JP2009057311A - 金属塩還元剤、金属微粒子の製造方法、金属微粒子−リポソーム結合体の製造方法、医療用材料 - Google Patents

金属塩還元剤、金属微粒子の製造方法、金属微粒子−リポソーム結合体の製造方法、医療用材料 Download PDF

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秀樹 酒井
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Abstract

【課題】還元剤や外部エネルギーなどをより使用しなくても済むなどの効果を有する金属塩還元剤、金属微粒子の製造方法、金属微粒子−リポソーム結合体の製造方法の提供。
【解決手段】ポリエチレングリコール導入リポソームを含む金属塩還元剤を特徴とする。液中でポリエチレングリコール導入リポソームで金属塩を還元し、前記金属塩の還元物として金属微粒子を得る金属微粒子の製造方法を特徴とする。液中でポリエチレングリコール導入リポソームで金属塩を還元し、前記金属塩の還元物として金属ナノ粒子と前記ポリエチレングリコール導入リポソームの結合体を得る金属微粒子−リポソーム結合体の製造方法を特徴とする。ポリエチレングリコール導入リポソームの金属塩還元剤としてのリポソームの使用を特徴とする。
【選択図】図6

Description

本発明は、金属塩還元剤、金属微粒子の製造方法、金属微粒子−リポソーム結合体の製造方法、医療用材料に関する。
リン脂質(図1参照)などが形成する二分子膜閉鎖小包体(リポソーム)は、薬物送達システム(Drug Delivery System)などの医薬材料として、幅広く研究されている。さらに、ガン細胞など疾患部位への薬物(薬物含有リポソーム)の送達状態の検出・可視化を目的として、リポソームに金属微粒子を含有させた金属微粒子−リポソームナノコンポジットの調製が盛んに行われている。
例えば下記非特許文献1には、ポリエチレングリコール導入リポソーム(以下PEGリポソームともいう)と金微粒子の結合体である金微粒子−リポソームナノコンポジットの製造方法が開示されている。具体的には、リン脂質をクロロホルムに溶解させ、リン脂質クロロホルム溶液に、窒素ガスを吹き付けることにより、クロロホルムを気化させて、リン脂質膜を容器壁面で形成させ、塩化金酸(HAuCl4)とクエン酸(金イオンの還元剤)の混合溶液を添加して、リン脂質膜を膨潤させて、リポソームを調製してなる金微粒子−PEGリポソームナノコンポジットの製造方法である。この方法ではクエン酸が金イオンの還元剤として作用するため、調製直前にHAuCl4とクエン酸は混合され、HAuCl4の還元体である金微粒子が調製される。調製された金微粒子とリン脂質膜を膨潤させて調製してなるリポソームを結合させ、金微粒子−PEGリポソームナノコンポジットを提供している。PEG自身に金属イオンの還元能を有することは下記特許文献1で報告されている。
米国特許出願20060235087号公報 Strearne, L. E. T.; Schiffelers, R. M.; Smouter, E.; Bakker−Woudenberg, I. A. J. M.; Gyssens, I. C., "Biodistribution of Long−Circulating PEG−Liposomes in a Morine Model of Established Subcutaneous Abscesses". Biochimica et Biophysica Acta, 2002. 1561: 91−97.
