備えることがより好ましく、前記溶湯収容部は、収容された純アルミニウムの溶湯の動粘度を調整すべく、純アルミニウムの溶湯を加熱するための加熱部及び加熱された溶湯の温度を測定する溶湯温度測定器を備えることがより好ましい。
本発明によれば、前記圧力測定器を設けることにより、吸引部を用いて前記空間内の圧力を所望の圧力(75kPa以下)に調整することが可能となり、加熱器及び溶湯温度測定器を設けることにより、溶湯収容部内の純アルミニウムの溶湯の温度に基づいて溶湯の動粘度を所望の動粘度(0.18×10−2cm2/s以下)に調整することができる。
本発明によれば、鋳造条件及び含有元素の割合等に拘わらず、アルミニウム合金鋳物内に含まれる第二相となる晶出物の割合を低減することができ、アルミニウム合金鋳物の延性等の金属特性を向上させることができる。
以下に、図面を参照して、本発明に係るアルミニウム合金鋳物の好適な製造方法、及び該方法を行うに好適な製造装置を以下の実施形態に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係るアルミニウム合金鋳物の製造方法を好適に行うための装置全体構成図を示している。
図1に示すように、本実施形態に係るアルミニウム合金鋳物の製造装置10は、アルミニウム合金から鋳造装置により製造されたアルミニウム合金鋳物の金属組織を改質するための装置である。製造装置10は、溶融した純アルミニウムの溶湯を収容する溶湯収容部20と、該溶湯収容部20の溶湯に被処理材であるアルミニウム合金鋳物Wを浸漬させる溶湯浸漬部30と、アルミニウム合金鋳物を保持してアルミニウム合金の表面を真空吸引する吸引部40と、を少なくとも備えている。
溶湯収容部20は、少なくとも、溶融した純アルミニウムの溶湯を収容する収容槽21と、該収容槽21内に収容された純アルミニウムを加熱するヒータ(加熱器)22と、収容槽21内に収容された純アルミニウムの溶湯温度を測定する溶湯温度測定器23と、からなる。
収容槽21は、純アルミニウムの溶湯温度よりも高い耐熱性温度を有した材料からなり、上方から被処理材であるアルミニウム合金鋳物Wが挿入可能な大きさの開口が形成されている。
ヒータ22は、収容された純アルミニウムの溶湯Lを所望の動粘度にすべく、該動粘度に対応する温度に溶湯Lを加熱する機器である。ヒータ22は、溶湯温度測定器23が測定したアルミニウムの溶湯温度に基づいて、純アルミニウムの溶湯Lの温度を調整可能なように構成されている。
なお、溶湯収容部20は、前記温度調整を行う場合に、溶湯温度測定器23の測定温度の表示温度を確認しながら作業者がヒータ22を用いて溶湯の温度を調整可能なように構成されていてもよい。別の態様として、溶湯収容部20は、予め溶湯の目標温度を設定し、溶湯温度測定器23が測定した測定温度が、前記目標温度以上となるように、ヒータ22の発熱量を調整するように構成されていてもよい。
溶湯浸漬部30は、アルミニウム合金鋳物Wの表面が溶湯収容部内の純アルミニウムの溶湯に浸漬される浸漬表面fdと、前記溶湯に浸漬されない非浸漬表面fnとからなるように、アルミニウム合金鋳物Wを保持すると共に溶湯収容部20内の溶湯に浸漬することが可能なように構成されている。本実施形態では、溶湯浸漬部30は、後述する吸引部40の吸引保持具41に接続され該吸引保持具41を保持することにより、間接的にアルミニウム合金鋳物Wを保持するように構成されているが、該鋳物を直接的に把持可能な把持機構を別途設けてもよい。また、溶湯浸漬部30は、保持した状態のアルミニウム合金鋳物Wが前述した浸漬状態の姿勢を確保できるように、吸引保持具41を昇降させるような昇降機構を含んでいる。
吸引部40は、非浸漬表面fnの少なくとも一部(上面)に面した空間S内に負圧を発生させ、前記非浸漬表面の上面から溶体化したアルミニウム合金鋳物W内の晶出物を空間Sに吸い出すと共に浸漬表面fdから溶湯Lをアルミニウム合金鋳物W内に吸い込むための装置であり、吸引部40は、吸引保持具41と、圧力測定器42と、吸引ポンプ44とを少なくとも備えている。
吸引保持具41は、内部に空間Sを有し、アルミニウム合金鋳物Wの非浸漬面fnの一部である上面を覆う開口部41aと、開口部41aに対峙する位置に空間Sのエアを脱気するための脱気ポート41bを形成している。さらに、開口部41aの周縁には、空間Sを密封可能にするためのシール材41cが配設されている。
