JP2009062314A - 自己免疫疾患処置剤 - Google Patents

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邦郎 辻
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Abstract

【課題】 、実効ある自己免疫疾患の処置剤を提供する。
【解決手段】 次に示す一般式(1)に表されるフラン脂肪酸類乃至は生理的に許容されるその塩からなる自己免疫疾患処置剤を提供する。前記自己免疫疾患は、アレルギー、全身性エリテマトーデス、リウマチ、膠原病又はアトピー性皮膚炎であることことが好ましい。これらの疾患において、前記自己免疫疾患の処置剤は、既に発現した自己免疫疾患を改善する目的乃至は既に発現した自己免疫疾患が更に悪化するのを予防する目的で使用される。
【化1】
Figure 2009062314

一般式(1)
(但し、式中R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルキル基又はアルケニル基を表し、nは3〜30の整数を表す。)
【選択図】 なし

Description

本発明は、自己免疫疾患の治療或いは予防に有用な、フラン脂肪酸類乃至はその塩からなる自己免疫疾患処置剤に関する。
自己免疫疾患は、自己の成分を異物認識して自己の免疫細胞が攻撃することによって起こる疾患であり、この様な疾患の根本的な治療はまだ開発されておらず、対処療法的に免疫細胞による自己攻撃によって生じる症状を軽減することが殆どの機作となっている。しかしながら、事実上はこの様な対処療法は効を奏しにくく、実態として、治療は行われていないといわざるを得ない。この様な実状に鑑みて、実効を得る方法として、免疫細胞へ直接働きかける試みも為されるようになってきた。免疫細胞への働きかけとしては、例えば、ピペリジン誘導体の投与による、ホスホジエステラーゼの阻害により、細胞内情報伝達物質(セカンドメッセンジャー)の活性化を促進し、免疫系をコントロールする方法(例えば、特許文献1を参照)、アミノブタン誘導体の投与により、異常に亢進したマトリックスメタロプロテアーゼを抑制し、攻撃反応を抑制する方法(例えば、特許文献2、特許文献3を参照)、ヘテロアリール環状化合物によりプロテインキナーゼを阻害し、免疫細胞の攻撃力を弱める方法(例えば、特許文献4を参照)などが存する。しかしながら、これらの技術においては、自己免疫疾患以外の面でのセカンドメッセンジャー機能や免疫細胞の攻撃力まで弱めることになり、自己免疫疾患の抑制に対する代償は大きなものになる場合が少なくなかった。
一方、フラン脂肪酸について、魚類の脂肪中或いはオリーブオイル中に含有されていることが既に知られている。(例えば、非特許文献1、非特許文献2を参照)又、かかるフラン脂肪酸については、抗ガン作用、油脂酸化抑制作用、抗肥満作用(例えば、特許文献5、特許文献6、特許文献7を参照)などが知られているが、自己免疫疾患に対する作用は全く知られていない。一般的に、抗ガン作用、油脂酸化抑制作用、抗肥満作用と自己免疫疾患との関係も全く知られていない。又、フラン脂肪酸には抗炎症作用が存することが知られているが(例えば、特許文献8を参照)、自己免疫疾患においては、例えば、全身性エリテマトーデスのように、炎症作用を伴うものが多いが、自己免疫疾患における炎症は通常の抗炎症では抑制しがたいことが知られているのは前述の通りである。更に、薬効の観点から考察すれば、フラン脂肪酸の薬効については詳細な検討は少なく、定量的な効果の検討もそう多くは存しない。この理由の一つには、フラン脂肪酸の安定性が低く、単離しがたいこと、単離しても薬効試験途中で分解してしまうことが存する。又、天然物の抽出物において、該抽出物に含有されるフラン脂肪酸が、薬理的な効果を奏していても、フラン脂肪酸の安定性の低さ故に、薬理作用とフラン脂肪酸の因果関係が特定しにくいのも、もう一つの理由になっている。加えて、11−(3,4−ジメチル−5−ペンチルフラン−2−イル)ウンデカン酸エチルに代表される、後記一般式(1)においてR4がエチル基であるフラン脂肪酸エチルエステルは何れも文献未記載の新規化合物である。
特開2003-300960号公報 特開2003-212831号公報 特開2001−172245号公報 特表2007−513172号公報 特開昭64−3192号公報 特開昭62−153218号公報 特開2000−144170号公報 特表2001−504137号公報 Gerhard S.;Lipid ;40(8);2005;755-771 J.Agric.Food Chem. ;2000 ; 48 ;2868-2873
本発明は、この様な状況下為されたものであり、実効ある自己免疫疾患の処置剤を提供することを課題とする。
この様な状況に鑑みて、実効ある自己免疫疾患の処置剤を求めて鋭意研究を重ねた結果、フラン脂肪酸類にその作用が存することを見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
<1>次に示す一般式(1)に表されるフラン脂肪酸類乃至は生理的に許容されるその塩からなる自己免疫疾患処置剤。
Figure 2009062314
一般式(1)
(但し、式中R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルキル基又はアルケニル基を表し、nは3〜30の整数を表す。)
