JP2009048821A - 燃料電池システムおよび燃料電池システムの制御方法 - Google Patents

燃料電池システムおよび燃料電池システムの制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水素雰囲気下におけるイオン液体の分解を抑制して、イオン液体を使用している燃料電池の長寿命化を図る。
【解決手段】燃料電池スタック11の燃料極かる余剰水素を回収すると共に酸化剤極からの残留ガスである窒素を取り込み水素循環系配管14により燃料極へ循環させる。余剰水素と共に酸化剤極残留ガスの循環量を排水素バルブ16の開閉を制御することで燃料電池に供給する水素の濃度を制御する。燃料ガス中の水素濃度の制御はコントローラ20が行い、燃料電池への要求出力が低い場合は低下させ、要求出力が高い場合は上昇させる。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池システムおよび燃料電池システムの制御方法に関する。
新規な定置用電源や自動車用電源として、さまざまな燃料電池が開発されている。その一つとして、燃料電池のイオン伝導を担う電解質にイオン液体を用いるものがある(特許文献1参照)。イオン液体は、常温で液体であることから、現行の固体高分子形燃料電池への適応する場合これを膜化して利用する。イオン液体を用いた燃料電池は、水をプロトン伝導媒体として使用しないため、耐熱性に優れ、より発電効率を高くすることができる。
なお、その他の文献公知発明としては、特許文献2〜7がある。
特開2003−123791号公報 特開平6−93114号公報 特開平9−245818号公報 特開平11−116679号公報 特開平11−672244号公報 特表平11−510198号公報 特開平9−110982号公報 シーエムシー出版「イオン液体」
イオン液体は、水素雰囲気中では徐々にではあるが分解されることがわかってきた。このため、イオン液体を用いた燃料電池では、使用状況によって寿命が短くなるという問題がある。
本発明の目的は、水素雰囲気下におけるイオン液体の分解を抑制して、燃料電池の長寿命化を図ることのできる燃料電池システムを提供することである。
また、本発明の他の目的は、水素雰囲気下におけるイオン液体の分解を抑制して、燃料電池の長寿命化を図ることのできる燃料電池システムの制御方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明は、電解質としてイオン液体を用いた燃料電池を備えるシステムであって、このシステムの燃料電池へ水素を含有する燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、燃料電池への要求出力が低い場合は燃料ガス供給手段から燃料電池に供給される燃料ガス中の水素濃度を低下させる一方、燃料電池への要求出力が高い場合は燃料ガス供給手段から燃料電池に供給される燃料ガス中の水素濃度を上昇させる水素濃度調整手段と、を有することを特徴とする燃料電池システムである。
また、上記課題を解決するための本発明は、電解質としてイオン液体を用いた燃料電池を有する燃料電池システムの制御方法であって、燃料電池への要求出力が低い場合は燃料電池に供給される燃料ガス中の水素濃度を低下させる一方、燃料電池への要求出力が高い場合は燃料電池に供給される燃料ガス中の水素濃度を上昇させることを特徴とする燃料電池システムの制御方法である。
以上のように構成された本発明によれば、燃料電池システムの出力低下を招くことなく、イオン液体の水素による劣化を抑制して、イオン液体を使用した燃料電池の長寿命化を図ることができる。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態について説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明を適用した実施形態1の燃料電地システムの構成を示すブロック図である。
この燃料電池システム1(以下単にシステムと称する)は、100℃以上の高温で作動するイオン液体を電解質として用いた燃料電池を用いている。
このシステム1は、燃料電池スタック11、水素タンク12、プレッシャーレギュレータ13、水素循環系配管14、水素循環ポンプ15、排水素バルブ16、コンプレッサ17、2次電池18、インバータ19、およびコントローラ20を有する。さらにこのシステム1は、燃料電池スタック11のアノード(燃料極)に供給される燃料ガス中の水素濃度を検知する水素センサ21、および燃料電池スタック11内部の温度を測定する熱電対22が設けられている。
水素タンク12は燃料電池に接続されている水素供給配管25およびプレッシャーレギュレータ13と共に燃料ガス供給手段を構成する。水素タンク12は、燃料電池スタック11のアノード側に接続された水素供給配管25の上流に設けられていて、アノードに供給する水素を蓄える。
プレッシャーレギュレータ13は水素タンク12と燃料電池スタック11の間に設けられている。このプレッシャーレギュレータ13は、水素タンク12から供給される高圧の燃料ガスを燃料電池スタック11に供給するのに適した圧力にまで低下させると共に水素ガスの流量を調整する。なお、プレッシャーレギュレータ13は、一定圧力一定流量となるように調整するものであってもよい。
水素循環系配管14は水素循環ポンプ15と共に余剰水素循環手段を構成する。水素循環系配管14は水素供給配管25に接続されている。水素循環系配管14は燃料電池スタック11のアノード下流部からアノード上流部(すなわち水素供給配管25)に、燃料電池スタック11で使用されなかった余剰水素を再供給(循環)する。このとき、燃料電池スタック11のカソード(酸化剤極)側からアノード側に通過してきた窒素成分が燃料ガスに混ざることになる。これはカソードに供給された空気のうち酸素は発電により消費されるが、その残留ガスである窒素成分はカソードからアノード側に放出されるためである。したがって、余剰水素を循環させる際に、このようなカソード側から放出されるガスが混ざることになる。このようなカソード側からアノード側へ放出されているガスを含めて余剰水素ガスなどと称する。