吸引ポンプ44は、吸引保持具41の空間Sのエアを脱気して該空間S内に負圧を発生させるように、脱気ポート41bに接続されており、圧力測定器42は、吸引保持具41の空間Sの圧力を測定可能なように、吸引保持具41に配設されている。
上記装置10を用いて、本実施形態に係るアルミニウム合金鋳物の製造を行う。図2は、本実施形態に係るアルミニウム合金鋳物の製造方法の各工程を説明するためのフロー図であり、図3は、鋳造工程において鋳造されたアルミニウム合金鋳物の組織断面図を示しており、図4は、図3の鋳造工程において鋳造されたアルミニウム合金鋳物の二次デンドライトアームスペーシングを説明するための図である。
まず、本実施形態のアルミニウム合金鋳物を製造する前段階の工程(鋳造工程S11)として、Si,Mg,Cu,Fe等の元素を所定量添加したアルミニウム合金から、アルミニウム合金鋳物に鋳造する。鋳造方法としては、ダイキャスト鋳造装置、半溶融鋳造装置等を用いた公知の鋳造方法により鋳造を行う。
該鋳造により、アルミニウム合金鋳物の組織は、図3に示すように、アルミニウム基地となる第一相と、共晶Si、β−AlFeSi晶出物、Al2Cu晶出物、Mg2Si晶出物などの晶出物の組織からなる第二相とが、形成されることになる。この第二相の晶出物は、一般的にアルミニウム合金鋳物内で三次元的なネットワーク状(網目状)の骨格を形成している(晶出物のネットワーク組織を形成している)。
このような金属組織は以下のようにして形成される。具体的には、図4に示すように、鋳造工程における凝固時に、第一相を構成するアルミニウム基地の初晶となるデンドライトAが成長する。デンドライトAは、先ず一次アームとなる樹の樹部aが発達し、樹部aにつながった二次アームとなる樹の枝部bが成長して、樹枝状晶を形成して凝固する。さらに、一次及び二次デンドライトの隙間には、第二相となる共晶Si等の晶出物が晶出する。ここで、金属組織の粗さを表す指標として一般的に使用される二次デンドライトアームスペーシング(DAS2)は、この隣り合う二次アーム同士の間隔cをいう。
以下に示す本実施形態では、鋳造工程S11において得られたアルミニウム合金鋳物として、アルミニウム合金鋳物の晶出物の面積率が8.2%以上のアルミニウム合金鋳物であり、かつ、アルミニウム合金鋳物の二次デンドライトアームスペーシングcが50μm以下のアルミニウム合金鋳物を用いることが好ましい。なお、晶出物の面積率とは、鋳物の一部の断面積に対しして占める晶出物の面積の割合をいい、例えば、図3に示す、晶出物により構成される第二相の面積を、第一相及び第二相の面積の和で除算ことにより求めることができる。
なお、このような晶出物の面積率は、アルミニウム合金鋳物に鋳造する際に含有する元素の割合、または凝固速度などを変化させることにより、調整することができることが知られている。また、二次デンドライトアームスペーシングの範囲は、アルミニウム合金鋳物の鋳造時の凝固速度等を調整することによる調整が可能であることが知られている。
そして、該鋳造工程S11により準備されたアルミニウム合金鋳物に対して、該鋳物の金属組織を改質するために、少なくとも以下の一連の工程S12〜S14を、本実施形態に係る製造方法として実施する。
まず、準備されたアルミニウム合金鋳物に対して、図2に示す溶体化処理工程S12を行う。溶体化処理工程は、鋳造されたアルミニウム合金鋳物を加熱炉(図示ぜず)に投入することにより行われる。該処理により、アルミニウム合金鋳物の固相において、合金元素の溶解限以上の温度に、アルミニウム合金鋳物を加熱し、種々の合金元素をアルミニウムに固溶させる。一方、アルミニウム合金鋳物の第二相を構成する晶出物は、溶融または半溶融状態となり、流動性を有する形態に変化する。
溶体化処理工程S12による晶出物が流動可能な状態を維持(溶体化の状態を維持)し、以下の浸漬工程S13及び置換工程S14を行う。浸漬工程S13と置換工程S14は、前述した図1に示す製造装置10を用いて行う。
まず、浸漬工程S13において、図1に示すように、溶体化処理したアルミニウム合金鋳物Wの表面が、収容槽21内に溶融した純アルミニウムの溶湯Lに浸漬される浸漬表面fdと、溶湯に浸漬されない非浸漬表面fnとからなるように、溶湯浸漬部30によりアルミニウム合金鋳物Wを溶湯Lに浸漬する。具体的には、アルミニウム合金鋳物Wの一方の面(下面)を収容槽21内の溶湯Lに浸漬させて、これと反対側に位置する他方の面(上面)を浸漬しないようにする。
