JP2009053392A - 表示素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】バリア部と光透過部とを電子制御により発生させると共に、発生したバリア部と光透過部との形状(数、幅、間隔)や、位置(位相)、濃度等を自由に可変制御できるようにした表示素子を提供する。
【解決手段】表示素子2は、電気泳動素子を用いてバリア部12と光透過部14とを電子制御により発生させる調光部18と、バリア部12の発生位置から所定距離Xを隔てて表示画面20が配置され、第1画素32と、第2画素34と、が少なくとも一方向に交互に配列されており、第1画素32が表示する第1画像と第2画素34が表示する第2画像とを表示画面20に出力表示可能な表示部16と、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、表示素子に関するものである。
従来、観察者に特殊なメガネを使用させることなく3次元画像を観察させ得る3次元画像表示装置として、パララックス・バリア(Parallax barrier)方式の画像表示装置が知られている。この方式では、バリアと称されている細かいストライプ状の遮光スリットが画像表示装置の前方、即ち観察者側に配置される。観察者が、バリアを介して観察した場合、観察者の右目に右目用画像が、左目には左目用画像が見えることになり、それによって、3次元画像の観察が可能とされる。
図10(A)に2次元画像表示、図10(B)に3次元画像表示の原理図をそれぞれ図示した。液晶表示デバイスを用いて電子的にバリアを発生させて画像を立体視するもので、図10(A)に示すように、2次元画面表示では、液晶表示デバイス102にバリアの発生はなく2次元画像を観察している。又、図10(B)に示すように、3次元画像表示では、液晶表示デバイス102にバリアを発生させて、バリア部104を介して、バリアの後方に一定の距離Xだけ離れた立体画像表示面106に表示された立体画像を、観察者Aより観察している。
上記のようなストライプを用いた3次元画像表示装置として、図11に示すような、バリア液晶構造が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このバリア液晶構造は、液晶表示パネル108と、液晶表示デバイス102と、を備えている。又、図12に示すような、位相差板構造も提案されている。この位相差板構造は、液晶表示パネル108と、液晶表示デバイス110と、を備えている。又、液晶表示デバイス110は、位相差板112を備えている。
一方、メガネ不要の3次元画像表示方式には、上記のパララックス・バリア方式の他に、レンティキュラ方式、バリフォーカルミラー方式、インテグラル・フォトグラフィー方式、ホログラフィー方式等いくつかの方式があるが、これらの方式の説明は本発明と直接関係ないので省略する。
特開平8−94968号公報
以上述べてきた従来のパララックス・バリア方式では、図10(B)に示すように、画素部からバリアまでの距離Xと適視距離Yとは相関関係があり、適視距離Yを短くするためには距離Xを小さくする必要がある。図11に示すバリア液晶構造では、ガラス基板114、偏光板116、及びガラス基板118のそれぞれの厚みの和が距離Xにあたる。ところが、1.適視距離Yを短くするために、ガラス基板114,118を研磨し距離Xを小さくする必要があるが、偏光板116の厚み分、ガラス基板114,118の研磨量が増える(コストUPにつながる)。2.研磨して薄くなったガラス基板114,118に偏光板116を貼るのは難しい。3.偏光板116の分だけ素子全体の厚みが大きくなる。4.液晶表示デバイスを使用するためON状態、OFF状態を維持するのに電圧を印加し続ける必要がある(但し、強誘電性液晶、コレステリック液晶は除く)。5.液晶表示デバイスを使用するため交流回路が必要になる。等の問題点がある。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]電気泳動素子を用いてバリア部と光透過部とを電子制御により発生させる調光部と、前記バリア部の発生位置から所定距離を隔てて表示画面が配置され、第1画素と、第2画素と、が少なくとも一方向に交互に配列されており、前記第1画素が表示する第1画像と前記第2画素が表示する第2画像とを前記表示画面に出力表示可能な表示部と、を含むことを特徴とする表示素子。
これによれば、バリア部と光透過部とを電子制御により発生させると共に、発生したバリア部と光透過部との形状(数、幅、間隔)や、位置(位相)、濃度等を自由に可変制御できるようにしたので、2次元画像表示素子としても、又3次元画像表示素子としても使用することができ、両立性のある表示素子を実現することができる。
