JP2009026717A - 放電装置とイオン発生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】放電電極の消耗を防ぎ、低い電圧で放電を発生させることが可能な放電装置とイオン送風装置を提供する。
【解決手段】放電装置100は、高電圧を印加して放電させるための針状体からなる放電電極110と、放電電極110の表面を覆うように形成された被覆膜とを備え、被覆膜は、酸化チタンを含む。
【選択図】図1

Description

この発明は、放電装置とイオン発生装置に関する。
従来、空気を浄化したり、除電、細菌やウイルスの不活化処理を行ったり、イオン風を発生させて送風等をするために、イオンや放電エネルギーが用いられている。
イオンを発生させる方法としては、水に衝撃を与えることによってレナード効果によりイオンを発生させる方法と、電極に高電圧を印加することで電気的に発生させる方法がある。
レナード効果によりイオンを発生させる方法には、マイナスイオンのみ発生可能で、プラスイオンを発生できない、イオンを発生させるために空気が加湿される、装置が大型になるという欠点がある。
電極に高電圧を印加することによって電気的にイオンを発生させる方法としては、針状電極あるいは細線電極と対向電極との間に高電圧を印加することによって放電させて、イオンを発生させることができる。この方法は、素子構造が比較的単純なのでイオン発生方法として一般に用いられている。
また、光電子放出材を使用してイオンを発生させる方法がある。特開2001−300346号公報(特許文献1)と特開2001−300347号公報(特許文献2)には、光電子放出材の電極表面が汚れて光が電極表面に照射される率が減少し、光電子放出効率が大きく減少することを防ぐために、光電子放出材の表面に光触媒を塗布して電極表面の汚染を防止する方法が記載されている。光触媒として純粋な酸化チタン膜を形成する方法としては、一般的に、チタンアルコキシドやチタンキレートなど、有機チタン化合物溶液を塗布し焼成する方法やスパッタリングによる方法がある。
また、電極に電圧を印加することで発生する放電エネルギーによって空気を浄化するための放電素子が実用化されている。放電素子は、放電によって発生するイオンの流れによって空気の流れを引き起こすイオン風素子としても用いられる。
このような放電を発生させる装置としては、例えば、特開2005−100936号公報(特許文献3)と特開2006−19265号公報(特許文献4)に、放電電極として線状電極を用い、その線状電極を対向電極と平行に配置することで、放電電極に対する電界集中を緩和し電極の消耗を抑えることが可能な放電装置が記載されている。
特開2001−300346号公報 特開2001−300347号公報 特開2005−100936号公報 特開2006−19265号公報
しかしながら、放電エネルギーを利用して空気の浄化を行なったり放電によって空気中の分子を解離させてイオンを発生させたりするために、電極間に高電圧を印加して放電させる放電装置やイオン発生装置においては、高電圧を印加される電極が放電によって高温になって徐々に気化したり、イオンの衝突によるスパッタリング現象によって消耗するという問題がある。例えば、針状電極に高電圧を印加して放電電極として用いる場合には、針状電極の先端が消耗すると、放電電極の先端半径が大きくなって電界集中が緩和され、放電強度が低下する。そのため、放電電極の消耗度を定期的に調べて、電極の交換をする必要がある。
また、特開2005−100936号公報(特許文献3)と特開2006−19265号公報(特許文献4)に記載の放電装置のように、線状電極を対向電極と平行に配置することによって放電電極における電界集中を緩和すると、放電エネルギーが分散されて、一定のイオンや放電エネルギーを発生させるために必要な電圧が高くなる。より高い電圧を印加すると消費電力が高くなり、高電圧を発生させるためには回路が大きくなるという問題がある。
そこで、この発明の目的は、放電電極の消耗を防ぎ、低い電圧で放電を発生させることが可能な放電装置とイオン発生装置を提供することである。
この発明に従った放電装置は、高電圧を印加して放電させるための針状体または線状体からなる放電電極と、放電電極の表面を覆うように形成された被覆膜とを備え、被覆膜は、酸化チタンを含む。
放電電極の表面に酸化チタンを含む被覆膜を形成することによって、イオンが衝突して電極がスパッタリングされることによる放電電極の消耗を大幅に低減させて、放電電極の表面形状の変化を抑制して初期の放電状態を長期間に渡って維持できることができ、電極のメンテナンスを大幅に軽減することができる。
