JP2008544980A - インスリン抵抗性及び2型糖尿病の予防のためのプロテインキナーゼc阻害剤 - Google Patents

インスリン抵抗性及び2型糖尿病の予防のためのプロテインキナーゼc阻害剤 Download PDF

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Abstract

本発明は、プロテインキナーゼC活性を阻害することができるペプチド及びペプチド類似体を提供する。本発明は、医薬組成物の調製のためのこのようなペプチド及び類似体の使用、並びにこのような組成物を使用した2型糖尿病の予防、遅延、抑制又は治療方法を開示する。

Description

本発明は、治療用ペプチド、ペプチド類似体及びペプチド模倣体に関し、プロテインキナーゼCの阻害により2型糖尿病、インスリン抵抗性及び他の状態を予防、遅延、抑制又は治療するのに有用な方法に関する。
プロテインキナーゼC
プロテインキナーゼC(PKC)は、細胞増殖、分化、及び他の応答において重要な、広く分布しているシグナル伝達タンパク質のファミリーに属する。PKCは、セリン/スレオニンキナーゼとして機能する密接に関連した酵素ファミリーで構成される。PKCは、ホスホリパーゼCの刺激を介して、増殖因子、ホルモン、及び他の外部メッセンジャーによって活性化され、セカンドメッセンジャーであるイノシトール三リン酸及びジアシルグリセロールの生成に関与している。
現在のところ、組織分布、酵素特異性、及び調節が異なる少なくとも11種類の公知のPKCのアイソザイムがある(Nishizuka Y.Annu.Rev.Biochem.1989,58:31〜44;Nishizuka Y.Science1992,258:607〜614)。PKCは、ジアシルグリセロール(DAG)による活性化に感受性であるグループに属する。DAGは、トリグリセリド(TG)の代謝回転上昇の産物であり、組織のTG含量の上昇と関連し、インスリン抵抗性の個体の筋肉内に顕著である。DAG感受性によって、PKCアイソエンザイムのいくつかは、「脂質セカンドメッセンジャー」と称されてきた。各々のPKCアイソエンザイムの特異的機能は、まだしっかり確立されていないが、セリン及びスレオニン残基を優先的にリン酸化することが知られている。PKCα、PKC−ε及びPKCθなどのいくつかのPKCアイソエンザイムは、動物及びヒトの両方において、チロシンリン酸化及びインスリンシグナル伝達に対して抑制的であるセリンリン酸化によるインスリン抵抗性に関連していることが示されてきた。
プロテインキナーゼCアイソザイムは、長さが592から737個の範囲のアミノ酸の一本鎖ポリペプチドである。アイソザイムは、リンカーペプチドによって連結された調節ドメイン及び触媒ドメインを含有する。調節ドメイン及び触媒ドメインは、定常領域と可変領域にさらに分けることができる。プロテインキナーゼCの触媒ドメインは、他のプロテインキナーゼにみられるものと非常に似ているが、調節ドメインは、PKCアイソザイムに特有である。PKCアイソザイムは、グループ間でアミノ酸レベルにおいて40〜80%の相同性を示す。しかし、異なる種間の単一アイソザイムの相同性は一般に97%超である。
プロテインキナーゼCアイソザイムα、β−l、β−2及びγは、完全に活性化するために膜リン脂質、カルシウム、及びジアシルグリセロール/ホルボールエステルを必要とする。PKCのδ、ε、η、及びθ型はその活性化様式においてカルシウム非依存性である。PKCのζ及びλ型はカルシウムとジアシルグリセロールの両者に非依存性であり、その活性化には膜リン脂質のみが必要であると考えられている。
プロテインキナーゼCアイソザイムの遍在性とその生理学的に重要な役割によって、高い選択性を有するPKC阻害剤を生産するという動機が与えられる。特定のアイソザイムと病態との関連を示す証拠があれば、他のPKCアイソザイム及び他のプロテインキナーゼに比べて、1又は2つのプロテインキナーゼCアイソザイムを選択的に阻害する化合物が優れた治療剤であると考えるのは妥当である。このような化合物は、その特異性によってより優れた効能とより低い毒性を示す。
PKCの慢性的な活性化は、異常な細胞増殖及び腫瘍形成をもたらす。腫瘍形成能の上昇は、ヌードマウスに接種した培養細胞中のPKCの過剰発現とも関連がある。PKCの突然変異型は、転移能の亢進を伴う極めて悪性の腫瘍細胞を誘導する。スフィンゴシン及び関連するPKC活性阻害剤は、in vivoにおいて腫瘍細胞増殖及び放射線誘発形質転換を阻害することが示されている(Borekらによる1991,Proc.Natl.Acad.Sci.,88,1953〜1957)。いくつかの実験的に又は臨床的に有用な抗癌剤はPKCに対して調節的効果を示す。したがって、PKCの阻害剤は重要な癌の予防又は治療剤であろう。
又実験によって、PKCが乾癬及び皮膚癌などの過増殖性皮膚疾患の病理生理学において重要な役割を果たしていることが示されている。
糖尿病
真性糖尿病は、最も一般的な内分泌障害であり、慢性的な状態である。1999年に糖尿病を有する人々が世界に1億人おり、2009年までには世界中の糖尿病患者の数は3億人に達することが予想されると推定されている。糖尿病性網膜症は、盲目の主要原因であり、糖尿病の他の合併症には、腎疾患、足の障害及び神経障害の状態が挙げられる。
糖尿病には、各々が異なる病原を有する2種類の臨床型、すなわち、1型であるインスリン依存性真性糖尿病(IDDM)、及び2型であるインスリン非依存性真性糖尿病(NIDDM)がある。真性糖尿病の主要な形態のうち、2型糖尿病の症例は、約10対1の割合で1型糖尿病の症例数を上回る。2型糖尿病においては、インスリンの機能的有効性に対する細胞の抵抗性によって、インスリン分泌が正常な水準を超えた状態となる。このインスリン産生の代償的な増加を維持することができない場合、及び/又は細胞のインスリン抵抗性がさらに上昇した場合、血糖が上昇し、脂質及びタンパク質代謝が乱され、長期に亘る糖尿病の血管合併症の潜行性の過程が始まる。
全てのタイプの糖尿病患者において、微小血管病変(網膜症、ニューロパシー、ネフロパシー)及び大血管病変(心臓発作、脳卒中、末梢血管疾患)からかなりの罹患率と死亡率となり、これら全ては莫大な費用が伴う。例えば、a)増殖網膜症及び/又は黄斑浮腫が、2型糖尿病を有する患者の約50%で起こり、末梢性及び/又は自律性ニューロパシーも同様である。b)糖尿病性腎症の発病率は、民族により10%〜50%である。c)糖尿病患者が心臓発作、脳卒中及び末梢血管疾患に罹患するのは、非糖尿病患者における割合の約3倍である。糖尿病及びその合併症を治療する費用は、年間1000億ドルを超える。このような恐ろしいデータに加えて、(もたらされた患者の約50%において2型糖尿病への前兆である)インスリン抵抗性は、その関連する高血圧症、凝固障害、異脂肪血症及び肥満症と共に、このような罹患率、死亡率及び費用の統計データを大幅に増大させる。
1型又はインスリン依存性真性糖尿病(IDDM)において、膵臓のB細胞が、したがってインスリンを作る能力が、恐らく自己免疫疾患によって破壊される。インスリン置換が好ましい療法である。
インスリン抵抗性及び2型糖尿病
インスリン抵抗性及びインスリン非依存性糖尿病は、サブセットの年齢及び性質によって人口の35%までに蔓延している。米国のみにおいても、1600万人の人々が2型糖尿病を有し、1300万人が耐糖能異常を有する。実際、2型糖尿病は世界中で流行伝染病のような勢いとなってきた。以前とは違う不健康な食事を取っている高齢化して益々座ることの多い肥満人口により、インスリン抵抗性も憂慮すべきほどに増加している(これはすでに2型糖尿病より2〜3倍蔓延している)。インスリン抵抗性及び2型糖尿病の罹患率のこの明らかな増加は、全ての民族集団に起こっているが、特に生まれた国から世界のより都会的で西洋化した地域に移住した人々において起こっている。
インスリン抵抗性は、2型糖尿病以外に、肥満症、高血圧症、及び心血管疾患などのいくつかの病態と関連している。インスリン抵抗性に加えて、2型糖尿病は、正常から高いインスリン濃度、高血糖、超低密度リポタンパク質(VLDL)濃度の上昇、及びグルコースの筋肉への取込みの減少と関連している。2型糖尿病は、高トリグリセリド血症と関連する場合が多い。2型糖尿病患者は、神経、目、腎臓、及び冠動脈の疾患を含めた1型糖尿病と関連する同じ合併症の多くを発症する傾向がある。
科学的な証拠の増加は、2型糖尿病が2つの要素の組合せに起因することを示唆している。1)遺伝性、遺伝要素と、獲得要素である。2型糖尿病の遺伝要素は、「前糖尿病」状態と称される疾患の第一段階に関与している。前糖尿病状態は、高インスリン血症及び「原発性」インスリン抵抗性に特徴付けられる。前糖尿病状態におけるインスリン応答性は、正常な耐糖能又は少なくとも損なわれた耐糖能を維持するのに十分である。
高血糖症がインスリン抵抗性を誘導する正確な機序は解明されていない。しかし、インスリン抵抗性は少なくとも部分的に正常なインスリン受容体機能の阻害が原因であることが、いくつもの観察により示唆されてきた。第一に、高血糖性の2型糖尿病状態は、インスリン受容体自己リン酸化、(チロシンキナーゼを含めた)インスリン受容体介在性のキナーゼ活性、インスリン刺激によるホスファチジルイノシトールキナーゼ活性、及びインスリン刺激によるDNA合成を含めた、インスリン刺激による活性低下をもたらす。したがって、受容体はインスリンに結合することができるが、正常のインスリンが媒介する形質導入シグナルは伝達されない。インスリン受容体キナーゼ活性の減少は、患者の高血糖症の程度と関連があった(Nolanらによる1994,J.Clin.Endocrinol.Metab.,78:471〜477;Maegawaらによる1991,Diabetes,40:815〜819)。
NIDDMはIDDMより蔓延しているが、その病原はよく理解されていない。しかし、NIDDMはβ細胞欠損及びインスリン抵抗性の両方の結果であると決定されてきた。したがって2型糖尿病を有する患者は、インスリン過分泌(少なくとも2型糖尿病の早期の間の)及び標的組織におけるインスリン抵抗性の2種類の生理的欠陥を有する。高インスリン血症は原発性の欠陥であるという見解への支持があり、2型糖尿病の初期において、B細胞インスリン産生が増加することが知られている。したがって、NIDDMの第1期(新たな発病)において、インスリン値の上昇を伴う実証できるインスリン抵抗性にも関わらず、血漿グルコース値は正常である。第2期において、インスリン抵抗性が悪化し、その結果インスリン上昇に関わらず食後高血糖が起こる。糖尿病のタイプの第3期又は後期において、インスリン抵抗性は変わらないが、インスリン分泌の低下によって空腹時高血糖及び顕性糖尿病がもたらされる。早期のインスリン過分泌がインスリン抵抗性を引き起こしている可能性がある。したがって、原発性の欠陥は、インスリン抵抗性をもたらすこととなるインスリン過分泌を引き起こす機能不全の島細胞のためである可能性がある。この理論の裏付けとして、2型糖尿病においてB細胞塊は損なわれていない一方で、1型IDDMにおいては大部分のβ細胞は破壊されていたことに注目することができる。興味深いことに、2型糖尿病においてα細胞集団が増加し、これによりα細胞とβ細胞の比の上昇とグルカゴン過剰産生がもたらされる。
不都合なことに、早期の2型糖尿病において起こり得るような高インスリン値は最近、血餅の危険性の増加と関連付けられてきた。したがって、高いインスリンを有する患者は、血餅を溶解する能力も障害される(線維素溶解の障害)。血餅形成は心臓発作の主な原因であり、最も一般的なタイプの脳卒中の原因であることが重要である。
