JP2009003358A - 強誘電性液晶用基板、強誘電性液晶用tft基板、液晶表示素子、および、液晶表示素子の製造方法 - Google Patents

強誘電性液晶用基板、強誘電性液晶用tft基板、液晶表示素子、および、液晶表示素子の製造方法 Download PDF

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Masahito Okabe
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Abstract

【課題】本発明は、表示ムラの少ない強誘電性液晶を用いた液晶表示素子を短時間で作製することが可能な、強誘電性液晶用基板および強誘電性液晶用TFT基板を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、基板と、上記基板上に形成された共通電極と、上記共通電極上にストライプ状に形成された複数のスペーサー部と、を有する強誘電性液晶用基板であって、上記スペーサー部に強誘電性液晶が流通可能な切り欠き部が形成されていることを特徴とする強誘電性液晶用基板を提供することにより、上記課題を解決するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、強誘電性液晶を用いた液晶表示素子に用いられる強誘電性液晶用基板、強誘電性液晶用TFT基板、これらの基板を用いた液晶表示素子、および、液晶表示素子の製造方法に関するものである。
近年、パーソナルコンピューターの発達、特に携帯用パーソナルコンピューターの発達に伴って液晶表示装置の需要が増加している。また、最近においては家庭用の液晶テレビの普及率も高まっており、益々液晶表示装置の市場は拡大する状況にある。さらに近年普及している液晶表示装置は大画面化の傾向があり、特に家庭用の液晶テレビに関してはその傾向が強くなってきている。このような状況下、液晶表示装置についてはさらなる表示品質の向上や新しい機能性の付与を目的とした研究が急速に行われている。
現在、主流となっている液晶表示装置は、TFT電極および画素電極を有するTFT電極側基板およびカラーフィルター層を備えるカラーフィルター側基板を用いてカラー表示を行うものであり、通常、上記TFT電極側基板と、上記カラーフィルター側基板との間に液晶材料が封入された構成を有している。そして、このような液晶表示装置は、上記液晶材料の配列形態により、TN、STN、MVA、IPSおよびOCB等の複数の種類に分類される。なかでも今日においては、上記TN、STNおよびMVAが広く普及するに至っている。
その一方で、現在主流である上記駆動方式を有する液晶表示装置は、液晶材料の応答速度が数ms〜数十msであることから、従来のCRTや近年普及が拡大しているPDP等の表示装置と比較して、動画の表示性能に劣るという点が以前より指摘されている。
このような中、近年、応答速度が速い液晶材料として強誘電性液晶が着目されている。強誘電性液晶は、応答速度がμsオーダーと、現在主流である液晶材料よりも極めて速いことから、CRTやPDPに匹敵する動画表示適性を備えることができると期待されている。
上記強誘電性液晶は、当初電圧非印加時に安定状態を二つ有する双安定性を示し、階調表示ができないものしか知られていなかった。しかしながら、近年では電圧非印加時の液晶層の状態がひとつの状態で安定化し(以下、これを「単安定」と称する。)、電圧変化により液晶のダイレクタ(分子軸の傾き)を連続的に変化させて階調表示が可能であるものが知られているに至っている(非特許文献1、図18)。このような単安定性を示すことができる強誘電性液晶としては、降温過程においてコレステリック相(Ch)−カイラルスメクチックC(SmC)相と相変化し、スメクチックA(SmA)相を経由しない材料と、降温過程においてCh−SmA−SmCと相変化し、SmA相を経由してSmC相を示す材料とが知られている。図19)。
したがって、上記単安定性を示す強誘電性液晶を用いることにより、動画表示に優れた液晶表示装置を得ることができるが、一方で、上記強誘電性液晶はネマチック液晶に比べて分子の秩序性が高いために配向が難しく、ジグザグ欠陥やヘアピン欠陥と呼ばれる欠陥が発生しやすいという実用上の困難性が残っている。
このようなことから、強誘電性液晶を用いて液晶表示装置を作製する際には、強誘電性液晶を、その配列性を損なわないように基板間に封入することが重要な技術的課題となっている。
ところで、液晶表示装置を作製する際に基板間に液晶を封入する方法としては、従来、「真空注入方式」が主流となっていた。しかしながら、「真空注入方式」は時間がかかるという欠点や、液晶注入量が制御できないという問題点があることから、近年の大画面液晶表示装置においては、上記「真空注入方式」に替わって、「ODF(One Drop Fill)方式」が用いられるようになっている。ODF方式とは、図20にその概略を示すように、基板101上に配向膜102が形成された液晶表示装置用基板100を用い(図20(a))、上記配向膜102上に形成したのシール材103で囲まれた領域内に、液晶材料からなる液滴104を複数滴下し(図20(b))、その後、当該液晶表装置用基板100を真空下において、基板111上に配向膜112が形成された他の基板110と貼り合わせることにより(図20(c))、基板間に液晶を封入する方法である(図20(d))。
このようなODF方式は、大画面の液晶表示装置の作製に際しても、短時間で液晶を封入することが可能であることから、上記「真空注入方式」に替わり今日の主流になりつつある。
しかしながら、上記ODF方式を強誘電性液晶に適用すると、基板の貼り合わせ時に液滴どうしが接触する部位において強誘電性液晶の配列性が損なわれてしまうという問題点がある。これは、上述したように強誘電性液晶が分子の秩序性が高いことに起因するものであり、強誘電性液晶に特有の問題である。
このような問題点に対し、特許文献1には上記ODF方式を応用し、上記基板間のギャップを調整するスペーサー部をストライプ状に形成し、上記スペーサー部の間にインクジェット法により連点状に強誘電性液晶の液滴を滴下する方法が開示されている。
このような方法は、上述したODF方式において配向の乱れが生じる液滴どうしの接触部をなくすことができるため、強誘電性液晶を用いた場合であっても良好な配列状態で封入することが可能となる点において有用である。
しかしながら、上記スペーサー部間に滴下された強誘電性液晶は、隣接する他のスペーサー部間と完全に隔離されているため、各スペーサー間に滴下される強誘電性液晶の滴下量にバラツキがあると、作製された液晶表示装置にストライプ状の表示ムラが視認されてしまうという問題点があった。
このようなことから、強誘電性液晶は動画表示性に優れるという利点を有するものの、このような強誘電性液晶を用いて、短時間で表示ムラの少ない液晶表示装置を作製することは困難であった。
特開2006−309066号公報 NONAKA, T., LI, J., OGAWA, A., HORNUNG, B., SCHMIDT, W., WINGEN, R., and DUBAL, H., 1999, Liq. Cryst., 26, 1599.
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、表示ムラの少ない強誘電性液晶を用いた液晶表示素子を、短時間で作製することが可能な強誘電性液晶用基板および強誘電性液晶用TFT基板を提供することを主目的とするものである。
上記課題を解決するために本発明は、基板と、上記基板上に形成された共通電極と、上記共通電極上にストライプ状に形成された複数のスペーサー部と、を有する強誘電性液晶用基板であって、上記スペーサー部に強誘電性液晶が流通可能な切り欠き部が形成されていることを特徴とする強誘電性液晶用基板を提供する。
本発明によれば、上記スペーサー部に切り欠き部が形成されていることにより、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製する際に、上記スペーサー部間に滴下された強誘電性液晶が切り欠き部に流入することができる。
このため、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製する際に、仮に各スペーサー部間に滴下される強誘電性液晶量にバラツキが生じたとしても、上記強誘電性液晶が上記切り欠き部へ流入することによってバラツキを低減することができる。
したがって、本発明の強誘電性液晶用基板を用いることにより、例えば、ODF方式で液晶表示素子を作製する場合であっても、各スペーサー間に封入される強誘電性液晶量のバラツキを少なくすることができる。
このようなことから、本発明によれば表示ムラの少ない強誘電性液晶を用いた液晶表示素子を短時間で作製することが可能な、強誘電性液晶用基板を得ることができる。
本発明においては、上記基板と上記共通電極との間に複数の着色層を有するカラーフィルター層が形成されており、上記スペーサー部が上記共通電極上であり、かつ、上記着色層の境界上に形成されていることが好ましい。このようなカラーフィルター層を有することにより、本発明の強誘電性液晶用基板をカラーフィルター方式によってカラー表示が行われる液晶表示素子に好適に用いられるものにできるからである。
さらに本発明においては、上記スペーサー部および上記共通電極上に、強誘電性液晶に対して配向規制力を有する配向層が形成されていることが好ましい。このような配向層が形成されていることにより、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製する際に、液晶表示素子の製造工程を簡略化することができるからである。
また本発明は、上記本発明に係る強誘電性液晶用基板、および、基板と、上記基板上に形成され、複数のTFT電極および上記TFT電極に接続された画素電極を有するTFT電極層と、上記TFT電極層上に形成され、強誘電性液晶に対する配向規制力を有する対向配向層と、を有するTFT電極側基板が、上記配向層と上記対向配向層とが対向するように配置されており、かつ、上記強誘電性液晶用基板および上記TFT電極側基板の間に強誘電性液晶を含有する液晶層が形成されていることを特徴とする液晶表示素子を提供する。
本発明によれば、上記本発明に係る強誘電性液晶用基板が用いられていることにより、強誘電性液晶が用いられた液晶表示素子であって、短時間で製造可能であり、かつ、表示ムラの少ない液晶表示素子を得ることができる。
また上記課題を解決するために、本発明は、基板と、上記基板上に形成され、複数のTFT電極および上記TFT電極に接続された画素電極を有するTFT電極層と、上記画素電極の境界上にストライプ状に形成された複数のスペーサー部と、を有する強誘電性液晶用TFT基板であって、上記スペーサー部に強誘電性液晶が流通可能な切り欠き部が形成されていることを特徴とする強誘電性液晶用TFT基板を提供する。
本発明によれば、上記スペーサー部に切り欠き部が形成されていることにより、本発明の強誘電性液晶用TFT基板を用いて液晶表示素子を作製する際に、上記スペーサー部間に滴下された強誘電性液晶が切り欠き部に流入することができる。
このため、本発明の強誘電性液晶用TFT基板を用いて液晶表示素子を作製する際に、仮に各スペーサー部間に滴下される強誘電性液晶量にバラツキが生じたとしても、上記強誘電性液晶が上記切り欠き部へ流入することによってバラツキを低減することができる。
したがって、本発明の強誘電性液晶用TFT基板を用いることにより、例えば、ODF方式で液晶表示素子を作製する場合であっても、各スペーサー間に封入される強誘電性液晶量のバラツキを少なくすることができる。
このようなことから、本発明によれば表示ムラの少ない強誘電性液晶を用いた液晶表示素子を短時間で作製することが可能な、強誘電性液晶用TFT基板を得ることができる。
本発明においては、上記スペーサー部および上記TFT電極層上に、強誘電性液晶に対する配向規制力を有する配向層が形成されていることが好ましい。このような配向層が形成されていることにより、本発明の強誘電性液晶用TFT基板を用いて液晶表示素子を作製する際に、製造工程を簡略化することができるからである。
また本発明は、上記本発明に係る強誘電性液晶用TFT基板、および、基板と、上記基板上に形成された共通電極と、上記共通電極上に形成され、強誘電性液晶に対する配向規制力を有する対向配向層と、を有する対向基板が、上記配向層と上記対向配向層とが対向するように配置されており、かつ、上記強誘電性液晶用TFT基板および対向基板の間に強誘電性液晶を含有する液晶層が形成されていることを特徴とする液晶表示素子を提供する。
本発明によれば、上記本発明に係る強誘電性液晶用TFT基板が用いられていることにより、強誘電性液晶が用いられた液晶表示素子であって、短時間で製造可能であり、かつ、ムラの少ない液晶表示素子を得ることができる。
また、本発明は、上記本発明に係る強誘電性液晶用基板、および、基板と、上記基板上に形成され、複数のTFT電極および上記TFT電極に接続された画素電極を有するTFT電極層と、上記TFT電極層上に形成され、強誘電性液晶に対する配向規制力を有する対向配向層と、を有するTFT電極側基板を用い、上記強誘電性液晶用基板の上記スペーサー部間に強誘電性液晶を滴下することにより、強誘電性液晶を充填する液晶充填工程と、
上記強誘電性液晶が充填された強誘電性液晶用基板と、上記TFT電極側基板とを減圧雰囲気下において貼り合わせる基板貼り合わせ工程と、上記強誘電性液晶を配列させる液晶配列工程と、を有することを特徴とする液晶表示素子の製造方法を提供する。
本発明の液晶表示素子の製造方法によれば、上記本発明に係る強誘電性液晶用基板が用いられていることにより、短時間で、ムラの少ない液晶表示素子を製造することができる。
さらに、本発明は、上記本発明に係る強誘電性液晶用TFT基板、および、基板と、上記基板上に形成された共通電極と、上記共通電極上に形成され、強誘電性液晶に対する配向規制力を有する対向配向層と、を有する対向基板を用い、上記強誘電性液晶用TFT基板の上記スペーサー部間に強誘電性液晶を滴下することにより、強誘電性液晶を充填する液晶充填工程と、上記強誘電性液晶が充填された強誘電性液晶用TFT基板と、上記対向基板とを減圧雰囲気下において貼り合わせる基板貼り合わせ工程と、上記強誘電性液晶を配列させる液晶配列工程と、を有することを特徴とする液晶表示素子の製造方法。
本発明の液晶表示素子の製造方法によれば、上記本発明に係る強誘電性液晶用TFT基板が用いられていることにより、短時間で、ムラの少ない液晶表示素子を製造することができる。
本発明においては、上記液晶充填工程が、インクジェット法により上記強誘電性液晶を滴下するものであることが好ましい。インクジェット法によって強誘電性液晶を滴下することによって、さらにムラの少ない液晶表示素子を製造することができるからである。
本発明は、表示ムラの少ない強誘電性液晶を用いた液晶表示素子であって、表示ムラの少ない液晶表示素子を、短時間で作製することができるという効果を奏する。
本発明は、強誘電性液晶を用いた液晶表示素子を作製するために用いられる、強誘電性液晶用基板、強誘電性液晶用TFT基板、これらを用いた液晶表示素子、および、液晶表示素子の製造方法に関するものである。
以下、本発明の強誘電性液晶用基板、強誘電性液晶用TFT基板、液晶表示素子、および、液晶表示素子の製造方法について順に説明する。
A.強誘電性液晶用基板
まず、本発明の強誘電性液晶用基板について説明する。本発明の強誘電性液晶用基板は、基板と、上記基板上に形成された共通電極と、上記共通電極上にストライプ状に形成された複数のスペーサー部と、を有する強誘電性液晶用基板であって、上記スペーサー部に強誘電性液晶が流通可能な切り欠き部が形成されていることを特徴とするものである。
このような本発明の強誘電性液晶用基板について図を参照しながら説明する。図1は本発明の強誘電性液晶用基板の一例について説明する概略図である。ここで、図1(a)は、本発明の強誘電性液晶用基板の一例を示す概略断面図であり、図1(b)は、上記図1(a)におけるX−X’線矢視断面図である。
図1に例示するように、本発明の強誘電性液晶用基板10は、基板1と、上記基板1上に形成された共通電極2と、上記共通電極2上にストライプ状に形成されたスペーサー部3とを有するものである(図1(b))。
このような例において、本発明の強誘電性液晶用基板10は、上記スペーサー部3に強誘電性液晶が流通可能な切り欠き部4が形成されていることを特徴とするものである(図1(a))。
