JP2009042783A - 光導波部品 - Google Patents

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明彦 坂本
Hideki Asano
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Abstract

【課題】位置決め部材の内孔における光導波材料の位置ずれがなく、安価に製造できる光導波部品を提供することである。
【解決手段】本発明の光導波部品は、加熱延伸された位置決め部材の内孔に、光導波部材が固定されてなる光導波部品であって、光導波部材が軟化せず、位置決め部材が軟化して、光導波材料の外表面に位置決め部材の内孔表面が融着固定してなることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、光通信システムにおいて使用される光導波部品、特にファイバスタブもしくは光減衰スタブに関するものである。
光源からの光を光ファイバに結合させる発光モジュール、光ファイバからの光信号を検出する受光モジュール、光ファイバを伝搬する光のパワーを調整する光減衰器などは光通信システムにおいて、重要なデバイスである。
これらのデバイスのうち、発光モジュールや受光モジュールには、ファイバスタブと呼ばれる光導波部品が取付けられており、その光導波部品と、光ファイバーを挿入固定した光コネクタとを結合させて光信号の入出力を行う。
また、光減衰スタブには、フェルール中に光減衰ファイバが挿入され、ファイバスタブと同様の構造を有するものがあり、光コネクタと結合させて使用される。
光コネクタには、フェルールと呼ばれる精密な寸法精度を有する毛細管が、光ファイバの位置決め部材として使用され、光ファイバがフェルールに挿入、固定されて正確に光ファイバの位置が決められる。したがって、光コネクタと結合されるファイバスタブ、光減衰スタブ等にも、上記フェルールと同等の寸法精度が要求される。
従来、上記したファイバスタブや光減衰スタブは、フェルール等の位置決め部材の内孔に光導波材料を挿入し、接着剤で固定した(例えば、特許文献1参照)後、もしくは、仮焼成したフェルールの内孔に光導波材料を挿入してから本焼成し、熱収縮させることによって固定した(例えば、特許文献2参照)後、端面を研磨することによって製造されている。尚、光導波材料として、ファイバスタブには、一般的な光ファイバが、また、光減衰スタブには、光減衰ファイバが使用される。
特開2000−47036号公報 特開平9−152524号公報 特開昭63−183407号公報 特開平6−109944号公報
しかしながら、特許文献1に記載の光減衰スタブのフェルールは、光減衰ファイバを挿入しやすくするために、光減衰ファイバの直径よりも約1μm大きい内孔径を有している。しかし、フェルールに、光減衰ファイバを挿入した際には、光減衰ファイバとフェルールの間に約1μmのクリアランスが存在するため、フェルールの内孔において、光減衰ファイバが最大で約0.5μm偏心する場合がある。その場合には、光コネクタと光減衰スタブを結合させた際に、光軸のずれが生じ、光信号の接続損失が増加したり、コア以外を伝搬する光、いわゆるクラッドモードが増加して信号光と干渉するなどの問題が発生する虞がある。上記のフェルール内孔における光ファイバ中心の偏心による接続損失の増加は、光減衰スタブのみならずファイバスタブでも同様に問題となる。
また、ファイバスタブおよび光減衰スタブは、フェルールと光減衰ファイバの膨張係数の違いにより、温度上昇時にフェルールに対して光減衰ファイバが引き込み、接続損失が大きくなる。さらに温度が上昇して、接着剤のガラス転移温度(Tg)よりも高くなると、接着剤の変形や劣化のため光減衰ファイバが、フェルールに対して引き込んだり、突き出したりして、所定の位置にファイバを保持することができなくなるため、接続損失が大きくなるだけでなく、最悪の場合にはPC接続できず、全く光が導波しなくなる。