又、従来の液晶を使った機構に比べ、偏光板の数が減少した分、素子全体を薄くすることができるので適視距離の調整がしやすくなる。又、透明基板の研磨量を抑えることができるのでコストを削減できる。更に、その透明基板に偏光板を貼る必要がないので作業が容易になる。又、電気泳動素子のメモリ性で消費電力を低減できる。
[適用例2]上記表示素子であって、前記電気泳動素子は、複数の画素を有し、前記画素は、第1基板と、前記第1基板上に設けられた平面状の第1電極と、前記第1電極側に、前記第1基板に対向して設けられた透明な第2基板と、前記第1及び第2基板間に狭持された流体中に、荷電をもつ少なくとも1種の電気泳動粒子を含む分散層と、前記第1及び第2基板間の領域のうち、前記第1電極の周囲に設けられた第2電極と、を含み、前記第1電極が透明電極で構成されていることを特徴とする表示素子。
これによれば、明るさと高コントラストが両立した表示素子を実現することが容易になる。
[適用例3]上記表示素子であって、前記調光部は、前記分散層の所定位置の光の透過率を変化させることで、前記バリア部を発生させることを特徴とする表示素子。
これによれば、バリア部と光透過部とを電子制御により発生させることが容易になる。
[適用例4]上記表示素子であって、前記調光部は、前記表示部が3次元画像或いは多画面画像を表示する際に、前記バリア部を発生させることを特徴とする表示素子。
これによれば、両立性のある表示素子を実現することが容易になる。
[適用例5]上記表示素子であって、前記調光部は、前記表示部が単なる2次元画像を表示する際には、前記バリア部の発生を停止してバリア発生面が無色透明のパネルとなることを特徴とする表示素子。
これによれば、両立性のある表示素子を実現することが容易になる。
[適用例6]上記表示素子であって、前記調光部は、前記バリア部の数、幅、開口比及び間隔を含む形状や発生位置を指示入力に応じて自在に可変制御する制御部を有することを特徴とする表示素子。
これによれば、バリア部と光透過部とを電子制御により発生させることが更に容易になる。
[適用例7]上記表示素子であって、前記制御部は、前記調光部を直流駆動で制御することを特徴とする表示素子。
これによれば、直流駆動制御を可能とすることで低消費電力化が容易になる。
[適用例8]上記表示素子であって、前記表示部は、対向する2電極間に電気光学物質層を有した調光型素子であることを特徴とする表示素子。
これによれば、表示部の構成が容易になる。
[適用例9]上記表示素子であって、前記表示部は、対向する2電極間に電気光学物質層を有した自発光型素子であることを特徴とする表示素子。
これによれば、偏光板を使用しない分素子全体の厚みを抑えることが容易になる。
実施形態について図面を参照して以下に説明する。
尚、説明に用いた各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態に係る表示素子2を示す断面図である。図1(A)は、バリアが発生していない状態を示している。図1(B)は、バリア部12と光透過部14とが発生している状態を示している。本実施形態に係る表示素子2は、立体視を可能とする3次元画像表示装置として機能することができ、又、通常の2次元画像表示装置としても機能することができる。表示素子2は、3次元画像表示装置として機能する場合には、観察者Aの左目方向(第1の視方向)と右目方向(第2の視方向)とで異なる画像を表示する指向性表示モードで動作する。一方、表示素子2は、2次元画像表示装置として機能する場合には、第1の視方向及び第2の視方向のいずれの方向にも同一の画像を表示する非指向性表示モードで動作する。
表示素子2は、表示部としての液晶表示パネル16と、調光部としての電気泳動素子(EPD素子)18と、後述する制御部(図示省略)と、を含んでいる。又、EPD素子18のバリア面上のバリア部12と光透過部14との発生位置から所定距離Xを隔てて液晶表示パネル16の表示画面20が配置されるように、液晶表示パネル16が配置されている。又、観察者A側からEPD素子18、液晶表示パネル16の順に配置されている。