なお、この浸漬工程S13の際には、予めアルミニウム合金鋳物Wの上面に、該上面を開口部41aが覆うようにシール材41cを介して吸引保持具41を配置し、脱気ポート41bを介して吸引ポンプ44によりこの上面が面した吸引保持具41内の空間Sに負圧を発生させる。これにより、アルミニウム合金鋳物Wを吸引保持具41に吸着させ、鋳物Wが吸着した吸引保持具41を溶湯浸漬部30により移動させて、前記浸漬を行うことができる。但し、浸漬方法は、この方法に限定されるわけではなく、例えば、溶湯浸漬部30にアルミニウム合金鋳物Wを把持する機構を設け、該把持機構により把持された鋳物Wを下方向に移動させて、鋳物Wを溶湯Lに浸漬させてもよい。
そして、浸漬工程S13後、置換工程S14を行う。具体的には、浸漬工程S13において、アルミニウム合金鋳物Wを浸漬させた姿勢を維持し、吸引保持具41に吸着した鋳物Wの上面(非浸漬表面fnの一部)に面した空間Sに、吸引ポンプ44によりさらに負圧を発生させる。すなわち、該空間Sは、吸引保持具41の開口部41aに配置したシール材41cにより密閉空間となるため、吸引保持具41の脱気ポート41bから空間S内のエアは吸引ポンプ44により脱気され、空間Sにさらなる負圧が発生することになる。このとき、圧力測定器42の測定した空間S内の負圧による圧力は、75KPa以下であることがより好ましい。
そして、該負圧により、アルミニウム合金鋳物W内の晶出物は、ネットワーク組織を形成しているので、晶出物のネットワーク組織の形成空間は晶出物の吸出し流路として作用し、アルミニウム合金鋳物W内の晶出物は吸い出される。さらに、アルミニウム合金鋳物Wを溶湯Lに浸漬させているので、晶出物が吸い出されたネットワーク組織の形成空間は純アルミニウムの溶湯Lの吸い込み流路として作用し、浸漬表面fdから純アルミニウムの溶湯Lが吸い込まれる。この結果、吸い出されたアルミニウム合金鋳物W内に晶出物が存在した空間に純アルミニウムが置換されることになる。
なお、溶湯温度測定器23が測定した測定温度に基づいて、ヒータ22により溶湯を所望の温度まで加熱することにより、純アルミニウムの溶湯Lの動粘度は、0.18×10−2cm2/s以下となるように、前記溶湯の温度を調整することが望ましい。
その後、焼入れ及び時効処理工程S15を行う。この結果、アルミニウム合金鋳物を、時効析出により強化することができる。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。
(実施例1)
<試験片>
まず鋳造工程として、JIS AC2B合金(Al−6.0Si−3.0Cu、不純物としてFeを0.7%含む)の組成のアルミニウム溶湯を準備し、ダイキャスト鋳造装置を用いて、ゲート速度1.0m/sec、圧力700kgf/cm2、冷却速度12℃/secとして、厚さ10mmのプレート状のアルミニウム合金鋳物を製作した。次に、溶体化処理工程として、鋳造したアルミニウム合金鋳物を500℃で10時間の加熱条件で加熱炉内に投入した。
(実施例1)
<試験片>
まず鋳造工程として、JIS AC2B合金(Al−6.0Si−3.0Cu、不純物としてFeを0.7%含む)の組成のアルミニウム溶湯を準備し、ダイキャスト鋳造装置を用いて、ゲート速度1.0m/sec、圧力700kgf/cm2、冷却速度12℃/secとして、厚さ10mmのプレート状のアルミニウム合金鋳物を製作した。次に、溶体化処理工程として、鋳造したアルミニウム合金鋳物を500℃で10時間の加熱条件で加熱炉内に投入した。
さらに、該溶体化処理した状態にアルミニウム合金鋳物を保持し、前述した図1に示す装置を用いて、まず、浸漬工程としてプレート状のアルミニウム合金鋳物の一方の面を、700℃に加熱した純アルミニウムの溶湯に浸漬した。次に、置換工程として、反対側にある他方の面から、該面を含む空間の圧力(真空度)が65kPaとなるように負圧を発生させ、アルミニウム合金鋳物内の晶出物を純アルミニウムに置換した。その後、熱処理工程として、JIS規格に規定のT6処理を行った。具体的には、置換工程後のアルミニウム合金鋳物に対して70℃の水焼入れを行い、さらに、160℃で5時間の加熱条件で、時効処理を行ない、本実施例に係るアルミニウム合金鋳物を製作した。
<評価方法>