また、特許文献2に記載のファイバスタブは、フェルールを本来の焼成温度よりも低い温度で仮焼成した後、そのフェルールの中心貫通孔に、所定長さの光ファイバを何も介在させずに挿入し、フェルールの本来の焼成温度で熱処理を施すと、フェルールが完全に焼結するとともに、収縮して光ファイバを保持固定するファイバスタブの製造方法が開示されている。この製造方法によれば、接着剤なしでも光ファイバを固定することができ、製造工程を簡略化でき、また、光ファイバがフェルールの中心貫通孔に密着して固定されるため、光ファイバの偏心をなくすことができる。
しかしながら、この製造方法では、フェルールの中心貫通孔に、個々に光ファイバを挿入する作業が必要であり、また、フェルールを仮焼成した後、本焼成するという煩雑な製造工程が必要であり、安価なものが得られにくいという問題点を有する。
さらに、本焼成時におけるフェルールの収縮率のばらつきが大きいため、光ファイバの位置がフェルールの中心軸からずれたり、フェルールの外径の真円度が確保されにくく、ファイバを中心としたフェルール外周の研磨工程が必要となり、コスト高になりやすい。
本発明の目的は、上記事情に鑑みなされたものであり、位置決め部材の内孔における光導波材料の偏心がなく、温度が高くなっても、位置決め部材に対して光導波材料が引き込んだり突き出したりせず、高い耐熱性を有し、かつ、安価に製造できる光導波部品を提供することである。
本発明者は、管状の位置決め部材予備成形体の内孔に、予め光導波部材を配置し、その後、予備成形体のみを加熱延伸することによって、光導波部品の位置決め部材の内孔における光導波材料の偏心がなく、温度が高くなっても、位置決め部材に対して光導波材料が引き込んだり突き出したりせず、高い耐熱性を有し、安価に製造できることを見出し、本発明として提案するものである。
即ち、本発明の光導波部品は、加熱延伸された位置決め部材の内孔に、光導波部材が固定されてなる光導波部品であって、光導波部材が軟化せず、位置決め部材が軟化して、光導波材料の外表面に位置決め部材の内孔表面が融着固定してなることを特徴とする。
本発明の光導波部品は、位置決め部材の内孔における光導波材料の偏心がなく、安価に製造でき、また高い耐熱性を有するため、発光モジュールや受光モジュールのファイバスタブ、光減衰スタブなどに好適に使用できる。
本発明の光導波部品は、管状の位置決め部材予備成形体の内孔に光導波材料を挿入し、位置決め部材予備成形体を加熱延伸させることによって、光導波材料を位置決め部材の内孔に融着固定してなるため、位置決め部材の内孔における光導波材料の偏心がなく、温度が高くなっても、位置決め部材に対して光導波材料が引き込んだり突き出したりせず、高い耐熱性を有し、かつ、安価に製造できる。すなわち、管状の位置決め部材予備成形体の内孔に、予め光導波材料を配置し、位置決め部材予備成形体のみを加熱延伸する、いわゆる線引き法を用いて作製した成形体には、光導波材料と位置決め部材との間にクリアランスがないため、位置決め部材の内孔における光導波材料の偏心がなく、光導波部材が位置決め部材の中心軸に位置することになる。また、位置決め部材と光導波材料を固定するために接着剤を用いず、融着固定されてなるため、温度が上がって位置決め部材が膨張しても、位置決め部材に対して光導波材料が引き込んだり突き出したりせず、高い耐熱性を有する。また、位置決め部材の内孔に、個々に光導波材料を挿入する工程や、仮焼成後に本焼成する工程が必要なく、連続的に、光導波材料を内包した光導波部品を作製できるため、生産効率が非常に高く、安価に製造できる。
また、本発明の光導波部品は、位置決め部材としては、ガラス、結晶化ガラス、プラスティックなど加熱延伸可能な材料が使用可能であるが、ガラス又は結晶化ガラスからなると、耐環境性に優れ好ましく、特に結晶化ガラスからなると、破壊強度、摩耗性等の機械的特性に優れるためさらに好ましい。