液晶表示パネル16は、一対の透明基板としてのガラス基板22,24を、所定間隔で対向させ、その間には電気光学物質としてのTN(Twisted Nematic)モードの液晶26が封入されている調光型素子である。ガラス基板22とガラス基板24との間隔は、スペーサ(図示せず)により定められている。又、液晶26に電圧を印加するために、共通電極(図示せず)がガラス基板24上に、表示電極(図示せず)がガラス基板22上に形成されている。又、アクティブマトリクス型液晶表示を行うために、上記ガラス基板22,24の外側には、それぞれ、偏光板28,30が設けられている。液晶表示パネル16は、第1画素32と、第2画素34と、が少なくとも一方向に交互に配列されている。液晶表示パネル16は、第1画素32が表示する第1画像と第2画素34が表示する第2画像とを表示画面20に出力表示可能である。そして、その表示画面20から所定距離Xを隔ててバリア部12と光透過部14とが配置されるように、EPD素子18が配置されている。
このEPD素子18について図2〜図5を参照して説明する。
図2は、本実施形態に係るEPD素子18を示す断面図である。図3は、表示素子2が備える制御部36の概略構成を示すブロック図である。図4は、本実施形態に係るEPD素子18を示す透視斜視図である。図4(A)は、バリアが発生していない状態を示している。図4(B)は、バリア部12と光透過部14とが発生している状態を示している。図5は、本実施形態に係るEPD素子18を示す断面及びその平面図である。図5(A)は、バリアが発生していない状態を示している。図5(B)は、バリア部12と光透過部14とが発生している状態を示している。図2に示すように、EPD素子18は、ある色を有する電気泳動粒子38と透明流体40とからなる分散層を有し、この分散層が、第1基板としてのガラス基板42と第2基板としてのガラス基板44及び2つの基板間を支持、封止するためのスペーサ基板46に挟まれた空間に保持されている。EPD素子18は、横電界方式である。
図2に示す構成を有するEPD素子18の場合、観測者Aはガラス基板44の外側からガラス基板42に向かって液晶表示パネル16を見ることになるため、ガラス基板42,44は透明である必要がある。ガラス基板42の分散層側表面には第1電極48が設けられている。第1電極48の表面は、絶縁体50により被覆されている。絶縁体52及びスペーサ基板46の分散層側側面には第2電極54が設けられている。
又、液晶表示パネル16は、2つのガラス基板22,24によって挟まれた液晶26において(図1参照)、第1駆動回路56が出力する駆動信号の変化(共通電極と表示電極との間の電圧の変化)に応じて液晶分子の配向が変化する。ここで、第1駆動回路56は、後述する制御部から与えられた画像信号に基づいて駆動信号FSを生成して液晶表示パネル16に出力し、これに応じて液晶表示パネル16に画像が表示される。
図3は、表示素子2が備える制御部36の概略構成を示すブロック図である。この制御部36は、CPU58と、ユーザインタフェース(UI)処理部60と、操作パネル62と、リモコン64と、画像処理部66と、入力インタフェース部68と、を備えている。入力インタフェース部68は、図示しない画像再生装置(DVDプレーヤやコンピュータ等)から入力される画像信号を所定フォーマットの画像データとして画像処理部66に渡す。入力インタフェース部68には、3次元画像表示用の画像信号(左目用の第1画像と右目用の第2画像との合成画像の画像信号)又は通常表示用(2次元画像表示用)の画像信号が入力される。画像処理部66は、入力した画像データについて、リサイズを行ったり明るさやコントラスト等の調整を行ったりした上で、画像信号FSを第1駆動回路56に出力する。UI処理部60は、操作パネル62やリモコン64から入力される観察者Aからの指示をCPU58に伝える。そして、CPU58は、観察者Aからの指示に従って、画像処理部66や第2駆動回路70等を制御する。
操作パネル62及びリモコン64には、指向性表示モードと非指向性表示モードとを切り替えるための表示モード切り替えスイッチ(図示省略)が設けられている。観察者Aは、この表示モード切り替えスイッチ(図示省略)を操作することで、入力される画像の種類(3次元画像/2次元画像)に応じて表示モードを切り替える(指定する)ことができる。観察者Aが表示モードを切り替えると、指定された表示モードの情報がUI処理部60からCPU58に通知される。そして、CPU58は、指定された表示モードを示す表示モード信号MSを第2駆動回路70に送信する。第2駆動回路70は、受信した表示モード信号MSの示す表示モードに応じて、2つのガラス基板42,44が備える第1及び第2電極48,54に駆動信号を出力する(図2参照)。具体的には、駆動信号が出力された時、電気泳動粒子38と透明流体40とに電圧が供給される。つまり、電気泳動粒子38と透明流体40とに常時電圧を印加しておく必要はない。
