JP2009046560A - 樹脂組成物および相溶化剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】生物由来のモノマーを起源とする耐熱性を有する樹脂組成物、並びに、ポリ乳酸とポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)とを相溶させるための相溶化剤を提供する。
【解決手段】ポリ乳酸の存在下にα−メチレン−γ−ブチロラクトンのラジカル重合を行うことにより得られる、ポリ乳酸/ポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)グラフトポリマー及びポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)を含むことを特徴とする樹脂組成物。ポリ乳酸の存在下にα−メチレン−γ−ブチロラクトンのラジカル重合を行うことにより得られる、ポリ乳酸/ポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)グラフトポリマーからなることを特徴とする、ポリ乳酸とポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)との相溶化剤。
【選択図】なし
【解決手段】ポリ乳酸の存在下にα−メチレン−γ−ブチロラクトンのラジカル重合を行うことにより得られる、ポリ乳酸/ポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)グラフトポリマー及びポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)を含むことを特徴とする樹脂組成物。ポリ乳酸の存在下にα−メチレン−γ−ブチロラクトンのラジカル重合を行うことにより得られる、ポリ乳酸/ポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)グラフトポリマーからなることを特徴とする、ポリ乳酸とポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)との相溶化剤。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリ乳酸の存在下にα−メチレン−γ−ブチロラクトンのラジカル重合を行うことにより得られる、ポリ乳酸/ポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)グラフトポリマー及びポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)を含む樹脂組成物、及び上記ポリ乳酸/ポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)グラフトポリマーからなるポリ乳酸とポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)との相溶化剤に関する。
プラスチックは石油から安価に生産でき、様々な用途に使用可能な材料であるため、人類の生活にかかせないものとなっている。しかし、プラスチックの大量生産、大量消費は石油を大量に使用することから、石油の枯渇問題の一つ原因になっている。また、プラスチックを燃焼すると二酸化炭素が発生するが、大気中の二酸化炭素濃度の増加は温室効果をもたらし地球温暖化の原因となる。このような、石油などの化石資源の枯渇、地球温暖化を抑制する手段の一つとして、バイオマス資源の利用が進んできている。プラスチック材料の生産においても、原料としてバイオマス資源の利用が考えられており、得られたポリマーはバイオベースポリマーと呼ばれている。
代表的なバイオベースポリマーとして、下記式(1)で表されるポリ乳酸がある。ポリ乳酸はトウモロコシなどの穀物から得られるモノマーを原料として合成されるポリマーであり、汎用プラスチックと同程度の弾性率、強度をもつことが知られている。しかし、ポリ乳酸のホモポリマーはガラス転移温度(Tg)が60℃付近であり、その耐熱性の低さなどが原因で用途が限定されているため、他のポリマーとのブレンドや共重合などによる物性改善が試みられている。
一方、耐熱性の高いバイオベースポリマーとして、チューリップから抽出される物質である下記式(2)で表されるα−メチレン−γ−ブチロラクトン(別名 tulipalin A)を重合して得られる下記式(3)で表されるポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)(別名 Poly(tulipalin))(以下「PT」と略すときがある。)が知られている(非特許文献1参照)。
PTはガラス転移温度(Tg)が195℃の非晶性ポリマーであるが、PT単体では加工性に劣るという問題がある。そのため、α−メチレン−γ−ブチロラクトンは、工業的には、その単独重合体を得るためのモノマーとして用いられることはなく、α−メチレン−γ−ブチロラクトンとバイオマスに由来しない石油系のモノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−フルオロアクリル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸、及びそれらのエステルモノマー、フッ素含有ビニル系単量体など)との共重合に用いられることにより、これらの石油系のモノマー単独を重合して得られる重合体の耐熱性の改善などに用いることが提案されている(特許文献1〜3参照)。しかし、石油系モノマーと共重合するのでは、PTがバイオベースポリマーであるという特徴が減じてしまうという問題があった。