また、先端径の小さな針状体や線状体からなる放電電極を用いることによって、放電電極の先端の微小領域に電界を集中させることができるので、放電電極として線状電極を用い、その線状電極を対向電極と平行に配置することで放電電極に対する電界集中を緩和した場合と比較して、低い電圧でイオンを発生させることができる。先端が鋭い針状体や線状体からなる放電電極であっても、放電電極が酸化チタンを含む被覆膜によって覆われることによって、放電電極を対向電極と平行に配置して電界集中を緩和しなくても、放電電極の消耗を抑えることができる。
このようにして、放電電極の消耗を防ぎ、低い電圧で放電を発生させることが可能な放電装置を提供することができる。
この発明に従った放電装置においては、被覆膜は、ペルオキソチタン酸水溶液が放電電極に塗布されることによって形成されることが好ましい。
特開2001−300346号公報(特許文献1)と特開2001−300347号公報(特許文献2)に記載されているように被覆膜として光触媒膜を電極の表面に形成する方法としては、一般的に、有機チタン化合物溶液を塗布し焼成する方法がある。しかし、焼成時には電極を500℃程度に昇温して焼成する必要があるために、基材である電極の酸化が激しく、電極の表面状態が大きく変化する。このため、被覆膜の密着性が低下したり、電極の寿命を大きく損なうという問題がある。被覆膜を形成する他の一般的な方法としては、スパッタリングによって酸化チタン膜を形成する方法があるが、この方法では真空中で成膜する必要があるため連続生産に適しておらず、製造に時間がかかりコストが高くなるという問題がある。
そこで、ペルオキソチタン酸水溶液を塗布することによって被覆膜を形成することにより、250℃以下という比較的低温で被覆膜を形成することが可能である。このような低温で放電電極上に被覆膜を形成することによって、放電電極を形成している金属の酸化を抑えて、放電電極の表面状態をほとんど変化させることなく被覆膜を形成することができる。また、ペルオキソチタン酸水溶液を用いることで、緻密な酸化チタン膜を形成することが可能である。緻密な被覆膜を形成することによって、被覆膜を厚くする必要がない。このようにして、薄い被覆膜で放電による放電電極の消耗を抑えることができる。
この発明に従った放電装置においては、ペルオキソチタン酸水溶液の濃度は、3質量%未満であることが好ましい。
ペルオキソチタン酸水溶液の濃度を3質量%未満にすることで、酸化チタンの被覆膜が剥離しにくく、必要な厚みがある被覆膜を得ることができる。
この発明に従った放電装置においては、被覆膜は、厚みが0.5μm以上であることが好ましい。
発明者が鋭意検討を行い、酸化チタンの膜厚と被覆膜の寿命との相関を調べた結果、膜厚が0.5μm以下の被覆膜では、被覆膜の寿命を十分に向上させることができないが、膜厚を0.5μm以上にすることによって、放電装置を1000時間以上連続駆動しても動作状態に殆ど変化が無いことが明らかになった。
このように、被覆膜の厚みを0.5μm以上にすることによって、被覆膜の寿命を向上させ、長期間にわたって放電電極の消耗を防ぐことができる。
この発明に従った放電装置においては、放電電極は、放電を発生させる放電端として針状に形成される先端部を有し、先端部は、半径が50μm以下であることが好ましい。
先端径の小さな針状の電極を用いることによって、電圧印加による電界が放電電極の先端部に集中するため、低い電圧で放電を発生させることができる。発明者の検討の結果、先端半径を50μm以下にすることで、放電電圧を大きく低減させることができることが判明した。
このように、先端径の小さな針状の電極を用いることによって、針先端の微小領域に電界が集中し、低い電圧でイオンを発生させることができる。放電電極として線状電極を用い対向電極と平行に配置して放電電極に対する電界集中を緩和する場合と比較して、低い電圧でイオンを発生させることができる。
この発明に従った放電装置は、イオン発生装置であることが好ましい。
このようにすることにより、放電電極の消耗を防ぎ、低い電圧で放電を発生させることが可能なイオン発生装置を提供することができる。
以上のように、この発明によれば、放電電極の消耗を防ぎ、低い電圧で放電を発生させることが可能な放電装置とイオン発生装置を提供することができる。
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、この発明の第1実施形態として、放電装置の全体を模式的に示す図である。