尚、第1及び第2電極48,54に出力する駆動信号は、定期的に電圧が印加され、リフレッシュされてもよい。又、このEPD素子18にバリア部12と光透過部14とを発生させるのは、3次元画像表示の場合であって、2次元画像表示の際には、制御部36はそのバリア部12の発生を停止し、画像表示領域の全域にわたって光を透過する状態にEPD素子18を駆動制御する。これによって、本装置は、2次元画像表示装置としても使用することができる。
又、このEPD素子18にバリア部12と光透過部14とを発生させるのは、図4(B)及び図5(B)に示すように、3次元画像表示の場合であって、2次元画像表示の際には、図4(A)及び図5(A)に示すように、制御部36(図3参照)はそのバリア部12と光透過部14との発生を停止し、画像表示領域の全域にわたって無色透明な状態となるようにEPD素子18を駆動制御する。これによって、本装置は、2次元画像表示装置としても使用することができる。
図2に示す第1及び第2基板42,44としては、本実施形態ではガラス基板を用いたが、光学的に光透過性であれば特に限定はされないが、好適な例を挙げれば、ホスファゼン樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリシクロヘキシルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン・メチルメタクリレート共重合体、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・マレイミド共重合体、ポリシクロヘキシルメタクリレート樹脂、ポリ4−メチルペンテン−1樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート樹脂、透明ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)樹脂、エチレンノルボルネン共重合体、及び日本ゼオン社製のZONOR(登録商標)やZEONEX(登録商標)に代表されるシクロオレフィン系ポリマーである。この透明基板は着色されていてもよい。着色はグレー、ブラウン等の中間色が好ましい。
電気泳動粒子38は、流体に安定に分散され、単一の極性を有すると共に、その粒径分布が小さいことが、表示素子の寿命、コントラスト、解像度等の観点から望ましい。又、その粒径は、0.1μm〜5μmが好ましい。この範囲内であると、光散乱効率が低下せず、電圧印加時において十分な応答速度が得られる。電気泳動粒子38の材料としては、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化アルミニウム、セレン化カドミウム、カーボンブラック、硫酸バリウム、クロム酸鉛、硫化亜鉛、硫化カドミウム等の無機顔料、或いはフタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエロー、ウオッチングレッド、ダイアリーライドイエロー等の有機顔料を用いることができる。
電気泳動粒子38を分散させる透明流体40としては、電気泳動粒子38に対する溶解能が小さく電気泳動粒子38を安定に分散でき、イオンを含まず且つ電圧印加によりイオンを生じない絶縁性のものが望ましい。更に、電気泳動粒子38の浮沈防止のためには電気泳動粒子38と比重が略等しく、電圧印加時における電気泳動粒子38の移動度の面から粘性の低いものが好ましい。比較的多くの電気泳動粒子材料に対して用いることのできる絶縁性液体としては例えば、ヘキサン、デカン、ヘキサデカン、ケロセン、トルエン、キシレン、オリーブ油、リン酸トリクレシル、イソプロパノール、トリクロロトリフルオロエタン、ジブロモテトラフルオロエタン、テトラクロロエチレン等を挙げることができる。尚、電気泳動粒子38の浮沈防止のために電気泳動粒子38との比重整合を行う場合等は混合流体の利用も可能である。
又、電気泳動粒子38の分散層における混合重量率は、電気泳動粒子38の電気泳動性が阻害されず、且つ分散層の反射制御が十分に行える限り特に限定されるものではないが、例えば1重量%〜20重量%が好ましい。
又、電気泳動粒子38の荷電を増加させるため、或いは同極性にするために、必要に応じて、前述の透明流体40に、樹脂、界面活性剤等の添加剤を加えることができる。
又、分散層の厚さは電気泳動粒子38の径より大きく、粒子の運動を妨げない限り特に限定されるものではないが、電圧印加時の速い応答速度のためには、できるだけ薄いことが望ましい。このような観点から、分散層の好ましい厚さは、5μm〜200μmである。