Murali K.Akkapeddi, 「Poly(α−methylene−γ−butyrolactone) Synthesis,Configurational Structure,and Properties」,「Macromolecules」,1979年,Vol.12,No.4,p.546−551
特開平9−12646号公報
特開平9−12641号公報
特表2002−532579号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題に鑑み、生物由来のモノマーを起源とする耐熱性を有する樹脂組成物、並びに、ポリ乳酸とポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)とを相溶させるための相溶化剤を提供することにある。
本発明の樹脂組成物は、ポリ乳酸の存在下にα−メチレン−γ−ブチロラクトンのラジカル重合を行うことにより得られる、ポリ乳酸/ポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)グラフトポリマー及びポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)を含むことを特徴とする。
本発明で用いられるポリ乳酸としては、ポリ−DL−乳酸、ポリ−L−乳酸が挙げられる。
上記ラジカル重合において、ポリ乳酸とα−メチレン−γ−ブチロラクトンの仕込みにおける配合比率は、ポリ乳酸が多くなると得られる樹脂組成物中にポリ乳酸の量が多くなるため耐熱性向上効果が低くなると共に、樹脂組成物中のポリ乳酸の相溶性が低くなるので、ポリ乳酸とα−メチレン−γ−ブチロラクトンの合計中のポリ乳酸の割合は、30重量%以下が好ましく、また、α−メチレン−γ−ブチロラクトンの量が多くなると得られる樹脂組成物中にα−メチレン−γ−ブチロラクトンのホモポリマーの量が多くなるためTgが高くなるが高コスト化するため、ポリ乳酸:α−メチレン−γ−ブチロラクトンの重量比が、5:95〜29:71が好ましく、5:95〜25:75が更に好ましく、5:95〜21:79が特に好ましく、15:85〜21:79が最も好ましい。
上記ラジカル重合の開始剤としては、従来からラジカル開始剤として用いられるいずれもが使用可能であり、例えば、有機過酸化物が挙げられる。
上記ラジカル重合の反応温度は、開始剤により異なるが、通常50℃〜200℃が用いられ、好ましくは80℃〜160℃である。
上記ラジカル重合の反応時間は、通常1〜24時間が用いられ、好ましくは、1〜10時間である。
上記ラジカル重合において、ポリ乳酸をα−メチレン−γ−ブチロラクトンに溶解させて反応させることが可能であるので、溶媒は必ずしも必要はないが、溶媒を用いることも可能である。
上記ラジカル重合による反応生成物は、ポリ乳酸/ポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)グラフトポリマー及びポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)ホモポリマーなどであり、ラジカル重合後の反応容器中には、ポリ乳酸/ポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)グラフトポリマー、ポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)ホモポリマー及び未反応のポリ乳酸などが含まれ、この混合物が本発明でいう樹脂組成物である。なお、上記のポリ乳酸/ポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)グラフトポリマーは、ポリ乳酸の主鎖の一部に側鎖としてポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)ホモポリマーが結合している構造のものを指す。
本発明の相溶化剤は、ポリ乳酸の存在下にα−メチレン−γ−ブチロラクトンのラジカル重合を行うことにより得られる、ポリ乳酸/ポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)グラフトポリマーからなるものであり、ポリ乳酸とポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)との相溶化を効果的に促進する。
