移動平均は、現在のデータとその前後のデータとの平均値(移動平均値)を求めて、この移動平均値を現在のデータと置き換えて使用するものである。このため、前後にデータがないものについては移動平均値を求めることができない。従って、上記特許文献1及び2に記載のように、オートフォーカスの評価値に移動平均をかけると、移動平均前に比べて評価値のデータ数が減少し、合焦検出の対象となる距離範囲が狭くなってしまうという問題がある。更に、移動平均演算に必要なデータ数を確保するために合焦検出の処理が遅くなることがある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、移動平均値を用いることにより、合焦検出が可能な範囲が狭くなったり、合焦検出処理が遅くなる問題を解決するとともに、焦点検出の精度を向上することが可能な焦点調節装置及び焦点調節方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る焦点調節装置は、フォーカス光学系を含む撮影手段によって撮影された被写体の画像信号を取得する画像取得手段と、前記画像信号から焦点評価値を算出する焦点評価値算出手段と、前記フォーカスレンズを所定の検出ポイントに移動させて、各検出ポイントにおける焦点評価値を取得する焦点評価値取得手段と、各検出ポイントにおける焦点評価値の移動平均を算出する移動平均算出手段と、撮影条件に応じて移動平均前の焦点評価値と移動平均後の焦点評価値のどちらか一方を選択して、選択した焦点評価値を用いて合焦位置の検出を行う合焦検出手段とを備えることを特徴とする。
本発明の第1の態様によれば、移動平均後評価値で合焦検出を行う必要がある撮影条件の場合のみ、移動平均を実施することで、移動平均をとることによりサーチ範囲が狭まる弊害を最小限に抑えつつ、移動平均後評価値を用いることによる効果を得ることができる。
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様に係る焦点調節装置において、前記画像信号から前記被写体の測光を行う測光手段を更に備え、前記合焦検出手段は、前記被写体の測光結果に応じて移動平均前の焦点評価値と移動平均後の焦点評価値のどちらか一方を選択して合焦位置の検出を行うことを特徴とする。
本発明の第2の態様によれば、移動平均後評価値で合焦検出を行う必要がある被写体輝度の場合のみ、移動平均を実施することで、移動平均をとることによりサーチ範囲が狭まる弊害を最小限に抑えつつ、移動平均後評価値を用いることによる効果を得ることができる。
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様に係る焦点調節装置において、前記画像信号にかけるゲイン量を設定するゲイン量設定手段を更に備え、前記合焦検出手段は、前記ゲイン量設定手段によって設定されたゲイン量に応じて移動平均前の焦点評価値と移動平均後の焦点評価値のどちらか一方を選択して合焦位置の検出を行うことを特徴とする。
本発明の第3の態様によれば、被写体輝度が暗く、画像信号にかけるゲインアップ量が高いためにノイズ成分が大きい場合にのみ、移動平均後評価値を用いて合焦検出を行うことで、移動平均の弊害を最小限に抑えつつ、移動平均後評価値を用いることによる効果を得ることができる。
本発明の第4の態様に係る焦点調節装置は、フォーカス光学系を含む撮影手段によって撮影された被写体の画像信号を取得する画像取得手段と、前記画像信号から焦点評価値を算出する焦点評価値算出手段と、前記フォーカスレンズを所定の検出ポイントに移動させて、各検出ポイントにおける焦点評価値を取得する焦点評価値取得手段と、各検出ポイントにおける焦点評価値の移動平均を算出する移動平均算出手段と、移動平均前の焦点評価値と移動平均後の焦点評価値のどちらか一方を選択して、選択した焦点評価値を用いて合焦位置の検出を行った結果、合焦位置が検出できなかった場合に、他方の焦点評価値を用いて合焦位置の検出を行う合焦検出手段とを備えることを特徴とする。
本発明の第4の態様によれば、必要な場合にのみ2種類の焦点評価値を使用して合焦判定を行うことにより、移動平均後評価値を用いることによる弊害を抑えつつ、より合焦位置が検出される確率を上げることができ、AF性能を向上させることができる。
本発明の第5の態様は、本発明の第4の態様に係る焦点調節装置において、前記合焦検出手段は、最初に移動平均前の焦点評価値を用いて合焦位置の検出を行った結果、合焦位置が検出できなかった場合に、移動平均後の焦点評価値を用いて合焦位置の検出を再度行うことを特徴とする。
本発明の第6の態様は、本発明の第4の態様に係る焦点調節装置において、前記画像信号から前記被写体の測光を行う測光手段を更に備え、前記合焦検出手段は、前記被写体の測光結果に応じて移動平均前の焦点評価値と移動平均後の焦点評価値のどちらを合焦位置の検出に最初に使用するかを決定することを特徴とする。
本発明の第7の態様は、本発明の第4の態様に係る焦点調節装置において、前記画像信号にかけるゲイン量を設定するゲイン量設定手段を更に備え、前記合焦検出手段は、前記ゲイン量設定手段によって設定されたゲイン量に応じて移動平均前の焦点評価値と移動平均後の焦点評価値のどちらを合焦位置の検出に最初に使用するかを決定することを特徴とする。
本発明の第8の態様に係る焦点調節装置は、フォーカス光学系を含む撮影手段によって撮影された被写体の画像信号を取得する画像取得手段と、前記画像信号から焦点評価値を算出する焦点評価値算出手段と、前記フォーカスレンズを移動させるサーチ範囲を設定するサーチ範囲設定手段と、前記フォーカスレンズを前記サーチ範囲内の所定の検出ポイントに移動させて、各検出ポイントにおける焦点評価値を取得する焦点評価値取得手段と、撮影条件に応じて前記焦点評価値の移動平均の算出を行うかどうかを判定する判定手段と、前記判定手段によって移動平均の算出を行うと判定された場合に、前記サーチ範囲の端点及び該端点の近傍の検出ポイントにおける焦点評価値の移動平均を算出するのに必要な分だけ前記サーチ範囲を拡大するサーチ範囲拡大手段と、各検出ポイントにおける焦点評価値の移動平均を算出する移動平均算出手段と、前記判定手段による判定結果に応じて、移動平均前の焦点評価値と移動平均後の焦点評価値のどちらか一方を選択して、選択した焦点評価値を用いて合焦位置の検出を行う合焦検出手段とを備えることを特徴とする。
本発明の第8の態様によれば、移動平均を実施することで、サーチ開始位置及びサーチ終了位置側のAF評価値のデータ数が減ってしまう問題を解決でき、移動平均後評価値を用いる場合でも移動平均前評価値を用いる場合と同じサーチ範囲を確保できる。
本発明の第9の態様に係る焦点調節装置は、フォーカス光学系を含む撮影手段によって撮影された被写体の画像信号を取得する画像取得手段と、前記画像信号から焦点評価値を算出する焦点評価値算出手段と、前記フォーカスレンズを移動させるサーチ範囲を設定するサーチ範囲設定手段と、前記フォーカスレンズを前記サーチ範囲内の所定の検出ポイントに移動させて、各検出ポイントにおける焦点評価値を取得する焦点評価値取得手段と、撮影条件に応じて前記焦点評価値の移動平均の算出を行うかどうかを判定する判定手段と、各検出ポイントにおける焦点評価値の移動平均を算出する移動平均算出手段であって、前記判定手段によって移動平均の算出を行うと判定された場合に、前記サーチ範囲の端点及び該端点の近傍の検出ポイントのうち、移動平均の算出に必要な焦点評価値のデータが無い検出ポイントについては、移動平均前の焦点評価値を移動平均後の焦点評価値として代用する移動平均算出手段と、前記判定手段による判定結果に応じて、移動平均前の焦点評価値と移動平均後の焦点評価値のどちらか一方を選択して、選択した焦点評価値を用いて合焦位置の検出を行う合焦検出手段とを備えることを特徴とする。
本発明の第9の態様によれば、前後のデータが欠けているために移動平均後評価値を作成できないフォーカス位置の移動平均後評価値を移動平均前評価値で代用することにより、サーチ開始位置及びサーチ終了位置側の焦点評価値のデータ数が減ってしまう問題を解決することができる。
本発明の第10の態様は、本発明の第1から9の態様に係る焦点調節装置において、前記合焦検出手段は、前記移動平均後の焦点評価値を用いて合焦位置の検出を行った場合に、前記フォーカスレンズを移動するサーチ範囲の端点又は該端点の近傍に焦点評価値のピーク値を検出すると、前記移動平均前の焦点評価値を用いて合焦位置の検出を再度行うことを特徴とする。
本発明の第11の態様に係る焦点調節装置は、フォーカス光学系を含む撮影手段によって撮影された被写体の画像信号を取得する画像取得手段と、前記画像信号から焦点評価値を算出する焦点評価値算出手段と、前記フォーカスレンズを所定の検出ポイントに移動させて、各検出ポイントにおける焦点評価値を取得する焦点評価値取得手段と、各検出ポイントにおける焦点評価値の移動平均を算出する移動平均算出手段と、移動平均後の焦点評価値を用いて合焦位置の検出を行った場合に、前記フォーカスレンズを移動するサーチ範囲の端点又は該端点の近傍に焦点評価値のピーク値を検出すると、移動平均前の焦点評価値を用いて合焦位置の検出を再度行う合焦検出手段とを備えることを特徴とする。