しかしながら一般に、水溶液系における金属微粒子の調製は、界面活性剤や水溶性ポリマー水溶液中に金属イオンを溶解して、還元剤によって金属イオンを還元して、金属ナノ粒子を調製する方法が主流である。また、金属イオンの還元には、加熱、光照射、超音波照射のような外部エネルギー作用を必要とする場合が多い。
上記非特許文献1に記載されるように金属微粒子−リポソームナノコンポジット(金属微粒子−リポソーム結合体)の調製においても、金属塩を含むリポソーム溶液に還元剤を添加することによって、金属イオンを還元して、金属微粒子−リポソームナノコンポジットは調製される。このような手法を用いて調製された金属微粒子−リポソームナノコンポジット分散溶液中には、還元剤による副生成物が形成される点など、生体用、医療用材料として活用には不向きな場合もある。そのため、還元剤を使用しない金属微粒子−リポソームナノコンポジットを調製することが望まれている。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、還元剤や外部エネルギーなどをより使用しなくても済むなどの効果を有する金属塩還元剤、金属微粒子の製造方法、金属微粒子−リポソーム結合体の製造方法、医療用材料の提供をその主な目的とする。
本発明は、ポリエチレングリコール導入リポソームを含む金属塩還元剤を特徴とする。
本発明は、液中においてポリエチレングリコール導入リポソームで金属塩を還元し、前記金属塩の還元物として金属微粒子を得る金属微粒子の製造方法を特徴とする。
本発明は、液中においてポリエチレングリコール導入リポソームで金属塩を還元し、前記金属塩の還元物として金属微粒子と前記ポリエチレングリコール導入リポソームの結合体を得ることを特徴とする。
前記製造方法であって、前記金属塩の還元物として金属微粒子を得る工程と前記ポリエチレングリコール導入リポソームの結合体を得る工程を同時に行うと好適である。
前記製造方法であって、ポリエチレングリコール単体の還元により得られる金属微粒子よりも金属微粒子を微少化させると好適である。
前記製造方法であって、前記還元の際にポリエチレングリコール導入リポソーム以外の還元剤を用いないと好適である。
前記製造方法であって、前記還元の際に外部エネルギー作用による還元を行わないと好適である。
また、本発明は前記製造方法で製造された金属微粒子−リポソーム結合体を含む医療用材料であることを特徴とする。
前記医療用材料であって、疾患部位への薬物送達状態の検出用であると好適である。
本発明は、ポリエチレングリコール導入リポソームの金属塩還元剤としてのリポソームの使用を特徴とする。
還元剤や外部エネルギーなどをより使用しなくても済むなどの効果を有する金属塩還元剤、金属微粒子の製造方法、金属微粒子−リポソーム結合体の製造方法、医療用材料の提供をすることができる。
本発明者が着目したのが、PEG導入リン脂質をリポソーム内に組み込むことにより、PEG導入リン脂質の局所的高濃度化などを防ぐことができるのではないかという仮定である。その仮定に基づいて鋭意検討した結果、驚くべきことに以下の知見を見出した。
まずPEGの還元能の向上である。PEG自身に金属イオンの還元能を有することは上記特許文献1で報告されていることなどから明らかである。PEGは溶液中で、コイル状の構造をとり(図3)、そのコイル構造中に金属イオンが捕捉されることにより、金属イオンが還元されて金属微粒子が生成する。PEGの金属イオンの還元作用は、PEG鎖が相互に絡み合いがない場合、コイル(ループ)を形成することにより(図3(a))、金属イオンが捕捉されて、PEG鎖内の酸素原子と相互作用(イオン−双極子相互作用)して金属イオンが還元されて、金属微粒子となる。
しかし、通常、PEG同士は絡み合い(橋かけ構造あるいは、エンタングリメント)、局所的に高濃度化する。そのため、PEG自身は、コイル状構造を形成することができず、金属イオンを捕捉することができなくなる(図3(b))。その結果、金属イオンの還元能が低下する。一般に、PEG鎖のようなポリマーは、相互に絡み合っているので(エンタングリメント)、コイル(ループ)を形成することが困難になる。その結果、PEG鎖ループ内に金属イオンを捕捉することが困難となるため(PEG鎖内の酸素原子と接触できなくなる)、金属イオンの還元作用が低下する。