本発明によれば、上記スペーサー部に切り欠き部が形成されていることにより、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製する際に、上記スペーサー部間に滴下された強誘電性液晶が切り欠き部に流入することができる。
このため、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製する際に、仮に各スペーサー部間に滴下される強誘電性液晶量にバラツキが生じたとしても、上記強誘電性液晶が上記切り欠き部へ流入することによってバラツキを低減することができる。
したがって、本発明の強誘電性液晶用基板を用いることにより、例えば、ODF方式で液晶表示素子を作製する場合であっても、各スペーサー間に封入される強誘電性液晶量のバラツキを少なくすることができる。
このようなことから、本発明によれば表示ムラの少ない強誘電性液晶を用いた液晶表示素子を短時間で作製することが可能な、強誘電性液晶用基板を得ることができる。
従来、強誘電性液晶を用いた液晶表示素子を短時間で作製する方法としては、スペーサー部をストライプ状に形成し、上記スペーサー部の間にインクジェット法により連点状に強誘電性液晶の液滴を滴下する方法が用いられていた。しかしながら、このような方法では、上記スペーサー部の各間隔に滴下された強誘電性液晶が、他の間隔に滴下された強誘電性液晶と合流することが無いため、各間隔に滴下される強誘電性液晶の滴下量にバラツキがあると、作製された液晶表示装置にストライプ状の表示ムラが視認されてしまうという問題点があった。
この点、本発明によれば上記スペーサー部に強誘電性液晶が流通可能な切り欠き部が形成されていることにより、各スペーサー部間に滴下された強誘電性液晶が上記切り欠き部に流入することができる。このため、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製する過程において、仮に各スペーサー部間に滴下される強誘電性液晶の量にバラツキが生じたとしても、強誘電性液晶が上記切り欠き部へ流入することによりこれを低減することができる。
したがって、本発明によれば表示ムラの少ない強誘電性液晶を用いた液晶表示素子を短時間で作製することができるのである。
本発明の強誘電性液晶用基板は、少なくとも基板、共通電極、および、スペーサー部を有するものであり、必要に応じて他の構成を有しても良いものである。
以下、本発明の強誘電性液晶用基板に用いられる各構成について順に説明する。
1.スペーサー部
まず、本発明に用いられるスペーサー部について説明する。本発明に用いられるスペーサー部は、後述する共通電極上にストライプ状に形成され、強誘電性液晶が流通可能な切り欠き部が形成されていることを特徴とするものである。
本発明の強誘電性液晶用基板は、上記スペーサー部に上記切り欠き部が形成されていることにより、表示ムラの少ない強誘電性液晶を用いた液晶表示素子を短時間で作製することができるのである。
また、本発明に用いられるスペーサー部は、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製する場合に、対向基板とのギャップを調整する機能を有するものである。
以下、このようなスペーサー部について詳細に説明する。
(1)切り欠き部
まず、本発明に用いられるスペーサー部に形成される切り欠き部について説明する。本発明に用いられる切り欠き部は、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製する際に、強誘電性液晶が流入することにより各スペーサー部間に封入される強誘電性液晶量のバラツキを低減する機能を有するものである。
本発明に用いられる切り欠き部の形成比率としては、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製する際に、使用される強誘電性液晶が流通可能な範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては形成比率が1%〜30%の範囲内であることが好ましく、なかでも5%〜20%の範囲内であることが好ましい。上記形成比率が上記範囲よりも高いと、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製した場合に、強誘電性液晶の配列性が損なわれてしまう可能性があるからである。また、上記範囲よりも低いと、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて強誘電性液晶を用いて液晶表示素子を作製する際に、強誘電性液晶の上記切り欠き部への流入が不十分となる結果、各スペーサー間に封入される強誘電性液晶量にバラツキが生じてしまう虞があるからである。
ここで、上記切り欠き部の形成比率について図を参照しながら説明する。図2は、本発明における上記切り欠き部の形成比率を説明する概略図である。図2に例示するような本発明の強誘電性液晶用基板10において、上記切り欠き部4の形成比率は、スペーサー部3の長さLと、各切り欠き部4の長さM1、M2、M3の総和(M1+M2+M3)との比率(((M1+M2+M3)/L)×100)で表される値を意味するものである。
また、本発明に用いられる各切り欠き部の具体的な長さ(図2においてM1、M2およびM3で示す距離)は、5μm〜30μmの範囲内であることが好ましい。各切り欠き部の長さが上記範囲よりも長いと、本発明に用いられるスペーサー部のスペーサーとしての機能が損なわれてしまう可能性があるからである。また、上記範囲よりも短いと、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製する際に、強誘電性液晶の上記切り欠き部への流入が不十分となる結果、作製される液晶表示素子にストライプ状の表示ムラが視認されてしまう虞があるからである。
また、上記切り欠き部の深さについても、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製する際に、使用される強誘電性液晶が流通可能な範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明における上記切り欠き部の深さは、切り欠き部が形成されていない部位のスペーサー部の高さの50%〜100%の範囲内であることが好ましく、なかでも80%〜100%の範囲内であることが好ましい。
上記切り欠き部の深さが上記範囲よりも浅いと、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製する際に、強誘電性液晶の上記切り欠き部への流入が不十分となる結果、作製される液晶表示素子にストライプ状の表示ムラが視認されてしまう虞があるからである。
ここで、切り欠き部の深さが100%であるとは、切り欠き部にスペーサー部が存在しないということを意味するものである。
また、上記切り欠き部の具体的な深さは、0.5μm〜3μmの範囲内であることが好ましく、なかでも0.75μm〜2μmの範囲内であることが好ましい。
上記切り欠き部が形成される位置としては、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製した際に、非画素領域に相当する位置であれば特に限定されるものではない。より具体的には、本発明の強誘電性液晶用基板は、通常、TFT電極および画素電極を有するTFT電極側基板と対向配置されることによって用いられるが、上記切り欠き部が形成される位置は、本発明の強誘電性液晶用基板を、このようなTFT基板と対向配置させた場合に、上記画素電極の境界上に配置される位置であれば特に限定されるものではない。
また、本発明に用いられる各スペーサー部に形成される切り欠き部の数としては、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製する際に、各スペーサー部間に封入される強誘電性液晶量のバラツキを所望の範囲に低減できる数であれば特に限定されるものではない。したがって、各スペーサー部に形成される切り欠き部の数は1つであっても良く、または、複数であっても良い。なかでも本発明においては、上記切り欠き部の数が複数であることが好ましい。各スペーサー部において上記切り欠き部が複数形成されていることにより、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製する際に、各スペーサー部間に封入される強誘電性液晶量のバラツキをより少なくすることができるからである。
また、本発明に用いられる各スペーサー部に形成された切り欠き部の数は、本発明に用いられるすべてのスペーサー部において同一であっても良く、または、異なっていても良い。なかでも本発明においては、すべてのスペーサー部に形成された切り欠き部の数が同一であることが好ましい。これにより、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製した際に、各スペーサー部間に封入される強誘電性液晶量のバラツキをより低減することが可能になるからである。
上記各スペーサー部において上記切り欠き部が複数形成されている態様において、切り欠き部が形成される間隔は特に限定されるものではないが、通常、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製した際に、TFT電極付近またはゲートライントソースラインが交わる箇所に切り欠き部が形成される。これにより、切り欠き部での液晶流動によって配向欠陥が生じたとしても、表示品質に影響が無いからである。
また、上記各スペーサー部において上記切り欠き部が複数形成されている態様としては、各切り欠き部が等間隔に形成されている態様であっても良く、または、各切り欠き部が異なる間隔で形成されている態様であっても良い。なかでも本発明においては各切り欠き部が等間隔に形成されている態様であることが好ましい。このような態様であることにより、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製した際に、各スペーサー部間に封入される強誘電性液晶量のバラツキをより低減することが可能になるからである。
さらに、上記各切り欠き部が等間隔に形成されている態様としては、本発明に用いられるすべてのスペーサー部において切り欠き部が形成されている位置が同一である態様であっても良く、または、スペーサー部毎に切り欠き部が形成されている位置が異なる態様であっても良い。
上記すべてのスペーサー部において切り欠き部が形成されている位置が同一である態様と、上記スペーサー部毎に切り欠き部が形成されている位置が異なる態様とについて図を参照しながら具体的に説明する。
図3は各スペーサー部において切り欠き部が等間隔に形成されている態様の一例を示す概略図である。図3に例示するように、本発明の強誘電性液晶用基板10において、スペーサー部3に切り欠き部4が等間隔で形成されている態様としては、図3(a)に例示するように、すべてのスペーサー部3において切り欠き部4が同一の位置に形成されている態様であっても良く、または、図3(b)に例示するようにスペーサー部3毎に切り欠き部4が異なる位置に形成されている態様であっても良い。
本発明においては、上記すべてのスペーサー部において切り欠き部が形成されている位置が同一である態様、および、上記スペーサー部毎に切り欠き部が形成されている位置が異なる態様いずれであっても好適に用いることができる。なかでも本発明においてはすべてのスペーサー部において切り欠き部が形成されている位置が同一である態様が好ましい。切り欠き部がこのような態様で形成されていることによっても、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製した際に、各スペーサー部間に封入される強誘電性液晶量のバラツキをより低減することが可能になるからである。
(2)スペーサー部
本発明に用いられるスペーサー部が形成される位置としては、後述する共通電極上であって、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製した際に、上記非画素領域に相当する位置であれば特に限定されるものではない。
また、本発明の強誘電性液晶用基板は複数のスペーサー部がストライプ状に形成されたものであるが、本発明においてスペーサー部が形成される間隔としては、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて作製した際に、本発明の強誘電性液晶用基板と対向基板とのギャップを均一に保持できる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、上記間隔が0.1mm〜3mmの範囲内であることが好ましく、なかでも1mm〜2mmの範囲内であることが好ましい。
なお、本発明においては、通常、複数のスペーサー部が等間隔に配置される。
また、本発明に用いられるスペーサー部の上記切り欠き部が形成されていない部位の高さとしては、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて作製した際に、本発明の強誘電性液晶用基板と対向基板と間に所定のギャップを形成できる範囲内であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては1μm〜3μmの範囲内であることが好ましく、特に1.5μm〜2μmの範囲内であることが好ましい。
さらに、本発明に用いられるスペーサー部は、上記切り欠き部の近傍に、隣接するスペーサー部から流入した強誘電性液晶が表示領域へ流入することを防止する、流入防止部が形成されたものであっても良い。このような流入防止部が形成されていることにより、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製する際に、仮に上記切り欠き部を通じて強誘電性液晶が他のスペーサー部間に流入したとしても、当該強誘電性液晶が表示領域に流入することを防止できるため、強誘電性液晶の流入に伴う表示品質の低下を防止することができるからである。
本発明に用いられるスペーサー部が上記流入防止部を有する態様の一例について図を参照しながら説明する。図4は、本発明に用いられるスペーサー部が上記流入防止部を有する場合の一例を示す概略図である。図4に例示するように、本発明に用いられるスペーサ部3’は、切り欠き部4の近傍に、隣接するスペーサー部から流入した強誘電性液晶が表示領域へ流入することを防止する、流入防止部7が形成されたものであっても良い。
本発明に用いられるスペーサー部を形成する材料としては、例えば、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等のモノマー、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシ、ビニルエーテル、ポリエン・チオール系等のオリゴマー、光二量化反応を起こすポリビニル桂皮酸系樹脂等の光架橋型ポリマー等を例示することができる。
2.共通電極
次に、本発明に用いられる共通電極について説明する。本発明に用いられる共通電極は、後述する基板上に形成されたものであり、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製した際に、強誘電性液晶を駆動する電極として機能するものである。
本発明に用いられる共通電極としては、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製した際に、強誘電性液晶を駆動する電極として機能するものであれば特に限定されるものではない。このような共通電極としては、一般的に液晶表示装置用の共通電極として用いられているものを特に制約なく用いることができる。なかでも本発明においては、酸化インジウム、酸化錫、酸化インジウム錫(ITO)からなる共通電極が好適に用いられる。
3.基板
次に、本発明に用いられる基板について説明する。本発明に用いられる基板は上記共通電極および上記スペーサー部を支持するものである。
以下、このような基板について詳細に説明する。
本発明の強誘電性液晶用基板は、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製した際に、画像表示面側に配置されるものである。このため、本発明に用いられる基板には、通常、透明性を有することが求められることになる。
