JP2009046394A - キサンチン系薬剤の効果増強方法および増強剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】
キサンチン誘導体またはその塩を有効成分とする気管支喘息治療薬などの副作用を軽減する方法を提供する。
【解決手段】
シンナムアルデヒド、桂皮酸、酢酸シンナミルなどのフェニルプロペン誘導体により、血中のキサンチン誘導体またはその塩を低濃度で維持しながら十分な薬理作用を増強することで、副作用の発現を抑制することができる。シンナムアルデヒド、桂皮酸、酢酸シンナミルなどのフェニルプロペン誘導体はキサンチン誘導体またはその塩を有効成分とするキサンチン系薬剤の作用増強剤または副作用低減剤として有用である。
【選択図】なし
キサンチン誘導体またはその塩を有効成分とする気管支喘息治療薬などの副作用を軽減する方法を提供する。
【解決手段】
シンナムアルデヒド、桂皮酸、酢酸シンナミルなどのフェニルプロペン誘導体により、血中のキサンチン誘導体またはその塩を低濃度で維持しながら十分な薬理作用を増強することで、副作用の発現を抑制することができる。シンナムアルデヒド、桂皮酸、酢酸シンナミルなどのフェニルプロペン誘導体はキサンチン誘導体またはその塩を有効成分とするキサンチン系薬剤の作用増強剤または副作用低減剤として有用である。
【選択図】なし
Description
本発明は、キサンチン系薬剤の効果増強方法および増強剤に関する。さらに詳しくは、キサンチン系気管支喘息治療薬の副作用を軽減する方法に関するものである。
キサンチンの母核を有する化合物は、気管支喘息の治療薬として古くから用いられている。特に、テオフィリンは、気管支喘息の対症療法剤として繁用されている有用な薬物であるが、治療域と副作用発現域の血中濃度が近く、他剤の併用により血中濃度の変動が著しい薬物である。副作用として、小児では痙攣や意識障害など重篤なものがあり、成人でも頭痛、動悸、不整脈、悪心嘔吐など多くの症状が報告されている。そのため副作用発現に注意しながら使用しなければならず実際の臨床の場で十分有用性を発揮していると言えない薬物である。
一方、生薬・桂皮は喘息の急性期や慢性期に使用される多くの漢方薬に配合されており、喘息治療薬として有用な生薬であるが、その作用機序は明らかでない。
例えば、シンナムアルデヒド(Cinnamaldehyde)は、桂皮の主要成分である精油の主な構成成分である。例えば、中国産桂皮では精油成分は1-3 %を含み、その組成はシンナムアルデヒドが80-90 %を占める。薬理作用として、発汗解熱、鎮静鎮痙、血管拡張、抗炎症作用など多様な作用が報告されている。
古来から桂皮は駆▲お▼血作用(血流改善作用)を有すると言われている。近年、主成分Cinnamaldehydeに関して血管拡張作用の報告(非特許文献1)があるが、その作用機序は明らかでない。本発明者らは、これまでに、シンナムアルデヒドおよび桂皮酸に内皮依存性・内皮非依存性の2つの血管弛緩作用があることを見出し報告している(非特許文献2)。
例えば、シンナムアルデヒド(Cinnamaldehyde)は、桂皮の主要成分である精油の主な構成成分である。例えば、中国産桂皮では精油成分は1-3 %を含み、その組成はシンナムアルデヒドが80-90 %を占める。薬理作用として、発汗解熱、鎮静鎮痙、血管拡張、抗炎症作用など多様な作用が報告されている。
古来から桂皮は駆▲お▼血作用(血流改善作用)を有すると言われている。近年、主成分Cinnamaldehydeに関して血管拡張作用の報告(非特許文献1)があるが、その作用機序は明らかでない。本発明者らは、これまでに、シンナムアルデヒドおよび桂皮酸に内皮依存性・内皮非依存性の2つの血管弛緩作用があることを見出し報告している(非特許文献2)。
Chem. Pham.Bull. 23(5), 941-947 (1975)
和漢医薬学雑誌, 13, 462-463 (1996)
気管支喘息治療薬として繁用されるテオフィリンは、心筋収縮に対する陽性変力作用、気管支平滑筋の弛緩作用、冠血管拡張作用、肺血管拡張作用を有し、また、治療域と副作用発現域の血中濃度が近く、他剤の併用により血中濃度の変動が著しい薬物である。TDM(血中薬物濃度モニタリング)の進歩、徐放製剤の開発により血中濃度のコントロールが可能となっているものの、薬理作用を増強することにより、効果を維持したまま投与量を低減させる試みはなされていない。