製作したアルミニウム合金鋳物の肉厚中央部分から平行部分が直径6mm、長さ25mmとなるように引張試験片を製作し、室温において引張速度1mm/分の条件で、伸び試験を行った。この結果、得られた伸び率を図5に示す。
製作したアルミニウム合金鋳物の肉厚中央部分から平行部分が直径6mm、長さ25mmとなるように引張試験片を製作し、室温において引張速度1mm/分の条件で、伸び試験を行った。この結果、得られた伸び率を図5に示す。
(比較例1)
実施例1と同じ条件で鋳造工程及び溶体化処理工程を行い、その後、浸漬工程、置換工程を行わず、実施例1と同じ条件で熱処理工程を行った。熱処理後にアルミニウム合金鋳物に対して、実施例1と同じ条件で伸び試験を行った。この結果を図5に示す。
実施例1と同じ条件で鋳造工程及び溶体化処理工程を行い、その後、浸漬工程、置換工程を行わず、実施例1と同じ条件で熱処理工程を行った。熱処理後にアルミニウム合金鋳物に対して、実施例1と同じ条件で伸び試験を行った。この結果を図5に示す。
[結果1]
図5に示すように、実施例1の試験片の伸び率は、比較例1のものに比べて、約3倍程度大きかった。
図5に示すように、実施例1の試験片の伸び率は、比較例1のものに比べて、約3倍程度大きかった。
[考察1]
実施例1の試験片が、比較例1のものに比べて伸び率が高くなったのは、アルミニウム合金鋳物内の一般的に脆性の特性を有する晶出物が、該晶出物に比べて延性が高い純アルミニウムに置換されたことによる、と考えられる。
実施例1の試験片が、比較例1のものに比べて伸び率が高くなったのは、アルミニウム合金鋳物内の一般的に脆性の特性を有する晶出物が、該晶出物に比べて延性が高い純アルミニウムに置換されたことによる、と考えられる。
(実施例2)
実施例1と同じ一連の工程により、アルミニウム合金鋳物を製作した。実施例1と相違する点は、置換工程における負圧となる吸引圧力(真空度)を、図6に示すように、75kPa以下の条件で置換工程を行なった点である。そして、実施例1と同じようにして、試験片を製作し伸び試験を行った。この結果を図6に示す。
実施例1と同じ一連の工程により、アルミニウム合金鋳物を製作した。実施例1と相違する点は、置換工程における負圧となる吸引圧力(真空度)を、図6に示すように、75kPa以下の条件で置換工程を行なった点である。そして、実施例1と同じようにして、試験片を製作し伸び試験を行った。この結果を図6に示す。
(比較例2)
実施例2と同じ一連の工程により、アルミニウム合金鋳物を製作した。実施例1と相違する点は、置換工程における負圧による吸引圧力(真空度)を、図6に示すように、75kPaよりも大きい条件で置換工程を行った点である。そして、実施例2と同じようにして、試験片を製作し伸び試験を行った。この結果を図6に示す。
実施例2と同じ一連の工程により、アルミニウム合金鋳物を製作した。実施例1と相違する点は、置換工程における負圧による吸引圧力(真空度)を、図6に示すように、75kPaよりも大きい条件で置換工程を行った点である。そして、実施例2と同じようにして、試験片を製作し伸び試験を行った。この結果を図6に示す。
[結果2]
図6に示すように、実施例2のすべての試験片の伸び率は、比較例2のものに比べて大きかった。
図6に示すように、実施例2のすべての試験片の伸び率は、比較例2のものに比べて大きかった。
[考察2]
結果2から、実施例2に係るアルミニウム合金鋳物は、非浸漬表面の少なくとも一部に面した空間を、比較例2の圧力より低い75kPa以下の圧力にすることにより、アルミニウム合金鋳物の表面から、好適に前記した晶出物を吸引することができると共に、吸引された晶出物が存在したアルミニウム合金鋳物内の空間に、溶融した純アルミニウムを好適に充填することができたと考えられる。
結果2から、実施例2に係るアルミニウム合金鋳物は、非浸漬表面の少なくとも一部に面した空間を、比較例2の圧力より低い75kPa以下の圧力にすることにより、アルミニウム合金鋳物の表面から、好適に前記した晶出物を吸引することができると共に、吸引された晶出物が存在したアルミニウム合金鋳物内の空間に、溶融した純アルミニウムを好適に充填することができたと考えられる。
(実施例3)
実施例1と同じ一連の工程により、アルミニウム合金鋳物を製作した。実施例1と相違する点は、溶体化前のアルミニウム合金鋳物としてJIS規格:AC1A合金(Al−4.5Cu)を準備した点と、該準備する鋳物の鋳造時に、凝固速度コントロールして、アルミニウム鋳物のデンドライトの二次デンドライトアームスペーシングを50μm以下となるようにして、鋳物の鋳造した点である。
