JP2009056574A - 金属構造体 - Google Patents

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拓生 坂口
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Abstract

【課題】プラズモン共鳴吸収作用を有し、波長選択性とともに、波長分解能も高くした金属構造体を提供する。
【解決手段】
プラズモン共鳴吸収を有する金属ナノチェインを備えた金属構造体において、金属ナノチェインを形成する金属ナノ粒子を、円形状、三角形状、菱形状のいずれかの形状にすることにより、プラズモン共鳴吸収のピーク幅を鋭くし、波長分解能を向上することができる。一方、ボトルネックを介して互いに連結された複数の金属ナノ粒子をすべて相互に連結して閉領域を形成することによっても、波長分解能が高くすることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、プラズモン共鳴吸収を有する金属構造体に関する。
微細な金属体(例えばナノメートルサイズの金属微粒子)は、その形状やサイズに応じて、可視から赤外の幅広い波長領域のうち、特定の波長領域に「局在(表面)プラズモン共鳴吸収」と称される光学応答を示しうる。局在プラズモン共鳴吸収を示す金属の例には、金、銀、および白金などの貴金属類が含まれるが、金属の種類が同じでも、サイズや形状が異なれば、局在プラズモン共鳴吸収波長も異なる。このような、微細な金属体のサイズや形状の違いによって吸収波長が変化する性質を、各種光学デバイスに応用することが試みられている。
基板に、複数の微細な金属体を配置した金属構造体は、局在(表面)プラズモンの原理に基づいて、可視領域から赤外領域まで幅広い領域にプラズモン共鳴吸収を有しうる。このような金属構造体を、光学デバイスやセンサに応用しようとする場合には、そのプラズモン共鳴吸収の波長領域を調整することが重要である。
また、金属構造体の表面におけるプラズモンを介した光電場増強現象により、赤外吸収が増強される現象が見いだされている(例えば、非特許文献1参照)。しかしながら、これらのメカニズムは明らかにされているとは言えず、増強された吸収の定量的な計測方法なども確立されていない。したがって、所望の赤外領域にプラズモン共鳴周波数を有する金属構造体を作製することができれば、前述の現象を利用する光学デバイスや計測システムを構築することができる。
前述の金属構造体が有するプラズモン共鳴吸収の波長領域は、微細な金属体の「細長さ(微細な金属体がロッド状である場合は、そのアスペクト比)」に影響される。つまり、細長い(アスペクト比の高い)微細金属を用いれば、プラズモン共鳴吸収の波長領域は長波長側にシフトし、短い(アスペクト比の低い)微細金属を用いれば、プラズモン共鳴吸収の波長領域は短波長側にシフトする。
一方、複数のロッド状のナノ金属(金:Au)体を、化学的に結合させて連結させる技術が知られている(例えば、非特許文献2、3参照)。化学結合(例えばストレプトアビジン−ビオチン相互作用)により連結されたナノ金属体は、あくまでも金属ではない化学物質を介して結合しているのであって、厳密にはナノ金属体同士が直接連結していない。
Applied Physics A,vol.29,pp.71-75(1982) J.Phys.Chem.B,108,13066(2004) JACS,125,13915(2003)
前述の通り、長波長側(例えば赤外領域)にプラズモン共鳴吸収を有する金属構造体を得るには、細長い微細金属体(例えば、アスペクト比の高いロッド状微細金属体)を形成する必要があるが、細長い微細金属体単体であるとマルチモードに基づく吸収が発生して、波長選択性が悪くなり、光学デバイス等に用いる際には問題となる。そこで、特願2006−182637のように、ナノ金属体を連結させた金属構造体を形成して、波長選択性を高めるようにしている。