水素循環ポンプ15は、水素循環系配管14に設けられており、余剰水素ガスなどを流通させる動力となる。
排水素バルブ16は排気手段である。排水素バルブ16は、コントローラ20からの指令により動作し水素循環系配管14中の余剰水素ガスを任意に外部へ放出する。
コンプレッサ17は、燃料電池スタック11のカソード上流に設けられており、外部空気を取り込んで、燃料電池スタック11で使用するために適した圧力および流量となるように調整する。
2次電池18は、システム1全体として電力を供給している負荷の要求に応じるための補助電源である。この2次電池18は、システム1に対する要求出力(負荷)と燃料電池スタック11による発電出力に差がある場合に、燃料電池出力が大きい場合は充電し、小さい場合は放電する。インバータ19は燃料電池から得られる直流電圧を電力負荷装置によって要求される交流電気信号(交流電圧、周波数)に変換する。
水素センサ21は水素濃度検出手段である。この水素センサ21は、水素循環系配管14の水素供給配管25接続位置より下流側(燃料電池スタックに近い側)に設けられている。これにより燃料電池スタック11に実際に供給される燃料ガス中の水素濃度を検出する。
熱電対22は温度検出手段である。この熱電対22は、燃料電池スタック11の温度を検出する。たとえば、熱電対22は、燃料電池スタック11の中心位置に設けたり、燃料電池スタック11内部に複数個設けたりするなどして燃料電池スタック11の代表温度を検出する。熱電対22を一つ設ける場合は燃料電池スタック11の中心部に設けることが好ましい。そしてそこで測定された温度が代表温度となる。熱電対22を複数個設ける場合は、燃料電池スタック11内部から外側にかけて均等に配置することが好ましい。そして、コントローラ20が複数の熱電対22から得られた値の平均値を算出して、その平均値を代表温度、すなわちその時点の燃料電池温度として使用する。なお、熱電対22からの信号は電圧変化を示す信号である。後述する処理ではその電圧を直接用いてもよいし、温度に換算して用いてもよい。
コントローラ20は水素濃度調整手段である。コントローラ20は、燃料電池スタック11を負荷要求に応じて動作させるために、プレッシャーレギュレータ13、コンプレッサ17、および排水素バルブ16を制御する。またコントローラ20は、水素センサ21および熱電対22から水素濃度および燃料電池温度を検出する。そして得られた水素濃度および燃料電池温度に基づいて、適切な出力が得られるように水素濃度を制御する。この水素濃度の制御は排水素バルブ16の開閉により行う。
燃料電池スタック11のアノードに供給される水素は、前述した通り、本実施形態1においては水素タンク12から供給されるものと使用されなかった余剰水素の2つよりなる。したがって、アノードに供給される水素の濃度は、カソード側からの窒素成分によって薄められている。
排水素バルブ16を開くことで、このような窒素分により薄められた水素が水素循環系配管14から排出される。窒素分を含んだ余剰水素ガスなどを排出することで、アノードに供給される水素濃度は高くなる。一方、排水素バルブ16を閉じると、窒素分により薄められた水素が水素循環系配管14内を流れるために、アノードに供給される燃料ガスの水素濃度は低くなる。
コントローラ20は、この排水素バルブ16の開閉を制御することで、アノードに供給される水素の濃度を制御する。
燃料電池スタック11は、イオン液体を電解質として用いた燃料電池の集合体である。スタックとして構成されている一つひとつをセルと称している。
図2は燃料電池セルの概略構成を示す断面図である。
燃料電池セルは、ガス拡散層610a、カソード触媒層610a、電解質層600、アノード触媒層610b、ガス拡散層610bが積層してなるMEAをセパレータ650a、650bで狭持した構造となっている。セパレータ650aには空気流路630aが設けられる。ここで電解質600としては、イオン液体を高分子内に固定化したイオンゲルを用いている。カソード触媒層610a、アノード触媒層610bは、白金担持カーボン上にアイオノマーといわれる電解質を固定化した層であり、白金−アイオノマー−反応ガスの三相界面を形成させるためのメソポアが存在している。
イオン液体を用いた電解質は、たとえば、前述の特許文献1のように、イオン液体が4級アンモニウムおよびアニオンから成り、プロトン供与体がブロンステッド−ロウリィ酸であるプロトン伝導体である。より具体的には、4級アンモニウムがイミダゾリウム、ピリジニウム、またはNR1R2R3R4(式中、R1〜R4はそれぞれアルキル基、アリール基、またはアラルキル基を表し、またR3およびR4がシクロアルキル基を形成してもよい。)で表される。一方、アニオンがAlCl4−、AlCl8−、AlCl7−、PF6−、BF4−、CFSO3−、(CFSO、(CFSO、(FH)である。ブロンステッド−ロウリィ酸がスルホン酸基またはリン酸基を有する。
ここで、このようなイオン液体を固定化したイオンゲルの水素雰囲気下における分解、劣化について説明する。図3は、イオン液体EMI(FH)1.3F中でHEMA(Hydroxyethyl Metacryrate)を重合させることによって形成したイオンゲルの熱重量測定(TG)結果を示すグラフである。ここで、EMI(FH)1.3Fの1.3という数字は(FH)Fと(FH)Fが、7:3の割合で存在していることを表す。