本発明者らは、シンナムアルデヒドおよび桂皮酸の血管弛緩作用に関する研究において、テオフィリンによりシンナムアルデヒドおよび桂皮酸の血管平滑筋弛緩作用が増強されることを見出した。この知見を元に、桂皮酸およびシンナムアルデヒドを含むフェニルプロペン誘導体を、キサンチン系薬剤と併用またはキサンチン系薬剤に配合することで、キサンチン系薬剤の血中濃度を低濃度で維持しながら十分な薬理作用を発揮させることに成功し本発明を完成させた。以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、特に断らない限り、アルキル基とは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピルなどC1-6アルキル基を;アルコキシ基とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどC1-6アルキルオキシ基を;アルキルオキシカルボニル基とは、メチルオキシカルボニル、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシなどC1-6アルキル−O−C(=O)基を;アルキルカルボニルオキシアルキルとは、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、イソブチリルオキシなどのC1-6アルキル−C(=O)−O基を;アルカノイル基とは、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリルなどC2-10アルキルカルボニル基を;それぞれ意味する。
本発明に使用されるフェニルプロペン誘導体は、以下の一般式[1]で表される。
「式中、R1およびR2は、同一または異なって水素原子、ヒドロキシル基またはアルコキシ基を;R3は、ホルミル基、カルボキシル基、アルキルオキシカルボニル基、ヒドロキシアルキル基、アルキルカルボニルオキシアルキルを、それぞれ示す。」
一般式(1)において、好ましい化合物は、R1およびR2が水素原子、R3は、ホルミル基またはカルボキシル基である化合物が挙げられる。
一般式[1]のフェニルプロペン誘導体の具体的な化合物として、例えば、以下の化合物が挙げられる。
桂皮酸、4-ヒドロキシ桂皮酸、コーヒー酸、フェルラ酸、シンナミルアルデヒド、2-メトキシシンナミルアルデヒド、桂皮アルコール、酢酸シンナミルなど。
上記したフェニルプロペン誘導体は、合成または桂皮等から単離されたものを使用することができる。
一般式(1)において、好ましい化合物は、R1およびR2が水素原子、R3は、ホルミル基またはカルボキシル基である化合物が挙げられる。
一般式[1]のフェニルプロペン誘導体の具体的な化合物として、例えば、以下の化合物が挙げられる。
桂皮酸、4-ヒドロキシ桂皮酸、コーヒー酸、フェルラ酸、シンナミルアルデヒド、2-メトキシシンナミルアルデヒド、桂皮アルコール、酢酸シンナミルなど。
上記したフェニルプロペン誘導体は、合成または桂皮等から単離されたものを使用することができる。
本発明の作用増強剤または増強方法の対象となるキサンチン系薬剤は、キサンチンの母核を有する化合物を有効成分とする薬剤であれば、特に限定されないが、例えば、気管支喘息治療薬や強心剤として用いられるものが挙げられる。より具体的には、キサンチンの母核を有する化合物として、例えば次の一般式[2]
〔式中、R4はメチル基または水素原子を示し、R5は水素原子または1〜2個のヒドロキシ基もしくはアルカノイル基が置換していてもよいアルキル基を示す〕で表わされるキサンチン誘導体またはその塩が挙げられる。
塩としては、例えば、エタンジアミン、コリンなどが挙げられる。
塩としては、例えば、エタンジアミン、コリンなどが挙げられる。
具体的な化合物として、キサンチン、アミノフィリン、テオフィリン 、コリンテオフィリン 、カフェイン、テオブロミン、ジプロフィリンおよびプロキシフィリンなどが挙げられる。これらのキサンチン誘導体またはその塩は、合成または茶葉等の植物から単離されたものを使用することができる。
シンナムアルデヒド、桂皮酸、酢酸シンナミルなどのフェニルプロペン誘導体をキサンチン系薬剤に配合する場合、主剤のキサンチン系薬剤の成分であるキサンチン誘導体またはその塩の種類によって異なるが、例えば、キサンチン誘導体またはその塩に対し、0.01〜10重量部、好ましくは、0.1〜1重量部配合すればよい。
シンナムアルデヒド、桂皮酸、酢酸シンナミルなどのフェニルプロペン誘導体をキサンチン系薬剤に配合する場合には、賦形剤、補助剤、添加剤などと組み合わせ、各種の医薬製剤、例えば、液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤、エキス剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、錠剤、カプセル剤とすることができる。ここで、フェニルプロペン誘導体自体を、添加剤とすることもできる。