しかし、ナノ金属体を連結させた金属構造体であっても、プラズモン共鳴吸収の吸収ピーク幅は、あまり鋭くならず、波長分解能を上げるためには、吸収ピーク幅をさらに鋭くすることが求められる。
本発明は、上述した課題を解決するために創案されたものであり、プラズモン共鳴吸収作用を有し、波長選択性とともに、波長分解能も高くした金属構造体を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、プラズモン共鳴吸収を有する金属ナノチェインを備えた金属構造体であって、前記金属ナノチェインは、ボトルネックを介して互いに連結された複数の金属ナノ粒子で構成され、前記金属ナノ粒子は、円形、三角形、菱形のいずれかの形状であることを特徴とする金属構造体である。
また、請求項2記載の発明は、前記金属ナノ粒子を連結している複数のボトルネックは直線上に配置されていることを特徴とする請求項1記載の金属構造体である。
また、請求項3記載の発明は、前記金属ナノ粒子を連結している複数のボトルネックは、折れ線上に配置されていることを特徴とする請求項1記載の金属構造体である。
また、請求項4記載の発明は、前記折れ線における各直線部分の長さを異なるように形成したことを特徴とする請求項3記載の金属構造体である。
また、請求項5記載の発明は、前記金属ナノチェインは、基板上に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属構造体である。
また、請求項6記載の発明は、プラズモン共鳴吸収を有する金属ナノチェインを備えた金属構造体であって、前記金属ナノチェインは、ボトルネックを介して互いに連結された複数の金属ナノ粒子で構成され、前記複数の金属ナノ粒子はすべて相互に連結されて閉領域を形成していることを特徴とする金属構造体である。
また、請求項7記載の発明は、前記閉領域は円形状であることを特徴とする請求項6記載の金属構造体である。
また、請求項8記載の発明は、前記金属ナノチェインは、基板上に配置されていることを特徴とする請求項6または請求項7のいずれか1項に記載の金属構造体である。
本発明の金属構造体によれば、ボトルネックを介して互いに連結された金属ナノ粒子の形状を円形、三角形、菱形のいずれかの形状に形成しているので、プラズモン共鳴吸収ピークスペクトルの形状を鋭くすることができ、波長分解能が向上する。一方、ボトルネックを介して互いに連結された複数の金属ナノ粒子をすべて相互に連結して閉領域を形成することによっても、プラズモン共鳴吸収ピークスペクトルの形状を鋭くすることができ、波長分解能を高くすることができる。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は本発明の金属構造体の金属ナノチェイン部の平面図を示す。
金属ナノチェインは、プラズモン共鳴吸収を有する金属体であり、複数の金属ナノ粒子がボトルネックを介して互いに連結されている。図1(a)は各金属ナノ粒子1の平面形状が円形に、図1(b)は各金属ナノ粒子2の平面形状が二等辺三角形に、図1(c)は各金属ナノ粒子3の平面形状が菱形に形成されている。ここでボトルネックとは、金属ナノ粒子の一部が重なり合って形成される部位を意味する。つまり、一のナノ粒子と隣接するナノ粒子とがわずかに重なり合うことによって、一のナノ粒子に含まれる自由電子が、隣接するナノ粒子に移動することをある程度許容することができる。
また、金属ナノ粒子の材質は、ナノ粒子とされることによって表面プラズモン吸収を生じる金属であればよく、その例には金、銀、白金などの貴金属類が含まれる。また金属ナノ粒子は、これらの金属によって被覆された、他の材料からなるナノ物体であってもよい。