そこで、本発明者は、PEG導入リン脂質をリポソーム内に組み込むこと(例えば、PEGを含まないリン脂質と混合してリポソームを調製すること)により、PEG導入リン脂質を点在化させて、PEG同士は絡み合い(橋かけ構造、あるいはエンタングリメント)を防止するべく鋭意検討した。
その結果、PEGリポソームとすることで、リポソーム特有の秩序的な分子配列制御によって、PEG分子のコイル状構造が保たれ、金属イオンを効果的に捕捉され、優れた還元剤とすることを見出し、本発明に至った。リン脂質が規則的に配列した二分子膜に結合したPEG鎖は、水中に向かって配向するため、PEGが相互に絡み合うことを抑制することができる。したがってコイル(ループ)を形成しやすい環境を提供することができる(図3(C))。結果として、PEGループ内に金属イオンが捕捉されて、PEG鎖内の酸素原子と相互に作用(イオン−双極子相互作用)して金属イオンが還元されて、金属微粒子となる。すなわち、リポソームの分子配列の秩序性によりPEGの還元能を向上させたものであり、クエン酸などの他の還元剤や熱などの外部エネルギーなどをより使用しなくてもあるいは全く使用しなくても済むことを実現できるものである。したがって、還元剤フリーで、かつ、熱や超音波照射、光照射などの外部エネルギーを使用しないので室温やさらに低温環境などでも還元することができるので好適である。
さらに、本発明の大きな利点は、還元能を有するPEGがポリエチレングリコール導入リポソームに組み込まれているため、金属イオンの還元が、PEG導入リポソーム表面上で選択的に起こり、その結果、金属微粒子がPEG導入リポソーム表面上に選択的に形成することにもある(図2参照)。金属塩から還元して金属微粒子が形成する工程とPEGリポソーム表面上に金属微粒子を結合させる工程を結合させて一工程とすることができることを見出すことができた。このことは、金属塩から還元されて形成した金属微粒子がPEGリポソームと結合せずに液中に単独で存在してしまうことを防止し、この単独で存在する金属微粒子を除去する必要がよりないという利点を生み出している。すなわち、金属イオンがバルク溶液中(PEGリポソーム表面以外)で還元され、金属微粒子がリポソームとは別のところで形成した場合、その粒子は、疾患部位への集積状況を検出・可視化させる材料とはならない場合がある。つまり、リポソームが疾患部位へ到達したかどうかを確認するためには、リポソーム表面で選択的に金属微粒子が結合する必要がある。また、バルク溶液中に個別に形成してしまった金属微粒子は、一種の不純物として作用するため、一般には除去しなければならない。還元剤を使った調製法では、多くの金属微粒子が、バルク溶液中で形成してしまうので、除去しなければならない作業を含む点が問題となるが、本法ではこのようなことを防止できる。
さらに還元能を有するPEGがポリエチレングリコール導入リポソームに組み込まれているため、このように本発明者は形成する金属微粒子の微細化も併せてできることを見出した。先に記述したように、PEGは通常絡み合いをして、溶液中で局所化している。その結果、PEG単体では還元作用が得られたとしてもその絡み合った局所的な高濃度化状態によりPEGによって還元されて形成した金属微粒子は、巨大化してしまう傾向にあるが、PEGがリポソームに占める割合が小さいことによってそのPEG部分のみの成長とすることができるのでPEG単体よりも巨大化することを防止し、金属微粒子の微少化に寄与することができる。
なお、上記非特許文献1は金微粒子をクエン酸(還元剤)によって還元してからPEGリポソームと結合させて金微粒子−リポソームナノコンポジットを調製しているのであるから、PEGリポソーム自体を還元剤として用いているものではないし、コイル構造の秩序性の維持が貢献する優れた還元作用については何ら示唆も開示もされているものではない。