第1電極48及び第2電極54の材料としては、アルミニウム、銅、銀、金、白金等の良導電性のものが好ましい。又、透明電極材料としては、酸化スズ、酸化インジウム、ヨウ化銅等の薄膜を好ましく用いることができる。又、電極形成は蒸着、スパッタリング、フォトリソグラフィ等通常の方法で行うことができる。又、第2電極54が設けられている絶縁体52、及び第2電極54と第1電極48との間に設けられている絶縁体50は、例えば、透明樹脂(PET、ポリカーボネート等が望ましい)で、2次元画像表示及び3次元画像表示ともに光透過性が必要とされる。
又、シール部材72としては、例えば、エポキシ樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、変成ポリマー系等の透明材料でUV硬化樹脂が好ましいが、これに限定されるものではない。
上記構成の表示素子2による3次元画像を表示する動作について説明する。液晶表示パネル16を観察者A側から見た場合、図1に示すように、第1電極48は、隣接するガラス基板24上に形成された表示電極(図示せず)の上に跨り、その隣接する表示電極の一部領域をそれぞれ覆い、右目用画像は右目のみで左目用画像は左目のみで観察されるように設けられている。
3次元画像を表示する場合には、液晶表示パネル16において、右目用画像及び左目用画像が図面上横方向に交互(或いは同時)に表示される。これは、ガラス基板22上に形成された共通電極とガラス基板24上に形成された表示電極との間に電圧を印加することにより、液晶26の液晶分子を右目用画像領域及び左目用画像領域において配向を制御することにより行うことができる。
EPD素子18は、荷電を有する電気泳動粒子と絶縁性液体からなる分散層とこの分散層を挟んで対峙する一組の電極からなり、この電極を介して分散層に電場を印加することによって、電気泳動粒子をその荷電と反対極性の電極上に移動させて表示を行うものである。その結果、第1電極48上の領域が液晶表示パネル16から入射してきた光を遮断するストライプ状のシャッターとして機能する。即ち、第1電極48が設けられている領域が、バリア部12を構成することになる。バリア部12は、液晶表示パネル16から入射してきた光を反射或いは吸収して遮断する。
具体的には、制御部36によって、第1電極48が電気泳動粒子38と異なった極性、第2電極54が電気泳動粒子38と同じ極性となるように電圧を印加されると、電気泳動粒子38は、図4(B)及び図5(B)に示すように、第1電極48を被覆している絶縁体50に移動し、その表面を覆う。このときガラス基板44の外側から装置を見ている観測者A(図2参照)は、電気泳動粒子38の色を視認する。次に、制御部36で第1電極48、第2電極54にかかる電圧の極性を反転させると、図4(A)及び図5(A)に示すように、電気泳動粒子38は、第2電極54に移動し、その表面を覆う。尚、電気泳動粒子38、電圧印加後、制御部36と第1電極48及び第2電極54の接続を切断した状態でも、電気泳動粒子38の第1電極48或いは第2電極54への吸着が持続するというメモリ機能を付加することも可能である。
従って、液晶表示パネル16で発生した右目用画像が、観察者Aの左目に入射しないように、且つ左目用画像が右目に入射しないように、EPD素子18により遮断される。即ち、EPD素子18は、右目用画像が左目に、左目用画像が右目に入射することを遮断するために設けられている。
EPD素子18は、第1電極48と第2電極54との間の印加電圧の絶対値に応じて光の透過率が変化し、バリア部12と光透過部14とを発生させる。又、EPD素子18の制御は、直流駆動で行うことができるため、複雑な駆動回路を必要としない。又、EPD素子18には、メモリ機能があり消費電力を低減できる。
上記構成のEPD素子18の製造方法について図2を参照して説明する。各部材の選択、形成、及び設定を以下のようにして行った。第1及び第2基板42,44として厚さ0.5mm〜5mmの透明なガラス板を用いた。又、スペーサ基板46として厚さ20μm〜50μmのSiO2(又は樹脂)を用いた。又、絶縁体52として透明樹脂(PET、ポリカーボネート等が望ましい)を用いた。絶縁体52を形成して、バリアの遮光部分及び開口部分を各々幅100μm〜200μmに設定した。第1電極48は、ガラス基板42の分散層側表面に透明な酸化インジウムを厚さ約10μmに蒸着して作製した。又、第2電極54は、スペーサ基板46及び絶縁体52の分散側側面にニッケルを幅10μm、厚さ約10μmに電解析出して作成した。絶縁体50は、第1電極48への電気泳動粒子38の不可逆的な吸着を防止する。絶縁体50は、透明樹脂(PET、ポリカーボネート等が望ましい)を厚さ50μm〜100μmで形成した。