なかでも本発明に用いられる基板は、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。透過率が上記範囲であることにより、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製した際に、液晶表示素子の表示輝度が低下すること等を防止することができるからである。
ここで、透明基板の透過率は、JIS K7361−1(プラスチックー透明材料の全光透過率の試験方法)により測定することができる。
本発明に用いられる基板としては、例えば、ガラス基板および樹脂製フィルム基材等、
一般的に液晶表示装置用の基板として用いられている基板を、特に制約なく用いることができる。
ここで、上記樹脂製フィルム基材としては、例えば、ポリエチレンレテフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルスルホン(PES)等の熱可塑性プラスチックフィルム、エポキシ樹脂等の架橋性樹脂、有機-無機複合材料、ポリイミド(PI)、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアクリルニトリル、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、三酢酸セルロース(TAC)、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等からなるフィルムを挙げることができる。
また、本発明に用いられる基板の構成は、単一の層からなる構成であっても良く、または、複数の層が積層された構成を有してもよい。
さらに、複数の層が積層された構成を有する場合においては、同一組成の層が積層された構成であっても良く、また、異なった組成を有する複数の層が積層された構成であっても良い。
本発明に用いられる基板の厚みは、通常、0.1mm〜5mmの範囲内であることが好ましく、なかでも0.5mm〜1mmの範囲内であることが好ましい。
なお、本発明に用いられる基板が複数の層が積層された構成を有するものである場合、上記厚みは各層の厚みを合計した透明基板全体としての厚みを指すものとする。
また、本発明に用いられる基板は、表面粗さ(RSM値)が、10nm以下であることが好ましく、なかでも3nm以下であるが好ましく、特に1nm以下であることが好ましい。
ここで、上記表面粗さは、原子間力顕微鏡(AFM:ATOMIC FORCE MICROSCOPE)により測定することができる。
4.その他の構成
本発明の強誘電性液晶用基板は、上記スペーサー部、共通電極および基板以外に他の構成を有するものであっても良い。このような他の構成としては特に限定されるものではなく、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて作製する液晶表示素子の種類等に応じて任意の機能を備える構成を用いることができる。
なかでも本発明に好適に用いられる上記他の構成としては、上記基板と上記共通電極との間に形成され、複数の着色層を有するカラーフィルター層、および、上記スペーサー部および上記共通電極上に形成され、強誘電性液晶に対して配向規制力を有する配向層を挙げることができる。
以下、このようなカラーフィルター層および配向層について順に説明する。
(1)カラーフィルター層
まず、本発明に用いられるカラーフィルター層について説明する。本発明に用いられるカラーフィルター層は、上記基板と上記共通電極との間に形成され、複数の着色層を有するものである。このようなカラーフィルター層を有することにより、本発明の強誘電性液晶用基板をカラーフィルター方式によりカラー表示が行われる液晶表示素子に好適に用いられるものにできる。
本発明の強誘電性液晶用基板が上記カラーフィルター層を有する態様について図を参照しながら説明する。図5は、本発明の強誘電性液晶用基板が上記カラーフィルター層を有する場合の一例を示す概略図である。図5に例示するように、本発明の強誘電性液晶用基板10’は、基板1と共通電極2との間に、複数の着色層5aを有するカラーフィルター層5が形成されていても良い。
なお、図5に例示するように、本発明の強誘電性液晶10’がカラーフィルター層5を有するものである場合、通常、スペーサー部3は上記着色層5a(5a’、5a’’、5a’’’)の境界上に形成されることになる。
また、図5に例示するように、本発明に用いられるカラーフィルター層4は、上記着色層5aを覆うようにオーバーコート層5bが形成されているものであっても良い。
以下、このようなカラーフィルター層について詳細に説明する。
a.着色層
本発明に用いられるカラーフィルター層に含有される複数の着色層としては、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製した際に所望の色を発色できるものであれば特に限定されるものではなく、一般的に液晶表示装置用のカラーフィルターに用いられている各色の着色層を用いることができる。なかでも本発明においては、通常、R、G、Bの3色のからなる複数の着色層が用いられる。
また、本発明に用いられる複数の着色層は、通常、複数色が規則的に配置されるようにパターン状に形成されるが、本発明に採用されるパターンとしては特に限定されるものではなく、本発明の強誘電性液晶用基板の用途等に応じて適宜選択することができる。このようなパターンとしては、例えば、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型および4画素配置型等を挙げることができる。このとき個々の着色層の面積および厚みは特に限定されるものではなく、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて製造する液晶表示素子の解像度等に応じて適宜調整することができる。
上記着色層の構成成分としては、各着色層に所望の発色性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。このような着色層を構成する材料としては、一般的なカラーフィルターの着色層に用いられるもの同様であるため、ここでの詳しい説明は省略する。
b.カラーフィルター層
本発明に用いられるカラーフィルター層は、少なくとも上述した着色層を有するものであるが、必要に応じて上記着色層以外の他の構成を有するものであっても良い。このような他の構成としては特に限定されるものではなく、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて作製する液晶表示素子の種類等に応じて任意の機能を備えるものを用いることができる。なかでも本発明においては、このような他の構成として上述した着色層の境界に形成された遮光部を有することが好ましい。このような遮光部が形成されていることにより、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて作製した液晶表示素子において、TFT電極の誤動作等に起因する光漏れが視認されることを防止できるからである。
本発明に用いられるカラーフィルター層がこのような遮光部を有する態様について図を参照しながら説明する。図6は、本発明に用いられるカラーフィルター層が上記遮光部を有する態様の一例を示す概略図である。図6に例示するように、本発明に用いられるカラーフィルター層5’は、着色層5aの境界に遮光部5cが形成されているものであることが好ましい。
本発明に用いられる遮光部としては、所望の遮光性を有する材料からなるものであれば特に限定されるものではなく、一般的に液晶表示装置用の遮光部に用いられる材料を用いることができる。このような材料としては、例えば、遮光材料および樹脂からなる材料やクロム等の金属材料を挙げることができる。
また、本発明に用いられるカラーフィルター層は、上記着色層を覆うようにオーバーコート層が形成されているものであっても良い。
ここで、本発明に用いられるオーバーコート層については、一般的に液晶表示装置等に用いられるカラーフィルターのオーバーコート層として用いられているものと同様であるため、ここでの詳しい説明は省略する。
(2)配向層
次に、本発明に用いられる配向層について説明する。本発明に用いられる配向層は、上記スペーサー部および上記共通電極上に形成されるものであり、強誘電性液晶に対して配向規制力を有するものである。このような配向層が形成されていることにより、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて液晶表示素子を作製する際に、液晶表示素子の製造工程を簡略化することができる。
本発明の強誘電性液晶用基板が上記配向層を有する態様について図を参照しながら説明する。図7は本発明の強誘電性液晶用基板が上記配向層を有する場合の一例を示す概略図である。図7に例示するように、本発明の強誘電性液晶用基板10’’は、スペーサー部3および共通電極2上に強誘電性液晶に対して配向規制力を有する配向層6を有するものであっても良い。
以下、このような配向層について詳細に説明する。
本発明に用いられる配向層としては、強誘電性液晶に対して配向規制力を有するものであれば特に限定されるものではない。このような配向層としては、ポリイミド等の高分子材料にラビング処理を施したラビング膜や、光配向材料に光配向処理を施した光配向膜等の配向処理膜が用いられたものを挙げることができる。なかでも本発明に用いられる配向層は、上記配向処理膜として光配向膜が用いられたものであることが好ましい。光配向膜は、非接触で配向処理を行うことが可能であることから静電気や塵の発生がなく、定量的な配向処理の制御ができる点で有用であるからである。
上記光配向膜を構成する光配向性材料としては、光を照射して光励起反応を生じることにより、強誘電性液晶を配向させる効果(光配列性:photoaligning)を有するものであれば特に限定されるものではない。なかでも、本発明に用いられる光配向材料は、上記励起反応を生じる光の波長領域が10nm〜400nmの範囲内であるものが好ましく、なかでも250nm〜380nmの範囲内であるものが好ましい。
ここで、光配向性材料は、光反応を生じることにより光配向膜に異方性を付与する光反応型材料と、光異性化反応を生じることにより光配向膜に異方性を付与する光異性化型材料とに分けることができる。
以下、本発明に用いられる光反応型材料および光異性化型材料について順に説明する。
a.光反応型材料
まず、本発明に用いられる上記光反応型材料について説明する。上述したように、光反応型材料とは、光反応を生じることにより光配向膜に異方性を付与する材料である。本発明に用いられる光反応型材料としては、このような特性を有するものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、光二量化反応を生じることにより光配向膜に異方性を付与する光二量化型材料、または、光分解反応を生じることにより光配向膜に異方性を付与する光分解型材料が用いることが好ましく、さらには露光感度が高く、材料選択の幅が広いことから、光二量化型材料を用いることがより好ましい。
ここで、上記光二量化反応とは、光照射により偏光方向に配向した反応部位がラジカル重合して分子2個が重合する反応を意味するものである。本発明においては、この光二量化反応により偏光方向の配向を安定化し、光配向膜に異方性を付与することができるのである。
また、上記光分解反応とは、光照射により偏光方向に配向したポリイミドなどの分子鎖を分解する反応を意味するものである。本発明においてはこの光分解反応により偏光方向に垂直な方向に配向した分子鎖を残し、光配向膜に異方性を付与することができるのである。
(光二量化型材料)
本発明に用いられる光二量化型材料としては、光二量化反応により光配向膜に異方性を付与することができる材料であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、ラジカル重合性の官能基を有し、かつ、偏光方向により吸収を異にする二色性を有する光二量化反応性化合物を含むものであることが好ましい。このような光二量化型材料によれば、偏光方向に配向した反応部位をラジカル重合することにより、光二量化反応性化合物の配向が安定化されるため、光配向膜に容易に異方性を付与することができるからである。
上記光二量化反応性化合物としては、側鎖としてケイ皮酸エステル、クマリン、キノリン、カルコン基およびシンナモイル基から選ばれる少なくとも1種の反応部位を有する二量化反応性ポリマーを挙げることができる。なかでも本発明においては、側鎖としてケイ皮酸エステル、クマリンまたはキノリンのいずれかを含む二量化反応性ポリマーを好適に用いることができる。このような光二量化反応性化合物は、偏光方向に配向したα、β不飽和ケトンの二重結合が反応部位となってラジカル重合するため、光配向膜に容易に異方性を付与することができるからである。
本発明に用いられる二量化反応性ポリマーの主鎖としては、ポリマー主鎖として一般に知られているものであれば特に限定されるものではないが、芳香族炭化水素基などの、上記側鎖の反応部位同士の相互作用を妨げるようなπ電子を多く含む置換基を有していないものであることが好ましい。
また、本発明に用いられる二量化反応性ポリマーの重量平均分子量は、5,000〜40,000の範囲内であることが好ましく、10,000〜20,000の範囲内であることがより好ましい。重量平均分子量が上記範囲よりも小さいと、光配向膜に適度な異方性を付与することができない場合があるからである。また、上記範囲よりも大きいと光配向膜形成時の塗工液の粘度が高くなり、均一な塗膜を形成しにくい場合があるからである。
ここで、上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定することができる。
本発明に用いられる二量化反応性ポリマーの具体例としては、下記式で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2009003358
上記式において、M11およびM12は、それぞれ独立して、単重合体または共重合体の単量体単位を表す。例えば、エチレン、アクリレート、メタクリレート、2−クロロアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、2−クロロアクリルアミド、スチレン誘導体、マレイン酸誘導体、シロキサンなどが挙げられる。M12は、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリレート、メチルメタクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレートまたはヒドロキシアルキルメタクリレートであってもよい。
xおよびyは、共重合体とした場合の各単量体単位のモル比を表すものであり、それぞれ、0<x≦1、0≦y<1であり、かつ、x+y=1を満たす数である。
nは4〜30,000の整数を表す。
およびDは、スペーサー単位を表す。
は−A−(Z−B−Z−で表される基であり、Rは−A−(Z−B−Z−で表される基である。ここで、AおよびBは、それぞれ独立して、共有単結合、ピリジン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、1,4−シクロヘキシレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、または置換基を有していてもよい1,4−フェニレンを表す。
また、ZおよびZは、それぞれ独立して、共有単結合、−CH−CH−、−CHO−、−OCH−、−CONR−、−RNCO−、−COO−または−OOC−を表す。Rは、水素原子または低級アルキル基であり、Zは、水素原子、置換基を有していてもよい、炭素数1〜12のアルキルまたはアルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロゲンである。
zは、0〜4の整数である。Eは、光二量化反応部位を表し、例えば、ケイ皮酸エステル、クマリン、キノリン、カルコン基、シンナモイル基などが挙げられる。
jおよびkは、それぞれ独立して、0または1である。
このような二量化反応性ポリマーとして、本発明により好ましく用いられる化合物の具体例としては、下記式で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2009003358
さらに、本発明においては上記二量化反応性ポリマーの中でも、下記式で表される化合物1〜4の少なくとも一つを用いることが好ましい。
Figure 2009003358