本発明の樹脂組成物は、ポリ乳酸の存在下にα−メチレン−γ−ブチロラクトンのラジカル重合を行うことにより得られる、ポリ乳酸/ポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)グラフトポリマー及びポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)を含み、ポリ乳酸/ポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)グラフトポリマーがポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)と未反応のポリ乳酸との相溶を効果的に進めるので、熱的に均一な系となり、Tgも1つだけとなり、そのTgはポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)よりも低くポリ乳酸よりも高くなる。従って、本発明の樹脂組成物は、生物由来のモノマーのみを起源とする耐熱性を有する樹脂組成物となる。
また、本発明の相溶化剤は、ポリ乳酸の存在下にα−メチレン−γ−ブチロラクトンのラジカル重合を行うことにより得られる、ポリ乳酸/ポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)グラフトポリマーからなるので、ポリ乳酸とポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)との相溶化を効果的に促進する。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明する。
以下の実施例において、1H−NMR測定はBrucker ARX−500核磁気共鳴装置を用いて500MHzで行った。溶媒としてはd6−ジメチルスルホキシドを用い、テトラメチルシランを内部標準物質として用いた。
示差走査熱量測定(DSC測定)は島津製作所製DSC−50型 示差走査熱量測定計で行った。サンプル試料5〜7mgをアルミセルに載せ、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/minで測定した。試料は 220℃までのfirst scanの後、液体窒素でクエンチし、室温から220℃まで2nd(second) scan測定した。
GPC測定はShimadzu LC−10AD送液ユニット、Shimadzu RID−10A示差屈折率検出器、Sugai U−620カラムオーブンからなるシステムで行った。カラムにはHFIP−806M(昭和電工社製)を用いた。また、溶液相として1mMトリフルオロ酢酸ナトリウム含有1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール(1,1,1,3,3,3−hexafluoroisopropanol。以下「HFIP」という)を用い、カラムの温度を40℃に設定し測定した。分子量及び分子量分布は単分散ポリメタクリル酸メチルを標準物質とする換算値を用いた。
AFM(Atomic Force Microscope 原子間力顕微鏡)測定はDidital Instruments,Inc.製 NanoScopeIIIを用いた。サンプルはポリマーの0.5重量%HFIP溶液を基盤上に直接キャストすることにより作製した。
(参考例1)PTホモポリマーの合成
AIBN2.5mg(0.02mmol)を試験管に加えた後、窒素置換を3回行った。その後、tulipalin A(東京化成工業社より購入し、蒸留したもの)496mg(5.06mmol)を上記の試験管に加え、60℃に加熱し重合した。6時間重合した後、白い固形のポリマーを粉砕しジメチルホルムアミドに溶解させた後、メタノールに再沈殿させた。ポリマーの沈殿を含む溶液を遠心分離し、上澄みをデカンテーションした後、80℃で10時間減圧乾燥した。得られたPTホモポリマーの収率は64%であった。また、GPC測定の結果より、Mn=58,000、Mw=127,000、PDI=2.19であった。
AIBN2.5mg(0.02mmol)を試験管に加えた後、窒素置換を3回行った。その後、tulipalin A(東京化成工業社より購入し、蒸留したもの)496mg(5.06mmol)を上記の試験管に加え、60℃に加熱し重合した。6時間重合した後、白い固形のポリマーを粉砕しジメチルホルムアミドに溶解させた後、メタノールに再沈殿させた。ポリマーの沈殿を含む溶液を遠心分離し、上澄みをデカンテーションした後、80℃で10時間減圧乾燥した。得られたPTホモポリマーの収率は64%であった。また、GPC測定の結果より、Mn=58,000、Mw=127,000、PDI=2.19であった。
(比較例1)ポリマーブレンド
ポリ−DL−乳酸(定法に従い、ラウリルアルコールを開始剤に、またオクチル酸スズを触媒として用い、ラセミラクチドの開環重合により重合したもの。数平均分子量60,000、重量平均部分子量132,000)の1重量%HFIP溶液と、参考例1で得られたPTの1重量%HFIP溶液を重量比で80/20、50/50、20/80の割合で混合し、メタノールに再沈殿させた。遠心分離し、上澄みをデカンテーションした後、80℃で10時間減圧乾燥した。ポリ−DL−乳酸(以下、PDLLAというときがある)とPTの組成を変化させたときのDSC測定の2nd Scan 測定のDSC曲線を図1に示した。図1によると、実験した範囲のすべての組成においてPDLLAとPTのTgのピークはほとんど変わらず、それぞれのポリマーの二つのTgがみられた。したがって、この結果よりPDLLAとPTは非相溶であり、相分離することが示された。