<2>前記一般式(1)に表されるフラン脂肪酸類は次に示す11−(3,4−ジメチル−5−ペンチルフラン−2−イル)ウンデカン酸エチルであることを特徴とする、<1>に記載の自己免疫疾患処置剤。
Figure 2009062314
11−(3,4−ジメチル−5−ペンチルフラン−2−イル)ウンデカン酸エチル
<3>前記自己免疫疾患は、アレルギー、全身性エリテマトーデス、リュウマチ、膠原病又はアトピー性皮膚炎であることを特徴とする、<1>又は<2>に記載の自己免疫疾患処置剤。
<4>既に発現した自己免疫疾患を改善する目的乃至は既に発現した自己免疫疾患が更に悪化するのを予防する目的で使用されることを特徴とする、<1>〜<3>何れか1項に記載の自己免疫疾患処置剤。
<5>一般式(1)において、R4で表される基がエチル基である、フラン脂肪酸エチルエステル。
<6>11−(3,4−ジメチル−5−ペンチルフラン−2−イル)ウンデカン酸エチルであることを特徴とする、<5>に記載のフラン脂肪酸エチルエステル。
本発明によれば、実効ある自己免疫疾患の処置剤を提供することができる。
本発明の自己免疫疾患処置剤は、前記一般式(1)に表されるフラン脂肪酸類乃至は生理的に許容されるそれらの塩からなることを特徴とする。前記一般式(1)において、R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルキル基又はアルケニル基を表し、nは3〜30の整数を表す。R1、R2、R3において、これらの置換基は何れもがアルキル基乃至はアルケニル基である、3置換型のフランであることが好ましく、この様な3置換型においては、R1及びR2は炭素数1〜4の短鎖のアルキル基であることが好ましく、中でもメチル基であることが特に好ましい。R3については、炭素数4〜8、より好ましくは炭素数5〜7の中鎖のアルキル基乃至はアルケニル基が好ましく、ペンチル基であることが特に好ましい。又、カルボニル基とフラン骨格とを結ぶポリメチレン鎖の重合度nは3〜30が好ましく、8〜18がより好ましく。10〜14が更に好ましい。特に好ましいものはnが11の場合である。R4で表される置換基については、水素原子である、フリーのカルボン酸であることも出来るし、アルキル基乃至はアルケニル基であるエステルの形態を取ることも出来る。好ましいものはR4に表される基が炭素数1〜4の短鎖アルキル基を取る場合であり、エチル基であることが特に好ましい。これは安定性が著しく向上するためである。
前記一般式(1)に表されるフラン脂肪酸類は、フリーのカルボン酸形態であれば天然物中にも存在し、これらを含有する天然物より溶剤抽出を行い、精製、単離することにより得ることが出来る。しかしながら、フリーのカルボン酸の形態に於いては、単離状態での安定性が高いとは言えず、精製効率が低い場合が少なくないので、粗抽出物の状態で、予めカルボキシル基をアルキルエステルに誘導し、しかる後に精製、単離を行うことが好ましい。アルキルエステルへの誘導は常法に従えば良く、ジアゾメタンなどによるメチル化処理が好ましく例示できる。メチル化の後に、所望により、パラジウムカーボンなどを触媒として接触還元させて安定性を向上させることが出来る。しかる後に、非水溶媒を用いて精製を加えることにより、収率高くフランカルボン酸アルキルエステルを得ることが出来る。精製方法としては、非水溶媒系でのカラムクロマトグラフィーが好適であり、シリカゲルを担体として、n−ヘキサンとジエチルエーテルとの混液を移動相とするカラムクロマトグラフィーが特に好ましく例示できる。この様な混液を移動相とするクロマトガラフィーでは、n−ヘキサンを溶媒として、カラムの充填を行い、検体をチャージした後、移動相のジエチルエーテル含有量を増やしつつ、フラクシネーションを行いつつ、フラン環に由来する紫外部吸収を有するフラクションの溶出とともに、フラクシネーションを更に精密に行い、薄層クロマトグラフィーなどでフラクションの組成をチェックし、同一の成分を溶出しているフラクションを集めて、複数の成分が重ならないように注意することが好ましい。単離された成分は、NMR等により、構造を決定し、所望のフラン脂肪酸アルキルエステルと同定された部分を利用することが出来る。フラン脂肪酸を含有する前記天然物としては、例えば、オリーブ油やイガイ科のミドリイガイなどが好適に例示できる。ミドリイガイ中にフラン脂肪酸が存することを見いだしたのは本発明者らであるが、前記ミドリイガイにおいては、「Lyprinol」という名称で抽出物が販売されており、これを用いて、アルキル化、しかる後に、所望により、接触還元し、次いで、精製単離を行いフラン脂肪酸アルキルエステルを得ることも出来る。このミドリイガイの抽出物より、フラン脂肪酸を取り出す過程は、化3の反応式で行うことが好ましく例示できる。
Figure 2009062314
「Lyprinol」においては、これが含有するフラン脂肪酸に由来して、通常の抗炎症剤に比して、優れた自己免疫疾患による炎症を抑制する作用が存することを本発明者らは確認している。この結果を以下に示す。
<試験例1>