なお、本発明に用いられる光二量化反応性化合物は、上述した化合物の中から、要求特性に応じて光二量化反応部位や置換基を種々選択することができる。また、光二量化反応性化合物は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
また、上記光二量化反応性化合物を含有する光二量化型材料としては、上記光二量化反応性化合物以外に他の添加剤を含有しても良い。このような他の添加剤としては、光配向膜の光配列性を妨げないものであれば特に限定されるものではない。
本発明に用いられる上記他の添加剤としては、例えば、重合開始剤、重合禁止剤等を挙げることができる。なお、このような重合開始剤または重合禁止剤は、一般に公知の化合物の中から、光二量化反応性化合物の種類によって適宜選択して用いればよい。
(光分解型材料)
本発明に用いられる上記光分解型材料としては、光照射により偏光方向に配向したポリイミドなどの分子鎖を分解する反応を生じる材料であれば特に限定されない。このような光分解型材料としては、例えば日産化学工業(株)製のポリイミド「RN1199」などを挙げることができる。
b.光異性化型材料
次に、本発明に用いられる光異性化型材料について説明する。本発明に用いられる光異性化型材料としては、光異性化反応を生じることにより光配向膜に異方性を付与する材料であれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、光異性化反応を生じることにより上記光配向膜に異方性を付与する光異性化反応性化合物を含むものであることが好ましい。このような光異性化反応性化合物を含むことにより、光照射により、複数の異性体のうち安定な異性体が増加し、それにより光配向膜に容易に異方性を付与することができるからである。
本発明に用いられる上記光異性化反応性化合物としては、光異性化反応を生じることにより上記光配向膜に異方性を付与できるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては、偏光方向により吸収を異にする二色性を有し、かつ、光照射により光異性化反応を生じるものであることが好ましい。このような特性を有する光異性化反応性化合物の偏光方向に配向した反応部位の異性化を生じさせることにより、上記光配向膜に容易に異方性を付与することができるからである。
本発明に用いられる上記光異性化反応性化合物が生じる光異性化反応としては、シス−トランス異性化反応であることが好ましい。光照射によりシス体またはトランス体のいずれかの異性体が増加し、それにより光配向膜に異方性を付与することができるからである。
このような光異性化反応性化合物としては、例えば、単分子化合物、または、光もしくは熱により重合する重合性モノマー等を挙げることができる。なかでも本発明においては、重合性モノマーを用いることが好ましい。上記光異性化反応性化合物として、重合性モノマーを用いることにより、光照射により光配向膜に異方性を付与した後、その異方性を安定化することができるからである。
さらに、本発明においては、上記重合性モノマーの中でも、光配向膜に異方性を付与した後、その異方性を良好な状態に維持したまま容易にポリマー化できることから、アクリレートモノマー、メタクリレートモノマーであることが好ましい。
上記重合性モノマーは、単官能のモノマーであっても、多官能のモノマーであってもよい。なかでも本発明にいては、ポリマー化による光配向膜の異方性がより安定なものとなることから、2官能のモノマーであることが好ましい。
本発明に用いられる光異性化反応性化合物としては、例えば、アゾベンゼン骨格やスチルベン骨格などのシス−トランス異性化反応性骨格を有する化合物を挙げることができる。
この場合に、分子内に含まれるシス−トランス異性化反応性骨格の数は、1つであっても2つ以上であってもよいが、強誘電性液晶の配向制御が容易となることから、2つであることが好ましい。
また、本発明に用いられる上記シス−トランス異性化反応性骨格は、液晶分子との相互作用をより高めるために置換基を有するものであっても良い。ここで、このような置換基としては、液晶分子との相互作用を高めることができ、かつ、シス−トランス異性化反応性骨格の配向を妨げないものであれば特に限定されるものではなく、例えば、カルボキシル基、スルホン酸ナトリウム基、水酸基などが挙げられる。これらの構造は、用いられる強誘電性液晶の種類に応じて、適宜選択することができる。
また、光異性化反応性化合物としては、分子内にシス−トランス異性化反応性骨格以外にも、液晶分子との相互作用をより高められるように、芳香族炭化水素基などのπ電子が多く含まれる基を有していてもよく、シス−トランス異性化反応性骨格と芳香族炭化水素基は、結合基を介して結合していてもよい。結合基は、液晶分子との相互作用を高められるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、−COO−、−OCO−、−O−、−C≡C−、−CH−CH−、−CHO−、−OCH−などが挙げられる。
なお、光異性化反応性化合物として、重合性モノマーを用いる場合には、上記シス−トランス異性化反応性骨格を、側鎖として有していることが好ましい。上記シス−トランス異性化反応性骨格を側鎖として有していることにより、光配向膜に付与される異方性の効果がより大きなものとなり、強誘電性液晶の配向制御に特に適したものとなるからである。この場合に、前述した分子内に含まれる芳香族炭化水素基や結合基は、液晶分子との相互作用が高められるように、シス−トランス異性化反応性骨格と共に、側鎖に含まれていることが好ましい。
また、上記重合性モノマーの側鎖には、シス−トランス異性化反応性骨格が配向しやすくなるように、アルキレン基などの脂肪族炭化水素基をスペーサーとして有していてもよい。
上述したような単分子化合物または重合性モノマーの光異性化反応性化合物の中でも、本発明に用いられる光異性化反応性化合物としては、分子内にアゾベンゼン骨格を有する化合物であることが好ましい。アゾベンゼン骨格は、π電子を多く含むため、液晶分子との相互作用が高く、強誘電性液晶の配向制御に特に適しているからである。
このような分子内にアゾベンゼン骨格を有する化合物のうち、単分子化合物としては、例えば、下記式で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2009003358
また、上記アゾベンゼン骨格を側鎖として有する重合性モノマーとしては、例えば、下記式で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2009003358
本発明においては、このような光異性化反応性化合物の中から、要求特性に応じて、シス−トランス異性化反応性骨格や置換基を種々選択することができる。なお、これらの光異性化反応性化合物は、1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本発明に用いられる光異性化型の材料としては、上記光異性化反応性化合物のほか、光配向膜の光配列性を妨げない範囲内で添加剤を含んでいても良い。上記光異性化反応性化合物として重合性モノマーを用いる場合には、添加剤としては、重合開始剤、重合禁止剤などが挙げられる。ここで、上記重合開始剤または重合禁止剤は、一般に公知の化合物の中から、光異性化反応性化合物の種類によって適宜選択して用いることができる。
c.その他
本発明に用いられる配向層は、上記配向処理膜上に反応性液晶を固定化してなる反応性液晶層が形成された構成を有するものであっても良い。本発明に用いられる配向層が、このような反応性液晶層が形成された構成を有するものであることにより、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて作製した液晶表示素子において、強誘電性液晶の配向安定性を向上することができるからである。
本発明において、上記反応性液晶層が形成された構成を有する配向層を用いることにより、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて作製した液晶表示素子において、強誘電性液晶の配向安定性を向上できる理由は次の通りである。
すなわち、上記反応性液晶層は上記配向処理膜上に形成され、反応性液晶を固定化してなるものであることから、上記反応性液晶層中に含有される反応性液晶は、上記配向処理膜の作用により配向した状態で固定される。このため、上記反応性液晶層は強誘電性液晶を配向させるための配向膜として機能することができる。
また、反応性液晶は固定化されているとから温度等の影響を受けないため、上記配向処理膜を単独で用いた場合よりも、配向規制力の経時安定性が向上するという利点を有する。
さらに、反応性液晶は強誘電性液晶と構造が比較的類似しており、強誘電性液晶との相互作用が強くなるため、上記配向処理膜のみを用いた場合よりも効果的に強誘電性液晶の配向を制御することができる。
このようなことから、上記反応性液晶層が形成された構成を有する配向層を用いることにより、本発明の強誘電性液晶用基板を用いて作製した液晶表示素子において、強誘電性液晶の配向安定性を向上できるのである。
以下、本発明に用いられる反応性液晶層について説明する。
上記反応性液晶層に用いられる反応性液晶としては、上記配向処理膜の作用により規則的に配列されるものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においてはネマチック相を発現する反応性液晶が用いられることが好ましい。ネマチック相は、液晶相の中でも配向制御が比較的容易であるからである。
また、本発明に用いられる上記反応性液晶は、重合性液晶材料を含有するものであることが好ましい。このような反応性液晶を用いることにより、反応性液晶の配向状態を固定化することが可能になるからである。
上記重合性液晶材料としては、重合性液晶モノマー、重合性液晶オリゴマー、および重合性液晶ポリマーのいずれかを用いることができるが、なかでも本発明においては、重合性液晶モノマーが好適に用いられる。重合性液晶モノマーは、他の重合性液晶材料、すなわち重合性液晶オリゴマーや重合性液晶ポリマーと比較して、より低温で配向が可能であり、かつ配向に際しての感度も高く、容易に配向させることができるからである。
本発明に用いられる上記重合性液晶モノマーとしては、重合性官能基を有する液晶モノマーであれば特に限定されるものでない。このような重合性液晶モノマーとしては、例えば、モノアクリレートモノマー、ジアクリレートモノマー等を挙げることができる。
上記モノアクリレートモノマーとしては、例えば下記式で表される化合物を例示することができる。
Figure 2009003358
上記式において、A、B、D、EおよびFはベンゼン、シクロヘキサンまたはピリミジンを表し、これらはハロゲン等の置換基を有していてもよい。また、AおよびB、あるいはDおよびEは、アセチレン基、メチレン基、エステル基等の結合基を介して結合していてもよい。MおよびMは、水素原子、炭素数3〜9のアルキル基、炭素数3〜9のアルコキシカルボニル基、またはシアノ基のいずれであってもよい。さらに、分子鎖末端のアクリロイルオキシ基とAまたはDとは、炭素数3〜6のアルキレン基等のスペーサーを介して結合していてもよい。
また、上記ジアクリレートモノマーとしては、例えば下記式に示すような化合物を挙げることができる。
Figure 2009003358
Figure 2009003358
上記式において、XおよびYは、水素、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルケニル、炭素数1〜20のアルキルオキシ、炭素数1〜20のアルキルオキシカルボニル、ホルミル、炭素数1〜20のアルキルカルボニル、炭素数1〜20のアルキルカルボニルオキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロを表す。また、mは2〜20の範囲内の整数を表す。
さらに、上記ジアクリレートモノマーとしては、例えば下記式に示すような化合物を挙げることもできる。
Figure 2009003358
上記式中のZ21およびZ22は、各々独立して直接結合している−COO−、−OCO−、−O−、−CHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−を表し、lおよびmは0または1を表し、nは2〜8の範囲内の整数を表す。また、式中のRは、水素、または炭素数1〜5のアルキルを表す。
なかでも本発明においては、上記式(1)、(2)、または下記式(3)で表される化合物、が好適に用いられる。上記式(1)に示す化合物の場合、Xとしては、炭素数1〜20のアルキルオキシカルボニル、メチルまたは塩素であることが好ましく、中でも炭素数1〜20のアルキルオキシカルボニル、特にCH(CHOCOであることが好ましい。また、下記式(3)において、Z21およびZ22は、各々独立して直接結合している−COO−、−OCO−、−O−、−CHCH−、−CH=CH−、−C≡C−、−OCH−、−CHO−、−CHCHCOO−、−OCOCHCH−を表し、mは0または1を表し、nは2〜8の範囲内の整数を表す。
Figure 2009003358
また、上記式(2)で表される化合物の具体例としては、アデカキラコールPLC−7209(旭電化工業社製)、アデカキラコールPCL−7183(旭電化工業社製)等を挙げることができる。
本発明に用いられる重合性液晶モノマーは、上記の中でもジアクリレートモノマーであることが好ましい。ジアクリレートモノマーは、配向状態を良好に維持したまま容易に重合させることができるからである。
上述した重合性液晶モノマーはそれ自体がネマチック相を発現するものでなくてもよい。本発明において、これらの重合性液晶モノマーは上述したように2種以上を混合して用いてもよいものであり、これらを混合した組成物すなわち反応性液晶が、ネマチック相を発現するものであればよいからである。
また、本発明に用いられる重合性液晶モノマーは単体であっても良く、または、2種以上が混合されたものであっても良い。
さらに本発明においては、必要に応じて上記反応性液晶に光重合開始剤や重合禁止剤を添加してもよい。例えば、電子線照射により重合性液晶材料を重合させる際には、光重合開始剤が不要な場合はあるが、一般的に用いられている例えば紫外線照射による重合の場合においては、通常光重合開始剤が重合促進のために用いられるからである。
本発明に用いることができる光重合開始剤としては、ベンジル(ビベンゾイルとも言う)、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4´−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等を挙げることができる。なお、光重合開始剤の他に増感剤を、本発明の目的が損なわれない範囲で添加することも可能である。
このような光重合開始剤の添加量としては、一般的には0.01〜20質量%、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲で上記反応性液晶に添加することができる。
さらに、上記光重合開始剤を用いる場合には、光重合開始助剤を併用することができる。このような光重合開始助剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン等の3級アミン類や、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミド安息香酸エチル等の安息香酸誘導体を例示することができるが、これらに限られるものではない。
本発明に用いられる反応性液晶層の厚みは、1nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは3nm〜100nmの範囲内である。反応性液晶層が上記範囲を超えて厚くなると必要以上の異方性が生じてしまい、また上記範囲より薄いと所定の異方性が得られない場合があるからである。したがって、反応性液晶層の厚みは、必要な異方性に準じて決定すればよい。
4.強誘電性液晶用基板の製造方法
次に、本発明に用いられる強誘電性液晶用基板の製造方法について説明する。本発明の強誘電性液晶用基板の製造方法としては、上記構成を有する強誘電性液晶用基板を製造できる方法であれば特に限定されるものではない。このような製造方法としては、例えば、上記基板を用い、上記基板上に共通電極を形成する共通電極形成工程と、上記共通電極上に上記スペーサー部を形成するスペーサー部形成工程とからなる方法を例示することができる。