ポリ−DL−乳酸(定法に従い、ラウリルアルコールを開始剤に、またオクチル酸スズを触媒として用い、ラセミラクチドの開環重合により重合したもの。数平均分子量60,000、重量平均部分子量132,000)の1重量%HFIP溶液と、参考例1で得られたPTの1重量%HFIP溶液を重量比で80/20、50/50、20/80の割合で混合し、メタノールに再沈殿させた。遠心分離し、上澄みをデカンテーションした後、80℃で10時間減圧乾燥した。ポリ−DL−乳酸(以下、PDLLAというときがある)とPTの組成を変化させたときのDSC測定の2nd Scan 測定のDSC曲線を図1に示した。図1によると、実験した範囲のすべての組成においてPDLLAとPTのTgのピークはほとんど変わらず、それぞれのポリマーの二つのTgがみられた。したがって、この結果よりPDLLAとPTは非相溶であり、相分離することが示された。
(実施例1)
1.グラフト共重合
ポリ−DL−乳酸(定法に従い、ラウリルアルコールを開始剤に、またオクチル酸スズを触媒として用い、ラセミラクチドの開環重合により重合したもの。数平均分子量60,000、重量平均部分子量132,000)100mgを試験管に加えた後、窒素置換を3回おこなった。tulipalin A(東京化成工業社より購入し、蒸留したもの)397mg(4.05mmol)を上記の試験管に加え、数時間攪拌しポリマーを溶解させた後、ジ−t−ブチルパーオキシド0.02μL(1.37×10-4 mmol)を加え、130℃で6時間重合した。重合後、白色の固形のポリマーをHFIPに溶解させ、メタノールで再沈殿した。遠心分離した後、上澄みをデカンテーションし、常温で12時間減圧乾燥し粗生成物324mgを得た。上記共重合反応におけるtulipalin Aの転化率は56%であった。
1.グラフト共重合
ポリ−DL−乳酸(定法に従い、ラウリルアルコールを開始剤に、またオクチル酸スズを触媒として用い、ラセミラクチドの開環重合により重合したもの。数平均分子量60,000、重量平均部分子量132,000)100mgを試験管に加えた後、窒素置換を3回おこなった。tulipalin A(東京化成工業社より購入し、蒸留したもの)397mg(4.05mmol)を上記の試験管に加え、数時間攪拌しポリマーを溶解させた後、ジ−t−ブチルパーオキシド0.02μL(1.37×10-4 mmol)を加え、130℃で6時間重合した。重合後、白色の固形のポリマーをHFIPに溶解させ、メタノールで再沈殿した。遠心分離した後、上澄みをデカンテーションし、常温で12時間減圧乾燥し粗生成物324mgを得た。上記共重合反応におけるtulipalin Aの転化率は56%であった。
2.生成物の同定
1)アセトン抽出
上記1.グラフト共重合で得られた粗生成物100mgをアセトンと混合し、室温で24時間攪拌して抽出した後、遠心分離し沈殿物と上澄みとに分けた。
1)アセトン抽出
上記1.グラフト共重合で得られた粗生成物100mgをアセトンと混合し、室温で24時間攪拌して抽出した後、遠心分離し沈殿物と上澄みとに分けた。
粗生成物をアセトンで抽出する前後のGPC曲線を図2に示した。図2において、(a)は、アセトン抽出する前の粗生成物のGPC曲線、(b)は、上記1.グラフト共重合の反応原料として用いたポリ−DL−乳酸のGPC曲線、(c)は、アセトン抽出後に沈殿として残った粗生成物のGPC曲線である。図2よりアセトン抽出する前の粗生成物のGPC曲線(a)はピークが三つに分かれていることがわかる。しかし、アセトン抽出後に沈殿として残った粗生成物のGPC曲線(c)では真ん中のピークが消滅していた。図2に示すように、この真ん中のピークとポリ−DL−乳酸のGPC曲線(b)のピークは一致した。したがって、アセトン抽出によってポリ−DL−乳酸が抽出されたことがわかる。また、最も低分子量側のピークは、ポリ−DL−乳酸のピークよりも低分子量側にあることから、PTホモポリマーのピークであることがわかる。
以上のことから、アセトン抽出する前の粗生成物中には、反応原料として用いたポリ−DL−乳酸の一部が未反応物として残っていると共に、反応により合成されたPTのホモポリマーが存在していることが考えられる。また、アセトン抽出後に沈殿として残った粗生成物のGPC曲線(c)では、2つのピークに分れたが、分子量が大きく異なることからPTのホモポリマー以外にグラフトポリマーが生成されていると考えられる。
2)クロロホルム抽出
上記1.グラフト共重合で得られた粗生成物100mgをクロロホルムと混合し室温で24時間攪拌して抽出した後、遠心分離し沈殿物と上澄みとに分けた。
上記1.グラフト共重合で得られた粗生成物100mgをクロロホルムと混合し室温で24時間攪拌して抽出した後、遠心分離し沈殿物と上澄みとに分けた。
上記の上澄みであるクロロホルム溶解物の1H−NMRスペクトルを図3に(A)として示した。また、図3に(B)として示したものは、比較例1のポリマーブレンド物を同様にしてクロロホルム抽出して得られた上澄みであるクロロホルム溶解物の1H−NMRスペクトルである。図3より、ポリマーブレンド物をクロロホルム抽出するとポリ−DL−乳酸のみが抽出されたのに対して、グラフト共重合で得られた粗生成物をクロロホルムで抽出するとPTの成分も抽出された。このことから、グラフト共重合で得られた粗生成物中にはグラフトポリマーの存在が示唆される。
3)DSC測定