ここでは、窒素雰囲気下と水素雰囲気下でそれぞれ測定した結果について示している。このグラフから同じ温度では水素雰囲気下において重量減少が大きいことがわかる。また、このグラフから、イオン液体の水素雰囲気下における劣化速度は、水素濃度に大きく依存することがわかる。つまり、燃料電池発電時に、出力要求に対してアノードの水素濃度を可能な限り小さくしておけば、イオン液体が水素にさらされる時間を必要最小限に抑えることが可能となる。
この水素雰囲気下における重量減少について、詳細なメカニズムは不明であるが、以下のような仮説を立てている。
下記反応式(1)は、イオン液体のカチオンであるエチルメチルイミダゾリウム(EMI)と水素の反応を示す。水素はEMIの2位の炭素を還元し、自らはプロトンとなる。EMIに還元されカルベンとなる。この後、カルベン部を反応中心とした二量化などの後続反応が起きる。つまり、EMI(FH)1.3Fにはプロトンアクセプターである、(FH)Fが存在しており、反応式(1)で発生したプロトンは、反応式(2)のような反応によりアニオン中に取り込まれる。
この結果、EMI(FH)1.3Fは、EMIはイオン液体のカチオンではなくなり、その反応によって生じたプロトンは、(FH)1.3F中に取り込まれ、マイナス電荷を打ち消す。
イオン液体は一般に蒸気圧が非常に低いため、熱分解温度(200〜300℃)以下では重量減少は非常に小さい。しかし、水素雰囲気下では、前記反応の結果、カチオンが有機物へ変質して蒸発するため、熱分解温度以下において大幅な重量減少が見られていると考えられる。
燃料電池アノードでは、この現象が起きることによって水素とイオンゲルの界面において電解質であるイオン液体が消失し、燃料電池性能の低下を招く。
図4は、このシステム1において、イオン液体が高濃度の水素にさらされる時間を抑え、かつ出力要求に適した発電量を維持するための制御手順を示すフローチャートである。
まず、コントローラ20は、燃料電池システムの運転中、アノード水素濃度CH20および燃料電池スタックの温度(以下燃料電池温度TFC0という)を水素センサ21および熱電対22によって常に監視している。そして、コントローラ20は、水素センサ21および熱電対22から現在のアノード水素濃度CH20および燃料電池温度TFC0を取得する。同時に、燃料電池への出力要求WFCdemも取得する(S1)。
この出力要求WFCdemは、そのときに2次電池に蓄えられた電気エネルギー、および電力負荷装置に要求されるエネルギー、この2つの情報から、システムのエネルギー効率が最高となるようにコントローラ20によって決定され、常に変動している値である。たとえば、電力負荷装置に要求されるエネルギーが同じ場合であっても、2次電池に蓄えられた電気エネルギーが少ない場合には、燃料電池への出力要求WFCdemを大きくし、逆に2次電池に蓄えられた電気エネルギーが電池の蓄電可能量に近い場合、燃料電池への出力要求WFCdemを小さくするといった制御を行う。電力負荷装置はたとえば車両を駆動するための交流モータである。したがって、このシステム1には、インバータ19を介して出力要求WFCdemに応じた仮想抵抗がかかり、その抵抗の値によって燃料電池電圧、電流が制御される。
次にコントローラ20は、得られたアノード水素濃度CH20および燃料電池温度TFC0の条件で出力可能な最高出力WFCmaxを算出する(S2)。この最高出力WFCmaxの算出には前もって作成しておいた検量線を用いる。
図5は、検量線の一例を示すグラフである。
図5では、T1>T2>T3の順で温度が高い(すなわち、この中ではT1が最も温度の高い場合を示している)。また、水素濃度はグラフの右方向ほど濃いことを示している。
燃料電池の最高出力は、温度および水素濃度に依存する。すなわち、燃料電池の最高出力WFCmaxは水素濃度が同じ場合、燃料電池温度が高いほど高出力が出せる。また温度が同じ場合、水素濃度が高いほど高出力が出せる。
検量線は、図5のように、燃料電池温度ごとに水素濃度と出力の関係を複数のグラフとして作成して用いる。なお、実際の処理に当たっては、コントローラ20であるコンピュータが利用できるように、温度とアノード水素濃度との関係をグラフに従ってテーブルデータとしたものを用いることになる。また、検量線はこのようなグラフに限らず、たとえば水素濃度CH2と燃料電池温度TFCとから燃料電池の最高出力WFCmaxを導出する関数を作成して用いてもよい。
ここで、検量線の複数の温度は、たとえば、1℃ごと、5℃ごと、10℃ごとなどさまざまな間隔でよい。温度間隔を狭くして複数の検量線を作成すれば、細かな温度ごとの制御を行うことができる。また、温度域に応じて間隔を変えてもよい。たとえば低温域では温度間隔を広く、高温域では温度間隔を狭くするなどである。これは、たとえば燃料電池が完全に停止した状態から運転を開始した場合、100℃に達するまでの時間が早いため、細かな温度で検量線を作成しても使用される機会が少ない。一方、燃料電池が運転を開始して、効率良く発電できる温度域(ここでは、たとえば100〜300℃程度)では、運転状態によって燃料電池の温度が細かく変化する。このため、このような温度域では細かな温度間隔で複数の検量線を作成することで、通常運転時における制御を細かくすることができる。なお、S2の処理は、検出された温度と全く同じ温度での検量線がなければ、より近い温度の検量線を用いる、または、検出された温度を間に含む2つの検量線から内挿して求めることになる。
次に、コントローラ20は、燃料電池温度TFC0と燃料電池への出力要求WFCdemの値からステップS2で用いた検量線を用いて燃料電池への出力要求WFCdemに対応するアノード水素濃度CH2demを算出する(S3)。
このとき出力要求WFCdem>最高出力WFCmaxである場合、水素濃度CH2を上げて出力要求に応え、出力要求WFCdem≦最高出力WFCmaxの場合、水素濃度CH2を下げる。これにより電解質に用いられているイオン液体がさらされる水素の量を極力少なくすることができる。