本発明の第10及び11の態様によれば、移動平均後評価値を用いることにより合焦判定の制度を向上させるとともに、移動平均をとることによりサーチ範囲が狭まって、サーチ範囲のサーチ開始位置及びサーチ終了位置近傍に合焦位置がある場合における合焦制度の低下を回避することができる。
本発明の第12の態様に係る焦点調節装置は、フォーカス光学系を含む撮影手段によって撮影された被写体の画像信号を取得する画像取得手段と、前記画像信号から焦点評価値を算出する焦点評価値算出手段と、前記フォーカスレンズを所定の検出ポイントに移動させて、各検出ポイントにおける焦点評価値を取得する焦点評価値取得手段と、各検出ポイントにおける焦点評価値の移動平均を算出する移動平均算出手段と、移動平均前の焦点評価値と移動平均後の焦点評価値のどちらか一方を選択して、選択した焦点評価値を用いて焦点評価値のピーク値を検出するピーク値検出手段と、前記ピーク値が検出されると、前記焦点評価値の取得を中断する中断制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明の第12の態様によれば、撮影条件に応じて移動平均後評価値を使用することにより、移動平均によりAFサーチ中断判定のタイミングが遅れて、合焦検出処理を高速化することができる。
本発明の第13の態様は、本発明の第12の態様に係る焦点調節装置において、前記画像信号から前記被写体の測光を行う測光手段を更に備え、前記ピーク値検出手段は、前記被写体の測光結果に応じて移動平均前の焦点評価値と移動平均後の焦点評価値のどちらか一方を選択して前記ピーク値の検出を行うことを特徴とする。
本発明の第13の態様によれば、被写体輝度が暗い場合のように、移動平均前評価値ではノイズが多くピーク値が検出されにくく、AFサーチの中断判定がされにくい条件でのみ移動平均後評価値を使用することにより、移動平均によりAFサーチ中断判定を高速化することができる。
本発明の第14の態様は、本発明の第12の態様に係る焦点調節装置において、前記画像信号にかけるゲイン量を設定するゲイン量設定手段を更に備え、前記ピーク値検出手段は、前記ゲイン量設定手段によって設定されたゲイン量に応じて移動平均前の焦点評価値と移動平均後の焦点評価値のどちらか一方を選択して前記ピーク値の検出を行うことを特徴とする。
本発明の第14の態様によれば、被写体輝度が暗く、ゲイン制御回路28におけるゲインアップ量が大きい場合のように、移動平均前評価値では合焦位置が検出されにくく、AFサーチの中断判定がされにくい条件でのみ移動平均後評価値を使用することにより、移動平均によりAFサーチ中断判定を高速化することができる。
本発明の第15の態様に係る焦点調節装置は、フォーカス光学系を含む撮影手段によって撮影された被写体の画像信号を取得する画像取得手段と、前記画像信号から焦点評価値を算出する焦点評価値算出手段と、前記フォーカスレンズを所定の検出ポイントに移動させて、各検出ポイントにおける焦点評価値を取得する焦点評価値取得手段と、各検出ポイントにおける焦点評価値の移動平均を算出する移動平均算出手段と、移動平均前の焦点評価値と移動平均後の焦点評価値のどちらか一方を選択して、選択した焦点評価値を用いてピーク値の検出を行った結果、前記ピーク値が検出できなかった場合に、他方の焦点評価値を用いて前記ピーク値の検出を行うピーク値検出手段と、前記ピーク値が検出されると、前記焦点評価値の取得を中断する中断制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明の第15の態様によれば、被写体輝度が暗い場合のように、移動平均前評価値では合焦位置が検出されにくく、AFサーチの中断判定がされにくい条件下で移動平均後評価値を優先して使用することにより、移動平均によりAFサーチ中断判定を高速化することができる。
本発明の第16の態様は、本発明の第15の態様に係る焦点調節装置において、前記ピーク値検出手段は、最初に移動平均前の焦点評価値を用いてピーク値の検出を行った結果、前記ピーク値が検出できなかった場合に、移動平均後の焦点評価値を用いてピーク値の検出を再度行うことを特徴とする。
本発明の第17の態様は、本発明の第15又は16の態様に係る焦点調節装置において、前記画像信号から前記被写体の測光を行う測光手段を更に備え、前記ピーク値検出手段は、前記被写体の測光結果に応じて移動平均前の焦点評価値と移動平均後の焦点評価値のどちらをピーク値の検出に最初に使用するかを決定することを特徴とする。
本発明の第18の態様は、本発明の第15又は16の態様に係る焦点調節装置において、前記画像信号にかけるゲイン量を設定するゲイン量設定手段を更に備え、前記ピーク値検出手段は、前記ゲイン量設定手段によって設定されたゲイン量に応じて移動平均前の焦点評価値と移動平均後の焦点評価値のどちらをピーク値の検出に最初に使用するかを決定することを特徴とする。
本発明の第19の態様に係る焦点調節装置は、フォーカス光学系を含む撮影手段によって撮影された被写体の画像信号を取得する画像取得手段と、前記画像信号から焦点評価値を算出する焦点評価値算出手段と、前記フォーカスレンズを移動させるサーチ範囲を設定するサーチ範囲設定手段と、前記フォーカスレンズを前記サーチ範囲内の所定の検出ポイントに移動させて、各検出ポイントにおける焦点評価値を取得する焦点評価値取得手段と、各検出ポイントにおける焦点評価値の移動平均を算出する移動平均算出手段と、中断制御用の焦点評価値を用いてピーク値の検出を行うピーク値検出手段と、前記中断制御用の焦点評価値に基づいてピーク値が検出されると、前記焦点評価値の取得を中断する中断制御手段とを備え、前記ピーク値算出手段は、前記フォーカスレンズが現在位置している検出ポイントにおいて算出された移動平均前の焦点評価値を一旦、移動平均後の焦点評価値とし、過去の検出ポイントにおいて、移動平均に必要な回数の焦点評価値のデータが得られた段階で、移動平均を算出し移動平均後の焦点評価値とすることで得られる移動平均後の焦点評価値を中断制御用の焦点評価値として用いることを特徴とする。
本発明の第19の態様によれば、前後のデータが欠けているために移動平均後評価値を作成できないフォーカス位置の移動平均後評価値を移動平均前評価値で代用することにより、サーチ開始位置及びサーチ終了位置側のAF評価値のデータ数が減ってしまう問題を解決することができる。
また、移動平均後評価値は、現在のフォーカス位置の1サーチステップ以上前のものしか算出できないため、移動平均後評価値を用いたサーチ中断判定では、現在のフォーカス位置の1サーチステップ以上前の移動平均後評価値を用いることになる。従って、現在のフォーカス位置に対してサーチ中断判定が遅れてタイムロスが発生する。上記第19の態様によれば、現在のフォーカス位置の移動平均前評価値を移動平均後評価値として代用することにより移動平均後評価値の算出のステップ遅れが発生しない。
本発明の第20の態様に係る焦点調節方法は、フォーカス光学系を含む撮影手段によって撮影された被写体の画像信号を取得する画像取得工程と、前記画像信号から焦点評価値を算出する焦点評価値算出工程と、前記フォーカスレンズを所定の検出ポイントに移動させて、各検出ポイントにおける焦点評価値を取得する焦点評価値取得工程と、各検出ポイントにおける焦点評価値の移動平均を算出する移動平均算出工程と、撮影条件に応じて移動平均前の焦点評価値と移動平均後の焦点評価値のどちらか一方を選択して、選択した焦点評価値を用いて合焦位置の検出を行う合焦検出工程とを備えることを特徴とする。
本発明の第21の態様に係る焦点調節方法は、フォーカス光学系を含む撮影手段によって撮影された被写体の画像信号を取得する画像取得工程と、前記画像信号から焦点評価値を算出する焦点評価値算出工程と、前記フォーカスレンズを所定の検出ポイントに移動させて、各検出ポイントにおける焦点評価値を取得する焦点評価値取得工程と、各検出ポイントにおける焦点評価値の移動平均を算出する移動平均算出工程と、移動平均前の焦点評価値と移動平均後の焦点評価値のどちらか一方を選択して、選択した焦点評価値を用いて合焦位置の検出を行った結果、合焦位置が検出できなかった場合に、他方の焦点評価値を用いて合焦位置の検出を行う合焦検出工程とを備えることを特徴とする。
本発明の第22の態様に係る焦点調節方法は、フォーカス光学系を含む撮影手段によって撮影された被写体の画像信号を取得する画像取得工程と、前記画像信号から焦点評価値を算出する焦点評価値算出工程と、前記フォーカスレンズを移動させるサーチ範囲を設定するサーチ範囲設定工程と、前記フォーカスレンズを前記サーチ範囲内の所定の検出ポイントに移動させて、各検出ポイントにおける焦点評価値を取得する焦点評価値取得工程と、撮影条件に応じて前記焦点評価値の移動平均の算出を行うかどうかを判定する判定工程と、前記判定工程において移動平均の算出を行うと判定された場合に、前記サーチ範囲の端点及び該端点の近傍の検出ポイントにおける焦点評価値の移動平均を算出するのに必要な分だけ前記サーチ範囲を拡大するサーチ範囲拡大工程と、各検出ポイントにおける焦点評価値の移動平均を算出する移動平均算出工程と、前記判定工程における判定結果に応じて、移動平均前の焦点評価値と移動平均後の焦点評価値のどちらか一方を選択して、選択した焦点評価値を用いて合焦位置の検出を行う合焦検出工程とを備えることを特徴とする。