上述したように、金属ナノチェインは、複数の金属ナノ粒子がボトルネックを介して互いに連結されているが、複数のボトルネックがある(つまり、3以上の金属ナノ粒子が連結されている)場合は、図1に示すように、それぞれのボトルネックの中心は、図の点線で示されるように直線上に配置される。配置の方法は、図1のようにボトルネック中心の配列線に対して左右対称(図では上下対称)になるように配置しても良いが、金属ナノ粒子の形状が三角形の場合等では、各三角形の底辺を直線上に連結して、左右対称ではなく、底辺を境にして片側のみに三角形を配置した構造としても良い。図1では、8個の金属ナノ粒子が連結されているが、ボトルネック中心は直線上に配置されているので、それぞれのボトルネックを通じて、自由電子が微粒子間を移動しやすくなる。
連結される金属ナノ粒子は、厚みを有しているので、3次元形状で言えば、図1(a)の形状は円柱状、図1(b)は三角柱状、図1(c)は四角柱状である。金属ナノ粒子の形状が三角柱状又は四角柱状である場合は、その稜線同士で金属ナノ粒子が連結されることによって、ボトルネックが形成されることが好ましい。それにより、ボトルネックのネック幅を容易に小さくすることができる。
基板上に金属ナノ粒子を形成する場合には、金属ナノ粒子の平面が基板面と水平となるように配置されていることが好ましい。連結される金属ナノ粒子の堆積は10万nm〜100万nm程度であることが好ましい。さらに、金属ナノ粒子を平面図でみたときの面積は5千nm〜2万nm程度であることが好ましい。また、金属ナノ粒子の基板からの高さは10〜100nm程度であることが好ましい。
連結される金属ナノ粒子の数は、2〜50程度であることが好ましい。吸収共鳴波長は金属ナノ粒子の数におよそ比例するので、連結される金属ナノ粒子の数(ボトルネックを通じる金属体の長さ)は、目的とする共鳴吸収波長に応じて適宜選択すればよい。
本発明では、金属ナノチェインを形成する金属ナノ粒子を、図1(a)、(b)、(c)に示すように、円形状、三角形状、菱形状のいずれかの形状にすることにより、プラズモン共鳴吸収のピーク幅を鋭くし、波長分解能を向上させたものである。
以下に、波長分解能についての実験結果を説明する。図2は、異なる形状の金属ナノ粒子のボトルネック部分を示したものであり、図2(a)は金属ナノ粒子の平面形状が正方形、図2(b)は図1(a)と同様、金属ナノ粒子の平面形状が円形、図2(c)は図1(b)と同様、金属ナノ粒子の平面形状が二等辺三角形、図2(d)は図1(c)と同様、金属ナノ粒子の平面形状が菱形に形成されている。
図2の(a)、(b)、(c)、(d)には、金属ナノ粒子を連結するボトルネックのネック長さt1、t2、t3、t4が示されており、t1=t2=t3=t4=4.5nmとした。ネック長さが小さいほど、金属ナノチェインのマルチモードに基づく吸収が除去されて、波長選択性が向上する。一方ネック幅が小さすぎると、ボトルネック近傍におけるプラズモン電子の散乱が大きくなることがある。また、金属ナノチェインの金属ナノ粒子も連結個数を同じにし、そのときの長さXが、図2の(a)、(b)、(c)、(d)が各々等しくなるように構成した。Xは例えば、図2のように2つの金属ナノ粒子を連結した場合は282nmになるように形成し、各形状の金属ナノ粒子の厚みは30nmとした。
実際に、金属ナノチェインを作製するためには、基台となる基板が必要となるが、基板は、金属ナノ粒子を配置することができる基板であればよいが、少なくとも金属ナノ粒子が配置される面が絶縁体である固体基板であることが好ましい。また、外部から入射される光(例えば、可視領域から近赤外領域の光)を吸収しない材質からなる基板であることが好ましく、例えば透明基板で構成される。金属ナノチェインは、後述の通り半導体微細加工技術(例えば、電子線描画やスパッタリングなど)を用いて製造されるので、その加工に耐える基板であることが必要である。したがって、基板には、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板等が使用される。