図4に、上記1.グラフト共重合で得られた粗生成物のDSC測定の2nd Scan測定のDSC曲線を(a)として示した。また、図4に(b)として示したものは、比較例1のポリマーブレンド物のDSC測定の2nd Scan測定のDSC曲線である。ポリマーブレンド物のDSC曲線では、ポリ−DL−乳酸のTgとPTのTgが見られるが、粗生成物のDSC曲線ではポリ−DL−乳酸、PTの二つのポリマーのTgの中間にただ一つのTgのピークが確認された。このTgの値は165℃であった。このように、Tgが一つだけ確認されたことから、グラフト共重合の粗生成物では熱的特性においては、ポリ−DL−乳酸とPTは相溶していると考えられる。さらに、ポリ乳酸/ポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)グラフトポリマー自体も、ポリ−DL−乳酸及びPTと相溶している。
図4に、上記1.グラフト共重合で得られた粗生成物のDSC測定の2nd Scan測定のDSC曲線を(a)として示した。また、図4に(b)として示したものは、比較例1のポリマーブレンド物のDSC測定の2nd Scan測定のDSC曲線である。ポリマーブレンド物のDSC曲線では、ポリ−DL−乳酸のTgとPTのTgが見られるが、粗生成物のDSC曲線ではポリ−DL−乳酸、PTの二つのポリマーのTgの中間にただ一つのTgのピークが確認された。このTgの値は165℃であった。このように、Tgが一つだけ確認されたことから、グラフト共重合の粗生成物では熱的特性においては、ポリ−DL−乳酸とPTは相溶していると考えられる。さらに、ポリ乳酸/ポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)グラフトポリマー自体も、ポリ−DL−乳酸及びPTと相溶している。
4)AFM測定
上記1.グラフト共重合で得られた粗生成物とポリマーブレンド物のAMF画像を図5に示した。図5において(a)は、粗生成物のAMF画像、(b)はポリマーブレンド物のAFM画像である。図5より、粗生成物では均一な構造となっているが、ポリマーブレンド物では相分離構造をとっていることがわかる。なお、図5の(a)をよくみると、粒のようなものが、画面全体にわたって多数みられるが、これはフィルム作成時に非常に揮発性の高い溶媒を使用したことによってフィルム表面にできた凹みであり、試料自体の均一性を否定するものではない。
上記1.グラフト共重合で得られた粗生成物とポリマーブレンド物のAMF画像を図5に示した。図5において(a)は、粗生成物のAMF画像、(b)はポリマーブレンド物のAFM画像である。図5より、粗生成物では均一な構造となっているが、ポリマーブレンド物では相分離構造をとっていることがわかる。なお、図5の(a)をよくみると、粒のようなものが、画面全体にわたって多数みられるが、これはフィルム作成時に非常に揮発性の高い溶媒を使用したことによってフィルム表面にできた凹みであり、試料自体の均一性を否定するものではない。
以上のことから、上記粗生成物においては、ポリ−DL−乳酸とPTがグラフトポリマーの存在により相溶性が向上していることが確認された。このことは、グラフトポリマーが相溶化剤として働いたことによると考えられる。さらに、ポリ乳酸/ポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)グラフトポリマー自体も、ポリ−DL−乳酸及びPTと相溶している。
本発明の樹脂組成物は、包装材料や成形品等の製造に好適に用いることができる。本発明の相溶化剤は、ポリ乳酸とポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)とを相溶させるための相溶化剤として好適に用いられ得る。
Claims (2)
- ポリ乳酸の存在下にα−メチレン−γ−ブチロラクトンのラジカル重合を行うことにより得られる、ポリ乳酸/ポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)グラフトポリマー及びポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)を含むことを特徴とする樹脂組成物。
- ポリ乳酸の存在下にα−メチレン−γ−ブチロラクトンのラジカル重合を行うことにより得られる、ポリ乳酸/ポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)グラフトポリマーからなることを特徴とする、ポリ乳酸とポリ(α−メチレン−γ−ブチロラクトン)との相溶化剤。
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CN109503816A (zh) * | 2018-10-29 | 2019-03-22 | 三明学院 | 一种两亲性聚酯型嵌段聚合物、制备方法及其用途 |
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CN109503816B (zh) * | 2018-10-29 | 2021-01-05 | 三明学院 | 一种两亲性聚酯型嵌段聚合物、制备方法及其用途 |
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