また、配合医薬品として投与する場合、投与方法、投与量および投与回数は、患者の年齢、体重および症状によって適宜選択できるが、経口投与の場合、キサンチン誘導体またはその塩として1〜15mg/kg、好ましくは2〜6mg/kgであればよい。
また、配合医薬品として投与する場合、投与方法、投与量および投与回数は、患者の年齢、体重および症状によって適宜選択できるが、経口投与の場合、キサンチン誘導体またはその塩として1〜15mg/kg、好ましくは2〜6mg/kgであればよい。
シンナムアルデヒド、桂皮酸、酢酸シンナミルなどのフェニルプロペン誘導体をキサンチン系薬剤と併用する場合、キサンチン系薬剤の成分であるキサンチン誘導体またはその塩の種類によって異なるが、例えば、通常10〜1000mg、好ましくは50〜200mg程度を併用すればよい。
シンナムアルデヒド、桂皮酸、酢酸シンナミルなどのフェニルプロペン誘導体とテオフィリンなどのキサンチン系薬剤の併用投与は、血管平滑筋弛緩作用を増強する。このことから、シンナムアルデヒド、桂皮酸、酢酸シンナミルなどのフェニルプロペン誘導体は、血中のキサンチン誘導体濃度を低濃度で維持しながら十分な気管支拡張作用などの薬理作用を発揮させることができ、重篤な副作用を抑制することが可能になる。さらに、シンナムアルデヒド、桂皮酸、酢酸シンナミルなどのフェニルプロペン誘導体の作用により、キサンチン系薬剤による胃部不快感や頭痛といった副作用も低減させることができ、キサンチン系薬剤投与時のコンプライアンスの向上を図ることができる。
次に実施例で本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
次に実施例で本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
ラット(雄性Wistar、370-450 g)の胸部大動脈を摘出し実験に用いた。摘出した胸部大動脈で約3mm幅の輪状血管標本を作成し、血管標本をオルガンバス内のスチールホックにつるし、トランスデューサーを介して、張力を等尺性に記録した。オルガンバス内はKrebs Ringer(組成(mM): NaCl 120, KCl 4.7, NaHCO3 25.0, KH2PO4 1.2, MgSO4・7H2O 1.2, CaCl2 2.5, glucose 10.0 : pH 7.4 )で満たし、5%CO2−95%O2の混合ガスで通気した。血管標本は、静止張力が1gとなるように安定化し、その後60mM KClで収縮させることにより収縮力を確認した。以後15分ごとにKrebs溶液を交換し、60分間血管標本を休ませた後、本試験を行った。
本実験では、内皮保存血管標本を予めL-NAMEで一時間処理した後に、β遮断薬であるプロプラノール(propranolol)(1×10-3M)、ホスホジエステラーゼ阻害剤であるアデノシン受容体阻害作用を有するテオフィリン(theophylline)(1×10-4M)、K+チャネル遮断薬である塩化テトラアセチルアンモニウム(tetraethylammonium chloride)(5×10-3M)、ATP感受性K+チャネル選択的阻害剤であるグリベンクラミド(glibenclamide)(5×10-6M)、シクロオキシゲナーゼ阻害剤であるインドメタシン(indometacin)(1×10-5M)をそれぞれ前処置し弛緩作用に及ぼす影響を検討した。それぞれの血管標本をプロスタグランジンF2α(5×10-6M)により収縮させ、最大収縮を100%とし、シンナムアルデヒドを累積投与し、その弛緩率を測定した。結果を表1に示す。
ラット(雄性Wistar、370-450 g)の胸部大動脈を摘出し実験に用いた。摘出した胸部大動脈で約3mm幅の輪状血管標本を作成し、血管標本をオルガンバス内のスチールホックにつるし、トランスデューサーを介して、張力を等尺性に記録した。オルガンバス内はKrebs Ringer(組成(mM): NaCl 120, KCl 4.7, NaHCO3 25.0, KH2PO4 1.2, MgSO4・7H2O 1.2, CaCl2 2.5, glucose 10.0 : pH 7.4 )で満たし、5%CO2−95%O2の混合ガスで通気した。血管標本は、静止張力が1gとなるように安定化し、その後60mM KClで収縮させることにより収縮力を確認した。以後15分ごとにKrebs溶液を交換し、60分間血管標本を休ませた後、本試験を行った。