又、分散層は、以下の通り準備した。先ず、電気泳動粒子38として黒色樹脂トナー(粒径1μm〜5μm)を、又透明流体40としてイソプロパノールを用い、両者を電気泳動粒子38の混合重量率が10%となるように混合し、更に分散安定性の向上のために微量の界面活性剤を添加し、分散層を準備した。この場合、電気泳動粒子38は表面が正に帯電している。尚、分散層は、ガラス基板42とガラス基板44及び2つの基板間を支持、封止するためのスペーサ基板46に挟まれた空間に保持され、シール部材72を用いてUV硬化或いは熱硬化により封止した。
このようにして得られたEPD素子18の一画素分の駆動動作を以下に示す。先ず、制御部36により第1電極48、第2電極54を各々負極、正極となるように電圧30Vの直流電圧を印加すると正に帯電した電気泳動粒子38は、第1電極48に移動し、第1電極48を被覆している絶縁体50の表面に吸着する。このとき、ガラス基板44側から観測すると、電気泳動粒子38の黒色が観測される。この状態は制御部36と各電極との電気的接続を切り電圧印加を止めた以降も持続され、本表示装置がメモリ機能を有することを示した。次に、先の場合と極性を反転して電圧印加を行うと、すなわち第1電極48が正極、第2電極54が負極となるように30Vの直流電圧を印加すると、電気泳動粒子38は第1電極48から第2電極54に移動しその表面に吸着する。
以上説明したように、本実施形態によれば、バリア部と光透過部とを電子制御により発生させると共に、発生したバリア部と光透過部との形状(数、幅、間隔)や、位置(位相)、濃度等を自由に可変制御できるようにしたので、2次元画像表示素子としても、又3次元画像表示素子としても使用することができ、両立性のある表示素子を実現することができる。
又、従来の液晶を使った機構に比べ、偏光板の数が減少した分、素子全体を薄くすることができるので適視距離の調整がしやすくなる。又、透明基板の研磨量を抑えることができるのでコストを削減できる。更に、その透明基板に偏光板を貼る必要がないので作業が容易になる。又、電気泳動素子のメモリ性及び直流駆動制御を可能とすることで消費電力を低減できる。
(第2の実施形態)
図6は、本実施形態に係る表示素子4を示す断面図である。尚、上記第1の実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本実施形態に係る表示素子4は、表示部としての液晶表示パネル16と、調光部としてのEPD素子74と、を含んでいる。
EPD素子74は、一対の第1及び第2基板としてのガラス基板24,44を、所定間隔で対向させ、その間に電気泳動粒子38と透明流体40とを挟み込んだ構成である。又、電気泳動粒子38に電圧を印加するために、第1電極48がガラス基板24上に、第2電極54が絶縁体52及びスペーサ基板46(図2参照)に形成されている。
これは、第1の実施形態の液晶表示パネル16のガラス基板24とEPD素子18のガラス基板42との機能を一本化して、第1電極48を直接ガラス基板24に形成することにより、表示素子2で使用したガラス基板42を本実施形態では不要にした。
これによれば、ガラス基板の数が減少した分、素子全体を薄くすることができるので適視距離の調整がしやすくなる。又、ガラス基板の研磨量を抑えることができコストの削減及び作業が容易になる。
(第3の実施形態)
図7は、本実施形態に係る表示素子6を示す断面図である。尚、上記第1の実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本実施形態に係る表示素子6は、表示部としての有機EL(Electro Luminescence)表示パネル76と、調光部としてのEPD素子18と、を含んでいる。又、EPD素子18のバリア面上のバリア部12と光透過部14との発生位置から所定距離Xを隔てて有機EL表示パネル76の表示画面78が配置されるように、有機EL表示パネル76が配置されている。又、観察者A側からEPD素子18、有機EL表示パネル76の順に配置されている。
有機EL表示パネル76は、ガラス基板80上に成膜形成されたEL素子部82を内側にして、ガラス基板84が固定されている。EL素子部82は、陽極として機能するITO膜からなる画素電極と、この画素電極からの正孔を注入/輸送する正孔注入輸送層と、有機EL材料からなる発光層と、電子を注入/輸送する電子注入輸送層と、アルミニウムやアルミニウム合金からなる陰極とを備えている(いずれも図示せず)。
(第4の実施形態)
図8は、本実施形態に係る表示素子8を示す断面図である。尚、上記第3の実施形態と同一の部分には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本実施形態に係る表示素子8は、表示部としての有機EL表示パネル76と、調光部としてのEPD素子74と、を含んでいる。