このアノード水素濃度CH2demを算出の後、コントローラ20は、算出されたアノード水素濃度CH2demをとなるように、水素循環系配管に設けた排水素バルブの開頻度Fを調整する(S4)。具体的には、水素濃度を上げる場合には、排水素バルブの一定時間あたりの開時間を長くする。一方、水素濃度を下げる場合には、排水素バルブの一定時間あたりの開時間を短くする。このとき、コントローラ20は監視しているアノードの水素濃度CH2を取得する。
その後、コントローラ20は、監視しているアノードの水素濃度CH2がS3で求めた水素濃度CH2demに達したところで(S5:Yes)、開頻度Fを固定する(S6)。このS3〜6の動作で水素濃度のCH2の調整を終える。その後処理ステップはS1へ戻り上記処理を繰り返し実行することとなる。
以上、本実施形態1によれば、電解質に含まれているイオン液体が必要以上に水素にさ
らされることを防止することができる。これにより、イオン液体の分解、劣化を抑制し、燃料電池の長寿命化を図ることができる。
また、本実施形態1によれば、最大出力と出力要求に応じて水素濃度を調整することにしたので、出力要求に十分に答えつつ、イオン液体が接触する水素の量を制御し、かつ、イオン液体が濃度の高い水素にさらされる時間を極力短くすることができる。特に現在の燃料電池温度と水素濃度を基準に、まずその時点での最高出力を求めて、これを基準に出力要求が大きいか少ないかを判断し、出力要求となるように水素濃度を変更している。このため現時点で最高出力を出すために必要な最小の水素濃度に調整することができる。
また、燃料電池温度ごとの水素濃度と出力との関係を示す検量線を用いて最高出力、および要求出力にあった水素濃度を求めることとしたので、さまざまな燃料電池温度における最高出力および要求出力にあった水素濃度を得ることができる。
さらに、本実施形態1によれば、水素循環系に設けられている排水素バルブの開頻度を調整することで水素濃度を調整することにしたので、簡単な装置構成によりイオン液体が接触する水素の量を制御することができる。
(実施形態2)
図6は、本発明を適用した実施形態2の燃料電池システム構成を示すブロック図である。なお、以下の説明において実施形態1と同様の機能を有する部材については同じ符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
この燃料電池システム2は、実施形態1と同様に100℃以上の高温で作動するイオン液体を電解質として用いた燃料電池を用いている。
このシステム2は、実施形態1と同様に、燃料電池スタック11、水素タンク12、プレッシャーレギュレータ13、水素循環系配管14、排水素バルブ16、コンプレッサ17、2次電池18、インバータ19、コントローラ20、水素センサ21、および熱電対22を有する。
さらにこのシステム2は、水素循環系配管14に循環停止バルブ31が設けられている。この循環停止バルブ31は循環経路閉鎖手段である。循環停止バルブ31は、コントローラ20の指示により動作し、水素循環系配管14内を閉塞して水素供給配管25へ戻る窒素などを含む余剰水素ガスがアノード上流に戻らないようにする。これにより排水素バルブ16の開頻度調整では対応ができない急速な燃料電池要求出力変動に対して、純水素を燃料電池に供給することができるようになる。
図7〜11は、このシステム2における制御手順を示すフローチャートである。
まず、コントローラ20は、実施形態1同様に、現在のアノード水素濃度CH20および燃料電池温度TFC0と、燃料電池要求出力WFCdemを取得する(S21)。続いてコントローラ20は、やはり実施形態1同様に、現在のアノード水素濃度CH20および燃料電池温度TFC0における最大出力WFCmax算出する(S22)。最大出力WFCmax算出は実施形態1同様に検量線を用いる。
その後、コントローラ20は、燃料電池出力要求WFCdemと、その燃料電池温度TFC0におけるアノード水素濃度CH20での燃料電池最高出力WFCmaxの比較を行う(S23)。
ここで、燃料電池要求出力WFCdem>燃料電池最高出力WFCmaxである場合(S23:YES)、出力要求に応えられないと判断する。そして、コントローラ20は、処理を燃料電池出力上昇サブルーチン(S30)に移行する。
一方、燃料電池要求出力WFCdem<燃料電池最高出力WFCmaxであれば(S23:NO)、アノード水素濃度を下げて燃料電池耐久性向上を図ることが可能と判断して燃料電池出力下降サブルーチン(S50)に移行する。WFCdem=WFCmaxである場合は、運転状態を変える必要がないため、説明および図示を省略する。なお、このようなWFCdem=WFCmaxである場合は、燃料電池出力下降サブルーチン(S50)へ移行するようにしてもよいが(燃料電池出力上昇サブルーチン(S30)へ移行するようにしても同じ)、運転状態を変える方向には動作しない。
図8は燃料電池出力上昇サブルーチンの手順を示すフローチャートである。
燃料電池出力上昇サブルーチン(S30)においては、コントローラ20は、まず、燃料電池出力の負荷応答時間要求tres(要求応答時間)を読み込んで、あらかじめ決められた負荷応答時間の閾値trescと比較する(S31)。
負荷応答時間要求tresはそのときのシステムの運転状況(2次電池残量、システムへの要求負荷など)によって、システム全体のエネルギー効率が最適となるように決定される値であり、時々刻々と変化する。たとえば車両の場合、要求出力がアクセル開度により決まる。そして、負荷応答時間要求tresは2次電池残量とアクセル開度で決まる。これは2次電池残量が十分にある場合には、アクセル開度が急に大きくなっても、燃料電池に対する負荷応答時間要求tresは大きな値となり、2次電池残量が小さいと全ての要求出力が燃料電池にかかるため、燃料電池が要求される出力を出すまでの時間、すなわち負荷応答時間要求tresは小さいものとなる。