上記共通電極形成工程において上記基板上に共通電極を形成する方法としては、所望の材料からなる共通電極を均一な膜厚で形成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、CVD法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の、一般的に液晶表示装置の共通電極を形成する際に用いられる方法として公知の方法を用いることができる。
また、上記スペーサー部形成工程において、上記共通電極上にスペーサー部を形成する方法としては、所定の位置に所望の形状を有するスペーサー部を形成できる方法であれば特に限定されるものではなく、リソグラフィー法や転写法等の一般的に液晶表示装置を製造する際にスペーサーを形成する方法を用いることができる。
B.強誘電性液晶用TFT基板
次に、本発明に用いられる強誘電性液晶用TFT基板について説明する。本発明の強誘電性液晶用TFT基板は、基板と、上記基板上に形成され、複数のTFT電極および上記TFT電極に接続された画素電極を有するTFT電極層と、上記画素電極の境界上にストライプ状に形成された複数のスペーサー部と、を有するものあって、上記スペーサー部に強誘電性液晶が流通可能な切り欠き部が形成されていることを特徴とするものである。
このような強誘電性液晶用TFT基板について図を参照しながら説明する。図8は本発明の強誘電性液晶用TFT基板の一例を示す概略図である。ここで、図8(a)は、本発明の強誘電性液晶用基板の一例を示す概略図であり、図8(b)は、上記図8(a)におけるY−Y’線矢視断面図である。
図8に例示するように、本発明の強誘電性液晶用TFT基板20は、基板21と、上記基板21上に形成され、複数のTFT電極22aおよび上記TFT電極22aに接続した画素電極22bを有するTFT電極層22と、上記TFT電極層22における画素電極22bの境界上に形成されたスペーサー部23とを有するものである(図8(b))。
このような例において、本発明の強誘電性液晶用TFT基板20は、上記スペーサー部23に、強誘電性液晶が流通可能な程度の切り欠き部24が形成されていることを特徴とするものである(図8(a))。
本発明によれば、上記スペーサー部に切り欠き部が形成されていることにより、本発明の強誘電性液晶用TFT基板を用いて液晶表示素子を作製する際に、上記スペーサー部間に滴下された強誘電性液晶が切り欠き部に流入することができる。
このため、本発明の強誘電性液晶用TFT基板を用いて液晶表示素子を作製する際に、仮に各スペーサー部間に滴下される強誘電性液晶量にバラツキが生じたとしても、上記強誘電性液晶が上記切り欠き部へ流入することによってバラツキを低減することができる。
したがって、本発明の強誘電性液晶用TFT基板を用いることにより、例えば、ODF方式で液晶表示素子を作製する場合であっても、各スペーサー間に封入される強誘電性液晶量のバラツキを少なくすることができる。
このようなことから、本発明によれば表示ムラの少ない強誘電性液晶を用いた液晶表示素子を短時間で作製することが可能な、強誘電性液晶用TFT基板を得ることができる。
従来、強誘電性液晶を用いた液晶表示素子を短時間で作製するため、スペーサー部をストライプ状に形成し、上記スペーサー部の間にインクジェット法により連点状に強誘電性液晶の液滴を滴下する方法が用いられていた。しかしながら、このような方法では、上記スペーサー部の各間隔に滴下された強誘電性液晶が、他の間隔に滴下された強誘電性液晶と合流することが無いため、各間隔に滴下される強誘電性液晶の滴下量にバラツキがあると、作製された液晶表示装置にストライプ状のムラが視認されてしまうという問題点があった。
この点、本発明によれば上記スペーサー部に強誘電性液晶が流通可能な切り欠き部が形成されていることにより、各スペーサー部間に滴下された強誘電性液晶が上記切り欠き部に流入することができる。このため、本発明の強誘電性液晶用TFT基板を用いて液晶表示素子を作製する過程において、仮に各スペーサー部間に滴下される強誘電性液晶の量にバラツキが生じたとしても、強誘電性液晶が上記切り欠き部へ流入することによりこれを低減することができる。
したがって、本発明によれば表示ムラの少ない強誘電性液晶を用いた液晶表示素子を短時間で作製することができるのである。
本発明の強誘電性液晶用TFT基板は、少なくとも上記基板、TFT電極層、および、スペーサー部を有するものであり、必要に応じて他の構成を有しても良いものである。
以下、本発明の強誘電性液晶用TFT基板に用いられる各構成について詳細に説明する。
1.スペーサー部
まず、本発明に用いられるスペーサー部について説明する。まず、本発明に用いられるスペーサー部について説明する。本発明に用いられるスペーサー部は、後述する共通電極上にストライプ状に形成され、強誘電性液晶が流通可能な切り欠き部が形成されていることを特徴とするものである。そして、本発明の強誘電性液晶用TFT基板は、上記スペーサー部に上記切り欠き部が形成されていることにより、表示ムラの少ない強誘電性液晶を用いた液晶表示素子を短時間で作製することができるのである。
また、本発明に用いられるスペーサー部は、本発明の強誘電性液晶用TFT基板を用いて液晶表示素子を作製する場合に、対向基板とのギャップを調整する機能を有するものである。
ここで、本発明に用いられるスペーサー部については、上記「A.強誘電性液晶用基板」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
2.TFT電極層
次に、本発明に用いられるTFT電極層について説明する。本発明に用いられるTFT電極層は、複数のTFT電極と上記TFT電極に接続された画素電極とを有するものである。
このような本発明に用いられるTFT電極層について図を参照しながら具体的に説明する。図9は本発明に用いられるTFT電極層の一例を示す概略図である。図9(a)に例示するように本発明に用いられるTFT電極層22は、複数のTFT電極22aと、上記TFT電極22aに接続された複数の画素電極22bを有するものである。
また図9(b)に例示するように、上記TFT電極22aは、通常、ゲート電極22Aと、上記ゲート電極22A上に形成されたゲート絶縁膜22Bと、上記ゲート絶縁膜22B上に形成された半導体層22Cと、上記半導体層22C上に一定に間隔を空けて対向するように形成されたソース電極22Dおよびドレイン電極22Eとを有するものであり、上記画素電極22bは上記ドレイン電極22Eと接続するように形成されているものである。
また、図9に例示するように、本発明に用いられるTFT電極層22は、上記TFT電極22aおよび画素電極22b上に保護層22cが形成されたものであっても良い。
以下、このようなTFT電極層について説明する。
(1)TFT電極
本発明に用いられるTFT電極としては、所望の配置態様に形成できるものであれば特に限定されるものではなく、本発明の強誘電性液晶用TFT基板を用いて作製される液晶表示素子の種類等に応じて、任意のTFT電極を用いることができる。したがって、本発明に用いられるTFT電極としては、上記図8に例示したものに限定されるものではなく、一般的に液晶表示装置等に用いられているTFT電極を広く用いることができる。このようなTFT電極としては、a−Si TFT構造を有するものであっても良く、または、p−Si TFT構造を有するものであっても良い。
上記a−Si TFT構造を有するTFT電極としては、正スタガ型のもの(トップゲート構造)と、逆スタガ型(ボトムゲート構造)のものを挙げることができる。本発明においてはこれらのいずれであっても好適に用いることができる。また、上記逆スタガ型のものとしては、チャネルエッチ型のものと、チャネルプロテクト型のものとを挙げることができるが、これらについても本発明においては好適に用いることができる。
一方、p−Si TFT構造を有するTFT電極としては、プレーナ型のものと、スタガ型のものを挙げることができるが、本発明においてはこれらのいずれであっても好適に用いることができる。
(2)画素電極
本発明に用いられる画素電極としては、一般的に液晶表示装置用の画素電極として用いられているものを特に制約なく用いることができる。このような画素電極としては、一般的に液晶表示装置用の画素電極として用いられているものを特に制約なく用いることができる。なかでも本発明においては、酸化インジウム、酸化錫、酸化インジウム錫(ITO)からなる画素電極が好適に用いられる。
なお、上述したように上記画素電極は上記TFT電極を構成するドレイン電極と接続するように形成される。
3.基板
次に、本発明に用いられる基板について説明する。本発明に用いられる基板は上記TFT電極層および上記スペーサー部を支持するものである。
本発明に用いられる基板は、必ずしも透明性を有することが求められるものではない。すなわち、本発明の強誘電性液晶用TFT基板を用いて液晶表示素子を作製した場合、通常、本発明の強誘電性液晶用TFT基板は画像表示面とは反対側に配置されることになる。したがって、本発明の強誘電性液晶用TFT基板を用いてバックライト方式等の透過型液晶表示素子を作製する場合においては上記基板が透明性を有することが必要であるが、反射型液晶表示素子を作製する場合においては必ずしも透明性を有することは必要とされない。
本発明に用いられる基板としては、例えば、ガラス基板および樹脂製フィルム基材等、
一般的に液晶表示装置用の基板として用いられている基板を、特に制約なく用いることができる。
ここで、上記樹脂製フィルム基材の具体例については、上記「A.強誘電性液晶用基板」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本発明に用いられる基板に透明性が求められる場合においては、可視光領域における透過率が80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
4.その他の構成
本発明の強誘電性液晶用TFT基板は、上記スペーサー部、TFT電極層および基板以外に他の構成を有するものであっても良い。このような他の構成としては特に限定されるものではなく、本発明の強誘電性液晶用TFT基板の用途等に応じて任意の機能を備える構成を用いることができる。なかでも本発明に好適に用いられる上記他の構成としては、上記スペーサー部および上記TFT電極層上に形成され、強誘電性液晶に対して配向規制力を有する配向層を挙げることができる。このような配向層が形成されていることにより、本発明の強誘電性液晶用TFT基板を用いて液晶表示素子を作製する際に、液晶表示素子の製造工程を簡略化することができる。
本発明の強誘電性液晶用TFT基板が上記配向層を有する態様について図を参照しながら説明する。図10は本発明の強誘電性液晶用TFT基板が上記配向層を有する場合の一例を示す概略図である。図10に例示するように、本発明の強誘電性液晶用TFT基板20’は、スペーサー部23およびTFT電極層22上に強誘電性液晶に対して配向規制力を有する配向層25を有するものであっても良い。
なお、本発明に用いられる配向層は、上記「A.強誘電性液晶用基板」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
5.強誘電性液晶用TFT基板の製造方法
次に、本発明に用いられる強誘電性液晶用TFT基板の製造方法について説明する。本発明の強誘電性液晶用TFT基板の製造方法としては、上記構成を有する強誘電性液晶用TFT基板を製造できる方法であれば特に限定されるものではない。このような製造方法としては、例えば、上記基板を用い、上記基板上にTFT電極層を形成するTFT電極層形成工程と、上記TFT電極層上に上記スペーサー部を形成するスペーサー部形成工程とからなる方法を例示することができる。
上記TFT電極層形成工程において、上記TFT電極層を形成する方法としては、所望のTFT電極および画素電極を有するTFT電極層を形成できる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的に液晶表示装置等に用いられるTFT電極層を作製するために用いられる方法を用いることができる。
また、上記スペーサー部形成工程において、上記スペーサー部を形成する方法としては、上記TFT電極層形成工程において形成されたTFT電極層の画素電極の境界上に、所望の形状を有するスペーサー部を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、リソグラフィー法や転写法等の一般的に液晶表示装置を製造する際にスペーサーを形成する方法を用いることができる。
C.液晶表示素子
次に、本発明の液晶表示装置について説明する。本発明の液晶表示装置はその構成により2態様に大別することができる。
以下、各態様に分けて本発明の液晶表示素子について詳細に説明する。
C−1:第1態様の液晶表示素子
まず、本発明の第1態様の液晶表示素子について説明する。本態様の液晶表示素子は、上記本発明に係る強誘電性液晶用基板が用いられたものである。
すなわち、本態様の液晶表示素子は、上記本発明に係る強誘電性液晶用基板、および、基板と、上記基板上に形成され、複数のTFT電極および上記TFT電極に接続された画素電極を有するTFT電極層と、上記TFT電極層上に形成され、強誘電性液晶に対する配向規制力を有する対向配向層と、を有するTFT電極側基板が、上記配向層と上記対向配向層とが対向するように配置されており、かつ、上記強誘電性液晶用基板および上記TFT電極側基板の間に強誘電性液晶を含有する液晶層が形成されていることを特徴とするものである。
このような本態様の液晶表示素子について図を参照しながら説明する。図11は、本態様の液晶表示素子の一例を示す概略図である。図11に例示するように、本態様の液晶表示素子40は、強誘電性液晶に対する配向規制力を有する配向層6が形成された構成を有する、本発明の強誘電性液晶用基板10’’と、TFT電極側基板30との間に強誘電性液晶を含有する液晶層41が形成された構成を有するものである。
ここで、上記TFT側基板30は、基板31と、上記基板31上に形成され、複数のTFT電極32aおよび上記TFT電極32aに接続された画素電極32bを有するTFT電極層32と、上記TFT電極層32上に形成され、強誘電性液晶に対する配向規制力を有する対向配向層33と、を有するものである。
また図11に例示するように、本態様の液晶表示素子には、通常、上記液晶層を封止するためのシール材42が用いられる。
本態様によれば、上記本発明に係る強誘電性液晶用基板が用いられていることにより、強誘電性液晶が用いられた液晶表示素子であって、短時間で製造可能であり、かつ、表示ムラの少ない液晶表示素子を得ることができる。
本態様の液晶表示素子は、少なくとも強誘電性液晶用基板、TFT電極側基板、および、液晶層を有するものであり、必要に応じて他の構成を有しても良いものである。
以下、本態様の液晶表示素子に用いられる各構成について順に説明する。
1.強誘電性液晶用基板
まず、本態様に用いられる強誘電性液晶用基板について説明する。本態様に用いられる強誘電性液晶用基板は、上記本発明に係る強誘電性液晶用基板のうち、強誘電性液晶に対する配向規制力を有する配向層が形成された構成を有するものである。
本態様の液晶表示素子は、上記強誘電性液晶用基板として、このような構成を有する本発明の強誘電性液晶用基板が用いられていることにより、短時間で製造可能であり、かつ、表示ムラの少ない強誘電性液晶が用いられた液晶表示素子を得ることができるのである。
ここで、本態様に用いられる強誘電性液晶用基板については、上記「A.強誘電性液晶用基板」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
2.TFT電極側基板
次に、本態様に用いられるTFT電極側基板について説明する。本態様に用いられるTFT電極側基板は、基板と、上記基板上に形成され、複数のTFT電極および上記TFT電極に接続された画素電極を有するTFT電極層と、上記TFT電極層上に形成され、強誘電性液晶に対する配向規制力を有する対向配向層とを有するものである。
ここで、上記基板および上記TFT電極層については、上記「B.強誘電性液晶用TFT基板」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、上記配向層については、上記「A.強誘電性液晶用基板」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
3.液晶層
次に、本態様に用いられる液晶層について説明する。本態様に用いられる液晶層は、強誘電性液晶を含有するものである。
以下、このような液晶層について説明する。
(1)強誘電性液晶