ラット全身性エリテマトーデスモデルにおける関節炎(リュウマチのモデル)を用いて、「Lyprinol」の作用を確認した。即ち、SD系ラット(雌性、5週齢、1群4匹)の右後足にフロイントの完全アジュバント(FCA)を0.05mL皮内注射し、10日間の休止期間を設け、全身に炎症が惹起されたのを確認した後、1日1回、5日連続して被験物質を経口投与した。FCA投与15日目に左後足の腫脹と体積を足容積測定装置(宝町機会株式会社製)で計測し、関節炎の程度を計測した。同時に前足の炎症の程度を目視で観察し、スコアを付しての評価も行った。スコアは、スコア1:関節炎は認められない、スコア1.5:関節炎が疑われるが明確ではない、スコア2:関節炎であることが明瞭、スコア3:明確な浮腫を伴う、スコア4:著しい浮腫を伴うの基準で付した。腫脹は処置前の直径からの増大分を用いた。参考のために、通常の抗炎症剤であるイブプロフェンも検討した。結果を表1に示す。
Figure 2009062314
又、フラン脂肪酸類の内、12−(3,4−ジメチル−5−ペンチルフラン−2−イル)ドデカン酸はサメの肝臓中にも含まれており、サメの肝臓乃至は肝油を精製して得ることも出来るし、前記の如く肝油などをアルキル化し、エステルとして精製、単離することも出来る。
サメの胆汁中には11−(3,4−ジメチル−5−ペンチルフラン−2−イル)ウンデカン酸等のフラン脂肪酸が酸化されて生じた3,4−ジメチル−2−(2−ヒドロキシカルボニルエテニル)−5−(4−ヒドロキシカルボニルブチル)フランなどのフランジカルボン酸が含有されており、これを原料として、これをものエステルとし、しかる後にオスミウム酸化を行い、ホルミルフラン脂肪酸エステルへと誘導し、臭化アルキルトリフェニルホスフィンなどでホルミル基をアルケニル基に変換し、所望により、パラジウムを触媒とする接触還元でアルケニル基に水素添加を行い、一般式(1)に表されるフラン脂肪酸エステルへと変換することが出来る。このものは、アルキルオキシカルボニル基をDIBAL還元により、ホルミル基に変換し、しかる後に臭化アルキルオキシカルボニルアルキルトリフェニルホスフィンを反応させることにより、鎖長を延長した、不飽和結合を側鎖に有する、フラン脂肪酸エステルを得ることが出来る。前記不飽和結合は、所望により、パラジウムカーボンを触媒とする接触還元により、飽和鎖に変換することが出来る。この方法を用いることにより、サメ胆汁より得たフランジカルボン酸を元のフラン脂肪酸のエステルへと誘導することも出来る。サメ胆汁は一種の産業廃棄物であるため、サメ胆汁中のフランジカルボン酸を原料として、一般式(1)に表されるフラン脂肪酸エステルを得る方法は廃棄物の有用利用となるので好ましい。又、一般式(1)に表されるフラン脂肪酸類の内、カルボキシル基がフリーであるものについては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエチルアミン塩、トリエタノールアミン塩、モノエタノールアミン塩等の有機アミン塩、リジン塩、アルギン酸塩等の塩基性アミノ酸塩等の形で含有させることもできる。特に好ましいものは、脂肪酸残基をエステルに変換したエステルの形態である。エステルとしては特にエチルエステルが好ましい。これは安定性に特に優れるためである。この様にエステル体に誘導することにより、フラン脂肪酸の安定性が確保され、その有効性の高さが初めて確認できる。
この様な方法で得られるフラン脂肪酸としては、例えば、11−(3,4−ジメチル−5−ペンチルフラン−2−イル)ウンデカン酸エチル、3,4−ジメチル−2−(4−メトキシカルボニルブチル)−5−(2−ペンテニル)フラン、3,4−ジメチル−2−(4−メトキシカルボニルブチル)−5−(2−ペンチル)フラン、3,4−ジメチル−2−(11−エトキシカルボニルウンデカ−6−エン−1−イル)−5−(2−ペンテニル)フラン、3,4−ジメチル−2−(10−メトキシカルボニルデカニル)−5−プロピルフラン、3,4−ジメチル−2−(10−メトキシカルボニルデカニル)−5−ペンチルフラン等が具体的に好ましく例示できる。これらの内では、12−(3,4−ジメチル−5−ペンチルフラン−2−イル)ドデカン酸エチルが特に好ましい。これは自己免疫疾患に対する著しい効果と良好な安定性のためである。
斯くして得られた一般式(1)に表されるフラン脂肪酸は、アレルギー、全身性エリテマトーデス、リュウマチ、膠原病或いはアトピー性皮膚炎等の自己免疫疾患の抑制効果に優れる。この為、本発明の自己免疫疾患処置剤として適用することが出来る。かかる抑制効果は、既に発症した症状が更に悪くなるのを予防する作用、未発症の自己免疫疾患が発症しないように予防する作用、既に発症した症状を改善する作用などとして利用できる。
本発明の自己免疫疾患処置剤は、それ自身を投与することも出来るし、通常使用されている製剤化のための任意成分とともに製剤に加工して投与することも出来る。前記製剤化のための任意成分としては、例えば、乳糖やマルチトースなどの賦形剤、結晶セルロースやデンプンなどの崩壊剤、HPCやアラビアガムなどの結合剤、POE硬化ヒマシ油などの乳化・分散剤、着色剤、矯味矯臭剤、糖衣剤、被覆剤などが好適に例示できる。製剤としては、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液剤、注射剤などが好適に例示できる。これらの製剤の製造方法は常法に従えば良く、例えば、錠剤であれば、賦形剤や崩壊剤とともに、結合剤の溶液を噴霧しながら流転動相造粒を行い、送風乾燥の後、打錠し、しかる後、所望により、被覆や糖衣を行い錠剤とすることが出来る。