図1に示すように、放電装置100は、針状体の放電電極110と、放電電極110の先端部111に対向するように配置されるメッシュ状の対向電極120と、駆動回路101とを備える。放電装置100は、イオンを発生させるためのイオン発生装置である。
放電装置100を駆動すると、駆動回路101によって放電電極110と対向電極120との間に高電圧が印加される。放電装置100の放電電極110と対向電極120の間に直流電圧または交流電圧を印加すると、放電電極110と対向電極120の形状が大きく異なっているために、双方の電極近傍で電界の分布が不平等になる不平等電界の状態においての放電現象(例えばコロナ放電現象)が発生する。このような放電現象が発生することによって、放電電極110の先端部111からは、対向電極120に向かって、イオンが放出される。放電電極110から発生するイオンの極性は、放電電極110の極性と同一となる。すなわち、放電電極110を正とした場合は正極性イオンが放出され、放電電極110を負とした場合は負極性イオンが放出されることとなる。
放電電極110において発生したイオンは、放電電極110と対向電極120との間に生じる電界により、放電電極110の先端部111から放出され、対向電極120に向かって加速される。このとき、放電電極110と対向電極120の間に存在する多数の中性分子や中性粒子にイオンが頻繁に衝突するために、イオンだけでなく、これらの中性粒子も次第にイオンと同一方向に、すなわち、放電電極110から対向電極120に向かって動き出し、全体として空気の流れが発生して、イオン風となる。このようにして、放電装置100がイオン送風装置として機能する。
放電電極110としては、直径1mmのタングステンワイヤの先端を電界研磨して半径2μmに尖らせて得た針を、酸化チタン塗布用の液に浸漬し、焼成して、被覆膜として酸化チタンのコーティングを行ったものを用いる。
酸化チタンコーティング液としては、ペルオキソチタン酸水溶液(鯤コーポレーション製PTAペルオキソチタン酸2.5質量%仕様)を用いる。ペルオキソチタン酸水溶液による電極のコーティング方法としては、ディップ法またはスプレー法が適している。この発明の第1実施形態では、放電電極110をコーティングするためには、放電電極110の先端部111を下にして溶液中に浸漬し液中から引き上げた後、室温で20分間乾燥し、熱風循環式オーブン中に投入し250℃で20分間焼成を行う。同じ方法で塗布と焼成を3回繰り返し、膜厚0.6μmの塗布膜を得ることができる。
このように、放電装置100は、高電圧を印加して放電させるための針状体からなる放電電極110と、放電電極110の表面を覆うように形成された被覆膜とを備え、被覆膜は、酸化チタンを含む。
放電電極110の表面に酸化チタンを含む被覆膜を形成することによって、イオンが衝突して放電電極110がスパッタリングされることによる放電電極110の消耗を大幅に低減させて、放電電極110の表面形状の変化を抑制して初期の放電状態を長期間に渡って維持できることができ、放電電極110のメンテナンスを大幅に軽減することができる。
また、先端部111の径が小さな針状体からなる放電電極110を用いることによって、放電電極110の先端の微小領域に電界を集中させることができるので、放電電極110として線状電極を用いて線状電極を対向電極と平行に配置することで放電電極に対する電界集中を緩和した場合と比較して、低い電圧でイオンを発生させることができる。先端部111が鋭い針状体からなる放電電極110であっても、放電電極110が酸化チタンを含む被覆膜によって覆われることによって、放電電極110を対向電極120と平行に配置して電界集中を緩和しなくても、放電電極110の消耗を抑えることができる。
このようにして、放電電極110の消耗を防ぎ、低い電圧で放電を発生させることが可能な放電装置100を提供することができる。
また、このように、放電装置100においては、被覆膜は、ペルオキソチタン酸水溶液が放電電極110に塗布されることによって形成される。
ペルオキソチタン酸水溶液を塗布することによって被覆膜を形成することにより、250℃以下という比較的低温で被覆膜を形成することが可能である。このような低温で放電電極110上に被覆膜を形成することによって、放電電極110を形成している金属の酸化を抑えて、放電電極110の表面状態をほとんど変化させることなく被覆膜を形成することができる。また、ペルオキソチタン酸水溶液を用いることで、緻密な酸化チタン膜を形成することが可能である。緻密な被覆膜を形成することによって、被覆膜を厚くする必要がない。このようにして、薄い被覆膜で放電による放電電極110の消耗を抑えることができる。