まず、本態様に用いられる強誘電性液晶について説明する。本態様に用いられる強誘電性液晶は、カイラルスメクチックC相(SmC)を発現するものであれば特に限定されるものではない。なかでも本発明においては単安定性を示すものを用いることが好ましい。上記強誘電性液晶として単安定性を示すものを用いることにより、階調表示が可能な液晶表示素子を得ることができるからである。
ここで、「単安定性を示す」とは、電圧無印加時の強誘電性液晶の状態がひとつの状態で安定化している状態をいう。具体的に説明すると、図12に例示するように、強誘電性液晶Aは層法線zに対しチルト角±θだけ傾く二つの状態間をコーン上に動作することができるが、電圧無印加時に強誘電性液晶Aが上記コーン上のいずれかひとつの状態で安定化している状態をいう。
本態様に用いられる強誘電性液晶は、相系列がネマチック相(N)−コレステリック相(Ch)−カイラルスメクチックC相(SmC)、またはネマチック相(N)−カイラルスメクチックC相(SmC)と相変化し、相系列にスメクチックA相(SmA)を有さない材料(第1態様)と、相系列にSmAを有する材料(第2態様)とに大別することができる。
以下、各態様の強誘電性液晶について説明する。
(第1態様の強誘電性液晶)
本態様の強誘電性液晶は、相系列がN−Ch−SmC、またはN−SmCと相変化し、SmAを経由しない材料(第1態様)である。
本態様の強誘電性液晶は、薄膜トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリックス方式による駆動が可能になり、また、電圧変調により階調制御が可能になる利点を有する。したがって、本態様の強誘電性液晶を用いることにより、高精細で高品位の表示を実現することができる液晶表示素子を得ることができる。また、本態様の強誘電性液晶は、本態様の液晶表示素子をフィールドシーケンシャルカラー方式により駆動させる場合に好適に用いることができる。
本態様の強誘電性液晶は、単安定性を有する液晶材料を用いることが好ましい。ここで、単安定性とは、上述したように電圧非印加時に1つの安定状態のみを有する性質をいい、特に、正負いずれかの電圧を印加したときにのみ液晶分子が動作するハーフV字駆動するものが、白黒シャッターの開口時間を長くとることができ、明るいカラー表示を実現することができる点で好ましい。
本態様に用いられる強誘電性液晶として、具体的には、AZエレクトロニックマテリアルズ社より販売されている「R2301」が挙げられる。
(第2態様の強誘電性液晶)
本態様の強誘電性液晶は、降温過程においてSmA相を経由してSmC相を発現し、かつ、SmC相において単安定性を示すことができる材料である。
本態様の強誘電性液晶は、上述した第1態様の強誘電性液晶と同様に、単安定性を有する液晶材料を用いることにより、薄膜トランジスタ(TFT)を用いたアクティブマトリックス方式による駆動が可能になる、また、電圧変調により階調制御が可能になり、高精細で高品位の表示を実現することができる。さらに、本態様の強誘電性液晶は、材料の選択の幅が広い点において利点を有する。
本態様の強誘電性液晶は、降温過程においてSmA相を経由してSmC相を示すものであれば特に限定されるものではなく、これらの液晶相の高温側または低温側に他の液晶相を示すものであってもよい。これらの中でも、材料選択の幅が広いことから、Ch相からSmA相を経由してSmC相を発現する材料を用いることが好ましい。このような強誘電性液晶としては、一般に知られる材料の中から要求特性に応じて種々選択することができる。
また、このような強誘電性液晶としては、SmC相を示す単一の材料を用いることもできるが、低粘度でSmC相を示しやすいノンカイラルな液晶(以下、ホスト液晶とする場合がある。)に、それ自身ではSmC相を示さないが大きな自発分極と適当な螺旋ピッチを誘起する光学活性物質を少量添加することにより、上記のような相系列を示す材料が、低粘度であり、より速い応答性を実現できることから好ましい。
上記ホスト液晶としては、広い温度範囲でSmC相を示す材料であることが好ましく、一般に強誘電性液晶のホスト液晶として知られているものであれば特に限定されることなく使用することができる。例えば、下記一般式:
Ra−Q−X−(Q−Ym’−Q−Rb
(式中、RaおよびRbはそれぞれ、直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基またはアルコキシカルボニルオキシ基であり、Q、QおよびQはそれぞれ、1,4−フェニレン基、1,4−シクロヘキシレン基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基、ピリダジン−3,6−ジイル基、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル基であり、これらの基はハロゲン原子、水酸基、シアノ基等の置換基を有していてもよく、XおよびYはそれぞれ、−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CHCH−、−C≡C−または単結合であり、m’は0または1である。)で表される化合物を使用することができる。ホスト液晶としては、上記化合物を1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
上記ホスト液晶に添加する光学活性物質としては、自発分極が大きく、適当な螺旋ピッチを誘起する能力を持った材料であれば特に限定されるものではなく、一般にSmC相を示す液晶組成物に添加する材料として知られるものを使用することができる。特に少量の添加量で大きな自発分極を誘起できる材料であることが好ましい。このような光学活性物質としては、例えば、下記一般式:
Rc−Q−Za−Q−Zb−Q−Zc−Rd
(式中、Rd、Q、Q、Qは上記一般式と同じ意味を表し、ZaおよびZbは−COO−、−OCO−、−CHO−、−OCH−、−CHCH−、−C≡C−、−CH=N−、−N=N−、−N(→O)=N−、−C(=O)S−または単結合であり、Rcは不斉炭素原子を有していてもよい直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基またはアルコキシカルボニルオキシ基であり、Rdは不斉炭素原子を有する直鎖状もしくは分岐状のアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルカノイルオキシ基またはアルコキシカルボニルオキシ基であり、RcおよびRdはハロゲン原子、シアノ基、水酸基で置換されていてもよい。)で表される化合物を使用することができる。光学活性物質としては、上記化合物を1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
本態様に用いられる強誘電性液晶として、具体的には、AZエレクトロニックマテリアルズ社製「FELIXM4851−100」などが挙げられる。
(2)その他の化合物
本態様に用いられる液晶層には、上記強誘電性液晶以外に他の化合物が含有されていても良い。このような他の化合物としては、本態様の液晶表示素子に求める機能に応じて任意の機能を備えるものを用いることができる。なかでも本態様に好適に用いられる上記他の化合物としては、重合性モノマーの重合物を挙げることができる。液晶層中にこのような重合性モノマーの重合物が含有されることにより、上記強誘電性液晶の配列がいわゆる「高分子安定化」され、配向安定性に優れた液晶表示素子を得ることができる。
以下、上記重合性モノマーの重合物について説明する。
a.重合性モノマー
上記重合性モノマーの重合物に用いられる重合性モノマーとしては、重合反応により重合物を生じる化合物であれば特に限定されない。このような重合性モノマーとしては、加熱処理により重合反応を生じる熱硬化性樹脂モノマー、および活性放射線の照射により重合反応を生じる活性放射線硬化性樹脂モノマーを挙げることができる。なかでも本発明においては活性放射線硬化性樹脂モノマーを用いることが好ましい。熱硬化性樹脂モノマーは重合反応を生じさせるために加温処理をすることが必要であるため、このような加温処理により上記強誘電性液晶の規則的な配列が損なわれたり、相転移が誘起されてしまう虞がある。一方、活性放射線硬化性樹脂モノマーではこのような虞が無く、重合反応が生じることによって強誘電性液晶の配列が害されることが少ないからである。
上記活性放射線硬化性樹脂モノマーとしては、電子線の照射により重合反応を生じる電子線硬化性樹脂モノマー、および光照射により重合反応を生じる光硬化性樹脂モノマーを挙げることができる。なかでも本発明においては、光硬化性樹脂モノマーを用いることが好ましい。光硬化性樹脂モノマーを用いることにより、本発明の液晶表示素子の製造方法を簡略化することができるからである。
上記光硬化性樹脂モノマーとしては、波長が150nm〜500nmの範囲内の光を照射することにより、重合反応を生じるものであれば特に限定されない。なかでも本発明おいては、波長が250nm〜450nmの範囲内、特に300nm〜400nmの範囲内の光を照射することにより重合反応を生じる紫外線硬化性樹脂モノマーを用いることが好ましい。照射装置の容易性等の面において利点を有するからである。
上記紫外線硬化性樹脂モノマーが有する重合性官能基は、上記波長領域の紫外線照射により、重合反応を生じるものであれば特に限定されない。本発明においては、アクリレート基を有する紫外線硬化型樹脂モノマーを用いることが好ましい。
上記紫外線硬化性樹脂モノマーは、一分子中に一つの重合性官能基を有する単官能性モノマーであってもよく、また、一分子中に二以上の重合性官能基を有する多官能性モノマーであってもよい。なかでも本発明においては、多官能性モノマーを用いることが好ましい。多官能性モノマーを用いることにより、上記液晶層においてより強いポリマーネットワークを形成することが可能になるため、分子間力および光配向層界面におけるポリマーネットワークを強化することができる。したがって、多官能性モノマーを用いることにより、液晶層の温度変化によって上記強誘電性液晶の配列が乱れることを抑制することができるからである。
本発明においては、上記多官能性モノマーの中でも分子の両末端に重合性官能基を有する2官能性モノマーであることが好ましい。分子の両端に上記官能基を有することにより、ポリマー同士の間隔が広いポリマーネットワークを形成することができるため、液晶層に重合性モノマーの重合物を含むことによる強誘電性液晶の駆動電圧の低下を防止できるからである。
本発明においては、上記紫外線硬化性樹脂モノマーのなかでも、液晶性を発現する紫外線硬化性液晶モノマーを用いることが好ましい。このような紫外線硬化性液晶モノマーが好ましい理由は次の通りである。すなわち、紫外線硬化性液晶モノマーは液晶性を示すことから、上記光配向層の配向規制力により規則的に配列することができる。したがって、紫外線硬化性液晶モノマーを規則的に配列した後に、重合反応を生じさせることにより、上記液晶層中に、規則的な配列状態を維持したまま固定化することが可能になる。このような規則的な配列状態を有する重合物が液晶層中に存在することにより、上記強誘電性液晶の配列安定性を向上することができるため、本発明の液晶表示素子を耐熱性や耐衝撃性に優れたものにできるからである。
上記紫外線硬化性液晶モノマーが示す液晶相としては、特に限定されず、例えばネマティック相、SmA相、SmC相を挙げることができる。
本発明に用いられる上記紫外線硬化性液晶モノマーとしては、例えば、下記式に示す化合物を挙げることができる。
Figure 2009003358
Figure 2009003358
上記式において、A、B、D、EおよびFはベンゼン、シクロヘキサンまたはピリミジンを表し、これらはハロゲン等の置換基を有していてもよい。また、AおよびB、あるいはDおよびEは、アセチレン基、メチレン基、エステル基等の結合基を介して結合していてもよい。MおよびMは、水素原子、炭素数3〜9のアルキル基、炭素数3〜9のアルコキシカルボニル基、またはシアノ基のいずれであってもよい。さらに、分子鎖末端のアクリロイルオキシ基とAまたはDとは、炭素数3〜6のアルキレン基等のスペーサーを介して結合していてもよい。
上記式において、Yは、水素、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルケニル、炭素数1〜20のアルキルオキシ、炭素数1〜20のアルキルオキシカルボニル、ホルミル、炭素数1〜20のアルキルカルボニル、炭素数1〜20のアルキルカルボニルオキシ、ハロゲン、シアノまたはニトロを表す。
上記式で示される化合物のなかでも、本発明において好適に用いられる具体的な化合物としては、下記式の化合物を例示することができる。
Figure 2009003358
Figure 2009003358
Figure 2009003358
b.重合性モノマーの重合物
本発明に用いられる重合性モノマーの重合物は、単一の重合性モノマーの重合物であっても良く、また2以上の異なる重合性モノマーの重合物であっても良い。2以上の異なる重合性モノマーの重合物とする場合は、例えば、上記紫外線硬化性液晶モノマーと他の紫外線硬化性樹脂モノマーとの重合物を例示することができる。
重合性モノマーとして上記紫外線硬化性液晶モノマーを用いた場合、本発明に用いられる重合性モノマーの重合物としては、主鎖に液晶性を示す原子団を有することにより主鎖が液晶性を示す主鎖液晶型重合物であっても良く、また側鎖に液晶性を示す原子団を有することにより側鎖が液晶性を示す側鎖液晶型重合物であっても良い。なかでも本発明においては、側鎖液晶型重合物であることが好ましい。液晶性を示す原子団が側鎖に存在することにより当該原子団の自由度が高くなるため、液晶層において液晶性を示す原子団が配向しやすくなるからである。また、その結果として液晶層中の強誘電性液晶の配向安定性を向上することができるからである。
上記液晶層中における重合性モノマーの重合物の存在量は、上記強誘電性液晶の配列安定性を所望の程度にできる範囲内であれば特に限定されないが、通常、液晶層中に0.5質量%〜30質量%の範囲内が好ましく、特に1質量%〜20質量%の範囲内が好ましく、中でも1質量%〜10質量%の範囲内であることが好ましい。上記範囲よりも多いと、上記強誘電性液晶の駆動電圧の増加や、応答速度の低下を生じる場合があるからである。また、上記範囲よりも少ないと上記強誘電性液晶の配列安定性が不十分となり、本発明の液晶表示素子の耐熱性や耐衝撃性を損なってしまう可能性があるからである。
ここで、液晶層中における重合性モノマーの重合物の存在量は、液晶層中の単分子液晶を溶剤で洗い流した後、残存する重合性モノマーの重合物の重量を電子天秤で測量することによって求めた残存量と、上記液晶層の総質量とから算出することができる。
(3)液晶層
本態様に用いられる液晶層の厚みは、1.2μm〜3.0μmの範囲内であるのが好ましく、より好ましくは1.3μm〜2.5μm、さらに好ましくは1.4μm〜2.0μmの範囲内である。液晶層の厚みが薄すぎるとコントラストが低下するおそれがあり、逆に液晶層の厚みが厚すぎると強誘電性液晶が配向しにくくなる可能性があるからである。
4.液晶表示素子
本態様の液晶表示素子には、上記強誘電性液晶用基板、TFT電極側基板、および、液晶層以外の他の構成を有するものであっても良い。このような他の構成としては特に限定されるものではなく、一般的に液晶表示装置に用いられる構成を用いることができる。
また、上記強誘電性液晶用基板およびTFT電極側基板がともに、反応性液晶層が積層された配向層を有するものである場合、両者の反応性液晶層を構成する反応性液晶は互いに組成が異なるものであることが好ましい。上記強誘電性液晶用基板に用いられる上記反応性液晶と、上記TFT電極側基板に用いられる反応性液晶が、互いに異なる組成であることにより、ジグザグ欠陥、ヘアピン欠陥やダブルドメイン等の配向欠陥の発生を抑制し、強誘電性液晶を用いて単安定性の動作モードを実現することができるからである。
本態様の液晶表示素子は、アクティブマトリックス方式により駆動させることが好ましく、さらにカラーフィルター方式またはフィールドシーケンシャルカラー方式を採用することによりカラーの液晶表示素子とすることができる。
また、本発明においては、TFT基板側または共通電極基板側にマイクロカラーフィルタを配置することにより、カラー表示が可能であるが、強誘電性液晶の高速応答性を利用することにより、マイクロカラーフィルタを用いることなく、LED光源と組み合わせてフィールドシーケンシャルカラー方式によるカラー表示が可能になる。