次に、基板上に金属ナノチェインを形成する場合の製造方法を図14を参照しつつ以下に述べる。金属ナノチェインは、好ましくは半導体微細加工技術を用いて製造される。例えば、図14(a)に示されるように基板4を用意し、図14(a)のように固体基板4の表面にレジスト11をコートして、レジスト11に所望のナノ金属体の形状を電子線で描画し、図14(c)のように描画を現像してナノ金属体の形状に合わせて基板を露出させる。 その後、図14(d)のように、現像画面上から金属をスパッタリングして金属膜12を形成して、リフトオフによりレジストとともに不要な金属膜を除去して図14(d)のように金属ナノ粒子が連結された金属ナノチェインが形成される。
金属ナノチェインの製造方法は、例えば特願2005−080579または特願2005−258364に記載された金属構造体の製造方法と同様にして行うことができる。重要な製造条件の一つは、基板にコートするレジストの膜厚である。当該膜厚は200nm以下とすることが好ましい。また、膜厚を薄くするためにはコートするレジスト溶液の濃度を下げることが好ましい。
重要な製造条件の別の一つは、レジストに、所望のナノ金属体の形状を電子線で描画するステップにおける電子線の露光条件である。すなわち、電子線の加速電圧を大きくして、同時に露光のドーズレートを小さくすることが好ましく;より具体的には、電子線の加速電圧を100kV〜200kVとして、かつ露光のドーズレートを2マイクロC/cm以下とすることが好ましい。
重要な製造条件の別の一つは、描画されたレジストを除去する現象の条件、特に現象時間である。露光のドーズレートが小さいため、現像時間を長くすること、例えば30分程度行うことが好ましい。
連結された金属ナノ粒子における複数のボトルネック中心は、前述の通り、直線上に配置されていることが好ましいが、後述するように、この直線上における金属ナノチェインの全体の長さは、0.2μm〜4μm程度であればよく、0.2μm〜2.0μm程度であることが好ましいと考えられる。金属ナノチェインの長さは、連結される金属ナノ粒子のサイズ、および連結される金属ナノ粒子の数などによって調整される。当該金属ナノチェインの長さを長くすると、金属構造体のプラズモン共鳴吸収波長が長波長側にシフトする。
上記の内容については、特願2006−182637に詳しいのであるが、プラズモン共鳴吸収波長が、特に金属ナノチェインの長さXに依存することについて、以下に示す。
まず、サファイア基板上に金属ナノチェインを以下のように形成した。サファイア基板(10mm×10mm)の表面を、アセトン、メタノール、超純水の順に、それぞれ3分間の超音波洗浄をした。洗浄された基板表面に、ポジ型電子リソグラフィ用レジスト(Zep-520a;日本ゼオン株式会社社製)をスピンコート(4000rpm)して、レジスト薄膜(厚さ:200nm)を形成した。加速電圧100kVの電子ビーム露光装置を用いて、1.2μC/cmのドーズレートで、所望の金属ナノチェイン2のパターンを描画した。現像を30分間行い、リンスして、乾燥させた。
次に基板上に金(Au)をスパッタリングして金属膜(40nm)を形成した。金属膜を形成された基板を、レジストリムーバー溶液中に浸漬して、超音波洗浄を行って、レジストの除去、およびリフトオフをした。
サファイア基板上に、1から25の直方体状の金属ナノ粒子を連結させた形状を有する金属体をそれぞれ形成して、複数の金属ナノチェインが形成された金属構造体を得た。金属ナノ粒子の成分は金(Au)とした。各ナノブロック状の金属ナノチェインの各金属ナノ粒子は、基板上面からみたときに100nm×100nmの正方形であって、基板からの高さが40nmである直方体状とした。直方体の稜線で連結するボトルネックを形成し、そのボトルネックのネック幅、すなわち図2(a)のt1と直交する方向のネック長さを、4.4nmとした。基板に形成された各金属ナノチェインの方向をそれぞれ同一として、各金属ナノチェインの間隔を1000nmで一定とした。