また、このように、放電装置100においては、ペルオキソチタン酸水溶液の濃度は、3質量%未満である。
ペルオキソチタン酸水溶液の濃度を3質量%未満にすることで、酸化チタンの被覆膜が剥離しにくく、必要な厚みがある被覆膜を得ることができる。
また、このように、放電装置100においては、被覆膜は、厚みが0.5μm以上である。
発明者が鋭意検討を行い、酸化チタンの膜厚と被覆膜の寿命との相関を調べた結果、膜厚が0.5μm以下の被覆膜では、被覆膜の寿命を十分に向上させることができないが、膜厚を0.5μm以上にすることによって、放電装置100を1000時間以上連続駆動しても動作状態に殆ど変化が無いことが明らかになった。
このように、被覆膜の厚みを0.5μm以上にすることによって、被覆膜の寿命を向上させ、長期間にわたって放電電極110の消耗を防ぐことができる。
また、このように、この発明に従った放電装置100においては、放電電極110は、放電を発生させる放電端として針状に形成される先端部111を有し、先端部111は、半径が50μm以下である。
先端部111の径が小さな針状の電極を用いることによって、電圧印加による電界が放電電極110の先端部111に集中するため、低い電圧で放電を発生させることができる。発明者の検討の結果、先端部111の半径を50μm以下にすることで、放電電圧を大きく低減させることができることが判明した。
このように、先端部111の径が小さな針状の電極を用いることによって、針状の放電電極110の先端部111の微小領域に電界が集中し、低い電圧でイオンを発生させることができる。放電電極110として線状電極を用い、その線状電極を対向電極120と平行に配置して放電電極110に対する電界集中を緩和する場合と比較して、低い電圧でイオンを発生させることができる。
また、このように、放電装置100は、イオン発生装置である。
このようにすることにより、放電電極110の消耗を防ぎ、低い電圧で放電を発生させることが可能なイオン発生装置を提供することができる。
(第2実施形態)
この発明の第2実施形態の放電装置が第1実施形態の放電装置100と異なる点としては、放電電極110は、直径1mmのタングステンワイヤの先端を電界研磨により先端半径30μmに尖らせることによって形成されている。また、被覆膜は、第1実施形態の放電電極110に被覆膜を形成する方法と同様に、ペルオキソチタン酸溶液の塗布と焼成を3回繰り返し、膜厚0.6μmに形成されている。
第2実施形態の放電装置のその他の構成と効果は、第1実施形態の放電装置と同様である。
本発明の一つの効果として、被覆膜の形成状態を向上させる効果がある。以下、本発明の放電装置について、被覆膜の形成状態を調べた実験結果について説明する。
本発明の第1実施形態の放電装置の放電電極の被覆膜の形成状態を、以下の比較形態1〜比較形態4の放電電極の被覆膜の形成状態と比較した。
(比較形態1)
比較形態1の放電電極は、コーティング剤として有機シリコン化合物の一種であるシリコンアルコキシド剤(松本製薬工業製オルガチックスSI400)を用いて、この発明の第1実施形態の放電電極と同様に、先端半径2μmのタングステン針にコーティングを行って作製した。ただし、焼成は第1実施形態とは異なり、コーティング剤が含有する有機物を燃焼させるのに必要な温度である500℃で行なった。浸漬と焼成を6回繰り返し、膜厚0.6μmの被覆膜を得た。
(比較形態2)
比較形態2の放電電極は、コーティング剤として有機チタン化合物の一種であるチタンキレート剤(松本製薬工業製オルガチックスTC−200)を用いて、この発明の第1実施形態の放電電極と同様に、先端半径2μmのタングステン針にコーティングを行って作製した。ただし、焼成は第1実施形態とは異なり、コーティング剤が含有する有機物を燃焼させるのに必要な温度である500℃で行なった。浸漬と焼成を6回繰り返し、膜厚0.6μmの被覆膜を得た。
(比較形態3)
比較形態3の放電電極は、コーティング剤として有機シリコン化合物の一種であるアルミニュームアルコキシド剤(松本製薬工業製オルガチックスAL135)を用い、この発明の第1実施形態の放電電極と同様、先端半径2μmのタングステン針にコーティングを行って作製した。ただし、焼成は第1実施形態とは異なり、コーティング剤が含有する有機物を燃焼させるのに必要な温度である500℃で行った。浸漬と焼成を6回繰り返し、膜厚0.6μmの被覆膜を得た。
(比較形態4)