EPD素子74は、一対の第1及び第2基板としてのガラス基板84,44を、所定間隔で対向させ、その間に電気泳動粒子38と透明流体40とを挟み込んだ構成である。又、電気泳動粒子38に電圧を印加するために、第1電極48がガラス基板84上に、第2電極54が絶縁体52及びスペーサ基板46(図2参照)に形成されている。
これは、第3の実施形態の有機EL表示パネル76のガラス基板84とEPD素子18のガラス基板42との機能を一本化して、第1電極48を直接ガラス基板84に形成することにより、表示素子6で使用したガラス基板42を本実施形態では不要にした。
尚、第3の実施形態の有機EL表示パネル76のガラス基板84とEPD素子18のガラス基板42との機能を一本化して、EPD素子18と、有機EL素子を形成したガラス基板80とを貼り合わせることにより形成してもよい。これにより、EPD素子18は有機EL素子の封止部材として機能する。又、有機EL表示パネル76を形成した後にEPD素子74を形成してもよい。
以上説明したように、バリア部と光透過部とを電子式に発生させると共に、発生したバリア部と光透過部との形状(数、幅、間隔)、位置(位相)、及び濃度等を自由に可変制御できるようにしたので、2次元画像表示素子としても、又3次元画像表示素子としても使用することができ、両立性のある表示素子を実現することができる。又、バリア部と光透過部との形状を電子式に可変できるので、1台のディスプレイで2眼式のみならず多眼式の立体画像表示素子として使用することができる。更に、バリアを平面状ばかりでなく、曲面状にも構成することにより、CRT等の曲面状のディスプレイにも適用できる。
尚、液晶表示パネル16に含まれる液晶26のモードは、TNモードに限らず、VA(Vertical Alignment:垂直配向)、IPS(In Plain Switching)、FFS(Fringe Field Switching)、STN(Super Twisted Nematic)等、種々のモードを採用することができる。これらのモードの中では、広視野角の得られるVA、IPS、FFSが好適である。液晶26を広視野角の得られるモードとすれば、正面から左右に傾いた視野において視認される多画面表示画像を高輝度且つ高品位に表示することができる。
又、上記各実施形態は、EPD素子を液晶表示パネル或いは有機EL表示パネルにそれぞれ適用した例であるが、これに変えて、電気的に応じて表示を行う種々の電気光学装置に適用することができる。例えば、表示部としてPDP(Plasma Display Panel)、蛍光表示管等を用いた平面型ディスプレイが好適であるが、CRT(Cathode-Ray Tube)ディスプレイやプロジェクション・スクリーンのように曲面状のディスプレイを用い、これにEPD素子を重ね合わせた構成とすることもできる。
又、本各実施形態では、バリア部12と光透過部14とを発生させることにより、3次元画像表示装置として構成したが、表示画面20とバリア部12(光透過部14)との所定距離Xを調整することにより、多画面画像を表示する装置としての2画面画像表示装置200を構成することができる。
図9(A)に通常画像表示(同じ画像を複数の観察者が見るモード)、図9(B)に2画面画像表示の原理図をそれぞれ図示した。図9(A)に示す通常画像表示では、EPD素子18にバリアの発生はなく同じ画像を複数の観察者C,Dが観察している。又、図9(B)に示す2画面画像表示では、EPD素子18にバリアを発生させて、バリア部12を介して、バリアの後方に一定の距離Xだけ離れた表示画面20に表示された2画面画像を、観察者C,Dよりそれぞれ異なる画像を観察している。
尚、この際、図3に示す入力インタフェース部68には、3次元画像表示用画像信号に替えて2画面画像表示用の画像信号(図9(B)に示す観察者C用の第1画像と観察者D用の第2画像との異なる画像の画像信号)又は通常画像表示用の画像信号が入力される。又、図3に示す操作パネル62及びリモコン64には、指向性表示モードと非指向性表示モードとを切り替えるための表示モード切り替えスイッチ(図示省略)が設けられているが、図9に示す観察者C,Dは、この表示モード切り替えスイッチ(図示省略)を操作することで、入力される画像の種類(多画面画像/通常画像)に応じて表示モードを切り替える(指定する)ことになる。