本発明の第23の態様に係る焦点調節方法は、フォーカス光学系を含む撮影手段によって撮影された被写体の画像信号を取得する画像取得工程と、前記画像信号から焦点評価値を算出する焦点評価値算出工程と、前記フォーカスレンズを移動させるサーチ範囲を設定するサーチ範囲設定工程と、前記フォーカスレンズを前記サーチ範囲内の所定の検出ポイントに移動させて、各検出ポイントにおける焦点評価値を取得する焦点評価値取得工程と、撮影条件に応じて前記焦点評価値の移動平均の算出を行うかどうかを判定する判定工程と、各検出ポイントにおける焦点評価値の移動平均を算出する移動平均算出工程であって、前記判定工程において移動平均の算出を行うと判定された場合に、前記サーチ範囲の端点及び該端点の近傍の検出ポイントのうち、移動平均の算出に必要な焦点評価値のデータが無い検出ポイントについては、移動平均前の焦点評価値を移動平均後の焦点評価値として代用する移動平均算出工程と、前記判定工程における判定結果に応じて、移動平均前の焦点評価値と移動平均後の焦点評価値のどちらか一方を選択して、選択した焦点評価値を用いて合焦位置の検出を行う合焦検出工程とを備えることを特徴とする。
本発明の第24の態様に係る焦点調節方法は、フォーカス光学系を含む撮影手段によって撮影された被写体の画像信号を取得する画像取得工程と、前記画像信号から焦点評価値を算出する焦点評価値算出工程と、前記フォーカスレンズを所定の検出ポイントに移動させて、各検出ポイントにおける焦点評価値を取得する焦点評価値取得工程と、各検出ポイントにおける焦点評価値の移動平均を算出する移動平均算出工程と、移動平均後の焦点評価値を用いて合焦位置の検出を行った場合に、前記フォーカスレンズを移動するサーチ範囲の端点又は該端点の近傍に焦点評価値のピーク値を検出すると、移動平均前の焦点評価値を用いて合焦位置の検出を再度行う合焦検出工程とを備えることを特徴とする。
本発明の第25の態様に係る焦点調節方法は、フォーカス光学系を含む撮影手段によって撮影された被写体の画像信号を取得する画像取得工程と、前記画像信号から焦点評価値を算出する焦点評価値算出工程と、前記フォーカスレンズを所定の検出ポイントに移動させて、各検出ポイントにおける焦点評価値を取得する焦点評価値取得工程と、各検出ポイントにおける焦点評価値の移動平均を算出する移動平均算出工程と、移動平均前の焦点評価値と移動平均後の焦点評価値のどちらか一方を選択して、選択した焦点評価値を用いて焦点評価値のピーク値を検出するピーク値検出工程と、前記ピーク値が検出されると、前記焦点評価値の取得を中断する中断制御工程とを備えることを特徴とする。
本発明の第26の態様に係る焦点調節方法は、フォーカス光学系を含む撮影手段によって撮影された被写体の画像信号を取得する画像取得工程と、前記画像信号から焦点評価値を算出する焦点評価値算出工程と、前記フォーカスレンズを所定の検出ポイントに移動させて、各検出ポイントにおける焦点評価値を取得する焦点評価値取得工程と、各検出ポイントにおける焦点評価値の移動平均を算出する移動平均算出工程と、移動平均前の焦点評価値と移動平均後の焦点評価値のどちらか一方を選択して、選択した焦点評価値を用いてピーク値の検出を行った結果、前記ピーク値が検出できなかった場合に、他方の焦点評価値を用いて前記ピーク値の検出を行うピーク値検出工程と、前記ピーク値が検出されると、前記焦点評価値の取得を中断する中断制御工程とを備えることを特徴とする。
本発明の第27の態様に係る焦点調節方法は、フォーカス光学系を含む撮影手段によって撮影された被写体の画像信号を取得する画像取得工程と、前記画像信号から焦点評価値を算出する焦点評価値算出工程と、前記フォーカスレンズを移動させるサーチ範囲を設定するサーチ範囲設定工程と、前記フォーカスレンズを前記サーチ範囲内の所定の検出ポイントに移動させて、各検出ポイントにおける焦点評価値を取得する焦点評価値取得工程と、各検出ポイントにおける焦点評価値の移動平均を算出する移動平均算出工程と、中断制御用の焦点評価値を用いてピーク値の検出を行うピーク値検出工程と、前記中断制御用の焦点評価値に基づいてピーク値が検出されると、前記焦点評価値の取得を中断する中断制御工程と、前記ピーク値算出工程では、前記フォーカスレンズが現在位置している検出ポイントにおいて算出された移動平均前の焦点評価値を一旦、移動平均後の焦点評価値とし、過去の検出ポイントにおいて、移動平均に必要な回数の焦点評価値のデータが得られた段階で、移動平均を算出し移動平均後の焦点評価値とすることで得られる移動平均後の焦点評価値を中断制御用の焦点評価値として用いることを特徴とする。
本発明によれば、移動平均後評価値で合焦検出を行う必要がある撮影条件(被写体輝度、ゲインアップ量)の場合のみ、移動平均を実施することで、移動平均をとることによりサーチ範囲が狭まる弊害を最小限に抑えつつ、移動平均後評価値を用いることによる効果を得ることができる。
以下、添付図面に従って本発明に係る焦点調節装置及び焦点調節方法の好ましい実施の形態について説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る焦点調節装置を備えた撮影装置の主要構成を示すブロック図である。図1に示すように、撮影装置10(以下、カメラ10という)は、静止画及び動画の記録及び再生機能を備えた電子カメラである。中央処理装置(CPU)66は、所定のプログラムに従ってカメラ10全体の動作を制御するとともに、自動露出(AE)演算、自動焦点調節(AF)演算、ホワイトバランス(WB)調整演算等の各種演算を実施する。電源回路40は、本カメラシステムの各ブロックに電源を供給する。
CPU66には、システムバス52を介してフラッシュROM54及びSDRAM56が接続されている。フラッシュROM54には、CPU66が実行するプログラム及び制御に必要な各種データ、カメラ動作に関する各種定数/情報、ユーザ設定情報等のカメラ10の動作に関する各種設定情報等が格納されている。SDRAM56には、プログラムの展開領域、CPU66の演算作業用領域、及び画像データや音声データの一時記憶領域が設けられている。
操作部68は、電源スイッチ、モード選択スイッチ、撮影モード切替スイッチ、レリーズスイッチ、メニュー/OKキー、十字キー、キャンセルキーを含んでいる。操作部68からの信号はCPU66に入力され、CPU66は操作部68からの入力信号に基づいてカメラ10の各回路を制御し、例えば、レンズ駆動制御、撮影動作制御、画像処理制御、画像データの記録/再生制御、表示部74の表示制御等を行う。
電源スイッチは、カメラ10の電源のオン・オフを切り替えるための操作手段である。
モード選択スイッチは、撮影モードと再生モードとを切り替えるための操作手段である。
撮影モード切替スイッチは、カメラ10の撮影モードを切り替える操作手段である。カメラ10の撮影モードは、例えば、シーンポジション(例えば、ナチュラルフォト、人物、風景、スポーツ、夜景、水中撮影、接写(花等)又はテキスト文章撮影)に応じてフォーカスや露出を最適化して撮影するためのシーンポジションモード、被写体の顔を検出する顔検出モード、フォーカス及び露出を自動的に設定するオートモード、フォーカス及び露出をマニュアルで設定可能なマニュアルモード及び動画撮影モードの間で切り替えられる。
レリーズスイッチは、撮影開始の指示を入力する操作手段であり、半押し時にオンするS1スイッチと、全押し時にオンするS2スイッチとを有する2段ストローク式のスイッチで構成されている。
メニュー/OKキーは、表示部74の画面上にメニューを表示させる指令を行うためのメニューボタンとしての機能と、選択内容の確定及び実行等を指令するOKボタンとしての機能とを兼備した操作キーである。
十字キーは、上下左右の4方向の指示を入力する操作部であり、メニュー画面から項目を選択したり、各メニューから各種設定項目の選択を指示したりする操作手段(カーソル移動操作手段)である。また、十字キーの上キー及び下キーは撮影モード時のズームスイッチあるいは再生モード時の再生ズームスイッチとして機能し、左キー及び右キーは再生モード時のコマ送り(順方向/逆方向送り)ボタンとして機能する。
キャンセルキーは、選択項目等所望の対象の消去や指示内容の取り消し、あるいは1つ前の操作状態に戻す時等に使用される。
フラッシュボタンは、フラッシュモードを切り替えるためのボタンであり、撮影モードの下、フラッシュボタンを押圧操作することにより、フラッシュモードが、フラッシュ発光/発光禁止の各モードに設定される。