したがって、少なくとも2型糖尿病の早期の間に起こり得るような高インスリン血症を治療する必要が明らかにある。不都合なことに、2型糖尿病の公知の治療には多くの欠点及び不備がある。このように、2型糖尿病の現在の治療は、早期2型糖尿病のインスリン抵抗性を克服するため、又は後期2型糖尿病においてB細胞によるインスリン産生の減少に対処するために、B細胞のインスリン分泌を刺激することによって作用する、スルホニル尿素(例えば、アセトヘキサミド、クロルプロパミド、トラザミド、グリメピリド、グリブリド又はグリボルヌリド)などの経口剤の投与を含めることができる。不都合なことに、スルホニル尿素は、膵外インスリン受容体を増加させる。さらに、スルホニル尿素投与に重篤で長期の低血糖が伴う場合があり、これにより大量のグルコース注入の必要を余儀なくされる場合がある。さらに、経口スルホニル尿素は、望ましくない全身作用を有する場合がある。最後にスルホニル尿素は、典型的には投与したスルホニル尿素の用量につきわずか約12〜60時間の作用持続時間しか有さない。したがって、より効果的な抗糖尿病薬の必要性が存在する。
Anisらは2004年(Diabetologia,47,1232〜1244)に、プロテインキナーゼファミリーのGRKメンバーのメンバーであるGRK−2及び3のHJループ配列に由来するペプチドの抗糖尿病性効果について記載している。Nivらは2004年(J.Biol.Chem.,279:1242〜1255)に、プロテインキナーゼの極限構造を用いた、c−Kit、Lyn及びプロテインキナーゼB(PKB)キナーゼ阻害剤の配列ベースの設計について記載している。
PKA及びその偽基質PKIに由来するペプチドの複合体の三次元構造については、1991年に公表された(TaylorらによるScience.1991,253(5018),414〜20)。これは基質と酵素PKAの相互作用のモデルを提供する。
PKC阻害
米国特許第6,686,334号には、疼痛治療用のプロテインキナーゼCεの阻害剤の使用が開示されている。米国特許第6,811,993号には、心血管及び糖尿病に関連する障害の診断方法、並びに単球及び脈管組織におけるPKC活性の測定に基づいた、心血管及び糖尿病に関連する障害の治療を特定し評価する方法が開示されている。
米国特許第6,511,811号には、インスリン受容体のアミノ酸残基Ser1270の、プロテインキナーゼCが媒介するリン酸化の阻害によるインスリン抵抗性を治療する方法及び組成物、並びにプロテインキナーゼCによるセリン−リン酸化の阻害に適切な化合物の試験方法が開示されている。
米国特許第6,306,383号は、選択したプロテインキナーゼc阻害剤及び効果的な浸透剤の使用による瘢痕の局所的治療に関する。
米国特許第4,923,802号は、プロテインキナーゼCの検出、性質決定及び精製のためのペプチド基質に関する。高度に特異的なプロテインキナーゼCのペプチド基質は、全体的にアルギニン、リシン又はヒスチジン或いはこれらのアミノ酸残基の任意の組合せを含む塩基性アミノ酸の群が隣接した、セリン又はスレオニンのアミノ酸残基の基本形態を含む。
本発明は、プロテインキナーゼC(PKC)活性の特異的阻害剤に関する。本発明によれば、特異的阻害剤は、本明細書においてPKC−εとして示すPKCのアイソエンザイムεに対して選択的であり得る一方で、他の阻害剤はPKCの1種又は複数の任意のアイソエンザイムに対して選択的であり得る。
本発明は、酵素とその基質との相互作用を特異的に阻害するプロテインキナーゼC阻害剤、及びこのような化合物を含む医薬組成物を提供する。本発明はさらに、PKC−ε配列に由来するPKC−εのペプチド、ペプチド類似体及びペプチド模倣体、並びにそれらを使用する方法を提供する。本発明はさらに、PKC−εの単離したペプチド類似体を使用した、インスリン抵抗性及び2型糖尿病を予防、遅延、抑制及び治療する方法を提供する。
本発明の一態様では、PKC−εがその基質に結合することを特異的に阻害するPKC−εのペプチド及びペプチド類似体によって、PKCが誘導する、インスリンシグナル伝達において活性な細胞タンパク質のセリン/スレオニンリン酸化により惹き起こされるインスリン抵抗性をなくす又は改善することができる。様々な実施形態では、本発明で提供する分子は、PKC活性又は下流シグナル伝達を阻害することができる。
本発明はさらに、プロテインキナーゼCε阻害剤を同定及び合成する方法、並びに医薬組成物の調製のためにそれらを使用する方法を提供する。
本発明の特定の実施形態では、プロテインキナーゼCεの配列(配列番号1)に由来する単離ペプチド、並びに同じ単離ペプチドのペプチド類似体及びペプチド模倣体は、PKC活性に対して阻害作用を有することを開示している。これらの阻害分子は、基質への結合に関与している酵素の任意の部分に由来し得る。
特定の実施形態では、これらの阻害ペプチドは、長さが4〜34個のアミノ酸である。他の実施形態では、これらのペプチドは、長さが5〜18個のアミノ酸であり、一方さらに他の実施形態では、これらのペプチドは、長さが6〜12個のアミノ酸である。
特定の実施形態では、本発明の阻害ペプチド及び類似体は、PKC−εのαD領域(配列番号2)に由来する。
いくつかの実施形態では、PKC−εの阻害ペプチド類似体は、式I:
R−X−Phe−Gln−Ile−Gln−Arg−Ser−Arg−Lys−Phe−Asn−Y(式I、配列番号3)
(式中、Rは、ペプチド類似体の透過性を高めることができる部分であり、Yは、末端カルボキシ酸、アミド又はアルコール基を示す)を有するペプチドである。一実施形態では、Rは脂肪酸である。一実施形態では、Rはミリストイルである。一実施形態では、Xは、直接結合又はスペーサーである。他の実施形態では、Xはアミノ酸である。さらに他の実施形態では、XはGly残基である。
さらに他の実施形態では、PKCの阻害ペプチド類似体は、式II:
R−X−Asn−Leu−Met−Phe−Gln−Ile−Gln−Arg−Ser−Arg−Lys−Phe−Y(式II、配列番号4)
(式中、Rは、ペプチド類似体の透過性を高めることができる部分であり、Yは、末端カルボキシ酸、アミド又はアルコール基を示す)を有するペプチドである。一実施形態では、Rは脂肪酸である。一実施形態では、Rはミリストイルである。一実施形態では、Xは、直接結合又はスペーサーである。他の実施形態では、Xはアミノ酸である。さらに他の実施形態では、XはGly残基である。
本発明の特定の実施形態では、PKC−εの阻害ペプチド類似体は、
ミリストイル−Gly−Phe−Gln−Ile−G1n−Arg−Ser−Arg−Lys−Phe−Asn−アミド(本明細書において「ペプチド12」で示される、配列番号6)、
ミリストイル−Gly−Asn−Leu−Met−Phe−Gln−Ile−Gln−Arg−Ser−Arg−Lys−Phe−アミド(本明細書において「ペプチド16」で示される、配列番号7)
からなる群から選択される。
本発明の他の実施形態では、これらのペプチドは、PKC−εのHJ領域(配列番号5)に由来する。
さらに他の実施形態では、PKC−εの阻害ペプチド類似体は、式III:
R−X−Met−Ala−(D)Lys−Gln−Pro−Pro−Phe−Y(式III、配列番号8)
(式中、Rは、ペプチド類似体の透過性を高めることができる部分であり、Yは、末端カルボキシ酸、アミド又はアルコール基を示す)を有するペプチドである。一実施形態では、Rは脂肪酸である。一実施形態では、Rはミリストイルである。一実施形態では、Xは、直接結合又はスペーサーである。他の実施形態では、Xはアミノ酸である。さらに他の実施形態では、XはGly残基である。
特定の実施形態では、阻害ペプチド又はペプチド類似体は、配列:ミリストイル−Gly−Met−Ala−(D)Lys−Gln−Pro−Pro−Phe−アミド(本明細書において「ペプチド7」で示される、配列番号9)を含む。
他の実施形態では、阻害ペプチド又はペプチド類似体は、配列Asn−Gly−Gly−Asp−Leu−Met−Phe−Gln−Ile−Gln−Arg−Ser−Arg−Lys−Phe−Asp−Glu−Pro−Arg−Ser−Arg−Phe−Tyr−Ala−Ala−Glu−Val−Thr−Ser−Ala−Leu−Met(配列番号2)を含む。
さらに他の実施形態では、阻害ペプチド又はペプチド類似体は、配列Glu−Met−Met−Ala−Gly−Gln−Pro−Pro−Phe−Glu−Ala−Asp−Asn−Glu−Asp−Asp−Leu−Phe−Glu−Ser−Ile−Leu−His−Asp−Asp−Val−Leu−Tyr−Pro−Val−Trp−Leu(配列番号5)を含む。
本発明の他の態様では、能動的又は受動的に化合物の細胞への透過性を促進する又は高める、当技術分野において公知の任意の部分をペプチドとのコンジュゲーションに使用することができる。非制限的な例には、脂肪酸、ステロイド及びかさ高い芳香族若しくは脂肪族化合物などの疎水性部分;ステロイド、ビタミン及び糖、天然及び非天然アミノ酸、並びにトランスポーターペプチドなどの細胞膜受容体又は担体を有し得る部分が挙げられる。
細胞透過部分は、ペプチド部分の任意の位置に、直接又はスペーサーを介して結合し得る。特定の実施形態では、細胞透過部分は、ペプチド部分のアミノ又はカルボキシ末端と結合している。任意選択の結合スペーサーは、それだけに限らないが、アミン、アミド、カルバメート、チオエーテル、オキシエーテル、スルホンアミド結合などが挙げられる任意の適切な化学反応を含む、様々な長さと立体配座であり得る。このようなスペーサーの非限定的な例には、アミノ酸、スルホンアミド誘導体、アミノチオール誘導体及びアミノアルコール誘導体が挙げられる。
本発明はさらに、少なくとも1種類の本発明の単離ペプチド、ペプチド類似体又はペプチド模倣体を、医薬として許容される賦形剤、希釈剤又は担体と共に含む医薬組成物を提供する。
本発明の特定の実施形態では、PKC−εの阻害ペプチドコンジュゲート体又はペプチド類似体を含む医薬組成物が提供される。
本発明の医薬組成物は、任意の投与経路に適切であり得る。これらの医薬組成物は、経口又は経鼻経路で投与することが好ましいが、静脈内、筋内、皮下、皮内、及び経皮経路を含めた他の投与経路が可能であり、PKC活性又はシグナル伝達の阻害をもたらす場合は本発明の範囲内に含まれる。
本発明は、対象においてプロテインキナーゼC活性を調節する方法を提供し、この方法は、プロテインキナーゼC阻害剤である単離ペプチド、ペプチド類似体又はペプチド類似体の治療有効量を投与することを含む。
本発明はさらに、それだけに限らないが、2型糖尿病、インスリン抵抗性、高血糖症、糖尿病性合併症及び代謝障害が挙げられる、プロテインキナーゼCが関与する障害の予防、遅延、抑制又は治療方法を提供する。
本発明の特定の態様では、プロテインキナーゼCεの阻害によるインスリン抵抗性及び2型糖尿病の治療方法が提供される。特定の実施形態は、PKC−εの阻害ペプチド、ペプチドコンジュゲート体又はペプチド類似体の治療有効量を含む医薬組成物を投与することによってそれを必要としている個体を治療する方法を提供する。
本発明の他の態様は、それだけに限らないが、2型糖尿病、インスリン抵抗性、高血糖症、糖尿病性合併症及び代謝障害が挙げられる、プロテインキナーゼCが関与する疾患及び障害の治療に有用な医薬の製造のための、阻害ペプチド、ペプチドコンジュゲート体又はペプチド類似体の使用を対象とする。
本質的に、従来技術において公知であり想定されるプロテインキナーゼC阻害剤の全ての使用は、本発明の分子で達成することができる。
例示として、本発明で開示されている化合物を、プロテインキナーゼCε阻害のために選択した。本明細書において開示されている製剤及び方法を使用すると、他のタイプのプロテインキナーゼCの活性を阻害する化合物を得ることが可能である。本発明のこれら及び他の特徴は、下記の図、記載内容、実施例及び特許請求の範囲と関連してより理解されるであろう。
本発明は、下記の図面及び好ましい実施形態の詳細な説明に関してより理解されるであろう。
初めて本明細書に開示するように、PKC−ε配列に由来する特異的単離ペプチド及びそのペプチド類似体は、PKCの活性を阻害できることが示された。さらに、これらの阻害ペプチド及び類似体は、栄養学的に誘導したインスリン抵抗性及び2型糖尿病の認められているモデルにおいてin vitro及びin vivoで活性があり、並びにインスリン抵抗性及び2型糖尿病の予防、遅延、抑制及び治療用の医薬組成物の調製のための適切な候補であり得ることが見出された。