本発明の自己免疫疾患処置剤を用いて、自己免疫疾患を処置する場合、その用量は、成人一人一日あたり1mg〜1gを1回乃至は数回に分けて投与することが好ましい。その投与経路は、経口投与、経直腸投与、経皮投与、静脈内投与、腹腔内投与、門脈投与、皮下投与、皮内投与などが好適に例示でき、経口投与乃至は経皮投与が好ましく、経口投与が特に好ましい。この用量を遵守する限りにおいては、一般式(1)に表されるフラン脂肪酸類乃至はその塩は、天然物の抽出物乃至はその精製物の形態で製剤化することも出来る。
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加える。
<製造例>
サメ胆汁(100 g)をメタノール(2L)に溶解し、濃硫酸(50 mL)を加え室温下撹拌した。TLCで原料の消失を確認し、重曹を添加して中和した。得られた懸濁液を遠心分離機で遠心し、上清を回収し濃縮した。得られたオイルを1M塩酸水溶液とジエチルエーテルの混液に溶解し、分配後、エーテル層を乾燥、濃縮した。得られたオイルはシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(CHCl3)によって精製し、(E)−3−(5−(4−(メトキシカルボニル)ブチル)-3,4-ジメチルフラン-2−イル)アクリル酸を得た。前記(E)−3−(5−(4−(メトキシカルボニル)ブチル)-3,4-ジメチルフラン-2?イル)アクリル酸(8g)をジエチルエーテルに溶解し、当量の水を加えた。反応溶液に過ヨウ素酸ナトリウム(20g)と四酸化オスミウム(5mg)を添加し、室温下、4日間撹拌した。エーテル層を分液し、飽和食塩水を洗浄後、乾燥し濃縮した。得られたオイルはシリカゲルのカラムクロマトグラフィー(CHCl3)によって精製し、5−(5−ホルミル−3,4-ジメチルフラン−2−イル)ペンタン酸メチル(2g)を得た。前記n-ブチルトリフェニルホスホニウムブロミドのTHF溶液をー78度に冷却し、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドのTHF溶液を添加し、イリドを合成した。得られたイリドのTHF溶液へ5−(5−ホルミル−3,4-ジメチルフラン−2−イル)ペンタン酸メチルのTHF溶液をゆっくり添加した。添加後、室温へ戻しながら10時間撹拌した。反応溶液をヘキサンとメタノールの混液で分液し、上層を乾燥後、濃縮した。得られたオイルをシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:ジエチルエーテル=98:2)で精製し、5−(3,4-ジメチル−5−((Z)ペンテニル)フラン−2−イル)ペンタン酸メチル(580mg)を得た。前記5−(3,4-ジメチル−5−((Z)ペンテニル)フラン−2−イル)ペンタン酸メチル(580mg)のヘキサン溶液にパラジウムカーボンを加え、水素雰囲気下、室温で5分撹拌した。反応溶液をセライトで濾過し、得られた濾液を濃縮後、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:ジエチルエーテル=98:2)で精製し、5−(3,4−ジメチル−5−ペンタフラン−2−イル)ペンタン酸メチル(550mg)を得た。5−(3,4-ジメチル−5−ペンタフラン?2−イル)ペンタン酸メチル(550mg)をジクロロメタンに溶解し、-78度に冷却した。撹拌しながら、DIBALを滴下し、還元を行った。滴下後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、分液し、クロロホルムで抽出した。得られた有機層を合一後、乾燥し、濃縮して5−(3,4−ジメチル−5−ペンタフラン−2−イル)ペンタナールを得た。6−ブロモヘキサン酸エチルとトリフェニルホスフィンによってカルボエトキシペンチルトリフェニルホスホニウムブロミドを調製し、THFに溶解した。-78度に冷却した後に、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドのTHF溶液を添加し、イリドを合成した。得られたイリドのTHF溶液へ5−(3,4-ジメチル?5?ペンタフラン?2?イル)ペンタナールのTHF溶液をゆっくり添加した。添加後室温へ戻しながら10時間撹拌した。反応溶液を濃縮後、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:ジエチルエーテル=98:2)で精製し(Z)−11−(3,4−ジメチル−5−ペンチルフラン−2−イル)ウンデセン酸エチル(150mg)を得た。((Z)−11−(3,4-ジメチル-5−ペンチルフラン−2−イル)ウンデセン酸エチル(150mg)のヘキサン溶液にパラジウムカーボンを加え、水素雰囲気下、室温で5分撹拌した。反応溶液をセライトで濾過し、得られた濾液を濃縮後、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン:ジエチルエーテル=98:2)で精製し、11-(3,4-ジメチル−5−ペンチルフラン−2−イル)ウンデカン酸エチル(142mg)を得た。このものNMRのデータは以下に示すとおりである。
Figure 2009062314
(示性値)
1H-NMR (500 MHz, CDCl3) δH : 4.11 (2H, q, J = 7.4 Hz), 2.47 (4H, t, J = 7.4 Hz), 2.27 (2H, t, J = 7.4 Hz), 1.82 (6H, s), 1.53-1.62 (6H, m), 1.23-1.34 (16H, m), 1.24 (3H, t, J = 7.4 Hz), 0.88 (3H, t, J = 7.4 Hz).