表示部74は、カラー表示可能な液晶モニタ(LCD)で構成されている。表示部74は、撮影時に画角確認用の電子ファインダとして使用できるとともに、記録済み画像を再生表示する手段として利用される。また、表示部74は、ユーザインターフェース用の表示画面としても利用され、メニュー情報や選択項目、設定内容等の情報が表示される。なお、表示部74としては、液晶モニタのほか、有機EL(electro-luminescence)等の他の方式の表示装置を用いることも可能である。
カメラ10には記録メディア62を着脱可能に装着することができる。記録メディア62の形態は特に限定されず、xDピクチャカード(登録商標)、スマートメディア(登録商標)に代表される半導体メモリカード、可搬型小型ハードディスク、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等、種々の媒体を用いることができる。メディア制御部60は、カメラ10に装着される記録メディア60に適した入出力信号の受渡しを行うために所要の信号変換を行う。
タイマ58は、時間を計時するための手段であり、例えば、タイマ撮影時に用いられる。
また、カメラ10は、パーソナルコンピュータその他の外部機器と接続するための通信手段として外部接続インターフェース部(外部接続I/F)76を備えている。カメラ10は、外部接続I/F76を介して外部機器と接続されると、当該外部機器との間でデータの受渡しが可能となる。なお、カメラ10と外部機器との間の通信方式としては、例えば、USB、IEEE1394やBluetooth(登録商標)等を採用することができる。
次に、カメラ10の撮影機能について説明する。モード選択スイッチによって撮影モードが選択されると、撮像素子22を含む撮影部に電源が供給され、撮影可能な状態になる。
撮像素子22は、カラーCCD固体撮像素子である。以下、撮像素子22をCCD22という。なお、本実施形態では、撮像素子22としては、例えば、CMOSのような他の固体撮像素子を用いてもよい。
レンズユニット12は、フォーカスレンズ14、ズームレンズ16、絞り18及びシャッタ20を含む光学ユニットである。CPU66は、レンズドライバ34に制御信号を出力して、フォーカスレンズ14を駆動させてその位置(フォーカス位置)を移動させることによりフォーカシングを行う。また、CPU66は、レンズドライバ34に制御信号を出力して、ズームレンズ16を駆動させてその位置(ズーム位置)を移動させることによりズーミングを行う。絞り18は、いわゆるターレット型絞りで構成されており、F2.8からF8の絞り孔が穿孔されたターレット板を回転させることにより絞り値(F値)が変化する。CPU66は、レンズドライバ34に制御信号を出力して絞り値を制御する。また、CPU66は、タイミングジェネレータ(TG)32からの駆動パルスに基づいてシャッタ20の開閉のタイミングを制御する。
レンズユニット12を通過した光は、CCD22の受光面に結像される。CCD22の受光面には多数の受光素子(例えば、フォトダイオード)が2次元的に配列されており、各受光素子に対応して赤(R)、緑(G)、青(B)の原色カラーフィルタが所定の配列構造で配置されている。CCD22は、各受光素子の電荷蓄積時間(シャッタスピード)を制御する電子シャッタ機能を有している。CPU66は、TG32からの駆動パルスに基づいてCCD22における電荷蓄積時間を制御する。また、CPU66は、CCD22のOFD(Overflow Drain)の電位を制御して、CCD22の受光素子に蓄積される信号電荷の上限値を調整する。
CCD22の受光面に結像された被写体像は、各受光素子によって入射光量に応じた量の信号電荷に変換される。各受光素子に蓄積された信号電荷は、CPU66の指令に従いTG32から与えられる駆動パルスに基づいて信号電荷に応じたアナログの電圧信号(R、G、B信号)として順次読み出される。
CCD22から読み出されたアナログの電圧信号は、アナログ信号処理部(CDS/AMP)24に入力される。アナログ信号処理部24に入力されたアナログの電圧信号は、CDS26によってサンプリングホールド(相関2重サンプリング処理)されて、ゲイン制御回路28によって増幅された後、A/D変換器30によってA/D変換される。ゲイン制御回路28におけるR、G、B信号の増幅ゲイン(ゲインアップ量)は、撮影感度(ISO感度)に相当する。CPU66は、このゲインアップ量を調整することにより撮影感度を設定する。A/D変換器30によってデジタル信号に変換された点順次のR、G、B信号は、RAWデータとしてデジタル信号処理部42に入力され、画像バッファ44を介してSDRAM56に記憶される。
SDRAM56に記憶されたR、G、B信号は、同時化処理(単板CCDのカラーフィルタ配列に伴う色信号の空間的なズレを補間して色信号を同時式に変換する処理)が行われた後、YC処理部46によって輝度信号(Y信号)及び色差信号(Cr、Cb信号)に変換されるとともに、階調変換処理(例えば、ガンマ補正)、輪郭補正回路等の所定の処理が施される。
撮影画像を表示部74にモニタ出力する場合、SDRAM56から画像データが読み出され、システムバス52を介してエンコーダ70に送られる。エンコーダ70は、入力された画像データを表示用の所定方式のビデオ信号(例えば、NTSC方式のカラー複合画像信号)に変換して表示部74に出力する。
ライブビュー画像(スルー画)を表示部74にモニタ出力する場合には、CCD22から出力される画像信号によって、1コマ分の画像を表す画像データがSDRAM56のA領域とB領域とで交互に書き換えられる。SDRAM56のA領域及びB領域のうち、画像データが書き換えられている方の領域以外の領域から、書き込まれている画像データが読み出される。このようにしてSDRAM56内の画像データが定期的に書き換えられ、その画像データから生成される画像信号が表示部74に供給されることにより、撮影中の画像がリアルタイムに表示部74に表示される。撮影者は、表示部74に表示されるスルー画によって撮影画角を確認できる。
レリーズスイッチが半押しされると(S1オン)、CCD22から出力された画像信号はA/D変換後に画像バッファ44を介してAE・AWB検出回路48並びにAF検出回路50に入力され、自動露出処理(AE処理)及び自動焦点調節処理(AF処理)が開始される。
AE・AWB検出回路48は、1画面を複数の分割エリア(例えば、8×8又は16×16)に分割し、この分割エリアごとにR、G、B信号を積算し、その積算値をCPU66に提供する。CPU66は、AE・AWB検出回路48によって得られた積算値に基づいて被写体の明るさ(被写体輝度)を検出し、撮影に適した露出値(撮影EV値)を算出する。CPU66は、求めた露出値と所定のプログラム線図に従って、絞り値とシャッタスピードを決定し、また、オートモードの場合に、フラッシュ発光モード/非発光モードの設定を行う。これにより、CCD22の電子シャッタ機能、絞り18及びフラッシュ発光が制御されて適正な露光量を得る。更に、CPU66は、AE・AWB検出回路48によって得られた積算値に基づいて検出した被写体輝度に基づいてAFサーチ時における露出(例えば、シャッタスピード、絞り値、フレームレート、ゲインアップ量(撮影感度))を決定する。
CPU66は、フラッシュ発光モードに設定された場合にフラッシュ制御回路38にコマンドを送って動作させる。フラッシュ制御回路38は、フラッシュ発光部36(放電管)を発光させるための電流を供給するためのメインコンデンサを含んでおり、CPU66からのフラッシュ発光指令に従ってメインコンデンサの充電制御、フラッシュ発光部36への放電(発光)のタイミング及び放電時間の制御等を行う。なお、フラッシュ発光部36としては、放電管に代えて発光ダイオード(LED)を用いることも可能である。
また、AE・AWB検出回路48は、自動ホワイトバランス調整時に、分割エリアごとにR、G、B信号の色別の平均積算値を算出し、その算出結果をCPU66に提供する。CPU66は、Rの積算値、Bの積算値、Gの積算値を得て、分割エリアごとにR/G及びB/Gの比を求め、これらR/G、B/Gの値のR/G、B/G軸座標の色空間における分布等に基づいて光源種判別を行い、判別された光源種に応じてホワイトバランス調整回路のR、G、B信号に対するゲイン値(ホワイトバランスゲイン)を制御し、各色チャンネルの信号に補正をかける。
カメラ10におけるAF制御は、例えば、画像信号のG信号の高周波成分が極大になるようにフォーカスレンズ14を移動させるコントラストAFが適用される。即ち、AF検出回路50は、G信号の高周波成分のみを通過させるハイパスフィルタ、絶対値化処理部、画面内(例えば、画面中央部)にあらかじめ設定されているフォーカス対象エリア内の信号を切り出すAFエリア抽出部及びAFエリア内の絶対値データを積算する積算部から構成される。