PKC−α、PKC−ε及びPKC−θを含めたいくつかのPKCアイソエンザイムは、動物及びヒトの両方において、チロシンリン酸化及びインスリンシグナル伝達に対して阻害性を有するセリンリン酸化によるインスリン抵抗性と関連していることが示されてきた。本発明を実施する過程で、本願発明者らは、PKC−ε阻害性化合物、すなわちその基質への結合に関与しているPKC−εの領域に由来するペプチドを同定及び合成し、これらをこの酵素の阻害のために試験した。このように同定した阻害ペプチド類似体を、イスラエルデブスナネズミ(スナネズミ)の組織においてin vitroで、並びにインスリン抵抗性及び2型糖尿病の認められている動物モデルであるデブスナネズミモデルの栄養学的に誘導した糖尿病においてin vivoでさらに試験した。
図1に示すように、インスリンは細胞膜のインスリン受容体に結合し、インスリン受容体基質(IRS)をリン酸化する受容体酵素チロシンキナーゼの活性をもたらす。リン酸化がIRSタンパク質のチロシン残基に起こるが、IRSのセリン残基をリン酸化するPKCによって抑えられる。本発明によると、新規なペプチドは、IRSのセリンリン酸化部位をマスクすることができ、それによりPKCによるそのリン酸化が阻止され、したがってインスリン活性の持続を可能にする。さらに、正常な状態では、チロシン残基のリン酸化は、同時に起こるセリンのリン酸化によって制御され得る。しかし、筋肉で増した脂質(FFA又はトリグリセリド)の集積に続いて、ジアシルグリセロール(DAG)との接触によってPKCが過剰発現する場合、セリンリン酸化が亢進し、筋細胞はインスリンの作用に対して抵抗性となる。この望ましくない抵抗性は、本発明のペプチドにより予防し又は克服し得る。IRSからのメッセージにより決定されるインスリンシグナル伝達系の成分は、PI3K及びプロテインキナーゼB(PKB)である。後者は、脂質生成及びグリコーゲン合成、並びにグルコースの細胞への流入を促進するグルコース輸送体GLUT4の細胞表面へのトランスロケーションなど、多面的な代謝過程の作用において重要である。GLUT4のトランスロケーションを欠く場合は、筋肉のグルコース取込みは、著しく減少する。本発明のペプチドを使用して、これを予防又は軽減することができる。IRSにおけるセリンのリン酸化とは別に、PKCは、インスリンシグナル経路の他の成分上のセリンもリン酸化し、これはインスリン作用に対して有害であり、インスリン抵抗性の一因となる。これらの作用も、本発明の化合物によって阻害することができる。
本発明の原理によると、PKCとそのタンパク性基質との相互作用に推定的に関与している領域に対応するペプチド及びペプチド類似体の候補を作製するために、酵素とその基質との間の相互作用のモデルを使用した。そのモデルに基づいて、PKC−εのHJ及びαD領域に由来するいくつかのペプチド及び類似体を設計し、合成した。糖尿病のデブスナネズミの血液中グルコース濃度を減少させる能力について、ペプチドをin vitro及びin vivoで選別した。
ペプチドの疎水性部分とのコンジュゲーション体を合成し、試験も行った。例示的な実施形態では、ミリストイル部分を、ペプチドのN末端に付着させ、試験した分子の細胞透過性を促進した。次いで、様々な脂肪酸及び透過性を高めるため当技術分野において公知である他の部分とコンジュゲートさせて、活性ペプチドをさらに試験した。
本発明は、4〜34個のアミノ酸、さらに具体的には5〜18個のアミノ酸、さらにより具体的には6〜12個のアミノ酸の阻害ペプチドにより例示される。
ある特定の実施形態では、本発明の阻害ペプチド及び類似体は、PKC−εのαD領域(配列番号2)に由来する。
いくつかの実施形態では、PKCの阻害ペプチド類似体−εは、式I:
R−X−Phe−Gln−Ile−Gln−Arg−Ser−Arg−Lys−Phe−Asn−Y(式I、配列番号3)
(式中、Rは、ペプチド類似体の透過性を高めることができる部分であり、Yは、末端カルボキシ酸、アミド又はアルコール基を示す)を有するペプチドである。一実施形態では、Rは脂肪酸である。一実施形態では、Rはミリストイルである。一実施形態では、Xは、直接結合又はスペーサーである。他の実施形態では、Xはアミノ酸である。さらに他の実施形態では、XはGly残基である。
さらに他の実施形態では、PKCの阻害ペプチド類似体は、式II:
R−X−Asn−Leu−Met−Phe−Gln−Ile−Gln−Arg−Ser−Arg−Lys−Phe−Y(式II、配列番号4)
(式中、Rは、ペプチド類似体の透過性を高めることができる部分であり、Yは、末端カルボキシ酸、アミド又はアルコール基を示す)を有するペプチドである。一実施形態では、Rは脂肪酸である。一実施形態では、Rはミリストイルである。一実施形態では、Xは、直接結合又はスペーサーである。他の実施形態では、Xはアミノ酸である。さらに他の実施形態では、XはGly残基である。
本発明の特定の実施形態では、PKC−εの阻害ペプチド類似体は、
ミリストイル−Gly−Phe−Gln−Ile−Gln−Arg−Ser−Arg−Lys−Phe−Asn−アミド(本明細書において「ペプチド12」で示される、配列番号6)、
ミリストイル−Gly−Asn−Leu−Met−Phe−Gln−Ile−Gln−Arg−Ser−Arg−Lys−Phe−アミド(本明細書において「ペプチド16」で示される、配列番号7)からなる群から選択される。
本発明の他の実施形態では、ペプチドはPKC−εのHJ領域(配列番号5)に由来する。
さらに他の実施形態では、PKC−εの阻害ペプチド類似体は、式III:
R−X−Met−Ala−(D)Lys−Gln−Pro−Pro−Phe−Y(式III、配列番号8)
(式中、Rは、ペプチド類似体の透過性を高めることができる部分であり、Yは、末端カルボキシ酸、アミド又はアルコール基を示す)を有するペプチドである。一実施形態では、Rは脂肪酸である。一実施形態では、Rはミリストイルである。一実施形態では、Xは直接結合又はスペーサーである。他の実施形態では、Xはアミノ酸である。さらに他の実施形態では、XはGly残基である。
特定の実施形態では、阻害ペプチド類似体は、配列:ミリストイル−Gly−Met−AIa−(D)Lys−Gln−Pro−Pro−Phe−アミド(本明細書において「ペプチド7」で示される、配列番号9)を含む。
用語及び定義
「糖尿肥満」という用語は、インスリン抵抗性及び高インスリン血症に先行しないがトリグリセリド合成の増加に先行し、高インスリン血症及び高血糖症と共に起こる場合があり、脂肪組織の癒着の一因となる体重増加に関する。
本明細書で使用する場合、「ペプチド」は、ペプチド結合により連結したアミノ酸配列を示す。本発明のペプチド類似体は、4〜34個のアミノ酸残基、好ましくは5〜18個の残基、さらに好ましくは6〜12個のアミノ酸(各残基はアミノ及びカルボキシ末端を有することを特徴とする)の配列を含む。
本明細書で使用する場合、本発明のペプチドの「機能的誘導体」は、残基又はN−若しくはC−末端基の側鎖として存在する官能基から、当技術分野において公知の手段によって調製し得る誘導体を包含し、それらが医薬として許容される、すなわち、ペプチドの活性を破壊せず、それを含有する組成物に有毒性を与えず、並びにその抗原特性に悪影響を与えない限りは本発明に含まれる。
このような誘導体には、例えば、カルボキシル基の脂肪族エステル、アンモニア又は第1級若しくは第2級アミンとの反応により生成するカルボキシル基のアミド、アシル部分との反応により形成されるアミノ酸残基の遊離アミノ基のN−アシル誘導体(例えば、アルカノイル又は炭素環式アロイル基)、或いはアシル部分との反応により形成される遊離ヒドロキシル基のO−アシル誘導体(例えば、セリル又はトレオニル残基のそれ)が挙げられる。
「類似体」という用語は、1個又は複数のアミノ酸の変更を除いて、本発明によるアミノ酸配列を有する分子をさらに示す。本発明による類似体は、ペプチド模倣体も含み得る。「ペプチド模倣体」は、本発明によるペプチドが、少なくとも1個のコードされていない残基又は非ペプチド結合を含むように修飾されていることを意味する。このような修飾には、例えば、1個又は複数の残基のアルキル化及びより特異的なメチル化、天然アミノ酸の非天然アミノ酸による挿入又は置換、アミド結合の他の共有結合による置換が挙げられる。本発明によるペプチド模倣体は、尿素結合、カルバメート結合、スルホンアミド結合、ヒドラジン結合、又は任意の他の共有結合などの、アミド置換結合である少なくとも1個の結合を任意選択で含み得る。適切な「類似体」の設計は、コンピュータを利用し得る。本発明によるさらなるペプチド類似体は、逆の順序の特異的ペプチド又はペプチド類似体配列を含む。すなわちアミノ酸が、ペプチド配列において天然タンパク質中に、又は活性であると同定されている特異的ペプチド若しくは類似体中に現れるアミノ酸の順序と逆の順序で結合している。
ペプチド模倣体化合物は、その治療への応用を強化するさらなる特性、例えば、細胞透過性の向上、各々の標的分子に対する結合親和力及び/又は結合活性の増加、生物学的半減期の延長、並びに経口利用可能性の向上を有することができる。PKCアンタゴニスト活性を有するペプチド模倣体化合物の設計は、当技術分野で周知のコンピュータモデリング技術により援助することができる。ペプチド模倣体化合物の設計及び調製の他の方法は、当技術分野で周知である。
「効果的ペプチド」は、特定の細胞因子の阻害又は誘導などの所望の結果を達成する活性を有するであろう。或いは、効果的ペプチドは、特異的メディエーターの放出の誘導などの有益な効果又は治療効果を細胞に与えるであろう。したがって、特定のペプチド又は類似体への言及には、天然に存在するペプチド配列、又は天然に存在する配列と実質的に同じ活性を有するペプチドが含まれる。本発明の「効果的ペプチド」には、野生型又は非修飾ペプチドと同じ活性を有する(保存的及び非保存的の両方のアミノ酸置換による)修飾ペプチドも含まれる。本発明が意図する本発明のペプチドの「塩」は、生理学的に許容できる有機及び無機塩である。
本明細書及び特許請求の範囲で使用する場合、「治療有効量」という表現は、宿主に投与して、本明細書において開示されている徴候に関して所望の結果を達成する、ペプチド又はペプチド類似体又はそれらを含む組成物の量を意味する。
本明細書及び特許請求の範囲で使用する場合、「阻害剤」という用語は、「アンタゴニスト」を示すために互換的に使用され、これらの用語は、ある種の酵素活性を減少させ、又は前記酵素の基質の活性若しくは機能と競合する特性を有する組成物と規定する。
「ペプチド模倣体」という用語は、少なくとも1個のコードされていない残基又は非ペプチド結合が含まれるような方法で、本発明によるペプチドが修飾されていることを意味する。このような修飾には、例えば、1個又は複数の残基のアルキル化及びより特異的なメチル化、天然アミノ酸の非天然アミノ酸による挿入又は置換、アミド結合の他の共有結合による置換が挙げられる。本発明によるペプチド模倣体は、尿素結合、カルバメート結合、スルホンアミド結合、ヒドラジン結合、又は任意の他の共有結合などの、アミド置換結合である少なくとも1個の結合を任意選択で含み得る。適切な「ペプチド模倣体」の設計は、コンピュータを利用し得る。
「スペーサー」という用語は、その目的が、細胞透過部分とペプチド又はペプチド模倣体とを共有結合的に結合させることである化学部分を示す。スペーサーは、細胞透過部分とペプチドとの間の距離を許容するために使用することができ、又は任意のタイプの化学結合である。リンカーは、直接の化学結合又はスペーサーを示す。