実施例1と同じ一連の工程により、アルミニウム合金鋳物を製作した。実施例1と相違する点は、溶体化前のアルミニウム合金鋳物としてJIS規格:AC1A合金(Al−4.5Cu)を準備した点と、該準備する鋳物の鋳造時に、凝固速度コントロールして、アルミニウム鋳物のデンドライトの二次デンドライトアームスペーシングを50μm以下となるようにして、鋳物の鋳造した点である。
そして、アルミニウム合金鋳物に対して、JIS H8711に準じた3.5%NaCl交換浸漬法により、10分間NaCl水溶液に浸漬し、50分乾燥する工程を繰返し300時間行い、アルミニウム合金鋳物の腐食減量を測定した。この結果を図7に示す。
(比較例3)
実施例3と同じ一連の工程により、アルミニウム合金鋳物を製作した。実施例3と相違する点は、鋳物の鋳造時に、凝固速度コントロールして、アルミニウム鋳物のデンドライトの二次デンドライトアームスペーシングを50μmよりも大きくとなるようにして、鋳物の鋳造した点である。そして、実施例3と同じ腐食試験を行い、アルミニウム合金鋳物の腐食減量を測定した。この結果を、図7に示す。
実施例3と同じ一連の工程により、アルミニウム合金鋳物を製作した。実施例3と相違する点は、鋳物の鋳造時に、凝固速度コントロールして、アルミニウム鋳物のデンドライトの二次デンドライトアームスペーシングを50μmよりも大きくとなるようにして、鋳物の鋳造した点である。そして、実施例3と同じ腐食試験を行い、アルミニウム合金鋳物の腐食減量を測定した。この結果を、図7に示す。
[結果3]
図7に示すように、実施例3のアルミニウム合金鋳物の腐食減量は、比較例3のものに比べて少なかった。
図7に示すように、実施例3のアルミニウム合金鋳物の腐食減量は、比較例3のものに比べて少なかった。
[考察3]
結果3から、実施例3に係るアルミニウム合金鋳物の二次デンドライトアームスペーシングは50μm以下であるので、二次デンドライトの隙間に晶出される第二相となる晶出物は微細である。この結果、置換工程時においてアルミニウム合金鋳物の非浸漬表面の一部から該晶出物を好適に吸い出すことができ、アルミニウム合金鋳物内の晶出物を純アルミニウムに好適に置換することができたと考えられる。
結果3から、実施例3に係るアルミニウム合金鋳物の二次デンドライトアームスペーシングは50μm以下であるので、二次デンドライトの隙間に晶出される第二相となる晶出物は微細である。この結果、置換工程時においてアルミニウム合金鋳物の非浸漬表面の一部から該晶出物を好適に吸い出すことができ、アルミニウム合金鋳物内の晶出物を純アルミニウムに好適に置換することができたと考えられる。
一方、比較例4に係るアルミニウム合金鋳物は、実施例3に比べて二次デンドライトアームスペーシングが大きい場合ため、二次デンドライトの隙間に晶出される第二相となる晶出物は粗大である。このため、置換工程時においてアルミニウム合金鋳物の非浸漬表面の一部から該晶出物を吸い出し難くなり、アルミニウム合金鋳物内の晶出物を純アルミニウムに好適に置換し難くなったと考えられる。このことから、結果3に示すように、実施例3に係るアルミニウム合金鋳物は、比較例3のものに比べて、晶出物が純アルミニウムに置換され易く、その結果として、耐腐食減量が低減されたと考えられる。
(実施例4)
実施例1と同じ一連の工程により、アルミニウム合金鋳物を製作した。実施例1と相違する点は、図8に示すように、該準備する鋳物の鋳造時に、添加元素量を変化させて、前記アルミニウム合金鋳物の第二相となる晶出物の面積率が8.2%以上となるように変化させ、溶体化前のアルミニウム合金鋳物としてJIS規格:AC4CH合金(Al−7Si−0.3Mg)を準備した点である。
実施例1と同じ一連の工程により、アルミニウム合金鋳物を製作した。実施例1と相違する点は、図8に示すように、該準備する鋳物の鋳造時に、添加元素量を変化させて、前記アルミニウム合金鋳物の第二相となる晶出物の面積率が8.2%以上となるように変化させ、溶体化前のアルミニウム合金鋳物としてJIS規格:AC4CH合金(Al−7Si−0.3Mg)を準備した点である。