AF検出回路50により求められた積算値のデータはCPU66に通知される。CPU66は、フォーカスレンズ14を駆動して移動させながら、AF検出ポイントごとにAF用RAWデータを取得する。AF検出回路50は、AF検出ポイントごとのAF用RAWデータから焦点評価値(AF評価値)を演算してSDRAM56に格納する。CPU66は、AF評価値を用いて、移動平均後評価値作成処理、AFサーチ中断判定、合焦判定及び合焦演算を行う。具体的には、CPU66は、AF評価値又は移動平均後評価値が極大となるフォーカス位置を検出して合焦位置として決定する。そして、CPU66は、合焦位置が検出できた場合には、求めた合焦位置にフォーカスレンズ14を移動させ、合焦位置が検出できなかった場合には、フォーカスレンズ14をパーン位置(パーンフォーカス位置)に移動させる。なお、AF評価値の演算はG信号を利用する態様に限らず、輝度信号(Y信号)を利用してもよい。
レリーズスイッチが半押しされ(S1オン)、AE処理及びAF処理が行われた後、レリーズスイッチが全押しされると(S2オン)、記録用の撮影動作がスタートする。S2オンに応動して取得された画像データはYC処理部46によって輝度/色差信号(Y/C信号)に変換され、ガンマ補正等の所定の処理が施された後、SDRAM56に格納される。
SDRAM56に格納されたY/C信号は、圧縮・伸張回路64によって所定のフォーマットに従って圧縮された後、メディア制御部60を介して記録メディア62に記録される。例えば、静止画についてはJPEG(Joint Photographic Experts Group)形式、動画についてはAVI(Audio Video Interleaving)形式の画像ファイルとして記録される。
モード選択スイッチにより再生モードが選択されると、記録メディア62に記録されている最終の画像ファイル(最後に記録された画像ファイル)の圧縮データが読み出される。最後の記録に係る画像ファイルが静止画ファイルの場合、この読み出された画像圧縮データは、圧縮・伸張回路64によって非圧縮のY/C信号に伸張され、エンコーダ70によって表示用の信号に変換された後、表示部74に出力される。これにより、当該画像ファイルの画像内容が表示部74の画面上に表示される。
静止画の1コマ再生中(動画の先頭フレーム再生中も含む)に、十字キーの右キー又は左キーを操作することによって、再生対象の画像ファイルを切り換えること(順コマ送り/逆コマ送り)ができる。コマ送りされた位置の画像ファイルが記録メディア62から読み出されて表示部74に再生表示される。
次に、本実施形態に係る焦点調節方法について説明する。図2は、S1オン時におけるカメラ10における処理の流れを示すフローチャートである。レリーズスイッチが半押しされると(S1オン)、まず、AE処理が実施されて、被写体輝度が測光され、撮影露出やAFサーチ時の露出が決定される(ステップS10)。次に、AF処理が実施される(ステップS12)。
図3は、本発明の第1の実施形態に係るAF処理の流れを示すフローチャートである。まず、所定のAFサーチ範囲のフォーカス位置(AF検出ポイント)を所定ステップで駆動しながらAF評価値を取得するAFサーチが行われる(ステップS20)。そして、複数のAF検出ポイントで得られたAF評価値に基づいて合焦判定が行われる。ステップS20では、移動平均後のAF評価値データはAFサーチを行いながら算出され、移動平均前のAF評価値とともにSDRAM56に保持される。
次に、AE処理により得られた被写体の測光値が閾値(移動平均判定Ev値)以上かどうか判定され(ステップS22)、移動平均前又は移動平均後のどちらのAF評価値を合焦判定に使用するかが決定される。被写体の測光値が移動平均判定Ev値未満の場合には(ステップS22のNo)、移動平均後のAF評価値(移動平均後評価値)が合焦判定用として選択される(ステップS24)。一方、被写体の測光値が移動平均判定Ev値以上の場合には(ステップS22のYes)、移動平均前のAF評価値(移動平均前評価値)が合焦判定用として選択される(ステップS26)。
次に、合焦判定用として選択されたAF評価値に基づいて合焦判定が実施され(ステップS28)、合焦位置の検出が可能かどうか判定される(ステップS30)。合焦位置が検出されなかった場合には(ステップS30のNo)、フォーカスレンズ14の移動目標位置が事前に決められたパーン位置に設定され(ステップS32)、フォーカスレンズ14が駆動されてパーン位置に移動する(ステップS36)。一方、合焦位置が検出された場合には(ステップS30のYes)、合焦位置が算出され(ステップS34)、フォーカスレンズ14が駆動されて合焦位置に移動し(ステップS36)、AF動作が完了する。
図4は、AFサーチの処理の流れを示すフローチャートである。AFサーチ処理が開始すると、まず、AF露出(例えば、絞り、シャッタスピード、フレームレート及びゲインアップ量(撮影感度))が決定される(ステップS40)。ここで、AF露出は、例えば、AF検出エリアのスポット測光値に基づいて決定される。AF露出は、例えば、撮影露出よりもやや明るめに設定される。
また、合焦判定の対象となるAFサーチ範囲(サーチ開始位置及びサーチ終了位置)を示すAFサーチ範囲及びサーチステップが決定される(ステップS42)。ここで、AFサーチ範囲は、例えば、ズーム位置、撮影モード(シーンポジションモード、マクロモード等)に基づいて決定され、例えば、テキスト撮影モード(白板モード)又はマクロ(接写)モードの場合には狭くなる。また、サーチステップは、ズーム位置、絞り値、焦点深度に基づいて決定される。
次に、フォーカス位置がサーチ開始位置(n=0)に移動し(ステップS44)、サーチ開始位置におけるAF評価値(0)が取得される(ステップS46)。そして、ステップS46からS56が繰り返されて、次のAF検出ポイントのAF評価値(n)が演算され(ステップS46)、移動平均後評価値が作成されるとともに(ステップS48)、サーチ中断判定が実施される(ステップS50)。AF評価値のピーク(合焦位置)が検出されておらず(ステップS52のNo)、フォーカス位置がサーチ終了位置を超えていない場合には(ステップS54のNo)、フォーカスレンズ14が駆動されてフォーカス位置がサーチステップ分移動し(ステップS56)、移動したフォーカス位置におけるAF評価値が取得される(ステップS46)。
そして、ステップS46からS56において、各フォーカス位置(n=0,1,…)におけるAF評価値(AF評価値(0)、AF評価値(1)、…)のピークが検出されてAFサーチ処理を中断する場合(ステップS52のYes)、又はフォーカス位置がサーチ終了位置を超えた場合には(ステップS54のYes)、AFサーチ処理を終了する。
図5は、移動平均後評価値作成処理の流れを示すフローチャートである。3タップのAF評価値を用いて移動平均をとる場合には、サーチ開始位置(n=0)に対して2段先のAF検出ポイント(n=2)におけるAF評価値を取得した時点で(ステップS60のNo)、移動平均後評価値の算出が行われる(ステップS62)。AF検出ポイントnにおける移動平均後評価値(n)は、下記の式(1)により求められる。なお、式(1)において、a、b、cは、移動平均係数であり、例えば、a=0.3、b=0.4、c=0.3である。
移動平均後評価値(n)=a×AF評価値(n−1)+b×AF評価値(n)
+c×AF評価値(n+1) …(1)
ステップS62において算出されるのは、現在のAF検出ポイント(n=2)に対して1段前の位置(n=1)の移動平均後評価値である。
なお、移動平均のタップ数は、図5に示した3タップに限定されるものではない。例えば、5タップの場合はnが3以上、7タップの場合はnが4以上となった場合に、移動平均後評価値を算出するようにすればよい。
図6(a)はフォーカス位置ごとのAF評価値の例を示すグラフであり、図6(b)は移動平均後のAF評価値(移動平均後評価値)の例を示すグラフである。例えば、図5の例のように前後1つずつ、合計3タップ分のAF評価値の移動平均をとる場合、a=0.3、b=0.4、c=0.3といった係数を設定することにより、高周波のノイズを低減することができ、AF評価値データの曲線をなめらかにすることができ、合焦位置検出精度を上げることができる。
図7は、AFサーチ中断判定の流れを示すフローチャートである。本実施形態では、AFサーチを高速に終了させるために、AF評価値(移動平均前評価値又は移動平均後評価値)に基づいて、AF評価値がピーク値となるフォーカス位置(合焦位置)が検出されたかどうか判定し、合焦位置が検出されたと判定された場合には、AFサーチを中断する。
図7に示すように、まず、図3のステップS22からS26において選択されたAF評価値が読み出されて、(ステップS70)、所定の回数(m回)連続でAF評価値が減少し(ステップS72のYes)、かつ、この時点でのAF評価値の最大値(ピーク値)が判定閾値以上の場合に(ステップS74のYes)、ピークが検出されたと判定され、AFサーチが中断される(ステップS78)。一方、AF評価値が連続m回減少していない場合には(ステップS72のNo)、AFサーチが継続する(ステップS76)。また、所定の回数(m回)連続でAF評価値が減少し(ステップS72のYes)、かつ、この時点でのAF評価値の最大値(ピーク値)が判定閾値未満の場合に(ステップS74のNo)、AFサーチが継続する(ステップS76)。