「透過性」は、薬剤又は物質が、バリア、膜、若しくはスキン層を通って透過、浸透、又は拡散する能力を示す。「細胞透過」又は「細胞浸透」部分は、膜を通る分子の浸透を促進し、又は高めることができる当技術分野において公知の任意の分子を示す。非限定的な例には脂質、脂肪酸、ステロイド及びかさ高い芳香族若しくは脂肪族化合物などの疎水性部分;ステロイド、ビタミン及び糖、天然若しくは非天然アミノ酸、並びに輸送体ペプチドなどの細胞膜受容体又は担体を有し得る部分が挙げられる。本発明に使用し得る脂質部分の例:リポフェクタミン、トランスフェクターセ(Transfectace)、トランスフェクタム、サイトフェクチン、DMRIE、DLRIE、GAP−DLRIE、DOTAP、DOPE、DMEAP、DODMP、DOPC、DDAB、DOSPA、EDLPC、EDMPC、DPH、TMADPH、CTAB、リシル−PE、DC−Cho、−アラニルコレステロール;DCGS、DPPES、DCPE、DMAP、DMPE、DOGS、DOHME、DPEPC、プルロニック、Tween、BRIJ、プラスマロゲン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、グリセロール−3−エチルホスファチジルコリン、ジメチルアンモニウムプロパン、トリメチルアンモニウムプロパン、ジエチルアンモニウムプロパン、トリエチルアンモニウムプロパン、臭化ジメチルジオクタデシルアンモニウム、スフィンゴ脂質、スフィンゴミエリン、リゾ脂質、糖脂質、スルファチド、スフィンゴ糖脂質、コレステロール、コレステロールエステル、コレステロール塩、油、N−スクシニルジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、1,2−ジオレオイル−sn−グリセロール、1,3−ジパルミトイル−2−スクシニルグリセロール、1,2−ジパルミトイル−sn−3−スクシニルグリセロール、1−ヘキサデシル−2−パルミトイルグリセロホスファチジルエタノールアミン、パルミトイルホモシステイン、N,N’−ビス(ドデシルアミノカルボニルメチレン)−N,N’−ビス((−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチル−アミノカルボニルメチレン)エチレンジアミンテトラヨージド;N,N’’−ビス(ヘキサデシルアミノカルボニルメチレン)−N,N’,N’’−トリス((−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルアミノカルボニルメチレンジエチレントリアミンヘキサヨージド;N,N’−ビス(ドデシルアミノカルボニルメチレン)−N,N’’−ビス((−N,N,Nトリメチルアンモニウムエチルアミノカルボニルメチレン)シクロへキシレン−1,4−ジアミンテトラヨージド;1,7,7−テトラ((−N,N,N,N−テトラメチルアンモニウムエチルアミノカルボニルメチレン)−3−ヘキサデシルアミノカルボニルメチレン−1,3,7−トリアザヘプタンヘプタヨージド;N,N,N’,N’−テトラ((−N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルアミノカルボニルメチレン)−N’−(1,2−ジオレオイルグリセロ−3−ホスホエタノールアミノカルボニルメチレン)ジエチレントリアミンテトラヨージド;ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸、リゾ脂質、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴ脂質、糖脂質、グルコリピド、スルファチド、スフィンゴ糖脂質、ホスファチジン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、オレイン酸、ポリマーを有する脂質、スルホン化サッカライドを有する脂質、コレステロール、ヘミコハク酸トコフェロール、エーテル結合した脂肪酸を有する脂質、エステル結合した脂肪酸を有する脂質、重合脂質、ジアセチルリン酸、ステアリルアミン、カルジオリピン、長さ6〜8個の炭素の脂肪酸を有するリン脂質、非対称のアシル鎖を有するリン脂質、6−(5−コレステン−3b−イルオキシ)−1−チオ−b−D−ガラクトピラノシド、ジガラクトシルジグリセリド、6−(5−コレステン−3b−イルオキシ)ヘキシル−6−アミノ−6−デオキシ−l−チオ−b−D−ガラクトピラノシド、6−(5−コレステン−3b−イルオキシ)ヘキシル−6−アミノ−6−デオキシル−1−チオ−a−D−マンノピラノシド、12−(((7’−ジエチルアミノクマリン−3−イル)カルボニル)メチルアミノ)オクタデカン酸;N−[12−(((7’−ジエチルアミノクマリン−3−イル)カルボニル)メチルアミノ)オクタデカノイル]−2−アミノパルミチン酸;コレステリル(4’−トリメチルアンモニオ)ブタノアート;N−スクシニルジオレオイルホスファチジルエタノールアミン;1,2−ジオレオイル−sn−グリセロール;1,2−ジパルミトイル−sn−3−スクシニルグリセロール;1,3−ジパルミトイル−2−スクシニルグリセロール、1−ヘキサデシル−2−パルミトイルグリセロホスホエタノールアミン、及びパルミトイルホモシステイン。
本発明及びそれを作製し使用する方法を説明するために、特定の略語が本明細書において使用されている。例えば、DAGはジアシルグリセロールを示し、DPは糖尿病傾向を示し、DRは糖尿病抵抗性を示し、HEは高エネルギーを示し、IRはインスリン受容体を示し、IRSはインスリン受容体基質を示し、LEは低エネルギーを示し、NIDDMは2型糖尿病を示し、かつ2型糖尿病という用語と交換可能であり、PKCはプロテインキナーゼCを示し、TGはトリグリセリドを示し、TKはチロシンキナーゼを示す。
化学反応
本発明による好ましいペプチドは、ペプチド模倣体の手順を含めた当技術分野において公知の任意の方法を使用して合成し得る。これらの方法には、固相及び液相合成法が含まれる。ペプチド及び透過部分のコンジュゲーションは、当技術分野において公知の固相又は液相化学反応の任意の方法を使用して行い得る。本発明の好ましい化合物のいくつかは、液相合成法を使用して好都合に調製し得る。本発明のものなどの化合物を調製するため、当技術分野において公知の他の方法を使用することができ、それらの方法は本発明の範囲に含まれる。
本発明に使用されるアミノ酸は、市販のもの、又は通常の合成方法によって入手できる。一部の残基は、ペプチドへ組み込むために特別な方法が必要である場合があり、逐次、分岐的又は収束的なペプチド配列の合成法が、本発明において有用である。天然コードアミノ酸及びそれらの誘導体は、IUPAC規則による3文字コードで表されている。表示していない場合は、L異性体を使用した。D異性体は、残基の略語の前に「D」で表した。
当業者には公知のアミノ酸の保存的置換は、本発明の範囲内に含まれる。保存的アミノ酸置換には、1個のアミノ酸を、同じタイプの官能基又は側鎖(例えば脂肪族、芳香族、正に帯電、負に帯電)を有する他のアミノ酸と置換することが含まれる。これらの置換は、経口バイオアベイラビリティ、中枢神経系への浸透、特異的細胞集団へのターゲティングなどを向上させ得る。コードされた配列において、単一のアミノ酸又は少しの割合のアミノ酸を変更し、付加し又は除去する、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質配列の個々の置換、除去又は付加は、変更によって、アミノ酸が化学的に同様のアミノ酸と置換されることとなる「保存的に修飾された変形」であることを、当業者であれば理解するであろう。機能的に同様のアミノ酸を提供する保存的置換の表が、当技術分野では周知である。
下記の6つの群は各々、互いに保存的置換であるアミノ酸を含む。
1)アラニン(A)、セリン(S)、スレオニン(T)
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E)
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q)
4)アルギニン(R)、リシン(K)
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V)、及び
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)
ペプチド
本発明のペプチドは、分解生成物、合成ペプチド又は組換えペプチド、並びにペプチド模倣体、典型的には、ペプチド類似体であって、例えば、ペプチドを体内にあるときにより安定的にし、又は細胞へより浸透できるようにする修飾を有し得る合成ペプチド及びペプトイド及びセミペプトイドであり得ることを理解されたい。このような修飾には、それだけに限らないが、N末端修飾;C末端修飾;それだけに限らないがCH2−NH、CH2−S、CH2−S=O、O=C−NH、CH2−O、CH2−CH2、S=C−NH、CH=CH又はCF=CHが挙げられるペプチド結合の修飾;バックボーン修飾;及び残基修飾が挙げられる。ペプチド模倣体化合物の調製方法は、当技術分野で周知であり、例えば、「定量的ドラッグデザイン(Quantitative Drug Design)」CA.Ramsden Gd.,Chapter17.2,F.Choplin Pergamon Press(1992)(参照により本明細書中に全文を記載したかの如く組み込まれている)において明示されている。この点におけるさらなる詳細を下記に提供する。
ペプチド中のペプチド結合(−CO−NH−)は、例えば、N−メチル化結合(−N(CH3)−CO−)、エステル結合(−C(R)H−C−O−O−C(R)−N−)、ケトメチレン結合(−CO−CH2−)、−アザ結合(−NH−N(R)−CO−)(式中、Rは任意のアルキル、例えば、メチルである)、カルバ結合(−CH2−NH−)、ヒドロキシエチレン結合(−CH(OH)−CH2−)、チオアミド結合(−CS−NH−)、オレフィン二重結合(−CH=CH−)、レトロアミド結合(−NH−CO−)、ペプチド誘導体(−N(R)−CH2−CO−)(式中、Rは天然に炭素原子上に存在する「直鎖状」側鎖である)により置換され得る。ペプチド鎖のどの結合においても、及び同時に数箇所(2〜3箇所)においてでさえも、これらの修飾を行うことができる。
天然芳香族アミノ酸であるTrp、Tyr及びPheは、フェニルグリシン、テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸(TIC)、ナフチルアラニン、Pheの環メチル化誘導体、Pheのハロゲン化誘導体又はo−メチル−Tyrなどの合成非天然の酸で置換され得る。
上記に加えて、本発明のペプチドには、1種又は複数の修飾アミノ酸或いは1種又は複数の非アミノ酸モノマー(例えば、脂肪酸、複合糖質など)も含まれ得る。
下記の明細書及び特許請求の範囲で使用する場合、「アミノ酸」又は「複数のアミノ酸」という用語は、20種類の天然アミノ酸を含むと理解され、これらのアミノ酸は、例えば、ヒドロキシプロリン、ホスホセリン及びホスホスレオニン;並びにそれだけに限らないが、2−アミノアジピン酸、ヒドロキシリシン、イソデスモシン、ノルバリン、ノルロイシン及びオルニチンが挙げられる他の珍しいアミノ酸を含め、翻訳後にin vivoで修飾されることが多い。さらに、「アミノ酸」という用語には、D−及びL−アミノ酸の両方が含まれる。
下記の表1及び表2において、本発明と共に使用することができる、天然アミノ酸(表1)及び非従来的又は修飾アミノ酸(表2)を一覧にする。
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ペプチドが可溶性形態であることを必要とする治療において本発明のペプチドを利用することが好ましいため、本発明のペプチドには、それだけに限らないが、ヒドロキシルを含む側鎖によってペプチドの溶解性を増すことができるセリン及びスレオニンを含む、1種又は複数の非天然又は天然の極性アミノ酸が含まれることが好ましい。
本発明のペプチドは、線状形態で利用することが好ましいが、環化がペプチドの特徴を著しく妨げない場合は、ペプチドの環状形態も利用することができることを理解されたい。