ポリエチレングリコールが導入されるリポソームとしては特に限られることなく適宜選択して採用することができるが、例えば、リン脂質リポソーム、糖脂質リポソーム、より具体的には、脂肪酸(例えば、パルミチン酸、ステアリン酸)にホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチジルイノシトール(PI)、カルジオリピン(CL)、スフィンゴミエリン(SM)、セラミドホスリルエタノールアミン、セラミドホスホリルグリセロール、ジガラクトシルジグリセリド、ガラクトシルジグリセリド硫酸エステル、ガラクトシルセラミド、ガラクトシルセラミド硫酸エステル、ラクトシルセラミド、ガングリオシドG7、ガングリオシドG6(ヘマドシド)、ガングリオシドG4を導入したリン脂質リポソームまたは糖脂質リポソームなどを挙げることができる。
ポリエチレングリコールをにリポソームに導入する方法は特に限られることなく適宜選択して採用することができる。勿論、ポリエチレングリコール導入リポソームを市販から入手してもよい。
金属塩としては、特に限られることなく適宜選択して採用することができるが、金、銀、白金、銅、鉄、パラジウム、コバルト、ニッケル、亜鉛、クロミウム、マンガン、マグネシウム、カドミウム、アルミニウム、錫、タングステンなどを含む金属塩、溶液中でイオン(例えば、Ag+,Ag(CN)2 -,AlCl4 -,Au3+,AuCl4 -,AuBr4 -,PtCl6 2−,Mg2+,Mn2+,Co2+,Ni2+,Cu2+,Zn2+,Cd2+,Fe3+,Al3+,Pd2+,PdCl4 2-,Sn2+,SnO3 2-,Ga3+,WO4 2-)なりうる金属塩、AgAsF6,AgBF4,AgBr,AgCl,AgClO3,AgClO4,AgF,AgF2,AgF6P,AgF6Sb,AgI,AgIO3,AgMnO4,AgNO2,AgNO3,AgO3V,AgO4Re,Ag2CrO4,Ag2O,Ag23S,Ag24S,Ag2S,Ag2Se,Ag2Te,Ag3AsO4,Ag3AsO4,Ag3AsO4,Ag34P,Ag8164,KAg(CN)2,CH3CO2Ag,AgCN,AgCNO,AgCNS,Ag2CO3、AlCl312,AlCl4Cs,AlCl4K,AlCl4Li,AlCl4Na,AlC12Ti3,AlCsO4Si,AlCsO6Si2,AlCsO82,AlF4K,AlF6Na3,AlKO82,AlLiO2,AlN39,AlO4P,AlO93,Al2BaO4,Al2MgO4,Al25Ti,Al3123,Al6Bi212,Al613Si2,H4AlLi,H4AlNO82,、AuBr3,KAuBr4,NaAuBr4,AuCl3,KAuCl4,NaAuCl4,HAuCl4,AuI3,Au23,HAuCl4N,AuCN、CoF2,CoF3,CoI2,CoLiO2,CoN26,CoN6Na312,CoO,CoO4S,CoSe,Co34,Co382,Co5Sm,Co7Sm2,H8CoN282,H12CoN99,H15Cl3CoN5,CoCO3、CdCl2,CdCl28,CdF2,CdI2,CdMoO4,CdN26,CdO3Zr,CdO4S,CdO4W,CuF2,CuI,CuMoO4,CuN26,CuNb26,CuO,CuO3Se,CuO4S,CuO4W,CuS,CuSe,CuTe,Cu2HgI4,Cu2O,Cu272,Cu2S,Cu2Se,Cu2Te,H8Cl4CuN2,H12CuN44S,CuCN,CuCNS、MgMn28,MgMoO4,MgN26,MgO32,MgO3Ti,MgO3Zr,MgO4S,MgO4W,Mg272,Mg382,H4MgNO4P,MnMoO4,MnN26,MnNoO4,MnO4S,H4MnO42,NiO,NiO3Ti,NiO4S,H42NiO62,H2PtCl6,H6Cl22Pt,H6Cl42Pt,H644Pt,H6Na26Pt,H8Br62Pt,H8Cl42Pt,H8Cl62Pt,H86Pt,H12Cl24Pt,H12Cl44Pt2,H1266Pt,H1442Pt,C22Pt,H6Br22Pd,H6Cl22Pd,H622Pd,H644Pd,H