一方、閾値trescはシステム構成に依存する値であり、水素濃度調整によって対応できる燃料電池出力応答かどうかを判断する指標となる値である。ここで、排気バルブの頻度を上げて対応する場合、水素濃度の上昇速度は小さいが、無駄にする水素量を抑えることができる。逆に閉塞バルブを閉じて、排気バルブを開放すると、水素濃度の上昇速度は早いが、無駄にする水素量が大きくなる。したがって、この閾値trescは、無駄にする水素量をどこまで許容するかで決めるとよい。
ここで負荷応答時間要求tresが、閾値trescと比較して低い場合(tres<tresc)、急速な燃料電池出力の応答が求められていると判断する(S32:Yes)。この場合、コントローラ20は、水素循環系に設置された循環停止バルブ31を閉じ、同時に排水素バルブ16を開く(S32)。そしてコントローラ20は、現在の水素濃度CH2=100%、燃料電池出力WFC=100%となったことを確認する(S33)。この操作を行うことにより、100%水素(純水素)をアノードに速やかに供給でき、最も速やかに燃料電池の出力を最大とすることができる。ステップS33において水素濃度CH2=100%、燃料電池出力WFC=100%であることが確認できなかった場合には、エラーなどを出力してユーザに知らせるようにしてもよい。
なお、循環停止バルブ31は、ここで処理によって閉じられる以外は開いている。
一方、ステップS31において、負荷応答時間要求tres>閾値trescである場合(S32:NO)、燃料電池出力への応答要求は小さいと判断する。
この場合、コントローラ20は、応答速度は遅くなるが、必要以上に水素濃度を上げる
ことなく燃料電池の耐久性を向上させるための処理を行う。
図9はこの処理を行う水素濃度調整サブルーチンの手順を示すフローチャートである。
コントローラ20は、まず、要求出力WFCdemと出力閾値WFCCの比較を行う(S41)。ここで出力閾値WFCCは以下のように決定する。
燃料電池最高出力とアノード水素濃度の関係は図12のような関係で表される。図12は、図5で示したものと同様、燃料電池のある温度における水素濃度と出力の関係を示すグラフであり、説明のためにある一つの温度のときのみを示した。
燃料電池の性能はカソード側の反応性に依存するところが大きく、アノードの水素濃度は燃料電池の性能に与える影響が小さい。つまり、水素濃度0%に近づくにつれて急激に燃料電池最高出力が落ち込む。逆にいえば、水素濃度がある程度以上高くなれば、それ以上水素濃度を高くしてもさほど燃料電池の出力上昇には寄与しないのである。
そこで本実施形態2では、このような急激な燃料電池出力の落ち込みが生じる点を出力閾値WFCCとして、そのときの水素濃度を水素濃度閾値CH2Cと設定する。
コントローラ20は、このように設定された出力閾値WFCCより燃料電池出力要求WFCdemが小さいか否かを判断し(S41)、小さい場合、その時点での燃料電池温度TFC0において最大出力WFCmaxが要求出力WFCdemとなるアノード水素濃度CH2demを算出する(S42)。この値は、実施形態1と同様に燃料電池温度ごとの検量線を用いて算出する。
そして、コントローラ20は、排水素バルブ16の開頻度Fを調整し(S43)、検出される水素濃度CH2が算出された水素濃度CH2demとなるようにする(S44)。水素濃度CH2が算出された水素濃度CH2demと同じとなった時点で、排水素バルブ16の開頻度Fを固定する(S45)。これにより、出力要求WFCdemに最低のアノード水素濃度CH2で応えるようにすることができる。このような操作を行うことで、アノード水素濃度に依存するイオン液体の劣化速度を緩和しながら、燃料電池の出力要求に応えることができる。
一方、ステップS41において、出力閾値WFCCより燃料電池出力要求WFCdemが大きい場合、検出されるアノード水素濃度CH2が水素濃度閾値CH2Cとなるように、排水素バルブ開頻度Fを調整する(S46〜S48)。このような操作を行うことで、低いアノード水素濃度CH2で燃料電池出力要求WFCdemの大部分に応えることができる。この場合、不足する燃料電池出力要求は2次電池からまかなう。
次に、ステップS23(図7)において、要求出力WFCdem<最大出力WFCmaxと判断した場合、コントローラ20は、燃料電池出力下降サブルーチンの処理を行う。
図10は燃料電池出力下降サブルーチンの手順を示すフローチャートである。
まず、コントローラ20は、前記のステップS41同様に、燃料電池出力の負荷応答時間要求tresが閾値tresc以下であるかどうか判断する(S51)。この閾値trescは燃料電池出力上昇サブルーチンで用いた値と同じ値を用いる。なお、出力上昇時の応答性能と、出力下降時の応答性能に差があってもよい場合はここで用いる閾値trescは燃料電池出力上昇サブルーチンで用いた値と異なる値としてもよい。
そして、コントローラ20は、負荷応答時間要求tres<閾値trescであれば、燃料電池の取り出し電流IFCを低下させて(S52)、現在の燃料電池出力WFCを要求出力WFCdemとなるようにして負荷応答に応える。しかし、燃料電池の取り出し電流IFCを低下させたままの状態で運転を継続すると、水素濃度が必要以上に高いままとなる。そこで、コントローラ20は、燃料電池出力要求WFCdemに対応したアノード水素濃度CH2に設定し、また、燃料電池の取り出し電流IFCを増加させる水素濃度燃料電池電流調整サブルーチン(S60)へ移行する。
図11は、水素濃度燃料電池電流調整サブルーチンの手順を示すフローチャートである。
このサブルーチンでの処理は、まず、コントローラ20が、燃料電池への要求出力WFCdemと出力閾値WFCCとを比較する(S61)。