本発明のペプチドは、標準的固相技術の使用によるなど生化学的に合成することができる。これらの方法には、固相合成単独、部分的固相合成法、フラグメント縮合、古典的な溶液合成が挙げられる。これらの方法は、ペプチドが比較的短い場合(すなわち、10kDa)、及び/又は組換え技術により産生することができない(すなわち、核酸配列によりコードされない)場合に使用することが好ましく、したがって異なる化学反応が伴う。固相ペプチド合成手順は、当技術分野で周知であり、John Morrow Stewart及びJanis Dillaha Youngにより、「固相ペプチド合成(Solid Phase Peptide Syntheses)」(2nd Ed.,Pierce Chemical Company,1984)にさらに記載されている。
合成ペプチドは、分取高速液体クロマトグラフィーにより精製することができ[Creighton T.による(1983)「タンパク質、構造及び分子の原理(Proteins,structures and molecular principles)」WH Freeman and Co.N.Y.]、その組成はアミノ酸配列決定により確認することができる。
大量の本発明のペプチドが所望である場合は、本発明のペプチドのいくつかは、Bitterらによる(1987)Methods in Enzymol.153:516〜544、Studierらによる(1990)Methods in Enzymol.185:60〜89、Brissonらによる(1984)Nature310:511〜514、Takamatsuらによる(1987)EMBO J.6:307〜311、Coruzziらによる(1984)EMBO J.3:1671〜1680、Brogliらによる(1984)Science224:838〜843、Gurleyらによる(1986)Mol.Cell.Biol.6:559〜565、及びWeissbach & Weissbachによる1988「植物分子生物学のための方法(Methods for Plant Molecular Biology)」Academic Press,NY,Section VIII,pp421〜463に記載されているものなどの組換え技術を用いて産生することができる。
本発明によるペプチドが線状分子である場合、化学修飾を受けやすい、又は化学修飾に適切な線状分子の様々なポイントに様々な官能基を配置することが可能である。官能基は、ペプチドの線状形態の末端に付加することができる。いくつかの実施形態では、官能基は、それだけに限らないが、安定性の向上、(細胞膜及び/又は組織壁を通る)透過性、組織局在性、有効性、クリアランス低下、毒性の減少、選択性の向上、細胞ポンプによる排除に対する抵抗性の向上などが挙げられる、1つ又は複数の特徴に関してペプチド活性を改善させる。便宜上であり、及び限定的とはしたくないが、本発明の組成物に含有される配列の1つの遊離N末端は、組成物のN末端と称され、配列の遊離C末端は組成物のC末端と称されるであろう。配列のC末端又はN末端、或いは両方は、各々カルボン酸官能基又はアミン官能基に連結することができる。
適切な官能基の非限定的な例は、その教示が参照により本明細書中に組み込まれているGreen及びWutsによる「有機合成における保護基(Protecting Groups in Organic Synthesis)」John Wiley and Sons,Chapters5及び7,1991に記載されている。好ましい保護基は、例えば、親水性を減少させ、活性成分の親油性を増加させることにより、そこに付着した活性成分が細胞内に輸送されるのを促進する保護基であり、これらは「細胞膜輸送のための部分」の一例である。
これらの部分は、細胞内で加水分解により又は酵素的によりin vivoで任意選択に切断させることができる。(DitterらによるJ.Pharm.Sci.57:783(1968);DitterらによるJ.Pharm.Sci.57:828(1968);DitterらによるJ.Pharm.Sci.58:557(1969);KingらによるBiochemistry26:2294(1987);LindbergらによるDrug Metabolism and Disposition17:311(1989);TunekらによるBiochem.Pharm.37:3867(1988),AndersonらによるArch.Biochem.Biophys.239:538(1985)、及びSinghalらによるFASEB J.1:220(1987))。ヒドロキシル保護基には、エステル類、カーボネート類及びカルバメート保護基が挙げられる。アミン保護基には、N末端保護基についての上記の通り、アルコキシ及びアリールオキシカルボニル基が挙げられる。カルボン酸保護基には、C末端保護基についての上記の通り、脂肪族、ベンジル及びアリールエステルが挙げられる。一実施形態では、本発明の組成物中の1個若しくは複数のグルタミン酸又はアスパラギン酸残基の側鎖のカルボン酸基は、好ましくはメチル、エチル、ベンジル又は置換ベンジルエステルで、より好ましくはベンジルエステルで保護されている。
N末端保護基の非限定的な実例には、アシル基(−CO−R1)及びアルコキシカルボニル又はアリールオキシカルボニル基(−CO−O−R1)が挙げられる(式中、R1は、脂肪族、置換脂肪族、ベンジル、置換ベンジル、芳香族又は置換芳香族基である)。アシル基の具体例には、それだけに限らないが、アセチル、(エチル)−CO−、n−プロピル−CO−、イソプロピル−CO−、n−ブチル−CO−、sec−ブチル−CO−、t−ブチル−CO−、ヘキシル、ラウロイル、パルミトイル、ミリストイル、ステアリル、オレオイル、フェニル−CO−、置換フェニル−CO−、ベンジル−CO−、及び(置換ベンジル)−CO−が挙げられる。アルコキシカルボニル及びアリールオキシカルボニル基の例には、CH3−O−CO−、(エチル)−O−CO−、n−プロピル−O−CO−、イソプロピル−O−CO−、n−ブチル−O−CO−、sec−ブチル−O−CO−、t−ブチル−O−CO−、フェニル−O−CO−、置換フェニル−O−CO−及びベンジル−O−CO−、(置換ベンジル)−O−CO−、アダマンタン、ナフタレン、ミリストイル、トルエン、ビフェニル、シンナモイル、ニトロベンゾキシ、トルオイル、フロイル、ベンゾイル、シクロヘキサン、ノルボルナン、又はZ−カプロン酸(Z−caproic)が挙げられる。N−アシル化を促進するために、1〜4個のグリシン残基が分子のN末端に存在することができる。
化合物のC末端のカルボキシル基は、例えば、それだけに限らないが、アミド(すなわち、C末端のヒドロキシル基が−NH、−NBR及び−NRで置換されている)又はエステル(すなわち、C末端のヒドロキシル基が−ORで置換されている)が挙げられる基によって保護することができる。R及びRは、任意選択で独立に、脂肪族、置換脂肪族、ベンジル、置換ベンジル、アリール又は置換アリール基である。さらに、窒素原子と共に、R及びRは、窒素、酸素又は硫黄などの約0〜2個のさらなるヘテロ原子と共にC4〜C8の複素環を任意選択で形成することができる。適切な複素環の非限定的で適切な例には、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリノ、チオモルホリノ又はピペラジニルが挙げられる。C末端保護基の例には、それだけに限らないが、−NH、−NHCH、−N(CH、−NH(エチル)、−N(エチル)、−N(メチル)(エチル)、−NH(ベンジル)、−N(C1〜C4アルキル)(ベンジル)、NH(フェニル)、−N(C1〜C4アルキル)(フェニル)、−OCH、−O−(エチル)、−O−(n−プロピル)、−O−(n−ブチル)、−O−(イソプロピル)、−O−(sec−ブチル)、−O−(t−ブチル)、−O−ベンジル及び−O−フェニルが挙げられる。
本発明の組成物中のアミノ酸残基を、保存的及び非保存的置換の両方として、「ペプチド模倣体の有機部分」に任意選択で置換することができる。これらの部分は、「非天然アミノ酸」とも称され、アミノ酸残基、アミノ酸を任意選択で置換し、或いは除去されたアミノ酸の代わりにペプチド内のスペーサー基として作用し得る。ペプチド模倣体の有機部分は、任意選択で及び好ましくは、置換されたアミノ酸と同様の立体化学的、電子的又は立体配置的特性を有し、このようなペプチド模倣体は、必須の位置においてアミノ酸を置換するために使用され、保存的置換であると考えられる。しかし、このような類似性は必ずしも必要ではない。ペプチド模倣体を使用する上での唯一の制限は、本発明による天然ペプチドと比較して、組成物が少なくともその生理活性を実質上に保持していることである。
ペプチド模倣体は、酵素又は他の分解過程によるペプチドの分解を阻害するために任意選択で使用し得る。ペプチド模倣体は、任意選択で及び好ましくは、有機合成技術により生成される。適切なペプチド模倣体の非限定的な例には、対応するLアミノ酸のDアミノ酸、テトラゾール(ZabrockiらによるJ.Am.Chem.Soc.110:5875〜5880(1988))、アミド結合の等配電子体(JonesらによるTetrahedron Lett.29:3853〜3856(1988))、LL−3−アミノ−2−プロペニドン(propenidone)−6−カルボン酸(LL−Acp)(KempらによるJ.Org.Chem.50:5834〜5838(1985))が挙げられる。同様の類似体は、KempらによるTetrahedron Lett.29:5081〜5082(1988)、及びKempらによるTetrahedron Lett.29:5057〜5060(1988)、KempらによるTetrahedron Lett.29:4935〜4938(1988)、及びKempらによるJ.Org.Chem.54:109〜115(1987)に示されている。他の適切ではあるが例示的なペプチド模倣体は、Nagai及びSatoによるTetrahedron Lett.26:647〜650(1985);Di MaioらによるJ.Chem.Soc.Perkin Trans.、1687(1985);KahnらによるTetrahedron Lett.30:2317(1989);OlsonらによるJ.Am.Chem.Soc.112:323〜333(1990);GarveyらによるJ.Org.Chem.56:436(1990)に示されている。さらなる適切な例示的なペプチド模倣体には、ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボキシレート(MiyakeらによるJ.Takeda Res.Labs43:53〜76(1989));1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボキシレート(KazmierskiらによるJ.Am.Chem.Soc.133:2275〜2283(1991));ヒスチジンイソキノロンカルボン酸(HIC)(ZechelらによるInt.J.Pep.Protein Res.43(1991));(2S、3S)−メチルフェニルアラニン、(2S、3R)−メチルフェニルアラニン、(2R、3S)−メチルフェニルアラニン及び(2R、3R)−メチルフェニルアラニン(Kazmierski及びHrubyによるTetrahedron Lett.(1991))が挙げられる。典型的、例示的で非限定的な非天然アミノ酸には、β−アミノ酸(β3及びβ2)、ホモアミノ酸、環状アミノ酸、芳香族アミノ酸、Pro及びPyr誘導体、3−置換アラニン誘導体、グリシン誘導体、環置換されたPhe及びTyr誘導体、直鎖状コアアミノ酸又はジアミノ酸が挙げられる。それらは、例えばSigma−Aldrich社(USA)などの種々のサプライヤーから入手可能である。
本発明において、ペプチドの任意の部分は、任意選択により化学修飾することができる、すなわち官能基を付加することにより変化させることができる。例えば、天然配列中にある側鎖アミノ酸残基は、任意選択で修飾し得るが、下記で説明するように、或いはその側鎖アミノ酸残基に加えて又はそれに代わりにペプチドの他の部分を任意選択で修飾し得る。例えば化学修飾したアミノ酸を付加することによって化学合成過程が続く場合は、分子の合成の間に任意選択で修飾を行い得る。しかし、アミノ酸の化学修飾は、それがすでに分子中に存在する場合(「in situ」修飾)にも可能である。