また、上記強誘電性液晶が単安定性を示す場合、本発明の液晶表示素子は、基本的にはTFTを用いたアクティブマトリックス方式により駆動させるが、セグメント方式による駆動も可能である。
5.液晶表示素子の製造方法
次に、本態様の液晶表示素子の製造方法について説明する。本態様の液晶表示素子の製造方法としては、上記構成を有する液晶表示素子を作製することが可能な方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、後述する「D−1:第1態様の液晶表示素子の製造方法」の項において説明する方法を挙げることができる。
C−2:第2態様の液晶表示素子
次に、本発明の第2態様の液晶表示素子について説明する。本態様の液晶表示素子は、上記本発明に係る強誘電性液晶用TFT基板が形成されたものである。
すなわち本態様の液晶表示素子は、上記本発明に係る強誘電性液晶用TFT基板、および、基板と、上記基板上に形成された共通電極と、上記共通電極上に形成され、強誘電性液晶に対する配向規制力を有する対向配向層と、を有する対向基板が、上記配向層と上記対向配向層とが対向するように配置されており、かつ、上記強誘電性液晶用TFT基板および対向基板の間に強誘電性液晶を含有する液晶層が形成されていることを特徴とするものである。
このような本態様の液晶表示素子について図を参照しながら説明する。図13は、本態様の液晶表示素子の一例を示す概略図である。図13に例示するように、本態様の液晶表示素子60は、強誘電性液晶に対する配向規制力を有する配向層25が形成された構成を有する、本発明の強誘電性液晶用TFT基板20’と、対向基板50との間に、強誘電性液晶を含有する液晶層61が形成された構成を有するものである。
このような例において、上記対向基板50は、基板51と、上記基板51上に形成された共通電極52と、上記共通電極52に形成され、強誘電性液晶に対する配向規制力を有する対向配向層53と、を有するものである。
また図13に例示するように、本態様の液晶表示素子には、通常、上記液晶層を封止するためのシール材62が用いられる。
本態様によれば、上記本発明に係る強誘電性液晶用TFT基板が用いられていることにより、強誘電性液晶が用いられた液晶表示素子であって、短時間で製造可能であり、かつ、ムラの少ない液晶表示素子を得ることができる。
本態様の液晶表示素子は、少なくとも上記強誘電性液晶用TFT基板、対向基板および液晶層を有するものであり、必要に応じて他の構成を有しても良いものである。
以下、本態様の液晶表示装置に用いられる各構成について順に説明する。
1.強誘電性液晶用TFT基板
まず、本態様に用いられる強誘電性液晶用TFT基板について説明する。本態様に用いられる強誘電性液晶用TFT基板は、上記本発明に係る強誘電性液晶用TFT基板のうち、強誘電性液晶に対する配向規制力を有する配向層が形成された構成を有するものである。
本態様の液晶表示素子は、上記強誘電性液晶用TFT基板としてこのような構成を有する本発明の強誘電性液晶用TFT基板が用いられていることにより、短時間で製造可能であり、かつ、表示ムラの少ない強誘電性液晶が用いられた液晶表示素子を得ることができるのである。
ここで、本態様に用いられる強誘電性液晶用TFT基板については、上記「A.強誘電性液晶用基板」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
2.対向基板
次に、本態様に用いられる対向基板について説明する。本態様に用いられる対向基板は基板と、上記基板上に形成された共通電極と、上記共通電極上に形成され、強誘電性液晶に対する配向規制力を有する対向配向層と、を有するものである。
ここで、本態様に用いられる対向基板に用いられる上記基板、共通電極および対向配向層については、本発明に係る強誘電性液晶用基板に用いられる基板、共通電極および配向層として、上記「A.強誘電性液晶用基板」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本態様に用いられる対向基板は、上記基板、共通電極および対向配向層以外に他の構成を有するものであっても良い。このような他の構成としては、本態様の液晶表示素子に求める機能に応じて、所望の機能を有する構成を用いることができる。なかでも上記対向基板に好適に用いられる上記他の構成としては、上記基板と上記共通電極との間に形成され、複数の着色層を備えるカラーフィルター層を挙げることができる。このようなカラーフィルター層が形成されていることにより、本態様の液晶表示素子をカラーフィルター方式によるカラー表示に適したものにすることができる。
本態様に用いられる対向基板が、上記カラーフィルター層を有する態様について図を参照しながら説明する。図14は上記カラーフィルター層を有する対向基板が用いられた液晶表示素子の一例を示す概略図である。図14に例示するように、本態様の液晶表示素子は60’、対向基板50’として基板51と共通電極52との間に、複数の着色層を有するカラーフィルター層54が形成されたものであっても良い。
なお、本態様に用いられる上記カラーフィルター層としては、上記「A.強誘電性液晶用基板」の甲において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
3.液晶層
次に、本態様に用いられる液晶層について説明する。本態様に用いられる液晶層は強誘電性液晶を含有するものである。
ここで、本態様に用いられる液晶層については、上記「C−1:第1態様の液晶表示素子」の甲において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
4.液晶表示素子
本態様の液晶表示素子には、上記強誘電性液晶用TFT基板、対向基板、および、液晶層以外の他の構成を有するものであっても良い。このような他の構成としては特に限定されるものではなく、一般的に液晶表示装置に用いられる構成を用いることができる。
また、上記強誘電性液晶用TFT基板および対向基板がともに、反応性液晶層が積層された配向層を有するものである場合、両者の反応性液晶層を構成する反応性液晶は組成が互いに異なるものであることが好ましい。上記強誘電性液晶用基板に用いられる上記反応性液晶と、上記TFT電極側基板に用いられる反応性液晶が、互いに異なる組成であることにより、ジグザグ欠陥、ヘアピン欠陥やダブルドメイン等の配向欠陥の発生を抑制し、強誘電性液晶を用いて単安定性の動作モードを実現することができるからである。
本態様の液晶表示素子は、アクティブマトリックス方式により駆動させることが好ましく、さらにカラーフィルター方式またはフィールドシーケンシャルカラー方式を採用することによりカラーの液晶表示素子とすることができる。
また、本発明においては、TFT基板側または共通電極基板側にマイクロカラーフィルタを配置することにより、カラー表示が可能であるが、強誘電性液晶の高速応答性を利用することにより、マイクロカラーフィルタを用いることなく、LED光源と組み合わせてフィールドシーケンシャルカラー方式によるカラー表示が可能になる。
また、上記強誘電性液晶が単安定性を示す場合、本発明の液晶表示素子は、基本的にはTFTを用いたアクティブマトリックス方式により駆動させるが、セグメント方式による駆動も可能である。
5.液晶表示素子の製造方法
次に、本態様の液晶表示素子の製造方法について説明する。本態様の液晶表示素子の製造方法としては、上記構成を有する液晶表示素子を作製することが可能な方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、後述する「D−2:第2態様の液晶表示素子の製造方法」の項において説明する方法を挙げることができる。
D.液晶表示素子の製造方法
次に、本発明の液晶表示素子の製造方法について説明する。ここで、本発明の液晶表示素子の製造方法は、上記本発明に係る強誘電性液晶用基板を用いる態様(第1態様)と、上記本発明に係る強誘電性液晶用TFT基板を用いる態様(第2態様)とに分けることができる。したがって、以下、各態様に分けて本発明の液晶表示素子の製造方法について順に説明する。
D−1:第1態様の液晶表示素子の製造方法
まず、本発明の第1態様の液晶表示素子の製造方法について説明する。本態様の液晶表示素子の製造方法は、上記本発明に係る強誘電性液晶用基板を用いるものである。
すなわち、本態様の液晶表示素子の製造方法は、上記本発明に係る強誘電性液晶用基板、および、基板と、上記基板上に形成され、複数のTFT電極および上記TFT電極に接続された画素電極を有するTFT電極層と、上記TFT電極層上に形成され、強誘電性液晶に対する配向規制力を有する対向配向層と、を有するTFT電極側基板を用い、上記強誘電性液晶用基板の上記スペーサー部間に強誘電性液晶を滴下することにより、強誘電性液晶を充填する液晶充填工程と、上記強誘電性液晶が充填された強誘電性液晶用基板と、上記TFT電極側基板とを減圧雰囲気下において貼り合わせる基板貼り合わせ工程と、上記強誘電性液晶を配列させる液晶配列工程と、を有することを特徴とするものである。
このような本態様の液晶表示素子の製造方法について図を参照しながら説明する。図15は本態様の液晶表示素子の製造方法の一例を示す概略図である。図15に例示するように、本態様の液晶表示素子の製造方法は、配向層6が形成された態様の本発明に係る強誘電性液晶用基板10’’、および、基板31と、上記基板31上に形成され、複数のTFT電極32aおよび上記TFT電極32aに接続された画素電極32bを有するTFT電極層32と、上記TFT電極層32上に形成され、強誘電性液晶に対する配向規制力を有する対向配向層33と、を有するTFT電極側基板30を用い(図15(a))、上記強誘電性液晶用基板10’’の上記スペーサー部3間に強誘電性液晶41’を滴下することにより、上記スペーサー部3間に強誘電性液晶41’を充填する液晶充填工程と(図15(b))、上記強誘電性液晶41’が充填された強誘電性液晶用基板10’’と、上記TFT電極側基板32とを減圧雰囲気下において貼り合わせる基板貼り合わせ工程と(図15(c))、上記強誘電性液晶41’を配列させる液晶配列工程と、により液晶表示素子40を製造するものである(図15(d))。
なお、図15に例示するように本態様の液晶表示素子の製造方法においては、通常、上記液晶充填工程においてシール剤42が用いられる。
本態様の液晶表示素子の製造方法によれば、上記本発明に係る強誘電性液晶用基板が用いられていることにより、短時間で、ムラの少ない液晶表示素子を製造することができる。
本態様の液晶表示素子の製造方法は、少なくとも上記液晶充填工程と、上記基板貼り合わせ工程と、上記液晶配列工程とを有するものである。
以下、本態様の液晶表示素子の製造方法に用いられる各工程について順に説明する。
1.液晶充填工程
まず、上記液晶充填工程について説明する。上記本発明に係る強誘電性液晶用基板、および、基板と、上記基板上に形成され、複数のTFT電極および上記TFT電極に接続された画素電極を有するTFT電極層と、上記TFT電極層上に形成され、強誘電性液晶に対する配向規制力を有する対向配向層と、を有するTFT電極側基板を用い、上記強誘電性液晶用基板の上記スペーサー部間に強誘電性液晶を滴下することにより、強誘電性液晶を充填する工程である。
本工程に用いられる強誘電性液晶用基板は、上記本発明に係る液晶表示素子用基板のうち、強誘電性液晶に対して配向規制力を有する配向層が用いられた態様のものである。このような強誘電性液晶用基板については、上記「A.強誘電性液晶用基板」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本工程に用いられるTFT電極側基板についても、上記「C−1:第1態様の液晶表示素子の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本工程において、上記スペーサー部間に強誘電性液晶を滴下する方法としては、各スペーサー部間に所定量の強誘電性液晶を滴下できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、インクジェットヘッドを用いて上記強誘電性液晶を滴下するインクジェット法、ディスペンサーを用いて上記強誘電性液晶を滴下するディスペンサー法等の一般的にODF方式等によって液晶を滴下する際に用いられている方法を用いることができる。なかでも本態様においては、インクジェット法を用いることが好ましい。インクジェット法を用いることによって、本態様の液晶表示素子の製造方法を用いて、さらにムラの少ない液晶表示素子を製造することができるからである。
なお、本工程に用いられるインクジェット法については、一般的にODF方式等によって液晶を滴下する際に用いられる方法と同様であるため、ここでの詳しい説明は省略する。
また、本工程に用いられる強誘電性液晶については、上記「C−1:第1態様の液晶表示素子」の項において説明したものと同様のものを用いることができるため、ここでの説明は省略する。
(2)基板貼り合わせ工程
次に、本態様に用いられる基板貼り合わせ工程について説明する。本工程は、上記液晶充填工程により、強誘電性液晶が充填された強誘電性液晶用基板と、上記TFT電極基板とを減圧雰囲気下において貼り合わせる工程である。
本工程において上記強誘電性液晶用基板と、上記TFT電極側基板とを貼り合わせる方法としては、所定の減圧条件下において上記基板を貼り合わせることができる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的に液晶表示装置の製造する際に、基板を貼り合わせる方法として公知の方法を用いることができる。
本工程においては、上記強誘電性液晶用基板と、上記TFT電極側基板と減圧雰囲気下において貼り合わせるが、このときの減圧の程度としては、上記強誘電性液晶用基板と、上記TFT電極側基板とを貼り合わせた後に、両基板の間に気泡が封入されない程度であれば特に限定されるものではない。なかでも本工程においては、上記減圧の程度が0.00001Torr〜100Torrの範囲内であることが好ましく、特に0.001Torr〜50Torrの範囲内であることが好ましく、さらには0.05Torr〜10Torrの範囲内であることが好ましい。上記減圧の程度が上記範囲よりも低いと、強誘電性液晶が揮発してしまう虞があるからである。また、上記範囲よりも高いと、上記強誘電性液晶用基板と、上記TFT電極側基板とを貼り合わせた後に、両基板の間に気泡が封入されてしまう可能性があるからである。
(3)液晶配列工程
次に、上記液晶配列工程について説明する。本工程は、上記基板貼り合わせ工程により上記強誘電性液晶用基板と、上記TFT電極側基板との間に封入された強誘電性液晶を配列させる工程である。
より具体的には、上記強誘電性液晶はカイラルスメクチックC相の状態で液晶表示素子のスイッチング機能を果たすものであるため、本工程は上記強誘電性液晶をカイラルスメクチックC相に状態にする工程ということができる。
本工程において、上記強誘電性液晶を配列させる方法としては、上記強誘電性液晶をカイラルスメクチックC相の状態にできる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、通常、上記強誘電性液晶をカイラルスメクチックC相からネマチック相または等方相への転移温度以上に加温し、封入された強誘電性液晶を冷却することによりカイラルスメクチックC相とする方法が用いられる。
D−2:第2態様の液晶表示素子の製造方法
次に、本発明の第2態様の液晶表示素子の製造方法について説明する。本態様の液晶表示素子の製造方法は、上記本発明に係る強誘電性液晶用TFT基板を用いるものである。
すなわち、本態様の液晶表示素子の製造方法は、上記本発明に係る強誘電性液晶用TFT基板、および、基板と、上記基板上に形成された共通電極と、上記共通電極上に形成され、強誘電性液晶に対する配向規制力を有する対向配向層と、を有する対向基板を用い、上記強誘電性液晶用TFT基板の上記スペーサー部間に強誘電性液晶を滴下することにより、強誘電性液晶を充填する液晶充填工程と、上記強誘電性液晶が充填された強誘電性液晶用TFT基板と、上記対向基板とを減圧雰囲気下において貼り合わせる基板貼り合わせ工程と、上記強誘電性液晶を配列させる液晶配列工程と、を有することを特徴とするものである。