ここで要求出力WFCdem<出力閾値WFCCである場合は、現在の燃料電池温度TFCにおいて、要求出力WFCdemがその時点での最大出力WFCmaxとなるアノード水素濃度CH2demを算出する(S62)。
その後コントローラ20は、排水素バルブ開頻度Fを減少させる(すなわち一定時間あたりに開いている時間を少なくする。S63)。続いてコントローラ20は出力燃料電池電流IFCを調整する(S64)。たとえば、燃料電池スタック11からの出力エネルギーと2次電池18からの出力エネルギーが一定となるように制御する。
そして、コントローラ20は、現在の燃料電池出力WFCが要求出力WFCdemとなったか否かを判断して、WFC=WFCdemでなければ、WFC=WFCdemとなるまで出力燃料電池電流IFCの調整を継続する(S65)。一方、WFC=WFCdemとなれば、現在の水素濃度CH2が上記算出した要求出力に対応したアノード水素濃度CH2demになるまで排水素バルブ開頻度Fをさらに減少させる(S66)。現在の水素濃度CH2=アノード水素濃度CH2demとなった時点で排水素バルブ開頻度Fを固定する(S67)。
これにより、排水素バルブ16が徐々に閉じている割合が長くなって、水素濃度が薄くなる。したがって、その時点での最小の水素濃度により、要求出力に対応した出力となる。
一方、ステップS61において、要求出力WFCdem≧出力閾値WFCCである場合には、コントローラ20は排水素バルブ開頻度Fを減少させ(S73)、さらに現在の出力燃料電池電流IFCを調整する(S44)。
そして、コントローラ20は、現在の燃料電池出力WFCが要求出力WFCdemとなったか否かを判断して、WFC=WFCdemでなければ、WFC=WFCdemとなるまで出力燃料電池電流IFCの調整を継続する(S75)。一方、WFC=WFCdemとなれば、現在の水素濃度CH2がアノード水素濃度の閾値CH2Cになるまで排水素バルブ開頻度Fをさらに減少させる(S76)。現在の水素濃度CH2=の閾値CH2Cとなった時点で排水素バルブ開頻度Fを固定する(S77)。
これにより出力閾値WFCCに対応したアノード水素濃度CH2Cになるように、排水素バルブ開頻度Fを設定することになる。
このサブルーチンにおける処理は、図9に示した水素濃度調整サブルーチンと異なる点
は、水素濃度低下によって生じる出力低下を、燃料電池電流IFCを調整することによって補償することである。
なお、ステップS51(図10)において、負荷応答時間要求tres≧閾値trescと判断された場合は、図9を参照して説明したと同じ水素濃度調整サブルーチン(S40)を実行することになる。
以上、本実施形態2によれば、水素循環系配管14に循環停止バルブ31を設けたことで、これを閉じて水素循環系配管14を閉塞することで100%水素を燃料電池スタック11に供給することができる。したがって、急な要求出力の増加にも対応することができ、システム2の応答速度が向上する。しかもこのための設備としては、循環停止バルブ31を追加するだけであるから簡単な設備の追加ですむ。
また、本実施形態2では、水素濃度を上げても出力の増加が大きくは見込めない水素濃度の閾値を設定して、この閾値以下の範囲内で水素濃度を上げるようにした。これにより、出力要求を満たしつつ、イオン液体が水素に触れる量や高濃度水素にさらされる時間を少なくすることができる。したがって、実施形態1と比較してよりいっそうイオン液体の劣化を抑制することが可能となる。
さらに、本実施形態2では、要求出力に対する負荷応答時間があらかじめ決められた応答時間の閾値より速い場合に前記循環経路閉鎖手段を閉鎖することとしたので、高速での応答が要求される場合にのみ高濃度の水素を供給するようにして、できるだけ高濃度水素にイオン液体がさらされないようにすることができる。
(実施形態3)
図13は、本発明を適用した実施形態3の燃料電池システム構成を示すブロック図である。なお、以下の説明において実施形態1および2と同様の機能を有する部材については同じ符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
この燃料電池システム3は、実施形態1および2と同様に100℃以上の高温で作動するイオン液体を電解質として用いた燃料電池を用いている。
このシステム3は、実施形態2と同様に、燃料電池スタック11、水素タンク12、プレッシャーレギュレータ13、排水素バルブ16、コンプレッサ17、2次電池18、インバータ19、コントローラ20、水素センサ21、熱電対22を有する。さらにこのシステム3は、水素供給配管25に、水素濃度を薄くするために希釈気体を供給する希釈気体供給器41、水素の流量を調整するマスフローコントローラ35、希釈用気体の流量を調整するマスフローコントローラ36が取り付けられている。
希釈気体供給器41は希釈手段であり、水素タンクから水素供給配管25に供給されている水素ガスを直接希釈して、燃料ガス中の水素濃度を下げる。希釈気体の導入動作はコントローラ20によって制御している。希釈気体は、たとえば、水蒸気、窒素ガス、ヘリウムなどの不活性気体、あるいはこれらの混合気体などであり得る。
水蒸気の場合は、たとえば水中に設けたバブラーからタンクに蓄えた窒素ガスを供給することで高湿度の窒素ガス(窒素含有水蒸気)を水素供給配管25に供給する。また窒素ガスやヘリウムなどの不活性気体を用いる場合は、たとえばこれらを希釈気体供給器41内にボンベなどを用いて圧縮気体または液体状態として貯蔵しておいて、直接供給するようにしてもよい。これらの場合、希釈気体はタンクなどの出力弁の開閉と共にマスフローコントローラ36をコントローラ20が制御することにより行う。
このように、希釈気体供給器41を設けたことで、燃料電池への要求出力が低下した際には、急速に水素濃度を任意の濃度とすることが可能となる。