被写体輝度が暗く、ノイズが発生しやすい場合に(例えば、被写体輝度が暗い場合に)、AFの精度を確保するためにAF評価値の演算に用いる画像信号にゲインをかけるとよりノイズが発生しやすくなる。このため、光源の明るさ変動の影響を受けやすくなる。これらはAF評価値でのノイズ成分となるため、合焦判定や、合焦位置演算に悪影響を及ぼす。
しかしながら、移動平均前のAF評価値データの端点では、前後どちらかのデータが無いために、移動平均後のAF評価値を用いて合焦検出を行う場合AFサーチ範囲が狭まるという弊害も存在する。
本実施形態によれば、移動平均後評価値で合焦検出を行う必要がある被写体輝度の場合のみ、移動平均を実施することで、移動平均をとることによりAFサーチ範囲が狭まる弊害を最小限に抑えつつ、移動平均後評価値を用いることによる効果を得ることができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上記第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
本実施形態では、AFサーチ時のゲインアップ量に応じて移動平均前又は移動平均後のAF評価値のどちらを合焦検出に用いるかを選択する。
図8は、本発明の第2の実施形態に係るAF処理の流れを示すフローチャートである。まず、所定のAFサーチ範囲のフォーカス位置(AF検出ポイント)を所定ステップで駆動しながらAF評価値を取得するAFサーチが行われる(ステップS80)。なお、AFサーチは上記図4と同様である。
次に、図4のステップS40において決定されたAF露出のゲインアップ量が閾値(移動平均判定Sv値)以上かどうか判定される(ステップS82)。AF露出のゲインアップ量が移動平均判定Sv値以上の場合には(ステップS82のNo)、移動平均後のAF評価値(移動平均後評価値)が合焦判定用として選択される(ステップS84)。一方、AF露出のゲインアップ量が移動平均判定Sv値未満の場合には(ステップS82のYes)、移動平均前のAF評価値(移動平均前評価値)が合焦判定用として選択される(ステップS86)。
次に、合焦判定用として選択されたAF評価値に基づいて合焦判定が実施され(ステップS88)、合焦位置の検出が可能かどうか判定される(ステップS90)。合焦位置が検出されなかった場合には(ステップS90のNo)、フォーカスレンズ14の移動目標位置が事前に決められたパーン位置に設定され(ステップS92)、フォーカスレンズ14が駆動されてパーン位置に移動する(ステップS96)。一方、合焦位置が検出された場合には(ステップS90のYes)、合焦位置が算出され(ステップS94)、フォーカスレンズ14が駆動されて合焦位置に移動し(ステップS96)、AF動作が完了する。
本実施形態によれば、被写体輝度が暗く、ゲインアップ量が高いためにノイズ成分が大きい場合にのみ、移動平均後評価値を用いて合焦検出を行うことで、移動平均の弊害を最小限に抑えつつ、移動平均後評価値を用いることによる効果を得ることができる。
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上記第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
本実施形態では、被写体輝度に応じて、移動平均前又は移動平均後のAF評価値の優先順位を決定し、最初に優先順位が上位に設定されたAF評価値を用いて合焦判定を行って、合焦位置が検出できなかった場合に、優先順位が下位のAF評価値を用いて合焦判定を行う。
図9は、本発明の第3の実施形態に係るAF処理の流れを示すフローチャートである。まず、所定のAFサーチ範囲のフォーカス位置(AF検出ポイント)を所定ステップで駆動しながらAF評価値を取得するAFサーチが行われる(ステップS100)。なお、AFサーチは上記図4と同様である。
次に、AE処理により得られた被写体の測光値が閾値(移動平均判定Ev値)以上かどうか判定される(ステップS102)。被写体の測光値が移動平均判定Ev値以上の場合には(ステップS102のNo)、移動平均後のAF評価値(移動平均後評価値)が優先順位1位(評価値1)に設定され、移動平均前のAF評価値(移動平均前評価値)が優先順位2位(評価値2)に設定される(ステップS104)。一方、被写体の測光値が移動平均判定Ev値未満の場合には(ステップS102のYes)、移動平均前評価値が評価値1に設定され、移動平均後評価値が評価値2に設定される(ステップS106)。
次に、評価値1に基づいて合焦判定が実施され(ステップS108、S110)、合焦位置の検出が可能かどうか判定される(ステップS112)。評価値1に基づく合焦判定において合焦位置が検出されなかった場合には(ステップS112のNo)、次に評価値2に基づいて合焦判定が実施される(ステップS114、S116)。評価値2に基づく合焦判定でも合焦位置が検出されなかった場合には(ステップS118のNo)、フォーカスレンズ14の移動目標位置が事前に決められたパーン位置に設定され(ステップS120)、フォーカスレンズ14が駆動されてパーン位置に移動する(ステップS124)。一方、評価値1に基づく合焦判定において合焦位置が検出された場合(ステップS112のYes)、又は評価値2に基づく合焦判定において合焦位置が検出された場合(ステップS118のYes)、合焦位置が演算され(ステップS122)、フォーカスレンズ14が駆動されて合焦位置に移動し(ステップS124)、AF動作が完了する。
本実施形態によれば、必要な場合にのみ2種類のAF評価値を使用して合焦判定を行うことにより、移動平均後評価値を用いることによる弊害を抑えつつ、より合焦位置が検出される確率を上げることができ、AF性能を向上させることができる。
なお、本実施形態では、被写体輝度を用いて合焦検出に使用するAF評価値の優先順位を設定しているが、ゲインアップ量を用いて優先順位を設定してもよい。例えば、ゲインアップ量が閾値以上の場合に移動平均後評価値を評価値1として、ゲインアップ量が閾値未満の場合に移動平均前評価値を評価値1としてもよい。また、被写体輝度又はゲインアップ量に関わりなく、最初に移動平均前評価値を用いて合焦判定を行い、合焦位置が検出できなかった場合に、移動平均後評価値を用いて合焦判定を行うようにしてもよい。
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上記第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
移動平均後のAF評価値(移動平均後評価値)データは、移動平均前のAF評価値(移動平均前評価値)データと比べて、サーチ開始位置及びサーチ終了位置から数サーチステップ分データ数が少なくなっている。従って、移動平均後評価値に基づく合焦判定を行った場合であって、移動平均後評価値の端点(サーチ開始位置又はサーチ終了位置)がピーク値(最大値)の場合には、移動平均により狭められたAFサーチ範囲に合焦位置がある可能性がある。
本実施形態では、移動平均後評価値の端点(サーチ開始位置又はサーチ終了位置)がピーク値の場合に、よりデータ数が多く、AFサーチ範囲が広い移動平均前評価値を用いて再度合焦判定を行う。
図10は、本発明の第4の実施形態に係るAF処理の流れを示すフローチャートである。まず、所定のAFサーチ範囲のフォーカス位置(AF検出ポイント)を所定ステップで駆動しながらAF評価値を取得するAFサーチが行われる(ステップS130)。なお、AFサーチは上記図4と同様である。
次に、移動平均後のAF評価値(移動平均後評価値)が合焦判定用として選択され(ステップS132)、合焦判定が実施されて(ステップS134)、合焦位置の検出が可能かどうか判定される(ステップS136)。合焦位置が検出された場合には(ステップS136のYes)、合焦位置が算出され(ステップS148)、フォーカスレンズ14が駆動されて合焦位置に移動し(ステップS150)、AF動作が完了する。
一方、合焦位置が検出されなかった場合には(ステップS136のNo)、AFサーチ範囲の端点がピーク値かどうか判定される(ステップS138)。AFサーチ範囲の端点がピーク値ではない場合には(ステップS138のNo)、フォーカスレンズ14の移動目標位置が事前に決められたパーン位置に設定され(ステップS146)、フォーカスレンズ14が駆動されてパーン位置に移動する(ステップS150)。
一方、AFサーチ範囲の端点がピーク値の場合には(ステップS138のYes)、移動平均前のAF評価値(移動平均前評価値)が合焦判定用として選択され(ステップS140)、合焦判定が実施されて(ステップS142)、合焦位置の検出が可能かどうか判定される(ステップS144)。そして、合焦位置が検出されなかった場合には(ステップS144のNo)、フォーカスレンズ14の移動目標位置が事前に決められたパーン位置に設定され(ステップS146)、フォーカスレンズ14が駆動されてパーン位置に移動する(ステップS150)。一方、合焦位置が検出された場合には(ステップS144のYes)、合焦位置が算出され(ステップS148)、フォーカスレンズ14が駆動されて合焦位置に移動し(ステップS150)、AF動作が完了する。