13C-NMR (125 MHz, CDCl3) δ : 173.9, 148.4 (2C), 114.4 (2C), 60.1, 34.4, 31.4, 29.5, 29.4 (2C), 29.2 (2C), 29.1, 28.8, 28.5, 26.0 (2C), 25.0, 22.4, 14.2, 14.0, 8.32 (2C).

FAB-MS: 378 (M+)
<試験例>
12−(3,4−ジメチル−5−ペンチルフラン−2−イル)ドデカン酸エチル(フラン脂肪酸1)について、試験例1と同様の手技でFCA誘導関節炎に対する作用を確かめた。指標としては、後肢の直径について、(1−(薬剤処置後の直径−FCA処理前の直径)/FCA処理前の直径)×100の式で求めた関節炎抑制率(%)を用いた。結果を表2に示す。これより、フラン脂肪酸1は優れた自己免疫疾患に伴う炎症を抑制する作用を有することが分かる。
Figure 2009062314
「Lyprinol」を、パラジュウムカーボンを触媒として、接触還元を行い、不安定な不飽和脂肪酸を還元し安定化させた後、ジアゾメタンを作用させ、カルボン酸をメチル化し、これをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;n−ヘキサン:ジエチルエーテル混液系)で溶出させ、3,4−ジメチル−2−(10−メトキシカルボニルデカニル)−5−プロピルフランと3,4−ジメチル−2−(10−メトキシカルボニルデカニル)−5−ペンチルフランとを得た。これらの含有量は、「Lyprinol」1gあたり、3,4−ジメチル−2−(10−メトキシカルボニルデカニル)−5−プロピルフラン1.18mgであり、3,4−ジメチル−2−(10−メトキシカルボニルデカニル)−5−ペンチルフラン0.72mgであった。実施例1におけるフラン脂肪酸1の関節炎抑制作用の強さに鑑みると、「Lyprinol」の有している関節炎抑制作用はこれらのフラン脂肪酸の寄与が非常に高いことが分かる。
実施例2と同様に、「Lyprinol」の代わりに、サケの白子のアセトン抽出物の溶媒除去物を用い、同様の精製操作を行い、3,4−ジメチル−2−(10−メトキシカルボニルデカン−1−イル)−5−ペンチルフランと3,4−ジメチル−2−(10−メトキシカルボニルデカン−1−イル)−5−プロピルフランの等量混合物を得た。この混合物について、試験例1の方法で評価したところ、下記の表3の結果が得られた。これより、このフラン脂肪酸誘導体についても、実施例1、2同様、自己免疫疾患に伴う炎症を抑制する作用を存することが分かる。
Figure 2009062314
本発明はリュウマチなどの自己免疫疾患の処置に応用できる。