上記の形成により得られたそれぞれの金属構造体に、顕微FT−IR測定装置を用いて、その上面から波長を660nm〜7142nm(波数15000cm−1〜1400cm−1)の光を照射し、その吸収度を測定した。得られた結果が、図16に示される。図16(a)には連結された金属ナノ粒子の数nが1〜7の金属体が配置された金属ナノチェインのデータが、図16(b)には連結された金属ナノ粒子の数nが6〜25の金属ナノチェインが配置された金属構造体のデータが示される。金属ナノ粒子の数nが1である金属体が配置された金属構造体のスペクトルデータは、ピークが示されていないが、これは表示範囲外(より高エネルギー側)に存在しているためである。金属ナノ粒子の数nと、金属ナノチェインの長さXとの関係は、図15の通りである。
図16(a)および(b)に示されるように、連結された金属ナノ粒子の数nを増やして金属体の長さXを長くするほど、スペクトルの半値幅が減少し、光子エネルギーの小さい領域の光(波長の長い光)を吸収することがわかる。これは、共鳴波長が長波長側にシフトすることによって、プラズモンの位相緩和時間が長くなるためであると考えられる。
図16に示されるように、金属ナノ粒子を連結させた金属ナノチェインを配置した金属構造体は、双極子モードのプラズモン共鳴吸収だけが観測された。これは、ボトルネックのナノコンタクトを行き来する自由電子に基づくプラズモン共鳴バンドだけが観測されるためであると推察される。
以上のように、金属ナノチェインの長さXを変化させることにより、共鳴吸収させる光の波長を変化させられることがわかった。
次に、上記と同様にして、サファイア基板上に、図1(a)、(b)、(c)に示される金属ナノ粒子からなる金属ナノチェインを作製した。また、比較用のために、図2(a)に示される正方形状の金属ナノ粒子による金属ナノチェインも作製した。この場合、前述したように、図2に示されるボトルネックのネック長さt1、t2、t3、t4は、t1=t2=t3=t4=4.5nmとした。また、金属ナノチェインの金属ナノ粒子も連結個数を同じにし、そのときの長さXが、図2の(a)、(b)、(c)、(d)が各々等しくなるように構成した。図2のように2つの金属ナノ粒子を連結した場合は282nmになるように形成し、各形状の金属ナノ粒子の厚みは30nmとした。
上記の形成により得られたそれぞれの金属構造体に、顕微FT−IR測定装置を用いて、その上面から波長を660nm〜7142nm(波数15000cm−1〜1400cm−1)の光を照射し、その吸光度を測定した。得られた結果が、図3、4に示される。
図3の縦軸は吸光のピーク波長を、横軸は金属ナノ粒子の数を示す。また、黒四角が、図2(a)に示される比較用の正方形状の金属ナノ粒子によるデータを示し、黒丸(●)は、図1(a)の金属ナノチェインによるデータを、黒三角(▲)は図1(b)の金属ナノチェインによるデータを、黒菱形(◆)は図1(c)の金属ナノチェインによるデータを示す。金属ナノ粒子の数が増えて、金属ナノチェインの長さが大きくなると、前述したようにピークエネルギーが低下するため、ピーク波長は大きくなっている。
図3で測定されたデータについて、各々吸光スペクトルのピーク周波数のFWHM(半値幅)を計測してグラフにしたのが、図4である。縦軸がFWHM(THz)を示し、横軸がピーク周波数f(THz)を示す。図4にプロットされたデータは、図3のデータと対応するもので、金属ナノ粒子の数が多くなるとピーク波長が大きくなり、一方ピーク周波数は小さくなるので、図4の横軸方向は、金属ナノ粒子の数が多いデータから少ないデータへの並びに対応する。
正方形状の金属ナノ粒子(図の黒四角データ)の場合は、他の円形、三角形、菱形の金属ナノ粒子を用いた場合と比較すると、検出されたピーク周波数全般についてFWHMがかなり大きくなっていることがわかる。このように、金属ナノチェインを構成する金属ナノ粒子の平面形状を円形、三角形、菱形のいずれかの形状とすることで、正方形の金属ナノ粒子を用いた場合よりも、狭帯域の波長を吸収させることができる。一方、正方形の形状を選んだ場合には、広帯域の波長を吸収させることができる。所望の波長分解能に応じて、ナノ粒子の形状を適宜選択すれば良い。