ペプチド分子のアミノ酸は、下記の例示的なタイプの修飾の任意の1つにより任意選択で修飾することができる(ペプチド内では、「化学修飾された」と考えられる)。非限定的で例示的なタイプの修飾には、カルボキシメチル化、アシル化、リン酸化、グリコシル化又は脂肪酸アシル化が挙げられる。セリン又はスレオニンのヒドロキシルを糖のヒドロキシルと結合させるために、エーテル結合を任意選択で使用することができる。グルタミン酸又はアスパラギン酸カルボキシル基を、糖のアミノ基と結合させるために、アミド結合を任意選択で使用することができる(Garg及びJeanlozによる「炭水化物化学及び生化学における進歩(Advances in Carbohydrate Chemistry and Biochemistry)」Vol.43、Academic Press(1985);KunzによるAng.Chem.Int.Ed.English26:294〜308(1987))。アセタール及びケタール結合も、アミノ酸と炭水化物との間で任意選択により形成することができる。例えば、遊離アミノ基(例えば、リシン)のアシル化によって、脂肪酸アシル誘導体を任意選択で作製することができる(Tothらによる「ペプチド:化学反応、構造及び生物学(Peptides:Chemistry,Structure and Biology)」Rivier and Marshal,eds.,ESCOM Publ.,Leiden,1078〜1079(1990))。
本明細書で使用する場合「化学修飾」という用語は、本発明によるペプチドについて言及する場合、そのアミノ酸残基の少なくとも1つが、プロセッシング又は他の翻訳後修飾などの自然過程によって、又は当技術分野で周知の化学修飾技術によって修飾されているペプチドを示す。多数の公知の修飾の例には、典型的には、それだけに限らないが、アセチル化、アシル化、アミド化、ADP−リボシル化、グリコシル化、GPIアンカー形成、脂質又は脂質誘導体の共有結合、メチル化、ミリスチル化、ペグ化、プレニル化、リン酸化、ユビキチン化、又は任意の同様の方法が挙げられる。さらに、1種又は複数のポリエチレングリコール(PEG)基を、O−結合型及び/又はN−結合型グリコシル化に任意選択で付加し得る。PEG基は、任意選択で枝分かれ又は線状でもよい。任意選択の任意のタイプの水溶性ポリマーを、グリコシルリンカーを介してタンパク質上のグリコシル化部位に付着し得る。
薬理学
他の考察とは別に、本発明の新規な活性成分が、ペプチド、ペプチド類似体又はペプチド模倣体であるという事実は、その製剤がこのようなタイプの化合物の送達には適切であることを表す。一般に、ペプチドは、胃酸又は腸の酵素による消化に対して感受性であることにより経口投与により適していないが、本発明の組成物はその向上した透過性により経口投与することが好ましいことが今や開示されている。本発明による他の投与経路は、関節内、静脈内、筋内、皮下、皮内、又はくも膜下腔内である。
本発明の医薬組成物は、当技術分野で周知の方法、例えば、従来の混合、溶解、造粒、粉砕、微粉砕、糖衣錠作製、湿式粉砕、乳化、カプセル化、封入又は凍結乾燥方法により製造し得る。
したがって、本発明に従って使用するための医薬組成物は、活性化合物を医薬として使用できる製剤に加工することを容易にする賦形剤及び助剤を含む1種又は複数の生理学的に許容できる担体を使用して、従来の方法により製剤し得る。適切な製剤は、選択した投与経路によって決まる。
注射用には、本発明の化合物は、水溶液、好ましくはハンクス液、リンゲル液、又は生理的食塩水緩衝液などの生理的に適合性のある緩衝液中で製剤し得る。経粘膜投与用には、バリアを透過するのに適切な浸透剤が、製剤中に使用される。このような浸透剤、例えばポリエチレングリコールは、一般に当技術分野において公知である。
糖衣錠の芯は、適切なコーティングと共に提供される。この目的のために、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールジェル、ポリエチレングリコール、二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適切な有機溶媒又は溶媒混合物を任意選択で含有し得る濃縮糖液を使用し得る。識別のため、又は異なる組合せの活性化合物の用量を特徴付けるために、染料又は色素をタブレット剤若しくは糖衣錠のコーティングに加え得る。
経口で使用することのできる医薬組成物には、ゼラチン製の押込嵌めカプセル剤、並びにゼラチンとグリセロール又はソルビトールなどの可塑剤とで作られた密封ソフトカプセル剤が挙げられる。押込嵌めカプセル剤は、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、タルク又はステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、任意選択の安定剤と混合した活性成分を含有し得る。軟カプセル剤において、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、又は液体ポリエチレングリコールなどの適切な液体中で溶解又は懸濁し得る。さらに、安定剤を加え得る。経口投与のための全ての製剤は、選択した投与経路に適切な投与量であるべきである。口腔投与のために、組成物は従来の方法で製剤したタブレット剤又はトローチ剤の形状をとり得る。
吸入による投与用には、本発明による使用の変形は、エアゾールスプレー提示の形態で、加圧パック又は噴霧器から、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロ−テトラフルオロエタン又は二酸化炭素などの適切な噴霧剤を使用して好都合に送達される。加圧式エアロゾルの場合は、計測量を送出する弁によって投与単位を決定することができる。吸入器又は注入器に使用するための、例えば、ゼラチンのカプセルやカートリッジは、ペプチド混合粉体及びラクトース又はデンプンなどの適切な粉末ベースを含有して配合し得る。
非経口投与用の医薬組成物には、水溶性形態の活性成分の水溶液が含まれる。さらに、活性化合物の懸濁液は、適切な油性注射用懸濁液として調製し得る。適切な天然又は合成担体は、当技術分野で周知である(PillaiらによるCurr.Opin.Chem.Biol.5,447,2001)。任意選択で、懸濁液は、高度に濃縮された溶液の調製を可能にするために、化合物の溶解度を増加させる適切な安定剤又は薬剤を含有し得る。或いは、活性成分は、使用前に、適切なビヒクル、例えば発熱物質を含まない滅菌水と再構成するために、粉末形態でもよい。
本発明の化合物は又、例えば、カカオバター又は他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を使用して、坐薬又は保持浣腸剤などの直腸の組成物中に配合し得る。
本発明に照らした使用に適切な医薬組成物には、活性成分が意図した目的を達成するのに効果的な量で含有されている組成物が含まれる。さらに具体的には、治療有効量とは、治療を受けている対象の疾患の症状を予防、遅延、軽減又は寛解させるのに効果的な化合物の量を意味する。治療有効量の決定は、当業者が十分に対応できる範囲にある。
本明細書に記載するフラグメント及び類似体の毒性及び治療効力は、細胞培養又は実験動物における標準的な医薬的手順によって、例えば、対象化合物のIC50(50%阻害を実現する濃度)及びLD50(試験動物の50%が死に至る致死量)を決定することによって決定することができる。これらの細胞培養アッセイ及び動物試験から得たデータは、ヒトへの使用の投与量範囲を処方することにおいて使用することができる。投与量は、使用する剤形及び利用する投与経路によって変わり得る。正確な製剤、投与経路及び投与量は、患者の状態を考慮して、個々の医師が選択することができる(例えば、Finglらによる1975「治療の薬理学の基礎(The Pharmacological Basis of Therapeutics)」Ch.1p.1)。
治療される状態の重篤度及び応答性によって、治療過程で数日から数週間に亘って、又は回復するまで、又は病態の軽減が達成されるまで、投薬は徐放性組成物の単回投与でもよい。投与する組成物の量は、当然ながら、治療される対象、疾患の重篤度、投薬方法、処方する医師の判断、及び全ての他の関連要因によって決まるであろう。
本発明による特に好ましい一実施形態では、ペプチドは、(例えば、シロップ剤、カプセル剤、又は錠剤として)経口投与される。
特定の実施形態では、保護用の賦形剤を使用することによって、ペプチド送達を高めることができる。これは典型的には、ペプチドと組成物とで複合体を形成し、酸性及び酵素加水分解に対して抵抗性にすることにより、又はリポソームなどの適切に抵抗性のある担体中にポリペプチドを詰めることにより行うことができる。経口送達のためにポリペプチドを保護する手段は、当技術分野で周知である(例えば、治療剤の経口送達のための脂質組成物について記述している米国特許第5,391,377号を参照されたい)。
血清半減期の延長は、徐放性タンパク質「包装」系の使用により維持することができる。このような持続放出系は、当業者には周知である。好ましい一実施形態では、タンパク質及びペプチドのためのProLease生分解性ミクロスフィア送達系(Tracyによる1998,Biotechnol.Prog.14,108;Johnsonらによる1996,Nature Med.2,795;Herbertらによる1998,Pharmaceut.Res.15,357)高分子マトリックス中に、薬剤と共に又は他の薬剤を含まずに乾燥製剤として配合することができるタンパク質を含有する、生分解性高分子ミクロスフィアを含む乾燥粉末である。
上記の製剤及び投与方法は、例示のためであり、限定するためではない。本明細書において提供した教示を使用して、他の適切な製剤及び投与方法を容易に考案することができることを理解されたい。経口投与に適した本発明の製剤は、通常スクロース及びアカシア及びトラガカントである香味を付けた基剤中にペプチドを含むカプセル剤、カシェ剤、錠剤、ロゼンジ;ゼラチン及びグリセリン、又はスクロース及びアカシアなどの不活性な基剤中に活性成分を含む香錠;並びに適切な液体担体中に活性成分を含む口内洗浄剤などの個別単位としてあってもよい。各々の製剤は一般に、散剤又は顆粒剤として、或いはシロップ剤、エリキシル剤、乳剤又はドラフト(draught)などの、水性若しくは非水性液体中の溶液又は懸濁液として、所定の量の活性ペプチドを含有する。
錠剤は、任意選択で1種又は複数の補助成分と共に、圧縮又は成形により作製し得る。圧縮錠剤は、適切な機械中で粉末又は顆粒などの易流動性形態の活性ペプチドを、結合剤(例えば、ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑沢剤、不活性な希釈剤、保存料、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポビドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤又は分散剤と任意選択で混合して、圧縮することにより調製し得る。成形錠剤は、不活性な液体希釈剤で湿らせた粉末状ペプチドの混合物を適切な機械中で成形することにより作製し得る。タブレット剤は、任意選択でコーティング又は刻印され、並びに所望の放出プロファイルを提供するために、例えば、様々な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用して、その中の活性成分の徐放又は制御放出を実現するように製剤し得る。
シロップ剤は、活性ペプチドを、糖、例えばスクロースの濃縮水溶液に加えることにより作製することができ、そこには任意の必要な成分も加え得る。このような補助成分には、香味料、糖の結晶化を遅らせる薬剤、或いは多価アルコール、例えば、グリセロール又はソルビトールなどの任意の他の成分の溶解度を増加させる薬剤が挙げられ得る。