8Cl42Pd,H8Cl62Pd,H12Br24Pd,H12Cl24Pd,H12Cl44Pd2,H1266Pd,C22Pd,Pd(OAc)2,Pd(NO32,H4FeNO82,H8FeN282,FeCl3,C22Zn,H2SnO3,Na2SnO3,SnCl22H2O,SnO,SnSO4,SnO2,GaBr3,GaCl3,GaI3,Ga(NO33xH2O,Ga(SO43xH2O,Ga2(SO43,GaAs,GaN,GaP,GaS,Ga23,GaSe,GaSe,Ga2Se3,GaTe,Ga2Te3,GaO2H,H2WO4などを一例として挙げることができる。これらのうち好ましくは、AgNO3,KAuCl4,NaAuCl4,HAuCl4,H2PtCl6,Pd(OAc)2,Pd(NO32,Ga(NO33xH2Oなどである。特に金の金属塩は最も穏和な条件(温度の制御の必要なし(室温)、超音波、紫外光などの外部印加エネルギー必要なし)で金属イオンが還元され、金微粒子を作成可能であるので好適である。
ポリエチレングリコール導入リポソームで金属塩を還元する液としては、水、緩衝水溶液など特に限られることなく適宜選択して採用することができる。
還元する際の液温度やpHとしては特に限られることなく適宜選択して採用することができるが、温度10−80℃、pHは5−8の範囲を挙げることができる。
ポリエチレングリコール導入リポソームは、単独もしくは他のリン脂質あるいは糖脂質混合して使用することができる(含有率1−100%)。濃度としては、例えば液中のポリエチレングリコール導入リポソームの含有率が20%以下の範囲を挙げることができる。
液中の金属塩の濃度は、例えば0.001−5mMの範囲であることを挙げることができる。
以下に実施例を示し、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
<実施例1>
ポリエチレングリコール(PEG)導入リン脂質(PEG−DSPE,PEG分子量3000)とリン脂質(DPPC)を所定の混合比(DPPC:PEG−DSPE=10:0,9.6:0.4,9.4:0.6,9.2:0.8)で、クロロホルムに室温で溶解させた。全リン脂質(DPPC+PEG−DSPE)の濃度は、5mMとした。ゲル相転移温度以上(本実験では60℃)に昇温して、5分間静置した後に、室温に戻した。その混合リン脂質クロロホルム溶液を、室温にて、ボルテックスミキサーにより撹拌しながら、窒素ガスを吹き付けることにより、クロロホルムを気化させて、PEG−DSPEとDPPCの混合膜を容器壁面で形成させた。容器壁面に形成したPEG−DSPEとDPPCの混合膜を12時間以上減圧乾燥した。室温にて、その容器内に水を添加して、60℃に昇温して、5分間静置後、再び室温に戻して、ボルテックスミキサーなどにより撹拌すると、水中にリポソームが形成させた。図8に調製されたPEG導入リポソームの凍結透過型電子顕微鏡像(cryo-TEM)を示す。DPPC:PEG−DSPE=9.4:0.6で調製されたリポソームを使用している。直径50−200nmの球状の粒子が観察されている(矢印)。粒子中心部よりも縁の部分のコントラストが高いことから、カプセル状構造であることが確認できる。すなわち、図2に示した模式図のように、内水相を有するリポソームが形成していることを意味している。Cryo−TEM測定用の試料の作製法は後述する。
このようにして図9(a)の写真の、白濁の分散液を得た。左から、混合比DPPC:PEG−DSPE=10:0,9.6:0.4,9.4:0.6,9.2:0.8によって調製されたリポソーム溶液である。
この調製されたリポソーム溶液に予め10mMに調製した塩化金酸(HAuCl4)水溶液を20l(AuCl4 -最終濃度は0.2mMとなる)添加して、1日経過した後の溶液の様子を図9(b)に示す。左から、混合比DPPC:PEG−DSPE=10:0,9.6:0.4,9.4:0.6,9.2:0.8によって調製されたリポソーム溶液を示す。いずれも室温にて調製を行った。調製されたPEG導入リン脂質リポソーム溶液中に塩化金酸(HAuCl4)水溶液を添加すると、室温下で約1日後に、溶液は金微粒子に由来するピンク色の溶液へと変化し、PEGリポソームの還元能を見出すことができた。