次に、金属ナノチェインによるプラズモン共鳴吸収波長(ピーク波長)を1つではなく、複数の共鳴吸収波長を有する構造を以下に説明する。図5(a)は単一の共鳴吸収波長λ1を有する金属ナノチェイン構造を、図5(b)は複数の共鳴吸収波長λ1、λ2、λ3を有する金属ナノチェイン構造を示す。
図5(a)は、前述した図1の構造と同じであり、金属ナノチェインの長さにより共鳴吸収波長λ1が決まり、その共鳴波長は1つだけ存在する。ところが、図5(b)のように、ボトルネックが直線上ではなく、折れ線上に配置されると、折れ線における直線部分の長さに応じた共鳴吸収波長λ2、λ3が新たに発生する。ここで、λ1>λ2、λ1>λ3である。そして、図5(b)のような場合は、吸収ピークが、折れ線全体の長さに基づく吸収波長λ1を含めて、λ1、λ2、λ3と3箇所に現われる。このようにすれば、狭い領域であっても、複数の波長に感度を持つ金属ナノチェインを作製することができる。
図7に、図5(b)に示される折れ曲がり角度θにより共鳴吸収ピークの強さに変化が現われることを示す。金属ナノ粒子の形状は、図5のように円形状とし、金属ナノチェインを構成する金属ナノ粒子の数を9個とし、金属ナノ粒子6個のボトルネックを直線状に連結し、この直線と折れ曲がり角度θを有するように他の3個の金属ナノ粒子のボトルネックを直線上に配置した。折れ曲がり角度θは、0〜80度まで10度毎に変化させた。また、各ピーク上に示される3個の数字は、金属ナノ粒子の数を表わす。このように、折れ線の各直線部分の長さ、すなわち金属ナノ粒子の数が3個、6個、9個で構成された場合の各金属ナノチェインの長さに応じた共鳴吸収波長が、現われるのであるが、折れ線全体の長さに基づく吸収波長λ1のピークを特に強くするようにする場合には、なるべく、すべてのボトルネックを直線上に配列した方が良く、折れ曲がり角度θは10度以下とすることが望ましい。
また、図5(b)のように、折れ曲がり構造を有し、複数の波長に感度を持つ金属ナノチェインは、平面形状を円形とした金属ナノ粒子で構成する以外に、図6(b)、(c)に示されるように、平面形状を三角形、菱形とした金属ナノ粒子で構成しても良い。この場合、図7のデータと同様、複数の波長に感度を持つように形成することができる。
図8は、円形の金属ナノ粒子をボトルネックを介してすべて相互に連結し、金属ナノチェインに閉領域を形成したものである。本実施例では、閉領域の形状は円形状に形成されている。円形の閉領域の中心からボトルネック中心までの半径をR、金属ナノ粒子の中心と隣接する金属ナノ粒子の中心との角度をαとする。なお、金属ナノ粒子の形状は、円形だけではなく、三角形、菱形、正方形等の形状に形成しても良い。また、金属ナノチェインの共鳴吸収波長は、閉領域の大きさ、すなわち半径Rによって決定される。
図8の構成で、連結形状の円形を維持しつつ、αを40度、39.5度、39度、38度と、ボトルネックの重なり部分を大きくしていった場合の、共鳴吸収波長(nm)と吸光度との関係を図9に示す。αの角度が大きいときは、ボトルネックの重なり部分が小さく、ボトルネックを介して相互に連結された金属ナノ粒子で囲まれた領域は閉領域を維持しているが、αが38度になると、図11に示されるように、一部の金属ナノ粒子間にギャップが生じ、閉領域を構成できなくなる。そして、所定の吸収波長にピークが発生するだけでなく、図9に示すαが38度のときの吸収スペクトルのように、ギャップモードと呼ばれる他の波長領域に吸収ピークが発生する。したがって、金属ナノチェインが閉領域を構成している場合の方が、ギャップが存在する場合よりも、共鳴吸収による光の捕集効率が向上していることになる。金属ナノチェインが閉領域を構成している場合には、光の捕集効率は70%にも及ぶ。