上記の成分に加えて、本発明の製剤には、希釈剤、緩衝液、香味剤、結合剤、表面活性剤、増粘剤、滑沢剤、(抗酸化剤を含めた)保存料などから選択される1種又は複数の補助成分がさらに含まれ得る。
投与量は、最初に低用量を投与し、その後適当な応答がなされるまでより多くの投与量が投与され得るような、次第に増加していく投与量であり得ることが理解されるであろう。又、この組成物の投与量は、治療期間の過程において、投与量の一部を各々の投与において投与する多回投与で対象に投与することができる。
下記の実施例は、本発明の化合物の作製及び使用法並びに本発明の方法を例示することを意図しており、決して限定するものとして解釈されるものではない。これから本発明をその特定の実施形態と関連して説明するが、多くの改変及び変形が当業者には明らかであろうことは明確である。したがって、添付の特許請求の精神及び広範にわたる範囲内にあてはまる全てのこのような改変及び変形が包含されることを意図している。
材料及び方法
インスリンシグナル経路成分のアッセイ及び膵臓のβ細胞の電子顕微鏡検査のために、動物を3回目の腹腔内ペプチド注射の3日後の朝に摂食状態で断頭により屠殺した。血液を回収し、血清インスリン値を、抗ヒト抗体を使用してラジオイムノアッセイにより決定した。両方の足からの腓腹筋を切除し、直ちに液体窒素中で冷凍し、次いで−80℃で保存した。
20mmol/lのHEPES、8mmol/lのEDTA、0.2mmol/lのNaVO4、10mmol/lのNa、2.5mmol/l、2mMのフッ化フェニルメチルスルホニル、160mmol/lのNaF、2mmol/lのDCA、1%Triton X−100、1%プロテアーゼ阻害剤カクテル及び1%ホスファターゼ阻害剤カクテル(Sigma(登録商標))pH7.4を含有する均質化緩衝液中で調製した筋肉ホモジネートを使用して、インスリンシグナル伝達分子のイムノブロット分析を行った。等量の細胞ライセートをLaemmli緩衝液で溶解し、SDS−PAGEゲル分離にかけた。分離したタンパク質をニトロセルロース膜に移した。免疫反応性タンパク質を、セイヨウワサビペルオキシダーゼ結合2次抗体及び強化化学ルミネセンス試薬を使用して視覚化した。全てのタンパク質データをデンシトメトリーにより定量化した。
IRS−1(ser636、639がリン酸化されたIRS−1)、PKB−AKT(セリン473がリン酸化されたPKB−AKT)に対するウサギポリクローナル抗体を、Cell Signaling Technology Inc.社から入手した。GLUT4に対するウサギポリクローナル抗体をChemicon社(USA)から入手し、アクチンに対するマウスモノクローナル抗体をMP Biomedicals Inc.社から入手した。
Jornsらによる2002、Virchovs Arch440:63〜69の方法に従って、膵臓のパラフィンブロックのスライスで、膵臓のβ細胞の電子顕微鏡検査を行った。
(実施例1)
デブスナネズミモデルにおける、栄養学的に誘導した糖尿病
背景
デブスナネズミは、豊富な栄養投与計画に置かれた場合、高血糖症及び2型糖尿病の傾向があることを除いては何も先天的な糖尿病突然変異を示さないため、特に抗糖尿病性モダリティの効果の研究のために非常に適切なモデルである。
アレチネズミ亜科デブスナネズミ(スナネズミとあだ名で呼ばれることが多い)の主たる自然の栄養素は、好塩性植物であるツリーパースレーン(ソルトブッシュ)である。デブスナネズミは、その生息環境ではまったく糖尿病を示さないが、死海の砂漠の海岸から、高エネルギー(HE)食と見なされる標準的な実験室の食餌に移った場合、高血糖症、高インスリン血症及び顕性2型糖尿病を発症する。動物に特別に考案された低エネルギー(LE)食を持続させると、高血糖症を予防し、安定的な繁殖できるコロニーを確立することができた。動物は食欲過剰ではないが、HE食を与えた場合、徐々に、正常状態(段階A)から、高インスリン血症により明らかな明白なインスリン抵抗性(段階B)、高血糖症を伴う高インスリン血症(段階C)、及び最終的にβ細胞アポトーシス及び壊死による過分泌が誘導するインスリン欠乏(段階D)へと陥った。イスラエルデブスナネズミにおける糖尿病進行の経過は、Ziv E.及びShafrir E.のいくつかの刊行物に記載された。体重増加はインスリン抵抗性及び高インスリン血症より前に起こらないが、トリグリセリド(TG)合成の増加が高インスリン血症及び高血糖症と共に起こる場合があり、本明細書において「糖尿肥満」と称されている状態である脂肪組織の癒着の一因となり得ることを強調するべきである。脂肪組織及び非脂肪組織、主として筋肉におけるTGの沈着は、脂肪組織よりはむしろ肝臓が、脂肪生成の主たる部位であるため、インスリン抵抗性に関わらず変わらないままである肝臓脂肪生成により推進される。アポトーシス及びβ細胞の脱顆粒が起こる前に、デブスナネズミの糖尿肥満への進行が、ほんの数日間の食餌制限により元に戻り得ることは注目に値する。
非糖尿病性段階Aと比較して、高血糖性−高インスリン性段階Cにおいて、特異的抗体でプローブしたいくつかのPKCアイソエンザイムの中で、PKC−εが、デブスナネズミの骨格筋中で最も有意に過剰発現した。全てのPKC−εの細胞含有物の約3分の1が、細胞質ゾルから膜画分に移動した。これは過剰発現だけでなく活性の増加も示す。細胞膜のPKC−α及びβも上昇したが、その程度はより低かった。糖尿病抵抗性(DR)及び糖尿病傾向(DP)デブスナネズミ系におけるいくつかのPKCアイソエンザイムの発現を比較した。高エネルギー(HE)食に対して高血糖症及び高インスリン血症を示さなかった個体の同類交配により親デブスナネズミコロニーからDR系を単離した。興味深いことに、DR系と比較して、PKC−εの有意な過剰発現が、DPデブスナネズミの正常血糖段階Aにおいても観察された。これはPKC−ε過剰発現が顕性インスリン抵抗性の発症より前に起こることを示す。したがって、段階AにおけるPKC−ε過剰発現は、「前糖尿病性」又は「前インスリン性」段階、及びHE食で顕性糖尿病へと進行する所与の個体の傾向のマーカーとして考えることができる。しかし、低エネルギー食では不利な結果は起こらない。
PKC−ε過剰発現は、インスリンによるチロシンキナーゼ(TK)の活性化障害、及びGLUT4の減少(PI3Kの活性化障害を示す)をもたらすため、インスリンシグナル伝達におけるさらなる下流の異常を調査した。細胞内の多面発現的な新陳代謝系の活性に関与する酵素であるPKB/Aktの活性を、インスリン受容体(IR)及びPKC−εプラスミドをトランスフェクトされたヒト胚性腎細胞(HEK293)中で決定した。ホルボールエステル(TPA)による刺激は、PKC−εの活性化が、PKB発現の有意な減少及びPKB活性の阻害と結びついたことを明らかに示した。これらの結果は、TKによるインスリン受容体基質(IRS)のリン酸化の阻害の後に、PKC−εがPKB活性化を阻害し、インスリンシグナル伝達に依存している代謝反応に対する広範囲に及ぶ悪影響を有することを示す。
実験
体重160〜200gの雌性又は雄性の摂食状態のアレチネズミ亜科デブスナネズミを使用した。最初に動物を約2週間「高エネルギー食」に置き、高血糖性及び高インスリン状態としたが、これは実際に栄養学的に誘導した2型糖尿病を表す。次いで、ジメチルスルホキシド溶媒に溶解したペプチド10mg/kg(又は対照においては溶媒のみ)を、動物に腹腔内注射をした。処置期間の間に、動物の摂食パターン又は体重に有効な変化は観察されなかった。グルコメーターを使用して尻尾の先端から回収した血液の小液滴で全血グルコースを測定した。3回の注射を、5日の差をあけて行い、14日後に又はそれより早く動物の高血糖値は正常になり、対照は300〜400mg/dlの値であった。正常値は最後の注射後少なくとも3〜5日間続いた。図2〜4は、赤い矢で印を付けた反応性ペプチドの3回の注射の血糖低下作用を示す。アスタリスクが付いた線は、対照動物を示す。他の線は、個々の注射をされた動物のものである。
何匹かの動物において、心臓から(又は屠殺して)取った血液においても、血清インスリン値を測定した。インスリン値は、著しく減少したが完全に正常ではなかった。
次いで、高エネルギー食での最後の注射の後の効果持続期間と同様に、それより低い及び高い用量のペプチドを試験した。予防効果(動物に最初にペプチドを注射し、次いでそれらの動物を高エネルギー食に置き、グルコース上昇が妨げられたかを測定することによって分析する)についても試験する。
(実施例2)
β細胞の免疫染色
β細胞が高血糖症から保護されているかどうかを検査するために、ペプチド12を注射した糖尿病のアレチネズミ亜科デブスナネズミにおける膵臓のβ細胞の組織及び免疫染色特性を調査した。糖尿病の動物において、栄養学的に誘導した糖尿病、及び高血糖症を補うためのインスリン過分泌によるインスリン量の著しい枯渇に続いて、β細胞構造が著しく劣化する。14日間のペプチド治療は著しくβ細胞構造を改善し、免疫染色性である膵臓のβ細胞のインスリン量が補充されたことが見出された。図5A及び5Bは、糖尿病の動物及び治療を受けた動物における、各々のヘマトキシリンエオシン染色されたβ細胞及びインスリン免疫染色されたβ細胞を表す。さらなる実験を行って、高エネルギー食の前のペプチドの投与は、糖尿病及び高血糖症の発症を予防し、β細胞になんら病変を生じさせないことを示す。
(実施例3)
シグナルタンパク質のリン酸化
治療動物及び非治療動物の筋肉ライセート中のインスリンシグナル経路(シグナルタンパク質)の成分のリン酸化の程度を調査した。図6は、特異的抗体によるイムノブロッティングによって決定した、PKCによるIRSのセリンリン酸化の相対的程度を示す。治療された動物において、セリンリン酸化の程度ははるかに低く、ペプチド12によってセリンリン酸化が防止されることを証明する。図7は、PKB/AKTにおけるセリンリン酸化の相対的程度を示す。この図に示す通り、セリンリン酸化は治療した動物において減少した。これはチロシンリン酸化後のIRS受容体の適切な活性化を示す。チロシンリン酸化により活性化するインスリンシグナル伝達の他の成分と対照的に、PKB/Aktはセリンリン酸化により活性化する。図8は、ペプチド12による治療に続いて上昇したグルコース輸送体GLUT4タンパク質の相対量を示す。この観察は非常に重要であり、筋肉へのグルコース取込みの増加及びインスリン抵抗性の減少におけるペプチド12の効果を示す。
これらの実験は、注射されたペプチドが筋細胞に入り、そこでその著しいセリンマスク作用を発揮することも示す。
(実施例5)
ペプチドの事前投与
本発明のペプチドの事前投与による、高エネルギー食により誘導される糖尿病の予防を試験する。動物は、単一用量又は多用量のペプチドを与えられ、次いで低エネルギー食から高エネルギー食に移った。インスリン抵抗性及び糖尿病の発症は、通常約2週間かかり、糖尿病になる非治療対照と比較して、正常な非糖尿病の状態に動物を維持するのに、動物にさらなる用量のペプチドを補う必要がある場合がある。グルコース及びインスリンの血中濃度を経過観察し、正常と異なり得る上記で説明したパラメーターの何らかの変化を調査するために、組織試料を取る。
本発明の化合物により阻害される可能性があるPKCの有害作用を要約した図式である。 矢印によって印を付けた、ペプチド12(配列番号6)の3回の注射による血糖低下作用(グルコースmg/dlによる)を例示した図である。アスタリスクの付いた線は、対照動物を表す。他の線は個々の注射された動物のものである。 矢印によって印を付けた、ペプチド16(配列番号7)の3回の注射による血糖低下作用(グルコースmg/dlによる)を説明した図である。アスタリスクの付いた線は、対照動物を表す。他の線は個々の注射された動物のものである。 矢印によって印を付けた、ペプチド7(配列番号9)の3回の注射による血糖低下作用(グルコースmg/dlによる)を示した図である。アスタリスクの付いた線は、対照動物を表す。他の線は個々の注射された動物のものである。 糖尿病(左)及び治療を受けた(右)デブスナネズミにおけるヘマトキシリンエオシン染色されたβ細胞を表す。 糖尿病(左)及び治療を受けた(右)デブスナネズミにおけるインスリン免疫染色されたβ細胞を表す。 特異的抗体によるイムノブロットによって決定される、PKCによるIRSのセリンリン酸化の相対的程度を示す図である。 PKB−AKT中のセリンリン酸化の相対的程度を示す図である。 ペプチド12による治療に続く、グルコース輸送体GLUT4タンパク質の相対量を示す図である。

