JP2009050203A - 内分泌攪乱物質の検出法、キットおよびその使用法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ホルモン受容体遺伝子発現ベクターと、当該性ホルモンの標的となる遺伝子のプロモーターを結合させた外来遺伝子を導入した細胞;培地;前記細胞を播種するためのプレート;プレートをシーリングする手段;および前記プレートを収納するための、ガス吹き込み口を備えたケース;を含む、内分泌攪乱物質の検出キットを提供する。
【選択図】なし
Description
1)プレート播種フロー:性ステロイドホルモン受容体発現ベクターと、当該性ステロイドホルモンの標的となる遺伝子のプロモーターを結合させた外来遺伝子を導入した生細胞(製造法については、非特許文献1参照)を、培養フラスコ内でRPMI培地(8%ウシ胎児血清、1%ペニシリン/ストレプトマイシンin RPMI1640)でCO2インキュベーター(37℃)下で培養する。生細胞がコンフルエントになった状態で培養を停止し、安全キャビネット内で培養生細胞を7.5×105個/wellとなるように96穴マイクロプレートに播種し、CO2インキュベーター(37℃)で一晩、前培養する。
2)試料前処理フロー:試料を採取した後、ろ過し、メタノールおよび蒸留水でコンディショニングした固相(例えば、Sep−Pack Plus PS−2、Waters)に流速10〜20ml/分で通水し、窒素気流下で乾燥したのち、ジクロロメタンで溶出する。これを窒素気流下で蒸発乾固し、DMSO(ジメチルスルホキシド)に転溶して、前処理を行う。
3)プレート曝露フロー:段階希釈した前処理後DMSO溶液(4μl)にRPMI培地(400μl)を加え、被検試料溶液を調整する。標準溶液(TCDD、2,3,7,8−テトラクロロジベンゾーパラージオキシン)についても同様の操作を行い、標準試料溶液を調整する。安全キャビネット内で前培養したマイクロプレートに、披験試料溶液および標準試料溶液をそれぞれ2well(190μl/well)に分け、CO2インキュベーター内(37℃)で20〜24時間、細胞に曝露する。
4)プレート測定フロー:曝露後、培地を取り除き、ルシフェラーゼアッセイシステムにより誘導されたルシフェラーゼ活性(相対発光強度;RLU)をルミノメーターで測定する。:
のような複雑な手順を必要とする(通常フロー、非特許文献2参照)。
Bio Factors 20 (2004) 11-22 Analyst, 2003, 128, 486-492
ホルモン受容体遺伝子発現ベクターと、当該ホルモンの標的となる遺伝子のプロモーターを結合させた外来遺伝子を導入した細胞;
培地;
前記細胞を播種するためのプレート;
プレートをシーリングする手段;および
前記プレートを収納するためのケース;
を含む、ホルモン系攪乱物質の検出キット、ならびに測定における高感度測定を提供する。
ホルモン受容体遺伝子発現ベクターと、当該ホルモンの標的となる遺伝子のプロモーターを結合させた外来遺伝子を導入した細胞;
培地;
前記細胞を播種するためのプレート;
プレートをシーリングする手段;および
前記プレートを収納するためのケース;
を含む、内分泌攪乱物質の検出キットを提供する。
ホルモン受容体遺伝子発現ベクターと、当該ホルモンの標的となる遺伝子のプロモーターを結合させた外来遺伝子を導入した細胞を、適当な培地に播種し、インキュベーター、好ましくはCO2インキュベーター内で、適温、例えば25℃〜40℃、好ましくは37℃で、培養する。コンフルエントになった状態で培養を停止し、培養細胞が各ウェルおよびプレートについておよそ一定の個数となるように培養細胞をプレートに播種する。インキュベーター内で、適温で、例えば一晩、前培養する。インキュベーターからプレートを取り出し、培地を加える。プレートをシーリングし、プレートカバーをかぶせ、ケースに入れる。
プレートをプレートケースから取り出し、シーリングをはがし、CO2インキュベーター内等に入れ、安定化・再活性化を促す(例えば1〜2時間)。試料溶液を、再活性化したプレートに添加する。その後、CO2インキュベーター内等に入れ、例えば20〜24時間、細胞に試料溶液を曝露する。曝露後、培地を取り除き、外来遺伝子の基質溶液を加えて外来遺伝子の発現量を測定する。例えば外来遺伝子がルシフェラーゼの場合、ルシフェラーゼ基質を加えてルシフェラーゼ発現量(相対発光強度;RLU)をルミノメーターで測定する。試料溶液濃度は、得られたRLUからバックグラウンド(溶媒対照のRLU)を差し引く。