このような本態様の液晶表示素子の製造方法について図を参照しながら説明する。図16は本態様の液晶表示素子の製造方法の一例を示す概略図である。図16に例示するように、本態様の液晶表示素子の製造方法は、配向層25が形成された態様の本発明に係る強誘電性液晶用TFT基板20’、および、基板51と、上記基板51上に形成されたカラーフィルター層54と、上記カラーフィルター層54上に形成された共通電極52と、上記共通電極52上に形成され、強誘電性液晶に対する配向規制力を有する対向配向層53と、を有する対向基板50’を用い(図16(a))、上記強誘電性液晶用TFT基板20’の上記スペーサー部23間に強誘電性液晶61’を滴下することにより、上記スペーサー部23間に強誘電性液晶61’を充填する液晶充填工程と(図16(b))、上記強誘電性液晶61’が充填された強誘電性液晶用TFT基板20’と、上記対向基板50’とを減圧雰囲気下において貼り合わせる基板貼り合わせ工程と(図16(c))、上記強誘電性液晶61’を配列させる液晶配列工程と、により液晶表示素子60’を製造するものである(図16(d))。
なお、図16に例示するように本態様の液晶表示素子の製造方法においては、通常、上記液晶充填工程においてシール剤62が用いられる。
本態様の液晶表示素子の製造方法によれば、上記本発明に係る強誘電性液晶用TFT基板が用いられていることにより、短時間で、ムラの少ない液晶表示素子を製造することができる。
本態様の液晶表示素子の製造方法は、少なくとも上記液晶充填工程と、上記基板貼り合わせ工程と、上記液晶配列工程とを有するものである。
以下、本態様の液晶表示素子の製造方法に用いられる各工程について順に説明する。
1.液晶充填工程
まず、上記液晶充填工程について説明する。上記本発明に係る強誘電性液晶用TFT基板、および、基板と、上記基板上に形成された共通電極と、上記共通電極上に形成され、強誘電性液晶に対する配向規制力を有する対向配向層と、を有する対向基板を用い、上記強誘電性液晶用TFT基板の上記スペーサー部間に強誘電性液晶を滴下することにより、強誘電性液晶を充填する工程である。
本工程に用いられる強誘電性液晶用TFT基板は、上記本発明に係る液晶表示素子用TFT基板のうち、強誘電性液晶に対して配向規制力を有する配向層が用いられた態様のものである。このような強誘電性液晶用基板については、上記「B.強誘電性液晶用TFT基板」の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
また、本工程に用いられる対抗基板についても、上記「C−2:第2態様の液晶表示素子の項において説明したものと同様であるため、ここでの説明は省略する。
本工程において、上記スペーサー部間に強誘電性液晶を滴下する方法としては、各スペーサー部間に所定量の強誘電性液晶を滴下できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、インクジェットヘッドを用いて上記強誘電性液晶を滴下するインクジェット法、ディスペンサーを用いて上記強誘電性液晶を滴下するディスペンサー法等の一般的にODF方式等によって液晶を滴下する際に用いられている方法を用いることができる。なかでも本態様においては、インクジェット法を用いることが好ましい。インクジェット法を用いることによって、本態様の液晶表示素子の製造方法を用いて、さらにムラの少ない液晶表示素子を製造することができるからである。
なお、本工程に用いられるインクジェット法については、一般的にODF方式等によって液晶を滴下する際に用いられる方法と同様であるため、ここでの詳しい説明は省略する。
また、本工程に用いられる強誘電性液晶については、上記「C−2:第2態様の液晶表示素子」の項において説明したものと同様のものを用いることができるため、ここでの説明は省略する。
(2)基板貼り合わせ工程
次に、本態様に用いられる基板貼り合わせ工程について説明する。本工程は、上記液晶充填工程により、強誘電性液晶が充填された強誘電性液晶用TFT基板と、上記対向基板とを減圧雰囲気下において貼り合わせる工程である。
ここで、本工程において上記強誘電性液晶用TFT基板と、上記対向基板とを貼り合わせる方法については、上記「D−1:第1態様の液晶表示素子の製造方法」の項において説明した方法と同様であるため、ここでの説明は省略する。
(3)液晶配列工程
次に、上記液晶配列工程について説明する。本工程は、上記基板貼り合わせ工程により上記強誘電性液晶用TFT基板と、上記対向基板との間に封入された強誘電性液晶を配列させる工程である。
より具体的には、上記強誘電性液晶はカイラルスメクチックC相の状態で液晶表示素子のスイッチング機能を果たすものであるため、本工程は上記強誘電性液晶をカイラルスメクチックC相に状態にする工程ということができる。
ここで、本工程において、上記強誘電性液晶を配列させる方法としては、上記「D−1:第1態様の液晶表示素子の製造方法」の項において説明した方法と同様であるため、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を示すことにより、本発明をより具体的に説明する。
1.実施例1
(強誘電性液晶用TFT基板の作製)
TFT電極層が形成されたガラス基板をよく洗浄し、このガラス基板上に透明レジスト(商品名:NN780 JSR社製)をスピンコートして、減圧乾燥し、90℃で3分間プリベークを行った。次いで、100mJ/cmの紫外線でマスク露光し、無機アルカリ溶液で現像を行い、230℃で30分間ポストベークを行った。これにより、TFT電極層の非画素領域上に図17に示されるパターン状の高さ1.5μmの切り欠き部があるスペーサー部を形成した。次に、上記スペーサー部を覆うように、光二量化反応型の光配向膜材料(商品名:ROP-102、ロリックテクノロジー社製)の2質量%シクロペンタノン溶液をスピンコートし、130℃で10分間乾燥した後、直線偏光紫外線を約100mJ/cm照射し、配向処理を行った。
(対向基板の作製)
ITO電極が形成されたガラス基板をよく洗浄し、このガラス基板上に、光二量化反応型の光配向膜材料(商品名:ROP-103、ロリックテクノロジー社製)の2質量%シクロペンタノン溶液をスピンコートし、130℃で10分間乾燥した後、直線紫外線偏光を約100mJ/cm照射し、配向処理を行った。
(液晶表示素子の作製)
次に、真空チャンバー内に配置したホットプレートを100℃に加熱して、このホットプレート上に作製した強誘電性液晶用TFT基板を配置し、100℃に加熱したインクジェットヘッドを用いて、強誘電性液晶(商品名:R2301、AZエレクトロニックマテリアルズ社製)を塗布した。液晶は隔壁の間に塗布され、その形状は連点状であった。
次に、作製した対向基板を、吸着プレートで吸着し、強誘電性液晶用TFT基板および対向基板をそれぞれの配向処理方向が平行になるように対向させた。そして、真空チャンバー内が10Torrになるように排気を行った状態で、両基板を密着させ、一定の圧力をかけた後、真空チャンバー内を常圧に戻した。その後、強誘電性液晶を室温まで徐冷することにより、液晶表示素子を作製した。
(評価)
作製した液晶表示素子について偏光顕微鏡で強誘電性液晶の配向状態を観察したところ、表示領域全体で均一なモノドメイン配向が得られた。
2.比較例1
切り欠き部のないスペーサー部を形成したこと意外は実施例1と同様の方法により液晶表示素子を作製した。
作製した液晶表示素子では、隔壁ごとに液晶のバラつきがあり液晶量の多い箇所で配向乱れが観察された。
3.実施例2
(強誘電性液晶用基板の作製)
カラーフィルター層が形成されたガラス基板をよく洗浄し、このガラス基板上に透明レジスト(商品名:NN780、JSR社製)をスピンコートして、減圧乾燥し、90℃で3分間プリベークを行った。次いで、100mJ/cmの紫外線でマスク露光し、無機アルカリ溶液で現像を行い、230℃で30分間ポストベークを行った。これにより、カラーフィルター層の非画素領域上に図17に示されるパターン状の高さ1.5μmの切り欠き部があるスペーサー部を形成した。次に、上記スペーサー部を覆うように光二量化反応型の光配向膜材料(商品名:ROP-102、ロリックテクノロジー社製)の2質量%シクロペンタノン溶液をスピンコートし、130℃で10分間乾燥した後、直線偏光紫外線を約100mJ/cm照射し、配向処理を行った。
(TFT電極側基板の作製)
TFT電極層が形成されたガラス基板をよく洗浄し、このガラス基板上に、光二量化反応型の光配向膜材料(商品名:ROP-103、ロリックテクノロジー社製)の2質量%シクロペンタノン溶液をスピンコートし、130℃で10分間乾燥した後、直線紫外線偏光を約100mJ/cm照射し、配向処理を行った。
(液晶表示素子の作製)
次に、真空チャンバー内に配置したホットプレートを100℃に加熱して、このホット
プレート上に作製した強誘電性液晶用基板を配置し、100℃に加熱したインクジェットヘッドを用いて、強誘電性液晶(商品名:R2301、AZエレクトロニックマテリアルズ社製)を塗布した。液晶は隔壁の間に塗布され、その形状は連点状であった。
次に、作製したTFT電極側基板を、吸着プレートで吸着し、TFT電極側基板および強誘電性液晶用基板をそれぞれの配向処理方向が平行になるように対向させた。そして、真空チャンバー内が10Torrになるように排気を行った状態で、両基板を密着させ、一定の圧力をかけた後、真空チャンバー内を常圧に戻した。その後、強誘電性液晶を室温まで徐冷することにより、液晶表示素子を作製した。
(評価)
作製した液晶表示素子について偏光顕微鏡で強誘電性液晶の配向状態を観察したところ、表示領域全体で均一なモノドメイン配向が得られた。
4.比較例2
切り欠き部のないスペーサー部を形成したこと意外は実施例2と同様の方法により液晶表示素子を作製した。
作製した液晶表示素子では、隔壁ごとに液晶のバラつきがあり液晶量の多い箇所で配向乱れが観察された。
本発明の強誘電性液晶用基板の一例を示す概略図である。 本発明の強誘電性液晶用基板におけるスペーサー部の形成比率を説明する概略図である。 本発明の強誘電性液晶用基板の他の例を示す概略図である。 本発明の強誘電性液晶用基板の他の例を示す概略図である。 本発明の強誘電性液晶用基板の他の例を示す概略図である。 本発明の強誘電性液晶用基板の他の例を示す概略図である。 本発明の強誘電性液晶用基板の他の例を示す概略図である。 本発明の強誘電性液晶用TFT基板の一例を示す概略図である。 本発明の強誘電性液晶用TFT基板に用いられるTFT電極層の一例を示す概略図である。 本発明の強誘電性液晶用TFT基板の他の例を示す概略図である。 本発明の第1態様の液晶表示素子の一例を示す概略図である。 本発明に用いられる強誘電性液晶の単安定性について説明する概略図である。 本発明の第2態様の液晶表示素子の一例を示す概略図である。 本発明の第2態様の液晶表示素子の他の例を示す概略図である。 本発明の第1態様の液晶表示素子の製造方法の一例を示す概略図である。 本発明の第2態様の液晶表示素子の製造方法の一例を示す概略図である。 本発明におけるスペーサー部の形成態様の一例を示す概略図である。 強誘電性液晶の印加電圧に対する透過率の変化を示したグラフである。 強誘電性液晶の有する相系列の相違による配向欠陥の違いを示した図である。 ODF方式の一例を説明する概略図である。
符号の説明
1 … 基板
2 … 共通電極
3、3’ … スペーサー部
4 … 切り欠き部
5 … カラーフィルター層
5a、5a’、5a’’、5a’’’ … 着色層
5b … オーバーコート層
5c … 遮蔽部
6 … 配向層
7 … 流入防止部
10、10’、10’’ … 強誘電性液晶用基板
20、20’ … 強誘電性液晶用TFT基板
21 … 基板
22 … TFT電極層
22a … TFT電極
22b … 画素電極
22c … 保護層
22A … ゲート電極
22B … ゲート絶縁膜
22C … 半導体層
22D … ソース電極
22E … ドレイン電極
23 … スペーサー部
24 … 切り欠き部
25 … 配向層
30 … TFT電極側基板
31 … 基板
32 … TFT電極層
32a … TFT電極
32b … 画素電極
33 … 配向層
40 … 液晶表示素子
41 … 液晶層
41’ … 強誘電性液晶
42 … シール材
50、50’ … 対向基板
51 … 基板
52 … 共通電極
53 … 配向層
54 … カラーフィルター層
60、60’ … 液晶表示素子
61 … 液晶層
61’ … 強誘電性液晶
62 … シール剤

Claims (10)

  1. 基板と、前記基板上に形成された共通電極と、前記共通電極上にストライプ状に形成された複数のスペーサー部と、を有する強誘電性液晶用基板であって、
    前記スペーサー部に強誘電性液晶が流通可能な切り欠き部が形成されていることを特徴とする、強誘電性液晶用基板。
  2. 前記基板と、前記共通電極との間に複数の着色層を有するカラーフィルター層が形成されており、前記スペーサー部が前記共通電極上であり、かつ、前記着色層の境界上に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の強誘電性液晶用基板。
  3. 前記スペーサー部および前記共通電極上に、強誘電性液晶に対して配向規制力を有する配向層が形成されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の強誘電性液晶用基板。
  4. 請求項3に記載の強誘電性液晶用基板、および、基板と、前記基板上に形成され、複数のTFT電極および前記TFT電極に接続された画素電極を有するTFT電極層と、前記TFT電極層上に形成され、強誘電性液晶に対する配向規制力を有する対向配向層と、を有するTFT電極側基板が、前記配向層と前記対向配向層とが対向するように配置されており、かつ、前記強誘電性液晶用基板および前記TFT電極側基板の間に強誘電性液晶を含有する液晶層が形成されていることを特徴とする、液晶表示素子。
  5. 基板と、前記基板上に形成され、複数のTFT電極および前記TFT電極に接続された画素電極を有するTFT電極層と、前記画素電極の境界上にストライプ状に形成された複数のスペーサー部と、を有する強誘電性液晶用TFT基板であって、
    前記スペーサー部に強誘電性液晶が流通可能な切り欠き部が形成されていることを特徴とする、強誘電性液晶用TFT基板。
  6. 前記スペーサー部および前記TFT電極層上に、強誘電性液晶に対して配向規制力を有する配向層が形成されていることを特徴とする、請求項5に記載の強誘電性液晶用TFT基板。
  7. 請求項6に記載の強誘電性液晶用TFT基板、および、基板と、前記基板上に形成された共通電極と、前記共通電極上に形成され、強誘電性液晶に対する配向規制力を有する対向配向層と、を有する対向基板が、前記配向層と前記対向配向層とが対向するように配置されており、かつ、前記強誘電性液晶用TFT基板および対向基板の間に強誘電性液晶を含有する液晶層が形成されていることを特徴とする、液晶表示素子。
  8. 請求項3に記載の強誘電性液晶用基板、および、基板と、前記基板上に形成され、複数のTFT電極および前記TFT電極に接続された画素電極を有するTFT電極層と、前記TFT電極層上に形成され、強誘電性液晶に対する配向規制力を有する対向配向層と、を有するTFT電極側基板を用い、
    前記強誘電性液晶用基板の前記スペーサー部間に強誘電性液晶を滴下することにより、強誘電性液晶を充填する液晶充填工程と、
    前記強誘電性液晶が充填された強誘電性液晶用基板と、前記TFT電極側基板とを減圧雰囲気下において貼り合わせる基板貼り合わせ工程と、
    前記強誘電性液晶を配列させる液晶配列工程と、を有することを特徴とする、液晶表示素子の製造方法。
  9. 請求項6に記載の強誘電性液晶用TFT基板、および、基板と、前記基板上に形成された共通電極と、前記共通電極上に形成され、強誘電性液晶に対する配向規制力を有する対向配向層と、を有する対向基板を用い、
    前記強誘電性液晶用TFT基板の上記スペーサー部間に強誘電性液晶を滴下することにより、強誘電性液晶を充填する液晶充填工程と、
    前記強誘電性液晶が充填された強誘電性液晶用TFT基板と、前記対向基板とを減圧雰囲気下において貼り合わせる基板貼り合わせ工程と、
    前記強誘電性液晶を配列させる液晶配列工程と、を有することを特徴とする、液晶表示素子の製造方法。
  10. 前記液晶充填工程が、インクジェット法により前記強誘電性液晶を滴下するものであることを特徴とする、請求項8または請求項9に記載の液晶表示素子の製造方法。
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WO2022193692A1 (zh) * 2021-03-15 2022-09-22 京东方科技集团股份有限公司 显示面板与显示装置

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