Claims (52)

  1. PKC活性を阻害することができる、PKC−εの配列(配列番号1)に由来する単離ペプチド又はその類似体。
  2. 4〜34個のアミノ酸を含む、請求項1に記載のペプチド又はペプチド類似体。
  3. 前記ペプチドの天然配列が、少なくとも1個のアミノ酸の天然若しくは非天然アミノ酸による置換;アミノ酸の少なくとも1個の側鎖の修飾又は置換;並びに少なくとも1個のアミド結合の他の共有結合による置換、から選択される修飾により修飾されている、請求項1に記載のペプチド類似体。
  4. 細胞への浸透を促進することができる部分にコンジュゲートしている、請求項1に記載のペプチド又はペプチド類似体。
  5. 酵素をその基質に結合させることに関与しているPKC−εの領域に由来する、請求項1に記載のペプチド又はペプチド類似体。
  6. 前記領域がPKC−εのαD領域(配列番号2)である、請求項5に記載のペプチド又はペプチド類似体。
  7. 配列:Asn−Gly−Gly−Asp−Leu−Met−Phe−Gln−Ile−Gln−Arg−Ser−Arg−Lys−Phe−Asp−Glu−Pro−Arg−Ser−Arg−Phe−Tyr−Ala−Ala−Glu−Val−Thr−Ser−Ala−Leu−Met(配列番号2)を含む、請求項5に記載のペプチド又はペプチド類似体。
  8. 式Iの配列:
    R−X−Phe−Gln−Ile−Gln−Arg−Ser−Arg−Lys−Phe−Asn−Y(式I、配列番号3)
    (式中、Rはペプチド類似体の透過性を高めることができる部分であり、Xは直接結合及びスペーサーから選択され、Yは、末端カルボキシ酸、アミド及びアルコール基から選択される)を含む、請求項6に記載のペプチド又はその類似体。
  9. Rは脂肪酸であり、XはGly残基である、請求項8に記載のペプチド又はペプチド類似体。
  10. 配列ミリストイル−Gly−Phe−Gln−Ile−Gln−Arg−Ser−Arg−Lys−Phe−Asn−アミド(配列番号6)を含む、請求項8に記載のペプチド又はペプチド類似体。
  11. 式IIの配列:
    R−X−Asn−Leu−Met−Phe−Gln−Ile−Gln−Arg−Ser−Arg−Lys−Phe−Y(式II、配列番号4)
    (式中、Rはペプチド類似体の透過性を高めることができる部分であり、Xは直接結合及びスペーサーから選択され、Yは、末端カルボキシ酸、アミド及びアルコール基から選択される)を含む、請求項6に記載のペプチド又はその類似体。
  12. Rは脂肪酸であり、XはGly残基である、請求項10に記載のペプチド又はペプチド類似体。
  13. 配列ミリストイル−Gly−Asn−Leu−Met−Phe−Gln−Ile−Gln−Arg−Ser−Arg−Lys−Phe−アミド(配列番号7)を含む、請求項12に記載のペプチド又はペプチド類似体。
  14. 前記領域がPKC−εのHJ領域(配列番号5)である、請求項5に記載のペプチド又はペプチド類似体。
  15. 配列:Glu−Met−Met−Ala−Gly−Gln−Pro−Pro−Phe−Glu−Ala−Asp−Asn−Glu−Asp−Asp−Leu−Phe−Glu−Ser−Ile−Leu−His−Asp−Asp−Val−Leu−Tyr−Pro−Val−Trp−Leu(配列番号5)を含む、請求項5に記載のペプチド又はペプチド類似体。
  16. 式IIIの配列:
    R−X−Met−Ala−(D)Lys−Gln−Pro−Pro−Phe−Y(式III、配列番号8)
    (式中、Rはペプチド類似体の透過性を高めることができる部分であり、Xは直接結合及びスペーサーから選択され、Yは、末端カルボキシ酸、アミド及びアルコール基から選択される)を含む、請求項14に記載のペプチド又はペプチド類似体あるいはその類似体。
  17. Rは脂肪酸であり、XはGly残基である、請求項16に記載のペプチド又はペプチド類似体。
  18. 配列ミリストイル−Gly−Met−Ala−(D)Lys−Gln−Pro−Pro−Phe−アミド(配列番号9)を含む、請求項17に記載のペプチド又はペプチド類似体。
  19. プロテインキナーゼC活性を阻害することができる、PKC−εの配列(配列番号1)に由来する単離ペプチド又はその類似体を含む、医薬組成物。
  20. 前記ペプチド又はペプチド類似体が4〜34個のアミノ酸を含む、請求項19に記載の医薬組成物。
  21. 前記ペプチドの天然配列が、少なくとも1個のアミノ酸の天然若しくは非天然アミノ酸による置換;アミノ酸の少なくとも1個の側鎖の修飾又は置換;並びに、少なくとも1個のアミド結合の他の共有結合による置換、から選択される修飾により修飾されている、請求項19に記載の医薬組成物。
  22. 前記ペプチド又はペプチド類似体が、酵素をその基質に結合させることに関与しているPKC−εの領域に由来する、請求項19に記載の医薬組成物。
  23. 前記ペプチドが、PKC−εのαD領域(配列番号2)に由来する、請求項22に記載の医薬組成物。
  24. 配列:Asn−Gly−Gly−Asp−Leu−Met−Phe−Gln−Ile−Gln−Arg−Ser−Arg−Lys−Phe−Asp−Glu−Pro−Arg−Ser−Arg−Phe−Tyr−Ala−Ala−Glu−Val−Thr−Ser−Ala−Leu−Met(配列番号2)を含む、請求項23に記載の医薬組成物。
  25. 前記ペプチドが、式Iの配列:
    R−X−Phe−Gln−Ile−Gln−Arg−Ser−Arg−Lys−Phe−Asn−Y(式I、配列番号3)
    (式中、Rはペプチド類似体の透過性を高めることができる部分であり、Xは直接結合及びスペーサーから選択され、Yは、末端カルボキシ酸、アミド及びアルコール基から選択される)を含む、請求項23に記載の医薬組成物。
  26. Rは脂肪酸であり、XはGly残基である、請求項25に記載の医薬組成物。
  27. 配列ミリストイル−Gly−Phe−Gln−Ile−Gln−Arg−Ser−Arg−Lys−Phe−Asn−アミド(配列番号6)を含む、請求項23に記載の医薬組成物。
  28. 前記ペプチドが式IIの配列:
    R−X−Asn−Leu−Met−Phe−Gln−Ile−Gln−Arg−Ser−Arg−Lys−Phe−Y(式II、配列番号4)
    (式中、Rはペプチド類似体の透過性を高めることができる部分であり、Xは直接結合及びスペーサーから選択され、Yは、末端カルボキシ酸、アミド及びアルコール基から選択される)を含む、請求項23に記載の医薬組成物。
  29. Rは脂肪酸であり、XはGly残基である、請求項28に記載の医薬組成物。
  30. 配列ミリストイル−Gly−Asn−Leu−Met−Phe−Gln−Ile−Gln−Arg−Ser−Arg−Lys−Phe−アミド(配列番号7)を含む、請求項29に記載の医薬組成物。
  31. 前記ペプチドがPKC−εのHJ領域(配列番号5)に由来する、請求項22に記載の医薬組成物。
  32. 前記ペプチドが、配列Glu−Met−Met−Ala−Gly−Gln−Pro−Pro−Phe−Glu−Ala−Asp−Asn−Glu−Asp−Asp−Leu−Phe−Glu−Ser−Ile−Leu−His−Asp−Asp−Val−Leu−Tyr−Pro−Val−Trp−Leu(配列番号5)を含む、請求項22に記載の医薬組成物。
  33. 前記ペプチドが、式IIIの配列:
    R−X−Met−Ala−(D)Lys−Gln−Pro−Pro−Phe−Y(式III、配列番号8)
    (式中、Rはペプチド類似体の透過性を高めることができる部分であり、Xは直接結合及びスペーサーから選択され、Yは、末端カルボキシ酸、アミド及びアルコール基から選択される)を含む、請求項31に記載の医薬組成物。
  34. Rは脂肪酸であり、XはGly残基である、請求項33に記載の医薬組成物。
  35. 配列:ミリストイル−Gly−Met−Ala−(D)Lys−Gln−Pro−Pro−Phe−アミド(配列番号9)を含む、請求項33に記載の医薬組成物。
  36. PKC−εとその基質との間の相互作用を阻害することができるPKCのペプチド阻害剤又はペプチド類似体を含む医薬組成物を、それを必要としている対象に投与することを含む、インスリン抵抗性、2型糖尿病、高血糖症、糖尿病性合併症及び代謝障害の群から選択される状態を予防、遅延、抑制及び治療するための方法。
  37. 前記状態が、インスリン抵抗性及び2型糖尿病である、請求項36に記載の方法。
  38. 投与経路が、経口、経鼻、吸入、静脈内、筋内、皮下、皮内、及び経皮経路から選択される、請求項36に記載の方法。
  39. 前記医薬組成物が、経口及び経鼻の投与経路から選択される経路により投与される、請求項36に記載の方法。
  40. 前記ペプチド阻害剤又はペプチド類似体が、αD領域(配列番号2)及びHJ領域(配列番号5)から選択されるPKC−εタンパク質の領域に由来する、請求項36に記載の方法。
  41. 前記ペプチド阻害剤又はペプチド類似体が、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び配列番号9からなる群から選択されるペプチドを含む、請求項40に記載の方法。
  42. PKC−εの阻害ペプチド、ペプチドコンジュゲート体又はペプチド類似体を含む医薬組成物に細胞を曝すことによって、細胞中のPKC活性を阻害する方法。
  43. 前記ペプチド、ペプチドコンジュゲート体又はペプチド類似体が、αD領域(配列番号2)及びHJ領域(配列番号5)から選択されるPKC−εタンパク質の領域に由来する、請求項42に記載の方法。
  44. 前記ペプチド、ペプチドコンジュゲート体又はペプチド類似体が、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び配列番号9からなる群から選択されるペプチドを含む、請求項43に記載の方法。
  45. 前記ペプチドが細胞透過性亢進部分をさらに含む、請求項42に記載の方法。
  46. 前記細胞透過性亢進部分が、前記ペプチドにコンジュゲートしている、請求項45に記載の方法。
  47. PKC−εの阻害ペプチド、ペプチドコンジュゲート体又はペプチド類似体を含む医薬組成物を投与することによって、それを必要としている個体のPKC活性を阻害する方法。
  48. 前記ペプチド、ペプチドコンジュゲート体又はペプチド類似体が、PKC−εのαD領域(配列番号2)又はPKC−εのHJ領域(配列番号5)に由来する、請求項47に記載の方法。
  49. 前記ペプチド、ペプチドコンジュゲート体又はペプチド類似体が、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び配列番号9からなる群から選択されるペプチドを含む、請求項48に記載の方法。
  50. 2型糖尿病、インスリン抵抗性、高血糖症、糖尿病性合併症及び代謝障害の治療用医薬の調製のための、PKC−εの配列(配列番号1)に由来する4〜34個のアミノ酸の単離ペプチド又はその類似体を含むPKC阻害剤の使用。
  51. 前記単離ペプチドが、αD領域(配列番号2)及びHJ領域(配列番号5)から選択されるPKC−εタンパク質の領域に由来する、請求項50に記載の使用。
  52. PKC阻害剤が、配列番号3、配列番号4、配列番号6、配列番号7、配列番号8及び配列番号9からなる群から選択されるペプチドを含む、請求項51に記載の使用。
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