<比較例1>
ポリエチレングリコール(PEG)が導入されたリン脂質を含まないリポソーム(例えば、DPPC単独系)では、HAuCl4水溶液を添加しても、室温においては、金微粒子を形成しない。金微粒子特有のピンク色に呈色せず(図8(b),左から一つ目)、表面プラズモン吸収がなかった。
<実施例2>
金微粒子−リポソームナノコンポジット調製の一連の工程は以下の通りである。PEGリポソームの調製は、Bangham法に従い行った。
ポリエチレングリコール(PEG)導入リン脂質(PEG−DSPE,PEG分子量3000)(図1(b))とリン脂質(DPPC)(図1(a))を所定の混合比(DPPC:PEG−DSPE=10:0,9.6:0.4,9.4:0.6,9.2:0.8)で、クロロホルムに室温で溶解させた。全リン脂質(DPPC+PEG−DSPE)の濃度は、5mMとした。
ゲル相転移温度以上(本実験では60℃)に昇温して、5分間静置した後に、室温に戻した。
その混合リン脂質クロロホルム溶液を、室温にて、ボルテックスミキサーにより撹拌しながら、窒素ガスを吹き付けることにより、クロロホルムを気化させて、PEG−DSPEとDPPCの混合膜を容器壁面で形成させた。
容器壁面に形成したPEG−DSPEとDPPCの混合膜を12時間以上減圧乾燥した。
室温にて、その容器内に水を添加して、60℃に昇温して、5分間静置後、再び室温に戻して、ボルテックスミキサーなどにより撹拌すると、水中にリポソームが形成した。
調製されたリポソーム溶液に予め10mMに調製した塩化金酸(HAuCl4)水溶液を20l(AuCl4 -最終濃度は0.2mMとなる)添加して、1日経過した。左から、混合比DPPC:PEG−DSPE=10:0,9.6:0.4,9.4:0.6,9.2:0.8によって調製されたリポソーム溶液を示す。室温にて調製を行った。
図6には金微粒子−リポソームナノコンポジットの凍結透過型電子顕微鏡像(cryo−TEM)を示す。DPPC:PEG−DSPE = 9.4:0.6で調製されたリポソームを使用している。Cryo−TEM測定用の試料は、以下のようにして調製した。
TEM用銅グリットをcryo−TEM用試料作製装置にセットして、調製された金微粒子−リポソームナノコンポジット溶液をTEM用銅グリット上に滴下した。その液体試料がついた銅グリットを液体エタン(<−170℃)に導入して急速凍結させた。凍結させた試料を、専用の試料移動装置(cryoトランスファー)を用いて、その状態を維持したまま透過型電子顕微鏡(H−7650,日立ハイテクノロジー製、加速電圧;120kV、エミッション電流:3,0(A)内に導入して、凍結試料の状態で直接観察した(TEM内温度<−170℃)。
図7に示すとおり、リポソーム溶液と塩化金酸水溶液を混合して1日経過した溶液を、紫外可視吸スペクトルメーター(U-3310、日立計測機器社製)を用いて、波長190−1000nm範囲で吸収スペクトルを測定した。上から混合比DPPC:PEG−DSPE=9.6:0.4,9.4:0.6,9.2:0.8。図には、波長400−800nm範囲の吸収を示す。吸収波長520nm付近に金微粒子特有の表面プラズモン吸収が確認された。金微粒子が形成していることがデータでも立証された。
<実施例3>
比較として、PEG導入リン脂質のみを溶解させた水溶液中で、金微粒子を調製した一連の工程は、以下の通りである。
図1(b)記載のPEG−DSPE(ジステアロイル−N−モノメトキシポリエチレングリコールホスファチジルエタノールアミン)のみを0.3mM水中に溶解した水溶液1mlに、10mMHAuCl4水溶液を20ml添加してした後(AuCl4 -最終濃度は0.2mMとなる)、形成した金微粒子は直径が60−70nmの金微粒子となる。リポソーム上に形成した金微粒子(図6)に比べて、大きな粒子が形成する。金微粒子分散液が青みを帯びていること、表面プラズモン吸収のピーク位置が600nm付近に現れることから(図5)、大きな粒子が形成していることを裏付けている。これは、PEG導入リン脂質分子自身に金属イオン還元能があることを意味している。また、この使用したPEG−DSPE濃度(0.2mM)では、図6に見られるようなドーナツ型のリポソームは形成していない。