そして、アルミニウム合金鋳物に対して、日本機械学会基準JSMES001(弾塑性破壊靭性JIC試験方法により、破壊靭性値を測定した。この結果を図8に示す。
(実施例5)
実施例4と同じ一連の工程により、アルミニウム合金鋳物を製作した。実施例1と相違する点は、図9に示すように、該準備する鋳物の鋳造時に、添加元素量を変化させて、アルミニウム合金鋳物の第二相となる晶出物の面積率が8.2%以上となるように変化させ、溶体化前のアルミニウム合金鋳物としてJIS規格:AC2B合金(Al−6.0Si−2.5Cu)を準備した点である。そして実施例4と同様に、破壊靭性値を測定した。この結果を図9に示す。
実施例4と同じ一連の工程により、アルミニウム合金鋳物を製作した。実施例1と相違する点は、図9に示すように、該準備する鋳物の鋳造時に、添加元素量を変化させて、アルミニウム合金鋳物の第二相となる晶出物の面積率が8.2%以上となるように変化させ、溶体化前のアルミニウム合金鋳物としてJIS規格:AC2B合金(Al−6.0Si−2.5Cu)を準備した点である。そして実施例4と同様に、破壊靭性値を測定した。この結果を図9に示す。
(比較例4)
実施例4と同じ一連の工程により、アルミニウム合金鋳物を製作した。実施例4と相違する点は、図8に示すように、アルミニウム合金鋳物の第二相となる晶出物の面積率を8.2%よりも少なくした点である。この結果を図8に示す。
実施例4と同じ一連の工程により、アルミニウム合金鋳物を製作した。実施例4と相違する点は、図8に示すように、アルミニウム合金鋳物の第二相となる晶出物の面積率を8.2%よりも少なくした点である。この結果を図8に示す。
(比較例5)
実施例5と同じ一連の工程により、アルミニウム合金鋳物を製作した。実施例5と相違する点は、図9に示すようなに、アルミニウム合金鋳物の第二相となる晶出物の面積率を8.2%よりも少なくした点である。この結果を図9に示す。
実施例5と同じ一連の工程により、アルミニウム合金鋳物を製作した。実施例5と相違する点は、図9に示すようなに、アルミニウム合金鋳物の第二相となる晶出物の面積率を8.2%よりも少なくした点である。この結果を図9に示す。
[結果4]
図8及び9に示すように、実施例4及び5は、それぞれ対応する比較例4及び5に比べて破壊靭性値が高くなった。
図8及び9に示すように、実施例4及び5は、それぞれ対応する比較例4及び5に比べて破壊靭性値が高くなった。
[考察4]
結果4から、実施例4及び5に係る溶体化処理前のアルミニウム合金鋳物は、晶出物の面積率が8.2%以上であるので、晶出物がネットワーク組織を形成するように晶出されていると考えられる。そして、晶出物により形成されるネットワーク組織の空間は晶出物の吸出し流路として作用し、アルミニウム合金鋳物内の晶出物は吸い出され、一方、吸い出された晶出物が存在していたネットワーク組織の空間が純アルミニウム溶湯の吸い込み流路として作用し、浸漬表面から純アルミニウムの溶湯が吸い込まれ易くなると考えられる。
結果4から、実施例4及び5に係る溶体化処理前のアルミニウム合金鋳物は、晶出物の面積率が8.2%以上であるので、晶出物がネットワーク組織を形成するように晶出されていると考えられる。そして、晶出物により形成されるネットワーク組織の空間は晶出物の吸出し流路として作用し、アルミニウム合金鋳物内の晶出物は吸い出され、一方、吸い出された晶出物が存在していたネットワーク組織の空間が純アルミニウム溶湯の吸い込み流路として作用し、浸漬表面から純アルミニウムの溶湯が吸い込まれ易くなると考えられる。
一方、比較例4及び5に係るアルミニウム合金鋳物は、晶出物の面積率が実施例4及び5に係るアルミニウム合金鋳物に比べて、晶出物のネットワーク組織が形成されたとしても、ネットワーク組織は部分的に分断される傾向にあるので、アルミニウム合金鋳物内部の晶出物を好適に吸い出すことが難しくなると考えられる。このことから、結果4に示すように、実施例4及び5に係るアルミニウム合金鋳物は、晶出物が純アルミニウムに置換され易いため、アルミニウム合金鋳物の破壊靭性を向上させることができたと考えられる。
(実施例6)
実施例1と同じ一連の工程により、アルミニウム合金鋳物を製作した。実施例1と相違する点は、図10に示すように純アルミニウムの前記溶湯の動粘度が、0.18×10−2cm2/s以下となるように前記溶湯の温度を調整した点と、溶体化前のアルミニウム合金鋳物としてJIS規格:AC3A合金(Al−12Si)を準備した点である。そして、アルミニウム合金鋳物に対して、JIS A 5430「6.8熱伝導率試験法」に規定の方法で、熱伝導率を測定した。この結果を図10に示す。