比較形態4の放電電極は、この発明の第1実施形態と同様にして、先端半径2μmのタングステン針にコーティングを行って作製した。ただし、ペルオキソチタン酸水溶液の濃度は、第1実施形態よりも高濃度の3質量%の水溶液を用いた。この発明の第1実施形態と同様の方法にて塗布と焼成を3回繰り返し、膜厚0.6μmの被覆膜を得た。
第1実施形態と比較形態1〜比較形態4の放電電極について、被覆膜の形成前後の放電電極の外観の変化について評価を行い、被覆膜の形成状態の比較行った。表1は、被覆膜形成後の放電電極の外観についての評価を示す。
Figure 2009026717
ペルオキソチタン酸水溶液を使用して被覆膜を形成した第1実施形態の放電電極においては、被覆膜の形成状態に問題はなかった。また、シリカ膜を使用した比較形態1の放電電極では、被覆膜にクラックは見られなかった。しかしながら、比較形態1の放電電極については、電極が酸化して黒変していることが観察された。一方、有機チタン化合物を使用した比較形態2の放電電極においては、被覆膜にクラックが入り、電極の酸化による激しい変化が見られた。また、アルミナコーティング剤を使用した比較形態3の放電電極、及び、3質量%の高濃度ペルオキソチタン酸水溶液を使用した比較形態4の放電電極においては、被覆膜にクラックが入ると同時に一部コーティングの剥離が見られた。
以上の結果より、放電電極の酸化を抑えて被覆膜をコーティングするためには、ペルオキソチタン酸水溶液によるコーティングが適していることが明らかになった。また、ペルオキソチタン酸水溶液の濃度が3質量%に達すると、被覆膜のコーティングに不備が生じることが明らかになった。
本発明のもう一つの効果として、被覆膜の寿命を向上させる効果がある。以下、本発明の放電装置について、被覆膜の寿命を調べた実験結果について説明する。
本発明の第1実施形態の放電装置100の放電電極110の被覆膜の寿命を、以下の比較形態1、比較形態5、比較形態6の放電電極の被覆膜の寿命と比較した。
(比較形態1)
比較形態1の放電電極は、コーティング剤として有機シリコン化合物の一種であるシリコンアルコキシド剤(松本製薬工業製オルガチックスSI400)を用いて、この発明の第1実施形態と同様に、先端半径2μmのタングステン針にコーティングを行って作製した。ただし、焼成は、第1実施形態と異なり、含有する有機物を燃焼させるのに必要な温度である500℃で行った。浸漬と焼成を6回繰り返し、膜厚0.6μmの被覆膜を得た。
(比較形態5)
比較形態5の放電電極は、直径1mmのタングステンワイヤの先端を、電界研磨により先端半径2μmに尖らせて作製した。被覆膜は形成しなかった。
(比較形態6)
比較形態6の放電電極は、この発明の第1実施形態と同様の方法にて作製した。ただし、ペルオキソチタン酸水溶液の塗布と焼成を2回繰り返し、膜厚0.4μmの被覆膜を得た。
第1実施形態の放電電極と、比較形態1、比較形態5、比較形態6の放電電極を、それぞれ図1に示す放電装置100の放電電極110として配置して、放電装置100を1000時間、連続駆動したときの風速の変化を測定した。
対向電極120としては、25メッシュのステンレス鋼製メッシュを用いた。放電電極110は、対向電極120の前5mmの位置に対向させて設置した。対向電極120を接地し、放電電極110に+4.5kVの電圧を印加した。このようにして、初期状態として、風速測定ポイントAにおいて3.3m/secの風が観測されるように、イオン風を発生させた。この条件で連続駆動を行い、1000時間駆動したときの風速の変化を測定した。結果を表2に示す。
Figure 2009026717
表2に示すように、コーティングを行わなかった比較形態5の電極では風速変化が−23%と大きく変化したのに対し、酸化チタンを0.6μm形成した第1実施形態の放電電極では、風速変化率が−6%となり、風速の変化率が10%未満に抑えられるという微小な変化に留まった。一方、酸化チタンの膜厚を0.4μmとした比較形態6においては、風速変化が−11%となり、風速の変化率が10%を越えるような大きな変化になっている。また、シリカ膜を0.6μm形成した比較形態1においては、風速変化が−15%となっており、第1実施形態と同じ膜厚の被覆膜を形成しているにもかかわらず、大きな風速の減少が見られた。
本発明のさらにもう一つの効果として、低電圧で放電させ、イオンを発生させてイオン風を生じさせる効果がある。以下、本発明の放電装置について、電圧とイオン風の風速との関係を調べた実験結果について説明する。
図1に示す放電装置100の放電電極として、本発明の第1実施形態の放電電極と、第2実施形態の放電電極を用いたときに所定の風速を得るのに必要な電圧を、以下の比較形態7、比較形態8の放電電極を用いたときに必要な電圧と比較した。