一方、図10は、図4のグラフと同じものに、白丸(○)のデータを付加した図となっている。白丸のデータは、図8のように、円形状の金属ナノ粒子を用いて、円形状の閉領域を構成して、共鳴吸収周波数のスペクトルのFWHMを計測したものである。図からわかるように、複数の円形状の金属ナノ粒子を直線上に配置した黒丸(●)のデータよりも、さらに、FWHMは向上しており、スペクトル幅は小さくなるので、少なくとも複数の正方形状の金属ナノ粒子を直線上に配置した金属ナノチェインよりは格段に波長分解能は向上している。
また、金属ナノチェインが閉領域を構成している場合の利点は、偏光依存性がなく、等方性を有する点にもある。図12、13に等方性のデータを示す。図13は、図8又は図11の構成に対して縦方向の偏波を照射したときの吸収波長(横軸)と吸光度(縦軸)との関係を示す。この場合、特に、金属ナノチェインが閉領域を維持している場合とギャップを有する場合とでの変化はない。図12は、図8又は図11の構成に対して横方向の偏波を照射したときの吸収波長(横軸)と吸光度(縦軸)との関係を示す。この場合、金属ナノチェインにギャップを生じている場合(37度、38度、38.5度の各曲線)には特にピーク波長のシフトが顕著である。
本発明の金属構造体における金属ナノチェインの構造例を示す模式図である。 金属ナノチェインのボトルネックの長さを示す模式図である。 図2の各金属ナノチェインを用いた場合の金属ナノ粒子数とピーク波長との関係を示す図である。 図3のデータに対応するピーク周波数とスペクトルのFWHMとの関係を示す図である。 金属ナノチェインの折れ曲がり構造を示す模式図である。 金属ナノチェインの折れ曲がり構造例を示す模式図である。 折れ曲がり構造を有する金属ナノチェインの共鳴吸収周波数と吸光度との関係を示す図である。 金属ナノチェインが閉領域を有する構造例を示す模式図である。 金属ナノチェインが円形の連結構造を有する場合、連結が閉領域となるときとギャップを有するときの吸光度の相違を示す図である。 図4のデータに金属ナノチェインが円形状の閉領域を有する場合のデータを追加した図である。 金属ナノチェインの形状が閉領域とならず、ギャップを有する場合の撮影データを示す図である。 金属ナノチェインの偏光依存性を示す図である。 金属ナノチェインの偏光依存性を示す図である。 金属ナノチェインの製造工程の例を示す図である。 金属ナノ粒子の数と金属ナノチェインの長さとの関係を示す図である。 金属ナノチェインの局在プラズモンバンドを示す図である。
符号の説明
1 金属ナノ粒子
2 金属ナノ粒子
3 金属ナノ粒子

Claims (8)

  1. プラズモン共鳴吸収を有する金属ナノチェインを備えた金属構造体であって、
    前記金属ナノチェインは、ボトルネックを介して互いに連結された複数の金属ナノ粒子で構成され、前記金属ナノ粒子は、円形、三角形、菱形のいずれかの形状であることを特徴とする金属構造体。
  2. 前記金属ナノ粒子を連結している複数のボトルネックは直線上に配置されていることを特徴とする請求項1記載の金属構造体。
  3. 前記金属ナノ粒子を連結している複数のボトルネックは、折れ線上に配置されていることを特徴とする請求項1記載の金属構造体。
  4. 前記折れ線における各直線部分の長さを異なるように形成したことを特徴とする請求項3記載の金属構造体。
  5. 前記金属ナノチェインは、基板上に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属構造体。
  6. プラズモン共鳴吸収を有する金属ナノチェインを備えた金属構造体であって、
    前記金属ナノチェインは、ボトルネックを介して互いに連結された複数の金属ナノ粒子で構成され、前記複数の金属ナノ粒子はすべて相互に連結されて閉領域を形成していることを特徴とする金属構造体。
  7. 前記閉領域は円形状であることを特徴とする請求項6記載の金属構造体。
  8. 前記金属ナノチェインは、基板上に配置されていることを特徴とする請求項6または請求項7のいずれか1項に記載の金属構造体。
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