実施例1と同じ一連の工程により、アルミニウム合金鋳物を製作した。実施例1と相違する点は、図10に示すように純アルミニウムの前記溶湯の動粘度が、0.18×10−2cm2/s以下となるように前記溶湯の温度を調整した点と、溶体化前のアルミニウム合金鋳物としてJIS規格:AC3A合金(Al−12Si)を準備した点である。そして、アルミニウム合金鋳物に対して、JIS A 5430「6.8熱伝導率試験法」に規定の方法で、熱伝導率を測定した。この結果を図10に示す。
(比較例6)
実施例6と同じ一連の工程により、アルミニウム合金鋳物を製作した。実施例6と相違する点は、図10に示すように純アルミニウムの前記溶湯の動粘度が、0.18×10−2cm2/sよりも大きくなるように前記溶湯の温度を調整した点である。そして、実施例6と同じようにして、アルミニウム合金鋳物に対して熱伝導率を測定した。この結果を図10に示す。
実施例6と同じ一連の工程により、アルミニウム合金鋳物を製作した。実施例6と相違する点は、図10に示すように純アルミニウムの前記溶湯の動粘度が、0.18×10−2cm2/sよりも大きくなるように前記溶湯の温度を調整した点である。そして、実施例6と同じようにして、アルミニウム合金鋳物に対して熱伝導率を測定した。この結果を図10に示す。
[結果5]
図10に示すように、実施例6は、比較例6に比べて熱伝導率が高かった。
図10に示すように、実施例6は、比較例6に比べて熱伝導率が高かった。
[考察5]
結果5から、実施例6に係るアルミニウム合金鋳物は、前記純アルミニウムの溶湯の動粘度を、0.18×10−2cm2/s以下とすることにより、吸引された晶出物が存在したアルミニウム合金鋳物内の空間に、溶融した純アルミニウムを好適に充填することができたと考えられる。
結果5から、実施例6に係るアルミニウム合金鋳物は、前記純アルミニウムの溶湯の動粘度を、0.18×10−2cm2/s以下とすることにより、吸引された晶出物が存在したアルミニウム合金鋳物内の空間に、溶融した純アルミニウムを好適に充填することができたと考えられる。
一方、比較例6に係る純アルミニウムの溶湯の動粘度は実施例6のものに比べて高いため、純アルミニウムの溶湯の流動性が低下し、溶湯をアルミニウム合金鋳物に吸い込みことが阻害され易くなると考えられる。このことから、結果5に示すように、実施例6に係るアルミニウム合金鋳物は、比較例6に係るアルミニウム合金鋳物に比べて置換され易く、その結果、熱伝導率が高くなったと考えられる。
(実施例7)
実施例1と同じ一連の工程により、アルミニウム合金鋳物を製作した。実施例1と相違する点は、図11に示すように純アルミニウムの前記溶湯の純度を、98.5質量%以上となるように、溶湯に鉄等の不純物を添加して調整した点と、溶体化前のアルミニウム合金鋳物としてJIS規格:AC2B合金(Al−6.0Si−2.5Cu)を準備した点である。そして、実施例1と同じように試験片を製作し、引張試験を行い、引張強度を測定した。この結果を図11に示す。
実施例1と同じ一連の工程により、アルミニウム合金鋳物を製作した。実施例1と相違する点は、図11に示すように純アルミニウムの前記溶湯の純度を、98.5質量%以上となるように、溶湯に鉄等の不純物を添加して調整した点と、溶体化前のアルミニウム合金鋳物としてJIS規格:AC2B合金(Al−6.0Si−2.5Cu)を準備した点である。そして、実施例1と同じように試験片を製作し、引張試験を行い、引張強度を測定した。この結果を図11に示す。
(比較例7)
実施例7と同じ一連の工程により、アルミニウム合金鋳物を製作した。実施例6と相違する点は、図11に示すように純アルミニウムの前記溶湯の純度を、98.5質量%よりも低くとなるように、溶湯に鉄等の不純物を添加して調整した点である。そして、実施例1と同じように試験片を製作し、引張試験を行い、引張強度を測定した。この結果を図11に示す。
実施例7と同じ一連の工程により、アルミニウム合金鋳物を製作した。実施例6と相違する点は、図11に示すように純アルミニウムの前記溶湯の純度を、98.5質量%よりも低くとなるように、溶湯に鉄等の不純物を添加して調整した点である。そして、実施例1と同じように試験片を製作し、引張試験を行い、引張強度を測定した。この結果を図11に示す。