本実施形態3では、上述した実施形態2と同様の制御により要求出力が上がった場合には希釈気体のマスフローコントローラ36を閉じることで急速に水素濃度を向上させ、出力を上げることができる。このとき、水素の出力(マスフローコントローラ35からの出力)は一定を保つようにしてもよいが、希釈気体の導入を止めると同時にマスフローコントローラ35を調整することで、水素出力をいっそう上げるようにしてもよい。
一方で要求出力が下がった場合には希釈気体供給器41から希釈気体を導入して急速に水素濃度を下げる。このとき、水素の出力は一定を保つようにしてもよいが、希釈気体の導入を行うと同時にマスフローコントローラ35を調整することで、水素出力をいっそう下げるようにしてもよい。
したがって、本実施形態3では、要求出力が下がった場合に急速に水素濃度を下げて、よりいっそうイオン液体が水素に触れる割合を下げることができる。
その他の制御も実施形態2と同様に行うことができ、実施形態2と同様の効果がある。
なお、本実施形態3では、希釈気体供給器41を用いて水素濃度の調整を行うこととしたため、水素循環系配管(余剰水素循環手段)はない構成とした。しかし、希釈気体供給器41と共に、水素循環系配管を設けておいて、通常運転時には水素を回収して使用するようにしてもよい。この場合、水素濃度を上げる際には、希釈気体供給器41からの希釈気体の供給を止めると共に、水素循環系配管内のバルブを閉じたり、排水素バルブを開いたりするなどして、窒素などを含む余剰水素ガスが燃料電池スタックに戻らないようにするとよい。
以上、本発明を実施形態により説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
たとえば、具体的な制御方法は上述した方法に代えて、単純に燃料電池スタックの出力を監視し、その出力が要求出力に見合う値となるように水素濃度を変更するといったことも可能である。このような制御方法でもイオン液体が高濃度の水素にさらされる割合を減らして燃料電池の長寿命化を図ることができる。
また、排水素バルブは開または閉のいずれかの状態をとるバルブを用いて、開頻度の調整により水素濃度を制御したが、このようなバルブに代えて流量を調整するタイプのバルブを用いてもよい。
その他、たとえば、電解質として用いられるイオン液体についても、上述したEMI(FH)1.3F以外のイオン液体であっても水素触れることで劣化が起こるような電解質であれば本システムは有効に作用する。
さらには、上述した実施形態では、2次電池をシステム内に設けている。その役割は、主に、燃料電池の発電余力がある場合に電力を一時的に蓄えておいて、要求出力が急激に高くなったときにこの2次電池からの出力でシステム全体としての応答性を補うためのものである。したがって、本発明を実施する上で必ずしも必要なものではない。
本発明は、自動車用の燃料電池システムに好適である。これは、自動車用の燃料電池システムは、自動車の加速減速などの状況に応じて発電量を変化させることが多いため、それに応じて本発明を適用して水素濃度を変えれば、格段に燃料電池の寿命を伸ばすことができる。
本発明は、自動車用以外の設置型の燃料電池システムに適している。本発明を適用することで、燃料電池システムが設置された環境温度や運転状態の変化に対応した最適な水素濃度で運転を継続することができ、これまで以上に燃料電池の寿命を伸ばすことができる。
本発明を適用した実施形態1の燃料電地システムの構成を示すブロック図である。 燃料電池セルの概略構成を示す断面図である。 イオン液体EMI(FH)1.3F中でHEMAを重合させることによって形成したイオンゲルの熱重量測定結果を示すグラフである。 実施形態1の燃料電池システムの制御手順を示すフローチャートである。 燃料電池温度ごとに水素濃度と出力の関係を示すグラフである。 本発明を適用した実施形態2のシステム構成を示すブロック図である。 実施形態2の燃料電池システムの制御手順を示すフローチャートである。 燃料電池出力上昇サブルーチンの手順を示すフローチャートである。 水素濃度調整サブルーチンの手順を示すフローチャートである。 燃料電池出力下降サブルーチンの手順を示すフローチャートである。 水素濃度燃料電池電流調整サブルーチンの手順を示すフローチャートである。 燃料電池のある温度における水素濃度と出力の関係を示すグラフである。 本発明を適用した実施形態3のシステム構成を示すブロック図である。
符号の説明
1、2、3…燃料電池システム、
11…燃料電池スタック(燃料電池)、
12…水素タンク(燃料ガス供給手段)、
13…プレッシャーレギュレータ(燃料ガス供給手段)、
14…水素循環系配管(余剰水素循環手段)、
15…水素循環ポンプ(余剰水素循環手段)、
16…排水素バルブ(排気手段)、
17…コンプレッサ、
18…2次電池、
19…インバータ、
20…コントローラ(水素濃度調整手段)、
21…水素センサ(水素濃度検出手段)、
22…熱電対(温度検出手段)、
25…水素供給配管(燃料ガス供給手段)、
31…循環停止バルブ(循環経路閉鎖手段)、
41…希釈気体供給器(希釈手段)。

Claims (16)

  1. 電解質としてイオン液体を用いた燃料電池と、
    前記燃料電池へ水素を含有する燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、
    前記燃料電池への要求出力が低い場合は前記燃料ガス供給手段から前記燃料電池に供給される前記燃料ガス中の水素濃度を低下させ、前記燃料電池への前記要求出力が高い場合は前記燃料ガス供給手段から前記燃料電池に供給される前記燃料ガス中の水素濃度を上昇させる水素濃度調整手段と、
    を有することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記燃料電池の温度を検出する温度検出手段と、