また、位置決め部材は、30〜380℃における熱膨張係数が−20〜70×10−7/℃であると好ましい。熱膨張係数が−20×10−7/℃よりも小さいと、加熱延伸可能な材料が得られにくく、70×10−7/℃よりも大きいと、光導波材料と位置決め部材との熱膨張差に起因する熱応力が大きくなり、光導波材料と位置決め部材との界面で、クラックが発生したり、剥がれたりしやすくなるため好ましくない。
上記ガラスとしては、ホウケイ酸塩ガラスであると、耐環境性に優れ、熱膨張係数が小さく好ましい。
また、位置決め部材予備成形体が、ガラス、結晶性ガラス又は結晶化ガラスのいずれかからなると、加熱延伸、いわゆる線引き法によって連続的に位置決め部材を成形することが可能であり、一般的な光ファイバの軟化点(107.6dPa・s)が1600〜1700℃程度であり、加熱延伸する温度が、1300℃より低いため、光ファイバが軟化せず、光ファイバ本来の機能が劣化しないため好ましく、特に結晶性ガラス又は結晶化ガラスが、SiO、Al及びLiOを合量で45質量%以上、好ましくは65質量%以上含有し、線引き可能であると、熱膨張係数が小さい位置決め部材が得られやすく、かつ、高精度に、高効率で位置決め部材を成形することができるためさらに好ましい。尚、上記結晶性ガラスとは、加熱延伸前では、結晶が析出していないガラスであるが、加熱延伸時に結晶が析出し結晶化ガラスとなるものを指し、また、結晶化ガラスとは、予備成形体に既に結晶が析出しているものを指す。
上記結晶化ガラスの析出結晶が、β−スポジュメン固溶体であると、機械的特性に優れ、高精度、低熱膨張性、耐環境性等に優れた位置決め部材が得られやすいため好ましい。
尚、本発明の光導波部品は、次のようにして製造することができる。
まず、ガラス、結晶性ガラス又は結晶化ガラスからなる円柱又は角柱の材料を準備し、ドリル加工によって管状になるように貫通孔を形成し、位置決め部材予備成形体を作製する。あるいは、押し出し成形やキャスティングなどの方法によって予め貫通孔を有する形状に成形して位置決め部材予備成形体を作製しても良い。この位置決め部材予備成形体は、相似形の断面形状を保ったまま位置決め部材となるため、その外径及び内孔が所定の寸法となるように作製する必要がある。
次に、位置決め部材予備成形体の内孔に、光導波材料としてシリカガラスからなる光ファイバ、あるいはコバルト、鉄及びニッケルなどの遷移金属をドープした光減衰ファイバを挿入し、位置決め部材予備成形体を加熱して線引き加工し、光コネクタに用いるフェルールと同等の外径、内径等の寸法精度を有する位置決め部材を作製する。得られた位置決め部材の内孔には、光導波材料が融着固定されてなる。最後に、この成形体を所望の長さに切断して端面を所望の形状に研磨加工することによってファイバスタブ、光減衰器等の光導波部品を得ることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明する。
表1に、本発明の実施例1〜4を、表2に比較例5〜7を示す。また、図1は、本発明における光導波部品の製造方法を示す概念図である。
まず、表1および表2に示す組成を有するガラスを、1580℃の電気炉中で10時間溶融した後、直径100mmの円柱状に鋳込み、その後、1100℃で2時間加熱して結晶化させた。次いで、中心部に直径5mmの貫通孔を、ドリルを用いて形成し、実施例1、3及び比較例5の結晶化ガラスからなる管状の位置決め部材予備成形体を作製した。また、表1および表2に示す組成を有するガラスを、1500℃の電気炉中で10時間溶融し、直径100mmの円柱状に鋳込み、中心部に直径5mmの貫通孔をドリルを用いて形成し、実施例2、4及び比較例6のホウ珪酸ガラスからなる管状の位置決め部材予備成形体を作製した。