なお実際に、PEG導入リン脂質のみの水溶液中で金微粒子を調製すると、巨大化した金微粒子(直径60−70nm)が調製された(図4のTEM写真)。すなわち、反応サイトが局所化(金属イオンが局在化)してしまうのである。金微粒子由来の表面プラズモン吸収(ピーク波長600nm付近)に現れていることからも、形成した金属微粒子の巨大化が支持される(図5の紫外可視吸収スペクトル)。通常、粒子サイズの増大により、金微粒子由来の表面プラズモン吸収波長は、長波長側にシフトする(20nm径の金属微粒子の場合には、520nm付近)。それに対して、PEG導入リン脂質をリポソーム内に組み込み、PEG導入リン脂質を点在化させて、反応サイトを点在化させて、反応サイトにおける金属イオン濃度を減少させることができる。その結果、形成した金属微粒子の微細化(20−30nm)が可能となる(図6のTEM写真)。金微粒子由来の表面プラズモン吸収波長は、520nm付近に観測されることから、形成した金微粒子の微細化を支持している(図7の紫外可視吸収スペクトル)。
(a)リン脂質、(b)ポリエチレングリコール導入リン脂質の構造式を示す図である。 リポソームのモデル図と金属微粒子−リポソームナノコンポジット形成をイメージするイメージ図である。 (a)PEGのコイル状構造と(b)絡み合い構造と(c)金属イオン還元機構、PEG導入リン脂質をリポソーム内に組み込んだ(PEGリポソーム)と金属イオンの還元機構(下段)の概念図である。 PEG導入リン脂質のみによって形成した金微粒子の凍結透過型電子顕微鏡像(cryo−TEM)である。 PEG導入リン脂質のみによって形成した金微粒子の紫外可視吸スペクトルである。 金微粒子−リポソームナノコンポジットの凍結透過型電子顕微鏡像(cryo−TEM)である。 金微粒子−リポソームナノコンポジットの紫外可視吸スペクトルである。 PEG導入リポソームの凍結透過型電子顕微鏡像(cryo−TEM)である。 (a)調製されたリポソーム溶液と(b)これによる金属塩の還元の様子を撮影した写真である。

Claims (10)

  1. ポリエチレングリコール導入リポソームを含む金属塩還元剤。
  2. 液中においてポリエチレングリコール導入リポソームで金属塩を還元し、前記金属塩の還元物として金属微粒子を得る金属微粒子の製造方法。
  3. 液中においてポリエチレングリコール導入リポソームで金属塩を還元し、前記金属塩の還元物として金属微粒子と前記ポリエチレングリコール導入リポソームの結合体を得る金属微粒子−リポソーム結合体の製造方法。
  4. 請求項3に記載の金属微粒子の製造方法であって、
    前記金属塩の還元物として金属微粒子を得る工程と前記ポリエチレングリコール導入リポソームの結合体を得る工程を同時に行う製造方法。
  5. 請求項2から4のいずれか1つに記載の製造方法であって、
    ポリエチレングリコール単体の還元により得られる金属微粒子よりも金属微粒子を微少化させる金属微粒子の製造方法。
  6. 請求項2から5のいずれか1つに記載の製造方法であって、
    前記還元の際にポリエチレングリコール導入リポソーム以外の還元剤を用いない製造方法。
  7. 請求項2から6のいずれか1つに記載の製造方法であって、
    前記還元の際に外部エネルギー作用による還元を行わない製造方法。
  8. 請求項2から7のいずれか1つに記載の製造方法で製造された金属微粒子−リポソーム結合体を含む医療用材料。
  9. 請求項8に記載の医療用材料であって、
    疾患部位への薬物送達状態の検出用である医療用材料。
  10. ポリエチレングリコール導入リポソームの金属塩還元剤としてのリポソームの使用。
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