本実施形態によれば、移動平均後評価値を用いることにより合焦判定の制度を向上させるとともに、移動平均によりAFサーチ範囲が狭まって、AFサーチ範囲のサーチ開始位置及びサーチ終了位置近傍に合焦位置がある場合における合焦制度の低下を回避することができる。
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上記第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
本実施形態では、AF評価値の移動平均をとる場合に、サーチ開始位置及びサーチ終了位置がAFサーチ範囲を拡大する方向にシフトする。即ち、サーチ開始位置及びサーチ終了位置における移動平均の演算に必要なサーチステップ分AF評価値のデータ数を増加させることにより、移動平均後評価値のデータ数を拡大前のAFサーチ範囲と同じにすることができる。
図11は、本発明の第5の実施形態に係るAFサーチの処理の流れを示すフローチャートである。AFサーチ処理が開始すると、まず、AF露出(例えば、絞り、シャッタスピード、フレームレート及びゲインアップ量(撮影感度))が決定される(ステップS160)。また、合焦判定の対象となるAFサーチ範囲(サーチ開始位置及びサーチ終了位置)を示すAFサーチ範囲及びサーチステップが決定される(ステップS162)。そして、測光値又はAF露出のゲインアップ量に応じて、AF評価値の移動平均をとるかどうか判定される(ステップS164)。ステップS164では、例えば、第1の実施形態と同様に、被写体の測光値が閾値未満の場合にAF評価値の移動平均をとると判定され、被写体の測光値が閾値以上の場合にAF評価値の移動平均をとらないと判定される。また、AF露出のゲインアップ量が閾値以上の場合にAF評価値の移動平均をとると判定され、被写体の測光値が閾値未満の場合にAF評価値の移動平均をとらないと判定される。
AF評価値の移動平均をとると判定された場合には(ステップS164のYes)、サーチ開始位置及びサーチ終了位置が移動平均のタップ数に応じてAFサーチ範囲を拡大する方向にシフトする(ステップS166)。例えば、3タップの移動平均をとる場合には、サーチ開始位置及びサーチ終了位置がそれぞれ1サーチステップ分ずつシフトする。また、5タップの移動平均をとる場合には、サーチ開始位置及びサーチ終了位置がそれぞれ2サーチステップ分ずつシフトし、7タップの移動平均をとる場合には、サーチ開始位置及びサーチ終了位置がそれぞれ3サーチステップ分ずつシフトする。
次に、フォーカス位置がサーチ開始位置(n=0)に移動し(ステップS168)、サーチ開始位置におけるAF評価値(0)が取得される(ステップS170)。そして、ステップS170からS182が繰り返されて、次のAF検出ポイントのAF評価値(n)が演算される(ステップS170)。ステップS164においてAF評価値の移動平均をとると判定された場合には(ステップS172のYes)、AF評価値の移動平均値(移動平均後評価値)が作成される(ステップS174)。なお、移動平均後評価値作成処理については、上記図5と同様である。
次に、サーチ中断判定が実施される(ステップS176)。なお、サーチ中断判定については、上記図7と同様である。AF評価値のピーク(合焦位置)が検出されておらず(ステップS178のNo)、フォーカス位置がサーチ終了位置を超えていない場合には(ステップS180のNo)、フォーカスレンズ14が駆動されてフォーカス位置がサーチステップ分移動し(ステップS182)、移動したフォーカス位置におけるAF評価値が取得される(ステップS170)。
そして、ステップS170からS182において、各フォーカス位置(n=0,1,…)におけるAF評価値(AF評価値(0)、AF評価値(1)、…)のピークが検出されてAFサーチ処理を中断する場合(ステップS178のYes)、又はフォーカス位置がサーチ終了位置を超えた場合には(ステップS180のYes)、AFサーチ処理を終了する。
本実施形態によれば、移動平均を実施することで、サーチ開始位置及びサーチ終了位置側のAF評価値のデータ数が減ってしまう問題を解決でき、移動平均後評価値を用いる場合でも移動平均前評価値を用いる場合と同じAFサーチ範囲を確保できる。
[第6の実施形態]
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上記第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
本実施形態では、AFサーチ範囲の端点近傍のAF評価値のうち、前後のデータが欠けているために移動平均後評価値を作成できないフォーカス位置の移動平均後評価値を移動平均前評価値で代用する。
図12は、本発明の第6の実施形態に係る移動平均後評価値作成処理の流れを示すフローチャートである。図12に示すように、3タップのAF評価値を用いて移動平均をとる場合、フォーカス位置がサーチ開始位置(n=0)のときには(ステップS190のYes、S198のNo)、移動平均の演算は行われない。フォーカス位置がサーチ開始位置から1ステップ目(n=1)の場合には(ステップS190のNo、S192のYes)、サーチ開始位置(n=0)における移動平均後評価値(0)が移動平均前評価値(0)に設定される(ステップS194)。フォーカス位置がサーチ開始位置から2ステップ目(n=2)以降の場合には(ステップS190のNo、S192のNo)、3タップ移動平均の演算が行われて、(n−1)ステップ目における移動平均後評価値が算出される(ステップS196)。
そして、ステップS190からS200の処理が繰り返されて、フォーカス位置がサーチ終了位置(n=n_max)となると(ステップS198のYes)、サーチ終了位置(n=n_max)における移動平均後評価値(n_max)が移動平均前評価値(n_max)に設定される(ステップS200)。
なお、移動平均のタップ数が5タップの場合にはAFサーチ範囲の両端2ステップ分、7タップの場合には両端3ステップ分を移動平均前評価値データで代用するようにしてもよい。
本実施形態によれば、前後のデータが欠けているために移動平均後評価値を作成できないフォーカス位置の移動平均後評価値を移動平均前評価値で代用することにより、サーチ開始位置及びサーチ終了位置側のAF評価値のデータ数が減ってしまう問題を解決することができる。
[第7の実施形態]
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上記第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
本実施形態では、被写体の測光値に応じて、移動平均前評価値又は移動平均後評価値のどちらを中断判定に使用するかを決定する。
図13は、本発明の第8の実施形態に係るAFサーチ中断判定の流れを示すフローチャートである。まず、AE処理により得られた被写体の測光値が閾値(移動平均判定Ev値)以上かどうか判定され(ステップS220)、移動平均前又は移動平均後のどちらのAFサーチ中断判定に使用するかが決定される。被写体の測光値が移動平均判定Ev値未満の場合には(ステップS220のNo)、移動平均後のAF評価値(移動平均後評価値)が合焦サーチ中断判定用として選択される(ステップS222)。一方、被写体の測光値が移動平均判定Ev値以上の場合には(ステップS220のYes)、移動平均前のAF評価値(移動平均前評価値)が合焦サーチ中断判定用として選択される(ステップS224)。
次に、ステップS220からS224において選択されたAF評価値が読み出されて、合焦サーチ中断判定が開始する。所定の回数(m回)連続でAF評価値が減少し(ステップS226のYes)、かつ、この時点でのAF評価値の最大値(ピーク値)が判定閾値以上の場合に(ステップS228のYes)、ピークが検出されたと判定され、AFサーチが中断される(ステップS230)。一方、AF評価値が連続m回減少していない場合には(ステップS226のNo)、AFサーチが継続する(ステップS232)。また、所定の回数(m回)連続でAF評価値が減少し(ステップS226のYes)、かつ、この時点でのAF評価値の最大値(ピーク値)が判定閾値未満の場合に(ステップS228のNo)、AFサーチが継続する(ステップS232)。
例えば、3タップ移動平均の場合、移動平均後評価値は、現在のフォーカス位置(AF検出ポイント)の1ステップ前まで算出される。このため、移動平均後評価値データを用いてAFサーチ中断判定を行う場合、移動平均前評価値データを用いてAFサーチ中断判定を行う場合に比べて1ステップ判定が遅れてしまう。
本実施形態によれば、被写体輝度が暗い場合のように、移動平均前評価値ではノイズが多くピーク値が検出されにくく、AFサーチの中断判定がされにくい条件でのみ移動平均後評価値を使用することにより、移動平均によりAFサーチ中断判定を高速化することができる。