本実験では、内皮保存血管標本を予めL-NAMEで一時間処理した後に、β遮断薬であるプロプラノール(propranolol)(1×10-3M)、ホスホジエステラーゼ阻害剤であるアデノシン受容体阻害作用を有するテオフィリン(theophylline)(1×10-4M)、K+チャネル遮断薬である塩化テトラアセチルアンモニウム(tetraethylammonium chloride)(5×10-3M)、ATP感受性K+チャネル選択的阻害剤であるグリベンクラミド(glibenclamide)(5×10-6M)、シクロオキシゲナーゼ阻害剤であるインドメタシン(indometacin)(1×10-5M)をそれぞれ前処置し弛緩作用に及ぼす影響を検討した。それぞれの血管標本をプロスタグランジンF2α(5×10-6M)により収縮させ、最大収縮を100%とし、シンナムアルデヒドを累積投与し、その弛緩率を測定した。結果を表1に示す。
この結果から、テオフィリン(1×10-4M)前処置血管において、シンナムアルデヒドの血管弛緩作用は対照(control)に比べて有意に増強された。プロプラノール、インドメタシン、塩化テトラアセチルアンモニウム、グリベンクラミドについては、シンナムアルデヒドの血管弛緩作用に影響を及ぼさなかった。
実施例2
被験化合物として桂皮酸、フェルラ酸、桂皮アルコール、酢酸シンナミルおよびテオフィリンを用い、実施例1と同様にして、弛緩率を測定した。結果を表2に示す。
被験化合物として桂皮酸、フェルラ酸、桂皮アルコール、酢酸シンナミルおよびテオフィリンを用い、実施例1と同様にして、弛緩率を測定した。結果を表2に示す。
シンナムアルデヒド、桂皮酸、酢酸シンナミルなどの特定のフェニルプロペン誘導体は、テオフィリンなどのキサンチン系薬剤の作用増強するための併用剤、配合剤、添加剤として有用である。
また、シンナムアルデヒド、桂皮酸、酢酸シンナミルなどの特定のフェニルプロペン誘導体は、テオフィリンなどのキサンチン系薬剤の副作用を抑制するためにも有用である。
また、シンナムアルデヒド、桂皮酸、酢酸シンナミルなどの特定のフェニルプロペン誘導体は、テオフィリンなどのキサンチン系薬剤の副作用を抑制するためにも有用である。
Claims (8)
- R1およびR2が水素原子、R3がホルミル基またはカルボキシル基であるフェニルプロペン誘導体を用いることを特徴とする請求項1記載のキサンチン系薬剤の効果増強方法。
- R4がメチル基、R5が水素原子であるキサンチン誘導体またはその塩である請求項3記載の効果増強方法。
- R1およびR2が水素原子、R3がホルミル基またはカルボキシル基であるフェニルプロペン誘導体を用いることを特徴とする請求項1記載のキサンチン系薬剤の効果増強剤。
- R4がメチル基、R5が水素原子であるキサンチン誘導体またはその塩である請求項7記載の効果増強剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007195268A JP2009046394A (ja) | 2006-07-27 | 2007-07-27 | キサンチン系薬剤の効果増強方法および増強剤 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006204296 | 2006-07-27 | ||
JP2007192108 | 2007-07-24 | ||
JP2007195268A JP2009046394A (ja) | 2006-07-27 | 2007-07-27 | キサンチン系薬剤の効果増強方法および増強剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009046394A true JP2009046394A (ja) | 2009-03-05 |
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ID=40498970
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007195268A Pending JP2009046394A (ja) | 2006-07-27 | 2007-07-27 | キサンチン系薬剤の効果増強方法および増強剤 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2009046394A (ja) |
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2007
- 2007-07-27 JP JP2007195268A patent/JP2009046394A/ja active Pending
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