図1に示すように、管状の位置決め部材予備成形体1の内孔1aに、シリカガラスからなる直径125μmのシングルモード光ファイバ2を挿入し、環状電気炉3の上部から1mm/分の速度で、位置決め部材予備成形体1を連続的に送り込み、軟化変形して下方に伸びた成形体1´の下端をローラー4に挟んで、結晶化ガラスの場合は、1180℃、ホウ珪酸ガラスの場合は、900℃で線引き成形を行い、外径が1.25mm±0.5μmとなるように、6400mm/分の速度で成形体1´を作製した。この時、光ファイバ2が線引き成形と連動して、連続的に予備成形体1に供給されるようにした。線引きによって得られた成形体1´を長さ16.7mmに切断し、その後、両端をMU型光コネクタと同様の研磨仕上げを施して光導波部品を作製した。尚、比較例5または6は、光ファイバを予備成形体の貫通孔に挿入せず、1180℃または900℃で線引き成形を行い、126μmの内径の内孔を有するフェルールを作製した後、そのフェルールの内孔にシングルモード光ファイバを挿入し、エポキシ接着剤によって固定した以外は、それぞれ実施例1および2と同様に光導波部品を作製した。また比較例7は、市販のジルコニア製フェルールの内孔にシングルモード光ファイバを挿入し、比較例5および6と同様にして光導波部品を作製した。
熱膨張係数は、30〜380℃の温度範囲で、マックサイエンス社製ディラトメーター5000によって測定した。また、光導波材料の内孔における光ファイバの偏心量は、光導波部品の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察し、そのSEM写真から求めた。
伝搬モードは、波長1.3μmのレーザーダイオードを光源とし、シングルモード光ファイバを介して光導波部品の一端から光を入射させ、出射端面をカメラで撮影することで、出射光強度分布を調べて確認した。
光接続損失は、光導波部品の両側をMU型光コネクタと接続してシングルモード光ファイバを介して波長1.3μmの光を一端から入射させ、光パワーメータ(アドバンテスト社製Q8221)を用いて測定した。
加熱時の光ファイバ引き込み量はノーランド社製ACCISを用いて、室温および100℃において、位置決め部材に対する光ファイバの位置を測定し、その差をファイバ引き込み量とした。
表1からわかるように、実施例1〜4は、線引き法で作製されるため、光ファイバの偏心量が非常に小さく光接続損失が小さかった。また100℃に加熱した際のファイバ引き込みはみられなかった。
一方、比較例5は、シングルモード伝搬が確保されているが、フェルールの内孔における光ファイバの偏心が大きかったため、光接続損失が大きかった。また100℃に加熱した際のファイバ引き込み量は大きかった。
本発明の実施例の製造法を示す概念図である。
符号の説明
1 位置決め部材予備成形体
1a 内孔
1´ 成形体
2 シングルモード光ファイバ
3 環状電気炉
4 ローラー

Claims (4)

  1. 加熱延伸された位置決め部材の内孔に、光導波部材が固定されてなる光導波部品であって、光導波部材が軟化せず、位置決め部材が軟化して、光導波材料の外表面に位置決め部材の内孔表面が融着固定してなることを特徴とする光導波部品。
  2. 位置決め部材が、ガラスあるいは結晶化ガラスからなることを特徴とする請求項1に記載の光導波部品。
  3. ガラス又は結晶化ガラスが、SiO、Al及びLiOを合量で45質量%以上含むことを特徴とする請求項2に記載の光導波部品。
  4. 光導波部材がシリカガラスからなる光ファイバ、あるいはコバルト、鉄及びニッケルの遷移金属をドープしたシリカガラスからなる光減衰ファイバであることを特徴とする請求項1に記載の光導波部品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPS51140745A (en) * 1975-05-15 1976-12-03 Int Standard Electric Corp Method of joining optical glass fiber

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