    前記燃料電池に供給される水素濃度を検出する水素濃度検出手段と、を有し、
    前記水素濃度調整手段は、
    前記温度検出手段が検出した温度および前記水素濃度検出手段が検出した水素濃度のときに出力可能な最高出力より前記燃料電池への前記要求出力が少ない場合は前記要求出力となる水素濃度となるまで前記水素濃度検出手段によって検出される水素濃度を低下させ、
    前記温度検出手段が検出した温度および前記水素濃度検出手段が検出した水素濃度のときに出力可能な最高出力より前記燃料電池への前記要求出力が多い場合は前記要求出力となる水素濃度となるまで前記水素濃度検出手段によって検出される水素濃度を上昇させることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  3. 前記水素濃度調整手段は、燃料電池温度ごとの水素濃度と出力との関係を示す検量線を備え、当該検量線を用いて前記温度検出手段が検出した温度および前記水素濃度検出手段が検出した水素濃度のときに出力可能な最高出力と前記要求出力となる水素濃度を求めることを特徴とする請求項2記載の燃料電池システム。
  4. 前記燃料ガス供給手段に接続され、前記燃料電池で消費されなかった余剰水素と共に前記燃料電池の燃料極側から放出されるガスを前記燃料ガス供給手段側へ戻して余剰水素を循環させる余剰水素循環手段と、
    前記余剰水素循環手段に設けられ、前記余剰水素と共に前記燃料電池の燃料極側から放出されるガスを前記余剰水素循環手段の経路外へ排気する排気手段と、を有し、
    前記水素濃度調整手段は、水素濃度を低下させる際には前記排気手段からの排気量を低下させ、水素濃度を上昇させる際には前記排気手段からの排気量を上昇させることを特徴とする請求項2または3記載の燃料電池システム。
  5. 前記余剰水素循環手段に設けられた循環経路閉鎖手段を有し、
    前記水素濃度調整手段は、前記水素濃度を上昇させる際には前記循環経路閉鎖手段を閉鎖することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の燃料電池システム。
  6. 前記水素濃度調整手段は、あらかじめ決められた水素濃度閾値以下の範囲で前記水素濃度を上昇させることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  7. 前記水素濃度を低下させる希釈気体を供給する希釈手段を有し、
    前記水素濃度調整手段は、前記水素濃度を低下させる際には前記希釈手段から前記希釈気体を供給することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の燃料電池システム。
  8. 前記水素濃度調整手段は、前記要求出力に対する要求応答時間があらかじめ決められた応答閾値より速い場合に前記循環経路閉鎖手段を閉鎖することを特徴とする請求項5記載
    の燃料電池システム。
  9. 電解質としてイオン液体を用いた燃料電池を有する燃料電池システムの制御方法であって、
    前記燃料電池への要求出力が低い場合は前記燃料電池に供給される燃料ガス中の水素濃度を低下させ、前記燃料電池への前記要求出力が高い場合は前記燃料電池に供給される燃料ガス中の水素濃度を上昇させることを特徴とする燃料電池システムの制御方法。
  10. 前記水素濃度を低下させる際は、前記燃料電池の温度と前記燃料電池に供給される水素濃度を検出して、前記検出した温度および水素濃度のときに出力可能な最高出力より前記燃料電池への前記要求出力が少ない場合は前記要求出力となる前記水素濃度となるまで前記水素濃度を低下させ、
    前記水素濃度を上昇させる際は、前記燃料電池の温度と前記燃料電池に供給される水素濃度を検出して、前記検出した温度および水素濃度のときに出力可能な最高出力より前記燃料電池への前記要求出力が多い場合は前記要求出力となる前記水素濃度となるまで前記水素濃度を上昇させることを特徴とする請求項9記載の燃料電池システムの制御方法。
  11. 前記検出した温度および水素濃度のときに出力可能な最高出力および前記要求出力となる水素濃度は、前記燃料電池の温度ごとの水素濃度と出力との関係を示す検量線から求めることを特徴とする請求項10記載の燃料電池システムの制御方法。
  12. 前記水素濃度を低下させる際は、前記燃料電池で消費されなかった余剰水素と共に前記燃料電池の燃料極側から放出されるガスを前記燃料電池へ再供給する量を増やすことで行い、
    前記水素濃度を上昇させる際は、前記燃料電池で消費されなかった前記余剰水素と共に前記燃料電池の前記燃料極側から放出されるガスを前記燃料電池へ再供給する量を減らすことで行うことを特徴とする請求項9〜11のいずれか一つに記載の燃料電池システムの制御方法。
  13. 前記水素濃度を上昇させる際は、燃料ガスとして純水素を供給することを特徴とする請求項9記載の燃料電池システムの制御方法。
  14. 前記水素濃度を上昇させる際は、あらかじめ決められた水素濃度閾値以下の範囲で水素濃度を上昇させることを特徴とする請求項9〜13のいずれか一つに記載の燃料電池システムの制御方法。
  15. 前記燃料ガス中の水素濃度を低下させる際は、前記燃料電池へ前記燃料ガスと共に前記燃料ガスの水素濃度を低下させる希釈気体を供給することを特徴とする請求項9〜13のいずれか一つに記載の燃料電池システムの制御方法。
  16. 前記要求出力に対する要求応答時間があらかじめ決められた応答閾値より速い場合は燃料ガスとして水素ガスのみを供給することを特徴とする請求項9記載の燃料電池システムの制御方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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