第1の実施形態に係る表示素子を示す断面図。 第1の実施形態に係るEPD素子を示す断面図。 第1の実施形態に係る表示素子が備える制御部の概略構成を示すブロック図。 第1の実施形態に係るEPD素子を示す透視斜視図。 第1の実施形態に係るEPD素子を示す断面及びその平面図。 第2の実施形態に係る表示素子を示す断面図。 第3の実施形態に係る表示素子を示す断面図。 第4の実施形態に係る表示素子を示す断面図。 2画面画像表示装置を示す図。 2次元画像表示及び3次元画像表示の原理図。 従来のバリア液晶構造の表示素子を示す断面図。 従来の位相差板構造の表示素子を示す断面図。
符号の説明
2,4,6,8…表示素子 12…バリア部 14…光透過部 16…液晶表示パネル(表示部) 18…電気泳動素子(EPD素子)(調光部) 20…表示画面 22,24…ガラス基板 26…液晶 28,30…偏光板 32…第1画素 34…第2画素 36…制御部 38…電気泳動粒子 40…透明流体 42…ガラス基板(第1基板) 44…ガラス基板(第2基板) 46…スペーサ基板 48…第1電極 50,52…絶縁体 54…第2電極 56…第1駆動回路 58…CPU 60…ユーザインタフェース(UI)処理部 62…操作パネル 64…リモコン 66…画像処理部 68…入力インタフェース部 70…第2駆動回路 72…シール部材 74…EPD素子 76…有機EL表示パネル 78…表示画面 80…ガラス基板 82…EL素子部 84…ガラス基板 102…液晶表示デバイス 104…バリア部 106…立体画像表示面 108…液晶表示パネル 110…液晶表示デバイス 112…位相差板 114…ガラス基板 116…偏光板 118…ガラス基板 200…2画面画像表示装置。

Claims (9)

  1. 電気泳動素子を用いてバリア部と光透過部とを電子制御により発生させる調光部と、
    前記バリア部の発生位置から所定距離を隔てて表示画面が配置され、第1画素と、第2画素と、が少なくとも一方向に交互に配列されており、前記第1画素が表示する第1画像と前記第2画素が表示する第2画像とを前記表示画面に出力表示可能な表示部と、
    を含むことを特徴とする表示素子。
  2. 請求項1に記載の表示素子において、
    前記電気泳動素子は、
    複数の画素を有し、
    前記画素は、
    第1基板と、
    前記第1基板上に設けられた平面状の第1電極と、
    前記第1電極側に、前記第1基板に対向して設けられた透明な第2基板と、
    前記第1及び第2基板間に狭持された流体中に、荷電をもつ少なくとも1種の電気泳動粒子を含む分散層と、
    前記第1及び第2基板間の領域のうち、前記第1電極の周囲に設けられた第2電極と、
    を含み、
    前記第1電極が透明電極で構成されていることを特徴とする表示素子。
  3. 請求項1又は2に記載の表示素子において、
    前記調光部は、前記分散層の所定位置の光の透過率を変化させることで、前記バリア部を発生させることを特徴とする表示素子。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の表示素子において、
    前記調光部は、前記表示部が3次元画像或いは多画面画像を表示する際に、前記バリア部を発生させることを特徴とする表示素子。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の表示素子において、
    前記調光部は、前記表示部が単なる2次元画像を表示する際には、前記バリア部の発生を停止してバリア発生面が無色透明のパネルとなることを特徴とする表示素子。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の表示素子において、
    前記調光部は、前記バリア部の数、幅、開口比及び間隔を含む形状や発生位置を指示入力に応じて自在に可変制御する制御部を有することを特徴とする表示素子。
  7. 請求項6に記載の表示素子において、
    前記制御部は、前記調光部を直流駆動で制御することを特徴とする表示素子。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の表示素子において、
    前記表示部は、対向する2電極間に電気光学物質層を有した調光型素子であることを特徴とする表示素子。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の表示素子において、
    前記表示部は、対向する2電極間に電気光学物質層を有した自発光型素子であることを特徴とする表示素子。
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