[第8の実施形態]
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上記第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
本実施形態では、AF露出のゲインアップ量に応じて、移動平均前評価値又は移動平均後評価値のどちらを中断判定に使用するかを決定する。
図14は、本発明の第8の実施形態に係るAFサーチ中断判定の流れを示すフローチャートである。まず、AF露出のゲインアップ量が閾値(移動平均判定Sv値)以上かどうか判定される(ステップS240)。AF露出のゲインアップ量が移動平均判定Sv値以上の場合には(ステップS240のNo)、移動平均後のAF評価値(移動平均後評価値)が合焦サーチ中断判定用として選択される(ステップS242)。一方、AF露出のゲインアップ量が移動平均判定Sv値未満の場合には(ステップS240のYes)、移動平均前のAF評価値(移動平均前評価値)が合焦判定用として選択される(ステップS244)。
次に、ステップS240からS244において選択されたAF評価値が読み出されて、合焦サーチ中断判定が開始する。なお、ステップS246からS252の処理は、それぞれ図14のステップS226からS232と同様であるため説明を省略する。
例えば、3タップ移動平均の場合、移動平均後評価値は、現在のフォーカス位置(AF検出ポイント)の1ステップ前まで算出される。このため、移動平均後評価値データを用いてAFサーチ中断判定を行う場合、移動平均前評価値データを用いてAFサーチ中断判定を行う場合に比べて1ステップ判定が遅れてしまう。
本実施形態によれば、被写体輝度が暗く、ゲイン制御回路28におけるゲインアップ量が大きい場合のように、移動平均前評価値では合焦位置が検出されにくく、AFサーチの中断判定がされにくい条件でのみ移動平均後評価値を使用することにより、移動平均によりAFサーチ中断判定を高速化することができる。
[第9の実施形態]
次に、本発明の第9の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上記第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
本実施形態では、被写体輝度に応じて、移動平均前又は移動平均後のAF評価値の優先順位を決定し、最初に優先順位が上位に設定されたAF評価値を用いて合焦中断判定を行って、AFサーチ範囲内でAFサーチが中断されなかった場合に、優先順位が下位のAF評価値を用いて合焦判定を行う。
図15は、本発明の第9の実施形態に係るAFサーチ中断判定の流れを示すフローチャートである。まず、AE処理により得られた被写体の測光値が閾値(移動平均判定Ev値)以上かどうか判定される(ステップS260)。被写体の測光値が移動平均判定Ev値以上の場合には(ステップS260のNo)、移動平均後のAF評価値(移動平均後評価値)が優先順位1位(評価値1)に設定され、移動平均前のAF評価値(移動平均前評価値)が優先順位2位(評価値2)に設定される(ステップS262)。一方、被写体の測光値が移動平均判定Ev値未満の場合には(ステップS260のYes)、移動平均前評価値が評価値1に設定され、移動平均後評価値が評価値2に設定される(ステップS264)。
次に、評価値1に基づいてAFサーチ中断判定が行われる(ステップS266)。所定の回数(m回)連続でAF評価値が減少し(ステップS268のYes)、かつ、この時点でのAF評価値の最大値(ピーク値)が判定閾値以上の場合に(ステップS270のYes)、ピークが検出されたと判定され、AFサーチが中断される(ステップS280)。
一方、評価値1に基づくAFサーチ中断判定においてAF評価値が連続m回減少していない場合には(ステップS268のNo)、評価値2に基づいてAFサーチ中断判定が行われる(ステップS272)。また、所定の回数(m回)連続でAF評価値が減少し(ステップS268のYes)、かつ、この時点でのAF評価値の最大値(ピーク値)が判定閾値未満の場合に(ステップS270のNo)、評価値2に基づいてAFサーチ中断判定が行われる(ステップS272)。
評価値2に基づくAFサーチ中断判定において所定の回数(m回)連続でAF評価値が減少し(ステップS274のYes)、かつ、この時点でのAF評価値の最大値(ピーク値)が判定閾値以上の場合に(ステップS276のYes)、ピークが検出されたと判定され、AFサーチが中断される(ステップS280)。一方、AF評価値が連続m回減少していない場合には(ステップS274のNo)、AFサーチが継続する(ステップS278)。また、所定の回数(m回)連続でAF評価値が減少し(ステップS274のYes)、かつ、この時点でのAF評価値の最大値(ピーク値)が判定閾値未満の場合にも(ステップS276のNo)、AFサーチが継続する(ステップS278)。
本実施形態によれば、被写体輝度が暗い場合のように、移動平均前評価値では合焦位置が検出されにくく、AFサーチの中断判定がされにくい条件下で移動平均後評価値を優先して使用することにより、移動平均によりAFサーチ中断判定を高速化することができる。
なお、本実施形態では、被写体輝度を用いてAFサーチ中断判定に使用するAF評価値の優先順位を設定しているが、ゲインアップ量を用いて優先順位を設定してもよい。例えば、ゲインアップ量が閾値以上の場合に移動平均後評価値を評価値1として、ゲインアップ量が閾値未満の場合に移動平均前評価値を評価値1としてもよい。また、被写体輝度又はゲインアップ量に関わりなく、最初に移動平均前評価値を用いて合焦判定を行い、合焦位置が検出できなかった場合に、移動平均後評価値を用いて合焦判定を行うようにしてもよい。
[第10の実施形態]
次に、本発明の第10の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、上記第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
本実施形態では、上記第6の実施形態と同様、AFサーチ範囲の端点近傍のAF評価値のうち、前後のデータが欠けているために移動平均後評価値を作成できないフォーカス位置の移動平均後評価値を移動平均前評価値で代用する。
図16は、本発明の第10の実施形態に係る移動平均後評価値作成処理の流れを示すフローチャートである。図16に示すように、3タップのAF評価値を用いて移動平均をとる場合、まず、現在のフォーカス位置(AF検出ポイント)における移動平均前評価値(n)が移動平均後評価値(n)に設定される(ステップS210)。そして、サーチ開始位置(n=0)に対して2段先のAF検出ポイント(n=2)におけるAF評価値を取得した時点で(ステップS212のNo)、上記の式(1)により移動平均後評価値(n−1)の算出が行われる(ステップS214)。
本実施形態によれば、前後のデータが欠けているために移動平均後評価値を作成できないフォーカス位置の移動平均後評価値を移動平均前評価値で代用することにより、サーチ開始位置及びサーチ終了位置側のAF評価値のデータ数が減ってしまう問題を解決することができる。
また、移動平均後評価値は、現在のフォーカス位置の1サーチステップ以上前のものしか算出できないため、移動平均後評価値を用いたサーチ中断判定では、現在のフォーカス位置の1サーチステップ以上前の移動平均後評価値を用いることになる。従って、現在のフォーカス位置に対してサーチ中断判定が遅れてタイムロスが発生する。
本実施形態によれば、現在のフォーカス位置の移動平均前評価値を移動平均後評価値として代用することにより移動平均後評価値の算出のステップ遅れが発生しない。これにより、サーチ中断判定でのタイムロスが発生しない。従って、移動平均の実施有無の関わらず、現在のフォーカス位置におけるAF評価値を用いてピーク位置を検出し次第AFサーチを中断することができるので、合焦判定を高速化することができる。
なお、移動平均のタップ数は、図16に示した3タップに限定されるものではない。例えば、5タップの場合はnが3以上、7タップの場合はnが4以上となった場合に、移動平均後評価値を算出するようにすればよい。
10…撮影装置、12…レンズユニット、14…フォーカスレンズ、16…ズームレンズ、18…絞り、20…シャッタ、22…CCD、24…アナログ信号処理部(AFE)、26…相関2重サンプリング処理部(CDS)、28…ゲイン制御部、30…A/D変換器、32…タイミングジェネレータ(TG)、34…レンズドライバ、36…フラッシュ発光部、38…フラッシュ制御回路、40…電源回路、42…デジタル信号処理部(DSP)、44…画像バッファ、46…YC処理部、48…AE・AWB検出回路、50…AF検出回路、52…システムバス、54…フラッシュROM、56…SDRAM、58…タイマ、60…メディア制御部、62…記録メディア、64…圧縮・伸張処理部、66…CPU、68…操作部、70…エンコーダ、72…ドライバ、74…表示部、76…外部接続インターフェース部(外部接続I/F)