[結果6]
図11に示すように、実施例7は、比較例7に比べて引張り強さが高かった。
図11に示すように、実施例7は、比較例7に比べて引張り強さが高かった。
[考察6]
この結果6から、比較例7に示すように、アルミニウムの溶湯の純度が低いと、アルミニウム合金鋳物に不純物を含んだアルミニウムが置換されることになる。この不純物は、吸引後のアルミニウム鋳物において、新たな第二相の晶出物を晶出させることになるので、引張強度が低下したものと考えられる。
この結果6から、比較例7に示すように、アルミニウムの溶湯の純度が低いと、アルミニウム合金鋳物に不純物を含んだアルミニウムが置換されることになる。この不純物は、吸引後のアルミニウム鋳物において、新たな第二相の晶出物を晶出させることになるので、引張強度が低下したものと考えられる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更があっても、それらは本発明に含まれるものである。
たとえば、本実施形態では、鋳造工程、溶体化処理工程、浸漬工程、置換工程、熱処理工程までの一連工程を説明したが、溶体化処理工程前に上述した範囲のアルミニウム合金鋳物を準備することができるのであれば、鋳造工程を省略してもよく、また、使用用途に応じた金属特性を得ることができるのであれば、熱処理工程を省略してもよい。
本発明に係る製造方法は、アルミニウム合金鋳物ばかりでなく、例えばマグネシウム合金鋳物等の基地に対して第二相となる晶出物が晶出する鋳物に対して、前記晶出物による金属特性の低下を抑制することを目的とする場合も特に有効である。
10:アルミニウム合金鋳物の製造装置、20:溶湯収容部、21:収容槽、22:ヒータ(加熱器)、23:溶湯温度測定器、30:溶湯浸漬部、40:吸引部、41:吸引保持具、41c:シール材、42:圧力測定器、44:吸引ポンプ、A:デンドライト、a:一次アーム(樹部)、b:二次アーム(枝部)、c:二次デンドライトアームスペーシング(DAS2)、S:空間、S11:鋳造工程、S12:溶体化処理工程、S13:浸漬工程、S14:置換工程、S15:熱処理工程、W:アルミニウム合金鋳物、fd:浸漬表面、fn:非浸漬表面
Claims (5)
- アルミニウム合金鋳物に溶体化処理する工程と、
該溶体化した状態を維持しつつ、アルミニウム合金鋳物の表面が、純アルミニウムの溶湯に浸漬される浸漬表面と、前記溶湯に浸漬されない非浸漬表面とからなるように、前記アルミニウム合金鋳物を前記溶湯に浸漬する工程と、
前記非浸漬表面の少なくとも一部に面した空間内に負圧を発生させて、前記非浸漬表面の少なくとも一部から前記溶体化した状態のアルミニウム合金鋳物内の晶出物を前記空間に吸い出すと共に前記浸漬表面から前記溶湯を前記アルミニウム合金鋳物内に吸い込むことにより、前記アルミニウム合金鋳物内の前記晶出物を前記純アルミニウムに置換する工程と、
を少なくとも含むことを特徴とするアルミニウム合金鋳物の製造方法。 - 前記置換工程において、前記空間内の前記負圧による圧力を、75KPa以下にすることを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金鋳物の製造方法。
- 前記溶体化処理されるアルミニウム合金鋳物として、前記アルミニウム合金鋳物の二次デンドライトアームスペーシングが50μm以下のアルミニウム合金鋳物を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載のアルミニウム合金鋳物の製造方法。
- 前記溶体化処理されるアルミニウム合金鋳物として、前記アルミニウム合金鋳物の前記晶出物の面積率が8.2%以上のアルミニウム合金鋳物を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアルミニウム合金鋳物の製造方法。
- 前記置換工程において、前記純アルミニウムの前記溶湯の動粘度が、0.18×10−2cm2/s以下となるように前記溶湯の温度を調整することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアルミニウム合金鋳物の製造方法。
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