(比較形態7)
比較形態7の放電電極は、直径1mmのタングステンワイヤの先端を電界研磨により先端半径50μmに尖らせて作製した。第1実施形態と同様の方法にてペルオキソチタン酸水溶液の塗布と焼成を3回繰り返し、膜厚0.6μmの被覆膜を得た。
(比較形態8)
比較形態8の放電電極は、直径1mmのタングステンワイヤの先端を電界研磨により先端半径70μmに尖らせて作製した。第1実施形態と同様の方法にてペルオキソチタン酸水溶液の塗布と焼成を3回繰り返し、膜厚0.6μmの被覆膜を得た。
第1実施形態および第2実施形態の放電電極と、比較形態7および比較形態8の放電電極を、それぞれ図1に示す放電装置100の放電電極110として用いた。対向電極として、25メッシュのステンレス製メッシュを用いた。放電電極110は、対向電極120の前5mmの位置に対向電極120に対向させて設置した。対向電極120を接地し、放電電極110に正電圧を印加した。放電電極110に印加する電圧を変化させて、風速測定ポイントAにおいて3m/secの風速が得られる電圧を測定した。測定結果を表3に示す。
Figure 2009026717
表3に示すように、放電電極110の先端部111の半径が2μmである第1実施形態では、風速3m/秒のイオン風を得るのに必要な電圧が最も低く、放電電極110の先端部111の半径が30μmである第2実施形態、放電電極110の先端部111の半径が50μmである比較形態7、放電電極110の先端部111の半径が70μmである比較形態8の順に電圧が高くなった。
図2は、図1に示す放電装置において、風速3m/secの風を得るのに必要な電圧と放電電極の先端半径との関係を示す図である。
図2に示すように、先端半径が50μmである場合を境界として、先端半径が50μm以下の場合には、風速3m/secのイオン風を得るのに必要な電圧が急激に低下した。このように、先端半径を50μm未満に設定することが駆動電圧を低くする上で効果的であることが明らかとなった。
放電によって放電電極の先端部が消耗すると、放電電極の先端半径は大きくなる。図2に示すように、先端部の半径が2μmから50μmまでの範囲では、放電電極の半径の変化による電圧の変化が急激であることが分かる。このように、放電電極の先端の半径が比較的小さい場合、放電によって放電電極の先端の消耗が特性変化に与える影響が大きい。しかしながら、放電電極を被覆膜によってコーティングすることによって、放電によって放電電極が消耗し、放電電極の先端の形状の変化を防ぐことができるので、所定の風速を得るために必要な電圧が大きく変化することを防ぐことができる。
以上に開示された実施の形態と実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態と実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものである。
この発明の第1実施形態として、放電装置の全体を模式的に示す図である。 図1に示す放電装置において、風速3m/secの風を得るのに必要な電圧と放電電極の先端半径との関係を示す図である。
符号の説明
100:放電装置、110:放電電極、111:先端部。

Claims (6)

  1. 高電圧を印加して放電させるための針状体または線状体からなる放電電極と、
    前記放電電極の表面を覆うように形成された被覆膜とを備え、
    前記被覆膜は、酸化チタンを含む、放電装置。
  2. 前記被覆膜は、ペルオキソチタン酸水溶液が前記放電電極に塗布されることによって形成される、請求項1に記載の放電装置。
  3. 前記ペルオキソチタン酸水溶液の濃度は、3質量%未満である、請求項2に記載の放電装置。
  4. 前記被覆膜は、厚みが0.5μm以上である、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の放電装置。
  5. 前記放電電極は、放電を発生させる放電端として針状に形成される先端部を有し、前記先端部は、半径が50μm以下である、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の放電装置。
  6. 当該放電装置は、イオン発生装置である、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の放電装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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