細胞の再活性化を促す工程;
試料溶液を、再活性化した細胞を含むプレートに添加して、細胞に曝露する工程;および
外来遺伝子の基質溶液をプレートに添加して外来遺伝子の発現量を測定する工程;
を含む、本願発明のキットの使用法を提供する。
1)プレート播種フロー:芳香族炭化水素受容体遺伝子と、4つのダイオキシン応答エレメント(DRE)を含む480bpフラグメントのマウスCYP1A1プロモーターを結合させたルシフェラーゼを導入した生細胞を、培養フラスコ(150cm2)内でRPMI培地(8%ウシ胎児血清、1%ペニシリン/ストレプトマイシンin RPMI1640)でCO2インキュベーター(37℃)下で培養する。コンフルエントになった状態で、7.5×105個/wellで96穴マイクロプレートに播種し、CO2インキュベーター(37℃)で一晩、前培養した。プレートをCO2インキュベーターから取り出し、RPMI調整培地を100μl加えた。プレートシール(TR100−S Marsh(商標) BRAND)を貼り密着させ、プレートカバーを被せた。
2)ポータブルキットフロー: 1)の工程を、エストロゲン受容体β遺伝子、アンドロゲン受容体α遺伝子、アンドロゲン受容体β遺伝子、プロゲスチン受容体α遺伝子およびプロゲスチン受容体β遺伝子を導入した細胞の各々についても行い、各プレートをプレートケース(1400 CASE PERICAN(登録商標))に入れ、パージバルブを閉め、キットとした。常温で保存および運搬を行った。
3)プレート曝露フロー:プレートをプレートケースから取り出し、シーリングをはがし、CO2ガスで再活性化(1〜2時間)を促した。被検液は、希釈段階にしたDMSO溶液(4μl)にRPMI培地(400μl)を加え調整した。標準試料溶液(TCDD)についても同様の操作を行い、被検試料溶液を調整した。被検試料溶液を2well(190μl/well)に分け、再活性化したプレートに入れた。さらに、CO2インキュベータ等にいれ、20〜24時間、細胞に曝露した。
4)プレート測定フロー:曝露後、培地を取り除き、ルシフェラーゼアッセイシステム(Promega社製)により誘導されたルシフェラーゼ活性(相対発光強度;RLU)をルミノメーター(Centro LB960;Berthold社製)で測定した。TCDD相当濃度は、得られたRLUからバックグラウンド(溶媒対照のRLU)を差し引いた。
調整した検出下限値算出用標準溶液をn=5で測定した検量線より定量し、測定量(毒性等量)の平均、標準偏差および変動係数(CV)を算出し、精度プロファイルを作図し、検出下限および定量範囲を図より読み取る。
分析値の変動係数(CV)を分析対象成分の濃度に対して図示した精度プロファイルと定義され、定量値の精度プロファイルのCVが30%を示す濃度を定量下限とする。CVが20%以下となる濃度範囲を定量範囲とし、最小濃度を定量下限値、最大濃度を定量上限とする。結果を下記表および図1に示す。
参考資料;ダイオキシン類に係る生物検定法マニュアル(排ガス、ばいじんおよび燃え殻)(環境省)平成18年3月
ダイオキシン類混合溶液(DMSO溶液)及び排ガス、ばいじんおよび燃え殻の精製液(DMSO溶液)をポータブルプレートのフローに従ってn=5で定量し、測定量(毒性等量)及び通常フローでの数値「1」に対する比率を算出する。結果を下記表および図2に示す。
100nMの17α,20β−ジヒドロキシ−4−プレグネン−3−オン(DHP)で曝露したプロゲスチン受容体α遺伝子導入HEK293細胞の溶解物を、BSA細胞溶解バッファー(Promega)で1/10、1/50、1/250、1/1250および1/6250まで希釈し、各々について発光強度をフォトンカウンター(ARGUS−50/VIM、浜松ホトニクス)で測定した。結果を図3に示す。細胞溶液の希釈率の常用対数とフォトンカウンターで測定した発光強度の常用対数は直線の関係にあることが理解できる。
Claims (8)