Claims (6)

  1. 次に示す一般式(1)に表されるフラン脂肪酸類乃至は生理的に許容されるその塩からなる自己免疫疾患処置剤。
    Figure 2009062314
    一般式(1)
    (但し、式中R1、R2、R3、R4はそれぞれ独立に水素原子又は置換基を有していても良い炭素数1〜8のアルキル基又はアルケニル基を表し、nは3〜30の整数を表す。)
  2. 前記一般式(1)に表されるフラン脂肪酸類は次に示す11−(3,4−ジメチル−5−ペンチルフラン−2−イル)ウンデカン酸エチルであることを特徴とする、請求項1に記載の自己免疫疾患処置剤。
    Figure 2009062314

    11−(3,4−ジメチル−5−ペンチルフラン−2−イル)ウンデカン酸エチル
  3. 前記自己免疫疾患は、アレルギー、全身性エリテマトーデス、リュウマチ、膠原病又はアトピー性皮膚炎であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の自己免疫疾患処置剤。
  4. 既に発現した自己免疫疾患を改善する目的乃至は既に発現した自己免疫疾患が更に悪化するのを予防する目的で使用されることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の自己免疫疾患処置剤。
  5. 一般式(1)において、R4で表される基がエチル基である、フラン脂肪酸エチルエステル。
  6. 11−(3,4−ジメチル−5−ペンチルフラン−2−イル)ウンデカン酸エチルであることを特徴とする、請求項5に記載のフラン脂肪酸エチルエステル。
JP2007231176A 2007-09-06 2007-09-06 自己免疫疾患処置剤 Pending JP2009062314A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010260833A (ja) * 2009-05-11 2010-11-18 Daicho Kikaku:Kk 抗自己免疫疾患剤
JP2014221821A (ja) * 2014-07-28 2014-11-27 有限会社大長企画 動物用抗自己免疫疾患剤
EP4385508A1 (en) * 2022-12-16 2024-06-19 Centre de Coopération Internationale en Recherche Agronomique pour le Développement (CIRAD) Furan fatty acids for enhancing muscle mass

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