- 魚類由来のエストロゲン受容体α、エストロゲン受容体β、アンドロゲン受容体α、アンドロゲン受容体β、プロゲスチン受容体αおよびプロゲスチン受容体β遺伝子をそれぞれ導入した細胞を用いて、各細胞についてレポータージーンアッセイを行うことを特徴とする、魚類に対する内分泌攪乱物質の測定方法。
- ホルモン受容体遺伝子発現ベクターと、当該ホルモンの標的となる遺伝子のプロモーターを結合させた外来遺伝子を導入した細胞;
培地;
前記細胞を播種するためのプレートおよびプレートカバー;
プレートをシーリングする手段;および
前記プレートを収納するためのケース;
を含む、内分泌攪乱物質の検出キット。 - さらに、外来遺伝子の発現を測定するための基質溶液を含む、請求項2に記載のキット。
- ホルモンが、性ステロイドホルモンである、請求項2または3に記載のキット。
- 性ステロイドホルモン受容体遺伝子が、魚類由来のエストロゲン受容体α、エストロゲン受容体β、アンドロゲン受容体α、アンドロゲン受容体β、プロゲスチン受容体αおよびプロゲスチン受容体β遺伝子である、魚類に対する内分泌攪乱物質を測定するための請求項4に記載のキット。
- 外来遺伝子がルシフェラーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼおよびβ−ガラクトシダーゼから選択される少なくとも1種由来の遺伝子である、請求項2〜5のいずれかに記載のキット。
- 細胞の再活性化を促す工程;
試験溶液を、再活性化した細胞を含むプレートに添加して細胞に曝露する工程;および
外来遺伝子の基質溶液をプレートに添加して外来遺伝子の発現量を測定する工程;
を含む、請求項2〜6のいずれかに記載したキットの使用法。 - 外来遺伝子の発現量の測定がフォトンカウンターによって行われる、請求項1または7に記載の方法。
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---|---|---|---|
JP2007219883A JP2009050203A (ja) | 2007-08-27 | 2007-08-27 | 内分泌攪乱物質の検出法、キットおよびその使用法 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2009050203A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015010064A (ja) * | 2013-06-28 | 2015-01-19 | 国立大学法人静岡大学 | ステロイドホルモン膜受容体の精製方法 |
CN114199838A (zh) * | 2021-11-19 | 2022-03-18 | 中国科学院生态环境研究中心 | 环境污染中环境雌激素干扰物的检测方法 |
-
2007
- 2007-08-27 JP JP2007219883A patent/JP2009050203A/ja active Pending
Non-Patent Citations (3)
Title |
---|
JPN6012047950; Toxicological sciences. 1999, Vol.48, No.1, p.55-66 * |
JPN6012047951; 天沼喜美子、外1名: '水環境中の有害物質検出へのトランスジェニックフィッシュの応用' 小型魚類研究の新展開(蛋白質核酸酵素 2000年12月号増刊) Vol.45,No.17, 20001210, p.2973-2981, 共立出版 * |
JPN6012047952; Ecotoxicology. 2000, Vol.9, No.1-2, p.105-114 * |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015010064A (ja) * | 2013-06-28 | 2015-01-19 | 国立大学法人静岡大学 | ステロイドホルモン膜受容体の精製方法 |
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CN114199838B (zh) * | 2021-11-19 | 2024-02-23 | 中国科学院生态环境研究中心 | 环境污染中环境雌激素干扰物的检测方法 |
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